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anko0983 Can ゆー defend? 前編
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ankoss
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書いた人 ヤリまむあき
書いたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 703 ゆー具
ふたば系ゆっくりいじめ 708 売ゆん婦
ふたば系ゆっくりいじめ 717 売ゆん婦2
ふたば系ゆっくりいじめ 723 売ゆん婦3
ふたば系ゆっくりいじめ 730 ゆー具 鬼畜眼鏡編
ふたば系ゆっくりいじめ 772 情けはゆっくりの為ならず
ふたば系ゆっくりいじめ 798 売ゆん婦4
『Can ゆー defend? 前編』
一、
愛するれいむに可愛いおちびちゃん達、そしてゆっくりぷれいす。
まりさは、これさえあれば後は何も要らなかった。
「ゆうん! ゆっくち、ゆっくち!!」
「おにぇーちゃんをゆっくちちゅかまえりゅよ!!」
「ゆっくりおいかけてきてにぇ! まりしゃはここだよ!!」
つい先日生まれた赤まりさ二匹が、数ヶ月前に生まれていた子まりさを追いかける。
活発なまりさ種らしく、おうちの外で姉妹で追いかけっこをして遊んでいるのだ。
本気で跳ねると妹達がついてこれない事を分かっている為、子まりさは速度を時折緩めて手加減しているようだ。
「「ゆっくちーにょひー、しゅっきりーにょひー、まっちゃりーにょひー!」」
「ちがうよ、れいみゅのおてほんさんをよくみててにぇ!! ゆっくり~のひ~、すっきり~のひ~、まったり~のひ~♪」
「「おにぇーちゃんしゅごーい!!」」
「ゆふん、それほどでもあるよ!! れいみゅはしんがーそんぐらいたーなんだよ!!」
おうちの中では子まりさと同時期に生まれた子れいむが、赤まりさと同時期に生まれた赤れいむ二匹と一緒にゆっくりできるおうたのお稽古をしている。
まだ舌足らずで上手く歌えない妹達に尊敬され、子れいむも満更ではないようだ。
「おちびちゃんたち! かけっことおうたのおけいこがおわったら、ゆっくりごはんさんをたべようね!! きょうは、おとうさんがとってきたおはなさんにあまいきのみさんがあるよ!!」
そして、そんな子供達を暖かい眼差しで見守りながら食事の支度をしている愛妻のれいむ。
まりさが狩りに行っている間子供達とおうちを守り、子供達をとてもゆっくり育てる、優しいお母さんだ。
「「おとーしゃん、いつもありがとうにぇ!!」」
「「「「おちょーしゃんだいしゅきー!!」」」」
姉妹はおいしい食事を取ってきてくれる父親へと感謝する。
その顔のどれもが笑顔だった。
「おちびちゃんたちやれいむのためならどうってことないよ! それじゃあみんな、ゆっくりいただきますしようね!!」
ゆっくりした家族の為なら自分の苦労など苦労の内に入らない。
まりさは心からそう思う。
(ここはすごいゆっくりぷれいすだよ……。おひっこしして、ほんとうによかったよぉ……)
以前暮らしていた所とは雲泥の差だ。
食料も少なく外には危険がいっぱいで、おうちも狭くゆっくりできなかった。
そのせいで、子まりさと子れいむと同時期に生まれた姉妹は皆ずっとゆっくりしてしまったのである。
だが、今はどうだ。
豊富な食料に外敵がいない環境、そしてゆっくりしたおうち。
そして、引っ越してきたばかりで右も左も分からないまりさ一家に親切にしてくれた隣ゆん達。
赤ちゃんが生まれた時も、ゆっくりした赤ちゃん達だね、と最高の賛辞をくれたのだ。
(もうずっとゆっくりしちゃったおちびちゃんたちのぶんまで、まりさはれいむといまいるおちびちゃんたちをしあわせにしてみせるよ!!)
今ここにある幸せ、それを必ず守ってみせる。
そして、ゆっくりとしたゆん生を愛する家族と過ごすのだ。
まりさはそう思っていた。
「「ゆっくりいただきます!!」」
「「ゆっくりいただきましゅ!!」」
「「「「ゆっくちいただきまちゅ!!」」」」
合計八匹の声が巣穴の中で響く。
まず優先されるのは赤ちゃん達だ。
運動量の割に大食いで、今日は先程までかけっこやおうたといった体力を消耗するレクリエーションをしていたから尚更なのだろう。
赤ゆ達は顔ごと食料の山に突っ込んで幸せそうに食べ始めた。
「むーちゃ! むーちゃ! ちあわちぇー!!」
「このおはなしゃんはれーみゅのだよ!」
「まりちゃはきのみしゃんをむーちゃむーちゃしゅるよ!」
「おいちいにぇ!!」
たちまち顔の周りが食べかすだらけになって汚れる。
「おねーちゃんたちがぺーろぺーろしてあげるにぇ!」
「ぺーりょぺーりょ!!」
「ゆきゃきゃ! くしゅぐっちゃいよぉ!」
妹達の世話をするのは子ゆっくり二匹の役目だ。
舌で食べかすを舐め取って綺麗にする。
こそばゆいのか赤ゆ達は体をよじるが、笑い声を上げているところを見ると単にくすぐったいだけのようだ。
「ゆぷぅ~。もうぽんぽんいっぱいだよぉ」
赤ゆ達は思う存分食べて満足したようだ。
体積の割には食べたが、まだ両親と姉の分も残っているのは父まりさがたくさん食料を取ってきたお陰である。
「いっぱいたべたらにぇむくなってきたにぇ……」
「まりちゃおねんねしゅるよ……」
勝手気ままな赤ゆ達は食べるだけ食べたらもう寝る準備に掛かっている。
だが、赤ちゃんの仕事はいっぱい食べていっぱい寝て、ゆっくりする事なのだ。
残りの家族はそんな赤ちゃん達の可愛い仕草を見てゆっくりできる。
「あかちゃんたちはべっどまでいっておひるねしようね。おかあさんがはこんであげるよ!」
れいむが赤ちゃん達を舌で器用に持ち上げて、草で作った赤ちゃん用ベッドまで運んでいく。
近所のありすが作り方を教えてくれたとかいはな一品だ。
寝心地は抜群で、ただ草を集めただけの物とは格が違う。
すやすやとベッドの中で眠り始めた赤ちゃん達を見届けると、次は両親と子ゆっくり達が食事をする番だ。
「おまたせ、つぎはおちびちゃんたちもいっしょにむーしゃむーしゃしようね!」
まりさの合図で残りの食料を分け合って食べる。
子ゆっくりも成長期なのでよく食べるが、妹達の世話の為におあずけされていた為我慢した分おいしさも増していた。
「おしごとのあとのごはんさんはゆっくりできるにぇ!」
「まだまだたくさんあるからゆっくりたべてね!」
「おとーしゃん、こんどまりしゃもかりにつれていってにぇ!」
「そうだね。でも、おちびちゃんがもうすこしおおきくなったらだよ」
家族の団欒とはこういう事を言うのだろう。
まりさは今の自分を取り巻く環境がとても尊いものだという事を知っている。
一つ何かが狂えば、それだけで失ってしまう幸福。
その日、まりさ一家はとてもゆっくりとした一日を送った。
ニ、
まりさとれいむの朝は早い。
まりさは狩りに、れいむはおうちの中の事をするためにそれぞれ早く朝ご飯を食べると、まだ眠っているおちびちゃん達を見てゆっくりする。
そうやって少し食休みをしてしあわせーな気分になった後、れいむはまりさを見送りに巣の入り口まで出向いた。
「じゃあれいむ、おちびちゃんたちとおうちをたのんだよ」
「まりさもがんばってね!」
いってらっしゃいのちゅっちゅを交わすと、二匹は照れ臭そうに顔を離す。
新婚でもないのに仲睦まじいことだ。
狩りに出かけたまりさは他の所帯を持つゆっくり達と出会う。
まりさ種、ありす種、ちぇん種、みょん種といった比較的運動能力があるゆっくりがこの群れでの狩りを主に担当するのだ。
「まりさ、ゆっくりしていってね!!!」
「ゆ! ゆっくりしていってね!!!」
今まりさに挨拶したのは近所に住むありす。
自他共に認めるとかいはで、まりさ一家にもベッドの例以外に何かと親切にしてくれるゆっくりだ。
彼女の妻のぱちゅりーは病弱だが生活の役に立つ知識をたくさん持っており、この二匹の番は知的なカップルとして群れの評判も良い。
「きょうもとかいはなあさね! あかちゃんたちはげんきかしら?」
「ありすにおしえてもらったべっどのおかげでゆっくりしてるよ!!」
「それはいいことね!」
道すがら互いの家庭の事を話し合い、協力しながら狩りをする。
まりさとありすは共に一家の大黒柱としての責任感があるので気が合うのだ。
「……ゆふぅ、きょうもたくさんあつまったね!!」
「まりさといっしょだったからよ! ありすひとりではむりだったわ!!」
今日の狩りは二匹それぞれの長所を生かして大成功だった。
素早いまりさが虫やキノコを、とかいはなセンスを持つありすがぱちゅりー譲りの知識を生かしておいしい植物を収穫し、それらをまりさのおぼうしに詰めておうちまで二匹一緒に運搬する。
まりさのおぼうしは野生での生活をする上で、様々な事に役立つ便利なアイテムなのだ。
まずありすのおうちの前まで今日の狩りの成果を運ぶ。
分け前は仲良く半分だ。
「ありがとうねまりさ!」
「おたがいさまだよ! そういえばぱちゅりーはげんき? そろそろあかちゃんがうまれるんでしょ?」
ありすの妻のぱちゅりーは胎生型にんっしんっをしており、優秀な両親の餡を受け継ぐ子供にも期待が寄せられていた。
「ぱちゅりーはとってもげんきよ! あかちゃんがうまれたらまりさたちにもみせてあげるわね!!」
「ゆわぁーい! たのしみだよ!!」
ありすも我が子の誕生を心待ちにしており、これでやっと自分の子供にベッドを作ってあげられると喜んでいた。
まりさも世話になっているありすの赤ちゃんという事で楽しみにしており、生まれたら自分のおちびちゃん達と仲良く遊んでくれることを願っている。
ありすと別れると自分のおうちへと戻る。
既におちびちゃん達は起きていたようで、れいむと一緒にまりさを出迎えてくれた。
「「おとーしゃんおかえりなしゃい!!」」
「「「「おかえりなちゃい!!」」」」
「まりさおかえり!!」
「ただいま! きょうはありすといっしょだったからごはんがたくさんとれたよ! いっぱいむーしゃむーしゃしようね!!」
おぼうしを引っ繰り返して中にある食べ物を出すと、赤ゆ達は涎を流すほど喜んだ。
「きのこしゃんだー!」
「ちょうちょしゃんもありゅよ!」
「とかいはなおはなしゃん!」
「のいちごしゃんまでありゅ!!」
そんな平和な時間は、一つの悲鳴により壊れることになった。
三、
ゆっくりできるお昼ご飯を食べようとしていた時、おうちの外が騒がしくなった。
何かの話し声が聞こえて、そして唐突に――
「ゆぎゃああああああああああっ!!!」
恐ろしい叫び声がした。
「いじゃいよおおおっ!!!」
「やめでええええええ!!!」
「おがあじゃあああんっ!!」
「おじびじゃんだげはどうかゆべっ!!」
その後、阿鼻叫喚がまりさのおうちまで届いてくるほどの騒ぎとなった。
あまりにもゆっくりしていない状況だ。
「まりさ……」
「「おとーしゃん……」」
「「「「きょわいよお……」」」」
家族がまりさを不安そうに見詰めている。
赤ちゃん達に至ってはもう泣く一歩手前だ。
こんな時こそ、まりさがしっかりしなければ。
「みんな、しずかにしてね。おちびちゃんといっしょにおくにかくれてようね。おうちのなかにいればだいじょうぶだよ」
「ゆ、ゆん……」
れいむもまりさの様子を見て落ち着きを取り戻したようだ。
急いでおちびちゃんたちを避難させる。
そうしてしばらく息を潜めていると、おうちの入り口に近づいてくる物音がした。
「まりさがみてくるよ……」
「きをつけてね……」
護身用の木の棒を口に銜えてじりじりと入り口まで近づく。
息を殺していると、おうちのなかによく見知ったゆっくりが倒れるように転がり込んできた。
「ありす!?」
あのとかいはなありすだった。
しかし、綺麗だった金髪は禿が目立ち、目も片方が潰れている。
頬には大きな裂け目ができておりそこから流れるカスタードが止まらない。
「ありす!? しっかりしてね!!」
「ま、まりさ……。にげ……」
息も絶え絶えに何かを伝えようとするありす。
それさえも辛いのか、口を開く度に大きく息を吐く有様だ。
「しゃべっちゃだめだよ! ゆっくりできなくなるよ!?」
「にんげんさんが、にんげんさんが……」
「ありす!!」
「もっと、ぱちゅ……、とゆっく……」
「ありす、ゆっくり! ゆっくりしてよおおおおおおっ!!」
それだけ言うと、ありすは事切れた。
最後の力を振り絞ってまりさ一家に何事かを伝えに来たようだった。
仲良しのゆっくりが眼前で死んだ事によりまりさは動揺を隠せない。
(ありすがずっとゆっくりしちゃったよ……。どういうことかはわからないけど、このままだとまえみたいにゆっくりできなくなっちゃうよ!!)
ゆっくりにしては中々の危機感知能力で状況を察するまりさ。
ありすの死を無駄にしない為にも自分が家族を守ってみせると改めて誓う。
「あ、カスタード辿ってきて正解だったな。わざと弱らせた奴逃がした甲斐があったぜ」
「八匹もいる! 大漁だな」
だが、その誓いはもう果たされることはないだろう。
子供ではあるが、ゆっくりにとっての天敵である人間が現れたからである。
結局の所、ありすの必死の行動も彼等の掌の中での事だったのだ。
四、
その日、子供達は地球防衛軍ごっこをして遊んでいた。
しばらく遊んでいると、その中の一人がこう言ったのだ。
「なあ、やっぱり悪役いないとつまんなくね?」
皆最近遊びにマンネリ感を感じていた事もあって、その意見に賛成した。
しかし、問題は誰が悪役をやるかという事だった。
「お前やれよ」
「えー、やだよ。お前こそやれよ」
「いやいや、ここは言い出しっぺのあいつがやるべきだろ」
「俺は正義の味方がいいんだけどなー」
誰も悪役をやりたがらずこの案は没になるかと思われた時、言い出しっぺの少年に妙案が浮かんだのである。
「そうだ、ゆっくりを悪役にしようぜ! 虐待するついでに地球防衛軍ごっこすればいいじゃん!!」
ゆっくりなら幾らでもいるし、他の動物と違って何をしても大人に怒られる事はない。
寧ろ、いいぞもっとやれ、と煽られる程だ。
最近は村の作物を狙うゆっくりが減ったとはいえ、この地域ではゆっくりは嫌われ者だった。
その為、やられる前にこっちがゆっくりを積極的に殺す風潮自体は廃れていたが、村全体の気風としては残っていたのである。
「お、それいいじゃん!」
「お前天才じゃね?」
「どうせやるなら、ちゃんと設定決めてからやろうぜ!」
仲間達も次々と賛成し、設定など舞台背景を決めてからそれぞれの家に戻り道具を取ってくる。
バット、虫取り網、ハサミなど、普段の遊びや生活に良く使う物だが、使い方次第では立派な虐待道具になるのだ。
「これより我々は、ナマクビマンジュウに奇襲をかける!」
「おう!」
森を根城にする宇宙生物、ナマクビマンジュウの魔の手から村を守る為に戦う、という設定である。
守る対象が地球から大きくグレードダウンしているのは気にしてはいけない。
「いいか、ここからは奴等のテリトリーだ。見つけたら即戦闘になると思え」
無駄に力が入った演技をする少年達。
心の中では防衛軍隊員になりきっているのだ。
これからする事は防衛とは180度かけ離れた侵略行為であるが。
「隊長! 赤リボンです!」
森の中を歩いていると、散歩をしているれいむ種を発見したようだ。
自分に待ち受ける運命など知らず幸せそうな顔をしている。
「よし、目標を駆逐する!」
隊長役の少年がバットを握り締めれいむの正面に躍り出る。
「ゆ? にんげんさん、ゆっくりしでぇっ!!!」
挨拶の最中に脳天にバットを振り下ろされ、餡子が飛び散る。
「まずは一匹……」
少年の方は罪悪感など微塵も感じていないようだ。
「奴等は一匹見かけたら三十匹いるっていうからな」
「正義の為だ」
「大義名分さえあれば大抵の事はどうとでもなるしね」
仲間の少年達もそれぞれの武器を構えて森の中に侵攻し、出会ったゆっくりを片っ端から正義の名の下に虐待し始めた。
「クロボウシだ!」
「まりさはつよいんだぜ! ゆゆ! ばりざのおぼうじがえじでえええ!!」
あるまりさ種は自慢のおぼうしを取り上げられて目の前でハサミで切り刻まれた。
「カチューシャ付きだぞ!」
「ありずのどがいばなぺにぺにぐぅああああああああ!!」
あるありす種はぺにぺにとまむまむがある場所に接着剤を塗られ、二度とそこを使えなくされた。
「こっちにはネコモドキが!!」
「わがらにゃいよおおおおお!? らんじゃまああああああっ!!」
あるちぇん種は尻尾を木に結び付けられて動けなくされた。
「えーとこいつは、ち○ぽ!」
「ぢんぼおおおおおお!!」
あるみょん種は自慢のけんを使って人間に真っ向勝負を仕掛けたが、ただの木の棒とバットではリーチも強度も桁違い。
けんを折られ、自らの体からも殴られた衝撃でホワイトチョコが飛び出る結果となった。
「あらかた片付いたな……、ん?」
隊長役の少年がバットにこびり付いたホワイトチョコを拭いながら周囲を見ると、被害を受けていないゆっくりが見当たらなくなっていた。
皆少年達から何らかの虐待を受けるか潰されるかしており、それまでにあった平和は何処かへと消え去っている。
「ここら辺のは片付いたな」
「奴等の巣を探し出して攻撃をしましょう! 我々の戦力なら勝てます!」
まだ遊びは終わらない。
そのまま奥へと進んで行くとゆっくりが住んでいそうな穴を発見した。
少年達は持っていた虫取り網を中に入れると、手探りで動かし始める。
「むきゅ!! ぱちぇのからだがひっぱられるわ!?」
「ぱちゅりー!?」
「お、手応えありだ」
網に何かが入った感触と中からの声がそれを裏付ける。
そのまま網を手繰り寄せると、体の一部がはみ出たぱちゅりー種が底部を引き摺られるように巣穴から出てきた。
どうやらにんっしんっしている為に体全体が網に収まらなかったのだろう。
「ありすのはにーのぱちゅりーをはなしなさい、このいなかもの!!」
「オマケまで付属してやがる」
その後を追ってありす種が飛び出し、少年達に向かって膨れて威嚇をする。
ありすの目は怒りに燃えてはいるが、軽はずみな攻撃行動には移らなかった。
愛するぱちゅりーと、そのぽんぽんの中の赤ちゃんがゆん質となっているからである。
そのため言葉による示威行動しかできないのだ。
「む、この紫ゲロ袋は幼体を宿しているようだぞ?」
「それはいけない! 悪の芽は早期に摘まねば!」
網の中で怯えるぱちゅりーを見かねてここでありすが動いた。
ぱちゅりーをゆっくりできない呼び方で呼んだ事も許せないし、このまま放っておけばぱちゅりーが危険だと感じた為である。
リスクはあるが、人間を倒してぱちゅりーを安全な場所へと避難させるしかこの窮地から逃れる方法はないのだ。
「ゆううううううっ!!」
意を決してぱちゅりーが入った網を持つ少年へと跳躍し、体当たりをお見舞いする。
ぼよんと音がして、ありすは弾き飛ばされた。
じんじんと顔面が痛むが、自分がこれだけ痛いのだから相手はもっと痛い筈。
そう思って少年を見上げると、彼は面白そうに声を張り上げた。
「隊長、カチューシャ付きの反撃です! 援護願います!」
「任せろ!!」
ゆっくりの体当たりなど彼等に何の痛痒も感じさせず、それどころか面白がる始末だ。
別の少年がありすを軽く踏んで押さえつける。
「やめなさい!! とかいはじゃないわ!?」
「都会なんて見た事ないくせに。ま、俺らもだけどさ」
手の中のぱちゅりーは身重の為抵抗もできず、しかし少年達にありすを解放するよう訴えた。
「にんげんさん、おねがいだからありすにひどいことをするのをやめてちょうだい。……とってもゆっくりできるだーりんなのよ?」
「ああ、こいつにはまだ何もしないさ」
「むきゅ?」
自分の願いが受け入れられそうなのはいいが、少年のまだという言い回しがぱちゅりーには理解できない。
その無防備なぽんぽんに、少年はハサミの刃を突き立てた。
「むぎゅうううううううううううう!?」
元々体の弱いぱちゅりーの肌は、何の抵抗もなくその凶刃を受け入れた。
傷口から生クリームが漏れ出し少年の手とハサミを汚す。
「やめでえええええええ!! ぱちぇとあがじゃんがじんじゃううううう!!!」
「殺す為にやってるんだもん」
ありすの叫びも少年達の凶行を止められはしない。
既に地球防衛軍ごっこの体裁などかなぐり捨てて、虐待がメインと化していた。
ハサミを横に動かして傷を直線状に開き、胎内の赤ゆを摘出する。
「ゆ、ゆきゅち……」
「あ、あかちゃん……」
しゅっさんっ間近だった事もあり、かなり乱暴な帝王切開での誕生となったにも関わらず、母体も赤ちゃんも無事であった。
まだ生まれる予定でなかったので赤ちゃんも言語機能は未発達だが、それでも少年の手の中でぷるぷると頼りなく震えており、その儚い動きが生命を感じさせる。
「ぱちゅりー! あかちゃんはぶじよ!! とってもゆっくりした、ぱちぇにのあかちゃんだわ!!」
「……ほ、ほんとうなの?」
その時、赤ちゃんが目を開いてぱちゅりーと目が合った。
ぱっちりしたおめめに知的そうな口元の、とっても利発そうで可愛い赤ちゃんだ。
その可愛らしさにぱちゅりーも己が体の痛みを一瞬忘れて見とれていた。
母親であるぱちゅりーを確認した瞬間、赤ちゃんが満面の笑みを浮かべる。
「ゆっぎゅ!!!」
ゆっきゅちちちぇいっちぇね!!!
そう挨拶する暇もなく、赤ちゃんは生後一分未満の短いゆん生を、少年の掌の中で終えた。
圧迫されて目玉が飛び出し、体内の生クリームが穴という穴から流出する。
「むぎゅ、ぱ、ぱちぇにのけんじゃなあかちゃんが……。えれえれえれえれぇっ!!!」
ぱちゅりーは、赤ちゃんが潰されるシーンを見せ付けられ、そのショックから生クリームを吐き出してしまった。
傷口に、口からの嘔吐でのた打ち回る。
二つの穴から大量に生クリームを失い、ぱちゅりーは失クリーム死した。
「おあぢゅりいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」
番と我が子をまとめて失ったありすが絶叫する。
大切な物を守れず、無力感に打ちひしがれているのであろう。
「これで二匹まとめて駆除できたな!」
「後一匹だけか。こいつはちょっと利用する為に手加減してやろうぜ」
そして、喜劇と悲劇の舞台はまりさ一家の巣穴へと続く。
ゆっくりと人間のライフサイクルは違うので、まりさは今住んでいる場所を襲われる危険がないゆっくりできるところだと認識していました。
人間はゆっくりを昔駆除したので当分大丈夫だと思っていますが、その内もう一度駆除をする予定でした。どの道まりさ達はお先真っ暗です。
しばらくパソコン弄ってなかったら、売ゆん婦4に挿絵さんが生えてきていました。驚いた。
鉛筆あき(仮)様、有難うございます!!!
書いたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 703 ゆー具
ふたば系ゆっくりいじめ 708 売ゆん婦
ふたば系ゆっくりいじめ 717 売ゆん婦2
ふたば系ゆっくりいじめ 723 売ゆん婦3
ふたば系ゆっくりいじめ 730 ゆー具 鬼畜眼鏡編
ふたば系ゆっくりいじめ 772 情けはゆっくりの為ならず
ふたば系ゆっくりいじめ 798 売ゆん婦4
『Can ゆー defend? 前編』
一、
愛するれいむに可愛いおちびちゃん達、そしてゆっくりぷれいす。
まりさは、これさえあれば後は何も要らなかった。
「ゆうん! ゆっくち、ゆっくち!!」
「おにぇーちゃんをゆっくちちゅかまえりゅよ!!」
「ゆっくりおいかけてきてにぇ! まりしゃはここだよ!!」
つい先日生まれた赤まりさ二匹が、数ヶ月前に生まれていた子まりさを追いかける。
活発なまりさ種らしく、おうちの外で姉妹で追いかけっこをして遊んでいるのだ。
本気で跳ねると妹達がついてこれない事を分かっている為、子まりさは速度を時折緩めて手加減しているようだ。
「「ゆっくちーにょひー、しゅっきりーにょひー、まっちゃりーにょひー!」」
「ちがうよ、れいみゅのおてほんさんをよくみててにぇ!! ゆっくり~のひ~、すっきり~のひ~、まったり~のひ~♪」
「「おにぇーちゃんしゅごーい!!」」
「ゆふん、それほどでもあるよ!! れいみゅはしんがーそんぐらいたーなんだよ!!」
おうちの中では子まりさと同時期に生まれた子れいむが、赤まりさと同時期に生まれた赤れいむ二匹と一緒にゆっくりできるおうたのお稽古をしている。
まだ舌足らずで上手く歌えない妹達に尊敬され、子れいむも満更ではないようだ。
「おちびちゃんたち! かけっことおうたのおけいこがおわったら、ゆっくりごはんさんをたべようね!! きょうは、おとうさんがとってきたおはなさんにあまいきのみさんがあるよ!!」
そして、そんな子供達を暖かい眼差しで見守りながら食事の支度をしている愛妻のれいむ。
まりさが狩りに行っている間子供達とおうちを守り、子供達をとてもゆっくり育てる、優しいお母さんだ。
「「おとーしゃん、いつもありがとうにぇ!!」」
「「「「おちょーしゃんだいしゅきー!!」」」」
姉妹はおいしい食事を取ってきてくれる父親へと感謝する。
その顔のどれもが笑顔だった。
「おちびちゃんたちやれいむのためならどうってことないよ! それじゃあみんな、ゆっくりいただきますしようね!!」
ゆっくりした家族の為なら自分の苦労など苦労の内に入らない。
まりさは心からそう思う。
(ここはすごいゆっくりぷれいすだよ……。おひっこしして、ほんとうによかったよぉ……)
以前暮らしていた所とは雲泥の差だ。
食料も少なく外には危険がいっぱいで、おうちも狭くゆっくりできなかった。
そのせいで、子まりさと子れいむと同時期に生まれた姉妹は皆ずっとゆっくりしてしまったのである。
だが、今はどうだ。
豊富な食料に外敵がいない環境、そしてゆっくりしたおうち。
そして、引っ越してきたばかりで右も左も分からないまりさ一家に親切にしてくれた隣ゆん達。
赤ちゃんが生まれた時も、ゆっくりした赤ちゃん達だね、と最高の賛辞をくれたのだ。
(もうずっとゆっくりしちゃったおちびちゃんたちのぶんまで、まりさはれいむといまいるおちびちゃんたちをしあわせにしてみせるよ!!)
今ここにある幸せ、それを必ず守ってみせる。
そして、ゆっくりとしたゆん生を愛する家族と過ごすのだ。
まりさはそう思っていた。
「「ゆっくりいただきます!!」」
「「ゆっくりいただきましゅ!!」」
「「「「ゆっくちいただきまちゅ!!」」」」
合計八匹の声が巣穴の中で響く。
まず優先されるのは赤ちゃん達だ。
運動量の割に大食いで、今日は先程までかけっこやおうたといった体力を消耗するレクリエーションをしていたから尚更なのだろう。
赤ゆ達は顔ごと食料の山に突っ込んで幸せそうに食べ始めた。
「むーちゃ! むーちゃ! ちあわちぇー!!」
「このおはなしゃんはれーみゅのだよ!」
「まりちゃはきのみしゃんをむーちゃむーちゃしゅるよ!」
「おいちいにぇ!!」
たちまち顔の周りが食べかすだらけになって汚れる。
「おねーちゃんたちがぺーろぺーろしてあげるにぇ!」
「ぺーりょぺーりょ!!」
「ゆきゃきゃ! くしゅぐっちゃいよぉ!」
妹達の世話をするのは子ゆっくり二匹の役目だ。
舌で食べかすを舐め取って綺麗にする。
こそばゆいのか赤ゆ達は体をよじるが、笑い声を上げているところを見ると単にくすぐったいだけのようだ。
「ゆぷぅ~。もうぽんぽんいっぱいだよぉ」
赤ゆ達は思う存分食べて満足したようだ。
体積の割には食べたが、まだ両親と姉の分も残っているのは父まりさがたくさん食料を取ってきたお陰である。
「いっぱいたべたらにぇむくなってきたにぇ……」
「まりちゃおねんねしゅるよ……」
勝手気ままな赤ゆ達は食べるだけ食べたらもう寝る準備に掛かっている。
だが、赤ちゃんの仕事はいっぱい食べていっぱい寝て、ゆっくりする事なのだ。
残りの家族はそんな赤ちゃん達の可愛い仕草を見てゆっくりできる。
「あかちゃんたちはべっどまでいっておひるねしようね。おかあさんがはこんであげるよ!」
れいむが赤ちゃん達を舌で器用に持ち上げて、草で作った赤ちゃん用ベッドまで運んでいく。
近所のありすが作り方を教えてくれたとかいはな一品だ。
寝心地は抜群で、ただ草を集めただけの物とは格が違う。
すやすやとベッドの中で眠り始めた赤ちゃん達を見届けると、次は両親と子ゆっくり達が食事をする番だ。
「おまたせ、つぎはおちびちゃんたちもいっしょにむーしゃむーしゃしようね!」
まりさの合図で残りの食料を分け合って食べる。
子ゆっくりも成長期なのでよく食べるが、妹達の世話の為におあずけされていた為我慢した分おいしさも増していた。
「おしごとのあとのごはんさんはゆっくりできるにぇ!」
「まだまだたくさんあるからゆっくりたべてね!」
「おとーしゃん、こんどまりしゃもかりにつれていってにぇ!」
「そうだね。でも、おちびちゃんがもうすこしおおきくなったらだよ」
家族の団欒とはこういう事を言うのだろう。
まりさは今の自分を取り巻く環境がとても尊いものだという事を知っている。
一つ何かが狂えば、それだけで失ってしまう幸福。
その日、まりさ一家はとてもゆっくりとした一日を送った。
ニ、
まりさとれいむの朝は早い。
まりさは狩りに、れいむはおうちの中の事をするためにそれぞれ早く朝ご飯を食べると、まだ眠っているおちびちゃん達を見てゆっくりする。
そうやって少し食休みをしてしあわせーな気分になった後、れいむはまりさを見送りに巣の入り口まで出向いた。
「じゃあれいむ、おちびちゃんたちとおうちをたのんだよ」
「まりさもがんばってね!」
いってらっしゃいのちゅっちゅを交わすと、二匹は照れ臭そうに顔を離す。
新婚でもないのに仲睦まじいことだ。
狩りに出かけたまりさは他の所帯を持つゆっくり達と出会う。
まりさ種、ありす種、ちぇん種、みょん種といった比較的運動能力があるゆっくりがこの群れでの狩りを主に担当するのだ。
「まりさ、ゆっくりしていってね!!!」
「ゆ! ゆっくりしていってね!!!」
今まりさに挨拶したのは近所に住むありす。
自他共に認めるとかいはで、まりさ一家にもベッドの例以外に何かと親切にしてくれるゆっくりだ。
彼女の妻のぱちゅりーは病弱だが生活の役に立つ知識をたくさん持っており、この二匹の番は知的なカップルとして群れの評判も良い。
「きょうもとかいはなあさね! あかちゃんたちはげんきかしら?」
「ありすにおしえてもらったべっどのおかげでゆっくりしてるよ!!」
「それはいいことね!」
道すがら互いの家庭の事を話し合い、協力しながら狩りをする。
まりさとありすは共に一家の大黒柱としての責任感があるので気が合うのだ。
「……ゆふぅ、きょうもたくさんあつまったね!!」
「まりさといっしょだったからよ! ありすひとりではむりだったわ!!」
今日の狩りは二匹それぞれの長所を生かして大成功だった。
素早いまりさが虫やキノコを、とかいはなセンスを持つありすがぱちゅりー譲りの知識を生かしておいしい植物を収穫し、それらをまりさのおぼうしに詰めておうちまで二匹一緒に運搬する。
まりさのおぼうしは野生での生活をする上で、様々な事に役立つ便利なアイテムなのだ。
まずありすのおうちの前まで今日の狩りの成果を運ぶ。
分け前は仲良く半分だ。
「ありがとうねまりさ!」
「おたがいさまだよ! そういえばぱちゅりーはげんき? そろそろあかちゃんがうまれるんでしょ?」
ありすの妻のぱちゅりーは胎生型にんっしんっをしており、優秀な両親の餡を受け継ぐ子供にも期待が寄せられていた。
「ぱちゅりーはとってもげんきよ! あかちゃんがうまれたらまりさたちにもみせてあげるわね!!」
「ゆわぁーい! たのしみだよ!!」
ありすも我が子の誕生を心待ちにしており、これでやっと自分の子供にベッドを作ってあげられると喜んでいた。
まりさも世話になっているありすの赤ちゃんという事で楽しみにしており、生まれたら自分のおちびちゃん達と仲良く遊んでくれることを願っている。
ありすと別れると自分のおうちへと戻る。
既におちびちゃん達は起きていたようで、れいむと一緒にまりさを出迎えてくれた。
「「おとーしゃんおかえりなしゃい!!」」
「「「「おかえりなちゃい!!」」」」
「まりさおかえり!!」
「ただいま! きょうはありすといっしょだったからごはんがたくさんとれたよ! いっぱいむーしゃむーしゃしようね!!」
おぼうしを引っ繰り返して中にある食べ物を出すと、赤ゆ達は涎を流すほど喜んだ。
「きのこしゃんだー!」
「ちょうちょしゃんもありゅよ!」
「とかいはなおはなしゃん!」
「のいちごしゃんまでありゅ!!」
そんな平和な時間は、一つの悲鳴により壊れることになった。
三、
ゆっくりできるお昼ご飯を食べようとしていた時、おうちの外が騒がしくなった。
何かの話し声が聞こえて、そして唐突に――
「ゆぎゃああああああああああっ!!!」
恐ろしい叫び声がした。
「いじゃいよおおおっ!!!」
「やめでええええええ!!!」
「おがあじゃあああんっ!!」
「おじびじゃんだげはどうかゆべっ!!」
その後、阿鼻叫喚がまりさのおうちまで届いてくるほどの騒ぎとなった。
あまりにもゆっくりしていない状況だ。
「まりさ……」
「「おとーしゃん……」」
「「「「きょわいよお……」」」」
家族がまりさを不安そうに見詰めている。
赤ちゃん達に至ってはもう泣く一歩手前だ。
こんな時こそ、まりさがしっかりしなければ。
「みんな、しずかにしてね。おちびちゃんといっしょにおくにかくれてようね。おうちのなかにいればだいじょうぶだよ」
「ゆ、ゆん……」
れいむもまりさの様子を見て落ち着きを取り戻したようだ。
急いでおちびちゃんたちを避難させる。
そうしてしばらく息を潜めていると、おうちの入り口に近づいてくる物音がした。
「まりさがみてくるよ……」
「きをつけてね……」
護身用の木の棒を口に銜えてじりじりと入り口まで近づく。
息を殺していると、おうちのなかによく見知ったゆっくりが倒れるように転がり込んできた。
「ありす!?」
あのとかいはなありすだった。
しかし、綺麗だった金髪は禿が目立ち、目も片方が潰れている。
頬には大きな裂け目ができておりそこから流れるカスタードが止まらない。
「ありす!? しっかりしてね!!」
「ま、まりさ……。にげ……」
息も絶え絶えに何かを伝えようとするありす。
それさえも辛いのか、口を開く度に大きく息を吐く有様だ。
「しゃべっちゃだめだよ! ゆっくりできなくなるよ!?」
「にんげんさんが、にんげんさんが……」
「ありす!!」
「もっと、ぱちゅ……、とゆっく……」
「ありす、ゆっくり! ゆっくりしてよおおおおおおっ!!」
それだけ言うと、ありすは事切れた。
最後の力を振り絞ってまりさ一家に何事かを伝えに来たようだった。
仲良しのゆっくりが眼前で死んだ事によりまりさは動揺を隠せない。
(ありすがずっとゆっくりしちゃったよ……。どういうことかはわからないけど、このままだとまえみたいにゆっくりできなくなっちゃうよ!!)
ゆっくりにしては中々の危機感知能力で状況を察するまりさ。
ありすの死を無駄にしない為にも自分が家族を守ってみせると改めて誓う。
「あ、カスタード辿ってきて正解だったな。わざと弱らせた奴逃がした甲斐があったぜ」
「八匹もいる! 大漁だな」
だが、その誓いはもう果たされることはないだろう。
子供ではあるが、ゆっくりにとっての天敵である人間が現れたからである。
結局の所、ありすの必死の行動も彼等の掌の中での事だったのだ。
四、
その日、子供達は地球防衛軍ごっこをして遊んでいた。
しばらく遊んでいると、その中の一人がこう言ったのだ。
「なあ、やっぱり悪役いないとつまんなくね?」
皆最近遊びにマンネリ感を感じていた事もあって、その意見に賛成した。
しかし、問題は誰が悪役をやるかという事だった。
「お前やれよ」
「えー、やだよ。お前こそやれよ」
「いやいや、ここは言い出しっぺのあいつがやるべきだろ」
「俺は正義の味方がいいんだけどなー」
誰も悪役をやりたがらずこの案は没になるかと思われた時、言い出しっぺの少年に妙案が浮かんだのである。
「そうだ、ゆっくりを悪役にしようぜ! 虐待するついでに地球防衛軍ごっこすればいいじゃん!!」
ゆっくりなら幾らでもいるし、他の動物と違って何をしても大人に怒られる事はない。
寧ろ、いいぞもっとやれ、と煽られる程だ。
最近は村の作物を狙うゆっくりが減ったとはいえ、この地域ではゆっくりは嫌われ者だった。
その為、やられる前にこっちがゆっくりを積極的に殺す風潮自体は廃れていたが、村全体の気風としては残っていたのである。
「お、それいいじゃん!」
「お前天才じゃね?」
「どうせやるなら、ちゃんと設定決めてからやろうぜ!」
仲間達も次々と賛成し、設定など舞台背景を決めてからそれぞれの家に戻り道具を取ってくる。
バット、虫取り網、ハサミなど、普段の遊びや生活に良く使う物だが、使い方次第では立派な虐待道具になるのだ。
「これより我々は、ナマクビマンジュウに奇襲をかける!」
「おう!」
森を根城にする宇宙生物、ナマクビマンジュウの魔の手から村を守る為に戦う、という設定である。
守る対象が地球から大きくグレードダウンしているのは気にしてはいけない。
「いいか、ここからは奴等のテリトリーだ。見つけたら即戦闘になると思え」
無駄に力が入った演技をする少年達。
心の中では防衛軍隊員になりきっているのだ。
これからする事は防衛とは180度かけ離れた侵略行為であるが。
「隊長! 赤リボンです!」
森の中を歩いていると、散歩をしているれいむ種を発見したようだ。
自分に待ち受ける運命など知らず幸せそうな顔をしている。
「よし、目標を駆逐する!」
隊長役の少年がバットを握り締めれいむの正面に躍り出る。
「ゆ? にんげんさん、ゆっくりしでぇっ!!!」
挨拶の最中に脳天にバットを振り下ろされ、餡子が飛び散る。
「まずは一匹……」
少年の方は罪悪感など微塵も感じていないようだ。
「奴等は一匹見かけたら三十匹いるっていうからな」
「正義の為だ」
「大義名分さえあれば大抵の事はどうとでもなるしね」
仲間の少年達もそれぞれの武器を構えて森の中に侵攻し、出会ったゆっくりを片っ端から正義の名の下に虐待し始めた。
「クロボウシだ!」
「まりさはつよいんだぜ! ゆゆ! ばりざのおぼうじがえじでえええ!!」
あるまりさ種は自慢のおぼうしを取り上げられて目の前でハサミで切り刻まれた。
「カチューシャ付きだぞ!」
「ありずのどがいばなぺにぺにぐぅああああああああ!!」
あるありす種はぺにぺにとまむまむがある場所に接着剤を塗られ、二度とそこを使えなくされた。
「こっちにはネコモドキが!!」
「わがらにゃいよおおおおお!? らんじゃまああああああっ!!」
あるちぇん種は尻尾を木に結び付けられて動けなくされた。
「えーとこいつは、ち○ぽ!」
「ぢんぼおおおおおお!!」
あるみょん種は自慢のけんを使って人間に真っ向勝負を仕掛けたが、ただの木の棒とバットではリーチも強度も桁違い。
けんを折られ、自らの体からも殴られた衝撃でホワイトチョコが飛び出る結果となった。
「あらかた片付いたな……、ん?」
隊長役の少年がバットにこびり付いたホワイトチョコを拭いながら周囲を見ると、被害を受けていないゆっくりが見当たらなくなっていた。
皆少年達から何らかの虐待を受けるか潰されるかしており、それまでにあった平和は何処かへと消え去っている。
「ここら辺のは片付いたな」
「奴等の巣を探し出して攻撃をしましょう! 我々の戦力なら勝てます!」
まだ遊びは終わらない。
そのまま奥へと進んで行くとゆっくりが住んでいそうな穴を発見した。
少年達は持っていた虫取り網を中に入れると、手探りで動かし始める。
「むきゅ!! ぱちぇのからだがひっぱられるわ!?」
「ぱちゅりー!?」
「お、手応えありだ」
網に何かが入った感触と中からの声がそれを裏付ける。
そのまま網を手繰り寄せると、体の一部がはみ出たぱちゅりー種が底部を引き摺られるように巣穴から出てきた。
どうやらにんっしんっしている為に体全体が網に収まらなかったのだろう。
「ありすのはにーのぱちゅりーをはなしなさい、このいなかもの!!」
「オマケまで付属してやがる」
その後を追ってありす種が飛び出し、少年達に向かって膨れて威嚇をする。
ありすの目は怒りに燃えてはいるが、軽はずみな攻撃行動には移らなかった。
愛するぱちゅりーと、そのぽんぽんの中の赤ちゃんがゆん質となっているからである。
そのため言葉による示威行動しかできないのだ。
「む、この紫ゲロ袋は幼体を宿しているようだぞ?」
「それはいけない! 悪の芽は早期に摘まねば!」
網の中で怯えるぱちゅりーを見かねてここでありすが動いた。
ぱちゅりーをゆっくりできない呼び方で呼んだ事も許せないし、このまま放っておけばぱちゅりーが危険だと感じた為である。
リスクはあるが、人間を倒してぱちゅりーを安全な場所へと避難させるしかこの窮地から逃れる方法はないのだ。
「ゆううううううっ!!」
意を決してぱちゅりーが入った網を持つ少年へと跳躍し、体当たりをお見舞いする。
ぼよんと音がして、ありすは弾き飛ばされた。
じんじんと顔面が痛むが、自分がこれだけ痛いのだから相手はもっと痛い筈。
そう思って少年を見上げると、彼は面白そうに声を張り上げた。
「隊長、カチューシャ付きの反撃です! 援護願います!」
「任せろ!!」
ゆっくりの体当たりなど彼等に何の痛痒も感じさせず、それどころか面白がる始末だ。
別の少年がありすを軽く踏んで押さえつける。
「やめなさい!! とかいはじゃないわ!?」
「都会なんて見た事ないくせに。ま、俺らもだけどさ」
手の中のぱちゅりーは身重の為抵抗もできず、しかし少年達にありすを解放するよう訴えた。
「にんげんさん、おねがいだからありすにひどいことをするのをやめてちょうだい。……とってもゆっくりできるだーりんなのよ?」
「ああ、こいつにはまだ何もしないさ」
「むきゅ?」
自分の願いが受け入れられそうなのはいいが、少年のまだという言い回しがぱちゅりーには理解できない。
その無防備なぽんぽんに、少年はハサミの刃を突き立てた。
「むぎゅうううううううううううう!?」
元々体の弱いぱちゅりーの肌は、何の抵抗もなくその凶刃を受け入れた。
傷口から生クリームが漏れ出し少年の手とハサミを汚す。
「やめでえええええええ!! ぱちぇとあがじゃんがじんじゃううううう!!!」
「殺す為にやってるんだもん」
ありすの叫びも少年達の凶行を止められはしない。
既に地球防衛軍ごっこの体裁などかなぐり捨てて、虐待がメインと化していた。
ハサミを横に動かして傷を直線状に開き、胎内の赤ゆを摘出する。
「ゆ、ゆきゅち……」
「あ、あかちゃん……」
しゅっさんっ間近だった事もあり、かなり乱暴な帝王切開での誕生となったにも関わらず、母体も赤ちゃんも無事であった。
まだ生まれる予定でなかったので赤ちゃんも言語機能は未発達だが、それでも少年の手の中でぷるぷると頼りなく震えており、その儚い動きが生命を感じさせる。
「ぱちゅりー! あかちゃんはぶじよ!! とってもゆっくりした、ぱちぇにのあかちゃんだわ!!」
「……ほ、ほんとうなの?」
その時、赤ちゃんが目を開いてぱちゅりーと目が合った。
ぱっちりしたおめめに知的そうな口元の、とっても利発そうで可愛い赤ちゃんだ。
その可愛らしさにぱちゅりーも己が体の痛みを一瞬忘れて見とれていた。
母親であるぱちゅりーを確認した瞬間、赤ちゃんが満面の笑みを浮かべる。
「ゆっぎゅ!!!」
ゆっきゅちちちぇいっちぇね!!!
そう挨拶する暇もなく、赤ちゃんは生後一分未満の短いゆん生を、少年の掌の中で終えた。
圧迫されて目玉が飛び出し、体内の生クリームが穴という穴から流出する。
「むぎゅ、ぱ、ぱちぇにのけんじゃなあかちゃんが……。えれえれえれえれぇっ!!!」
ぱちゅりーは、赤ちゃんが潰されるシーンを見せ付けられ、そのショックから生クリームを吐き出してしまった。
傷口に、口からの嘔吐でのた打ち回る。
二つの穴から大量に生クリームを失い、ぱちゅりーは失クリーム死した。
「おあぢゅりいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」
番と我が子をまとめて失ったありすが絶叫する。
大切な物を守れず、無力感に打ちひしがれているのであろう。
「これで二匹まとめて駆除できたな!」
「後一匹だけか。こいつはちょっと利用する為に手加減してやろうぜ」
そして、喜劇と悲劇の舞台はまりさ一家の巣穴へと続く。
ゆっくりと人間のライフサイクルは違うので、まりさは今住んでいる場所を襲われる危険がないゆっくりできるところだと認識していました。
人間はゆっくりを昔駆除したので当分大丈夫だと思っていますが、その内もう一度駆除をする予定でした。どの道まりさ達はお先真っ暗です。
しばらくパソコン弄ってなかったら、売ゆん婦4に挿絵さんが生えてきていました。驚いた。
鉛筆あき(仮)様、有難うございます!!!