ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0501 俺が、ゆっくりだ!
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ankoss
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『俺が、ゆっくりだ!』
序、
あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
『俺…朝、目が覚めたらゆっくりになってた(しかもよりによってれいむ種)!!!!!!』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが俺もさっぱりわからねぇ…
頭がどうにかなりそうだ…
犬とか猫とかそんなチャチなモンじゃ断じてねぇ
なんてったって、ゆっくりだ…!!!
人生オワタ\(^o^)/
一、
目の前にうつぶせになって倒れてる俺がいる。さっきからピクリとも動かない。ヤバいんじゃないか?俺。
昨日何があったか思い出せ…それがこのファンタジーから抜け出す最善の策だ…。
『ゆゆっ!きのうなにがあったかゆっくりおもいだすよっ!そうすればゆっくりできるよかんがするよ!』
…………?
……あ?
今…俺が喋ったのか…?馬鹿な…喋るつもりなんてまったくなかったのに…。ま、まぁいい。とりあえず
俺の安全の確保だ。
チッ…動きにくいな…こいつら普段どうやって歩いてやがんだ…。
『ずーりずーり…』
…また…だと?俺は歩こうとしただけで喋ろうとは…
『またなの?』
だ…黙れ“俺”ェェェェェェ!!!!!
『ゆっくりだまってねっ!!!!!!!』
これはたまらん…まさか俺が考えてることを…無意識に喋っちまうのか…クソッ、なんて生き物だ…っ!
ん?…なんだ?今考えたことは口に出さなかったな“俺”…。まぁいい…親にこの状態気付かれたら面倒
だ。慎重に行動するぜ…。
『ゆっくりあるくよっ!そろーり!そろーり!!』
おいおいおいおい…ちょっと待て。そんな大声で喋るんじゃねぇよ“俺”っ!!下から母さんがなんか言
いながら…上がってキタ!!上がってキタ!!
「としあきーーーー!!!!アンタ、また勝手にゆっくりなんか家に連れ込んで…って、としあき?と…と
しあきぃぃぃぃぃ??!!!!」
ちょっと…お母様…?何を鬼のような形相でこちらを睨んでらっしゃるのですか?
『ゆっ!くそばばあっ!ゆっくりできないかおでれいむをみないでねっ!!!!!』
ちょっと待てコラアアアァァァァァ!!!!!!!!お、お母様…ちょっ…待っ…
『ゆゆっ?ゆっくりまってねっ!』
「待つかこのヴォケがぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぐああああああああ!!!!痛ぇ!!!痛ぇよぉ!!!!母さん…なんでこんな…っ!?
『ゆぎゃあああああ!!!!いだいぃ!!いだい゛よ゛ぉ!!!どうじでごんなごどずるの゛ぉぉぉ?!」
「野良の饅頭風情がよくもとしあきをこんな目に…っ!!!」
ま…待ってくれ母さん…あんた…俺がこんな饅頭なんかにやられるとでも…
『ゆゆっ!!れいむがこんなにんげんさんにやられるわけないよっ!』
ちょ、待っ…布団叩きはやめろっ!母さんっ!俺だ!!気づいてくれぇ!ぐはあっ!!!うごっ!!!
『ゆがあ゛っ!!!ゆ゛ごっ!!!!』
う…痛くて…気持ち悪い…なんか…吐きそう…吐いた…今、俺…吐いた…
「餡子吐いてんじゃないわよっ!!!汚いっ!!!!飲み込みなさいっ!!!!!」
母さん…パネェ…
『ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ』
「としあき!!!目が覚めたの?!」
「…ゆ?」
俺…今、なんつった…?俺の顔で今…なんつった…?
「…としあき?」
母さん頼む。そんな汚物を見るような目で実の息子を見ないでやってくれ。俺が大変切ない。
『ゆっ!くそばばあっ!そんなきたないにんげんさんみないであげてね!かわいそうだよっ!!!!』
くそっ!!!これは分が悪いっ!!悪すぎる!!!!ここは一旦引いて状況整理だっ!!!さもなくば…
ぶっちゃけ母親に殺される!!!!
『ゆっ!ゆっくりしないでにげるよっ!!!!!』
これか!!ジャンプの仕方を覚えたぞっ!!…嬉しくねぇ…。
『ぴょんぴょんするよっ!!!!』
脱出成功!!!母さんが寝転がってる俺に気を取られてくれて助かった。…ってちょ…これは…
『かいだんさんはゆっぐりでぎない゛~~~~!!!!』
追ってこない理由はこれかぁぁぁぁぁ!!!!がふぅっ!!!!母…さん?
『おそらをとんでるみたい!!!!!』
ぐぇっ!!!!
『ゆべしっ!!!』
階段を下りる母さん大魔人。逃げるしかねぇ!!!!ここは浮世のしがらみかなぐり捨てて逃げるしか
ねぇっ!!!!この時間は換気のためにリビングの窓が網戸になってるはずだっ!!!…いけるっ!!!
ほら網戸きたっ!!!これでかつる!!!!
二、
「待てえぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
母さんの叫び声が聞こえるが気にしない。とりあえずこれで一息つける。
『ゆぅ…これでゆっくりできるよ…』
……………。
『……………』
…腹減ったなぁ…。
『おなかすいたよ…』
………坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた!!!(3秒)
『……………』
……オマ○コ。
『…まむまむ』
……宿題たくさん出す教師は死ね。
『ゆっくりできないにんげんさんはしね』
こいつ…さては無意識に喋れる単語自体は少ないな…。確かにそうか。饅頭だもんな。馬鹿だもんな。
だがすると何か?何気なく思ったことは“俺”が勝手に喋るから…常に小難しいこと考えとかないといけ
ないってことか…?待て待て。さっきの早口言葉の件を考えると、頭の中で瞬時に考えたことも無意識に
喋ることはできないと見た…。さらにだ。今の状況を考えると長時間頭の中で考え込んだ内容もまた容量
が大きすぎて言葉に変換することはできないってか。カスだな“俺”。……。
勢いよく部屋を飛び出してきちまったけど…これからどうすっかなぁ…。ネットとかで見ると野良ゆは
ゴミとか漁って生活してるんだっけか…。人としての尊厳を守るためにもそれだけは避けたいところだが…。
しかし、動くたびに体の中の餡子を消費する以上…このまま何も食わないというわけにはいかない。
どうしたものか…。
『ゆっくり…どうしよう…』
面倒だな。考えるときは一気に考えないと勝手に喋りやがる。もしくは難しい単語を使って思考を巡ら
すかだがいずれにせよ面倒でござる。拙者はこのままでは飢えて死ぬるとも分からぬので、恐らくは同族
がおるであろう森に入ってみようと思うでござる。…面倒くせぇ…。
大変なことに気付いた。
『ゆっくりきづいたよ』
こいつ…燃費が悪いにもほどがある。森のある山まで歩いて五分のはずなのに、この足じゃあ一向に着
く気配がねぇ…。
『ゆっくりできないにもほどがあるよ…もりはすぐそこなのにこのあんよじゃたどりつけないよ…』
てめぇの、あんよだろうが。
『れいむのあんよでしょぉ?!』
おや…?あれはぱちゅりー種…?さらにまりさ種にありす種にちぇん種か…。元飼いゆで捨てられ率が
高い奴らが一堂に会して何してやがんだ?ん?れいむ種の“俺”が揃えば野良レンジャー結成できるな…。
…つーか意外と余裕あるな俺…。
「むきゅぅぅぅぅ…こまったわ…せっかくかんづめさんをひろったのにあけかたがわからないなんて…」
「ゆぅ…けんじゃのぱちゅりーでもわからないんじゃあきらめるしかないのぜ…」
「とってもすてきなかんづめさんだったのにざんねんね…」
「わかるよー…たべれないんだねー……」
缶詰…ねぇ。コンビーフの缶詰か。まぁたとえ普通の缶詰であっても道具使わずに開けることは不可能
だろうが…ふむ。ちょうどいい。あの缶詰を食べて腹ごしらえするとしよう。
おい、そこのクソ饅頭共!!!!
『ゆっくりしていってね!!!』
してない。挨拶なんてしてないよ。一斉に声揃えて挨拶返してんじゃねぇよこのクソ饅頭共がぁぁぁ!
「ゆゆっ?このへんじゃみかけないれいむなのぜ?」
「むきゅぅ…れいむもにんげんさんにすてられたのね…」
「…にんげんさんはとかいはなゆっくりたちのみりょくがわかってないのよ…」
「わからないよー」
うぜぇ。とりあえず缶詰をいただくとするか。
『うざいよ。とりあえずかんづめさんよこしてね』
敵意丸出しじゃねーか“俺”ぇぇぇぇ!!!!すでにまりさが殺る気満々じゃねーか!…ってなに…ビ
ビることはねぇ。相手は所詮ゆっくりだ。まぁだがここはひとつ穏便に行こう。さて…なんて言うかな。
『そのかんづめさんをれいむにわたしてね。ゆっくりあけてあげるよ!』
…ふむ。喋ろうとした内容はある程度言葉としてちゃんと出せるんだな。ちょっと感動した。第一声が
まずかったかなぁ…?少なくともこいつらは缶詰を拾って喜んでたみたいだし…野良だとしたら久しぶり
のメシだったのかも知れん。さて、どう出る?まぁ、返答次第では“殺してでも奪い取る”んだけど。
「ぱちゅりーでもわからないことがむのうなれいむにわかるわけないのぜ…」
「とかいはじゃないわ…たとえかんづめをれいむにわたしてもあけられっこないもの…」
「だったらじぶんたちでなんとかするほうがいいんだねー、わかるよー」
「…むきゅぅ…」
おや?ぱちゅりーの様子が…?
「むきゅ!れいむにかんづめさんをわたすわ」
「「「どぼじでえ゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛??!!!!」」」
俺も気になる。なんでだ?せっかく自分たちが拾って喜んでた物をわざわざ新参野良の“俺”に渡す
必要があるのか?何をたくらんでやがる…このゲロ袋…。
「むきゅぅ。れいむがかんづめさんをあけているところをみておぼえるのよ。つぎにかんづめさんをひ
ろったときにはおなじほうほうであけるといいわ」
「「「ゆぅん…っ!!!!」」」
納得したというわけか。森の賢者(笑)ならまだしも、こいつは野良ぱちゅ。今日まで生き残ってき
たのもそこそこ頭が回るから、ということか…。つまりこの野良レンジャーのブレーンがぱちゅりーな
わけだな。まりさとちぇんが前衛(?)でありすが補助(?)か。バランスの取れたいいパーティーだ。
…ゲームのやりすぎかな…。
俺はぱちゅりーから渡された缶詰の裏についてる棒をはぎとり、缶詰側面の開け口に差し込んだ。そ
して…必死こいて棒を回転させていき、やっと缶詰を開けることに成功した。コンビーフだ。“俺”が
食べても特に違和感はない。…って…。
「「「「…………………」」」」
見てんじゃねぇよクソ饅頭共が…。どれ…お、意外にうまいぞ。
『むーしゃむーしゃ、しあわせーーーー♪」
くっ、うっかりしていた…っ!!
『うっかりー』
って、おやおや…どうしたんだ饅頭共…。泣いてるよ…。
『ゆゆっ?むのうなゆっくりたちがないてるよ!!!』
そこまで言ったつもりはなかったんだが、やはり今“俺”が食ってる缶詰を開け方さえわかっていれ
ば自分たちが食べれたのに…って思いはあるんだろうな。久しぶりのメシだったとしたらなおさらだ。
「むきゅ…あのかんづめさんのあけかたはゆっくりりかいしたわ…ごはんさんをさがしにいきましょう」
「「「ゆっくり…りかいしたよ…」」」
『まってね!!!!』
不覚にも…考える前に喋っちまったってわけか…。今日の俺はどうかしてるぜ…。このクソ饅頭共と
同じ境遇に立たされたからかは知らねぇが…一瞬だけかわいそうだと思っちまったよ…。ほんの一瞬だ
けだがな…。
正直、もう半分くらい食ったしこれ以上食べると胸焼けする。ああ、こいつら胸とかないか。あとは
くれてやってもいい。
『れいむはもうおなかいっぱいだよ!のこりはあげるね!!!』
「「「「ゆゆゆゆゆゆゆゆ?!!!」」」」
「れいむが…むのうなくせにくいいじばっかりはってるれいむが…」
「むきゅぅ…!あしたはあめさんがふるからはやくかえらないといけないわ…」
「まって!このれいむはとかいはなれいむよっ!そんないいかたはよくないとおもうわ!」
「そうおもうよー。このれいむはいいゆっくりだね、わかるんだよー」
よし。とりあえず人間に戻れたらまりさとぱちゅりーは皆殺し。ありすとちぇんは飼ってやってもい
い。虐待用に。…おうおう、とか言いつつ結局4匹並んで食ってんじゃねーか。缶詰の開け方も知らな
いくせに“俺”を無能呼ばわりしやがって…これだから頭の中が自分たち基準しかないクソ饅頭は…。
「「「「むーしゃむーしゃ、しあわせーーーー♪」」」」
うれし涙なんか流しちゃってまぁ…。まぁ、いい。腹も膨れた。さっさと山の中に入ってせめて木の
実か水飲み場くらいは確保しないとな…。命が文字通りいくつあっても足りやしないぜ…。畑を荒らす
のも一つの手だが、この姿じゃそれは不可能…。
「れいむ…ゆっくりごめんなさい…ぱちゅは…れいむのことをかんちがいしていたわ…」
『ゆ?』
おっとまた考えるより先に…。
「まりさもあやまるのぜ…」
「むきゅ!そうだわ!れいむものらならぱちゅたちといっしょにくらさないかしら?」
「ゆっ!とかいはなあいでぃあさんだわっ!れいむとぱちゅがいればあんたいよ!」
「わかるよー、ゆっくりできるきがするんだねー!」
『でも、れいむはやまにかえろうとしてるとちゅうだよ』
「ちょうどいいのぜ!まりさたちもにんげんさんのまちでくらしていくのに、げんっかい!をかんじ
ていたところなのぜ!」
「むきゅ!そうときまればみんなでやまにかえりましょう!」
『…おひるのあいだはにんげんさんにみつかってゆっくりできなくさせられるかのうせいがあるから、
おひさまさんとさよーならーしてからゆっくりうごくよ』
「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!!」」」」
…癪だが、さっきの“俺”の言葉は俺の言葉そのものだったな…。無意識っつっても、俺が思った
こと喋ってるから別に構わないけど…なんかゆっくりと同じ知能レベルまで下がってしまった感じが
して嫌だなぁ…。
…だが、まぁ。こういう展開も悪くない。恐らく両親はとりあえずは俺を入院かなにかさせるだろ
う。そうなれば本体(!)に及ぶ危険は減る。一番恐ろしいのは元に戻る方法がわかったあとに、恐
らくは“れいむ”になってる俺がバカやらかして大けがしたり死んだりすることだ。
野良生活を生き抜いてきたこいつらでこれなら、山のゆっくりは真性の馬鹿ばっかりだろう。
そいつらを支配して…仲間同士で殺し合うように仕向ければ…それはそれでヒャッハーできそうだ
な…。よし。決めた。
俺 は 饅 頭 共 の 神 に な る 。
つづ…く?
【解説】
・3行以上は数えられないから無意識に喋ることができないよっ!
・小学一年生ぐらいの語彙しかわからないから喋れないことがたくさんあるよっ!
・ゆっくりしたいから早口で考えたことは喋らないよっ!
・“俺”はれいむだよっ!
・“れいむ”は俺(本体)だよっ!
序、
あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
『俺…朝、目が覚めたらゆっくりになってた(しかもよりによってれいむ種)!!!!!!』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが俺もさっぱりわからねぇ…
頭がどうにかなりそうだ…
犬とか猫とかそんなチャチなモンじゃ断じてねぇ
なんてったって、ゆっくりだ…!!!
人生オワタ\(^o^)/
一、
目の前にうつぶせになって倒れてる俺がいる。さっきからピクリとも動かない。ヤバいんじゃないか?俺。
昨日何があったか思い出せ…それがこのファンタジーから抜け出す最善の策だ…。
『ゆゆっ!きのうなにがあったかゆっくりおもいだすよっ!そうすればゆっくりできるよかんがするよ!』
…………?
……あ?
今…俺が喋ったのか…?馬鹿な…喋るつもりなんてまったくなかったのに…。ま、まぁいい。とりあえず
俺の安全の確保だ。
チッ…動きにくいな…こいつら普段どうやって歩いてやがんだ…。
『ずーりずーり…』
…また…だと?俺は歩こうとしただけで喋ろうとは…
『またなの?』
だ…黙れ“俺”ェェェェェェ!!!!!
『ゆっくりだまってねっ!!!!!!!』
これはたまらん…まさか俺が考えてることを…無意識に喋っちまうのか…クソッ、なんて生き物だ…っ!
ん?…なんだ?今考えたことは口に出さなかったな“俺”…。まぁいい…親にこの状態気付かれたら面倒
だ。慎重に行動するぜ…。
『ゆっくりあるくよっ!そろーり!そろーり!!』
おいおいおいおい…ちょっと待て。そんな大声で喋るんじゃねぇよ“俺”っ!!下から母さんがなんか言
いながら…上がってキタ!!上がってキタ!!
「としあきーーーー!!!!アンタ、また勝手にゆっくりなんか家に連れ込んで…って、としあき?と…と
しあきぃぃぃぃぃ??!!!!」
ちょっと…お母様…?何を鬼のような形相でこちらを睨んでらっしゃるのですか?
『ゆっ!くそばばあっ!ゆっくりできないかおでれいむをみないでねっ!!!!!』
ちょっと待てコラアアアァァァァァ!!!!!!!!お、お母様…ちょっ…待っ…
『ゆゆっ?ゆっくりまってねっ!』
「待つかこのヴォケがぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぐああああああああ!!!!痛ぇ!!!痛ぇよぉ!!!!母さん…なんでこんな…っ!?
『ゆぎゃあああああ!!!!いだいぃ!!いだい゛よ゛ぉ!!!どうじでごんなごどずるの゛ぉぉぉ?!」
「野良の饅頭風情がよくもとしあきをこんな目に…っ!!!」
ま…待ってくれ母さん…あんた…俺がこんな饅頭なんかにやられるとでも…
『ゆゆっ!!れいむがこんなにんげんさんにやられるわけないよっ!』
ちょ、待っ…布団叩きはやめろっ!母さんっ!俺だ!!気づいてくれぇ!ぐはあっ!!!うごっ!!!
『ゆがあ゛っ!!!ゆ゛ごっ!!!!』
う…痛くて…気持ち悪い…なんか…吐きそう…吐いた…今、俺…吐いた…
「餡子吐いてんじゃないわよっ!!!汚いっ!!!!飲み込みなさいっ!!!!!」
母さん…パネェ…
『ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ』
「としあき!!!目が覚めたの?!」
「…ゆ?」
俺…今、なんつった…?俺の顔で今…なんつった…?
「…としあき?」
母さん頼む。そんな汚物を見るような目で実の息子を見ないでやってくれ。俺が大変切ない。
『ゆっ!くそばばあっ!そんなきたないにんげんさんみないであげてね!かわいそうだよっ!!!!』
くそっ!!!これは分が悪いっ!!悪すぎる!!!!ここは一旦引いて状況整理だっ!!!さもなくば…
ぶっちゃけ母親に殺される!!!!
『ゆっ!ゆっくりしないでにげるよっ!!!!!』
これか!!ジャンプの仕方を覚えたぞっ!!…嬉しくねぇ…。
『ぴょんぴょんするよっ!!!!』
脱出成功!!!母さんが寝転がってる俺に気を取られてくれて助かった。…ってちょ…これは…
『かいだんさんはゆっぐりでぎない゛~~~~!!!!』
追ってこない理由はこれかぁぁぁぁぁ!!!!がふぅっ!!!!母…さん?
『おそらをとんでるみたい!!!!!』
ぐぇっ!!!!
『ゆべしっ!!!』
階段を下りる母さん大魔人。逃げるしかねぇ!!!!ここは浮世のしがらみかなぐり捨てて逃げるしか
ねぇっ!!!!この時間は換気のためにリビングの窓が網戸になってるはずだっ!!!…いけるっ!!!
ほら網戸きたっ!!!これでかつる!!!!
二、
「待てえぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
母さんの叫び声が聞こえるが気にしない。とりあえずこれで一息つける。
『ゆぅ…これでゆっくりできるよ…』
……………。
『……………』
…腹減ったなぁ…。
『おなかすいたよ…』
………坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた!!!(3秒)
『……………』
……オマ○コ。
『…まむまむ』
……宿題たくさん出す教師は死ね。
『ゆっくりできないにんげんさんはしね』
こいつ…さては無意識に喋れる単語自体は少ないな…。確かにそうか。饅頭だもんな。馬鹿だもんな。
だがすると何か?何気なく思ったことは“俺”が勝手に喋るから…常に小難しいこと考えとかないといけ
ないってことか…?待て待て。さっきの早口言葉の件を考えると、頭の中で瞬時に考えたことも無意識に
喋ることはできないと見た…。さらにだ。今の状況を考えると長時間頭の中で考え込んだ内容もまた容量
が大きすぎて言葉に変換することはできないってか。カスだな“俺”。……。
勢いよく部屋を飛び出してきちまったけど…これからどうすっかなぁ…。ネットとかで見ると野良ゆは
ゴミとか漁って生活してるんだっけか…。人としての尊厳を守るためにもそれだけは避けたいところだが…。
しかし、動くたびに体の中の餡子を消費する以上…このまま何も食わないというわけにはいかない。
どうしたものか…。
『ゆっくり…どうしよう…』
面倒だな。考えるときは一気に考えないと勝手に喋りやがる。もしくは難しい単語を使って思考を巡ら
すかだがいずれにせよ面倒でござる。拙者はこのままでは飢えて死ぬるとも分からぬので、恐らくは同族
がおるであろう森に入ってみようと思うでござる。…面倒くせぇ…。
大変なことに気付いた。
『ゆっくりきづいたよ』
こいつ…燃費が悪いにもほどがある。森のある山まで歩いて五分のはずなのに、この足じゃあ一向に着
く気配がねぇ…。
『ゆっくりできないにもほどがあるよ…もりはすぐそこなのにこのあんよじゃたどりつけないよ…』
てめぇの、あんよだろうが。
『れいむのあんよでしょぉ?!』
おや…?あれはぱちゅりー種…?さらにまりさ種にありす種にちぇん種か…。元飼いゆで捨てられ率が
高い奴らが一堂に会して何してやがんだ?ん?れいむ種の“俺”が揃えば野良レンジャー結成できるな…。
…つーか意外と余裕あるな俺…。
「むきゅぅぅぅぅ…こまったわ…せっかくかんづめさんをひろったのにあけかたがわからないなんて…」
「ゆぅ…けんじゃのぱちゅりーでもわからないんじゃあきらめるしかないのぜ…」
「とってもすてきなかんづめさんだったのにざんねんね…」
「わかるよー…たべれないんだねー……」
缶詰…ねぇ。コンビーフの缶詰か。まぁたとえ普通の缶詰であっても道具使わずに開けることは不可能
だろうが…ふむ。ちょうどいい。あの缶詰を食べて腹ごしらえするとしよう。
おい、そこのクソ饅頭共!!!!
『ゆっくりしていってね!!!』
してない。挨拶なんてしてないよ。一斉に声揃えて挨拶返してんじゃねぇよこのクソ饅頭共がぁぁぁ!
「ゆゆっ?このへんじゃみかけないれいむなのぜ?」
「むきゅぅ…れいむもにんげんさんにすてられたのね…」
「…にんげんさんはとかいはなゆっくりたちのみりょくがわかってないのよ…」
「わからないよー」
うぜぇ。とりあえず缶詰をいただくとするか。
『うざいよ。とりあえずかんづめさんよこしてね』
敵意丸出しじゃねーか“俺”ぇぇぇぇ!!!!すでにまりさが殺る気満々じゃねーか!…ってなに…ビ
ビることはねぇ。相手は所詮ゆっくりだ。まぁだがここはひとつ穏便に行こう。さて…なんて言うかな。
『そのかんづめさんをれいむにわたしてね。ゆっくりあけてあげるよ!』
…ふむ。喋ろうとした内容はある程度言葉としてちゃんと出せるんだな。ちょっと感動した。第一声が
まずかったかなぁ…?少なくともこいつらは缶詰を拾って喜んでたみたいだし…野良だとしたら久しぶり
のメシだったのかも知れん。さて、どう出る?まぁ、返答次第では“殺してでも奪い取る”んだけど。
「ぱちゅりーでもわからないことがむのうなれいむにわかるわけないのぜ…」
「とかいはじゃないわ…たとえかんづめをれいむにわたしてもあけられっこないもの…」
「だったらじぶんたちでなんとかするほうがいいんだねー、わかるよー」
「…むきゅぅ…」
おや?ぱちゅりーの様子が…?
「むきゅ!れいむにかんづめさんをわたすわ」
「「「どぼじでえ゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛??!!!!」」」
俺も気になる。なんでだ?せっかく自分たちが拾って喜んでた物をわざわざ新参野良の“俺”に渡す
必要があるのか?何をたくらんでやがる…このゲロ袋…。
「むきゅぅ。れいむがかんづめさんをあけているところをみておぼえるのよ。つぎにかんづめさんをひ
ろったときにはおなじほうほうであけるといいわ」
「「「ゆぅん…っ!!!!」」」
納得したというわけか。森の賢者(笑)ならまだしも、こいつは野良ぱちゅ。今日まで生き残ってき
たのもそこそこ頭が回るから、ということか…。つまりこの野良レンジャーのブレーンがぱちゅりーな
わけだな。まりさとちぇんが前衛(?)でありすが補助(?)か。バランスの取れたいいパーティーだ。
…ゲームのやりすぎかな…。
俺はぱちゅりーから渡された缶詰の裏についてる棒をはぎとり、缶詰側面の開け口に差し込んだ。そ
して…必死こいて棒を回転させていき、やっと缶詰を開けることに成功した。コンビーフだ。“俺”が
食べても特に違和感はない。…って…。
「「「「…………………」」」」
見てんじゃねぇよクソ饅頭共が…。どれ…お、意外にうまいぞ。
『むーしゃむーしゃ、しあわせーーーー♪」
くっ、うっかりしていた…っ!!
『うっかりー』
って、おやおや…どうしたんだ饅頭共…。泣いてるよ…。
『ゆゆっ?むのうなゆっくりたちがないてるよ!!!』
そこまで言ったつもりはなかったんだが、やはり今“俺”が食ってる缶詰を開け方さえわかっていれ
ば自分たちが食べれたのに…って思いはあるんだろうな。久しぶりのメシだったとしたらなおさらだ。
「むきゅ…あのかんづめさんのあけかたはゆっくりりかいしたわ…ごはんさんをさがしにいきましょう」
「「「ゆっくり…りかいしたよ…」」」
『まってね!!!!』
不覚にも…考える前に喋っちまったってわけか…。今日の俺はどうかしてるぜ…。このクソ饅頭共と
同じ境遇に立たされたからかは知らねぇが…一瞬だけかわいそうだと思っちまったよ…。ほんの一瞬だ
けだがな…。
正直、もう半分くらい食ったしこれ以上食べると胸焼けする。ああ、こいつら胸とかないか。あとは
くれてやってもいい。
『れいむはもうおなかいっぱいだよ!のこりはあげるね!!!』
「「「「ゆゆゆゆゆゆゆゆ?!!!」」」」
「れいむが…むのうなくせにくいいじばっかりはってるれいむが…」
「むきゅぅ…!あしたはあめさんがふるからはやくかえらないといけないわ…」
「まって!このれいむはとかいはなれいむよっ!そんないいかたはよくないとおもうわ!」
「そうおもうよー。このれいむはいいゆっくりだね、わかるんだよー」
よし。とりあえず人間に戻れたらまりさとぱちゅりーは皆殺し。ありすとちぇんは飼ってやってもい
い。虐待用に。…おうおう、とか言いつつ結局4匹並んで食ってんじゃねーか。缶詰の開け方も知らな
いくせに“俺”を無能呼ばわりしやがって…これだから頭の中が自分たち基準しかないクソ饅頭は…。
「「「「むーしゃむーしゃ、しあわせーーーー♪」」」」
うれし涙なんか流しちゃってまぁ…。まぁ、いい。腹も膨れた。さっさと山の中に入ってせめて木の
実か水飲み場くらいは確保しないとな…。命が文字通りいくつあっても足りやしないぜ…。畑を荒らす
のも一つの手だが、この姿じゃそれは不可能…。
「れいむ…ゆっくりごめんなさい…ぱちゅは…れいむのことをかんちがいしていたわ…」
『ゆ?』
おっとまた考えるより先に…。
「まりさもあやまるのぜ…」
「むきゅ!そうだわ!れいむものらならぱちゅたちといっしょにくらさないかしら?」
「ゆっ!とかいはなあいでぃあさんだわっ!れいむとぱちゅがいればあんたいよ!」
「わかるよー、ゆっくりできるきがするんだねー!」
『でも、れいむはやまにかえろうとしてるとちゅうだよ』
「ちょうどいいのぜ!まりさたちもにんげんさんのまちでくらしていくのに、げんっかい!をかんじ
ていたところなのぜ!」
「むきゅ!そうときまればみんなでやまにかえりましょう!」
『…おひるのあいだはにんげんさんにみつかってゆっくりできなくさせられるかのうせいがあるから、
おひさまさんとさよーならーしてからゆっくりうごくよ』
「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!!」」」」
…癪だが、さっきの“俺”の言葉は俺の言葉そのものだったな…。無意識っつっても、俺が思った
こと喋ってるから別に構わないけど…なんかゆっくりと同じ知能レベルまで下がってしまった感じが
して嫌だなぁ…。
…だが、まぁ。こういう展開も悪くない。恐らく両親はとりあえずは俺を入院かなにかさせるだろ
う。そうなれば本体(!)に及ぶ危険は減る。一番恐ろしいのは元に戻る方法がわかったあとに、恐
らくは“れいむ”になってる俺がバカやらかして大けがしたり死んだりすることだ。
野良生活を生き抜いてきたこいつらでこれなら、山のゆっくりは真性の馬鹿ばっかりだろう。
そいつらを支配して…仲間同士で殺し合うように仕向ければ…それはそれでヒャッハーできそうだ
な…。よし。決めた。
俺 は 饅 頭 共 の 神 に な る 。
つづ…く?
【解説】
・3行以上は数えられないから無意識に喋ることができないよっ!
・小学一年生ぐらいの語彙しかわからないから喋れないことがたくさんあるよっ!
・ゆっくりしたいから早口で考えたことは喋らないよっ!
・“俺”はれいむだよっ!
・“れいむ”は俺(本体)だよっ!