ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0447 働かざるモノ食うべからず
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ankoss
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『働かざるモノ食うべからず』
*現代設定です
*ぬるいじめ
一、
現代社会はストレス社会と例えられる。ストレスの原因は人それぞれであるが…人間関係
だったり仕事関係だったり恋愛関係だったりと様々だ。
青年は、暗がりの路地を一人とぼとぼと歩いていた。仕事でミスを犯し、上司にこってり
しぼられた後だった。社会人一年目のこの青年。希望に満ち溢れ、何より自由だった学生時
代は終わりを告げ、荒波の中に放り出された青年はここ一カ月、満足にゆっくりすることが
できなかった。
秋。朝夕肌寒さすら感じるこの季節に、青年は他者のぬくもりを求めていた。ぬくもりで
なくても、それに代わるものであればなんでも構わなかった。何をしていても仕事のことが
チラつく毎日。一時でいい。何もかもを忘れて、弾けたかった。あの学生時代の頃のように。
「お…おにぃさん…」
声を掛けられ、振り向く青年。しかしそこには誰もいない。辺りを見回す。やはり誰もい
ない。青年の背筋を冷やりとした感触が撫でる。そのとき、青年のほぼ真下から先ほどと同
じ声が聞こえた。
「ゆっ…!こっちだよ!」
青年が視線を落とすとそこにはゆっくりと呼ばれる謎の饅頭生物がいた。キリッとしたウ
ザい眉毛がやたらと癇に障るふてぶてしい態度のゆkk
「ぶふっ!!!」
噴き出す青年。自分の顔を見るなりに笑われた、れいむ種のゆっくり。当然不機嫌になり
頬をぷくーっと膨らませる。
「ゆゆゆっ!なにがおかしいの!?しつれいなにんげんさんだね!!ぷんぷんっ!!!」
腹を抱えて笑う青年。当然だろう。通行人に悪戯でもされたのか、れいむの額には油性の
マジックで大きく“肉”と書いてある。それだけならまだマシだ。恐らくはしーしー穴と呼
ばれる部分であろう横にやはり油性マジックで、“←しーしーでるよ!”と書かれてある。
「おいおいまさか…」
れいむを両手で掴み、ひっくり返す。れいむは体全体を捩って、抵抗し青年に自分を降ろ
すように要求した。そんな真剣なれいむのあにゃるには、やはり“←うんうんするね!”と
の文字が見えた。期待を裏切らない展開に青年はれいむを放り出すと、ゲラゲラと笑った。
着地したれいむは青年に向き直り、なおも威嚇を続ける。理由もなしに笑われているのと、
あにゃるを見られた恥ずかしさからか、涙目で顔は真っ赤だ。
そのとき、電柱の陰から一匹の赤ちゃんゆっくりが飛び出してきた。赤ちゃん…と言って
もやや大きめのサイズ。硬式野球の球ぐらいの大きさである。どうもこの二匹は家族らしい。
「ぷきゅー!れいみゅのおかーしゃんをわりゃわないでにぇっ!れいみゅおこりゅよっ!」
小さい体で精一杯威嚇してくる。意外にもそれを親れいむがたしなめる。
「ちびちゃん!ゆっくりやめてね!」
(なん…だと…?)
驚きの表情を隠せない青年の目の前で親れいむ…れいむは電柱の陰に戻り何やらゴソゴソ
している。赤れいむ…れいみゅは親譲りのウザ眉毛で何が自信満々なのかは理解しかねるが、
自信満々な笑顔を浮かべている。やがて、れいむは缶詰の空き缶を咥えて出てくると、自分
たちと青年の間にコトリと置いた。そして、並んだ二匹が即座に潰したくなるようなニヤケ
顔で、
「にんげんさん!れいむたちにたべものちょうだいねっ!」
「ちょうらいにぇっ!!」
言い放つ。青年と饅頭たちの間に沈黙が漂う。青年はれいむの顔に自分の足を押し当てブ
ロック塀に押し付ける。少し顔が変形し、舌を出し苦しむれいむ。れいみゅは青年の足の周
りをぴょんぴょん跳ねて
「やめちぇにぇ!やめちぇにぇ!」
と叫んでいる。足に少し力を込めると、
「えぎゅぅ…ちゅぶ…れぶぅ…」
「食べ物ちょうだいね…だと?舐めてんのかこのクソ饅頭。その人間さんが自分たちがメシ
食うためにどんな思いして毎日働いてると思ってんだ?」
「ゆっぐい…でぎな゛ぃ…」
身動きの取れないれいむは徐々に白目を剥き始める。
「何が“ゆっくりできない”だ。馬鹿か。ゆっくりなんてさせてやるわけねぇだろうが饅頭
のくせに。何もしないで物が食えるとか思い込んでるその能天気なニヤケ面が一番イライ
ラするんだよ!」
「う…お゛うだ…う゛だい゛まずぅ…ぎいで…ゆ…ぐぃ…でぎだら…たべぶもの゛…ぐだざひ…」
青年の足に込められた力が弱まる。これも意外だった。どうせ、何も悪いことしてないの
にどうしてこんなことするの?とか言ってくると思っていたのだが。その言葉を耳に入れ次
第このれいむを潰してやろうと思っていた青年は、れいむから足を離した。
「ゆ゛っゆ゛ぅ…」
「おかーしゃああん!!」
ぴーぴー泣いてれいみゅがれいむにすがりつく。呻くような呼吸をしながら苦しんでいる
饅頭たちとは裏腹に、青年は今とてもすっきりした気分であった。この半年間押し込められ
ていた負の感情が、一気に吐き出されたのだ。この哀れな饅頭たちに向かって。
青年はしゃがみ込むと、
「オラ、早く歌えよ。ゆっくりできなかったら蹴り潰すからな」
れいむとれいみゅに脅しをかける。ここで二匹が顔を見合わせ、涙目になり震えるあたり、
自分たちの歌を過信しているというわけではなさそうだ。睨みつけるように二匹を凝視する
青年の前で、れいみゅがぴょんぴょんとれいむの頭の上に飛び乗った。なんとなくだがこの
時点で潰したい衝動に駆られる青年。やがて…
「ゆ~ゆ~♪…ゆぅ…ゆぅ~…♪」
(歌…だと…?)
それならまだいい。一番イライラさせられるのはれいむの頭の上で体をくねらせたり、の
びのびしたり、右を向いたり左を向いたり謎の行動を取っているれいみゅのほうだ。冷やや
かな視線を送っていると、それに気付いたれいみゅは相変わらずのウザ眉毛で、
「にんげんしゃんっ!れいみゅのきゃわいいだんすしゃんにみちょれにゃいでにぇっ☆」
空き缶をれいむ目がけて蹴り飛ばす。一直線にれいむの顔面にめり込み、カランカラン…
と音を立て転がっていく。今の一撃でれいむの歌は中断。真っ赤に腫れあがった顔の中央が
痛々しい。震えながら痛みに耐えている。れいみゅはれいむの頭の上から飛び降りると、
「ぺーりょ…ぺーりょ…」
親を慰めようとでもしているのか、しきりにれいむの頬を舐めるれいみゅ。その長く伸び
た舌が何となく癇に障ったので、れいみゅを摘み持ち上げる。突然の出来事に、
「ゆぅ…!れいみゅおしゃらさんとんでりゅみちゃい!!!」
はしゃぐ。青年はそんなれいみゅの顔をブロック塀に押し付ける。
「お空は危険がいっぱい」
短く呟くと、れいみゅの顔を押し付けたまま、一気に下へ向けてこすり降ろした。固い石
が柔らかいれいみゅの肌をえぐり、摩擦熱で瞬間的に焼きあげられる。
「ゆびゃあああああああああ!!!!!」
ぴくぴくと痙攣するれいみゅのリボンを掴んで、れいむの前でぷらぷらさせる。れいみゅ
の悲鳴で痛みを忘れたれいむは、所々擦り切れ餡子が滲み、無数の細いミミズバレが刻まれ
た泣きじゃくる我が子の姿を見て、泣き叫んだ。
青年は決めた。この饅頭たちをストレス解消の道具にしようと。青年はれいむを四、五発
蹴りつけて気絶させると、荒々しく髪の毛をひっつかんで意気揚々と帰宅の途についた。
二、
まだ痛みが収まらないのか、声も出さずに震えて泣きじゃくるれいみゅ。確かに傷跡は生
々しい。だからと言って同情心は一切わかない。
「ゆっ…ゆぐぅ…」
しかめっ面のれいむがもそもそと体を起こす。れいみゅ同様痛みが残っているのだろう。
青年の姿を見ても、威嚇せずにただ俯き震えるだけ。そんなれいむに青年は努めて明るく
「ゆっくりしていってね!」
そのお決まりのセリフを吐く。ぴくり、と体を震わせ青年を向くと、れいむは元気よく、
「ゆっくりしびひぃッ?!!」
「言わせるかよ」
そう言って、れいむの右の頬を思いっきりひっぱたく。青年の手形が赤い花となってれい
むの頬に咲き誇る。あまりにも理不尽な仕打ちに涙を流し、青年を睨むれいむ。そんなれい
むにまたしても青年は、
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくrゆべらぁっ!!!」
次は左の頬に花が咲く。こちらも赤い綺麗な花だ。
「い…いだいよぅ…」
「ゆっくりしていってね、って言う度にぶっ叩くからな。…ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていttぎぴぇっ!!!!!…ゆっ…ゆぇ…ゆぅ…」
「言うな、っつってんだろ」
耐えられないれいむは滝のように涙を流し、頬を膨らませると青年を威嚇してきた。無言
ではあるが、それはゆっくりにとって、もっとも鬼気迫る威嚇となったのであろう。まぁ、
落書きだらけの顔で真面目にそんなことされてもギャグ以外の何物でもないわけだが。
その後も、何度も何度も両の頬を叩かれ、顔を腫れあがらせるれいむ。もう威嚇してもし
なくても同じくらい顔は大きくなっていた。真っ赤な上にぼこぼこだが。回復してきたれい
みゅが飛び跳ねながら、
「いわせちぇあげちぇにぇっ!おかーしゃん、ゆっくちできにゃいょっ!!!」
そう。青年は知っている。ゆっくりという生き物は“ゆっくりしていってね!”という言
葉が大好きだということに。条件反射で返すほどのゆっくりワードなのに、それを言ったら
叩かれる。条件反射で言わされてるのに叩かれる。れいむは大好きな言葉を言えない悲しさ
と、理不尽な仕打ちへの悔しさに声も出さず泣いた。正直、顔が腫れすぎて目がどこにある
かよくわからないため、頬の辺りを伝う涙の源泉を追うことはできない。
ふと、青年はれいみゅを捕まえて台所に移動する。食器を洗うのを忘れていたのだ。おも
むろに洗剤をれいみゅの顔全体にまんべんなく振りかける。傷がしみるのだろう。
「いちゃあああああい!!!!!」
身を捩らせ泣き叫ぶれいみゅ。青年は大き目の更に洗剤まみれのれいみゅをこすりつける。
「おぉ…意外と泡が立つ…。髪と飾りで十分スポンジ代わりになるな…」
「ゆびゅぶゆぶ…ぇ゛…い゛…ちゃい゛…じみりゅぅぅぅぅぅ!!!!」
あまり力をかけすぎると、潰れてしまうので慎重に食器を洗う必要があったが、れいみゅ
の悲痛な声をBGMに食器の汚れを落として行くのは楽しかった。包丁を洗うときに誤って
れいみゅの下あご辺りを切ってしまい、そこから更に洗剤が入り込み気を失うまで悶絶して
いた。
青年は三角コーナーの生ゴミを見て、
「れいむ。明日からお前にはこれを食わせてやる」
三角コーナーをれいむの顔に押し付ける。腫れあがった皮の隙間の口と思われる部分から
「く…ちゃい…よぅ…」
力ない声が聞こえる。青年はれいむの意向は気にも留めず、
「しっかり食えよ。それでしっかりうんうんしろ。そのうんうんがお前の子供の餌になるか
らよ」
「ゆ゛ゆ゛ぅっ?!」
「お前らはここで働くんだよ。れいみゅちゃんはスポンジとして頑張っていく。お前は生ゴ
ミの処理を頑張れ。喜べ。お前らの望んだ食べ物が手に入るぞ」
「ゆっくり…でき…な゛…」
言いかけたれいむを蹴り上げる。“ゆ゛っ”と短い悲鳴を上げる。
「働いて初めてメシが食えるんだよ。タダメシ食って生きていけると思うなよクソ饅頭が」
ぼろぼろの体を震わせ泣いているれいむに、青年はここ最近見せたことのない笑顔で、
「ここで死ぬまでゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしtゆびゅえべっ!!!!!!!!」
れいむは、真っ赤な花畑になっていた。
終わり
*現代設定です
*ぬるいじめ
一、
現代社会はストレス社会と例えられる。ストレスの原因は人それぞれであるが…人間関係
だったり仕事関係だったり恋愛関係だったりと様々だ。
青年は、暗がりの路地を一人とぼとぼと歩いていた。仕事でミスを犯し、上司にこってり
しぼられた後だった。社会人一年目のこの青年。希望に満ち溢れ、何より自由だった学生時
代は終わりを告げ、荒波の中に放り出された青年はここ一カ月、満足にゆっくりすることが
できなかった。
秋。朝夕肌寒さすら感じるこの季節に、青年は他者のぬくもりを求めていた。ぬくもりで
なくても、それに代わるものであればなんでも構わなかった。何をしていても仕事のことが
チラつく毎日。一時でいい。何もかもを忘れて、弾けたかった。あの学生時代の頃のように。
「お…おにぃさん…」
声を掛けられ、振り向く青年。しかしそこには誰もいない。辺りを見回す。やはり誰もい
ない。青年の背筋を冷やりとした感触が撫でる。そのとき、青年のほぼ真下から先ほどと同
じ声が聞こえた。
「ゆっ…!こっちだよ!」
青年が視線を落とすとそこにはゆっくりと呼ばれる謎の饅頭生物がいた。キリッとしたウ
ザい眉毛がやたらと癇に障るふてぶてしい態度のゆkk
「ぶふっ!!!」
噴き出す青年。自分の顔を見るなりに笑われた、れいむ種のゆっくり。当然不機嫌になり
頬をぷくーっと膨らませる。
「ゆゆゆっ!なにがおかしいの!?しつれいなにんげんさんだね!!ぷんぷんっ!!!」
腹を抱えて笑う青年。当然だろう。通行人に悪戯でもされたのか、れいむの額には油性の
マジックで大きく“肉”と書いてある。それだけならまだマシだ。恐らくはしーしー穴と呼
ばれる部分であろう横にやはり油性マジックで、“←しーしーでるよ!”と書かれてある。
「おいおいまさか…」
れいむを両手で掴み、ひっくり返す。れいむは体全体を捩って、抵抗し青年に自分を降ろ
すように要求した。そんな真剣なれいむのあにゃるには、やはり“←うんうんするね!”と
の文字が見えた。期待を裏切らない展開に青年はれいむを放り出すと、ゲラゲラと笑った。
着地したれいむは青年に向き直り、なおも威嚇を続ける。理由もなしに笑われているのと、
あにゃるを見られた恥ずかしさからか、涙目で顔は真っ赤だ。
そのとき、電柱の陰から一匹の赤ちゃんゆっくりが飛び出してきた。赤ちゃん…と言って
もやや大きめのサイズ。硬式野球の球ぐらいの大きさである。どうもこの二匹は家族らしい。
「ぷきゅー!れいみゅのおかーしゃんをわりゃわないでにぇっ!れいみゅおこりゅよっ!」
小さい体で精一杯威嚇してくる。意外にもそれを親れいむがたしなめる。
「ちびちゃん!ゆっくりやめてね!」
(なん…だと…?)
驚きの表情を隠せない青年の目の前で親れいむ…れいむは電柱の陰に戻り何やらゴソゴソ
している。赤れいむ…れいみゅは親譲りのウザ眉毛で何が自信満々なのかは理解しかねるが、
自信満々な笑顔を浮かべている。やがて、れいむは缶詰の空き缶を咥えて出てくると、自分
たちと青年の間にコトリと置いた。そして、並んだ二匹が即座に潰したくなるようなニヤケ
顔で、
「にんげんさん!れいむたちにたべものちょうだいねっ!」
「ちょうらいにぇっ!!」
言い放つ。青年と饅頭たちの間に沈黙が漂う。青年はれいむの顔に自分の足を押し当てブ
ロック塀に押し付ける。少し顔が変形し、舌を出し苦しむれいむ。れいみゅは青年の足の周
りをぴょんぴょん跳ねて
「やめちぇにぇ!やめちぇにぇ!」
と叫んでいる。足に少し力を込めると、
「えぎゅぅ…ちゅぶ…れぶぅ…」
「食べ物ちょうだいね…だと?舐めてんのかこのクソ饅頭。その人間さんが自分たちがメシ
食うためにどんな思いして毎日働いてると思ってんだ?」
「ゆっぐい…でぎな゛ぃ…」
身動きの取れないれいむは徐々に白目を剥き始める。
「何が“ゆっくりできない”だ。馬鹿か。ゆっくりなんてさせてやるわけねぇだろうが饅頭
のくせに。何もしないで物が食えるとか思い込んでるその能天気なニヤケ面が一番イライ
ラするんだよ!」
「う…お゛うだ…う゛だい゛まずぅ…ぎいで…ゆ…ぐぃ…でぎだら…たべぶもの゛…ぐだざひ…」
青年の足に込められた力が弱まる。これも意外だった。どうせ、何も悪いことしてないの
にどうしてこんなことするの?とか言ってくると思っていたのだが。その言葉を耳に入れ次
第このれいむを潰してやろうと思っていた青年は、れいむから足を離した。
「ゆ゛っゆ゛ぅ…」
「おかーしゃああん!!」
ぴーぴー泣いてれいみゅがれいむにすがりつく。呻くような呼吸をしながら苦しんでいる
饅頭たちとは裏腹に、青年は今とてもすっきりした気分であった。この半年間押し込められ
ていた負の感情が、一気に吐き出されたのだ。この哀れな饅頭たちに向かって。
青年はしゃがみ込むと、
「オラ、早く歌えよ。ゆっくりできなかったら蹴り潰すからな」
れいむとれいみゅに脅しをかける。ここで二匹が顔を見合わせ、涙目になり震えるあたり、
自分たちの歌を過信しているというわけではなさそうだ。睨みつけるように二匹を凝視する
青年の前で、れいみゅがぴょんぴょんとれいむの頭の上に飛び乗った。なんとなくだがこの
時点で潰したい衝動に駆られる青年。やがて…
「ゆ~ゆ~♪…ゆぅ…ゆぅ~…♪」
(歌…だと…?)
それならまだいい。一番イライラさせられるのはれいむの頭の上で体をくねらせたり、の
びのびしたり、右を向いたり左を向いたり謎の行動を取っているれいみゅのほうだ。冷やや
かな視線を送っていると、それに気付いたれいみゅは相変わらずのウザ眉毛で、
「にんげんしゃんっ!れいみゅのきゃわいいだんすしゃんにみちょれにゃいでにぇっ☆」
空き缶をれいむ目がけて蹴り飛ばす。一直線にれいむの顔面にめり込み、カランカラン…
と音を立て転がっていく。今の一撃でれいむの歌は中断。真っ赤に腫れあがった顔の中央が
痛々しい。震えながら痛みに耐えている。れいみゅはれいむの頭の上から飛び降りると、
「ぺーりょ…ぺーりょ…」
親を慰めようとでもしているのか、しきりにれいむの頬を舐めるれいみゅ。その長く伸び
た舌が何となく癇に障ったので、れいみゅを摘み持ち上げる。突然の出来事に、
「ゆぅ…!れいみゅおしゃらさんとんでりゅみちゃい!!!」
はしゃぐ。青年はそんなれいみゅの顔をブロック塀に押し付ける。
「お空は危険がいっぱい」
短く呟くと、れいみゅの顔を押し付けたまま、一気に下へ向けてこすり降ろした。固い石
が柔らかいれいみゅの肌をえぐり、摩擦熱で瞬間的に焼きあげられる。
「ゆびゃあああああああああ!!!!!」
ぴくぴくと痙攣するれいみゅのリボンを掴んで、れいむの前でぷらぷらさせる。れいみゅ
の悲鳴で痛みを忘れたれいむは、所々擦り切れ餡子が滲み、無数の細いミミズバレが刻まれ
た泣きじゃくる我が子の姿を見て、泣き叫んだ。
青年は決めた。この饅頭たちをストレス解消の道具にしようと。青年はれいむを四、五発
蹴りつけて気絶させると、荒々しく髪の毛をひっつかんで意気揚々と帰宅の途についた。
二、
まだ痛みが収まらないのか、声も出さずに震えて泣きじゃくるれいみゅ。確かに傷跡は生
々しい。だからと言って同情心は一切わかない。
「ゆっ…ゆぐぅ…」
しかめっ面のれいむがもそもそと体を起こす。れいみゅ同様痛みが残っているのだろう。
青年の姿を見ても、威嚇せずにただ俯き震えるだけ。そんなれいむに青年は努めて明るく
「ゆっくりしていってね!」
そのお決まりのセリフを吐く。ぴくり、と体を震わせ青年を向くと、れいむは元気よく、
「ゆっくりしびひぃッ?!!」
「言わせるかよ」
そう言って、れいむの右の頬を思いっきりひっぱたく。青年の手形が赤い花となってれい
むの頬に咲き誇る。あまりにも理不尽な仕打ちに涙を流し、青年を睨むれいむ。そんなれい
むにまたしても青年は、
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくrゆべらぁっ!!!」
次は左の頬に花が咲く。こちらも赤い綺麗な花だ。
「い…いだいよぅ…」
「ゆっくりしていってね、って言う度にぶっ叩くからな。…ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていttぎぴぇっ!!!!!…ゆっ…ゆぇ…ゆぅ…」
「言うな、っつってんだろ」
耐えられないれいむは滝のように涙を流し、頬を膨らませると青年を威嚇してきた。無言
ではあるが、それはゆっくりにとって、もっとも鬼気迫る威嚇となったのであろう。まぁ、
落書きだらけの顔で真面目にそんなことされてもギャグ以外の何物でもないわけだが。
その後も、何度も何度も両の頬を叩かれ、顔を腫れあがらせるれいむ。もう威嚇してもし
なくても同じくらい顔は大きくなっていた。真っ赤な上にぼこぼこだが。回復してきたれい
みゅが飛び跳ねながら、
「いわせちぇあげちぇにぇっ!おかーしゃん、ゆっくちできにゃいょっ!!!」
そう。青年は知っている。ゆっくりという生き物は“ゆっくりしていってね!”という言
葉が大好きだということに。条件反射で返すほどのゆっくりワードなのに、それを言ったら
叩かれる。条件反射で言わされてるのに叩かれる。れいむは大好きな言葉を言えない悲しさ
と、理不尽な仕打ちへの悔しさに声も出さず泣いた。正直、顔が腫れすぎて目がどこにある
かよくわからないため、頬の辺りを伝う涙の源泉を追うことはできない。
ふと、青年はれいみゅを捕まえて台所に移動する。食器を洗うのを忘れていたのだ。おも
むろに洗剤をれいみゅの顔全体にまんべんなく振りかける。傷がしみるのだろう。
「いちゃあああああい!!!!!」
身を捩らせ泣き叫ぶれいみゅ。青年は大き目の更に洗剤まみれのれいみゅをこすりつける。
「おぉ…意外と泡が立つ…。髪と飾りで十分スポンジ代わりになるな…」
「ゆびゅぶゆぶ…ぇ゛…い゛…ちゃい゛…じみりゅぅぅぅぅぅ!!!!」
あまり力をかけすぎると、潰れてしまうので慎重に食器を洗う必要があったが、れいみゅ
の悲痛な声をBGMに食器の汚れを落として行くのは楽しかった。包丁を洗うときに誤って
れいみゅの下あご辺りを切ってしまい、そこから更に洗剤が入り込み気を失うまで悶絶して
いた。
青年は三角コーナーの生ゴミを見て、
「れいむ。明日からお前にはこれを食わせてやる」
三角コーナーをれいむの顔に押し付ける。腫れあがった皮の隙間の口と思われる部分から
「く…ちゃい…よぅ…」
力ない声が聞こえる。青年はれいむの意向は気にも留めず、
「しっかり食えよ。それでしっかりうんうんしろ。そのうんうんがお前の子供の餌になるか
らよ」
「ゆ゛ゆ゛ぅっ?!」
「お前らはここで働くんだよ。れいみゅちゃんはスポンジとして頑張っていく。お前は生ゴ
ミの処理を頑張れ。喜べ。お前らの望んだ食べ物が手に入るぞ」
「ゆっくり…でき…な゛…」
言いかけたれいむを蹴り上げる。“ゆ゛っ”と短い悲鳴を上げる。
「働いて初めてメシが食えるんだよ。タダメシ食って生きていけると思うなよクソ饅頭が」
ぼろぼろの体を震わせ泣いているれいむに、青年はここ最近見せたことのない笑顔で、
「ここで死ぬまでゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしtゆびゅえべっ!!!!!!!!」
れいむは、真っ赤な花畑になっていた。
終わり