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anko2281 ゆっくり編まれた存在理由
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ankoss
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ゆっくり編まれた存在理由 12KB
虐待 現代 虐待人間 独自設定 ※触発あき
※餡庫では相変わらずアク禁なのでこちらに投下
※独自設定垂れ流し
※特に何かに触発されたというわけでもないのですが、なんとなくゆるっと思いついたの
で書いてみました
きっと暑いせいです
さて、と私は出来上がった作品を見上げた。
裁縫が得意でもないのに、刺繍に挑戦してみた。慣れないことと、素材が少々特殊なこと
もあって、お世辞にも上手いとは言えない歪な出来栄え。
でも、描きたいものはそれなりに表現できているのではないかと自負している。
刺繍糸で描かれたそれは、おうちの中でゆっくりするゆっくりの一家だ。
黒の三角、黒の丸で描かれたのは、ゆっくりまりさ。この一家の大黒柱だ。その自慢のお
帽子を得意の狩りの成果でいっぱいにし、いつでも家族をゆっくりさせる力強く心優しい
ゆっくりだ。
その近く。小さな肌色の丸に、赤い三角の刺繍。一家の長女の子れいむだ。モミアゲをい
つもピコピコさせている、元気いっぱいの子ゆっくりだ。
隣には小さな黒三角に黒丸。一家の次女、子まりさだ。ちょっとやんちゃでかわいく元気
な一家の人気者だ。
そんなゆっくりたちが、おうちの中でのんびりとしている。生地から滲み出る色も相まっ
て、ゆっくりのおうち特有の暖かみみたいなものが感じられるように思える。
子ゆっくりたちを産んだおかあさんのれいむは描かれていない。物足りなく思えるかも知
れないが、実際にこの刺繍を見てそう思う者はきっといないだろう。これはそういうもの
なのだ。
素朴で歪な刺繍だけれど、ゆっくり特有の「ゆっくりした雰囲気」みたいなものは十分に
描けているのではないかと思う。それだけはちょっと自信がある。だからどんなに稚拙で
歪な出来栄えでも、これは絶対に失敗作ではない。傑作と言ってもいいだろう。
「……なんて思うんだけど、どう思う?」
問いかけると、刺繍の生地がぐねりと歪んだ。それとともに、刺繍糸の間から漏れでた生
地が、刺繍を餡子色に滲ませる。それは刺繍に深みを加えた。
絵や彫刻は一般に一瞬の美しさを永遠にとどめることを目的にする。しかし、これはそれ
とは真逆で、時と共に変化する。いずれは劣化し生ごみとなる。実に趣深い。
刻一刻と変化するこの一瞬一瞬を、しかしずっととどめておきたくて、製作過程からずっ
と撮影を続けている。USBのカメラで写した映像は、ノートパソコンの画面でリアルタ
イムに変換され、動画として保存されている。
その様を見せ、問いかける。
「テーマは、『しあわせなゆっくり一家』。じつにゆっくりしてるでしょ?」
刺繍はうねり、またしても違った趣を生み出した。
さすがおかあさん。生むのは大の得意なんだね。
刺繍の生地……あんよの持ち主であるゆっくりれいむの様子に満足し、私は微笑んだ。
ゆっくり編まれた存在理由
ゆっくりのあんよに刺繍をしよう、というのはほんの思いつきだった。
あんよを潰すには、焼くのが一般的。紙やすりで削ったり、刃物で切れ目を入れるなんて
言う方法もある。
たまには変わったやり方でやってみようと思い、刺繍を思い立ったのだ。それはよかった
のけれど、これがなかなか難しい。
なにしろゆっくりは生きているナマモノだ。当然動く。針が刺されば悲鳴を上げ、糸が通
れば痛みに震える。あんよはゆっくりの身体の中でも特によく動く部分だから、いくらゆ
っくりが鈍いと言っても刺繍は大変だ。
あんよって波打つように動くのだ。縫いづらいばかりでなく、ずっと見てると少し気分が
悪くなる。
動かないように焼くことも考えたが、それでは生地が真っ黒で面白みに欠ける。刃物で切
れ目というのも仕上がりが汚くなりそうだ。第一ただでさえもろいゆっくり、あんよが刺
繍に耐えられなくなっては意味が無い。
仕方ないのであんよをハエたたきでしこたま叩いて一時的に麻痺させた。それでも針を刺
し刺繍糸をくぐらすたびに震えるので実に難しい。だけど、それはほどよい難易度。困難
にかえって燃えて熱中し、かくしてこの傑作は出来上がったわけである。
「こんなにしあわせな家族だったのにねぇ……」
ノートパソコンの録画画面の静止画を保存。それを表示させたまま、れいむを正常位置に
立ち上がらせてやった。
せっかくの傑作が下敷きになってしまうわけだが、まあこれはそういうものだ。別に構わ
ない。
「ほら、あなたのダーリンのまりさ。よく描けてるでしょう?」
そう言って画面の中、刺繍で描かれたまりさを指す。
黒三角に、黒丸。まりさは金髪だから、この配色はふさわしくないと思えるか知れない。
でも、そんなことはないのだ。
あんよの動かないれいむをまりさの方に向けてやる。
そこには刺繍と変わらない色のまりさがいた。
綺麗だったおはだは真っ黒けっけ。煌く金髪は跡形も無い。
ガスバーナーで全身あぶられ黒焦げになったまりさだった。
ゆっくりまりさは一般におぼうしをなによりも大切にするものだが、このまりさも例外で
はなかった。
よけるとおぼうしが燃える、と脅してやったら自分の身を呈して守ろうとした。それでも
おぼうしが燃えてしまうことはあったが、それは私が消火してやった。おぼうしを飾るリ
ボンも焼け焦げ煤け、元の白などわからないぐらい黒く染まった。
結果、刺繍と同じく黒三角で黒丸のまりさの出来上がりというわけだ。
「子れいむも実にいい感じでしょう?」
次に指し示すのは肌色の丸に、赤い三角の子れいむ。
この子には、生ごみをおなかいっぱい食べさせてあげた。すると当然うんうんをしたくな
る。
うんうんをした瞬間を見計らい、まな板などの平たいもので一気に押しつぶす。
タイミングと力加減がうまくいくと、体中の餡子があにゃるから放出される。そして、内
圧に押されて髪の毛がごっそり全部抜ける。残るのはゆっくりの皮とおりぼんだけ。ぺし
ゃんこに潰れたそれらは、さながらゆっくりの押し花と言ったところだ。
元々ある穴から餡子を排出するので皮もほとんど傷つかない。ゆっくりの剥製を作るのに
にもおすすめの方法だ。
「子まりさだって、ずいぶん苦労したんだよ」
親のまりさと同様に、黒三角に、黒丸で描かれた子まりさ。親まりさと同じ配色だが、使
ったのはちょっと凝った手法だ。
用意するのはピンクローターにアカスリ。
まず、ピンクローターでゆっくりを発情させる。そしてすっきりーしそうになったところ
で、アカスリでもみしだく。この手順を繰り返すのだ。サイズは今回のような子ゆっくり
ぐらい、アカスリは手袋タイプがやりやすいだろう。
ゆっくりは発情すると全身から粘液を出す。このぬるぬるした状態のゆっくりをアカスリ
でこすると、薄く皮が剥げる。どの程度皮を剥ぐか、その調整は簡単で、上手くやると葛
菓子のように餡子が透けて見える半透明ゆっくりが出来上がる。制作過程で痛みで餡子を
吐き出して絶命することがあるため、穴という穴を事前に焼き潰しておくのも重要なポイ
ントだ。そこさえ注意すれば意外と簡単。
ゆっくりが死ぬ条件は、一定量以上の餡子を失うことか、中枢餡が破壊されること。この
半透明ゆっくりはその条件を満たさないから死なないと思いきや、ちょっと違う。
皮があまりにも薄くなったため、徐々に体中の餡子が「身体の外に排出された」と認識し
始める。つまり、思い込みで餡子が勝手に死に始めるのだ。それが中枢餡にまで達すると
、ゆっくりは死ぬ。個体差が大きいが、だいたい死ぬまで三時間ぐらいかかるらしい。こ
の子まりさも震えが止まるまでだいたいそのくらいだったように思う。
徐々に死んでいく自分の身体。削られた皮から伝わる痛みに微動だにできず、震えるだけ
のその時間はどれほど恐ろしいものだろうか。
見た目は地味だけれど、なかなか味わい深い手法なのだ。
「ねえ、どう思う?」
「………」
刺繍に描かれた通りになった家族の有様を全部見せてやったが、れいむはひとことも答え
てくれない。
自分としては、刺繍の出来栄えも家族の仕上がりも満足のいくものなのに、一番の観客で
あるれいむがなにも言ってくれないのはとてもとても寂しく残念だ。
と思いきや。れいむはしゃべることが出来ない状態だった。
刺繍の最中に餡子を吐き始めたものだから、口をホッチキスで厳重にふさいだのだった。
さっそく外してやる。すると、
「ゆっぎゃああああああああ!」
れいむは絶叫した。まあこれは仕方ない。今の今まで溜め込んだあんよを刺繍される苦し
み、痛み。そして家族になされた様々な惨事。それがゆっくりの扱う言語で表現できるは
ずもなく、結果叫ぶしかなくなるのはすごくよくわかる。
口を全開にして叫び、身体をどれだけじたばた揺らしても、れいむの身体はどの方向にも
進まない。刺繍であんよを潰すという当初の目的は見事達成された。
「ゆぎゃああ! ゆぎゃああああ! ゆぎゃああああああああああああ!」
まるで全身スピーカーになったみたいなれいむの絶叫はなかなか止まらない。
オッケー、落ち着いて。悲鳴は十分楽しんだ。私は感想が聞きたいんだ。
かるくオレンジジュースを霧吹きで吹きかけてやる。しばらくすると、れいむはようやく
悲鳴をやめ、荒く呼吸するようになった。人間で言うなら、「肩で息をする」ってところ
だろうか。
落ち着いたようなので、訊ねてみる。
「それで、どう? いい出来でしょ?」
「どぼじで……」
「ん?」
「どぼじでごんなごどするのおおおおおお!?」
おや、これは困った。質問を質問で返されてしまった。
これは明らかに会話のルールを違反している。でも、相手が違反してもこっちはきちんと
ルールを守ろう。
「どうしてって……楽しいから」
「たのじっ……!? ごんなっ! ごんなひどいごどがだのじいいのおおおお!?」
「うん。心底楽しい。れいむだって聞いてたでしょ? 刺繍してるとき私が鼻歌歌ってた
の。楽しそうだった……あんた達流に言えば、『ゆっくりしてた』でしょ?」
「ごんなっ! ひどいっ! ごんなゆっぐじなんでっ……なにがっ……! ゆっぐじ……
!」
「ええ、ゆっくりよ。ゆっくりでゆっくりしてたの」
私が根気よく、ゆっくりでもわかるように言葉を選んで答えてやる。
れいむは私の言葉がいちいち信じられない、理解出来ないといった態度で顔を歪めて問い
続けたが、逐一答えてやった。
まあ、れいむには納得がいかないのだろう。なにしろこのゆっくり一家は特に人間に迷惑
をかけることなく穏やかに暮らしていたのだ。それを私が、純粋に楽しみのためだけに捕
獲して、この上なく楽しんだのだ。向こうからすれば理不尽に思えることだろう。
そんなことを数分続けたころだろうか。質問はいつまでも続くように思えたが、いきなり
止まった。
さきほどまでの狂騒が嘘のように、れいむはぴたりと静かになった。表情を無くし、妙に
達観した目で私を見つめ、口を開いた。
「れいむたちだっていきてるんだよ。ゆっくりしたいだけなんだよ。どうしてこんなこと
するの?」
来た。ゆっくりの悟り状態。ゆっくりの相手をしていれば何度か出会うことだ。妙にゆっ
くりが賢くなり、自分の生を主張してくるのだ。
「どうしてって、だから楽しいから……」
「おねえさん、こんなことされたらいやでしょう?」
「そうね。まっぴらごめんだわ」
「れいむたちだって、おねえさんとおなじようにいきているんだよ。こんなことしちゃい
けないんだよ」
「へえ?」
「ゆっくりは、おいしいごはんたべてむーしゃむーしゃしたり、いっしょにすーりすーり
したりぺーろぺーろしたり、みんなでいっしょにゆっくりしたいだけなんだよ。ゆっくり
だって、いきているんだよ。それなのに、こんなことしたらいけないんだよ」
「いけなくないわ。だって、ゆっくりは生きているから不幸になるのよ。存在するから虐
待されるのよ」
私の回答に、れいむはかっと目を見開いた。おそらく悟り状態のゆっくりでも今の言葉は
理解できなかったのだろう。過去出会ったゆっくりもみんなそうだった。
「ねえ、知ってる? ただ生きるのにも何かの犠牲が必要なのよ」
「ぎせい……?」
「ゆっくりだって、ごはんを食べるために他の生き物を殺すでしょう? 知らないかも知
れないけど、あなたたちの食べている虫も草も木の実も、みんなみんな生きてるのよ。あ
なたたちはそれを犠牲にして生きている。何かの犠牲なくして、何者も存在できないのよ
」
「だから、おねえさんはれいむたちにひどいことするの? れいむたちをぎせいにして、
ゆっくりするの? そんなのへんだよ、おかしいよ……!」
「おかしくないわ。そもそも変なのはあんたたちの方なの。あんたたちは私たち人間の世
界に降って湧いた異物。本来はいてはいけない存在。いるだけでおかしい。だから、あん
たたちゆっくりは『自分がこの世界に存在するために、自分のもっとも大切なものを犠牲
にしている』のよ」
「たいせつなことを、ぎせい……?」
「そう。一番大切なこと……つまり、『ゆっくりすることを犠牲に、ゆっくりはこの世界
に存在している」 の」
「!? お、おかしいよ!」
「なにが?」
「ゆっくりはゆっくりしたいだけなんだよ! そのためにいきてるんだよ!」
「そうね。あんたたちはいつもそう言うわよね」
「ゆっくりは、ゆっくりしちゃいけないの!?」
「ゆっくりしようとすることはいいわ。でもゆっくりはできない。私みたいな人間や厳し
い自然があんたたちから『ゆっくりすること』を奪うから。個人的な感覚だけど、ゆっく
りが存在するためにゆっくりの九割ぐらいがこのくらいひどいめに遭ってるんじゃないか
な?」
「そんな! そんな! そんなあ! じゃあれいむたち、なんのためにうまれるの!?
いきてるの!?」
「私たち人間にとっては、『ゆっくりは虐待されるために存在してる』。あんたたちゆっ
くりにとっては、『ゆっくりは存在するために虐待される』。まとめて言うと、まあ、そ
んな感じ」
「ぞんなああああああ!?」
れいむは恐慌状態に陥った。意味のない言葉をさけぶばかり、先程までの達観した様子が
嘘のよう。ようやくゆっくりの「悟り状態」が壊れた、というわけだ。
こうなるまでの過程はどのゆっくりでもだいたい同じパターンだ。なんども経験している
。それでも、毎回この瞬間は楽しくてたまらない。
ああ、もう今日は十分楽しんだ。続きは明日にでもしよう。
「それじゃあれいむ、ゆっくりしていってね!」
絶望に身を震わし意味のないことばをわめき散らすれいむを残し、私は虐待部屋を後にし
た。
れいむに言ったこと。ゆっくりは虐待されるために存在し、ゆっくりは存在するために虐
待される。
これは実のところ、私が勝手に思っているだけのことだ。でも、当たらずとも遠からず、
と思っている。
だって虐待を通じてあいつらのことを知れば知るほど確信が深まるのだから。壊されるこ
と前提の、薄氷の上のようなゆっくりの生き様にだってうまく説明がつく。
そう考えると、今のれいむの状態は面白い。
あのゆっくりは今、幸せだった家族の光景をあんよの下にして存在している。しあわせに
自らのあんよを縛られ、動くことも出来ない。まさにゆっくりの在り方の縮図ではないだ
ろうか。
思いつきにしてはなかなかいい虐待だった。明日もこんな風に楽しみたい。
そんなことを考えながら、私は明日にそなえて早く床に就くことを心に決めるのだった。
了
by触発あき
・過去作品
ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKI - 触発あきの作品集
http://www21.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/32.html
感想はこちらにいただけるとありがたいです
触発あき - ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666597/l50
虐待 現代 虐待人間 独自設定 ※触発あき
※餡庫では相変わらずアク禁なのでこちらに投下
※独自設定垂れ流し
※特に何かに触発されたというわけでもないのですが、なんとなくゆるっと思いついたの
で書いてみました
きっと暑いせいです
さて、と私は出来上がった作品を見上げた。
裁縫が得意でもないのに、刺繍に挑戦してみた。慣れないことと、素材が少々特殊なこと
もあって、お世辞にも上手いとは言えない歪な出来栄え。
でも、描きたいものはそれなりに表現できているのではないかと自負している。
刺繍糸で描かれたそれは、おうちの中でゆっくりするゆっくりの一家だ。
黒の三角、黒の丸で描かれたのは、ゆっくりまりさ。この一家の大黒柱だ。その自慢のお
帽子を得意の狩りの成果でいっぱいにし、いつでも家族をゆっくりさせる力強く心優しい
ゆっくりだ。
その近く。小さな肌色の丸に、赤い三角の刺繍。一家の長女の子れいむだ。モミアゲをい
つもピコピコさせている、元気いっぱいの子ゆっくりだ。
隣には小さな黒三角に黒丸。一家の次女、子まりさだ。ちょっとやんちゃでかわいく元気
な一家の人気者だ。
そんなゆっくりたちが、おうちの中でのんびりとしている。生地から滲み出る色も相まっ
て、ゆっくりのおうち特有の暖かみみたいなものが感じられるように思える。
子ゆっくりたちを産んだおかあさんのれいむは描かれていない。物足りなく思えるかも知
れないが、実際にこの刺繍を見てそう思う者はきっといないだろう。これはそういうもの
なのだ。
素朴で歪な刺繍だけれど、ゆっくり特有の「ゆっくりした雰囲気」みたいなものは十分に
描けているのではないかと思う。それだけはちょっと自信がある。だからどんなに稚拙で
歪な出来栄えでも、これは絶対に失敗作ではない。傑作と言ってもいいだろう。
「……なんて思うんだけど、どう思う?」
問いかけると、刺繍の生地がぐねりと歪んだ。それとともに、刺繍糸の間から漏れでた生
地が、刺繍を餡子色に滲ませる。それは刺繍に深みを加えた。
絵や彫刻は一般に一瞬の美しさを永遠にとどめることを目的にする。しかし、これはそれ
とは真逆で、時と共に変化する。いずれは劣化し生ごみとなる。実に趣深い。
刻一刻と変化するこの一瞬一瞬を、しかしずっととどめておきたくて、製作過程からずっ
と撮影を続けている。USBのカメラで写した映像は、ノートパソコンの画面でリアルタ
イムに変換され、動画として保存されている。
その様を見せ、問いかける。
「テーマは、『しあわせなゆっくり一家』。じつにゆっくりしてるでしょ?」
刺繍はうねり、またしても違った趣を生み出した。
さすがおかあさん。生むのは大の得意なんだね。
刺繍の生地……あんよの持ち主であるゆっくりれいむの様子に満足し、私は微笑んだ。
ゆっくり編まれた存在理由
ゆっくりのあんよに刺繍をしよう、というのはほんの思いつきだった。
あんよを潰すには、焼くのが一般的。紙やすりで削ったり、刃物で切れ目を入れるなんて
言う方法もある。
たまには変わったやり方でやってみようと思い、刺繍を思い立ったのだ。それはよかった
のけれど、これがなかなか難しい。
なにしろゆっくりは生きているナマモノだ。当然動く。針が刺されば悲鳴を上げ、糸が通
れば痛みに震える。あんよはゆっくりの身体の中でも特によく動く部分だから、いくらゆ
っくりが鈍いと言っても刺繍は大変だ。
あんよって波打つように動くのだ。縫いづらいばかりでなく、ずっと見てると少し気分が
悪くなる。
動かないように焼くことも考えたが、それでは生地が真っ黒で面白みに欠ける。刃物で切
れ目というのも仕上がりが汚くなりそうだ。第一ただでさえもろいゆっくり、あんよが刺
繍に耐えられなくなっては意味が無い。
仕方ないのであんよをハエたたきでしこたま叩いて一時的に麻痺させた。それでも針を刺
し刺繍糸をくぐらすたびに震えるので実に難しい。だけど、それはほどよい難易度。困難
にかえって燃えて熱中し、かくしてこの傑作は出来上がったわけである。
「こんなにしあわせな家族だったのにねぇ……」
ノートパソコンの録画画面の静止画を保存。それを表示させたまま、れいむを正常位置に
立ち上がらせてやった。
せっかくの傑作が下敷きになってしまうわけだが、まあこれはそういうものだ。別に構わ
ない。
「ほら、あなたのダーリンのまりさ。よく描けてるでしょう?」
そう言って画面の中、刺繍で描かれたまりさを指す。
黒三角に、黒丸。まりさは金髪だから、この配色はふさわしくないと思えるか知れない。
でも、そんなことはないのだ。
あんよの動かないれいむをまりさの方に向けてやる。
そこには刺繍と変わらない色のまりさがいた。
綺麗だったおはだは真っ黒けっけ。煌く金髪は跡形も無い。
ガスバーナーで全身あぶられ黒焦げになったまりさだった。
ゆっくりまりさは一般におぼうしをなによりも大切にするものだが、このまりさも例外で
はなかった。
よけるとおぼうしが燃える、と脅してやったら自分の身を呈して守ろうとした。それでも
おぼうしが燃えてしまうことはあったが、それは私が消火してやった。おぼうしを飾るリ
ボンも焼け焦げ煤け、元の白などわからないぐらい黒く染まった。
結果、刺繍と同じく黒三角で黒丸のまりさの出来上がりというわけだ。
「子れいむも実にいい感じでしょう?」
次に指し示すのは肌色の丸に、赤い三角の子れいむ。
この子には、生ごみをおなかいっぱい食べさせてあげた。すると当然うんうんをしたくな
る。
うんうんをした瞬間を見計らい、まな板などの平たいもので一気に押しつぶす。
タイミングと力加減がうまくいくと、体中の餡子があにゃるから放出される。そして、内
圧に押されて髪の毛がごっそり全部抜ける。残るのはゆっくりの皮とおりぼんだけ。ぺし
ゃんこに潰れたそれらは、さながらゆっくりの押し花と言ったところだ。
元々ある穴から餡子を排出するので皮もほとんど傷つかない。ゆっくりの剥製を作るのに
にもおすすめの方法だ。
「子まりさだって、ずいぶん苦労したんだよ」
親のまりさと同様に、黒三角に、黒丸で描かれた子まりさ。親まりさと同じ配色だが、使
ったのはちょっと凝った手法だ。
用意するのはピンクローターにアカスリ。
まず、ピンクローターでゆっくりを発情させる。そしてすっきりーしそうになったところ
で、アカスリでもみしだく。この手順を繰り返すのだ。サイズは今回のような子ゆっくり
ぐらい、アカスリは手袋タイプがやりやすいだろう。
ゆっくりは発情すると全身から粘液を出す。このぬるぬるした状態のゆっくりをアカスリ
でこすると、薄く皮が剥げる。どの程度皮を剥ぐか、その調整は簡単で、上手くやると葛
菓子のように餡子が透けて見える半透明ゆっくりが出来上がる。制作過程で痛みで餡子を
吐き出して絶命することがあるため、穴という穴を事前に焼き潰しておくのも重要なポイ
ントだ。そこさえ注意すれば意外と簡単。
ゆっくりが死ぬ条件は、一定量以上の餡子を失うことか、中枢餡が破壊されること。この
半透明ゆっくりはその条件を満たさないから死なないと思いきや、ちょっと違う。
皮があまりにも薄くなったため、徐々に体中の餡子が「身体の外に排出された」と認識し
始める。つまり、思い込みで餡子が勝手に死に始めるのだ。それが中枢餡にまで達すると
、ゆっくりは死ぬ。個体差が大きいが、だいたい死ぬまで三時間ぐらいかかるらしい。こ
の子まりさも震えが止まるまでだいたいそのくらいだったように思う。
徐々に死んでいく自分の身体。削られた皮から伝わる痛みに微動だにできず、震えるだけ
のその時間はどれほど恐ろしいものだろうか。
見た目は地味だけれど、なかなか味わい深い手法なのだ。
「ねえ、どう思う?」
「………」
刺繍に描かれた通りになった家族の有様を全部見せてやったが、れいむはひとことも答え
てくれない。
自分としては、刺繍の出来栄えも家族の仕上がりも満足のいくものなのに、一番の観客で
あるれいむがなにも言ってくれないのはとてもとても寂しく残念だ。
と思いきや。れいむはしゃべることが出来ない状態だった。
刺繍の最中に餡子を吐き始めたものだから、口をホッチキスで厳重にふさいだのだった。
さっそく外してやる。すると、
「ゆっぎゃああああああああ!」
れいむは絶叫した。まあこれは仕方ない。今の今まで溜め込んだあんよを刺繍される苦し
み、痛み。そして家族になされた様々な惨事。それがゆっくりの扱う言語で表現できるは
ずもなく、結果叫ぶしかなくなるのはすごくよくわかる。
口を全開にして叫び、身体をどれだけじたばた揺らしても、れいむの身体はどの方向にも
進まない。刺繍であんよを潰すという当初の目的は見事達成された。
「ゆぎゃああ! ゆぎゃああああ! ゆぎゃああああああああああああ!」
まるで全身スピーカーになったみたいなれいむの絶叫はなかなか止まらない。
オッケー、落ち着いて。悲鳴は十分楽しんだ。私は感想が聞きたいんだ。
かるくオレンジジュースを霧吹きで吹きかけてやる。しばらくすると、れいむはようやく
悲鳴をやめ、荒く呼吸するようになった。人間で言うなら、「肩で息をする」ってところ
だろうか。
落ち着いたようなので、訊ねてみる。
「それで、どう? いい出来でしょ?」
「どぼじで……」
「ん?」
「どぼじでごんなごどするのおおおおおお!?」
おや、これは困った。質問を質問で返されてしまった。
これは明らかに会話のルールを違反している。でも、相手が違反してもこっちはきちんと
ルールを守ろう。
「どうしてって……楽しいから」
「たのじっ……!? ごんなっ! ごんなひどいごどがだのじいいのおおおお!?」
「うん。心底楽しい。れいむだって聞いてたでしょ? 刺繍してるとき私が鼻歌歌ってた
の。楽しそうだった……あんた達流に言えば、『ゆっくりしてた』でしょ?」
「ごんなっ! ひどいっ! ごんなゆっぐじなんでっ……なにがっ……! ゆっぐじ……
!」
「ええ、ゆっくりよ。ゆっくりでゆっくりしてたの」
私が根気よく、ゆっくりでもわかるように言葉を選んで答えてやる。
れいむは私の言葉がいちいち信じられない、理解出来ないといった態度で顔を歪めて問い
続けたが、逐一答えてやった。
まあ、れいむには納得がいかないのだろう。なにしろこのゆっくり一家は特に人間に迷惑
をかけることなく穏やかに暮らしていたのだ。それを私が、純粋に楽しみのためだけに捕
獲して、この上なく楽しんだのだ。向こうからすれば理不尽に思えることだろう。
そんなことを数分続けたころだろうか。質問はいつまでも続くように思えたが、いきなり
止まった。
さきほどまでの狂騒が嘘のように、れいむはぴたりと静かになった。表情を無くし、妙に
達観した目で私を見つめ、口を開いた。
「れいむたちだっていきてるんだよ。ゆっくりしたいだけなんだよ。どうしてこんなこと
するの?」
来た。ゆっくりの悟り状態。ゆっくりの相手をしていれば何度か出会うことだ。妙にゆっ
くりが賢くなり、自分の生を主張してくるのだ。
「どうしてって、だから楽しいから……」
「おねえさん、こんなことされたらいやでしょう?」
「そうね。まっぴらごめんだわ」
「れいむたちだって、おねえさんとおなじようにいきているんだよ。こんなことしちゃい
けないんだよ」
「へえ?」
「ゆっくりは、おいしいごはんたべてむーしゃむーしゃしたり、いっしょにすーりすーり
したりぺーろぺーろしたり、みんなでいっしょにゆっくりしたいだけなんだよ。ゆっくり
だって、いきているんだよ。それなのに、こんなことしたらいけないんだよ」
「いけなくないわ。だって、ゆっくりは生きているから不幸になるのよ。存在するから虐
待されるのよ」
私の回答に、れいむはかっと目を見開いた。おそらく悟り状態のゆっくりでも今の言葉は
理解できなかったのだろう。過去出会ったゆっくりもみんなそうだった。
「ねえ、知ってる? ただ生きるのにも何かの犠牲が必要なのよ」
「ぎせい……?」
「ゆっくりだって、ごはんを食べるために他の生き物を殺すでしょう? 知らないかも知
れないけど、あなたたちの食べている虫も草も木の実も、みんなみんな生きてるのよ。あ
なたたちはそれを犠牲にして生きている。何かの犠牲なくして、何者も存在できないのよ
」
「だから、おねえさんはれいむたちにひどいことするの? れいむたちをぎせいにして、
ゆっくりするの? そんなのへんだよ、おかしいよ……!」
「おかしくないわ。そもそも変なのはあんたたちの方なの。あんたたちは私たち人間の世
界に降って湧いた異物。本来はいてはいけない存在。いるだけでおかしい。だから、あん
たたちゆっくりは『自分がこの世界に存在するために、自分のもっとも大切なものを犠牲
にしている』のよ」
「たいせつなことを、ぎせい……?」
「そう。一番大切なこと……つまり、『ゆっくりすることを犠牲に、ゆっくりはこの世界
に存在している」 の」
「!? お、おかしいよ!」
「なにが?」
「ゆっくりはゆっくりしたいだけなんだよ! そのためにいきてるんだよ!」
「そうね。あんたたちはいつもそう言うわよね」
「ゆっくりは、ゆっくりしちゃいけないの!?」
「ゆっくりしようとすることはいいわ。でもゆっくりはできない。私みたいな人間や厳し
い自然があんたたちから『ゆっくりすること』を奪うから。個人的な感覚だけど、ゆっく
りが存在するためにゆっくりの九割ぐらいがこのくらいひどいめに遭ってるんじゃないか
な?」
「そんな! そんな! そんなあ! じゃあれいむたち、なんのためにうまれるの!?
いきてるの!?」
「私たち人間にとっては、『ゆっくりは虐待されるために存在してる』。あんたたちゆっ
くりにとっては、『ゆっくりは存在するために虐待される』。まとめて言うと、まあ、そ
んな感じ」
「ぞんなああああああ!?」
れいむは恐慌状態に陥った。意味のない言葉をさけぶばかり、先程までの達観した様子が
嘘のよう。ようやくゆっくりの「悟り状態」が壊れた、というわけだ。
こうなるまでの過程はどのゆっくりでもだいたい同じパターンだ。なんども経験している
。それでも、毎回この瞬間は楽しくてたまらない。
ああ、もう今日は十分楽しんだ。続きは明日にでもしよう。
「それじゃあれいむ、ゆっくりしていってね!」
絶望に身を震わし意味のないことばをわめき散らすれいむを残し、私は虐待部屋を後にし
た。
れいむに言ったこと。ゆっくりは虐待されるために存在し、ゆっくりは存在するために虐
待される。
これは実のところ、私が勝手に思っているだけのことだ。でも、当たらずとも遠からず、
と思っている。
だって虐待を通じてあいつらのことを知れば知るほど確信が深まるのだから。壊されるこ
と前提の、薄氷の上のようなゆっくりの生き様にだってうまく説明がつく。
そう考えると、今のれいむの状態は面白い。
あのゆっくりは今、幸せだった家族の光景をあんよの下にして存在している。しあわせに
自らのあんよを縛られ、動くことも出来ない。まさにゆっくりの在り方の縮図ではないだ
ろうか。
思いつきにしてはなかなかいい虐待だった。明日もこんな風に楽しみたい。
そんなことを考えながら、私は明日にそなえて早く床に就くことを心に決めるのだった。
了
by触発あき
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