ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3140 ゆっくり駆除業者のお仕事風景5 後編
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『ゆっくり駆除業者のお仕事風景5 後編』 21KB
野良ゆ 独自設定 なんか色々と好き勝手やってすみません。
野良ゆ 独自設定 なんか色々と好き勝手やってすみません。
初めましての方は初めまして
前作を見てくださった方はありがとうございます。
投稿者の九郎です。
タイトルどおり前作の続編です。
前作を見てくださった方はありがとうございます。
投稿者の九郎です。
タイトルどおり前作の続編です。
いくさんをかわいがるので饅・即・虐の方はご注意。
――――同日、午後1時――――
「なんだよ、それ…」
俺は女の子の指し示した方向へ歩を進めておよそ十五分。
たどり着いた先には髪の長い胴付きゆっくりがいた。
たどり着いた先には髪の長い胴付きゆっくりがいた。
「ゲラゲラゲラゲラ」
「うるさいぞ」
「ケラ?」
「うるさいぞ」
「ケラ?」
ネクタイを締めたブレザーにミニスカート。
薄紫の髪に兎の耳。
希少種ゆっくり、うどんげだった。
薄紫の髪に兎の耳。
希少種ゆっくり、うどんげだった。
「あはははははは…よしよし」
「ゲラゲラゲラ」
「ゲラゲラゲラ」
俺は力なく笑ってからうどんげの頭を撫でてやる。
近づく俺に何の警戒も見せなかったばかりか
頭を撫でられて気持ちよさそうにしている。
近づく俺に何の警戒も見せなかったばかりか
頭を撫でられて気持ちよさそうにしている。
うどんげ種は気が弱く依存性が強い種類だと聞いた。
ゲラゲラとしか言えないが頭がよく、訓練すれば筆談もできる。
大人しくゲス化の可能性も低いためペット用としては人気の高い種だ。
もっともその希少性から野生で見かけることは困難だが。
ゲラゲラとしか言えないが頭がよく、訓練すれば筆談もできる。
大人しくゲス化の可能性も低いためペット用としては人気の高い種だ。
もっともその希少性から野生で見かけることは困難だが。
「ともかく、これで捜索も振り出しか…」
うどんげの発見は決して意味の無いとは言えないが。
場合によっては高く売れるし。
問題はあのゆっくりが目撃したのがこいつだったこと。
変な事を言ってた、と話していたが
そりゃあこいつの笑い声だけで会話は不可能だしな…。
場合によっては高く売れるし。
問題はあのゆっくりが目撃したのがこいつだったこと。
変な事を言ってた、と話していたが
そりゃあこいつの笑い声だけで会話は不可能だしな…。
「やれやれ、じゃあ俺は行くから。達者でな」
その場を去ろうとすると、キュッと何かに引っ張られる感じ。
「な、なんだよ…」
「ゲラゲラ」
「いやわかんねーし」
「ゲラゲラ」
「いやわかんねーし」
なおも俺のズボンの下のほうをクイクイと軽く引っ張る。
「俺は仕事中なんだよ」
「ゲラゲラゲラゲラ」
「おいって…」
「ゲラゲラゲラゲラ」
「おいって…」
所詮はゆっくり。
力を入れて引っ張れば軽く振り解けるのだがそうする気にもなれない。
うどんげ種のゲラゲラという声は賛否両論。
喋れないうどんげに理解を示す人もいるが
逆に癇に障ると虐待をする人もいる。
幸か不幸か俺は前者だった。
力を入れて引っ張れば軽く振り解けるのだがそうする気にもなれない。
うどんげ種のゲラゲラという声は賛否両論。
喋れないうどんげに理解を示す人もいるが
逆に癇に障ると虐待をする人もいる。
幸か不幸か俺は前者だった。
「な、放してくれよ」
「ゲラゲラ…ケラ……」
「な、泣くなって…」
「ゲラゲラ…ケラ……」
「な、泣くなって…」
やんわりと手で引き剥がそうとすると
笑い声(?)をやめて涙を流し始めてしまう。
笑い声(?)をやめて涙を流し始めてしまう。
「わ、わかったわかった。
ついていけばいいんだろ?」
「ゲラゲラ」
ついていけばいいんだろ?」
「ゲラゲラ」
俺は仕方なくうどんげの引っ張る方向について行った。
――――同日?時刻不明――――
うどんげに引っ張られて、と言ってももう裾はつかまれていないのだが
まあとにかくついていくこと十分前後。
俺はだんだん心配になってきて無駄だと思いつつうどんげに聞いてみる。
まあとにかくついていくこと十分前後。
俺はだんだん心配になってきて無駄だと思いつつうどんげに聞いてみる。
「なあ、一体何処まで行くつもりなんだ?」
「ゲラゲラゲラ」
「ゲラゲラゲラ」
言葉を喋る野良ゆっくりが鬱陶しいと思ったことはあったが
話すことの出来ないならできないで面倒であるという珍しいケースに遭遇していた。
ここまで来ると多少良心がとがめるが放って帰った方がいいのかもしれない。
話すことの出来ないならできないで面倒であるという珍しいケースに遭遇していた。
ここまで来ると多少良心がとがめるが放って帰った方がいいのかもしれない。
「ゲラゲラ」
「ん?どうした…あ?」
「ん?どうした…あ?」
うどんげが立ち止まって指を差した先には、人が倒れていた。
「大丈夫か…って、え!?」
「ちょっと身体が痛む程度だ…私なら大丈夫」
「ちょっと身体が痛む程度だ…私なら大丈夫」
仰向けに倒れていたその人は右手を上げて軽く振る。
白く長い髪。赤と白の無数のリボン。
これではまるで…
白く長い髪。赤と白の無数のリボン。
これではまるで…
「…もこう?」
「え?あんた、知り合いだったっけ?…痛っ!!」
「お、おい、大丈夫か!?怪我しているのか!?
今救急車を…あれ?」
「え?あんた、知り合いだったっけ?…痛っ!!」
「お、おい、大丈夫か!?怪我しているのか!?
今救急車を…あれ?」
携帯を取り出してみるが圏外になっている。
馬鹿な。いくらなんでもこの山はそんなに辺鄙なところじゃないぞ。
馬鹿な。いくらなんでもこの山はそんなに辺鄙なところじゃないぞ。
「それが、幻想郷縁起に載ってた『ケイタイ』というやつか…
いや、本自体に名前は載ってなかったか?」
「携帯を知らないのか…?今時珍しいなんてもんじゃないぞ。
そんなことより、怪我は大丈夫なのか?」
「ああ大丈夫。怪我自体はもう治ってる。
体力的な問題だな」
いや、本自体に名前は載ってなかったか?」
「携帯を知らないのか…?今時珍しいなんてもんじゃないぞ。
そんなことより、怪我は大丈夫なのか?」
「ああ大丈夫。怪我自体はもう治ってる。
体力的な問題だな」
身体が痛むのか寝たままのその人。
いや、女の子、か?
さっきの早苗と名乗った彼女よりは年上に見えるが。
大体十八、九というところだろうか。
いや、女の子、か?
さっきの早苗と名乗った彼女よりは年上に見えるが。
大体十八、九というところだろうか。
「まあとにかく、山を降りよう。手を貸すから」
「大丈夫だって、しばらくじっとしていれば治る」
「そう言うな。俺はこれでも体力はそこそこあるという評価を貰った。
アンタを抱えていても三十分もあれば戻れる」
「大丈夫だって言って…いたたたた」
「強情だな。男に抱えられるというのが気に入らないか?」
「はははっ…そういう感覚は久しく忘れていたよ」
「???」
「全く、あいつあったらいきなり仕掛けて来るんだもんなぁ。
おかげであたり一面えらいことに…」
「大丈夫だって、しばらくじっとしていれば治る」
「そう言うな。俺はこれでも体力はそこそこあるという評価を貰った。
アンタを抱えていても三十分もあれば戻れる」
「大丈夫だって言って…いたたたた」
「強情だな。男に抱えられるというのが気に入らないか?」
「はははっ…そういう感覚は久しく忘れていたよ」
「???」
「全く、あいつあったらいきなり仕掛けて来るんだもんなぁ。
おかげであたり一面えらいことに…」
さっきから、微妙に意思疎通ができていない。
それは携帯のことだったり怪我のことだったりするのだが
根本的な何かを見落としている気がする。
それは携帯のことだったり怪我のことだったりするのだが
根本的な何かを見落としている気がする。
「なあ、この辺りでもこうを見たという話があるのだが、知ってるか?」
「はぁ?何言ってるんだ。見たもなにもないだろう。
それともまさか、自分自身は見れないなんて
トンチをかますつもりじゃないだろうな?」
「???…まあとにかく、ここはある人間の私有地のはずだ。
何してたか知らないけどとにかく移動するぞ」
「ああ、確かにこの竹林は普通のやつなら追い返されるだろうが
私は顔パスだ。問題ない」
「竹林…竹林って、竹が何処にあるって…」
「はぁ?何言ってるんだ。見たもなにもないだろう。
それともまさか、自分自身は見れないなんて
トンチをかますつもりじゃないだろうな?」
「???…まあとにかく、ここはある人間の私有地のはずだ。
何してたか知らないけどとにかく移動するぞ」
「ああ、確かにこの竹林は普通のやつなら追い返されるだろうが
私は顔パスだ。問題ない」
「竹林…竹林って、竹が何処にあるって…」
周りを見てみると、竹が生い茂っていた。
「え!?ちょっと待て、この山に竹なんか生えてたか!?」
「生えてるも何も、そこら中に…ああ、そういうことか…
よし、そろそろ動けるな」
「生えてるも何も、そこら中に…ああ、そういうことか…
よし、そろそろ動けるな」
先ほどまでに怪我人のような鈍い動きをしていた彼女は
少々身体をバキバキいわせながら上半身を起こすと普通に立ち上がった。
少々身体をバキバキいわせながら上半身を起こすと普通に立ち上がった。
「え?おい、怪我は大丈夫なのか?」
「大丈夫、見ての通りな…それよりアンタ
来た道を真っ直ぐ戻らないと面倒なことになるぞ」
「面倒って、この山ならコンパスと地図を持ってりゃそんな危ないことは」
「理由はわからなくていい。
あいつがいきなり現れていきなり仕掛けてくるから何かと思えば
ここで何かが起きてることは間違いないんだな…
おかげでえらいことになったけど」
「何を言っている?分かるように説明してくれ」
「分からないほうがいい。
アンタは多分、火事を起こした奴を探しに来たんだろうが
アンタに見つけることも捕まえることも不可能だ。
とっとと帰ったほうが身のためだ」
「………………」
「大丈夫、見ての通りな…それよりアンタ
来た道を真っ直ぐ戻らないと面倒なことになるぞ」
「面倒って、この山ならコンパスと地図を持ってりゃそんな危ないことは」
「理由はわからなくていい。
あいつがいきなり現れていきなり仕掛けてくるから何かと思えば
ここで何かが起きてることは間違いないんだな…
おかげでえらいことになったけど」
「何を言っている?分かるように説明してくれ」
「分からないほうがいい。
アンタは多分、火事を起こした奴を探しに来たんだろうが
アンタに見つけることも捕まえることも不可能だ。
とっとと帰ったほうが身のためだ」
「………………」
一人だけ得心のいった様子に納得はいかないが
恐らくこれ以上聞いても答えてはもらえないだろう。
恐らくこれ以上聞いても答えてはもらえないだろう。
「そういや、うどんげは?」
「うどんげ?ひょっとしてあの兎か?」
「兎…?まあ確かに兎の耳らしきものはついているが…」
「ああいや、忘れてくれ(ゆっくりの方だったか…)」
「………なあアンタ、少なくとも俺よりは
今の状況に詳しそうだ。一度だけ聞く。
一体何があったか話してもらえないか?」
「だったら私も一度だけ言う。
いつも通りの生活に戻りたければもと来た道を真っ直ぐ戻れ。
恐らくそうすることがアンタのためだ」
「………………」
「うどんげ?ひょっとしてあの兎か?」
「兎…?まあ確かに兎の耳らしきものはついているが…」
「ああいや、忘れてくれ(ゆっくりの方だったか…)」
「………なあアンタ、少なくとも俺よりは
今の状況に詳しそうだ。一度だけ聞く。
一体何があったか話してもらえないか?」
「だったら私も一度だけ言う。
いつも通りの生活に戻りたければもと来た道を真っ直ぐ戻れ。
恐らくそうすることがアンタのためだ」
「………………」
俺達はしばらく無言でにらみ合う。
心臓がものすごい速度で鳴っていた。
間違いない。この女の子も何かやばい雰囲気を纏っている。
俺はふぅ、とため息をついて緊張を解く。
心臓がものすごい速度で鳴っていた。
間違いない。この女の子も何かやばい雰囲気を纏っている。
俺はふぅ、とため息をついて緊張を解く。
「分かった。アンタの言うとおりにしよう。
ただ、どうしてもこれだけは聞いておかなければならない」
「何か?」
「もうアンタが何者でここで何をしていたのかも聞かないし
アンタがなんと答えようがこれに答えてもらったら
俺は真っ直ぐ来た道を戻る。
だからアンタも真剣に答えてくれ」
「もったいぶらなくていい」
「昨日の火事の原因は、アンタじゃなのか?」
「………………………そうだ」
「…分かった。へんなこと聞いてすまなかったな」
「別にいいよ。アンタも、好きでここに来たんじゃないんだろう?」
「まあな…ではさようならだ」
「ああ、さようなら」
ただ、どうしてもこれだけは聞いておかなければならない」
「何か?」
「もうアンタが何者でここで何をしていたのかも聞かないし
アンタがなんと答えようがこれに答えてもらったら
俺は真っ直ぐ来た道を戻る。
だからアンタも真剣に答えてくれ」
「もったいぶらなくていい」
「昨日の火事の原因は、アンタじゃなのか?」
「………………………そうだ」
「…分かった。へんなこと聞いてすまなかったな」
「別にいいよ。アンタも、好きでここに来たんじゃないんだろう?」
「まあな…ではさようならだ」
「ああ、さようなら」
傍から聞けば滑稽な挨拶だが少なくとも、俺は真剣だった。
恐らく彼女も。
そして、それは彼女に二度と会うことがないだろうという意味合いを込めて言った。
恐らく彼女も。
そして、それは彼女に二度と会うことがないだろうという意味合いを込めて言った。
――――同日、午後7時――――
森の中を進んでいると、気がついたら俺は道路に出ていた。
もう日が沈みかけている。
携帯を見てみると、アンテナも立っているし時刻は7時を
回っていることを指していた。
もう日が沈みかけている。
携帯を見てみると、アンテナも立っているし時刻は7時を
回っていることを指していた。
「火事、か…」
彼女が本当のことを言ったかどうかは分からない。
だが、目撃されたゆっくりと火災の原因を突き止めた以上
俺にできることはもうない。
だが、駆除職員としての仕事は終わっていない。
なぜなら、もこうを捕まえていないからだ。
だが、目撃されたゆっくりと火災の原因を突き止めた以上
俺にできることはもうない。
だが、駆除職員としての仕事は終わっていない。
なぜなら、もこうを捕まえていないからだ。
「ゆゆ~おにいさんはゆっくりできるひと?」
「ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりしていってね!!!」
番らしき野生のれいむとまりさが近づいてきた。
俺は持っていた甘味を取り出し、二匹の前にちらつかせてやる。
俺は持っていた甘味を取り出し、二匹の前にちらつかせてやる。
「なあ、こいつをやるからちょっと話を聞かせてくれないか?」
「ゆ!ゆっくりきくよ!」
「はやくあまあまちょうだいね!!」
「昨日火事…森が燃えているのを見なかったか?」
「ゆゆ~!あれはすごかったよ!!」
「まりさはゆうしゅうだからもうひっこしていえができてるよ!」
「ゆ!ゆっくりきくよ!」
「はやくあまあまちょうだいね!!」
「昨日火事…森が燃えているのを見なかったか?」
「ゆゆ~!あれはすごかったよ!!」
「まりさはゆうしゅうだからもうひっこしていえができてるよ!」
なにやら、比較的善良な番だな。
「ならば、こんなゆっくりを見なかったか?」
俺はゆっくりもこうの写真を見せて問う。
「そんなゆっくりしらないよ!」
「れいむもしらないよ!」
「そうかい。ならそれが、多分事実なんだろう。
ほらよ」
「ゆー!あまあまさん!!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「れいむもしらないよ!」
「そうかい。ならそれが、多分事実なんだろう。
ほらよ」
「ゆー!あまあまさん!!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
そんなことを言っている饅頭二匹をその場に残して
俺は合流地点へ向かった。
俺は合流地点へ向かった。
――――翌日、午前6時――――
俺達は移動用の大型輸送車にいた。
一応ホテルはとってあったのだが部屋は三人で一部屋。
あんな軍隊もどきの連中と一緒では全く気の休まる時間などなかった。
一応ホテルはとってあったのだが部屋は三人で一部屋。
あんな軍隊もどきの連中と一緒では全く気の休まる時間などなかった。
「では、今日の方針を説明する」
結局、昨日の話を報告できるはずもなく。
ある種予定通りのもこう捜索会議が始まる。
この狭い輸送車両の荷台は精鋭部隊用らしい。
左右には小さな椅子が取り付けられており
中央にはギリギリテーブルが置ける隙間があった。
ここが俺達の屋外会議場と化していた。
ある種予定通りのもこう捜索会議が始まる。
この狭い輸送車両の荷台は精鋭部隊用らしい。
左右には小さな椅子が取り付けられており
中央にはギリギリテーブルが置ける隙間があった。
ここが俺達の屋外会議場と化していた。
「…とりあえず担当区域は以上だ。
何か質問は?」
「………………」
「無いようなので、会議はここまでとする。
では各自解散して捜索にかかれ」
「はい!」
「駆け足!」
「はい!!!」
何か質問は?」
「………………」
「無いようなので、会議はここまでとする。
では各自解散して捜索にかかれ」
「はい!」
「駆け足!」
「はい!!!」
こんな時間に大きな声を出せば周囲の迷惑になるというのに。
「何をしている!お前は昨日の担当区域と変わらん!さっさと行け!」
「はい!!」
「はい!!」
正直言うと俺はすっかりやる気をなくしていた。
昨日の話を報告したところで変人扱いされるだけだし
そもそも火災の犯人らしき人物を俺は放置してきてしまったのだ。
お話にならない。
かといって、俺にとって重要な局面で
サボりなどしていれば後々まで問題になる。
ただ、あの山には入りたくないなー等と考えつつ
担当区域付近へ向かっていた。
昨日の話を報告したところで変人扱いされるだけだし
そもそも火災の犯人らしき人物を俺は放置してきてしまったのだ。
お話にならない。
かといって、俺にとって重要な局面で
サボりなどしていれば後々まで問題になる。
ただ、あの山には入りたくないなー等と考えつつ
担当区域付近へ向かっていた。
――――同日、午前9時――――
「いいえ、昨日は誰も尋ねてきませんでしたが」
「そうですか…失礼しました」
「そうですか…失礼しました」
で、俺は神社に来ていた。
だが半ば予想していた答えに俺は落胆とも安心とも分からない
微妙な気持ちになった。
俺は、昨日見聞きしたことを忘れるべきなんだろうか?
だが半ば予想していた答えに俺は落胆とも安心とも分からない
微妙な気持ちになった。
俺は、昨日見聞きしたことを忘れるべきなんだろうか?
「いや…そうだな」
この話は追求しようがない。
忘れるかどうかはさておき
少なくとも考えても分からないことを考えるのはもうやめよう。
俺は、駆除業者なんだから。
忘れるかどうかはさておき
少なくとも考えても分からないことを考えるのはもうやめよう。
俺は、駆除業者なんだから。
――――同日、午前11時――――
結局俺は任務に戻っている。
付近の住民に髪の長いゆっくりがいなかったかと
聞いて回っているのだ。
付近の住民に髪の長いゆっくりがいなかったかと
聞いて回っているのだ。
「いや、見てないねー」
「そうですか、ありがとうございました」
「そうですか、ありがとうございました」
あの時の自白が本当だったかなど分からない。
あれはただの冗談だったのかもしれないし
俺が見た白昼夢だったのかもしれない。
分からないから可能性を潰すしかない。
それは元の任務、ゆっくりもこうの捜索。
あれはただの冗談だったのかもしれないし
俺が見た白昼夢だったのかもしれない。
分からないから可能性を潰すしかない。
それは元の任務、ゆっくりもこうの捜索。
「収穫なしかー」
地図を見るがやっぱり住宅街の周りにもこうがいるとは思えない。
担当の捜索範囲は森八割、市街地二割といった具合。
担当の捜索範囲は森八割、市街地二割といった具合。
「やっぱり森の中を地道に歩き回るしかないのか」
森の境目の道路に足を踏み入れる。
ゆっくりがこの世界に現れる前からあるこの道路は
対ゆっくり用の対策が施されておらず
交通量が少ないらしい。
ゆっくりがこの世界に現れる前からあるこの道路は
対ゆっくり用の対策が施されておらず
交通量が少ないらしい。
「ここはれいむのゆ゙っ!!!」
「やかましい」
「ゆ゙ゔゔーーーーーーーーー!!!!」
「やかましい」
「ゆ゙ゔゔーーーーーーーーー!!!!」
多段延長が可能な棒で中枢餡を貫通してやる。
ぐりぐりとかき回してやるとあっという間に動かなくなった。
死んではいないが。
ぐりぐりとかき回してやるとあっという間に動かなくなった。
死んではいないが。
「こうなってくると、一匹一匹探していくより
一匹一匹殺していったほうが早いのかねぇ」
一匹一匹殺していったほうが早いのかねぇ」
棒を引き抜くと痙攣するゆっくりを省みることなく
俺は件の山の中に入っていった。
俺は件の山の中に入っていった。
――――同日、正午――――
「ん~」
俺は地図と前を交互に見ながら歩を進めていく。
問題をまとめようにも手がかりなど
目撃位置しかない。
火災発生予想地点から200mの地点。
そして髪の長いゆっくりを見た、という目撃証言。
目撃証言がもこうであった可能性はゼロではない。
やつらゆっくりは自分以外のゆっくりに対して無頓着なことが多い。
『おかざり』を失ったゆっくりが迫害されるのも
自分達と違うから、という理由だ。
要するに奴らが見たのがもこうかうどんげか定かでないということ。
希少種ゆっくりが自分達と違う存在だと考えるなら
相手にしないのも無理はないのだが…。
問題をまとめようにも手がかりなど
目撃位置しかない。
火災発生予想地点から200mの地点。
そして髪の長いゆっくりを見た、という目撃証言。
目撃証言がもこうであった可能性はゼロではない。
やつらゆっくりは自分以外のゆっくりに対して無頓着なことが多い。
『おかざり』を失ったゆっくりが迫害されるのも
自分達と違うから、という理由だ。
要するに奴らが見たのがもこうかうどんげか定かでないということ。
希少種ゆっくりが自分達と違う存在だと考えるなら
相手にしないのも無理はないのだが…。
「ゆうううううう!!!
どぼじでにんげゆぶぇ!!!」
「うるさい」
どぼじでにんげゆぶぇ!!!」
「うるさい」
そこに現れたゆっくりの中枢餡を再び貫く。
こいつらの証言は人間のものよりさらに信憑性が薄い。
こいつらの証言は人間のものよりさらに信憑性が薄い。
「はぁ~。面倒だ…」
結局俺は手がかりを探すこともせず
一日山を歩き回っただけで仕事終了とした。
一日山を歩き回っただけで仕事終了とした。
――――同日、午後8時――――
合流地点である輸送車両まで戻ってきた俺。
何の成果も上げられなかったが
まあこれで俺の研修任務も終了だ。
こんな得るもののない捜索などやってられん。
俺は小さな作戦室と化した輸送車両の荷台で
隊長を待っていた。
何の成果も上げられなかったが
まあこれで俺の研修任務も終了だ。
こんな得るもののない捜索などやってられん。
俺は小さな作戦室と化した輸送車両の荷台で
隊長を待っていた。
「よーし、全員揃ってるな。では各自報告をしろ」
隊長が入ってくると右端の隊員から報告が始まった。
と言っても、皆元気に発言してはいるのだが
付近の聞き込みの結果、自分の担当区域にいる可能性は低いでしょう
等というように意味のない報告が積み重なっていく。
そして俺の番。
と言っても、皆元気に発言してはいるのだが
付近の聞き込みの結果、自分の担当区域にいる可能性は低いでしょう
等というように意味のない報告が積み重なっていく。
そして俺の番。
「私が担当した捜索範囲では発見できませんでした。
野生のゆっくりに聞き込みをしたところ
髪の長いゆっくりを見た、という報告がありましたが
付近でうどんげを発見しました。
この目撃情報がもこうである可能性は低いでしょう。
以上です」
野生のゆっくりに聞き込みをしたところ
髪の長いゆっくりを見た、という報告がありましたが
付近でうどんげを発見しました。
この目撃情報がもこうである可能性は低いでしょう。
以上です」
続けて隣にいた隊員の報告が始まる。
そんな話を右から左に素通りさせながら
帰ってからのことを考えていると、隊長から面倒な指示が来た。
そんな話を右から左に素通りさせながら
帰ってからのことを考えていると、隊長から面倒な指示が来た。
「ではこれから任務を延長して夜間捜索に入る。
各自ライトを受け取り任務に入ってくれ。
作戦終了時間は午前3時だ。」
各自ライトを受け取り任務に入ってくれ。
作戦終了時間は午前3時だ。」
うわーい、なんてこったい。
「もこう種の起こす火を見逃さないように。
各自ライトの使用についてだが…」
各自ライトの使用についてだが…」
俺も夜間捜索を考えなかったわけではないんだがね。
それでもやる気のない状態の俺に追い討ちを掛けられたことに変わりはない。
仕事だからやるけどさ。
それでもやる気のない状態の俺に追い討ちを掛けられたことに変わりはない。
仕事だからやるけどさ。
――――同日、午後10時――――
ヘルメットについたライトで辺りを見回す。
だがいくらライトがあってもちゃんと見えるのは
数メートル先までだ。
昼間の視界の範囲に比べれば雲泥の差である。
だがいくらライトがあってもちゃんと見えるのは
数メートル先までだ。
昼間の視界の範囲に比べれば雲泥の差である。
よく考えたら火事が起きたのは夜間だ。
もこう種はその希少性ゆえに生態もわかっていない部分が多い。
夜行性なのか、場合によっては人間と同じように
自身の判断で行動時間を変えられるかもしれない。
昼間寝ていたというなら夜間捜索は妥当な線だったのかもしれない。
ちょっとやる気がなくなっていてそこまで考えが回らなかった。
もっとも、もこう種の起こす火を見逃さないようになどと
言うは易し。実際この暗い中光を発する物体があれば
簡単に見つかるだろうが
問題はこの広範囲の中から、あるかどうかも分からない
小さな一点を見つけ出す作業であること。
それが精神力を消耗する要因だ。
もこう種はその希少性ゆえに生態もわかっていない部分が多い。
夜行性なのか、場合によっては人間と同じように
自身の判断で行動時間を変えられるかもしれない。
昼間寝ていたというなら夜間捜索は妥当な線だったのかもしれない。
ちょっとやる気がなくなっていてそこまで考えが回らなかった。
もっとも、もこう種の起こす火を見逃さないようになどと
言うは易し。実際この暗い中光を発する物体があれば
簡単に見つかるだろうが
問題はこの広範囲の中から、あるかどうかも分からない
小さな一点を見つけ出す作業であること。
それが精神力を消耗する要因だ。
ガサガサと草木を掻き分けて進む。
周りを一応見回してみるのだが
やはりと言うべきか、足元が気になってしまう。
転んではいろんな意味でむなしくなるから。
周りを一応見回してみるのだが
やはりと言うべきか、足元が気になってしまう。
転んではいろんな意味でむなしくなるから。
「…ん?」
木の中に妙なものを見つけた。
なにやら太い枝が出ているな、と最初は思ったのだが
それが微妙に違う。
近づいてみると、それはなんと注連縄だった。
一本の木の俺の目線くらいの高さに注連縄が巻かれている。
なにやら太い枝が出ているな、と最初は思ったのだが
それが微妙に違う。
近づいてみると、それはなんと注連縄だった。
一本の木の俺の目線くらいの高さに注連縄が巻かれている。
「何か曰く付きの木なのか…」
真っ暗な中に一人。しかも一本の木に注連縄。
まるで心霊スポットではないか。
昼間こんな物があったかどうかはわからないが
ともあれ、妙なのは確かだ。
まるで心霊スポットではないか。
昼間こんな物があったかどうかはわからないが
ともあれ、妙なのは確かだ。
触ってみる。なんともない。
振り返ってみる。別に何もいない。
さらにベタベタと触ってみる。
軽く引っ張ってみるが緩いように見えて意外としっかり巻かれている。
何か切る道具がなければ外すことも難しいだろう。
振り返ってみる。別に何もいない。
さらにベタベタと触ってみる。
軽く引っ張ってみるが緩いように見えて意外としっかり巻かれている。
何か切る道具がなければ外すことも難しいだろう。
「お札でもあれば、間違いなく封印なんだろうけどな」
別にそんなものはない。
白い紙がぶら下がっているのは仕様だ。
白い紙がぶら下がっているのは仕様だ。
「………」
つんつん、と対ゆっくり用の棒でつついてみる。
「…あ」
少し動いた。
そうか、木が上に行くほど細くなっているのは道理だ。
下に引っ張っても動かないが上に押し上げると動くのか。
そうか、木が上に行くほど細くなっているのは道理だ。
下に引っ張っても動かないが上に押し上げると動くのか。
「ほれほれ」
つんつん、としつこく突いてやる。
するとズル、と小さな音を立てて地面に対して水平に巻かれていた
注連縄がちょっと斜めになった。
するとズル、と小さな音を立てて地面に対して水平に巻かれていた
注連縄がちょっと斜めになった。
「うおっ!?」
視界がぐにゃり、と歪んだ。
すぐに収まったが俺はびっくりしてしりもちをついてしまった。
すぐに収まったが俺はびっくりしてしりもちをついてしまった。
「なんだったんだ?今――――」
「――――やめなさい」
「――――――――――――え?」
俺は耳を疑った。
ここには勿論、俺しかいない。
にもかかわらず、俺以外の声が聞こえた。
しかも女性の声だ。
しかも俺の真後ろからだ。
ここには勿論、俺しかいない。
にもかかわらず、俺以外の声が聞こえた。
しかも女性の声だ。
しかも俺の真後ろからだ。
「――――っ!」
俺は息を呑んだ。
まさか、本当に幽霊か!?
腰を抜かした姿勢のまま、動けない。
やばい。心臓が恐ろしいほど鳴っている。
やばいやばい。喉が焼けるように渇く。
やばいやばいやばい。膝が揺れて身動きが取れない。
まさか、本当に幽霊か!?
腰を抜かした姿勢のまま、動けない。
やばい。心臓が恐ろしいほど鳴っている。
やばいやばい。喉が焼けるように渇く。
やばいやばいやばい。膝が揺れて身動きが取れない。
「うー☆あまあまさんのにおいがするんだどー!」
「!!!!」
その緊張感とは縁遠い声で俺は動けるようになった。
腰を抜かした姿勢だったので正面に向かって
身体を投げ出すように身を起こした。
すると勢い余って両手を突いた四つんばいの姿勢になる。
腰を抜かした姿勢だったので正面に向かって
身体を投げ出すように身を起こした。
すると勢い余って両手を突いた四つんばいの姿勢になる。
「――――――――――――――――!!!!」
声にならない悲鳴を上げながら犬コロ寸前の姿勢で走り出す。
途中何度も後ろが気になったが俺は体力が尽きてへたり込むまで
がむしゃらに走り続けた。
途中何度も後ろが気になったが俺は体力が尽きてへたり込むまで
がむしゃらに走り続けた。
――――翌日、午前0時――――
「はっ…はっ…はっ…はっ…はぁっ…はぁっ…」
破れかぶれに走って走ってたどり着いたのは結局森の中。
極度の緊張状態にあった俺は思った以上に消耗していたらしい。
そんな冷静な思考を頭の隅でしながらへたり込んでいた。
極度の緊張状態にあった俺は思った以上に消耗していたらしい。
そんな冷静な思考を頭の隅でしながらへたり込んでいた。
ホーホー、リーリーと夜を主張する野生動物たちの声がする。
草木も眠る丑三つ時…にはまだ早いが深夜なのには間違いない。
少ししてから何とか身体を起こし、現状の確認をする。
草木も眠る丑三つ時…にはまだ早いが深夜なのには間違いない。
少ししてから何とか身体を起こし、現状の確認をする。
怪我はない。落し物もない。
後ろには…別に誰もいなかった。
地図を見る。
後ろには…別に誰もいなかった。
地図を見る。
「あら」
適当に走ったせいで現在位置などコンパスを使っても分かるわけがない。
真っ暗で余計に分からないのだ。
やむを得ない。とりあえず真っ直ぐ進んで一般道路に出るしかない。
コンパスで方位を確認しつつ前へ進むことにしよう。
真っ暗で余計に分からないのだ。
やむを得ない。とりあえず真っ直ぐ進んで一般道路に出るしかない。
コンパスで方位を確認しつつ前へ進むことにしよう。
――――翌日、午前1時――――
「いや、まてこの辺は」
しばらく歩き続けて俺が見た場所は例の火災現場の一部だった。
「担当区域から随分外れてしまったな…」
火災による被害は細い山道を境目に防がれていた。
その山道に立ってみると前後で随分様子が違う。
この辺りは鎮火が早かったのか焦げた臭いはしない。
その山道に立ってみると前後で随分様子が違う。
この辺りは鎮火が早かったのか焦げた臭いはしない。
「そういや、この先にいるかもしれないんだよな」
火災発生から24時間以上が経過している。
いや、まだ戻ってくるには少々早いかもしれない。
いや、まだ戻ってくるには少々早いかもしれない。
「そんなことより、やる気ないんじゃなかったのか俺?」
他にやることもないので捜索について考えてしまうのは仕方ないのか。
「はぁ~」
いい加減にしろ。
昨日から面倒なことに手を出しては面倒な事態に巻き込まれている。
もうやめろ。担当区域に戻るんだ。
できるなら整備された道を。
昨日から面倒なことに手を出しては面倒な事態に巻き込まれている。
もうやめろ。担当区域に戻るんだ。
できるなら整備された道を。
山道越しに見える火災後の景色に光はない。
今度は山道を使って森を避けるように進んでいった。
今度は山道を使って森を避けるように進んでいった。
――――翌日、午前2時――――
山道を進んで一般道路に出た後
さらにそのまま森を横に見ながら歩き担当区域に戻ってきた。
なんだかんだゴチャゴチャやっているうちに
集合時間が近づいてきていた。
さらにそのまま森を横に見ながら歩き担当区域に戻ってきた。
なんだかんだゴチャゴチャやっているうちに
集合時間が近づいてきていた。
完全にグダグダだがもういい。
本当に疲れた。やはり俺は精鋭部隊員向きではない。
本当に疲れた。やはり俺は精鋭部隊員向きではない。
そこで、俺は光を見た。
森の中に一点の光。
色は黄色かオレンジに近い色。
光は弱々しく、明らかに人工的な光ではない。
色は黄色かオレンジに近い色。
光は弱々しく、明らかに人工的な光ではない。
「面倒だ…」
俺は好奇心とも責任感とも言えない感情を
持ちながらそちらへ歩いていった。
持ちながらそちらへ歩いていった。
「ちょっといいか?」
「!!!」
「ああ待ってくれ!」
「!!!」
「ああ待ってくれ!」
俺がその光の元に行くとそこにはゆっくりがいた。
白く地面に着くほど長い髪。
その各所に結び付けられた赤と白のリボン。
白く地面に着くほど長い髪。
その各所に結び付けられた赤と白のリボン。
「私を、捕まえに来たの?」
「いや、違う。ああいや、違うことはないんだが…。
ともあれちょっと話が聞きたくてな」
「話?駆除業者が私に話だって?」
「いや、違う。ああいや、違うことはないんだが…。
ともあれちょっと話が聞きたくてな」
「話?駆除業者が私に話だって?」
流暢な日本語。とてもゆっくりとは思えない。
これが最高レベルの希少種ゆっくりの力か。
これが最高レベルの希少種ゆっくりの力か。
そこには、キャンプで使うようなかまどがあった。
地面に穴を掘ってその下に枯れ枝などを放り込み
小さな火が燃えている。
地面に穴を掘ってその下に枯れ枝などを放り込み
小さな火が燃えている。
「いや、そうだな。俺はとてつもなくやる気のない駆除業者だ。
ただ単に珍しいゆっくりを見つけて話がしてみたいと考えているだけだ。
昨日の、もう一昨日か。火災の原因についてもだな」
「火災か…」
ただ単に珍しいゆっくりを見つけて話がしてみたいと考えているだけだ。
昨日の、もう一昨日か。火災の原因についてもだな」
「火災か…」
もこうは木の枝をくわえて薪を軽くいじる。
カランと音がして通気性を確保していた空間が埋まる。
火を使うだけあって、焚き火の仕方も申し分ない。
カランと音がして通気性を確保していた空間が埋まる。
火を使うだけあって、焚き火の仕方も申し分ない。
「原因も何も、私の火の不始末がきっかけだ。
人間にも、ゆっくりにも、悪いことをしたとは思っているよ」
「そうか…」
人間にも、ゆっくりにも、悪いことをしたとは思っているよ」
「そうか…」
さほど驚きはない。
この焚き火を見れば原因は一目瞭然だし捜索目標のもこうがいたのだ。
加えて今の俺はやる気が全くなく
このことも俺の感情を動かすほどではなかった。
この焚き火を見れば原因は一目瞭然だし捜索目標のもこうがいたのだ。
加えて今の俺はやる気が全くなく
このことも俺の感情を動かすほどではなかった。
「しかし、火の不始末など人間でもやらかすことはある。
ゆっくりのお前の身ではどうなんだ?これ以外にも
やってしまったことはあるのか?」
「いや、ない。今回が初めて。
言い訳するわけじゃないけど
れみりゃから逃げてきたらしいれいむに邪魔されてね」
「れいむに?そうか…」
ゆっくりのお前の身ではどうなんだ?これ以外にも
やってしまったことはあるのか?」
「いや、ない。今回が初めて。
言い訳するわけじゃないけど
れみりゃから逃げてきたらしいれいむに邪魔されてね」
「れいむに?そうか…」
昼間にしか行動しないれいむと接触したのか。
詳しくは分からないが夜間に明かりを見て
引き寄せられたのかもしれないな。
詳しくは分からないが夜間に明かりを見て
引き寄せられたのかもしれないな。
「で、私を捕まえるのか?」
「捕まえないって。そんな諦観したことを言うな。
お前が常識あるゆっくりと分かっただけでも俺は満足した。
…ああでもあと一つだけ。
お前、ここに来る前は何処にいたんだ?」
「別に。私は森伝いにずっと移動しながら暮らしてるから
何処にいた、ということはない。
だけど、ここは前にいた森より随分様子が違うな」
「ふーん…」
「捕まえないって。そんな諦観したことを言うな。
お前が常識あるゆっくりと分かっただけでも俺は満足した。
…ああでもあと一つだけ。
お前、ここに来る前は何処にいたんだ?」
「別に。私は森伝いにずっと移動しながら暮らしてるから
何処にいた、ということはない。
だけど、ここは前にいた森より随分様子が違うな」
「ふーん…」
そこまで聞くと俺は服に着いた土をはたきながら立ち上がった。
「聞きたいことはもうないし、俺はそろそろ行く。元気でな」
「もういいのか?もっと根掘り葉掘り聞かれるかと思ったけど」
「言ったろ。俺はやる気がないんだ。今は特にな。
まあ今後は気をつけてくれな」
「ああ、覚えておく」
「もういいのか?もっと根掘り葉掘り聞かれるかと思ったけど」
「言ったろ。俺はやる気がないんだ。今は特にな。
まあ今後は気をつけてくれな」
「ああ、覚えておく」
そんな軽口を交わしながら俺はその場を後にした。
――――同日、午前7時――――
「ただいまー」
「あ、おかえりなさい、おにいさん」
「あ、おかえりなさい、おにいさん」
あれから集合時間に少し遅れて戻った俺は少々注意を受けた。
それでもあんな中を移動したのだ。
一、二時間遅れたというわけでもないのでそれほど
珍しいことでもないらしい。
ただ単に規律というものを徹底した結果なのだろう。
それでもあんな中を移動したのだ。
一、二時間遅れたというわけでもないのでそれほど
珍しいことでもないらしい。
ただ単に規律というものを徹底した結果なのだろう。
「もこうさんはみつかりましたか?」
「いいや、駄目だった。
本職でも見つけるのは困難らしいからな。
二日間でしかも見習いの俺が見つけるなんて不可能だろ」
「いいや、駄目だった。
本職でも見つけるのは困難らしいからな。
二日間でしかも見習いの俺が見つけるなんて不可能だろ」
俺は嘘をついた。
正直言って空気に敏感ないくさんに隠し通せるかどうかは怪しい。
だが同時に話したがらないようならば聞かないのも
空気を読むが故の配慮という形で現れる。
正直言って空気に敏感ないくさんに隠し通せるかどうかは怪しい。
だが同時に話したがらないようならば聞かないのも
空気を読むが故の配慮という形で現れる。
「おしょくじにしますか?」
「やめとくよ。今回は成果のない山歩きで疲れた。
一旦寝てからにするよ」
「そうですか。ではわたしもおやすみさせていただきます」
「すまんな」
「いえいえ、おきになさらず」
「やめとくよ。今回は成果のない山歩きで疲れた。
一旦寝てからにするよ」
「そうですか。ではわたしもおやすみさせていただきます」
「すまんな」
「いえいえ、おきになさらず」
風呂に入るのも面倒な俺は上着を脱いでシャツになり
そのまま布団も敷かずにたたみの上に横になった。
今回の研修任務参加のため今日は臨時休暇だ。
そのまま布団も敷かずにたたみの上に横になった。
今回の研修任務参加のため今日は臨時休暇だ。
そういえば、もこうを発見した位置は
あの女の子が指した方角でもあったんだよな…。
あの女の子が指した方角でもあったんだよな…。
うどんげ発見前後の二十五分、それだけ歩けば
道路に出ていたはずなんだよな…。
道路に出ていたはずなんだよな…。
もこうは森伝いに移動したと言っていたが
この道路と街に囲まれた山の中に、ね…。
この道路と街に囲まれた山の中に、ね…。
いや、もういいんだ。
イレギュラーな要素に入り込まれたから
イレギュラーな事態が起こった。
ただそれだけのことだ。
イレギュラーな事態が起こった。
ただそれだけのことだ。
本当のイレギュラーが何だったのかはわからないが
そこにあった矛盾に、俺は完全に興味を失っていた。
そこにあった矛盾に、俺は完全に興味を失っていた。
続く
あとがき
ちょっとこの5話で好き勝手にやりすぎたと反省しています。
動きがあると言いつつ謎を謎のまま済ませたことを反省しています。
結末は既に決まっているのですがお仕事風景が少ないことに反省しています。
もこう発見のプロセスに大きな伏線や推理が入らなかったことを反省しています。
いくさんと違って様々な意味で空気が読めないことを反省しています。
ゲヘゲヘ…衣玖さんとちゅっちゅする、衣玖さんとちゅっちゅする。
動きがあると言いつつ謎を謎のまま済ませたことを反省しています。
結末は既に決まっているのですがお仕事風景が少ないことに反省しています。
もこう発見のプロセスに大きな伏線や推理が入らなかったことを反省しています。
いくさんと違って様々な意味で空気が読めないことを反省しています。
ゲヘゲヘ…衣玖さんとちゅっちゅする、衣玖さんとちゅっちゅする。
最後に、この作品を読んでくださった全ての方に無上の感謝を。
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