ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4377 勝手に生えてくる
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ankoss
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『勝手に生えてくる』 20KB
観察 群れ 自然界 人間なし 失礼します
観察 群れ 自然界 人間なし 失礼します
※ ギャグ無し、パロディ無し。
※ 賢いゆっくりが多めです。
※ 賢いゆっくりが多めです。
チートあきです。
人里近い山の中。
「じゃ、てわけしてごはんさんをさがすのぜ」
「ゆっくりわかったよ!」
「ゆっくりわかったよ!」
若いれいむとまりさがそんな会話をしていた。
茂った木々の葉の隙間から日が差し込んでいる。地面には草が沢山生い茂っていた。こ
の時期の主食は草の若葉である。この群れでは帽子を持ったゆっくりを中心に数匹で狩り
をするのが決まりだった。
茂った木々の葉の隙間から日が差し込んでいる。地面には草が沢山生い茂っていた。こ
の時期の主食は草の若葉である。この群れでは帽子を持ったゆっくりを中心に数匹で狩り
をするのが決まりだった。
「ゆ?」
れいむは足を止めた。
「なにかおちてるよ?」
「どうしたんだぜ?」
「どうしたんだぜ?」
ぴょんぴょんと近付いてくるまりさ。
れいむと同様、落ちていたものに目を止める。
れいむと同様、落ちていたものに目を止める。
「これ……おやさいさんだよね?」
瑞々しい赤い実が、脈絡なく地面に落ちていた。周囲に生えている草とは明らかに違うゆ
っくりした雰囲気を持っている。種類までは分からないが、それがお野菜であることはすぐ
に分かった。
っくりした雰囲気を持っている。種類までは分からないが、それがお野菜であることはすぐ
に分かった。
「もってかえってみんなにじまんするのぜ!」
「ゆっくりわかったよ!」
「ゆっくりわかったよ!」
二匹は意気揚々と戻っていった。
「みんなみてほしいのぜっ!」
「れいむたちおやさいさんをみつけたよっ!」
「れいむたちおやさいさんをみつけたよっ!」
れいむとまりさが跳ねてくる。
広場で会議をしていたゆっくりたちが、一斉に振り返った。長であるまりさ、幹部のぱちゅ
りーとれいむ、ありす、割合よく見かける希少種であるらんとゆうか。他にある程度年のい
った成体ゆっくりが二十匹ほど。
れいむが頭に乗せている赤い実に、視線が集中する。
得意げに走ってきたれいむとまりさの前に、ありすとちぇんが立ちはだかる。
広場で会議をしていたゆっくりたちが、一斉に振り返った。長であるまりさ、幹部のぱちゅ
りーとれいむ、ありす、割合よく見かける希少種であるらんとゆうか。他にある程度年のい
った成体ゆっくりが二十匹ほど。
れいむが頭に乗せている赤い実に、視線が集中する。
得意げに走ってきたれいむとまりさの前に、ありすとちぇんが立ちはだかる。
「はたけどろぼうはゆっくりできないわよ」
「にんげんをおこらせるとこわいんだよー! わかってねー?」
「ゆっ?」
「にんげんをおこらせるとこわいんだよー! わかってねー?」
「ゆっ?」
いきなり向けられた殺気に、れいむとまりさは動きを止めた。
この群れは人里のすぐ隣にある。また人間が手を加えて里に下りないように教育した管
理ゆっくりと呼ばれる群れでもあった。そのため群れの知的レベルはかなり高い。群れの多
くのゆっくりは人間の恐ろしさを知っているし、野菜が勝手に生えてこない事も知っている。
もし里から野菜を盗んできたら、即制裁である。
この群れは人里のすぐ隣にある。また人間が手を加えて里に下りないように教育した管
理ゆっくりと呼ばれる群れでもあった。そのため群れの知的レベルはかなり高い。群れの多
くのゆっくりは人間の恐ろしさを知っているし、野菜が勝手に生えてこない事も知っている。
もし里から野菜を盗んできたら、即制裁である。
「ゆゆっ。ちがうよ! これはもりのなかにおちてたんだよ。れいむたちははたけどろぼうな
んてしてないよ。ごかいだよ、ぬれぎぬだよ!」
んてしてないよ。ごかいだよ、ぬれぎぬだよ!」
れいむが慌てて否定した。れいむも人間の事は知っているし、野菜泥棒が重罪である事
も知っている。しかし、この野菜は純粋に拾ったものなので、罪ではないと考えていた。
も知っている。しかし、この野菜は純粋に拾ったものなので、罪ではないと考えていた。
「いいわけはみぐるしいみょん」
みょんがリボンに刺していた枝を構える。
「うそじゃないのぜ! ほんとうにひろったのぜ!」
まりさも否定する。
しかし、周囲から向けられる殺気は消えない。
しかし、周囲から向けられる殺気は消えない。
「むきゅ。ちょっとおちつきなさい」
ぱちゅりーの言葉にその殺気が消えた。
顔に薄いシワが浮かんでいる壮年のぱちゅりー。先代の長であり現在は隠居しつつ御意
見番という地位に就いている。ある意味群れで一番発言力のあるゆっくりだった。
顔に薄いシワが浮かんでいる壮年のぱちゅりー。先代の長であり現在は隠居しつつ御意
見番という地位に就いている。ある意味群れで一番発言力のあるゆっくりだった。
「そのこたちは、たぶんうそはいってないわ」
ぱちゅりーは視線でれいむとまりさが走ってきた方向を示す。
「そのこたち、うえのほうからきたでしょう? はたけどろぼうをしたなら、したのほうからはし
ってくるとおもわない?」
ってくるとおもわない?」
二匹は山の上から下りてきた。当たり前だが、山の奥に畑はない。人間の畑は山の下に
あり、畑から野菜を盗んでここに来るならば、下から走ってくる事になる。
あり、畑から野菜を盗んでここに来るならば、下から走ってくる事になる。
「そもそも、はたけどろぼうしたなら、ここにみせにくるのはふしぜんでしょう? さっさとたべ
ちゃったほうがだれにもばれないし、おこられることもないわ」
ちゃったほうがだれにもばれないし、おこられることもないわ」
ぱちゅりーの分かりやすい説明に、れいむとまりさに殺気を向けていたゆっくりが離れる。
とりあえず二匹が野菜泥棒をたわけではない事は理解された。
とりあえず二匹が野菜泥棒をたわけではない事は理解された。
「それに、これ。トマトよね?」
れいむの前に落ちている赤い実を示し、ゆうかに尋ねる。
「トマトね。じゃがいもじゃないわ」
赤い実を観察し、ゆうかがそう答えた。植物の知識が豊富なゆうか。山に生えている草や
人里で育てられている野菜はおおむね知っていた。群れでは主に薬になる草の栽培をして
おり、医者のような仕事をしている。
人里で育てられている野菜はおおむね知っていた。群れでは主に薬になる草の栽培をして
おり、医者のような仕事をしている。
「ぱちぇのきおくがたしかなら……このこたちのいけるばしょで、トマトはうえられてなっかっ
たはずよ。さとのにんげんさんも、あんまりおやさいさんそだててないし」
たはずよ。さとのにんげんさんも、あんまりおやさいさんそだててないし」
ぱちゅりーはよく人里の方を見回りしている。山から見える範囲でどのような野菜が植え
られているかも大体覚えていた。ここの人間はあまり農業をしていないようで、野菜の植え
られていない畑も多い。植えられている野菜の中にはトマトは無かったと思う。
られているかも大体覚えていた。ここの人間はあまり農業をしていないようで、野菜の植え
られていない畑も多い。植えられている野菜の中にはトマトは無かったと思う。
「たぶん、これはもりにはいったにんげんさんがおとしたものね」
ぱちゅりーはそう判断を下した。
何らかの用事で山に入った人間が持っていたトマトを落とし、それをれいむとまりさが拾っ
てきた。多少の無理があるものの、一番しっくりくる答えである。
何らかの用事で山に入った人間が持っていたトマトを落とし、それをれいむとまりさが拾っ
てきた。多少の無理があるものの、一番しっくりくる答えである。
「で、どうするのぜ、これ?」
長まりさがトマトをお下げで示す。目付きも鋭く身体も逞しいまりさだ。力も知恵もあるが、
まだ長になって日が浅いため経験不足な面がある。
まだ長になって日が浅いため経験不足な面がある。
「ほかんしておきましょう。おとしたにんげんさんがこまってるかもしれないわ」
ぱちゅりーは答えた。
それかられいむとまりさに向き直り、
それかられいむとまりさに向き直り、
「あと、これがおちてたばしょにあんないしてくれないかしら?」
木々の間にある小さな空間。
「むきゅ?」
ぱちゅりーは瞬きをした。
会議の続きを長まりさたちに任せ、ぱちゅりーはれいむとまりさに案内されてトマトの落ち
ていた場所へとやって来らていた。どのような人間がトマトを落としたのか、何か手掛かりが
あるかもしれないと考えて見に来たのだが。
何故かトマトがひとつ、そこに落ちていた。
会議の続きを長まりさたちに任せ、ぱちゅりーはれいむとまりさに案内されてトマトの落ち
ていた場所へとやって来らていた。どのような人間がトマトを落としたのか、何か手掛かりが
あるかもしれないと考えて見に来たのだが。
何故かトマトがひとつ、そこに落ちていた。
「ゆゆっ。まだおやさいさんあったよ!」
「みおとしてたんだぜ。うっかりしてたんだぜ」
「みおとしてたんだぜ。うっかりしてたんだぜ」
無邪気にれいむとまりさがトマトを拾い上げている。
「……どういうことなの?」
声に出さず、ぱちゅりーは自問した。
二匹がトマトを見落としていた可能性は低い。緑色の草と茶色い土の中に、赤い実は目
立つ。このトマトは草陰などではなく、草の低い場所に目立つように落ちていた。れいむと
まりさが離れている間に、誰かがトマトを置いたのだろう。
ぱちゅりーは平静を装いつつ周囲を見回す。
二匹がトマトを見落としていた可能性は低い。緑色の草と茶色い土の中に、赤い実は目
立つ。このトマトは草陰などではなく、草の低い場所に目立つように落ちていた。れいむと
まりさが離れている間に、誰かがトマトを置いたのだろう。
ぱちゅりーは平静を装いつつ周囲を見回す。
「とりあえず、これもほかんしておきましょう」
日が暮れると森は瞬く間に暗くなる。この辺りにれみりゃなどの捕食種はいないので、群
れのゆっくりはおおむね平穏に夜を迎える事はできる。それでも視界が全く利かなくなる夜
は危険な時間帯だ。
日没の少し前。
長まりさのお家の前に幹部が集まっていた。
ぱちゅりー、れいむ、ありす、ゆうか、らんの五匹である。
れのゆっくりはおおむね平穏に夜を迎える事はできる。それでも視界が全く利かなくなる夜
は危険な時間帯だ。
日没の少し前。
長まりさのお家の前に幹部が集まっていた。
ぱちゅりー、れいむ、ありす、ゆうか、らんの五匹である。
「どうおもう? まりさ」
らんがまりさを見た。
森の中に落ちていたトマト。れいむとまりさと一緒にぱちゅりーが見に行った時に、別のト
マトがひとつ落ちていた。明らかに不自然な状況である。
まりさはいくらか考えてから口を開いた。
森の中に落ちていたトマト。れいむとまりさと一緒にぱちゅりーが見に行った時に、別のト
マトがひとつ落ちていた。明らかに不自然な状況である。
まりさはいくらか考えてから口を開いた。
「こんなもりのなかにおやさいがおちてるのはおかしいのぜ。にんげんがイタズラしてるのか
もしれないのぜ……。きをつけるひつようがあるんだぜ」
もしれないのぜ……。きをつけるひつようがあるんだぜ」
「おやさいたべたかったねー」
「しかたないのぜ。やさいどろぼうはゆっくりできないのぜ」
「しかたないのぜ。やさいどろぼうはゆっくりできないのぜ」
翌日、れいむとまりさが狩りに来ていた。
昨日と同じ場所である。この辺りが二匹の狩り場だった。周囲に生えている草の芽やイネ
化植物の穂などを摘み、帽子に入れて帰る。時々小さいイモムシが取れたりする。キノコが
取れる事もある。それが二匹の昼の仕事だった。
二匹は何の気なしに昨日トマトが落ちていた場所に目をやり、
昨日と同じ場所である。この辺りが二匹の狩り場だった。周囲に生えている草の芽やイネ
化植物の穂などを摘み、帽子に入れて帰る。時々小さいイモムシが取れたりする。キノコが
取れる事もある。それが二匹の昼の仕事だった。
二匹は何の気なしに昨日トマトが落ちていた場所に目をやり、
「ゆゆっ」
「おやさいがはえてるのぜ!」
「おやさいがはえてるのぜ!」
思わず叫んだ。
そこには野菜が生えていた。
地面から生えた周囲の草とは違う丸い葉っぱ。非情にゆっくりした植物。山と里の境から
見える、人間の育てている野菜と同じものが、森の中に生えていた。
そこには野菜が生えていた。
地面から生えた周囲の草とは違う丸い葉っぱ。非情にゆっくりした植物。山と里の境から
見える、人間の育てている野菜と同じものが、森の中に生えていた。
「あなたたちっ!」
聞こえた声に、二匹は振り向く。
ぴょんぴょんとぱちゅりーが跳ねてきた。身体の弱いぱちゅりーが跳ねて走ることは珍し
い。その紫色の目は森の中に生えた野菜に向けられている。
ぴょんぴょんとぱちゅりーが跳ねてきた。身体の弱いぱちゅりーが跳ねて走ることは珍し
い。その紫色の目は森の中に生えた野菜に向けられている。
「ぱちゅりー、おやさいがはえてるよ! みんなでむーしゃむーしようね!」
「かってにはえたおやさいさんたべられるなんて、まりさたちはしあわせものなのぜ!」
「かってにはえたおやさいさんたべられるなんて、まりさたちはしあわせものなのぜ!」
嬉しそうに表情を輝かせるれいむとまりさ。
人里の畑から野菜を盗んでくるのは駄目だが、勝手に生えてきた野菜を食べるのは何も
問題がない。それが二匹の認識だった。
人里の畑から野菜を盗んでくるのは駄目だが、勝手に生えてきた野菜を食べるのは何も
問題がない。それが二匹の認識だった。
「むきゅぅ……。そ、そうね……」
呼吸を整えながら、ぱちゅりーは生えた野菜を見る。
嫌な予感がして見に来たら、野菜が勝手に生えていた。別の野菜が落ちている事は予想
していたが、生えているのは完全な予想外である。れいむとまりさがその野菜を囓らなかっ
たのは多分幸運なことだろう。
嫌な予感がして見に来たら、野菜が勝手に生えていた。別の野菜が落ちている事は予想
していたが、生えているのは完全な予想外である。れいむとまりさがその野菜を囓らなかっ
たのは多分幸運なことだろう。
「まりさ、おさたちをよんできてくれないかしら? おおいそぎで」
「わかったのぜ!」
「わかったのぜ!」
ぱちゅりーの言葉に、まりさは上機嫌で跳ねていった。
「これは……どういうことなのぜ?」
長のまりさが顔を引きつらせている。
まりさによって連れてこられた長まりさ。一緒にいた他の幹部も、一緒にやって来ていた。
そして、そこにあった光景に全員息を飲む。
まりさによって連れてこられた長まりさ。一緒にいた他の幹部も、一緒にやって来ていた。
そして、そこにあった光景に全員息を飲む。
「だいこん、とまと、ねぎ……。みためもにおいも、さわったかんじも、ほんもののおやさいみ
たいね……。ほんとうにはえてきたのかしら?」
たいね……。ほんとうにはえてきたのかしら?」
野菜を観察しながら、ゆうかが緊張した顔を見せていた。
畳半畳分くらいの大きさの地面が丁寧に耕され、そこに大根とネギとトマトが植えられて
いる。トマトは茎や葉だけでなく、竹の支柱まで作られていた。
森の中に脈絡無く現われた、小さな畑と野菜。
それを見つめ、らんが眉を寄せている。
畳半畳分くらいの大きさの地面が丁寧に耕され、そこに大根とネギとトマトが植えられて
いる。トマトは茎や葉だけでなく、竹の支柱まで作られていた。
森の中に脈絡無く現われた、小さな畑と野菜。
それを見つめ、らんが眉を寄せている。
「おやさいがかってにはえてくることは……ない、とおもう。でも、げんにここにはえているん
だ。なにがなんだか、わからないぞ……」
だ。なにがなんだか、わからないぞ……」
野菜は勝手に生えてこない。幹部たちは皆その意味を理解している。しかし、その知識を
嘲笑うかのように、野菜が生えていた。
風が吹き、木々の葉がわざわざと音を立てる。
嘲笑うかのように、野菜が生えていた。
風が吹き、木々の葉がわざわざと音を立てる。
「おさ!」
まりさが元気に声を上げた。
「はやくおやさいさんをむーしゃむーしゃするのぜ!」
「みんなでおやさいぱーてぃするよ!」
「みんなでおやさいぱーてぃするよ!」
両のもみあげを動かし、れいむも嬉しそうに笑っている。
「おちつくのぜ」
長まりさは冷静に二匹を窘めた。
「むれのみんなでむーしゃむーしゃするには、これじゃすくないのぜ。だから、ふえるまです
こしまつのぜ。おやさいさんがふえたら、みんなでおまつりするのぜ」
こしまつのぜ。おやさいさんがふえたら、みんなでおまつりするのぜ」
群れのゆっくりは現在百匹くらい。全員で食べるにはこの野菜は少なすぎるため、群れの
全員で食べられるくらいに増えるまで待つ。
――というのは建前で、長まりさはこの野菜を誰かに食べさせる気はなかった。独り占めと
いうわけではなく、不自然に生えてきた野菜を食べるのは危険と判断したのである。
全員で食べられるくらいに増えるまで待つ。
――というのは建前で、長まりさはこの野菜を誰かに食べさせる気はなかった。独り占めと
いうわけではなく、不自然に生えてきた野菜を食べるのは危険と判断したのである。
「おまつりはゆっくりできるね!」
のーびのーびするれいむ。
まりさがきらりと目を輝かせた。
まりさがきらりと目を輝かせた。
「もちろん、まりさたちがしゅやくなのぜ?」
「とうぜんなのぜ。おてがらなのぜ」
「とうぜんなのぜ。おてがらなのぜ」
長まりさは小さく笑いかける。
「ゆわーい」
ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねているれいむとまりさ。勝手に生えてきたお野菜を発見した
事は大手柄である。これから群れの中では人気者になるだろう。お野菜パーティで主役扱
いされる自分たちの姿を想像し、無邪気にはしゃいでいた。
その姿を硬い表情で見つめる幹部たち。
長まりさは冷静に続ける。
事は大手柄である。これから群れの中では人気者になるだろう。お野菜パーティで主役扱
いされる自分たちの姿を想像し、無邪気にはしゃいでいた。
その姿を硬い表情で見つめる幹部たち。
長まりさは冷静に続ける。
「だからといってさぼりはだめなのぜ。ちゃんとかりはしないといけないのぜ」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「ゆっくりりかいしたよ!」
きりっと眉を傾け、二匹はその場から離れていった。
ふと、らんが呟いた。
ふと、らんが呟いた。
「みんな……ちょっと、いいか?」
「どうしたの、らん?」
「どうしたの、らん?」
ありすがらんを見る。
らんはじっと野菜を見つめていた。その表情には緊張だけでなく、薄い恐怖のようなもの
が映っている。頬を流れ落ちる汗。心持ち尻尾も伏せていた。
らんはじっと野菜を見つめていた。その表情には緊張だけでなく、薄い恐怖のようなもの
が映っている。頬を流れ落ちる汗。心持ち尻尾も伏せていた。
「おやさい、ふえてないか?」
答えはない。
らんは続ける。
らんは続ける。
「いま、だいこんが5ほんあるけど、さっきは4ほんだったきがするぞ? らんのきおくちがい
でなければ……。とまとも、ふえている、ような……」
「………」
でなければ……。とまとも、ふえている、ような……」
「………」
幹部たちがじっと野菜を見つめる。
大根が五本、ネギが六本、トマトが一株。株になっているトマトは八個。らんに言われるま
で野菜の数は気にしていなかった。ある、としか認識していなかった。
らんは群れの中で数字と計算を担当している。らん種は他のゆっくりに比べ数字と計算に
強い。頭がよくとも足し算引き算しかできない他のゆっくりと違い、らんは簡単な割り算まで
できる。記憶力も強い。それだけにその数字についての疑問には説得力があった。
大根が五本、ネギが六本、トマトが一株。株になっているトマトは八個。らんに言われるま
で野菜の数は気にしていなかった。ある、としか認識していなかった。
らんは群れの中で数字と計算を担当している。らん種は他のゆっくりに比べ数字と計算に
強い。頭がよくとも足し算引き算しかできない他のゆっくりと違い、らんは簡単な割り算まで
できる。記憶力も強い。それだけにその数字についての疑問には説得力があった。
「ゆうか。こんばん、ちょっといいかしら?」
ぱちゅりーがゆうかに声をかけた。
夕刻。
畑の横の茂みの中に、ぱちゅりーとゆうかが隠れていた。
畑に生えている野菜は変わらず。大根が五本、ネギが六本、トマトが一株。株になってい
るトマトは八個。何度も数えているが、増えてはいない。減ってもいない。
静かにゆうかが口を開く。
畑の横の茂みの中に、ぱちゅりーとゆうかが隠れていた。
畑に生えている野菜は変わらず。大根が五本、ネギが六本、トマトが一株。株になってい
るトマトは八個。何度も数えているが、増えてはいない。減ってもいない。
静かにゆうかが口を開く。
「おやさいは、にんげんがせわをしないとそだたないわ。そだてるのがとってもむずかしいしょ
くぶつなのよ。はたけがひつようだし、ひりょうもひつようだわ」
くぶつなのよ。はたけがひつようだし、ひりょうもひつようだわ」
遠くから蝉の鳴き声が聞こえてくる。
橙色の夕日に照らされた野菜は、ひどく不気味に見えた。
橙色の夕日に照らされた野菜は、ひどく不気味に見えた。
「こういうもりのなかじゃ、ゆうかでもむりよ。のうかりんだったら、もしかしたらそだてられた
かもしれないけど……」
かもしれないけど……」
植物を育てるゆっくりだから分かる、野菜を育てることの大変さ。森の中では野菜は育た
ないし、そもそも勝手に生えてこない。
森の中に現われた畑を見つめ、ゆうかが続ける。
ないし、そもそも勝手に生えてこない。
森の中に現われた畑を見つめ、ゆうかが続ける。
「ゆうかはこれはわるいにんげんのしわざだとおもうわ。おやさいをうえて、ゆうかたちがあ
わてるようすをみてるのよ」
「むきゅ。そうかんがえるのが、いちばんしぜんね」
わてるようすをみてるのよ」
「むきゅ。そうかんがえるのが、いちばんしぜんね」
ぱちゅりーは同意した。
どこかの酔狂な人間がわざと野菜を置き、夜の間に畑を作り、それに対する群れの反応
を観察している。そんな事をする意義は無いだろうが、そういう人間は存在している。
どこかの酔狂な人間がわざと野菜を置き、夜の間に畑を作り、それに対する群れの反応
を観察している。そんな事をする意義は無いだろうが、そういう人間は存在している。
「でも、たぶんこのおやさいは、ほんとうに『かってにはえてきた』ものよ……」
「………」
「………」
ぱちゅりーの呟きに、ゆうかは無言を返した。
「ぱちゅりー、おきて!」
「むきゃぁ……」
「むきゃぁ……」
ゆうかの声にぱちゅりーは目を覚ました。紫色のお下げで目を擦る。
周囲はまだ薄暗く空気も冷たい。日の出直後らしい。山のゆっくりはある程度日が昇って
から動き出す。この時間に目を覚ますのは珍しいことだった。
顔を青くしているゆうかを眺めてから、ぱちゅりーは畑の方へと目を移した。
周囲はまだ薄暗く空気も冷たい。日の出直後らしい。山のゆっくりはある程度日が昇って
から動き出す。この時間に目を覚ますのは珍しいことだった。
顔を青くしているゆうかを眺めてから、ぱちゅりーは畑の方へと目を移した。
「これは、ちょっとまずいわね」
苦笑いが漏れる。
畑が広がっていた。昨日は木の間の小さな場所だったが、今は周囲の木を越えるくらい
まで大きくなっている。人間の使う単位なら八畳くらいの広さだ。野菜もホウレンソウやニン
ジン、キャベツ、キュウリなど、種類が増えている。
畑が広がっていた。昨日は木の間の小さな場所だったが、今は周囲の木を越えるくらい
まで大きくなっている。人間の使う単位なら八畳くらいの広さだ。野菜もホウレンソウやニン
ジン、キャベツ、キュウリなど、種類が増えている。
「ゆうかがおきたときには、もうこうなってたわ……」
理解不能な状況に、ゆうかが震えている。
ぱちゅりーは目を閉じて呻いた。
ぱちゅりーは目を閉じて呻いた。
「これがいわゆる『いへん』ってやつかしら?」
畑の周囲に集まった群れのゆっくり。
「このおやさいさんは、まりさたちがみつけたんだぜ!」
「ゆふん。もうすこししたら、みんなでおやさいぱーてぃするんだよ!」
「ゆふん。もうすこししたら、みんなでおやさいぱーてぃするんだよ!」
広がった畑の前で胸を張っているれいむとまりさ。最初にトマトを見つけた二匹だ。集まっ
た群れのゆっくりたちの視線を浴び、得意げに眉を傾けている。
畑の周囲で見張りをしている長まりさと幹部たち。
た群れのゆっくりたちの視線を浴び、得意げに眉を傾けている。
畑の周囲で見張りをしている長まりさと幹部たち。
「ゆ?」
野次馬ゆっくりの中のれいむが、呟いた。
「なにしてるの?」
畑の周囲に木の枝を刺している幹部のれいむ。枝を交差させるように刺したり、草の葉っ
ぱを折り込んだり。れいむ種の作る結界だった。その横では幹部のありすが、花や葉っぱ
や石を並べている。ありす種の行うコーディネートである。
ぱを折り込んだり。れいむ種の作る結界だった。その横では幹部のありすが、花や葉っぱ
や石を並べている。ありす種の行うコーディネートである。
「けっかいつくってるんだよ」
幹部れいむが答える。そのままの答えだった。
お家の入り口に作る境界の印。れいむ種が制作を得意とするが、れいむ種でなくとも作れ
る。お家と外を分ける扉の役割を持ち、またゆっくり相手にはある程度認識を霞ませる効果
がある。そこから先は立ち入り禁止という意味もあり、危険な場所の手前に結界を作ったり
もしている。
お家の入り口に作る境界の印。れいむ種が制作を得意とするが、れいむ種でなくとも作れ
る。お家と外を分ける扉の役割を持ち、またゆっくり相手にはある程度認識を霞ませる効果
がある。そこから先は立ち入り禁止という意味もあり、危険な場所の手前に結界を作ったり
もしている。
「……このけっかい、おもてとうらがぎゃくだよ?」
野次馬れいむはそう尋ねた。
結界には裏表がある。お家に作った時に外になる方が表で、内側になる方が裏だ。表側
は尖った部分が多く、裏側は少ない。そういう事を気にせず作るゆっくりが多いが、そこそこ
結界を作り慣れたれいむなら、その裏表が分かるようになる。
普通なら畑側が裏になるのだが、幹部れいむの作る結界は畑側が表になっていた。
結界には裏表がある。お家に作った時に外になる方が表で、内側になる方が裏だ。表側
は尖った部分が多く、裏側は少ない。そういう事を気にせず作るゆっくりが多いが、そこそこ
結界を作り慣れたれいむなら、その裏表が分かるようになる。
普通なら畑側が裏になるのだが、幹部れいむの作る結界は畑側が表になっていた。
「いいのよ。これで」
「ゆー?」
「ゆー?」
幹部ありすの言葉に、野次馬れいむは曖昧に頷いた。
「まだたべちゃだめかしら?」
「たべごろになるのまでもうすこしかかるから、ゆっくりまちなさい」
「たべごろになるのまでもうすこしかかるから、ゆっくりまちなさい」
畑を見ている野次馬ありすに、ぱちゅりーが答えていた。
翌日。
畑はさらに広がっていた。
畑はさらに広がっていた。
「まずいわね……」
ぱちゅりーは奥歯を噛み締める。
他の幹部も沈痛な面持ちを見せていた。
結界とコーディネートを使って畑の拡大を止めようとしたのだが、効果は無かった。結界と
コーディネートは崩れ、畑の中で破片になっている。
畑を眺める群れのゆっくりたち。
他の幹部も沈痛な面持ちを見せていた。
結界とコーディネートを使って畑の拡大を止めようとしたのだが、効果は無かった。結界と
コーディネートは崩れ、畑の中で破片になっている。
畑を眺める群れのゆっくりたち。
「おさ、おさっ」
のーびのーびしながら声を上げるれいむとまりさ。
「もうたべていいよね。こんなにたーくさんあるんだから、もうたべていいよね!」
「まりさたちおなかぺーこぺこなんだぜっ!」
「まりさたちおなかぺーこぺこなんだぜっ!」
揃って涎を垂らしながら、畑を見つめている。お野菜をむーしゃむーしゃするため、普段の
食事量を減らしているのだ。そのためかなり空腹である。
長まりさが前に出た。
食事量を減らしているのだ。そのためかなり空腹である。
長まりさが前に出た。
「すこしまつんだぜ。いままりさたちでこのおやさいをちょうさしてるんだぜ」
「ちょうさ?」
「ちょうさ?」
きょとんとするれいむに、長まりさは畑を示し、
「これはたまたま、かってきはえてきたんだぜ。みんなでたべちゃったら、たぶんそれでおし
まいなのぜ。でも、このおやさいをにんげんさんみたいにうまくそだてられれば、まいにちお
やさいたべられるのぜ」
「ゆゆっ、それはすごいのぜ! さすがはおさなのぜっ!」
「だから、もうすこしまってほしいのぜ」
まいなのぜ。でも、このおやさいをにんげんさんみたいにうまくそだてられれば、まいにちお
やさいたべられるのぜ」
「ゆゆっ、それはすごいのぜ! さすがはおさなのぜっ!」
「だから、もうすこしまってほしいのぜ」
二匹を宥める長。
野菜を食べたいと言ってきたゆっくりに、長まりさはそう答えていた。今なら群れのゆっくり
全員が食べる量になっている。だが、正体不明の野菜を群れのゆっくりに食べさせる気は
なかった。
野菜を食べたいと言ってきたゆっくりに、長まりさはそう答えていた。今なら群れのゆっくり
全員が食べる量になっている。だが、正体不明の野菜を群れのゆっくりに食べさせる気は
なかった。
「……そんなこといって、ひとりじめするきみょん?」
いつの間にか、長の近くに一匹のみょんが来ていた。若いみょんである。
濃い青色の目を長に向ける。疑うように。
濃い青色の目を長に向ける。疑うように。
「こんなにたくさんおやさいがはえてるのに……おさたちはみょんたちに、ひとくちもたべさ
せないみょん。すこしたべさせてほしいっていっても、ごまかれるみょん。いったい、なにを
たくらんでるみょん……?」
せないみょん。すこしたべさせてほしいっていっても、ごまかれるみょん。いったい、なにを
たくらんでるみょん……?」
群れの全員で十分に食べられるほどの野菜があるのに、食べようとしない。厳重に警備
をしてつまみ食いすらさせない。その状況を疑問に思うゆっくりは多い。
一方で。
やや年行ったちぇんがみょんに声をかけた。
をしてつまみ食いすらさせない。その状況を疑問に思うゆっくりは多い。
一方で。
やや年行ったちぇんがみょんに声をかけた。
「おちつくんだよー、みょん。みんないろいろかんがえがあるんだよー。わかってねー? そ
れに、おさたちはおやさいをひとりじめするような、わるいゆっくりじゃないよー。みょんもそ
れはわかってるよねー?」
れに、おさたちはおやさいをひとりじめするような、わるいゆっくりじゃないよー。みょんもそ
れはわかってるよねー?」
みょんは答えず目を逸らす。
目蓋を下ろし、ちぇんは不安げに畑を見た。小声で呻く。
目蓋を下ろし、ちぇんは不安げに畑を見た。小声で呻く。
「でも……これ、ほんとうにたべていいのかなー……。わからないよー……」
勝手に生えてくる野菜に不安を覚えているゆっくりも多い。
その日の夕刻。
畑の前で幹部たちが話し合っていた。
畑の前で幹部たちが話し合っていた。
「けっかいもこうかなかったね……」
「なんなのかしら、このはたけ?」
「なんなのかしら、このはたけ?」
不安がるれいむとありす。結界はゆっくりしていないものを阻む効果がある。コーディネー
トはその場をゆっくりさせる効果がある。本能的な知識に従い、結界とコーディネートの壁を
作ったのだが、効果は無かった。
トはその場をゆっくりさせる効果がある。本能的な知識に従い、結界とコーディネートの壁を
作ったのだが、効果は無かった。
「おやさいがかってにはえてくるなんて……いったいなんだ、これは……?」
尻尾を動かし、らんがじっと畑を見つめた。
野菜が勝手に生えてくる。そう考えるゆっくりは多い。だが、この群れのゆっくりは野菜の
仕組みを理解し、勝手に生えてこない事も知っている。その知識をぶち壊すように突如森
の中に生えてきた野菜。しかも徐々にその面積を広げている。
それは単純に恐怖だった。
野菜が勝手に生えてくる。そう考えるゆっくりは多い。だが、この群れのゆっくりは野菜の
仕組みを理解し、勝手に生えてこない事も知っている。その知識をぶち壊すように突如森
の中に生えてきた野菜。しかも徐々にその面積を広げている。
それは単純に恐怖だった。
「かってにはえないものがかってにはえてくるなら、たぶんそれは『ようかい』よ」
ぱちゅりーがため息を付く。
「たべるにしろたべないにしろ、はやくきめないといけないのぜ。このままじゃむれがわれる
のぜ……。それはさけたいのぜ……」
のぜ……。それはさけたいのぜ……」
長まりさが苦々しく呻いた。
お野菜を食べられなくて苛立つゆっくりと、このお野菜を本当に食べていいのか不安がる
ゆっくり。放っておけばこの二派が対立するだろう。決断を先延ばしにしていると、状況は悪
化していく。明日にもどうするかを発表しないといけない。
お野菜を食べられなくて苛立つゆっくりと、このお野菜を本当に食べていいのか不安がる
ゆっくり。放っておけばこの二派が対立するだろう。決断を先延ばしにしていると、状況は悪
化していく。明日にもどうするかを発表しないといけない。
「こいつらはいったいなにがしたいのかしら……」
野菜を睨みつつ、疲れた顔を見せるゆうか。幹部一同皆顔に疲労が表われている。何が
起こっているのかすら、まだはっきりしていない。普段の問題とは次元の違う問題だ。あり
得ない自体に心身共に消耗している。
ゆうかを見やってから、ぱちゅりーが口を開いた。
起こっているのかすら、まだはっきりしていない。普段の問題とは次元の違う問題だ。あり
得ない自体に心身共に消耗している。
ゆうかを見やってから、ぱちゅりーが口を開いた。
「たぶん、ぱちぇたちにたべられたいのね。『かってにはえてくるおやさい』は『ゆっくりをゆっ
くりさせるため』にはえてくるものよ……」
くりさせるため』にはえてくるものよ……」
ゆっくりをゆっくりさせるために、お野菜は勝手に生えてくる。野菜の仕組みを知らないゆ
っくりはそう考える事が多い。
っくりはそう考える事が多い。
「おいしそうでしょう? とっても」
全員が野菜を見る。
美味しそうだった。今まで味という方向からこの野菜を見ることは無かった。言われてみる
と凄く美味しそうである。人里の畑に生えている野菜よりも何倍も。
美味しそうだった。今まで味という方向からこの野菜を見ることは無かった。言われてみる
と凄く美味しそうである。人里の畑に生えている野菜よりも何倍も。
「だから、たぶん……そうね」
そう呟いてから。
ぱちゅりーが畑へと入った。
キャベツを、大根を、ネギを囓り、それを呑み込む。
見ていた他のゆっくりが呆然としている間に、ぱちゅりーは大声で叫んだ。
ぱちゅりーが畑へと入った。
キャベツを、大根を、ネギを囓り、それを呑み込む。
見ていた他のゆっくりが呆然としている間に、ぱちゅりーは大声で叫んだ。
「ここをぱちぇのゆっくりぷれいすにするわ!」
きっぱりとお家宣言。
「はんろんなし。ここはぱちぇのものよ」
「ぱちゅ、りー……」
「ぱちゅ、りー……」
長まりさが震えながら、ぱちゅりーを見る。今まで誰にも食べさせなかった野菜。それをい
きなり食べ、その場でお家宣言までしてしまった。
他の幹部も呆気に取られてぱちゅりーを見つめている。
自分のした事の意味は、ぱちゅりーも理解しているらしい。
寂しげに全員を見つめ、言ってくる。
きなり食べ、その場でお家宣言までしてしまった。
他の幹部も呆気に取られてぱちゅりーを見つめている。
自分のした事の意味は、ぱちゅりーも理解しているらしい。
寂しげに全員を見つめ、言ってくる。
「あなたたちはおうちにかえりなさい」
日が沈み、周囲は漆黒の闇に覆われる。夜はただひたすら暗い。
幹部たちは皆お家に帰っていた。
畑の真ん中に座ったまま、ぱちゅりーは吐息する。
幹部たちは皆お家に帰っていた。
畑の真ん中に座ったまま、ぱちゅりーは吐息する。
「まあ、しかたないじゃない……。ぎせいはすくないほうがいいもの。ぱちぇもおばあちゃん
いっぽてまえだったし、からだもおもくなってたし……あたらしいおさのおもしになるのもさけ
たかったし……。このあたりがしおどきってやつね……」
いっぽてまえだったし、からだもおもくなってたし……あたらしいおさのおもしになるのもさけ
たかったし……。このあたりがしおどきってやつね……」
ずっ、ずずっ。
周囲から聞こえる音。
何かが引き抜かれるような音だった。もしくは沈み込むような音。
最初は遠くから聞こえていたが、今はすぐ近くで音が聞こえる。真っ暗なため何が起こっ
ているのかは分からないが、想像は付いた。
何かが引き抜かれるような音だった。もしくは沈み込むような音。
最初は遠くから聞こえていたが、今はすぐ近くで音が聞こえる。真っ暗なため何が起こっ
ているのかは分からないが、想像は付いた。
「でも、もうすこしゆっくりしたかったわね……」
ぱちゅりーはゆっくりと呟く。
ずずっ……
地面に置かれた大きめの石。
ぱちゅりーのお墓である。
ぱちゅりーのお墓である。
「ぱちゅりー……」
まりさはお墓の前で一筋の涙を流していた。
ぱちゅりーが野菜を食べた翌日、畑は無くなっていた。ぱちゅりーとともに。野菜が消えた
事で群れは大騒ぎになったものの、何とか全員を無事説得する事に成功した。あと一日遅
かったら、どうなっていたかは分からない。
ぱちゅりー一匹の犠牲で済んだのは、かなり幸運な事なのだろう。
ぱちゅりーが野菜を食べた翌日、畑は無くなっていた。ぱちゅりーとともに。野菜が消えた
事で群れは大騒ぎになったものの、何とか全員を無事説得する事に成功した。あと一日遅
かったら、どうなっていたかは分からない。
ぱちゅりー一匹の犠牲で済んだのは、かなり幸運な事なのだろう。
「………」
まりさはしばらく石を眺めてから。
何も言わずその場を後にした。
何も言わずその場を後にした。
過去SS
anko4373 ものもらい
anko4360 ゆっくりさせてね
anko4350 Cancer
anko4341 予防接種
anko4338 超伝道をもげ!
anko4316 48時間
anko4284 歌うのうかりん
anko4270 ゆゆこのグルメ
anko4262 立ち退き命令
以下省略
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