ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4406 罪と罰
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ankoss
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『罪と罰』 30KB
制裁 観察 自業自得 実験 群れ 失礼します
制裁 観察 自業自得 実験 群れ 失礼します
※ 独自設定多めです。
※ 高性能な希少種がたくさん出てきます。
※ 少し修正しました。
※ 高性能な希少種がたくさん出てきます。
※ 少し修正しました。
チートあきです。
「お前らって結構高いんだから。無茶するなよ……」
管理課と書かれた腕章を付けた男がそう呟いた。
事故で大怪我をした地域ゆっくりのまりさを治療しながら。
事故で大怪我をした地域ゆっくりのまりさを治療しながら。
「ぱちぇたちが、たかい……?」
その台詞が、ぱちゅりーが立ち上がるきっかけだった。
公園や空き地など開いた空間があると勝手に生えてくる野良ゆっくり。
ならば、適当に教育したゆっくりであらかじめその場を埋めてしまえば、野良ゆっくり
が勝手に生えてくることはなくなるのではないか。さらに、その教育したゆっくりにその
場所の簡単な管理もやらせれば、管理費が浮くかもしれない。
そう考えられて作られたのが地域ゆっくりだった。
ならば、適当に教育したゆっくりであらかじめその場を埋めてしまえば、野良ゆっくり
が勝手に生えてくることはなくなるのではないか。さらに、その教育したゆっくりにその
場所の簡単な管理もやらせれば、管理費が浮くかもしれない。
そう考えられて作られたのが地域ゆっくりだった。
「むきゅ」
朝日を浴びながら、公園のリーダーぱちゅりーはぼんやりと考えていた。
地域ゆっくり。公園や空き地などの管理をして、お給料を貰っているゆっくり。お家や
食事は保証され、病気やケガをした場合も治して貰える。お飾りの破損、紛失もほぼ
無料で修復、支給される。野良ゆっくりに比べれば破格の待遇だろう。
しかし、ぱちゅりーはその待遇に満足していなかった。
地域ゆっくり。公園や空き地などの管理をして、お給料を貰っているゆっくり。お家や
食事は保証され、病気やケガをした場合も治して貰える。お飾りの破損、紛失もほぼ
無料で修復、支給される。野良ゆっくりに比べれば破格の待遇だろう。
しかし、ぱちゅりーはその待遇に満足していなかった。
「ぱちぇたちはとってもかちがあるのよ。だからもっと、いいたいぐうをうけるしかくがあ
るわ。いえ、もっといいたいぐうじゃないといけないのよ……!」
るわ。いえ、もっといいたいぐうじゃないといけないのよ……!」
誰へとなく語りかけるぱちゅりー。
市の郊外にある公園。そこに置かれた地域ゆっくりは十八匹。リーダーはぱちゅりー
で構成はほぼ基本種。希少種は花壇の世話をするゆうかが一匹。その地域ゆっくりた
ちが、中央の広場に集まって大声を上げていた。
で構成はほぼ基本種。希少種は花壇の世話をするゆうかが一匹。その地域ゆっくりた
ちが、中央の広場に集まって大声を上げていた。
「おきゅりょうあげろー!」
「おいしいごはんさんたべさせるのぜー!」
「ぱちぇたちは、ろうどうかんきょうのかいぜんをようきゅうするわ!」
「おいしいごはんさんたべさせるのぜー!」
「ぱちぇたちは、ろうどうかんきょうのかいぜんをようきゅうするわ!」
誰が作ったのか、手製の旗を振り回したりしている。
それを眺める人間たち。普段は落ち葉を集めたりゴミを拾ったり雑草を抜いたりと、公
園の手入れをしている地域ゆっくりが、今日は仕事をせずに騒いでいる。かなり珍しい
光景だった。
それを眺める人間たち。普段は落ち葉を集めたりゴミを拾ったり雑草を抜いたりと、公
園の手入れをしている地域ゆっくりが、今日は仕事をせずに騒いでいる。かなり珍しい
光景だった。
「何をしているんだ、お前たちは……?」
連絡を受けてやってきた男が、呆れ顔でゆっくりたちを眺めた。背広を着たゆっくり管
理課の職員である。
リーダーぱちゅりーが胸を張って答える。
理課の職員である。
リーダーぱちゅりーが胸を張って答える。
「むきゅ。ストライキよ! おきゅうりょうのあっぷと、ごはんのぐれーどあっぷ、あとおや
すみのひをふやしてほしいわ。それらがじつげんされるまで、ぱちぇたちははたらかな
いわよ。これは、ろうどうしゃのせいとうなけんりよ!」
「お前ら、凄いな……」
すみのひをふやしてほしいわ。それらがじつげんされるまで、ぱちぇたちははたらかな
いわよ。これは、ろうどうしゃのせいとうなけんりよ!」
「お前ら、凄いな……」
純粋に思った事が口に出る。
ストライキ。労働者が労働条件の改善などの要求を通すために、働かないで抗議す
ることを示す。会社などの組織では社員が仕事をしないと、それだけに経営に大きなダ
メージを受けてしまう。やり過ぎれば会社が潰れて全員路頭に迷う諸刃の剣である。
ぱちゅりーは得意げに微笑んだ。、
ストライキ。労働者が労働条件の改善などの要求を通すために、働かないで抗議す
ることを示す。会社などの組織では社員が仕事をしないと、それだけに経営に大きなダ
メージを受けてしまう。やり過ぎれば会社が潰れて全員路頭に迷う諸刃の剣である。
ぱちゅりーは得意げに微笑んだ。、
「それほどでもないわ」
「まあ、大体分かった。詳しい話は役所で聞くから、全員来なさい」
「まあ、大体分かった。詳しい話は役所で聞くから、全員来なさい」
男は速やかに話を進めた。
公園のゆっくりたちをワゴン車で市役所まで運んで、目的の部屋まで連れてくる。市
庁舎の隅にある空き部屋だった。部屋には何も置かれていない。
床にはテープで5×5のマス目が描かれ、そこに数字が書かれている。
庁舎の隅にある空き部屋だった。部屋には何も置かれていない。
床にはテープで5×5のマス目が描かれ、そこに数字が書かれている。
「えっと、全員ここに並びなさい。新入りの順番からだぞ。あと、自分が立っている四角
の数字は覚えておくように」
の数字は覚えておくように」
男は手際よくゆっくりを並べていく。
ほどなく十八匹のゆっくりがマスの中に並んだ。
ほどなく十八匹のゆっくりがマスの中に並んだ。
「これ、なんのいみがあるのかしら?」
「なんか、すごくゆっくりできないふんいきなのぜ……」
「なんか、すごくゆっくりできないふんいきなのぜ……」
ストライキが成功し、管理課の人間との交渉の場が開かれると考えていたゆっくりた
ち。現実はそう上手くはいかない。
ち。現実はそう上手くはいかない。
ざっ!
早足で部屋に数人の人間が入ってきた。折畳式の長机を左右に置き、パイプ椅子を
置く。机の上にはノートパソコン、書類、バッジの読取機が用意される。設備を用意し終
わり何人かが去っていき、三人が残っている。
床に並んだゆっくりたちの左側、窓側の机に着いた男。右側の入り口側の机には、
壮年の男と、若い女が着いている。
ぱちゅりーたちの正面には、ゆっくり用の机が三台置かれていた。
置く。机の上にはノートパソコン、書類、バッジの読取機が用意される。設備を用意し終
わり何人かが去っていき、三人が残っている。
床に並んだゆっくりたちの左側、窓側の机に着いた男。右側の入り口側の机には、
壮年の男と、若い女が着いている。
ぱちゅりーたちの正面には、ゆっくり用の机が三台置かれていた。
「なに、これ……?」
ぱちゅりーが呆然としているうちに、入り口から入ってきた三匹のゆっくり。
閻魔帽子をかぶった緑髪のゆっくり、えーき。
サードアイを持った紫色の髪のゆっくり、さとり。
フクロウのような癖毛とヘッドホンを付けたゆっくり、たいし。
それぞれ頭に青と白の社員ゆっくりバッジが付けられている。
三匹は正面の机に着いた。
閻魔帽子をかぶった緑髪のゆっくり、えーき。
サードアイを持った紫色の髪のゆっくり、さとり。
フクロウのような癖毛とヘッドホンを付けたゆっくり、たいし。
それぞれ頭に青と白の社員ゆっくりバッジが付けられている。
三匹は正面の机に着いた。
「これより、さいばんをかいしする」
えーきが高らかに宣言する。
「むきゅっ! これは、どういうこと!」
慌ててぱちゅりーは叫び返す。
全身を嫌な汗が流れていた。ゆっくりの罪を見ることができるえーき、心を読むことが
できるさとり、欲を見通すことができるたいし。問答無用のトリオだった。
えーきがぱちゅりーを見据える。
全身を嫌な汗が流れていた。ゆっくりの罪を見ることができるえーき、心を読むことが
できるさとり、欲を見通すことができるたいし。問答無用のトリオだった。
えーきがぱちゅりーを見据える。
「しょくむほうきはきていいはんだ。こべつにさぼりをおこなったばあいは、おやくしょの
にんげんさんが、そのものだけにばつをあたえるのだが、しゅうだんでのしょくむほうき
はえーきたちがさばくことになっている」
にんげんさんが、そのものだけにばつをあたえるのだが、しゅうだんでのしょくむほうき
はえーきたちがさばくことになっている」
職務放棄。つまり、さぼりだ。
一匹だけがさぼっている場合は、人間がその一匹を処罰する。しかし、今回のように
集団で問題を起こした場合は、このようにゆっくり用の裁判が行われる。人間が調査す
るよりも効果は大きい。地域ゆっくりの集団問題行動は稀に起こることだ。
当然、ストライキに対しての交渉などは行われない。
一匹だけがさぼっている場合は、人間がその一匹を処罰する。しかし、今回のように
集団で問題を起こした場合は、このようにゆっくり用の裁判が行われる。人間が調査す
るよりも効果は大きい。地域ゆっくりの集団問題行動は稀に起こることだ。
当然、ストライキに対しての交渉などは行われない。
「しょくむほうきって……ぱちぇたちは、とうぜんのけんりをこうししたまでよ!」
唾を飲み込みながらも、ぱちゅりーは再び声を上げる。
さとりの冷静な声が突き刺さった。
さとりの冷静な声が突き刺さった。
「さわいでごまかそうとおもっても、むだよ。あなたがここでなにをいっても、このさいば
んがちゅうしになることはないわ」
んがちゅうしになることはないわ」
無機質なサードアイが、ぱちゅりーを見据えている。思考から感情まで見通す力だ。
騒いで誤魔化そうとしたぱちゅりーの考えを切って捨てる。
騒いで誤魔化そうとしたぱちゅりーの考えを切って捨てる。
「で、でも……ぱちぇたちがいなくなったら、あのこうえんは――」
目を泳がせながら、それでもぱちゅりーは反論する。
地域ゆっくりは高い。自分たちがいなくなれば、公園を管理する者がいなくなる。管理
を行わなければ人間は困る。ぱちゅりーはそう考えて、ストライキを実行した。
地域ゆっくりは高い。自分たちがいなくなれば、公園を管理する者がいなくなる。管理
を行わなければ人間は困る。ぱちゅりーはそう考えて、ストライキを実行した。
「なに、しんぱいすることはない。きみたちがいなくなっても、ほかのちいきゆっくりがつ
れてこられ、あのこうえんはきちんとかんりされる。きみたちはあんしんして、さばきをう
けるといい」
れてこられ、あのこうえんはきちんとかんりされる。きみたちはあんしんして、さばきをう
けるといい」
たいしが落ち着いた口調で告げる。
ゆっくりが何をしたいか、何を求めているのかを読む能力を持つ。さとりとは性質が違
うが、心を読むと表現できる力だ。さとりは過去を読み、たいしは未来を読む。そう表現
する者もいるらしい。
ぱちゅりーが何を言いたいのか何を求めているのかを見切り、逃げ道を塞いだ。
ゆっくりが何をしたいか、何を求めているのかを読む能力を持つ。さとりとは性質が違
うが、心を読むと表現できる力だ。さとりは過去を読み、たいしは未来を読む。そう表現
する者もいるらしい。
ぱちゅりーが何を言いたいのか何を求めているのかを見切り、逃げ道を塞いだ。
「む、むきゅ」
何か言おうと口を動かすぱちゅりーに、さらに釘を刺す。
「それとつみをかるくしたいのなら、おとなしくしていたほうがいい。あらかじめ、じょげん
させてもらうよ」
「…………」
させてもらうよ」
「…………」
ぱちゅりーは顔を青くして押し黙った。
「1ばん。まりさ、まえへ」
えーきの言葉に、1番のマスに立っていたまえりさが前に出た。
若いまりさである。帽子に付いた地域ゆっくりバッジには星シールが貼られていない。
星無しは働き始めて一ヶ月未満の見習いを意味する。
若いまりさである。帽子に付いた地域ゆっくりバッジには星シールが貼られていない。
星無しは働き始めて一ヶ月未満の見習いを意味する。
「なにかいうことはあるか?」
「えと、えっと……」
「えと、えっと……」
脂汗をだらだら流しながら、震えながら視線をあちこちへと泳がせる。仕事の環境が
良くなると思ってぱちゅりーと一緒に騒いでいたら、裁判に掛けられた。目の前の出来
事はまりさの思考を置き去りにしている。
良くなると思ってぱちゅりーと一緒に騒いでいたら、裁判に掛けられた。目の前の出来
事はまりさの思考を置き去りにしている。
「おしごとさぼってずびばせんでした……!」
謝罪の言葉とともに頭を下げた。
とりあえず自分が悪い事をしてしまったという事は理解していた。
さとりとたいしがえーきに小声で何か話しかける。さとりとたいしが被告ゆの考えや欲
求を読み取り、それをえーきに伝え、罪と罰を計るえーきが最終的な判決を出す。
非常に効率的なシステムだった。
とりあえず自分が悪い事をしてしまったという事は理解していた。
さとりとたいしがえーきに小声で何か話しかける。さとりとたいしが被告ゆの考えや欲
求を読み取り、それをえーきに伝え、罪と罰を計るえーきが最終的な判決を出す。
非常に効率的なシステムだった。
「はんけつをいいわたす。おせっきょうべやゆき」
「………」
「………」
まりさは無言のまま震えていた。
被告人席に立った3番のれいむ。
えーきが宣言する。
えーきが宣言する。
「はんけつをいいわたす。ほしのぼっしゅうと、ばっきん100ポイント、そしておせっきょ
うべやゆき」
「れいむ、こっちへ」
うべやゆき」
「れいむ、こっちへ」
長机に着いている女が、れいむに声を掛けた。
「ゆぅ……」
言われた通りに、れいむが女の横に歩いていく。
女はれいむのリボンに付いているバッジを引っ張った。あっさりとリボンから離れるバ
ッジ。バッジは留め具ではなく、ゆっくり組織にくっつく特殊なテープで貼り付けてあるの
で簡単に取り外しができる。ただし取るにはコツが必要で、普通に引っ張っても簡単に
は取れない。
女はれいむのリボンに付いているバッジを引っ張った。あっさりとリボンから離れるバ
ッジ。バッジは留め具ではなく、ゆっくり組織にくっつく特殊なテープで貼り付けてあるの
で簡単に取り外しができる。ただし取るにはコツが必要で、普通に引っ張っても簡単に
は取れない。
「れ……れいむは、どうなるの?」
こわごわとれいむが尋ねる。
「んー」
女はバッジを眺めた。
名刺大のプラチックのカード。上側が緑で下側が白。白い部分には銀色の星のシー
ルが貼られている。裏側にはIDの数字が印刷されていた。01-0465-H240607-005。
種族番号、地区番号、登録日、その日の登録順。
バッジを読み取り機にかざすと、パソコンにデータが表示される。
女は不安げなれいむを見下ろし、
名刺大のプラチックのカード。上側が緑で下側が白。白い部分には銀色の星のシー
ルが貼られている。裏側にはIDの数字が印刷されていた。01-0465-H240607-005。
種族番号、地区番号、登録日、その日の登録順。
バッジを読み取り機にかざすと、パソコンにデータが表示される。
女は不安げなれいむを見下ろし、
「まず、ゆっくりポイントを100点もらうよ。貯金で払えるならそれでよし。無理なられい
むの私物を没収だね。全財産払っても罰金は0にならないことが多いけど、支給品以
外の手持ちのものがなくなったら、一応そこでおしまい」
むの私物を没収だね。全財産払っても罰金は0にならないことが多いけど、支給品以
外の手持ちのものがなくなったら、一応そこでおしまい」
罰金刑は貯金と当日までの給料から引かれる。足りない場合は、私物が没収される。
貯金額が50ポイントを越える一般ゆっくりは少なく、お給料の多くはあまあまなどのお
やつとなってお腹に消えるため、換金できる私物を持つゆっくりは少ない。
罰金刑は事実上の全財産没収だった。
目に涙を浮かべるれいむ。
貯金額が50ポイントを越える一般ゆっくりは少なく、お給料の多くはあまあまなどのお
やつとなってお腹に消えるため、換金できる私物を持つゆっくりは少ない。
罰金刑は事実上の全財産没収だった。
目に涙を浮かべるれいむ。
「星も消えるから、見習いからやり直しだね」
女は剥離剤をシールに塗った。強力に接着されたシールだが、剥離剤によってあっ
さりと剥がれた。星の無くなったバッジをれいむに見せてから、リボンに取り付ける。
見習い期間は一ヶ月。その間のお給料は一日一ポイントである。
さりと剥がれた。星の無くなったバッジをれいむに見せてから、リボンに取り付ける。
見習い期間は一ヶ月。その間のお給料は一日一ポイントである。
「あとお説教部屋でお説教」
「ゆぅぅぅ……」
「ゆぅぅぅ……」
れいむは下唇を噛み、はらはらと涙を流した。
「ごめんなさないみょん……! みょんはわるいことをしましたみょん。だから、どんなば
つでもうけますみょん」
つでもうけますみょん」
6番のみょんがその場に土下座した。
それを見つめるさとりとたいし。
それを見つめるさとりとたいし。
「あなた、じぶんがやっていたことがわるいことだって、わかってたのね」
「ストライキがきやくいはんであることがわかっていたけど、いいだすゆうきがなかった
ようですね。きがよわいかたのようなので、それはしかたないでしょう」
「みょ!?」
「ストライキがきやくいはんであることがわかっていたけど、いいだすゆうきがなかった
ようですね。きがよわいかたのようなので、それはしかたないでしょう」
「みょ!?」
みょんははっとしたように顔を上げた。
悪い事と分かっていても周りに流され実行してしまう。集団の一員では流れに逆らう
ことが難しい。そういうゆっくりの弁護を行うのも、さとりとたいしの仕事だった。
悪い事と分かっていても周りに流され実行してしまう。集団の一員では流れに逆らう
ことが難しい。そういうゆっくりの弁護を行うのも、さとりとたいしの仕事だった。
「はんけつをいいわたす。ばっきん10ポイント、しっこうゆうよいっかげつ」
えーきが宣言する。
「し、しっこうゆうよってなにみょん?」
よく分からない言葉に、みょんは訊き返した。
「あなたがいっかげつ、なにもわるいことをしなければ、けいはしっこうされない。なにか
わるいことをしたら、そのときはこんかいのばつといっしょにばつをうけるが」
「みょ……」
わるいことをしたら、そのときはこんかいのばつといっしょにばつをうけるが」
「みょ……」
たいしの説明に、瞬きをする。
「あたえられるばつではいちばんかるいもの。ほぼむざいということです」
「みょん?」
「みょん?」
みょんは何となく理解した。
さとりがみょんを見つめる。
さとりがみょんを見つめる。
「ただ、あなたがさぼりにさんかしてしまったのはじじつよ。それはわすれないで。みん
ながまちがったことをしているとおもったら、ゆうきをだしなさい」
「ありがとうございますみょん!」
ながまちがったことをしているとおもったら、ゆうきをだしなさい」
「ありがとうございますみょん!」
みょんはその場に土下座して礼を言った。
のーびのーびしながら、7番のちぇんが声を上げる。
「ちぇんはみんながやることが、わるいってわかってたんだよー。でもいいだせなかった
んだよー。だからむざいなんだねー。わかってねー?」
「うそね」
「うそだな」
「うそですね」
「にあぁ……」
んだよー。だからむざいなんだねー。わかってねー?」
「うそね」
「うそだな」
「うそですね」
「にあぁ……」
三連続で即答され、ちぇんは涙とともに萎れた。
えーきが宣言する。
えーきが宣言する。
「はんけつをいいわたす。ほしぼっしゅう、ばっきん200ポイント、そして、おせっきょう
べやゆき。さらに、ぎしょうざいにより、ちょうえき2しゅうかん」
「わがらにゃいよおおぉ……」
べやゆき。さらに、ぎしょうざいにより、ちょうえき2しゅうかん」
「わがらにゃいよおおぉ……」
今までのゆっくりとは違う罰の重さに、ちぇんは泣きながら倒れた。
裁判の場では自分に不利な発言はしなくてもいい。しかし、思い切り嘘をついた場合、
偽証罪となり罰せられる。そして、えーきとさとり、たいしの前ではどう足掻いても嘘は見
抜かれる。
裁判の場では自分に不利な発言はしなくてもいい。しかし、思い切り嘘をついた場合、
偽証罪となり罰せられる。そして、えーきとさとり、たいしの前ではどう足掻いても嘘は見
抜かれる。
一般ゆっくりの裁判が終わる。
後ろの傍聴席に移され、裁判を眺めているゆっくりたち。大半は落ち込んだり泣いて
いたりと、暗い表情を見せている。落ち着いているのは、執行猶予を貰った6番のみょん
と、同じ理由で執行猶予を貰った9番のれいむだけである。
後ろの傍聴席に移され、裁判を眺めているゆっくりたち。大半は落ち込んだり泣いて
いたりと、暗い表情を見せている。落ち着いているのは、執行猶予を貰った6番のみょん
と、同じ理由で執行猶予を貰った9番のれいむだけである。
「14ばん、ゆうか、まえへ」
呼ばれて前へ出るゆうか。
残ったのはリーダーぱちゅりー。そしてゆうか、ありす、まりさ、みょんの四匹である。
バッジに付いている星はひとつだが、班長という肩書きを持つゆっくりたち。星ひとつ半
と表現されることもあった。
残ったのはリーダーぱちゅりー。そしてゆうか、ありす、まりさ、みょんの四匹である。
バッジに付いている星はひとつだが、班長という肩書きを持つゆっくりたち。星ひとつ半
と表現されることもあった。
「ひこくにん、ゆうか。おまえは、なぜストライキにさんかしたのだ? ぱちゅりーをとめる
ことはできただろう?」
ことはできただろう?」
えーきがゆうかを見据える。
花壇の手入れを担当しているゆうか。花壇と植物の世話という技術を持つため、大抵
の場所ではそれなりの地位に就いている。つまり、グループ全体がおかしな方向に動
き始めたとしても、それを止められる力があると判断されるのだ。
花壇の手入れを担当しているゆうか。花壇と植物の世話という技術を持つため、大抵
の場所ではそれなりの地位に就いている。つまり、グループ全体がおかしな方向に動
き始めたとしても、それを止められる力があると判断されるのだ。
「ゆ、ゆうかは、かだんをおおきくしてもらいたかったから……このストライキにさんかし
たわ……。わ、わるいことだとはわかってたけど、みんなもやるきになっていたし……し
かたなかったのよ」
たわ……。わ、わるいことだとはわかってたけど、みんなもやるきになっていたし……し
かたなかったのよ」
視線をせわしなく動かしながら、ゆうかは答えた。
向けられるさとりのサードアイ。
向けられるさとりのサードアイ。
「もんだいになっても、ぱちゅりーにぜんぶおしつけるとおもってたのね」
「!」
「!」
固まるゆうかに、たいしが畳み掛ける。
「じぶんはきしょうしゅだから、そんなにおもいばつはうけないだろう。そうかんがえてい
ますね? いまげんざいも。ざんねんながら、えーきどのはこうへいです」
「!?」
ますね? いまげんざいも。ざんねんながら、えーきどのはこうへいです」
「!?」
緑色の瞳が恐怖に染まる。
思考よりも奥、自分の本質が容赦なく暴かれることへの恐怖だった。さとりもたいしも
裁判官補佐として訓練を積んでいる。そのために相手の心や欲を読む力も、特殊な訓
練で鍛えられていた。
思考よりも奥、自分の本質が容赦なく暴かれることへの恐怖だった。さとりもたいしも
裁判官補佐として訓練を積んでいる。そのために相手の心や欲を読む力も、特殊な訓
練で鍛えられていた。
「はんけつをいいわたす。ほしぼっしゅう、ばっきん300ポイント。ぎょうむじょうはいに
んざいにより、ちょうえき8かげつ」
「いやあああ……ぁぁぁ……」
んざいにより、ちょうえき8かげつ」
「いやあああ……ぁぁぁ……」
ゆうかは弱々しく悲鳴を上げた。
この辺りのゆっくりになると、背任罪が付き罰が重くなる。
この辺りのゆっくりになると、背任罪が付き罰が重くなる。
「はんけつをいいわたす。ほしぼっしゅう、ばっきん350ポイント。ぎょうむじょうはいに
んざいにより、ちょうえき10かげつ」
「いぎありなんだぜええ!」
んざいにより、ちょうえき10かげつ」
「いぎありなんだぜええ!」
15番の班長まりさが叫び返す。ちなみに本人は知らないが、ぱちゅりーが今回の
騒ぎを起こすきっかけとなったまりさだ。
騒ぎを起こすきっかけとなったまりさだ。
「このさいばんに、じょうこくせいどはない」
えーきはあっさりと言った。
「はんけつをいいわたす。ほしぼっしゅう、ばっきん250ポイント。ぎょうむじょうはいに
んざいにより、ちょうえき6かげつ」
「みょ、みょんのしゅっせかいどう……お、おわったみょん……」
んざいにより、ちょうえき6かげつ」
「みょ、みょんのしゅっせかいどう……お、おわったみょん……」
涙を流しながら、16番のみょんがその場に崩れ落ちた。
「18ばん、ぱちゅりー、まえへ」
最後に残ったぱちゅりーに視線が集まる。
「なぜこのようなストライキをおこした?」
えーきの問いに、ぱちゅりーは唾を飲み込んだ。それでも、きっぱりと答えた。えーき
たちの頭に付けられた青と白の社員ゆっくりバッジを睨みながら、
たちの頭に付けられた青と白の社員ゆっくりバッジを睨みながら、
「ぱ、ぱちぇはちいきゆっくりのおしごとにふまんをもっていたわ! まいにちそとでにく
たいろうどう……たてもののなかではたらいてるしゃいんゆっくりより、なんばいもかこ
くなしごとよ。でもおきゅうりょうはとってもやすい! こんなのふこうへいよ。だから、ぱ
ちぇはたたかうことをきめたわ!」
たいろうどう……たてもののなかではたらいてるしゃいんゆっくりより、なんばいもかこ
くなしごとよ。でもおきゅうりょうはとってもやすい! こんなのふこうへいよ。だから、ぱ
ちぇはたたかうことをきめたわ!」
格差是正。小難しい言葉で書くなら、こんなところだろう。地域ゆっくりの地位向上の
ために自分はストライキを起こした。そうぱちゅりーは主張した。
ために自分はストライキを起こした。そうぱちゅりーは主張した。
「はたらかずに、たくさんおきゅうりょうもらいたいだけね」
「!」
「!」
建前の奥に隠れた本音を、さとりが容赦なくえぐり出す。
「もしストライキがせいこうしていたら、おまえはどうしていた?」
「むきゅ?」
「むきゅ?」
えーきの問いに、ぱちゅりーは瞬きをした。
ストライキが成功し、給料や労働環境が改善した後。多分、そのうちまたストライキを
行うだろう。ぱちゅりーはそんな未来をぼんやりと思い浮かべていた。
ストライキが成功し、給料や労働環境が改善した後。多分、そのうちまたストライキを
行うだろう。ぱちゅりーはそんな未来をぼんやりと思い浮かべていた。
「……」
それが危険な事であると、今になって理解する。
たいしがぱちゅりーを見つめていた。
たいしがぱちゅりーを見つめていた。
「きみはじぶんがこのよでいちばんゆうしゅうであると、かんがえているようですね。そ
れじたいはよくあることです。わるいこととはいいません。しかし、じぶんのゆうしゅうさを
しめすために、まわりをみくだすことよくないですよ?」
「………」
れじたいはよくあることです。わるいこととはいいません。しかし、じぶんのゆうしゅうさを
しめすために、まわりをみくだすことよくないですよ?」
「………」
心を抉る言葉と視線に、ぱちゅりーは何も言えずにいた。
自分が一番優秀。誰もが考える事である。ほとんどの者はそんな事はないと理性で
否定してしまうが、時折理性を否定するようにその妄想を厚く塗り上げていく者がいる。
淡々としたさとりの眼差し。
自分が一番優秀。誰もが考える事である。ほとんどの者はそんな事はないと理性で
否定してしまうが、時折理性を否定するようにその妄想を厚く塗り上げていく者がいる。
淡々としたさとりの眼差し。
「おおくのなかまをせんどうして、じぶんのちからをみんなにみせつけるのは、ほんとう
にゆっくりできたようね。もしかしたら、にんげんさんをもくっぷくさせられるかもしれない。
じぶんはにんげんをこえた、そうかんがえるのはたのしかったでしょ?」
にゆっくりできたようね。もしかしたら、にんげんさんをもくっぷくさせられるかもしれない。
じぶんはにんげんをこえた、そうかんがえるのはたのしかったでしょ?」
ストライキで待遇改善を勝ち取れば、それは人間に勝った事となる。ぱちゅりーはそ
う認識していた。ゆっくりは普通人間に勝てないが、自分は人間に勝つことのできる優
秀なゆっくりだと。
う認識していた。ゆっくりは普通人間に勝てないが、自分は人間に勝つことのできる優
秀なゆっくりだと。
「ぱ、ぱちぇはただ……」
「ゆっくりしたかっただけね。ほかのゆっくりや、にんげんさんのことをまったくかんがえ
ずに。じぶんがゆっくりできれば、それでいい」
「ゆっくりしたかっただけね。ほかのゆっくりや、にんげんさんのことをまったくかんがえ
ずに。じぶんがゆっくりできれば、それでいい」
さとりがぱちゅりーの本音を読み上げる。
表面をきれいな言葉で繕い、ぱちゅりー自身も自分は立派な事をしていると思い込ん
でいた。思い込んでいたつもりだった。しかし、心を読むさとりはその本質を読み取るこ
とができる。隠すことはできない。
表面をきれいな言葉で繕い、ぱちゅりー自身も自分は立派な事をしていると思い込ん
でいた。思い込んでいたつもりだった。しかし、心を読むさとりはその本質を読み取るこ
とができる。隠すことはできない。
「じぶんがとくべつでありたいとおもうこころは、だれにでもあります。そのためにリーダ
ーにまでしゅっせしたどりょくはすばらしい。しかし、たのゆっくりを、にんげんを、みくだ
すのはよくない。そのもうそうのままこうどうしてしまうのは……ゲスのやることです」
ーにまでしゅっせしたどりょくはすばらしい。しかし、たのゆっくりを、にんげんを、みくだ
すのはよくない。そのもうそうのままこうどうしてしまうのは……ゲスのやることです」
顔を青くしているぱちゅりーに、たいしが続ける。
自分が一番で他はみんなクズ。そう考えることは罪ではない。その妄想から実際に
行動を起こしてしまったこと。それがぱちゅりーの罪だった。
えーきが告げる。
自分が一番で他はみんなクズ。そう考えることは罪ではない。その妄想から実際に
行動を起こしてしまったこと。それがぱちゅりーの罪だった。
えーきが告げる。
「はんけつをいい――」
「むきゅああああああ!」
「むきゅああああああ!」
ぱちゅりーが叫んだ。
額に青筋を浮かべながら、えーきとさとり、たいしを睨み付ける。本気の殺意を目に込
めて。本当の事は、下手な嘘や言いがかりよりも大きな怒りを作り出す。
額に青筋を浮かべながら、えーきとさとり、たいしを睨み付ける。本気の殺意を目に込
めて。本当の事は、下手な嘘や言いがかりよりも大きな怒りを作り出す。
「ふざけるんじゃないわよおおおっ! なにがさいばんよおおっ! このおんしつそだち
のゲスどもがあああ! このぱちぇをさばくとは、なにさまのつもりよおおお!」
のゲスどもがあああ! このぱちぇをさばくとは、なにさまのつもりよおおお!」
しかしえーきたちは驚くことなくぱちゅりーを見つめている。
ぷすっ。
「むきゅぃ?」
ぱちゅりーの動きが止まった。
えーきたちに飛び掛かろうとした姿勢で、固まっている。その頭に小さなマチ針が刺
さっていた。その針がぱちゅりーの動きを封じている。痛みもなく、ぱちゅりーはいきな
り身体が動かなくなったとしか認識できていない。
窓辺に座っていた男が、数本のマチ針を左手で動かしていた。
えーきたちに飛び掛かろうとした姿勢で、固まっている。その頭に小さなマチ針が刺
さっていた。その針がぱちゅりーの動きを封じている。痛みもなく、ぱちゅりーはいきな
り身体が動かなくなったとしか認識できていない。
窓辺に座っていた男が、数本のマチ針を左手で動かしていた。
「続けてくれ、えーき」
途中でゆっくりが暴れたりしたら、それを止めるのが男の仕事である。マチ針を用い
たゆっくりの操作。そういう謎の技術を持つ人間は、結構多い。
たゆっくりの操作。そういう謎の技術を持つ人間は、結構多い。
「はんけつをいいわたす」
動けないぱちゅりーに、えーきが宣言する。
「ほしとバッジのぼっしゅう、ポイントおよびしゆうしさんのぼっしゅう。そしてほうていぶ
じょくざい、とくべつはいにんざいにより、じっけんたいしょぶんとする」
「………!」
じょくざい、とくべつはいにんざいにより、じっけんたいしょぶんとする」
「………!」
実験体処分。地域ゆっくりへの罰として一番重いものだった。加工所系の研究所に
実験用ゆっくりとして送られる。その後は死ぬまで実験体として使われる。事実上の殺
処分だった。いや、比較的楽に死ねる分、殺処分の方がマシだろう。
実験用ゆっくりとして送られる。その後は死ぬまで実験体として使われる。事実上の殺
処分だった。いや、比較的楽に死ねる分、殺処分の方がマシだろう。
「これで、へいていとする」
数日後。
「みょんはみょんだみょん。これからよろしくおねがいしますみょん」
「れいむはれいむだよ。みんなよろしくね」
「れいむはれいむだよ。みんなよろしくね」
執行猶予を受けたみょんとれいむは、元の公園に戻されていた。余所から移された
地域ゆっくりたちに挨拶をしている。たいしの言った通り、公園は新たなグループによっ
て今まで通り管理されることとなった。
地域ゆっくりたちに挨拶をしている。たいしの言った通り、公園は新たなグループによっ
て今まで通り管理されることとなった。
「へいおんがいちばんみょん……」
「わるいことはしちゃだめだよね」
「わるいことはしちゃだめだよね」
二匹は特に問題もなく日常へと戻っていく。
少し時を遡り。
裁判を行った部屋に残されたゆっくりたち。判決でお説教部屋行きを言い渡されたゆ
っくりたちだった。部屋の中央に集まってきょろきょろしている。
裁判を行った部屋に残されたゆっくりたち。判決でお説教部屋行きを言い渡されたゆ
っくりたちだった。部屋の中央に集まってきょろきょろしている。
「おせっきょうってなんなんだぜ?」
「おせっきょうはゆっくりできないわ……」
「……はやくおわってほしいよ」
「おせっきょうはゆっくりできないわ……」
「……はやくおわってほしいよ」
そう言い合っている。
お説教と言われて憂鬱になっているが、怒られる程度にしか感じていない。きつく
叱られるのは辛いが、逆を言えばきつく叱られるだけだ。耐えていれば何とかなるし、
殺されるわけではない。そう考えていた。
しかし、現実は非情である。
お説教と言われて憂鬱になっているが、怒られる程度にしか感じていない。きつく
叱られるのは辛いが、逆を言えばきつく叱られるだけだ。耐えていれば何とかなるし、
殺されるわけではない。そう考えていた。
しかし、現実は非情である。
「しつれいする」
部屋に入ってきた狐耳と尻尾を持ったゆっくり。らん。
「らんしゃま?」
ちぇんが呟く。
続いてぞろぞろとゆっくりが入ってきた。
続いてぞろぞろとゆっくりが入ってきた。
「どうも。けーねだ」
「こんにちは。えーりんです」
「ひきつづきとうじょう。えーきだ」
「こんにちは。えーりんです」
「ひきつづきとうじょう。えーきだ」
箱のような青い帽子と水色の髪のけーね。赤い十字が記されたナース帽子をかぶっ
たえーりん、さっきまで裁判長を務めていたえーき。
音もなく部屋の空気が重くなっていく。
たえーりん、さっきまで裁判長を務めていたえーき。
音もなく部屋の空気が重くなっていく。
「ゆぁぁ……」
「まずいのぜ………」
「まずいのぜ………」
地域ゆっくりたちの顔から、余裕が消えていた。これから何が起こるのか分からない。
だが、自分たちの想像を遙かに超えるゆっくりできない事が起こる。それは考えるより
早く理解した。
さらに部屋に入ってくるゆっくり。
だが、自分たちの想像を遙かに超えるゆっくりできない事が起こる。それは考えるより
早く理解した。
さらに部屋に入ってくるゆっくり。
「いくです」
「ひじりです。なむさん」
「かせんです。はじめまして」
「ひじりです。なむさん」
「かせんです。はじめまして」
黒い帽子とピンクの羽衣のいく。黄色と紫のグラディエーションヘアーのひじり。ピンク
の髪にお団子を付けたかせん。
の髪にお団子を付けたかせん。
「あたしもいるよ」
「み、みまさままで!?」
「み、みまさままで!?」
まりさが声を上げた。
太陽のマークが入った青い帽子と緑の髪のゆっくり、みま。
部屋に残った地域ゆっくりは十一匹。全員一般ゆっくりである。それを囲む八匹の希少
種。らん、けーね、えーりん、えーき、いく、ひじり、かせん、さらにみま。『そういう』雰囲気
を持ったゆっくりたち。本気で殺ス布陣だった。
太陽のマークが入った青い帽子と緑の髪のゆっくり、みま。
部屋に残った地域ゆっくりは十一匹。全員一般ゆっくりである。それを囲む八匹の希少
種。らん、けーね、えーりん、えーき、いく、ひじり、かせん、さらにみま。『そういう』雰囲気
を持ったゆっくりたち。本気で殺ス布陣だった。
「…………」
そのまま潰れそうなほどの威圧感に、地域ゆっくりたちが震えている。
「24じかんたいきゅう、すーぱーおせっきょうたーいむ、はじまるよー!」
えーきが宣言する。
現在午後二時。
現在午後二時。
夜九時。
午後二時から今まで休憩一切無しでお説教が続いている。お説教の得意なゆっくり
によるノンストップお説教は、恐ろしい勢いで体力と精神力を削っていく。非ゆっくり症を
起こしてもおかしくはないほどに。
だが、非ゆっくり症を起こさせるほど、お説教ゆっくりは甘くない。
午後二時から今まで休憩一切無しでお説教が続いている。お説教の得意なゆっくり
によるノンストップお説教は、恐ろしい勢いで体力と精神力を削っていく。非ゆっくり症を
起こしてもおかしくはないほどに。
だが、非ゆっくり症を起こさせるほど、お説教ゆっくりは甘くない。
「おお。まだやってたか」
残業で残っていた職員が、部屋のドアを開けた。
ドアが開いたことで、お説教が止まり、職員に視線が集まった。
ドアが開いたことで、お説教が止まり、職員に視線が集まった。
「お、おにいさ……たす、たすけ……」
涙を流しながら、れいむが助けを求める。目から涙を流し、頬も痩けている。まるで数日
断食でもしたような有様だった。他のゆっくりたちも似たような消耗具合である。
が、返ってきたのは無慈悲な言葉だった。
断食でもしたような有様だった。他のゆっくりたちも似たような消耗具合である。
が、返ってきたのは無慈悲な言葉だった。
「電気は付けておくから、ゆっくり頑張れよ」
「はい。おきづかいありがとうございます」
「はい。おきづかいありがとうございます」
えーきが頭を下げる。
二十四時間耐久。無論、徹夜である。
二十四時間耐久。無論、徹夜である。
翌朝。職員がお説教部屋を覗いた。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます」
涼しい顔で挨拶を返しているえーきたち。
お説教開始からおよそ十八時間。その間休憩も食事も睡眠も無しである。それだと
いうのに、お説教しているゆっくりは元気そうにしていた。元々お説教好きという性格
も元気な理由だろう。
お説教開始からおよそ十八時間。その間休憩も食事も睡眠も無しである。それだと
いうのに、お説教しているゆっくりは元気そうにしていた。元々お説教好きという性格
も元気な理由だろう。
「ゅ……ゅっ……」
一方、お説教を受けているゆっくりは死にかけている。
そして、午後二時になった。
「これでおせっきょうをおわりにする」
「これからはしっかりまじめにはたらくんだぞ」
「これからはしっかりまじめにはたらくんだぞ」
お説教が終わる。最初の宣言通り二十四時間のお説教タイム。お説教役のゆっくりは
最初の言葉通り、お説教を終わりし、ねぎらいの言葉をかけていた。
最初の言葉通り、お説教を終わりし、ねぎらいの言葉をかけていた。
「ハイ。ガンバリマス」
「マリサタチハ、マジメニオシゴトシマスノゼ……」
「マリサタチハ、マジメニオシゴトシマスノゼ……」
お説教を受けていたゆっくりたちは、皆きりっと眉を内側に傾け、光の消えた瞳で機械
的に呟いていた。お説教を受けたゆっくりの心には決して消えぬ傷が刻まれている。もは
や一種の洗脳、もしくは思考改造である。
しかし、その効果は高い。
しばらくすれば見た目は元に戻るが、お説教の恐怖は決して忘れることがない。
的に呟いていた。お説教を受けたゆっくりの心には決して消えぬ傷が刻まれている。もは
や一種の洗脳、もしくは思考改造である。
しかし、その効果は高い。
しばらくすれば見た目は元に戻るが、お説教の恐怖は決して忘れることがない。
とある公共施設の裏側が、懲役刑を受けたゆっくりの仕事場だった。刑務所とも呼ば
れる。日当たりが悪く、空気も淀んでいる。陰気な場所だった。ゴミや草は少ないが、広
い上に担当するゆっくりが少ないので楽なものではない。
れる。日当たりが悪く、空気も淀んでいる。陰気な場所だった。ゴミや草は少ないが、広
い上に担当するゆっくりが少ないので楽なものではない。
「ああ……」
ゆうかは目元に涙を浮かべて、空を見上げた。
罰であるためお給料は出ない。おうちは数匹が一緒に寝る窮屈なもので、自分で自
由になる空間はない。食事は普段よりも一ランク低いいまいち味。
それらも辛いが、ゆうかには何より辛いことがあった。
罰であるためお給料は出ない。おうちは数匹が一緒に寝る窮屈なもので、自分で自
由になる空間はない。食事は普段よりも一ランク低いいまいち味。
それらも辛いが、ゆうかには何より辛いことがあった。
「おはなをそだてたい……」
アスファルトの隙間から生える草を見つめ、涙を流す。
種類にかかわらず仕事は普通の草毟りやゴミ拾い。花を育てたいが、育てる花もな
い。花を育てられないことは、ゆうか種にとって大きなストレスだった。
種類にかかわらず仕事は普通の草毟りやゴミ拾い。花を育てたいが、育てる花もな
い。花を育てられないことは、ゆうか種にとって大きなストレスだった。
「なんであんなバカなことしちゃったのかしら……」
後悔しても全てが手遅れだった。
懲役八ヶ月。寿命の短いゆっくりにとって、その月日はかなり長いものだった。
懲役八ヶ月。寿命の短いゆっくりにとって、その月日はかなり長いものだった。
「ツミハツグナワナイト、イケナインダヨー。ワカルヨネー」
壊れた表情で落ち葉を集めているちぇん。お説教部屋行きから、二週間の懲役を受
けている。二週間は長いが、月単位の懲役に比べればかなり短い。
けている。二週間は長いが、月単位の懲役に比べればかなり短い。
「………」
ゆうかは無表情でちぇんを眺めていた。
いまいちフード。吐くほど不味くはないが、決して美味しいとはいえない。
全員無言で食事を口にしている。
ゆうかの隣でフードを食べていたみょんが、ふと口を開いた。
全員無言で食事を口にしている。
ゆうかの隣でフードを食べていたみょんが、ふと口を開いた。
「……みょんにはゆめがあったみょん。いっぱいおしごとしてしゅっせして、たくさんおきゅ
うりょうもらって、おおきなおうちとすぃーをかって、ばりばりはたらいてゆうがにくらすゆめ
があったみょん」
うりょうもらって、おおきなおうちとすぃーをかって、ばりばりはたらいてゆうがにくらすゆめ
があったみょん」
元班長のみょんであるる。同期のゆっくりの中では出世頭だった。
貯めたゆっくりポイントを払えば、支給品のお家よりも大きなお家や私用すぃーも買う
ことができる。それだけのポイントを作るには、リーダーなどの星ふたつ以上の地位に
なって年単位で貯金しなければならないが、みょんの望む生活は実現可能なものだ。
みょんは優雅な地域ゆっくり生活を夢見て働いていた。
フードを食べるみょんの目から一筋の涙がこぼれる。
貯めたゆっくりポイントを払えば、支給品のお家よりも大きなお家や私用すぃーも買う
ことができる。それだけのポイントを作るには、リーダーなどの星ふたつ以上の地位に
なって年単位で貯金しなければならないが、みょんの望む生活は実現可能なものだ。
みょんは優雅な地域ゆっくり生活を夢見て働いていた。
フードを食べるみょんの目から一筋の涙がこぼれる。
「でも、ぜんぶぱーだみょん……」
この懲罰はみょんの経歴に大きな傷となって残る。一生を一般ゆっくりとして過ごすな
ら大きな問題にはならないが、出世街道を歩くゆっくりにとっては致命傷だった。
みょんは今後一生一般ゆっくりとして過ごすだろう。頑張っても班長レベルになれるかど
うかだ。それ以上の出世は絶望的である。
何も言わず、他のゆっくりはみょんの呟きを聞いてた。
ら大きな問題にはならないが、出世街道を歩くゆっくりにとっては致命傷だった。
みょんは今後一生一般ゆっくりとして過ごすだろう。頑張っても班長レベルになれるかど
うかだ。それ以上の出世は絶望的である。
何も言わず、他のゆっくりはみょんの呟きを聞いてた。
「こんなところもういやよ。ありすは、だっそうするわあああ!」
ありすが泣きながら裏庭の入り口へと走る。
過酷な環境下で仕事をするなら、野良に落ちた方がマシだ。そう考えるゆっくりは出
てくる。見張りはいないし、柵などがあるわけでもない。
しかし。
過酷な環境下で仕事をするなら、野良に落ちた方がマシだ。そう考えるゆっくりは出
てくる。見張りはいないし、柵などがあるわけでもない。
しかし。
ぴっ。
「いぎぃぃぃぃ! あぁぁぁぁっ!」
突如、涙を流しながらありすが悶え始める。
懲役ゆっくりの身体にはショック装置が埋め込まれていた。発信器からある程度の範
囲にいないと、中枢餡に弱い電気を流し激痛を走らせる。人間にたとえるなら、神経に
直接電気を流されるような激痛。
懲役ゆっくりの身体にはショック装置が埋め込まれていた。発信器からある程度の範
囲にいないと、中枢餡に弱い電気を流し激痛を走らせる。人間にたとえるなら、神経に
直接電気を流されるような激痛。
「いだ……いだぃ……! だず、げ……、ごべ……」
いごいごと身体を捻りながら、裏庭の中央へと向かうありす。範囲から出たら電気が
流れるが、範囲内に戻れば電流は止まる。それは、あらかじめ説明してあった。
流れるが、範囲内に戻れば電流は止まる。それは、あらかじめ説明してあった。
ぴっ。
電波を受信し、電流が止める。
「……うぅ……」
うつ伏せに倒れ、ありすは弱々しく痙攣していた。
「バッジID04-0465-H210506-004。元地域ゆっくり星ふたつ。公園のリーダー。健康
状態良好、運動能力良好。欠損無し」
状態良好、運動能力良好。欠損無し」
白衣を着た男が、書類を読み上げる。
「ぱちぇは、どうなるの……」
トレイの上で震えながらぱちゅりーは男を見上げた。
どこかの研究室である。棚や道具や機材が置かれた部屋だった。置かれているもの
が何の道具なのかはぱちゅりーには分からない。判決が出てからすぐにバッジを奪わ
れ箱に詰められ、ぱちゅりーはここに連れて来られた。
さきほど頭に刺さっていた針を抜かれ、今は普通に動ける。
ここから自分がどうなるのかぱちゅりーには想像もつかない。
どこかの研究室である。棚や道具や機材が置かれた部屋だった。置かれているもの
が何の道具なのかはぱちゅりーには分からない。判決が出てからすぐにバッジを奪わ
れ箱に詰められ、ぱちゅりーはここに連れて来られた。
さきほど頭に刺さっていた針を抜かれ、今は普通に動ける。
ここから自分がどうなるのかぱちゅりーには想像もつかない。
「これ食べて」
男が取り出したのは、大きなラムネだった。
何か反応するよりも早く、ラムネがぱちゅりーの口に押し込まれる。
何か反応するよりも早く、ラムネがぱちゅりーの口に押し込まれる。
「むきゅ……ぅ……」
ぱちゅりーの意識は霞んでいった。
「むきゅぁ……」
目が覚める。
身体が重い。
身体が重い。
「おはよう。さっそく検査を始める」
白衣を着た男が、パソコンを弄っている。ラムネを食べさせた男とは別だった。部屋も
違う。いつの間にか、ぱちゅりーには大量のセンサーが取り付けられていた。それらの
コードは何かの機械に繋がれている。
数分何かを測定してから、男が箱からラムネを取り出した。
違う。いつの間にか、ぱちゅりーには大量のセンサーが取り付けられていた。それらの
コードは何かの機械に繋がれている。
数分何かを測定してから、男が箱からラムネを取り出した。
「これ食べて」
「むきゅ……」
「むきゅ……」
口にラムネを押し込まれ、ぱちゅりーは眠りに落ちる。
そうして何度か起こされ眠らされを繰り返してから。
「おはよう、ぱちゅりー」
「おはようございます……」
「おはようございます……」
作業着を着た男に事務的に返事をしてから、ぱちゅりーは目を動かした。眠って時間
が経って、起きて数分の検査を受け、再び眠る。時間感覚は既に吹き飛んでいた。あ
の裁判からどれくらい経ったのか考えながら、部屋を見回す。
もぞもぞとぱちゅりーは身体の前後を入れ換え。
壁にかけられたカレンダーが目に入る。
が経って、起きて数分の検査を受け、再び眠る。時間感覚は既に吹き飛んでいた。あ
の裁判からどれくらい経ったのか考えながら、部屋を見回す。
もぞもぞとぱちゅりーは身体の前後を入れ換え。
壁にかけられたカレンダーが目に入る。
2018年11月――
その意味はすぐには理解できなかった。
「むきゅあぁ……」
嫌な汗が全身から噴き出す。
ぱちゅりーが裁判を受けた日から、既に六年以上の時間が過ぎている。ここに連れ
て来られてから起きていた体感時間は一時間に満たない。あの日から多くても一週間
程度しか経っていないと、ぱちゅりーは考えていた。実際はその想像の何百倍もの月
日が流れていた。
棚のガラスに映ったぱちゅりー。
ぱちゅりーが裁判を受けた日から、既に六年以上の時間が過ぎている。ここに連れ
て来られてから起きていた体感時間は一時間に満たない。あの日から多くても一週間
程度しか経っていないと、ぱちゅりーは考えていた。実際はその想像の何百倍もの月
日が流れていた。
棚のガラスに映ったぱちゅりー。
「こ、これがぱちぇ……なの……!?」
そこにあったのは年老いたぱちゅりーだった。紫色の髪は灰色に変わり、顔には無
数のシワができている。公園でリーダーをしていた時のぱちゅりーの年齢は三歳。おそ
らく今は九歳くらい。安全な環境下での基本種の寿命はおよそ十年と言われている。
数のシワができている。公園でリーダーをしていた時のぱちゅりーの年齢は三歳。おそ
らく今は九歳くらい。安全な環境下での基本種の寿命はおよそ十年と言われている。
「ね、ねえ……お、おにいさん……!」
「うん?」
「うん?」
声を掛けられ、男がぱちゅりーを一瞥した。
「ぱちぇは、いったい……なんの、じっけんをうけてるの……!?」
その問いに男は少し考えるように眉を寄せてから、
「聞いてなかったのか? 長期冬眠型ラムネの生体実験だよ。一個食べたら半年から
一年くらい睡り続けられる特別製だ。それがどうゆっくりの身体に影響与えるのかを見
てる。まあ、重要度の低い実験だけどな。ははっ」
一年くらい睡り続けられる特別製だ。それがどうゆっくりの身体に影響与えるのかを見
てる。まあ、重要度の低い実験だけどな。ははっ」
と笑った。
豪雪地や寒冷地の地域ゆっくりは冬場冬眠する。その時に効果が数ヶ月続くラムネ
を食べる。今ぱちゅりーが食べているのは、その効果を強力にしたものだった。食べれ
ば半年以上眠っていられる。もっとも実用化はされず単純な実験用だった。
男はキーボードに指を走らせながら、
豪雪地や寒冷地の地域ゆっくりは冬場冬眠する。その時に効果が数ヶ月続くラムネ
を食べる。今ぱちゅりーが食べているのは、その効果を強力にしたものだった。食べれ
ば半年以上眠っていられる。もっとも実用化はされず単純な実験用だった。
男はキーボードに指を走らせながら、
「お前なんかやらかしてここに連れてこられたみたいだけど、まあ来たのが第一開発部
でよかったなー。この実験も寝てるだけでいいんだし。第二部とかは本当に地獄だぜ」
「そんな……」
でよかったなー。この実験も寝てるだけでいいんだし。第二部とかは本当に地獄だぜ」
「そんな……」
ぱちゅりーがいるのは、比較的負担の少ない実験が行われる部署だ。ストライキの
扇動を行っただけなので、一番軽い場所へと送られていた。他のゆっくりを殺したり人
間に危害を加えたりすると、行き先は別の開発部となり、文字通り地獄を見る。
だが、ここが楽かと問われれば否だ。
扇動を行っただけなので、一番軽い場所へと送られていた。他のゆっくりを殺したり人
間に危害を加えたりすると、行き先は別の開発部となり、文字通り地獄を見る。
だが、ここが楽かと問われれば否だ。
「検査終わったぞ。お休みの時間だ」
愕然とするぱちゅりーに男はラムネを取り出した。ひとつ口に入れるだけで、ほぼ一
年間睡り続ける特性ラムネ。普通の睡眠ではなく、夢すらも見ない冬眠状態へと。
年間睡り続ける特性ラムネ。普通の睡眠ではなく、夢すらも見ない冬眠状態へと。
「む……」
抵抗する間もなく、ラムネを口に押し込まれる。慣れているのだろう。ぱちゅりーは急
いでラムネを吐き出そうとするが、男はあっさりと口を押さえた。
霞む視界。消える音。
急激な眠気が襲ってくる。
その中でぱちゅりーは叫んだ。声は出ないが。
いでラムネを吐き出そうとするが、男はあっさりと口を押さえた。
霞む視界。消える音。
急激な眠気が襲ってくる。
その中でぱちゅりーは叫んだ。声は出ないが。
「まって……! まって! つぎにぱちぇがおきるのは、いったいいつになるの……!
はんとし? いちねん? いったいどれくらいさきになるの……!?」
はんとし? いちねん? いったいどれくらいさきになるの……!?」
次に起きた時は、またとんでもなく時間が過ぎているだろう。
そして、その月日はゆっくりの寿命に対して、あまりにも大きい。
そして、その月日はゆっくりの寿命に対して、あまりにも大きい。
「おきたら、またすぐにねむって、ずっとねむって……。それから、そのつぎはおきられ
るの……? もしねているあいだにえいえんにゆっくりしちゃったら……?」
るの……? もしねているあいだにえいえんにゆっくりしちゃったら……?」
身体が落ちていくような感覚。
そう遠くないうちにぱちゅりーは寿命を迎える。長くてもあと数年で死ぬだろう。短け
れば一年もないかもしれない。次無事に起きられる保証はどこにもなかった。
そう遠くないうちにぱちゅりーは寿命を迎える。長くてもあと数年で死ぬだろう。短け
れば一年もないかもしれない。次無事に起きられる保証はどこにもなかった。
「ぱちぇは……あとなんねん……いえ、なんぷんいきられるの……!」
消えていく意識の中、ぱちゅりーは必死に計算する。
起きていられる時間はほんの僅か。その僅かな時間もあと数回。それがぱちゅりー
の残りの寿命だった。残りのゆん生のほとんどをぱちゅりーは眠って過ごすだろう。文
字通り沢山の時間を無意味に消費していく。
それが何よりも恐ろしかった。
起きていられる時間はほんの僅か。その僅かな時間もあと数回。それがぱちゅりー
の残りの寿命だった。残りのゆん生のほとんどをぱちゅりーは眠って過ごすだろう。文
字通り沢山の時間を無意味に消費していく。
それが何よりも恐ろしかった。
「いや、ねむりたくない……ねむり……」
そして。
ぱちゅりーは眠った。
ぱちゅりーは眠った。
あとがき
地域ゆっくりシステムは観察系お兄さんお姉さんの好奇心で維持されています。
地域ゆっくり関係の設定がもさもさ生えるので適当にまとめた方がいいかもしれない……。
地域ゆっくりシステムは観察系お兄さんお姉さんの好奇心で維持されています。
地域ゆっくり関係の設定がもさもさ生えるので適当にまとめた方がいいかもしれない……。
「anko4386 ゆっくりゲスになってね!」の挿絵ありがとうございます。
過去SS
anko4386 ゆっくりゲスになってね!
anko4377 勝手に生えてくる
anko4373 ものもらい
anko4360 ゆっくりさせてね
anko4350 Cancer
anko4341 予防接種
anko4338 超伝道をもげ!
以下省略
anko4386 ゆっくりゲスになってね!
anko4377 勝手に生えてくる
anko4373 ものもらい
anko4360 ゆっくりさせてね
anko4350 Cancer
anko4341 予防接種
anko4338 超伝道をもげ!
以下省略