( ^ω^)ブーンは合作作者のようです 外伝【誇りの戦士 タフガイ】
第二話
235 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:29:53
( ^ω^)ブーンは合作作者のようです 外伝
【誇りの戦士 タフガイ】 第二話
236 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:30:33
夜の町並みを失意のまま歩く。
偽りの明かりが照らす下で、人々は混沌とした空間を作り出している。
「3000万…くそ、何処かで借りるにしても額が大きすぎる」
自分の貯金はせいぜい50万ほどだ。
デビューして1年ほどの俺にとって、3000万という額はとても払える金額では無かった。
肝臓を売る、という手も考えたが、俺の肥大化した肝臓などたいした値段にならないだろう。
「君、いい体してるね」
群集のざわめきの中、後ろからハッキリした声が聞こえた。
振り返ると、そこにいるのはサングラスをかけた怪しい男。
(@益@)「失礼、私はこういう者だ」
男は懐から名刺を取り出し、俺に手渡した。
そこには、「Gファイター」と見るからに怪しそうな名が印刷されている。
「KOB主催者、Gファイター…?」
(@益@)「そうだ、Gでいい。…君、お金が必要なんだろう?」
Gはふ、っと怪しげな笑みを浮かべ、言った。
(@益@)「実は、この街の地下でKOB…ザ・キング・オブ・ブーンという格闘技大会を開催しているんだ」
「ザ・キング・オブ・ブーン…?」
聞いたことの無い大会名だ。
237 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:31:34
(@益@)「非合法のショーでね。ルール無用のデスマッチを行っている」
「…その主催者が、俺に何の用だ?」
俺はしかめっ面をしながら、Gの顔を見る。
非合法の大会、という言葉が少し癇に障った。
(@益@)「エキシビジョンマッチの出場者を探しているんだ。どうかな、君も出場してみないか?」
くだらない誘いだ。
小僧共の格闘技ごっこに参入だと? 笑わせてくれる。
「悪いが、そういうのは他を当たって…」
(@益@)「勝利時の賞金は5000万円だ」
Gの言葉に、俺は足を止める。
5000万、だと?
(@益@)「悪い話では無いと思うが、どうかね?」
…5000万あれば、手術代を払ってもお釣りがくる。
ツンを、十分養ってやれる金額。
しかし、非合法の大会で素人と戦うなど、格闘家としての誇りは間違いなく失われる。
それでいいのか? 俺はそんなチンケな大会の為にトレーニングしてきたのか?
238 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:33:31
(@益@)「…どうやら、他を当たった方がよさそうだね」
Gが踵を返す。
「参加させて…ください」
誇りなど、どうでもいい。
ツンのためなら、プライドなど惜しくはない。
俺には時間が無いんだ。
(@益@)「ほっほっほ、そうですか。では、詳しいことはコチラをご覧になってください」
Gは俺に2、3枚の紙を渡すと、夜の町並みに消えていった。
俺の手には、開催時刻や場所などが書かれた紙。
「3日後…か」
俺は、眠っていた闘志を呼び起こす。
拳を握り締る。くしゃり、と持っていた紙が音を立てた。
239 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:34:54
真っ白な廊下。
消毒液のつんとした匂いが漂っている。
102と書かれたナンバープレート。
その病室の前で足を止め、コンコン、とノックをする。
ξ゚⊿゚)ξ「どうぞ」
「・・・おう」
俺はゆっくりとドアを開け、病室内に入る。
ξ゚⊿゚)ξ「ってなんだ、お兄ちゃんかぁ」
「俺だと不服か?」
いつものように、ベットの隣にある椅子に腰掛ける。
体重を乗せると、椅子はぎしぎしと嫌な音を発した。
240 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:35:33
ξ゚⊿゚)ξ「ううん、そうじゃないの。また注射かと思って緊張してたから…」
「なんだ、その年になってまだ注射が怖いのか?」
俺は小ばかにするように微笑むと、ツンは「もう、そんなんじゃないよ!」と頬を膨らませた。
「ははは、そう怒るな。ほら、プレゼントやるから」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
そう言うと、俺は後ろに隠していた一束の花を取り出した。
凛とした綺麗な白い花が顔を出す。
ξ゚⊿゚)ξ「綺麗…」
「エーデルワイスって花だ。まあ、病室に花も無いんじゃ殺風景だから買ってきた」
241 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:36:18
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう…お兄ちゃん」
「いつもお前には家事をして貰ってたからな。お礼もこめて、だ」
俺は花を花瓶に入れる。
窓から吹いてくる風が、白い花をゆらり、ゆらりと揺らした。
ξ゚⊿゚)ξ「お兄ちゃん…」
「ん?」
ξ゚⊿゚)ξ「私…いつまで生きられるの?」
242 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:37:30
花を整える俺の手が止まった。
窓から差し込んでくる光が、ツンの横顔を照らしている。
「何、言ってるんだよ…。お前はそんなんじゃ――
ξ゚⊿゚)ξ「ごまかさないでよ!」
ツンの叫びで、俺の言葉は途切れる。
今まで聞いたことも無いほどの、大きな声。
ξ;⊿;)ξ「私…なん…となく…わかるの…」
ツンは、涙をぽろぽろと流しながら、震える声で話す。
ξ;⊿;)ξ「身体が…思うように…動かなくて……ックッ…」
ξ;⊿;)ξ「夜に…急に苦しくなったり…呼吸ができなくなったり…」
「ツン、落ち着け…!」
243 :タフガイ:2007/03/14(水) 15:39:26
ξ;⊿;)ξ「身体が…思うように…動かなくて……ックッ…」
「ツン、大丈夫、大丈夫だから」
俺はツンの手を握り、必死になだめる。
しかし、ツンは首を横に振り
ξ;⊿;)ξ「私……死にたく…ない…いやぁッ……だぁッ……」
ツンは身体を起こそうとする。
――瞬間、まるで糸を切られた人形のように、ツンの上半身は前のめりに倒れこんだ。
「ツン、おい…ツン! しっかりしろ!」
俺はツンの身体を起こしてやるが、目を瞑ったまま動かない。
額に手を当ててみると、ひどい熱さが伝わってきた。
「誰か、誰か来てくれ! 早く!」
ナースコールを何度も押す。
やがて、看護婦が病室に現れ、ツンは集中治療室へと運ばれていった…
:誇りの戦士タフガイ 第2話
:( ^ω^)ブーンは合作作者のようです――外伝 つづく
最終更新:2007年03月16日 02:25