ふたば系ゆっくりいじめ 1073 金まりさつり天井事件

金まりさつり天井事件 18KB


虐待-普通 観察 自業自得 駆除 現代 バッチ制度について少し考えてみました。


筆:日本語訳
 ・タイトルは内容とあまり繋がりがありません。
 ・今回もめーりんガルの出番はありませんが、日本語訳しているところがあります。
 ・日本語訳部分は読み飛ばしても問題ありません。
 ・独自設定を元にしています。
 ・先人の偉業に感謝。
 ・さなえの出るデスクトップゆっくりを考えていましたが、筆がのらないので延期します。


「おいじじい! まりさたちにおやさいさんをよこせ!」
 小型のトラクターのエンジンを止めると、ゆっくりの鳴き声が聞こえてきた。
 鳴き声のする方、ビニールハウスの出入り口を見ると8体ほどのゆっくりが跳ねながら騒いでいる。
 発動機の音で聞こえなかったが、しばらくそうしていたらしい。
 私が顔を向けるとゆっくりの群れは、
「ゆゆ! きこえたんならへんじしてね! ぐずはきらいだよ!」
「もうろくしてみみがとおくなったとおもったぜ!」
 などと鳴いている。
 私はといえば蝉がうるさいな、と同程度の不快感を感じていた。
 トラクターから降り時間を確かめる。少し休憩しよう。
「手前らゴミどもにやる野菜なんざねぇよ。肥料になりたくなかったらとっとと消えな」
 そう答えて私は、ゆっくりの脇を抜けてビニールハウスの外にでた。


 ところでこのとき私は、別にゆっくりに腹を立てて居るわけでもなく、ゆっくり相手だから汚い口調を使っているわけではない。
 方言、というのだろうか。郊外の農業従事者特有の荒っぽさというべきか。
 私ががゆっくりたちの分を弁えない高慢な言動を気に留めないのもその辺が理由になっている。
 一般的なニュアンスでは「君らに商品を分けてやるとはできない。それにここは危険だから帰りなさい」程度か。
 試みとして、以後「私」の発言は通常通りカギ括弧で台詞を、改行して一般的な表現または日本語訳として括弧で括って記載する。
 煩わしいと感じる方は、括弧の部分を飛ばして頂きたい。
 なお、この試みは本稿の主題とは外れるので飛ばしても読んでいただいても問題はない。


「まてじじい! まりさたちはむしさんとかでもいいんだぜ!」
 この一群のリーダーらしいまりさは食い下がり、道路と耕作地を隔てる側溝の脇でタバコを取り出した私に向かって土下座っぽい動きをしながら叫ぶ。
 他のゆっくりもそんな感じだ。
「とろくさい奴らだな、草むしりに来たんならそういえ、ボケが」
(除草と虫取りが目的でしたか。先にそう言ってください)
 そう私は答え、火をつけていないタバコでリーダーのまりさにハウスにはいるように示した。
「じじいたすかるんだぜ! これでおちびちゃんたち飢えずにすむぜ」
 他のゆっくり達がビニールハウスに入る中、リーダーのまりさは礼を述べる。
 私はまりさに頷いた。驚くことはない、礼の一つもいえないゆっくりは絶えて久しい。というか農家の皆さんに潰されてしまうわけだが。
 私はくわえたタバコに火をつけ、ゆっくりを監視するためにビニールハウスの入り口まで歩いてきた。
 最近は余りないが、草取りの合間に商品に手を出す不届きなゆっくりも存在したからだ。
 ゆっくりたちは畝の間を忙しく這い回り雑草を発見すると引き抜き、野菜−ここでは青梗菜だが−にイモムシが付いているのを見つけると器用に採取している。
 この集落では、ゆっくりが頻繁に現れ除草、害虫駆除していくのであまり農薬を使っていない。
 おや、奇妙なゆっくりが居るな。
 一服しながらゆっくりを眺めているた私は、野良にそぐわない小ぎれいなゆっくりが混じっていることに気づいた。
「おい、リボン」
(れいむ、少しいいですか?)
 疑問に思った私は、手近にいたれいむに声をかける。
「れいむはかりでいそがしいんだよ! みてわからないの? ばかなの?」
 私はれいむの戯れ言を聞き流し用件だけ述べた。
「あの帽子、あれはなんだ?」
(あのまりさは、君たちの仲間ですか?)
 自分の質問に答えず質問を重ねてくる男に対し、れいむは気にもとめず返事をする。
「あのまりさはすぐそこであったんだよ! きんばっちさんなんだって!」
 ふーん。
 私は興味なさげに頷いた。

 ゆっくりたちは精力的にビニールハウスの中を動き回っていた。
 彼らのいうところの「かり」ができるのは人間が許す短い時間にすぎず、その間に十分な餌を確保するためだ。
 ただ、この一群で動きの鈍い個体が居た。
 他の野良どもの言うところの「きんばっちさん」がそれだ。
 おおかた散歩の途中で野良の一群に出会って好奇心から付いてきた飼いゆっくりなのだろう。
 注意して見ていると雑草を引き抜き咀嚼するが
「むーしゃむーしゃ・・・げろまずー」
 と嘔吐する。
 畝に植えられて野菜に付いたアオムシを発見し、おさげでつつく。
 アオムシは頭部から触覚をのばし飼いまりさを威嚇する。
「ゆわーん、むしさんおこったー! こぉわいー」
 と泣いて逃げまとう。
 野良どもの「かり」の邪魔をしているとしか思えない。
 摘み出そうか、と思案していると、
「ゆゆーん、まりさあきたよー。くささんまずいし、むしさんこわいし。たべるゆっくりのきがしれないー」
 などと穏やかな口調でゲス発言をしはじめた。
 そのうちに畝の頂に生えている青梗菜が気になりだす。
「おやさいさんかんさつするよっ! じー」
 明らかに危険な兆候だ。しかし、野良ゆっくり達は自分の仕事に忙しくまりさに気づかない。
 町内会の決まり事では、野良のグループの一体が野菜に手を出したら、グループ全体(巣が特定できれば巣にいる個体も)駆除することになっている。
 野良ゆっくりには何の思い入れもないが、根こそぎ駆除をするのは面倒だな。
 そんなことを二本目に火をつけながらぼんやりと考えていると、飼いゆっくりが新たな動きを見せた。
「にんげんさんみていないよねきょーろ、きょーろ。だいじょうぶー」
 そんなことは無いのだが、ちょうど火をつけたタイミングだったので私が注視していることに気づかなかったようだ。
 飼いまりさは「そーろ、そーろ」と擬音を口に出しながら畝に近づき青梗菜を一口かじった。
「さくっ。しあわ・・・」
「ゆ! まりさ! にんげんさんのやさいさんかじるなんていなかもののすることよ!」
 一口目で野良ゆっくりに発見されるまりさ。
 発見した野良ありすは、飼いまりさの帽子のツバを咥えて引っ張る。
 まりさは帽子を取られまい、と踏ん張ろうとするが畝の頂に届くように延び上がっていたためバランスを崩し、ありすを踏みつけるように倒れた。
 倒れたまりさは素早く立ち直り、隣に倒れている野良アリスを睨みつける。
「まりさのじゃまをするのらはせいっさいするよ!」
 まりさは掛け声とともに倒れたままのアリス−倒れた際にまりさにあんよの一部を潰されたらしい−にジャンププレスを何度も仕掛ける。
「ぎゅわ、ぐ、ぎゃ」潰されるたびにカスタードを漏らし悲鳴を上げるアリス。
 野良達も飼いまりさを取り押さえようとするが、餡子を見て興奮したのか日頃押さえ付けられていたモノが解き放たれたのか、目を血走らせて「せいっさいっ、せいっさいっだよっ」と叫び狂気の笑いをあげる飼いまりさに気押され近づこうとしない。
 私は無造作に近づき、ありすの上で跳ね回る飼いまりさをジャンプの頂点で捕まえた。
「ゆゆー! まりさそらとんで」
「うるせーよ」
(黙っていてください)
 私は咥えていたタバコをまりさの眼窩に押しつけた。
「!...!!」
 期待通りあまりの痛さに声もなく暴れるまりさをよそに、私は囓られた部分を検める。これは出荷できない。
「おいくそリボン、これを囓ったのはこの帽子饅頭か?」
(れいむ、この商品に欠点をつけたのはこのまりさですか?)
 足下で飼いまりさを止めようとしたが、気押されて固まっていたれいむに尋ねる。
 れいむは蒼白な顔で激しく頷く。
 みればほかの野良ゆっくりたちは潰れかけたありすを助けようと、裂傷部を舐めていた。

 私は、潰れた目をおさげで押さえて呪いの言葉を呟きながらジタバタ暴れるまりさをみて舌打ちする。
 謝れ、とはいわないが飼いゆっくりならもう少しましなリアクションがあってもいいのだが。
「てめぇ、よくも俺のメシの種を駄目にしてくれたぁ。覚悟できてるか? あぁ」
(あなたは私の商品を一つ破棄させました。賠償の用意はありますか?)
 まりさは、残った目で男を殺す勢いでにらみつけた。
「答えろ、この屑め!」
(質問に答えなさい)
 にらみ付けるばかりのまりさに、男はまりさの「底」の部分を何回か殴る。
 頭をつかむ腕がちょうど「金床とハンマー」の金床になり、3回ほどで食い縛る歯の隙間から餡子が漏れ始めた。
 反抗的な態度を改めないまりさに、男はさらなる暴力の手段を探してビニールハウス内を見回してトラクターが目に入る。
 いやいや。
「まりさはきんばっちさんなんだよ・・・」
 憎しみを込めて男を凝視するまりさがしぼりだすように呟いた。
「あねーさん、まりさをかわいがってくれるから、おにいさんたいへんなことになるんだよ!」
 ああ、と私は呟く。
 飼いゆっくりは面倒だよな、このまま潰して埋めてしまえば楽なんだが決まり事は守らないと。
 まりさを放り出し「ゆべっ」とうめく飼いまりさを軽く右足で踏みつける。
 潰さないように力を調整しながら落ちていた飼いまりさの帽子を拾い上げた。
 帽子に張り付いていたバッチを眺め、認証機関に連絡。
 バッチ裏に貼ってあるバーコードを携帯で読み取り、個体識別番号を伝え「農産物に対する飼いゆっくりの行為と賠償」目的で飼い主の連絡先を要求。
 要求は直ちに認められ、農協のサーバーへ通達。自らのアカウントでそちらにアクセスして確認した。
 町内の8隣保(この場合は、集落をいくつかに区分けした集団あるいは近隣の農家をまとめた集団:田舎用語)に越してきた佐藤さんが飼い主らしい。
 足の下で飼い主に助けて貰える、と勝ち誇るまりさに私は、
「いいぜ、てめぇの飼い主ん所に連れていってやる」
(まりさの飼い主に面会します)
 と伝える。
 それを私の敗北宣言と受け取ったまりさは、
「はやくきたないあしさんどけてね! まりさいたいんだよ。いまあやまればおねえさんにゆるしてもらえるように・・・」
 私は足の位置を上部からあんよの部分へ動かし、躊躇無く踏み抜く。
「ゆんぎゃやぁぁぁ!」
 まりさは悲鳴を上げた。
 私の足という枷をはずされのたうち回る飼いまりさ。
 ありすの治療を終えていた野良ゆっくり達は、悲鳴に驚いて男とまりさを見る。
 おそらく、グループの一体がしでかした罰を受けるため止まっているらしい。ヘタに逃げると家族も処分されることが解っているのだ。
「なんだお前ぇら、まだ居たんか。とろ臭いことしてないでさっさと消えな」
(君たちを罰する意図はありません。すみやかに帰宅してください)
 不安げに見つめていた野良ゆっくりに私は声をかける。
 私の言葉にいそいそと出て行こうとする野良ゆっくり達。ふむ。
「まて」
(まってください)
 私は野良ゆっくりを引き留める。
 まりさに囓られて出荷できない青梗菜とついでに二三本引き抜き野良の一団に向け放り投げる。
「ゴミになっちまったからな、持って帰ってガキどもに喰わせろ」
(これは商品になりません。持ち帰って子供達と食べてください。本日のお詫びです)

 一連のやりとりの間も足もとで悲鳴を上げながらのたうち回るまりさ。
「うるせぇよ、電話できねぇぞ」
(しずかにしてください。通話の障害になります)
 と注意したが、当たり前のように無視するまりさ。
 ため息をついた私は、まりさを捕まえビニールハウスの一角に立てかけてあった鍬に歩み寄る。
 まりさの口を無理矢理開かせ、鍬の柄を口内に押し込む。
 そのままぐい、と力を込めた。
 柄の先端がまりさの後頭部から現れ、ちょうど串刺しになる。
 まりさは鍬の柄をがじがじと噛みながら何かを叫んでいるが、声にならない。こいつら普段どうやって発音してるんだろうか?
 まあ静かになったから良しとしよう。
 私は町内会の会長に連絡、ことの次第を説明し飼い主との会合に立ち会って貰うことにした。

 連絡を終えた私は、まりさを運ぶための入れ物を取りにトラックに行くためビニールハウスをでた。
 この餡子まみれの燃えるゴミを素手で持ちたくない。
 そこには、先ほど野良達が負傷したアリスを囲んでいた。何体かはありすの傷口をなめている。
「きさまら、消えろっていったのになにしてるんだ?」
(帰るように言ったのですが、何をしているのですか?)
「ゆゆぅ、じじい、ありすけがさんがひどくてうごけないんだぜ」
 代表にリーダーのまりさが力なく鳴いた。一度塞がった傷からカスタードの流出し、蟻がたかり始めている。
「ありすは、まりさがこどものころからのともだちなんだぜ、じじい、ありすをたすけてくれるならまりさなんでもするんだぜ」
 すがりつく野良まりさ。この周辺のゆっくりは保身のため基本的に人間に近寄らないのだが。
 饅頭の交友関係はどうでも良いんだがな。まあしかし人間を怖がる野良にしてはいい覚悟だ。
 たしかあれが残っているはず。
 運転席側のドアを開け、上半身を突っ込む。ああ、まだ残っていた。
 トラックに乗り込まず戻ってきた私は、持ち出してきたペットボトルのキャップを開け、ありすにかける。
「飲みかけのオレンジティだが、どうだ?」
(オレンジジュースの代わりになりますか?)
 かけられたありすだが、多少は楽になったようだがそれでも傷は塞がらない。
「ゆ~、ありすだいぶらくになったよ。おにいさんありがとう。ありすもうすこしやすめばよくなるから」
 と弱々しい声で鳴くありす。
 隣接する私の畑から稲藁を持ってきてハウスの蔭に敷き、その上にありすを移した。
「好きなだけ休んでいけ」
(良くなるまで休んでいってください)
 私は飼いまりさを回収するためにビニールハウスへ戻った。
 鍬の柄を咥えたままガクガク痙攣しているまりさを鍬から引き抜く。
 そのまま大きめのビニール袋に納め、残ったオレンジティーを注ぐ。
 まりさは「ぎゃわっ、ぎゅぎゅ」と小さく鳴いている。
 死んではいないが、正常ではない。
 再びビニールハウスを出て、礼を言う野良ゆっくりを無視してトラックに乗り込み飼いまりさの飼い主宅へ向かった。

 飼い主の佐藤さん宅につくと、町内会長はすでに到着していた。
 持参した飼いまりさはすでにある程度回復し、意識は戻っているようだ。
 ドア越しに到着を告げると、飼い主に客間へ通された。
 お茶を出された直後、飼い主の女性(主婦らしい)は詫びを述べた。
「ゆわ! おねーさんどうしてあやまるのお!」
 と片眼で足を潰されたまりさは騒ぐ。鍬の柄の傷はもう癒えている。
 飼い主はまりさの眉間に人差し指の背を当てる。まりさは急に黙った。怯えているらしい。
「その、お詫びはどうすればいいのでしょうか?」
 と彼女は町内会長に尋ねる。
 会長は、まあまりさちゃんが食べた分を弁済すればいいです、と答えた。
「喰われたのは青梗菜ひとかぶ、たいした金額じゃないのでいらんよ、ただなぁ」
(被害は青梗菜ひと株ですから、たいした金額ではないので結構です、ただ)
 私は言いよどむ。
 飼い主に促され、まりさが野良のゆっくりを怪我させて殺そうとした経緯を話した。

「まりさちゃん、今のは本当のこと?」
 彼女は固い声でまりさに尋ねた。まりさは最初言い淀み、はぐらかそうとしたがついには白状した。
「まりさのことじゃまにして、おぼうしさんとろうとしたんだよ! せいっさいされてとうぜんだよ!」
 と開き直りもした。
 私は視線を宙に泳がせ、飼い主は哀しそうな顔でまりさを見つめた。
「そういうことですから、よろしいですね?」
 町内会長は飼い主に確認し、私にあとのことは任せるように告げた。
 私は頷いて退出する。その前に殺されかけたゆっくりの巣の場所を町内会長に聞かれ、多分バイパス沿いのセOンイレOンの裏手、と答えた。
 あのありすはまだ生きているだろうか。うん、このまま帰らずオレンジジュースでも買っていってやろう。


 男が退出したあと、町内会長はまりさを持参したケースに入れた。
 まりさより一回りくらい大きいサイズで、正面が透明で残りの面が黒のプラスチック製。上面のみ二重になっている。

「さて、手続きですが」
 と町内会長が切り出した。
「被害者は賠償を放棄されましたが、町が管理している野良グループの個体に危害を加えたのは確かなようです」
「ひがいしゃはまりさだよ、ほうきしてないよ! あとあまあまちょうだいね! 」
「規約通りこれだけを町内会費と同じ口座に振り込んでください」
「ふりこみってなに? そんなことよりこのはこさんからだしてね! 」
「あとは、バッチ認証機関の保証ですが」
 と、認証機関との契約を確認し、持参していた数枚の書類の記入方法と提出先を説明する。
「今回の件ですが、佐藤さんはマメに更新処理されているので定価の7割が返金できるようですね」
「まりさ、ちゃんとこうしんしけんさんごうかくしてるよ! すごいでしょ! 」
「この書類のこことここを記入して押印の上郵送で結構なので提出してください。2、3日で指定の金融機関に振り込まれます。こちらの書類は・・・」
「ねえ、こたえてよ! まりさをここから出してよ! おねえさん、だしてよ! 」
「町内会から見舞金という形で1万円が支給されます」
「あの、娘がまりさちゃんに懐いていたんです、その」
「ゆゆ、おねえさんのおちびちゃんはまりさほどじゃないけどかあいよ! もうかえってくるじかんだからゆっくりしないでだしてね! 」
「ああ、そうですね、こちらの書類を先ほどの書類とともに提出していただければ、優先的にゴールドグレードの個体が提供されるようです」
「まりさはきんばっちさんなんだよ! とってもえらいんだよ! だからここからだしてね! 」
「しかし認証機関からいってこのまりさはイ○ンモールのペットショップで購入されたようですが、私は近所のブリーダーか農協から買われることをすすめます。よく躾けられてるので、今回のような哀しいことにはならないはずです」
 町内会長はそういって出されていた茶を含み、
「うちのゆっくりはブリーダーから買いました、いや、かわいいもんです」と付け加えた。
「まりさもかわいいよ! だからここからだしてね! 」
 町内会長は小一時間くらいゆっくりについて話し、飼い主宅から退出した。
 まりさが飼い主の家を出る直前、飼い主は町内会長に「まりさちゃんに最期に食べさせてください」と好物だったオレンジ味のゼリーを渡した。
「ねえ、おねえさん! さいごってなに? まりさをたすけてよ! ゆわーん、こわいよー! こわいよー! 」

 町内会長は飼い主宅から退出した。
 ケースに押し込まれたまりさは騒ぐのをやめ先ほどから詫び続けているが、町内会長は取り合わずこのあとの行動を考えてみた。
 まずはまりさの処理をしないとな。午後から来客があるから手早くすまさないと。
 一度帰宅して自家用車で群れの巣まで行くべきなのだが、あるいは、と思い直す。
 男の持っている畑まで歩いてきた。

 予想通り件の野良グループは居残っている。
 驚かせないようにゆっくりと近づくが、すぐゆっくり達に気づかれる。
 飼いまりさのケースを持った町内会長は、ゆっくり達に近づいた。
「ゆゆ、まりさはここのじじいにしばらくここにいてもいいっていわれたんだぜ!」
 酷く怯えながら、それでも負傷したありすを守る位置にとどまり叫んだ。
 不遜な口を利きながら何故か怯えるゆっくり達。
 この地域では畑にいるゆっくりは即座に排除する取り決めがあるので、まあそんなところなのだろう。
「それは解っている。今日はお前達に聞きたいことがあってきたんだ」
 ケースを持った町内会長は切り出す。
「え、なに、なにをきくの? たすけて、ごめんなさい! もうしないよ! 」
「そこのありすに怪我を負わせたまりさだが、お前達どうしたい?」
 町内会長は尋ねた。
「ゆぅ ごめんなさい、たすけて!  」
「まりさはまりさがにくいけど、ありすもじじいのおかげでたすかったからたすけてもいいぜ!」
「ゆゆ! まりさありがとう。もうまりさひどいことはいないよ! いいこになるよ! 」
 まりさは野良のまりさの言葉に喜び狭い空間で跳ねる。
「ありす、みんながよければそのまりさもむれにいれてもいいとおもうわ」
 傷を負わされたたありすはなんとも寛大な提案をした。残っていたゆっくりもそれを認めるような言動で騒ぎ出した。
 ケースの中のまりさは、受け入れられた事を涙を流して喜んでいる。
「ありがとう、まりさ! ありす! みんなだいすきだよ! いっしょにゆっくりしようね! 」

 騒ぐゆっくりを尻目に、町内会長はケースを地面におろす。
 ケース正面にある留め金をはずす。
 ケースの中のまりさは出して貰えるものと思って跳ね回り天板に頭をぶつけながら大声で礼を言い続ける。
 野良のゆっくり達はケースに押し込まれたまりさをなかまに迎えるためケースの周辺に集まっていた。
 笑顔を浮かべ、はやくでてきてね、ゆっくりしてね、と騒ぐ。なかのまりさも同様。
 思えば、これは擬似的な出産なのかもしれない。
 ゆっくりたちは定番のあれの準備をしている。
「ゆっくりしていってね!」という奴だ。
 新しい仲間の誕生、その喜びに震えていた。

 留め金が外れ、二枚ある天板のうち下面をフリーにした町内会長はケース上面の取っ手に足をかける。
 ケースは丁度、コーヒープレスの様な構造を持っている。
 町内会長は取っ手を足で押し込む。
 天板が下降し、まりさの頭頂部にあたる。
 天井の下降は停止せず、瞬き一回程度の間に最下部まで押し込まれた。
 まりさを構成していたもののほとんどはケース下部にあけられていた穴より吹き出し、残りはそのままケースの中に残った。
 ケースの周りにいたゆっくりはその動きを止めた。

 ケースには上面と側面に洗浄のための口が空いている。上面はホースを刺すための穴、側面は排水のため穴だ。
 排水穴を側溝に向くようにケースを置き直す。
 上面の穴に農業用水取水口に繋がっているホースを差し込み水を送り込む。ものの一分ほどでまりさの残骸は流れだし側溝に落ちる。
 水を止めた町内会長は服が濡れないように持ち上げ時間を確認した。ふむ、急げば正午までに帰宅できるだろう。
「なんでなんだぜ!」
 背後で野良まりさはさけんだ。ありすが許したんだから、あの飼いまりさは解放されるはず、野良まりさたちはそう信じていた。
 が、町内会長は無視して歩き去る。そもそも声をかけられたのは自分だとは思っていない。
 彼は単に自分に課せられた役目を果たしているだけで、ゆっくりには何の含みもない。保護しないが虐げもしない。
 路傍の石、とまでは行かないが、この土地の多くの人間にとってゆっくりは敷地の隅に転がり込んだゴミ程度の存在なのだ。

 ゆっくりの鳴き声を背に、町内会長は午後のスケジュールを思い起こしていた。



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感想

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  • 町内会長の意図がわからない。
    元金まりさの好物はあげないし、ゆっくりに特別な感情は無い。
    なのに野良グループとの対話を許した、かと思えば何事も無く潰した。
    どういうこと? -- 2018-01-18 05:44:17
  • 皆さんお静かに。 -- 2013-06-01 08:21:40
  • ↓↓↓↓ 最初の方で嫌なら読むなって書いてあるじゃん
    バカなの?死ぬの?
    これだから餡子脳は困る -- 2011-08-05 10:06:55
  • ↓↓↓じゃぁ読むなよ
    むしろ消えろ -- 2011-07-14 01:58:51
  • ↓↓ゆっくりは人間を舐めきったように話すがそういう話し方なだけであって別に含むところはないってことを暗に伝えたいんだろ -- 2010-09-21 22:42:04
  • 読みにくいけどイイ話し。 -- 2010-07-19 10:04:50
  • 丁寧な言葉に直さなくていいよ。むしろ読みにくいから。 -- 2010-07-15 05:02:17
  • タイトルはともかく、面白かったよ。 -- 2010-06-28 02:09:26
最終更新:2010年03月29日 17:45
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