ふたば系ゆっくりいじめ 1079 花と雨と貝殻と

花と雨と貝殻と 18KB


虐待-普通 観察 悲劇 自業自得 自滅 野良ゆ 赤子・子供 現代 anko1173の続きです


「花と雨と貝殻と」

羽付きあき

 ・羽付きシリーズに登場する人間とは別人です
 ・「ふたば系ゆっくりいじめ 1052 UNDER」の続きとなっております
 ・人間視点です
 ・つむり物
 ・観察物


春ももうすぐという冬の終わり。
私はスクーターでコンビニまで寄ってその帰路に居た。
空は白っぽい灰色の雲に包まれ、ポツポツとだが雨が降っている。
はるか遠くの山を見れば上の方に霧が張っているため強く雨が降ることはないだろう。
そう思いつつ冷たい雨と風を受けながら走っている時、道に二つの何かが落ちていた。
端によって止まる。こんな所に縁石の様な石があるなんて危なっかしい・・・と思ってスクーターを降りて近寄ると私は声を上げそうになるほどに驚いた。
「石」が動いている。

「ゆ!ゆ!おちびちゃんゆっくりついてきてね!」
「ゆっくりわかっちゃよ!ゆ!ゆ!」

それは「ゆっくり」だった。
鈍色の丸っぽい三角のそれはどのゆっくりの飾りにも属さない。いうなれば「巻貝」の様なものだ。
見た目からして固いに違いない。
その穴があいた所にゆっくりが身を乗り出して地面をズリズリと這っている。
砂糖細工の髪の色は黄色っぽく、そのおさげの様な形とそれを止めるリボンから「まりさ種」だという事はわかる。

バスケットボールサイズのまりさが一体、その後ろにその子ゆっくりと思われるテニスボールサイズの子まりさが一体。
しかしおかしい。本来ゆっくりというのは雨の日は動き回らないはずである。それが幾ら本当に曇りと変わらないような天気でも、少しでも雨が降っていればゆっくりは決して外に出ないはずである。
考えられる事は幾つかある。捨てゆっくりか何かなのか、それとも比較的晴れていた昼ごろから外へ出てこの移動速度の遅さに時間がかかって雨が降り始めてしまったか・・・
どっちにしろありえない事だ。
私が暫く見ているとそれに気付いた様で、口を大きく開けながら速度を上げて道の端へと移動を始める

「ゆんやあああああ!おちびちゃんゆっくりしないでついてきてね!にんげんさんのすぃーがくるよ!」
「ゆんやぁぁぁっ!おちょうしゃんまっちぇぇぇぇ!」

どうやら私ではなく後ろのスクーターの音が気になるようだ。道の端に移動するとそのまま脇にある路地裏へと消えていってしまった。
私は不思議なものを見たという気持ちでいっぱいのまま帰路へとつくこととなる。のちにそれが「まりさつむり」というまりさ種から希に生まれる亜種であると知ったのはすぐのことだった。

「まりさつむり」
 ・まりさ種から極稀に現れる亜種でその特徴は帽子の代わりにある大きな貝殻だ。
 ・まりさつむりはゆっくりから見れば「珍しくとてもゆっくりしたゆっくり」であるため優遇されることが多く、チェンジリングの一種ともされているが詳しい事は定かではない。
 ・また、通常のゆっくりより水に対する耐性が強いとされているがそれがどれ程のものかは不明。
 ・その貝殻の重さゆえ、移動速度は通常のゆっくりより遅い。
 ・その為、山野のゆっくり、街ゆっくり問わず見られるのは極めてまれで、成体サイズはほぼありえないとされる。
 ・現在はゆっくりショップで簡単に入手可能。

・・・では私が見たのは「まりさつむりの親子」というわけだ。
あんな移動速度で今の今まで街ゆっくりとして来たのなら凄まじい幸運だが、それはありえないだろう。
つむりは往々にして子ゆっくり程度の時に外的要因でつぶれ饅頭になることがほとんどだという。
だとすればあのつむり親子は捨てゆっくりだろうか?
そう考えていると外からザーザーという音が聞こえてきた。
どうやら雨は本降りになったようだ。あのつむり親子を見てから数時間が経過しているためつむり親子はどこかへでも行っているのだろう。
ふと思ったが、捨てゆっくりなのは確実だが一体どんな生活をするのだろうか?
街ゆっくりまりさつむり親子・・・気になるところだがもうどこかへ行ってしまっているだろう。
雨は相変わらず強く降り続いている・・・

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朝が来た。
外を見ればまだ雨はシトシトと降っている。だがこの様子では昼前には止むだろう。
朝食を食べていると何やら外で何やらとぎれとぎれに聞こえる。
「ゆっくち」「ゆっくり」「すーりすーり」
・・・まさか

私は急いでサンダルをはいて外へと出た。そして声のする方・・・裏庭をこっそりとのぞく。
そこに案の定いた。

「ゆゆーん!きょきょはちょっちぇもゆっきゅりできりゅにぇ!きょきょをまりしゃのゆっくちぷれいしゅにしゅりゅよ!」
「ゆゆ!おちびちゃんはおくのほうにはいってね!まりさはけっかいさんをはるよ!」
「ゆっきゅりわかっちゃよ!じゅーりじゅーり!」

そこには昨日のまりさつむりが二体、以前どこかの捨てゆっくりが居付いた場所と全く同じ所でズリズリと這っていた。
確か、ゆっくりがゆっくりできなくなった場所ではゆっくりしか嗅げない臭いで全く近寄らないはずだが・・・
冷静になって考える。あの捨てゆっくりが居なくなったのが大分前・・・という事は臭いが弱まっていた所に昨日の雨で臭いが無くなってしまったのだろうか?
いやいや、確かあの場所にはそのまま以前のまりさの帽子が置いてあったはず。
私がそう考えていると親まりさつむりの方がボロボロのトンガリ帽子を口でくわえてズリズリと這いずって何やら立てかけている。
「ゆゆ!このおぼうしさんどのまりさのかしらないけどゆっくりしたけっかいさんになるよ!」

けっかい?何のことかは分からないが蓋というかドアというか、そんな感じのものだろうか?
それはいい。最初のまりさつむりの口ぶりだとついさっきここに付いたことになる。
という事は一晩中あの土砂降りの雨の中で歩いても平気だったという事なのだろうか?
あまりにも私の知っているゆっくりの常識をはるかに凌駕している。
私の考えをよそに、子まりさつむりの方は体をくーねくーねさせて何やら歌を歌っていた。

「ゆ~ゆゆ~♪ゆ~っくり~して~いって~ね~♪」
「おちびちゃんはおうたさんがじょうずだね!とってもゆっくりできるよ!」

・・・あまりにも不用心すぎるその行動。それを見て私はそっと家の中へと戻っていった。
跳ねられないし移動速度も遅い。どうってことないだろう。
まぁここ一帯はゆっくりにとってあまり好ましい場所ではない。その内餌場の近い所に消えるだろう。
そう思いつつソファーにゴロンと寝転がる
ゆっくりの歌声が微かに私の耳に届いていた。

目が覚めると庭の方で声がする。微かに漏れる光からどうやら外は晴れたようだ。
カーテンをそっと開けて見てみると、小さな庭でモゾモゾとまりさつむり親子が動いていた。

「ゆゆ!おちびちゃん!くささんをぬいてね!したにいっぱいはえてるみじかいくささんはおいしくないよ!はしっこのほうにはえてるながいくささんがゆっくりできるよ!」
「ゆっきゅりわかっちゃよ!ゆ!ゆゆ!」

どうやら芝の方には目もくれず、その端に生えた足の長い雑草を抜いているようだ。
ブチブチと器用に口を使って抜いていっている。
あっという間にまりさつむり親子の前に抜かれた草が集められていた。
「ゆゆ!いっぱいあつまったね!」
そういうと親まりさつむりはスポッと貝殻から抜け出してその奥に草を押し込み始めた。
どうやらあれはまりさ種の帽子と同じ様に扱えるようだ。
奥行きに結構余裕がありそうに見える。
粗方詰め終わると再び貝殻をかぶり、小麦粉の皮を小刻みに上下にのーびのーびさせてこういった。
「ゆ!これならきょうはおなかいっぱいゆっくりできるよ!ゆゆ?どうしたのおちびちゃん?」
「おとうしゃん!あしょきょにおいししょうにゃおはにゃしゃんがありゅよ!」
そう言って斜め上に傾いて体で指し示す子まりさつむり。
そこには花壇があり、私が埋めたパンジーやどこからか自生したオミナエシが植わっている。
その花を咲かせているが、どうやらゆっくりにはそれが「おいしそうなおはな」に見えるらしい。
街ゆっくりがこう言った事をするとは聞いていたが・・・幾らなんでも花を食い荒らされるのは我慢できない。私が出て行こうとしたその時であった。
「ゆ!ゆ!おはなさんゆっくりとれてね!」
「ゆゆ!とぢょかにゃいんだじぇええええ・・・!

そう、私の庭の花壇はコンクリートで高めに囲った所に段差の様にして土を盛っている。
ゆっくりからすればそれは高い所に花がある「壁」のように見えるだろう。
高さは大体50cmほど、ゆっくりの体高は約20~25cm程。成体ゆっくりが二体のってようやく届く高さだ。
だが、ゆっくりというのは案外高くジャンプする事が出来る。50cm程度の高さなど軽々だろう。
しかし、私の目の前のまりさつむり達は違った。
底部を壁に押し付けて斜め上にグネグネと動いているだけだ。ジャンプなど全くしなかった。
「ゆゆううううう!おはなさんゆっぐりどれでね!ゆ”!ゆ”!」
「おはなしゃんいじわりゅしにゃいぢぇね!ゆ!ゆううう!どぼじぢぇちょれにゃいにょおおおお!」
とうとう舌を伸ばしてグネグネと縦にのーびのーびするが、重い貝殻が邪魔をして通常のゆっくりの様に縦に大きく伸びるようなことはなく顔が上向きに微かに向くだけだ。

暫く壁と格闘していたまりさつむり親子だが、諦めたのか十分ほどですごすごと引き返して行った。
庭はこざっぱりとしている。あまり手入れしていないので結構雑草が生えていたがそれも粗方抜かれていた。
ああ見えてゆっくりは大食いらしいのだ。特に子ゆっくりの大きさの頃は自身の餡子の体積分を食べるのだという。
裏庭の方へ行ってみると山盛りになった雑草の前でゴソゴソと動いていた。
一口大きく口をあけて入れ、咀嚼している
「む~しゃむ~しゃ・・それなりー」
「む~ちゃむ~ちゃ・・・ちょれにゃりー」

・・・あまり味は良くないようだ。暫くすれば子まりさつむりが何やら騒ぎ立て始めた。
「ゆゆううう!きょんにゃにょじゃゆっきゅりできにゃいよ!まりしゃあのおはなしゃんがちゃべちゃいよ!」
「ゆっくりがまんしてね!あのおはなさんはまりさじゃとれないよ!」
「いやじゃよおおおおお!まりしゃおはなしゃんがちゃべちゃいよおおおおおお!」
「ゆゆう…おちびちゃんゆっくりなきやんでね!」
「おはなしゃんがちゃべちゃいよおおおおお!きのみしゃんがちゃべちゃいよおおおおおお!」
「ゆゆ・・・」

子まりさつむりの我儘に親まりさつむりがたじろいでいる。
普通に考えればあの重い貝殻をはずしてジャンプすれば届くのではないか?と私は思った。
だが、まりさつむりというゆっくりは「ずーりずーり」を主な移動手段とするため、底部が通常のゆっくりより強くなく、あまり高くジャンプできないのだ。
通常のゆっくりが自身三個分・・・つまり最大60~75cmの高さをジャンプする事が出来るが、まりさつむりならせいぜいその三分の一程度と言ったところだと言われている。
私はそのまま家に戻った。あのままならばどの道諦めるだろう。

それから次の日・・・外出した後に戻ってきてみると花壇の前で親まりさつむりが舌に木の枝を持って花をとろうとしていた。
「ゆ!ゆ!おはなさんゆっくりとれてね!まりさおこるよ!」
時折、枝を置いてぷくーっと膨れているが、また枝を持って上へと振り回す。
花にはわずか届かず・・・と言った所だった。
子まりさつむりは裏庭に残ったままなのだろう。
私は壁と格闘し続けるまりさつむりを尻目に家へと戻っていった。

・・・それから約三日がたった。
まりさつむり親子は相も変わらず空を切った枝が壁カリカリと掻いては周りの雑草を集めるという事を続けている。
しかし芝以外の草はみるみる減ってもう既になくなりかけていた。
そのなけなしの雑草をブチブチと引き抜いていく。
まりさつむり親子が集まった草をじっと見ているがかなり少ない。あっという間になくなってしまう量だろう。
それが皮肉なことに、最後の食料である。
・・・つまり庭の雑草は全部なくなってしまった。後は外に出てえさ場などに行かなくてはならない。

「ゆうう…きょんにゃにょじゃじぇんじぇんちゃりにゃいよ・・・」
「ゆっくりがまんしてね・・・おちびちゃん・・・」
「ゆうううう!もういやぢゃよ!きょんにゃおくしゃしゃんじゃなくちぇまりしゃはおはなしゃんがちゃべちゃいよ!」
「おちびちゃんしかたがないよ!ほかのばしょにいったらゆっくりできないよ!わがままいうのはゆっくりできないよ!ゆっくりしていってね!」
「もういやぢゃよおおおおお!おはなしゃんんんんんん!まりしゃのおはなしゃんんんんんんんんん!!」
「ゆっくりしていってね!おちびちゃん!ゆっくりしていってね!」

口ぶりを見るにかなり外の環境に恐れているのだろう。
つむりという特性上、他のゆっくりの餌場にいけば間違いなく潰されてしまうだろうし、迅速に餌場に行ってそして離れるという速さもこのまりさつむりというゆっくりはもっていない。
水上まりさの様に水の上を渡れるわけでもない。
草や花等を食べているのは単に他のゆっくりがあまり食べずに余っている物に目を付けた結果だろうか?
それでも花が「ゆっくりできる」と言っているのだ。餡子が抹茶味になるほどに草しか食べていなかったようだ。

私がそう考えていると親まりさつむりが決意したような表情で眉をキリッとさせ子まりさつむりにこう切り出した。
「ゆううう!わかったよ!いまからごはんさんをそとにとりにいくよ!」
「ゆ!?」
「おはなさんもきのみさんもあるかわさんにいくよ!ここならすぐだよ!」
「ゆううう!ゆっくりわかっちゃよ!」
子まりさつむりの顔が明るくなった。親まりさつむりがずーりずーりと動くとその後ろにぴったりとくっついていく。
一体どういった事をするのだろうか?気になるので付いて行ってみることにする。

「「ゆ!ゆ!」」
二体のゆっくり大小がずーりずーりと進んでいく。
かなりハイペースなのだろうがあまり速くはなかった。私が歩く速度の半分と言った所か。
この時期は冬と言っても春並みに温度が上がっており、ゆっくりにとっても動きやすい状況だろう。
山野の方では春と勘違いして出てくるゆっくりもいるという話だ。
と言っても明日からはかなりの寒気がやってきて寒くなるのだが・・・

20分ほどで近所の川へとたどり着いたまりさつむり親子。
丁度V字の様になった(ゆっくりにとっては)渓谷の様な川だ。
護岸のためにコンクリートで固められているが、道路とその間には地面がむき出しになっており、そこから真下に垂れるようにフユイチゴが生っている。
「ゆゆ!おいしそうなきのみさんがあるよ!」
「まりしゃあにょきのみしゃんがちゃべちゃいんだじぇ!」
「ゆっくりまっててね!」

親まりさつむりは川の端に立って、舌を伸ばして真下にあるフユイチゴをとろうとする。
「ゆぐうう…きのみさんゆっくりとれてね・・・!」
「おとうしゃんゆっきゅりがんばっちぇにぇ!」

名一杯舌を伸ばして一番近い所にある小さな実を舌で取る。
「ゆゆううううう!ゆっくりとれたよ!」
「ゆわーい!おいししょうぢゃよ!」

小さな木の実を下において、親まりさつむりが貝殻から抜け出す。
そして木の実を貝殻の中に入れようとするが、そこで子まりさつむりが声を上げた。
「ゆゆ!まりしゃおなきゃしゅいちゃよ!きのみしゃんをゆっきゅりたべちゃいよ!」
「これはゆっくりもってかえるからゆっくりがまんしてね!」
「いやぢゃよおおおおお!まりしゃきのみしゃんちゃべちゃいよおおおおお!」
親まりさつむりの小麦粉の皮に体当たりを繰り返す子まりさつむり、だが大きさがそもそも違うのかビクともしなかった。
やがて親まりさつむりは大きく膨れると子まりさつむりにこう言った。
「いいかげんにしてね!わがままばっかりいうとまりさおこるよ!」
「まりしゃはもうがみゃんできにゃいよ!ゆ!ゆゆ?」

その時であった。子まりさつむりが地面に置かれたフユイチゴの実に飛びつこうと跳ねたときに勢い余って少し貝殻にかすってしまったのだ。
結構斜面の角度がある場所で貝殻は不安定であった。グラっと揺れるとそのままゴロゴロと転がっていく。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!までぃざのがいがらざんがあああああ!」
「ゆぎゃっ!いぢゃいいいいいいい!」
親まりさつむりが急いで飛び跳ねる。子まりつむりを弾き飛ばしてへりに飛び跳ねるも貝殻はドボンと音を立てて川底へと消えていった。
子まりさつむりが弾き飛ばされたのと同時にフユイチゴも落ちて行ってしまったのに気づいてはいないようだ。
「ゆがあああああああああ!!」
砂糖水の涙と涎をまき散らし口を大きく開けて親まりさつむりが叫ぶ。
だが、そのわきでは子まりさつむりが体を大きく浮かせて川へと落ちそうになっていた。
「ゆんやあああああ!おちりゅううううう!」
大きく後ろにウェイトがある貝殻がどんどんと後ろに傾く。
だがその時、機転なのか咄嗟なのかは定かではないが必死に飛び跳ねて貝殻から抜け出ると、地面に着地し貝殻はこれまた同じようにボチャンと音を立てて川底へと沈んでいった
「まりぢゃのきゃいぎゃらじゃんぎゃああああああああ!!」

同じように川のへりに立ちつくし全く同じような表情で叫ぶまりさつむり親子。
寒気の訪れが来たように冷たい一陣の風がヒューッと吹くとその音に混じって二体の叫びが重なった。
「「ゆ”ん”や”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!」」

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雨が降っている。
シトシトと降る雨は明日の明け方には終わると予想されている。
さらに寒波のおまけつきだ。雪になればどれほど暖かいか。
雨と氷点下スレスレの気温、そして時折吹く強い風で私はあまり外出をしなくなっていた。

裏庭でバサッと音がしたので何かがあったのかと思い寒さに耐えて裏庭へ行ってみるとあのまりさつむり親子がいた。
以前ここに居た捨てゆっくり達が持ってきたであろうダンボールや古紙が風のせいでどこかへ吹き飛んでいた。
「けっかい」とやらになったトンガリ帽子もどこかへ行ってしまったようだ。
剥き出しになった凹の様なスペースで小麦粉の皮をくっつけてカタカタと震えているゆっくりが二体。

「ゆうう…しゃむ・・・い・・・よぉぉ・・・あ・・・んこしゃ・・・んが・・・か・・・ちか・・・ちににゃりしょ・・・うぢゃ・・・よぉぉ・・・」
「さ・・・むいい・・・いい・・・」

貝殻が無くなってはただの「ゆっくりまりさ」である。
ましてやまりさつむりというゆっくりはその貝殻のお陰で寒さや雨は他のどのゆっくりの飾りより防ぐことができるのだ。
だが貝殻が無くなってしまえばそこにあるのは寒さに極端に弱い飾りのないまりさ・・・だけである。

「お・・・はなしゃ・・・んがちゃべ・・・ちゃいよ・・・」
「おなか・・・すい・・・たよ・・・」

あれから二日は経つが飾りがないせいと雨のせいで丸二日何も食べていないのだろう。
小麦粉の皮が皺がれており、モチモチの弾力もツヤツヤの色も失せて、全体的に黒ずんだ印象を受ける。

「ゆ”・・ゆ”・・・おち・・・びち・・・ゃんもっと・・・おとうさ・・・んとすーり・・・すーりし・・・てね・・・」
「ゆっ・・・くりわ・・・かっち・・・ゃよ・・・しゅ・・・ーりし・・・ゅーり・・・」

力なく小麦粉の皮を擦り合わせるがあまり効果はないようだ。
やがて子まりさつむりがこんな事を言い出した。

「ゆう・・・う・・・どぼじ・・・ぢぇ・・・お・・・どう・・・じゃん・・・は・・まりぢゃを・・・ゆっぎゅりさしぇ・・・じぇきゅれにゃ・・・いにょ?」
「ゆ”ぅぅ…おぢびぢゃん・・・どぼ・・・ぢで・・・ぞんな・・・ごどい・・・うのぉぉ・・・!」
「おは・・・なし・・・ゃんも・・・ちょっち・・・ぇきゅ・・・れなき・・・ゃっちゃ・・・よ・・・きの・・・みし・・・ゃんぢゃ・・・っちぇ・・・かわ・・・しゃん・・・におとし・・・ちゃよ・・・?」
子まりさつむりがカタカタと震える。それを見て親まりさつむりが声を上げた。
「おぢびぢゃぁぁん・・・!ゆっぐりじでね・・・!ゆっぐりじでいっでね・・・!ぞ、ぞうだ・・・!おどうじゃんがおうだざんをうだっであげるよ・・・!ゆっぐりのび~・・・まっだりのび~・・・」
「ゅ”・・・ぅ…ゆぎ・・・ゅり・・・じぢゃ・・・ぃ・・・ぃ・・・」
「ゆ~・・・!ゆゆ~・・・!ゆっぐり~・・・!ゆっぐり~・・・!じでいっで~・・・!ね~・・・!」

風が再び強くヒューッと吹いた、雨が横に入ってくる。
私はそれを見ると音を立てずに家に戻る。
・・・既に温度は零下近くになっている。夜になればもっと下がるだろう。
雨はシトシトといつまでも降り続いていた。
次の日、陽射しがカーテン越しに入っている。
窓を開けるとガラスに就いた水滴が朝日を浴びてキラキラと光り輝いている。
風もなく。ずいぶんと暖かくなった。
私はふとあのゆっくり達が気になり裏庭へと向かった。

まりさつむり二体は、寄り添うようにして動かなくなっていた。物言わぬ饅頭となってしまったようだ。
そのつぶった目と表情は何を感じていたのか。私にはわからなかった。

・・・それから私はこのゆっくり達を最寄りの「回収箱」に入れる為に外へ出た。
暖かい日差しとは裏腹に、回収箱の周りにはデロデロに溶けた何かと小さなリボンや帽子を残して散らばっている。
ゆっくり回収箱へまりさつむり二体を入れるとそのまま踵を返して家路へとつく。
家路に就く途中に考えた。
まりさつむりはチェンジリングの一種と言う見方がある。
それならば幸運がもたらされるはずだが、まりさつむりが街ゆっくりや山野で最後までゆっくりできたという話は聞いたことがない。
あの貝殻の様な飾りは一体何のためあるのだろうか?
考えてみた所で答えは出るはずもない。

・・・家へと入る直前に花壇の方に目をやる。
そこには水滴をつけた花々が陽射しを浴びてキラキラと輝いていた。



過去に書いたもの


ふたば系ゆっくりいじめ 504 かりすま☆ふぁいたー
ふたば系ゆっくりいじめ 516 サバイバル・ウィンター
ふたば系ゆっくりいじめ 527 シティ・リベンジャーズ
ふたば系ゆっくりいじめ 582 ビルディング・フォレスト
ふたば系ゆっくりいじめ 587 バトル・プレイス
ふたば系ゆっくりいじめ 592 コールド・ソング
ふたば系ゆっくりいじめ 604 ロンリー・ラック
ふたば系ゆっくりいじめ 625 ループ・プレイス
ふたば系ゆっくりいじめ 632 フェザー・メモリー(前編)
ふたば系ゆっくりいじめ 643 フェザー・メモリー(後編)
ふたば系ゆっくりいじめ 690 ウィンター・ブルース
ふたば系ゆっくりいじめ 706 シティ・エレジー
ふたば系ゆっくりいじめ 1051 街を跳ねるもの達
ふたば系ゆっくりいじめ 1052 UNDER
ふたば系ゆっくりいじめ 1069 CLOUDY
ふたば系ゆっくりいじめ 1070 静寂な高音



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感想

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  • ↓本当に同感です!ゆっくりが幸せになるなんて考えられないです! -- 2016-02-10 15:35:51
  • いやー、何かの間違いでこの糞餓鬼が幸せになったらどうしようかとハラハラしました。
    ハッピーエンドでよかった。 -- 2012-11-18 22:35:48
  • 子ゆは街で生き残れる素質が無かった。そして、その事を見抜き、子を捨てる非情さと決断力を持っていなかった親ゆもまた街で生き残れる素質が無かった。 -- 2011-10-12 06:03:42
  • 最後の最後までゆっくりできなかったこの糞饅頭共に乾杯!ざまあ!! -- 2010-11-06 10:02:33
  • >「おは・・・なし・・・ゃんも・・・ちょっち・・・ぇきゅ・・・れなき・・・ゃっちゃ・・・よ・・・きの・・・みし・・・ゃんぢゃ・・・っちぇ・・・かわ・・・しゃん・・・におとし・・・ちゃよ・・・?」

    早くこの糞餓鬼を食い殺せ親父さん。 -- 2010-11-05 23:43:15
  • 相変わらず面白いね。
    干渉しないところがいい。 -- 2010-07-02 03:22:01
最終更新:2010年03月29日 18:11
ツールボックス

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