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*METROID Other M 【めとろいど あざーえむ】 |ジャンル|アクション|&amazon(B002C1ARJY)| |対応機種|Wii|~| |メディア|12cm光ディスク(片面二層構造) 1枚|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|コーエーテクモゲームス(Team NINJA)|~| |発売日|2010年9月2日|~| |定価|6,800円(税込)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |コンテンツアイコン|暴力|~| |配信|【WiiU】2016年3月17日/2,700円|~| |判定|なし|~| |ポイント|ムービーゲー&br()アクションゲームとしては及第点&br()シリーズ屈指の異色作|~| |>|>|CENTER:''[[メトロイドシリーズリンク>メトロイドシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -「''最新技術を使ったファミコンゲーム''」をコンセプトに制作されたメトロイドシリーズのひとつ。~ 「Project M」の名の下、任天堂とコーエーテクモゲームスの開発部署・Team NINJAを筆頭に複数の会社によって開発が行われた。 -時系列は『スーパー』と『フュージョン』の間に当たり、『スーパー』のラスト部分がプロローグとなっている。 --『フュージョン』に登場した「アダム」との出来事を描いた作品であるため、それを補完したストーリーとなっている。 -今までのメトロイドシリーズでは明かされることの無かったサムスの内面にスポットを当てたストーリーとなっている。そのため、シリーズとしては珍しく多くの人間キャラが登場する。 --また、シリーズでは初となる日本語によるフルボイスが搭載されており((ボイスの搭載自体はメトロイドプライム3からあった。ただしボイスは英語のみで、サムスが言葉を発する場面もない。))、シリーズの中で最もストーリーを重視した作品となっている。 ---なお、ボイス・字幕はオプションで日本語・英語の切り替えが可能。 --その為メトロイドシリーズとしても、また任天堂の作品としてもムービーの量が非常に多く、任天堂タイトルでは『[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]』以来の二層ディスク使用ソフトとなった。 -高温多湿なジャングル地帯、雪と氷に覆われた極寒地帯、火山活動が活発な高熱地帯がそれぞれ再現されたスペースコロニー「ボトルシップ」が今作の舞台となっている。 **評価点 ***「最新技術を使ったファミコンゲーム」 - ''Wiiリモコン一本のみ''でゲームを進めることができるのが今作の最大の特徴。リモコンを横に持ちボタンで操作をする「''ファミコンスタイル''」と、縦に持ちポインターで操作をする「''サーチングビューモード''」の二通りの持ち方が存在する。 --基本はファミコンスタイルで操作をし、サムスの視点で周りを見渡したいときやミサイル、グラップリングビームを使用する際はサーチングビューモードに持ち替えながら進めていく。 -「最新技術を使ったファミコンゲーム」のコンセプト通り、基本操作は十字ボタンで移動、2ボタンでジャンプ、1ボタンで攻撃と非常にシンプル。 --同じボタンでも状況によってアクションが変わるのが本作の特徴で、簡単操作でスタイリッシュなアクションを楽しむことができる。 以下は状況によって変わるアクションの一部である。 ''センスムーブ'' -敵の攻撃に合わせて十字ボタンの入力、もしくはサーチングビューモードを出入りする事で行える回避行動。大体の攻撃はこれでかわすことになる。 --攻撃をかわす際に1ボタンを押すことで瞬時にフルチャージ状態となり敵への反撃が容易に行える。 --判定はシビアでなく、出すだけなら単純に十字ボタンを軽く連打しているだけでも出せる程度。ただし無敵状態は短いので、何も考えず同じ方向に回避していればいいわけではない。次の行動や避ける攻撃の性質に応じ、最適な方向に転がり込まねばならない。 ''オーバーブラスト'' -敵の上にジャンプし、1ボタンを押すことで行える強力な攻撃。中型敵と一部のボス敵に使用可能。 --1ボタンを押すタイミングはシビアではないが、敵の種類によっては体勢を崩させた時など、一定条件を満たさないと使えない。 ''リーサルストライク'' -倒れている敵に接近して向かい十字ボタン+1ボタンを押すことで行えるトドメの一撃。特定のボス含む敵に使用可能。 --一定条件を満たさなければ発動しないが、決まれば一発で仕留められる。対応する敵にはオーバーブラストが使えない種もいる。 ''サーチングビュー'' -Wiiリモコンのポインタを画面に向ける事でサムス視点になり、部屋の周囲を見渡す事ができる。 --敵や対象物をロックオンしてミサイルを発射する事が可能。 --サーチングビュー状態では、基本的に動く事はできない。本作ではミサイルを撃てるのもこの状態のみであるため、敵のスキを見極めてこのモードに切り替えるかを考える必要がある。 --それゆえにミサイル・スーパーミサイルを連射し、切れたらチャージビームに乗り換えというパターンでの戦闘は基本的に封じられた。Wiiリモコンの持ち方を変えるという要素も含め、操作にもメリハリが出来ている。 --コツは少々必要だが、センスムーブも可能。敵の攻撃が近づいたらリモコンを画面外に振ればよい。バイザーのフチが黄色くなったときがその合図。 --じつは着地して静止している状態ではなく、ジャンプ中やモーフボール状態からでも可能である。ボス戦中なら、自動的にボスの方向を向いてくれることも。 オーバーブラストとリーサルストライクは多様な敵の種類に応じた異なるアクションがそれぞれ用意されており、見た目的にも飽きさせない。そのため決めたときの爽快感はひとしお。 特にセクター3のゴヤケード戦でのアクションは、カメラワークが目まぐるしく非常に迫力がある。必見。 ***その他の特徴 -今作は''敵を倒しても回復アイテムの類が一切登場しない。''~ Wiiリモコンを垂直に握る「コンセントレーション」により、エネルギーとミサイルの回復を行うことになる。 --ミサイルの回復はいつでも行えるが、エネルギーの回復はエネルギーの残量が一定以下の状態でないと発生しない。 --エネルギーが0になる致命傷を受けても、一度だけエネルギーは1の状態で踏みとどまる。そこからさらにもう一発を受けない限りは倒れることがない。 ---この場合のエネルギー表示は0と1が点滅した状態になっている。この瀕死状態からでも、コンセントレーションが成功すればエネルギーを一定まで回復して持ち直す事ができる。 -ナビゲーションブース(今までのシリーズにおけるセーブステーション)にたどりつけば、従来通りエネルギーとミサイルが全快する。 -メトロイドシリーズでは掟破りの初見殺しな即死ポイントもいくつかあったりするが、ゲームオーバーになってもペナルティーは特にない。少し前に戻されるだけ。 -今作のサムスは、最初から一通りのアイテムを全て装備している設定となっている。 --ただし、司令官であるアダム・マルコビッチに従う形で制限が施されているため、当然ながら序盤は殆どのアイテムを封印している。ゲームを進めることで徐々に解禁されていく仕組み。 --ただし、ディフュージョンビームとシーカーミサイルの2つのみ、アイテムを取得することで新たに追加される機能となっている。 --アイテム獲得によるスーツの機能アップは「エネルギー・ミサイルの最大値」に加え、新たに「コンセントレーションの回復下限・上限」「ビームチャージ時間の短縮」が加わっている。 -ストーリー・演出重視の作風。 --これまであまり明らかにされなかったサムスの過去や内面の心理描写がストーリー中で多く語られる。ムービーも多く取り入れられている(ゲーム中の合計で2時間ほど)。 ***その他評価点 -グラフィックのレベルがWiiソフトの中でも屈指の高さ。 --特に随所に挿入されるプリレンダリングムービーの質が非常に高い。ムービーパートとゲームパートもシームレスに繋がる。 -常に先読みを行なうようになっており、ロード時間で待たされるようなことはほとんどなく快適。 -過去作品に登場した一部のボスの再登場(常連のリドリー以外で)。 --意外なボスと再会できるかもしれない。 -クリア後に見られるムービーモードの連続視聴が秀逸である。 --レンダリングムービーだけでなく、実際のゲーム画面も使用したダイジェスト形式の攻略ムービーでもあるため、ゲーム内容を見返しつつ、誰にでも格好良いサムスの動きを堪能できる。勿論途中からでも視聴可。 --特にボス戦のプレイムービーでは、意外な攻撃方法を使って攻略することもあるため、一見の価値あり。 **賛否両論点 -雰囲気重視の為かBGMに環境音が多い。 --このためシリーズでもひときわ地味な印象を受けるが、リドリー戦など一部のシーンで流れるBGMは高く評価されている。 **問題点 -ゲーム自体のボリュームが少ない。 --普通にプレイしてもクリア時間はおおよそ8~10時間程度。マップ自体も他のシリーズと比べると狭いことがボリューム不足に拍車をかけている。%%こういう部分も含めて「ファミコンゲーム」なのだろうか? %% -攻略が一本道で探索要素が大きく減り、ひたすらに単調。 --迷う事が殆ど無いので初心者にも遊びやすいと評価できないこともないが、もともとメトロイドシリーズは探索要素を売りにしていた為、この点は非常に痛い。 -アダムの指令によって使用が制限されている装備を解禁していくという仕様のため、アイテムを入手した時の達成感がない。 --これも今までのシリーズのアイテムを獲得しながら主人公を強化していくというコンセプトと全く異なるため批判されることがある。 --パワーボム以外(プラズマビームとアイスビームは設定上仕方ないとして)は使用を制限する理由の説明が全くされないため、必然性がないのにわざわざ弱い装備でミッションを進めるという不自然な展開になる。挙句の果てに装備を制限しているせいで窮地に陥るシーンや、必要な時に防御機能を解禁してもらえないシーンも存在する。 --プライムシリーズなどの他作品で「外的要因でスーツが故障し、機能も消滅した」というワンパターン展開が続いていた事を思えば、今までと異なる展開に挑戦しマンネリを打破しようとしたという点は評価可能ではある。 --一応、上記のディフュージョンビームなど、新装備が皆無というわけではない。 -サーチングビューモードの存在について --サーチングビューモード使用時は一切の移動ができないため、若干テンポが悪い。 --特にミサイルは、サーチングビューモードでしか使用出来ないため、これまで以上に戦闘における効率が非常に悪い。 --なお、本作ではビームが有効な場合のほうが圧倒的に多く、ミサイルはそのまま連発するよりも特定の状況でのとどめに使用される事のほうが多い。 --基本はビーム、スキを見てミサイルという戦略性はあるが、いちいち持ち替えをさせられるのが煩雑。ただ、ある方法を用いればチャージが必要なスーパーミサイルを瞬時に撃つ事は可能。 --強制的にサーチングビューモードになるイベントがいくつかあるが、特定の場所を注視しないと先に進むことができない。 ---この注視場所がノーヒントかつ判定が小さいため場面によっては非常に見つけ難い。そこがゲーム中一番難しい部分とさえ言われることも。 --リモコンの持ち替えという操作がそもそも「最新技術を使ったファミコンゲーム」というコンセプトから矛盾しているため、最初からリモコン+ヌンチャク操作にしていればよかったと指摘する者も多い。 -ストーリー展開 --ストーリーに力を入れた割に、そのストーリー展開が不自然、描写不足な点が目立つ。ゲームの終盤は盛り上がりが欠けるのもマイナス。 --サムスの内面描写についてはそれまでのシリーズでファンの間で培われたイメージからあまりにもギャップがあり、過去作からすると矛盾していると言える描写も存在することに批判が多い。 #region(ネタバレ注意) -ストーリー中盤辺りでシリーズお馴染みの宿敵リドリーが出現するのだが、その際にサムスが幼少時のトラウマを思い出し錯乱する。 --サムスはスーパーメトロイドまでに幾度もリドリーと戦っているはずなのだが、今回でパニック状態に陥ってしまうのは明らかに不自然とも見れる。 -ストーリー中サムスと共に戦っている小隊の中にデリーター(上層部のまわし者で関係者及び目撃者の殺害が目的)が潜んでいることが明らかになる。このデリーターとは一度ある形で戦うことになるが、そのときは決着がつかず持ち越しになる。~ しかしその後再戦することはなくいつの間にか何者かによって殺されているため、プレイヤーにとって拍子抜けとなる。その人物が誰であるかはストーリー上サムスが知ることはない。 --ただしサムスやゲーム中には明言されることがないだけで、正体についてプレイヤー側で察することは可能。クリア後のおまけで閲覧できる開発資料に答えが載っている。 -リドリーも同様にサムスと決着がつかないまま逃げられてしまい、その後再戦があると思わせるようなイベントがあるにも関わらずいつの間にか殺されてしまっている。 --厳密にいうとメトロイドにエネルギーを吸収されたために活動不能になった。その後銀河連邦軍に研究資料として回収され、『フュージョン』まで決着は持ち越されることに。 -ラスボスのように見られるであろうMBとも、結局直接対決はできない。ただし、こちらは展開・心情的にも、サムスが決着を付けない形となるのは納得できるものとなっている。 このようにゲーム終盤はプレーヤーが関与できず、いつの間にか終わっていたりムービーシーンで片付けられてしまうことが多く、アクションゲームとしては物足りなさが残る。 #endregion -ヒントが少なすぎる、エネルギー回復手段が少ないなど難易度は比較的高い。 --倒し方の分かりづらいボスが比較的多いのだが、プライムシリーズのスキャンバイザーのようなサーチング機能が何も用意されていないため、攻略情報に頼らざるを得なくなる場面が多い。 --前述の通り敵を倒しても回復アイテムを落とさないため、エネルギーの回復手段は通常では皆無に等しい。~ このため、コンセントレーションを行う余裕が総じて少ないボス戦での持ち直しがかなり厳しいものとなっている。 -初回プレイ時にムービーをスキップすることができない。 -アイテム取得時におなじみのジングルがない。効果音のような短い音が鳴るのみである。 -クリア後、何の理由付けもなく通行止めになってしまうゲートが存在する。 --特に、メインセクターと各セクターを繋ぐエレベーターがある部屋まで行く途中のゲートが封鎖されてしまうのが不便。クリア後にこのエレベーターを利用したい場合は無駄に遠回りをする羽目になる。 -不具合((アイスビーム解禁後、特定の場所まで進めた後に再びアイスビームが解禁された場所に引き返すと特定の場所のゲートが開かなくなる。))がある。 --この件は早期に公式発表されており、上記の症状が発生したセーブデータのコピーが入ったSDカード(またはWii本体)を任天堂に送付することで無償で改善して返却してくれる。([[外部リンク>http://metroid.jp/info/index.html]]) --発生条件の都合上、一本道の攻略を普通に進めているのであれば気付く方が難しい類のバグであることは救いか。 ---- **総評 一本道のゲーム展開でシリーズ最大の売りであった探索要素が薄まっていることや、サムスの内面描写など~ シリーズ作品のコンセプトを悉く否定するかのような作風から、従来のファンからは否定的に見られることが多い。 //((中には、どこぞの3~4作目よろしく本作をメトロイドシリーズの黒歴史としているファンも存在する))//~ 一方アクションゲームとしては操作性は良好で、ロード時間も短く快適。シリーズと切り離した単体のゲームとして見れば決して悪い作品ではない。~ 従来のシリーズとは一味異なるアクション寄りの難易度で、ゲームオーバー時のペナルティがあまりなくテンポよく遊べるなど、未経験者にもある程度親切な作品になってはいる。~ 総じて問題点は目立つものの、評価点も多い。任天堂のゲームとして一定の水準はクリアしていると捉えるべきだろう。 ---- **余談 -ラスト前後の展開が従来とは異なり、特殊な構成となっている。 --詳しくは伏せるが、初見時は確実に面食らうかと。 -シリーズお馴染みの敵リドリーだが本作では意外な事実が明らかに…。 -ハードモード --ゲームをクリアすると、ダメージ1.4倍+タンク類が一切出なくなるハードモードで遊べるようになる。 --つまりは終始エネルギー99、ミサイルも10発しかない。加えて、''致命傷を受けた際の瀕死状態による踏みとどまりがなくなったため、後半になると一撃即死の攻撃も出てくる''など、非常に難易度が高い。 --クリアしても何も解禁されないが、言い換えれば特典解禁のためにやらなくてはならないという事はない。つまりこのモード自体が特典である。 --センスムーブの使い方、サーチングビューやコンセントレーションのタイミング、敵の対処法をマスターしたら、その腕試しに挑戦してみるといいだろう。 --ただし残念なことにハードモードでは本編クリア後の隠しボスであるアイツとは戦えない。 -コーエーテクモゲームスの『[[DEAD OR ALIVE Dimensions]]』にはステージ「GEOTHERMAL POWER PLANT」、任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』にはステージ「パイロスフィア」がある。双方ともにセクター3の地熱発電所をベースとしたステージになっていて、リドリーも登場する。 -CMでは、『[[メトロイドII RETURN OF SAMUS]]』にて用いられた「''メトロイド オモロイド''」のフレーズが使われている。 --ちなみに関西圏で放送されたCMでは、「''メトロイド オモロイデ''」となっていたりする。
*METROID Other M 【めとろいど あざーえむ】 |ジャンル|アクション|&amazon(B002C1ARJY)| |対応機種|Wii|~| |メディア|12cm光ディスク(片面二層構造) 1枚|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|コーエーテクモゲームス(Team NINJA)|~| |発売日|2010年9月2日|~| |定価|6,800円(税込)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |コンテンツアイコン|暴力|~| |配信|【WiiU】2016年3月17日/2,700円|~| |判定|なし|~| |ポイント|ムービーゲー&br()アクションゲームとしては及第点&br()シリーズ屈指の異色作|~| |>|>|CENTER:''[[メトロイドシリーズリンク>メトロイドシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -「''最新技術を使ったファミコンゲーム''」をコンセプトに制作されたメトロイドシリーズのひとつ。~ 「Project M」の名の下、任天堂とコーエーテクモゲームスの開発部署・Team NINJAを筆頭に複数の会社によって開発が行われた。 -時系列は『スーパー』と『フュージョン』の間に当たり、『スーパー』のラスト部分がプロローグとなっている。 --『フュージョン』に登場した「アダム」との出来事を描いた作品であるため、それを補完したストーリーとなっている。 -今までのメトロイドシリーズでは明かされることの無かったサムスの内面にスポットを当てたストーリーとなっている。そのため、シリーズとしては珍しく多くの人間キャラが登場する。 --また、シリーズでは初となる日本語によるフルボイスが搭載されており((ボイスの搭載自体はメトロイドプライム3からあった。ただしボイスは英語のみで、サムスが言葉を発する場面もない。))、シリーズの中で最もストーリーを重視した作品となっている。 ---なお、ボイス・字幕はオプションで日本語・英語の切り替えが可能。 --その為メトロイドシリーズとしても、また任天堂の作品としてもムービーの量が非常に多く、任天堂タイトルでは『[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]』以来の二層ディスク使用ソフトとなった。 -高温多湿なジャングル地帯、雪と氷に覆われた極寒地帯、火山活動が活発な高熱地帯がそれぞれ再現されたスペースコロニー「ボトルシップ」が今作の舞台となっている。 **評価点 ***「最新技術を使ったファミコンゲーム」 - ''Wiiリモコン一本のみ''でゲームを進めることができるのが今作の最大の特徴。リモコンを横に持ちボタンで操作をする「''ファミコンスタイル''」と、縦に持ちポインターで操作をする「''サーチングビューモード''」の二通りの持ち方が存在する。 --基本はファミコンスタイルで操作をし、サムスの視点で周りを見渡したいときやミサイル、グラップリングビームを使用する際はサーチングビューモードに持ち替えながら進めていく。 -「最新技術を使ったファミコンゲーム」のコンセプト通り、基本操作は十字ボタンで移動、2ボタンでジャンプ、1ボタンで攻撃と非常にシンプル。 --同じボタンでも状況によってアクションが変わるのが本作の特徴で、簡単操作でスタイリッシュなアクションを楽しむことができる。 以下は状況によって変わるアクションの一部である。 ''センスムーブ'' -敵の攻撃に合わせて十字ボタンの入力、もしくはサーチングビューモードを出入りする事で行える回避行動。大体の攻撃はこれでかわすことになる。 --攻撃をかわす際に1ボタンを押すことで瞬時にフルチャージ状態となり敵への反撃が容易に行える。 --判定はシビアでなく、出すだけなら単純に十字ボタンを軽く連打しているだけでも出せる程度。ただし無敵状態は短いので、何も考えず同じ方向に回避していればいいわけではない。次の行動や避ける攻撃の性質に応じ、最適な方向に転がり込まねばならない。 ''オーバーブラスト'' -敵の上にジャンプし、1ボタンを押すことで行える強力な攻撃。中型敵と一部のボス敵に使用可能。 --1ボタンを押すタイミングはシビアではないが、敵の種類によっては体勢を崩させた時など、一定条件を満たさないと使えない。 ''リーサルストライク'' -倒れている敵に接近して向かい十字ボタン+1ボタンを押すことで行えるトドメの一撃。特定のボス含む敵に使用可能。 --一定条件を満たさなければ発動しないが、決まれば一発で仕留められる。対応する敵にはオーバーブラストが使えない種もいる。 ''サーチングビュー'' -Wiiリモコンのポインタを画面に向ける事でサムス視点になり、部屋の周囲を見渡す事ができる。 --敵や対象物をロックオンしてミサイルを発射する事が可能。 --サーチングビュー状態では、基本的に動く事はできない。本作ではミサイルを撃てるのもこの状態のみであるため、敵のスキを見極めてこのモードに切り替えるかを考える必要がある。 --それゆえにミサイル・スーパーミサイルを連射し、切れたらチャージビームに乗り換えというパターンでの戦闘は基本的に封じられた。Wiiリモコンの持ち方を変えるという要素も含め、操作にもメリハリが出来ている。 --コツは少々必要だが、センスムーブも可能。敵の攻撃が近づいたらリモコンを画面外に振ればよい。バイザーのフチが黄色くなったときがその合図。 --じつは着地して静止している状態ではなく、ジャンプ中やモーフボール状態からでも可能である。ボス戦中なら、自動的にボスの方向を向いてくれることも。 オーバーブラストとリーサルストライクは多様な敵の種類に応じた異なるアクションがそれぞれ用意されており、見た目的にも飽きさせない。そのため決めたときの爽快感はひとしお。 特にセクター3のゴヤケード戦でのアクションは、カメラワークが目まぐるしく非常に迫力がある。必見。 ***その他の特徴 -今作は''敵を倒しても回復アイテムの類が一切登場しない。''~ Wiiリモコンを垂直に握る「コンセントレーション」により、エネルギーとミサイルの回復を行うことになる。 --ミサイルの回復はいつでも行えるが、エネルギーの回復はエネルギーの残量が一定以下の状態でないと発生しない。 --エネルギーが0になる致命傷を受けても、一度だけエネルギーは1の状態で踏みとどまる。そこからさらにもう一発を受けない限りは倒れることがない。 ---この場合のエネルギー表示は0と1が点滅した状態になっている。この瀕死状態からでも、コンセントレーションが成功すればエネルギーを一定まで回復して持ち直す事ができる。 -ナビゲーションブース(今までのシリーズにおけるセーブステーション)にたどりつけば、従来通りエネルギーとミサイルが全快する。 -メトロイドシリーズでは掟破りの初見殺しな即死ポイントもいくつかあったりするが、ゲームオーバーになってもペナルティーは特にない。少し前に戻されるだけ。 -今作のサムスは、最初から一通りのアイテムを全て装備している設定となっている。 --ただし、司令官であるアダム・マルコビッチに従う形で制限が施されているため、当然ながら序盤は殆どのアイテムを封印している。ゲームを進めることで徐々に解禁されていく仕組み。 --ただし、ディフュージョンビームとシーカーミサイルの2つのみ、アイテムを取得することで新たに追加される機能となっている。 --アイテム獲得によるスーツの機能アップは「エネルギー・ミサイルの最大値」に加え、新たに「コンセントレーションの回復下限・上限」「ビームチャージ時間の短縮」が加わっている。 -ストーリー・演出重視の作風。 --これまであまり明らかにされなかったサムスの過去や内面の心理描写がストーリー中で多く語られる。ムービーも多く取り入れられている(ゲーム中の合計で2時間ほど)。 ***その他評価点 -グラフィックのレベルがWiiソフトの中でも屈指の高さ。 --特に随所に挿入されるプリレンダリングムービーの質が非常に高い。ムービーパートとゲームパートもシームレスに繋がる。 -常に先読みを行なうようになっており、ロード時間で待たされるようなことはほとんどなく快適。 -過去作品に登場した一部のボスの再登場(常連のリドリー以外で)。 --意外なボスと再会できるかもしれない。 -クリア後に見られるムービーモードの連続視聴が秀逸である。 --レンダリングムービーだけでなく、実際のゲーム画面も使用したダイジェスト形式の攻略ムービーでもあるため、ゲーム内容を見返しつつ、誰にでも格好良いサムスの動きを堪能できる。勿論途中からでも視聴可。 --特にボス戦のプレイムービーでは、意外な攻撃方法を使って攻略することもあるため、一見の価値あり。 **賛否両論点 -雰囲気重視の為かBGMに環境音が多い。 --このためシリーズでもひときわ地味な印象を受けるが、リドリー戦など一部のシーンで流れるBGMは高く評価されている。 **問題点 -ゲーム自体のボリュームが少ない。 --普通にプレイしてもクリア時間はおおよそ8~10時間程度。マップ自体も他のシリーズと比べると狭いことがボリューム不足に拍車をかけている。%%こういう部分も含めて「ファミコンゲーム」なのだろうか? %% -攻略が一本道で探索要素が大きく減り、ひたすらに単調。 --迷う事が殆ど無いので初心者にも遊びやすいと評価できないこともないが、もともとメトロイドシリーズは探索要素を売りにしていた為、この点は非常に痛い。 -アダムの指令によって使用が制限されている装備を解禁していくという仕様のため、アイテムを入手した時の達成感がない。 --これも今までのシリーズのアイテムを獲得しながら主人公を強化していくというコンセプトと全く異なるため批判されることがある。 --パワーボム以外(プラズマビームとアイスビームは設定上仕方ないとして)は使用を制限する理由の説明が全くされないため、必然性がないのにわざわざ弱い装備でミッションを進めるという不自然な展開になる。挙句の果てに装備を制限しているせいで窮地に陥るシーンや、必要な時に防御機能を解禁してもらえないシーンも存在する。 --プライムシリーズなどの他作品で「外的要因でスーツが故障し、機能も消滅した」というワンパターン展開が続いていた事を思えば、今までと異なる展開に挑戦しマンネリを打破しようとしたという点は評価可能ではある。 --一応、上記のディフュージョンビームなど、新装備が皆無というわけではない。 -サーチングビューモードの存在について --サーチングビューモード使用時は一切の移動ができないため、若干テンポが悪い。 --特にミサイルは、サーチングビューモードでしか使用出来ないため、これまで以上に戦闘における効率が非常に悪い。 --なお、本作ではビームが有効な場合のほうが圧倒的に多く、ミサイルはそのまま連発するよりも特定の状況でのとどめに使用される事のほうが多い。 --基本はビーム、スキを見てミサイルという戦略性はあるが、いちいち持ち替えをさせられるのが煩雑。ただ、ある方法を用いればチャージが必要なスーパーミサイルを瞬時に撃つ事は可能。 --強制的にサーチングビューモードになるイベントがいくつかあるが、特定の場所を注視しないと先に進むことができない。 ---この注視場所がノーヒントかつ判定が小さいため場面によっては非常に見つけ難い。そこがゲーム中一番難しい部分とさえ言われることも。 --リモコンの持ち替えという操作がそもそも「最新技術を使ったファミコンゲーム」というコンセプトから矛盾しているため、最初からリモコン+ヌンチャク操作にしていればよかったと指摘する者も多い。 -ストーリー展開 --ストーリーに力を入れた割に、そのストーリー展開が不自然、描写不足な点が目立つ。ゲームの終盤は盛り上がりが欠けるのもマイナス。 --サムスの内面描写についてはそれまでのシリーズでファンの間で培われたイメージからあまりにもギャップがあり、過去作からすると矛盾していると言える描写も存在することに批判が多い。 #region(ネタバレ注意) -ストーリー中盤辺りでシリーズお馴染みの宿敵リドリーが出現するのだが、その際にサムスが幼少時のトラウマを思い出し錯乱する。 --サムスはスーパーメトロイドまでに幾度もリドリーと戦っているはずなのだが、今回でパニック状態に陥ってしまうのは明らかに不自然とも見れる。 --またこの話自体スーパーの直後なので、ベビーメトロイドの死の原因をつくったリドリーに対する怒りがなければおかしいのだが・・・。 -ストーリー中サムスと共に戦っている小隊の中にデリーター(上層部のまわし者で関係者及び目撃者の殺害が目的)が潜んでいることが明らかになる。このデリーターとは一度ある形で戦うことになるが、そのときは決着がつかず持ち越しになる。~ しかしその後再戦することはなくいつの間にか何者かによって殺されているため、プレイヤーにとって拍子抜けとなる。その人物が誰であるかはストーリー上サムスが知ることはない。 --ただしサムスやゲーム中には明言されることがないだけで、正体についてプレイヤー側で察することは可能。クリア後のおまけで閲覧できる開発資料に答えが載っている。 -リドリーも同様にサムスと決着がつかないまま逃げられてしまい、その後再戦があると思わせるようなイベントがあるにも関わらずいつの間にか殺されてしまっている。 --厳密にいうとメトロイドにエネルギーを吸収されたために活動不能になった。その後銀河連邦軍に研究資料として回収され、『フュージョン』まで決着は持ち越されることに。 -ラスボスのように見られるであろうMBとも、結局直接対決はできない。ただし、こちらは展開・心情的にも、サムスが決着を付けない形となるのは納得できるものとなっている。 このようにゲーム終盤はプレーヤーが関与できず、いつの間にか終わっていたりムービーシーンで片付けられてしまうことが多く、アクションゲームとしては物足りなさが残る。 #endregion -ヒントが少なすぎる、エネルギー回復手段が少ないなど難易度は比較的高い。 --倒し方の分かりづらいボスが比較的多いのだが、プライムシリーズのスキャンバイザーのようなサーチング機能が何も用意されていないため、攻略情報に頼らざるを得なくなる場面が多い。 --前述の通り敵を倒しても回復アイテムを落とさないため、エネルギーの回復手段は通常では皆無に等しい。~ このため、コンセントレーションを行う余裕が総じて少ないボス戦での持ち直しがかなり厳しいものとなっている。 -初回プレイ時にムービーをスキップすることができない。 -アイテム取得時におなじみのジングルがない。効果音のような短い音が鳴るのみである。 -クリア後、何の理由付けもなく通行止めになってしまうゲートが存在する。 --特に、メインセクターと各セクターを繋ぐエレベーターがある部屋まで行く途中のゲートが封鎖されてしまうのが不便。クリア後にこのエレベーターを利用したい場合は無駄に遠回りをする羽目になる。 -不具合((アイスビーム解禁後、特定の場所まで進めた後に再びアイスビームが解禁された場所に引き返すと特定の場所のゲートが開かなくなる。))がある。 --この件は早期に公式発表されており、上記の症状が発生したセーブデータのコピーが入ったSDカード(またはWii本体)を任天堂に送付することで無償で改善して返却してくれる。([[外部リンク>http://metroid.jp/info/index.html]]) --発生条件の都合上、一本道の攻略を普通に進めているのであれば気付く方が難しい類のバグであることは救いか。 ---- **総評 一本道のゲーム展開でシリーズ最大の売りであった探索要素が薄まっていることや、サムスの内面描写など~ シリーズ作品のコンセプトを悉く否定するかのような作風から、従来のファンからは否定的に見られることが多い。 //((中には、どこぞの3~4作目よろしく本作をメトロイドシリーズの黒歴史としているファンも存在する))//~ 一方アクションゲームとしては操作性は良好で、ロード時間も短く快適。シリーズと切り離した単体のゲームとして見れば決して悪い作品ではない。~ 従来のシリーズとは一味異なるアクション寄りの難易度で、ゲームオーバー時のペナルティがあまりなくテンポよく遊べるなど、未経験者にもある程度親切な作品になってはいる。~ 総じて問題点は目立つものの、評価点も多い。任天堂のゲームとして一定の水準はクリアしていると捉えるべきだろう。 ---- **余談 -ラスト前後の展開が従来とは異なり、特殊な構成となっている。 --詳しくは伏せるが、初見時は確実に面食らうかと。 -シリーズお馴染みの敵リドリーだが本作では意外な事実が明らかに…。 -ハードモード --ゲームをクリアすると、ダメージ1.4倍+タンク類が一切出なくなるハードモードで遊べるようになる。 --つまりは終始エネルギー99、ミサイルも10発しかない。加えて、''致命傷を受けた際の瀕死状態による踏みとどまりがなくなったため、後半になると一撃即死の攻撃も出てくる''など、非常に難易度が高い。 --クリアしても何も解禁されないが、言い換えれば特典解禁のためにやらなくてはならないという事はない。つまりこのモード自体が特典である。 --センスムーブの使い方、サーチングビューやコンセントレーションのタイミング、敵の対処法をマスターしたら、その腕試しに挑戦してみるといいだろう。 --ただし残念なことにハードモードでは本編クリア後の隠しボスであるアイツとは戦えない。 -コーエーテクモゲームスの『[[DEAD OR ALIVE Dimensions]]』にはステージ「GEOTHERMAL POWER PLANT」、任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』にはステージ「パイロスフィア」がある。双方ともにセクター3の地熱発電所をベースとしたステージになっていて、リドリーも登場する。 -CMでは、『[[メトロイドII RETURN OF SAMUS]]』にて用いられた「''メトロイド オモロイド''」のフレーズが使われている。 --ちなみに関西圏で放送されたCMでは、「''メトロイド オモロイデ''」となっていたりする。

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