現在は
[Ver. 1.9.0]
(2024/2/29)に基づいた記述となっています。本作は不定期にアップデートが行われており、必ずしも本記事の内容が最新の内容に対応しているとは限りません。アップデートによる評価等の追記は配信から1ヶ月経過してからお願いします。
Vampire Survivors
【ヴぁんぱいあさばいばーず】
ジャンル
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ローグライクアクション
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対応機種
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Windows(Steam/Microsoft Store) MacOS Xbox One Xbox Series X/S iOS Android Nintendo Switch
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発売・開発元
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poncle
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発売日
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【Steam】2022年10月21日 【MS Store】2022年11月10日 【iOS/Android】2022年12月9日 【Switch】2023年8月17日
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定価(10%税込)
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【Steam/Switch】499円 【MS Store】500円 【iOS/Android】無料
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プレイ人数
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1~4人(ローカルのみ)
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セーブデータ
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1個(オートセーブ)
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レーティング
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IARC:12+
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備考
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ダウンロード専売 Switch版はおすそわけプレイ対応
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判定
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良作
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ポイント
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価格に見合わぬ大ボリュームと中毒性
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概要
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個人開発者のルカ・ガランテ氏によって製作された作品。
最初は2021年10月末にitch.ioにて本作の存在が公開され、その後2021年12月17日にSteamにて早期アクセス版がリリース。シンプルでわかりやすいゲームシステムと繰り返し遊びたくなるリプレイ性が評判となり、レビューや動画サイトによって広まり大ヒットへと至った。
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新キャラ・新ステージ・新武器を追加する有料DLCも発売されており、それぞれ199~249円で購入可能。
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第3弾『Emergency Meeting』は『Among Us』とのコラボDLCとなっており、各役職やタスク内容等を元にした要素が満載となっている。(予告PV)
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更に、第4弾は魂斗羅シリーズとのコラボが告知されている。
システム
操作キャラや武器・アイテム、各種解放要素などについての情報は内容が膨大になるため割愛。
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プレイヤーは操作キャラ1人と挑戦するステージを選択し、周囲から迫ってくる敵を倒しながら30分生き残る事が目的となる。
操作キャラは最初は1人(未開放キャラを含めても4人)しか選べないが、特定の条件を達成したり、有料DLCを導入することで増やすことが可能。
キャラクターはそれぞれ初期から所持している武器と各ステータスの補正値が異なり、何らかの特殊能力を有している。
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キャラクターの操作は移動のみであり、壁や障害物に阻まれない限りどこまでも移動することが出来る。
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攻撃は現在所持している武器によって自動的に行われ、攻撃で倒した相手は一定確率で「EXPジェム」や様々な「フィールドアイテム」を落とす他、決まった時間に出現するボスを撃破すると高確率で「宝箱」をドロップする。
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操作キャラは敵や攻撃に接触するとダメージを受けてしまうため、体力が尽きないよう敵の少ない場所に逃げつつ敵を倒していく必要がある。
敵の種類と量は時間経過によって変化していくため、画面内の状況変化を見極めながら立ち回る必要がある。
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敵の攻撃によって死亡するとその時点で終了。クリア目標は30分以上生き残る事である。
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30分耐え抜いた時点で超速度・超耐久・即死級攻撃力持ちの「死神」が出現し、その敵をも凌いだ場合は攻撃が通用しない「白い死神」が出現して操作キャラが死亡する。
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EXPジェムを一定量集めると操作キャラのレベルが上がり、基本3つ(最大4つ)の選択肢が出現する。この選択肢にはアンロック済みの「通常武器」又は「アイテム」が完全ランダムで出現し、新たな武器を選べばその攻撃が追加で発生、アイテムを選べば操作キャラにパッシブ効果が付与される他、既に所持している物を選べばレベルが上がって性能が強化される。
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武器とアイテムはレベルアップではそれぞれ6種類まで獲得可能。ただし、フィールドに落ちている武器・アイテムを取得したり、「キャンディボックス」か「超絶キャンディボックス」を獲得した場合は7種類目以降であっても所持・強化する事が可能。
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尚、後々レベルアップ時の選択肢は追加されることもあるが、削除したり振り直ししたりすることも可能になる。
やり込めばやり込むほど自分の理想の武器ビルドが幅広くなり、組みやすくなっていく。
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宝箱は入手すると纏まった額の金貨が手に入り、所持している武器・アイテムの中からランダムでレベルアップしてくれる。また、稀に当たり・大当たりの演出が出た場合は、当たりなら3つ、大当たりなら5つ強化される。
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また、特定の組み合わせの通常武器とアイテムを同時に所持し、その通常武器のレベルを最大まで成長させた状態で10分経過後以降に出現する敵ボスが落とした宝箱を取得すると、その通常武器が「進化武器」に変化する。進化武器は元の武器から性能が大幅に強化されるので、一気に立ち回りが楽になる。
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ただし、一部の武器は性能の強化ではなく性質そのものの変化が発生するため、そういった武器はあえて進化させないのも戦略の1つである。
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操作キャラの素の性能は「キャラ強化」による全キャラ共通の強化の他、1人を除いて「黄金の卵の入手」による個別強化も可能。ただし、黄金の卵は死神等の一部の強敵からしかドロップしない上にキャラクター毎に収集する必要がある上、ステージ内の商人からの購入もできるものの非常に高額なため、完全なやり込み要素となっている。
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尚、キャラ強化は無料でリセット可能。消費した金貨も戻ってくるため、好きなように振り直せる。
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アンロック条件はタイトル画面の「アンロック」の項目から確認可能。
該当条件を満たせば新キャラ・新武器・新アイテム・新ステージ・新機能といった要素の解放や、キャラ強化やプレアブルキャラの開放に使うための金貨の大量入手といった報酬が用意されている。
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新機能は「難易度調整に関わる項目の追加」「ポーズメニューにマップや進化手順のガイド等を追加」「特殊な効果を及ぼす”アルカナカード”が使用可能になる」といったゲーム体験やUIを拡張する要素が目白押しとなっている。
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ゲームプレイを通じて入手した金貨は「アンロック済みの操作キャラの使用権の開放」と「"キャラ強化"の項目で強化するパッシブ効果の追加及び強化」の他、「各ステージのフィールドに居る商人との取引」で使用する。貯めておける金貨の表示上の上限額は9999999だが、内部データ上はその値以上に貯めることが可能。
評価点
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価格に対してあまりにも濃密なボリューム
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本作最大の評価ポイント。
兎に角良い意味で価格とゲームの内容が釣り合っていないため、プレイしたユーザーからは
「もっとお金取っていい」「無料アプデいつまで続ける気だ」といった運営を心配する声が上がってしまうほど。
しかもスマホ版に至っては(広告が付くものの)ルカ・ガランテ氏の方針により
基本プレイ無料
である。
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具体的な数字を出すと、Ver.1.9.0時点でのプレアブルキャラ数は有料DLC抜きの状態でも圧巻の
43人
、DLC3つ込みの場合は
69人
にも上る上、ステージ数は抜きで16、込みで20。武器は通常・進化両方合わせて抜きで
61種
、込みで
102種
もの数が存在する。
本当に採算は取れているのだろうか
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簡単操作でド派手な展開
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時間が経過するごとに発生する敵の数も増えていき、レベルアップによる武器の強化で対抗していくのだが、うまく進めれば敵の数に負けじと攻撃もド派手になっていき、20分を越す頃には画面を覆い尽くすような敵に向かって画面を覆い尽くすような攻撃が飛び交うようになり、文字通り見ているだけでもアドレナリンが出る程の光景を楽しむことができる。
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宝箱入手時の
パチンコのような
過剰すぎる演出も本作の特徴である。
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シンプルながらも奥深いゲーム性
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操作キャラにはそれぞれ異なるステータス補正値と多種多様な特殊能力が割り振られており、当然ながらそれらの性能によって適切な武器ビルドも変わってくる。「レベルアップ時に特定の能力を強化」のようなパッシブ効果は勿論の事、「特定のレベルに上がるまで一部ステータスが大幅強化」「HPが著しく下がったときに効果を発揮」「所持武器欄には表示されない武器の所持」等の様々な能力を持つキャラクターが存在するため、単純な操作のゲームでありながら奥が深い。
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そんな点に加え、ステージ攻略中の「敵の密度が低い場所はどこか」「今の武器とアイテムの状態ならどう立ち回るべきか」「レベルアップ時の選択肢から何を選ぶべきか」といった判断が求められる緊張感と運要素、そして死亡してもまたすぐに挑戦できるお手軽なリプレイ性によって熱中するユーザーが続出した。
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良質なコラボDLC
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現状Among Usコラボのみの判断にはなってしまうものの、原作をしっかりとリスペクトする姿勢が伺える出来栄えになっている。
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例えば、ステージとして追加された「ポーラス レプリカ」では緊急タスクギミックが発生する。
他にも武器であれば、全武器中唯一運の低さが影響する武器「ラッキー・スワイプ」、最も高い攻撃力の敵を攻撃する「シャープ・タン」等、元ネタを考えると非常に上手く本作に取り入れられていると感心するばかりである。
……これ本当に249円で採算取れてるんですよね?
賛否両論点
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初期キャラが扱いにくい
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アントニオというキャラが最初の操作キャラなのだが、初期武器の鞭には敵をノックバックさせる効果があるものの、「左右の自分が向いている方の真横やや上辺りに攻撃判定を出す」という、本作の基本となる"縦横無尽に逃げる立ち回り"に当てはめると使いにくい性能をしているため、本作を始めたばかりのユーザーにはストレスが溜まる。
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しかし、扱いにくいからこそ本作の立ち回りの基礎を習得するためのトライ&エラーに繋がるのも事実であるため、そこさえ乗り越えれば一気に楽しくなる。
問題点
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長期的なキャラ追加の弊害
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早期アクセス版の公開以降多くのキャラが追加されてきた本作だが、一部のキャラが持つ特殊能力にシンプルな上位/下位互換の関係が生まれてしまっている。特に弾数増加系能力持ちのキャラで顕著。
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一部の翻訳が不十分か不自然
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度重なるアップデートにより改善されつつあるが、時折不自然な文章が目立つ。DLCキャラのミアンの能力説明文が分かり辛い、EXPジェムが「XPジェム」になっている等。
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ステージ内に設置されている武器とアイテム
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配置場所が遠く、かなり長時間の移動が必要。しかも、最初は機能がロックされている都合上配置場所もわからない。
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2分毎にステージ内のほぼ全ての物を自身の周囲にかき集めるアルカナ「狂乱の調べ」を使えば解決するが、使用可能になるまでは移動にストレスを感じやすい。
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ステージ攻略終盤の問題点
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終盤は大型の敵が大量に押し寄せる上、一部の武器は視認性を悪化させるため、何が起こっているのか把握できないまま死んでしまう事もしばしば。
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また、ゲームハードと武器の組み合わせと敵の量次第で処理落ちも発生し、壁抜けが発生することも日常茶飯事。
え?終盤は地形が見えないからむしろ壁抜け出来る方が良い?
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時間経過を倍速化する「お急ぎモード」があるが、案の定ロックされているため最初からは使用できない。
ビルド内容によっては全く動く必要がなくなってしまうため、本作に慣れてしまうと30分ステージの終盤で退屈になってしまう事も。
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リミットブレイクの欠点
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所持枠がすべて埋まった状態で所持している武器とアイテムのレベルが全てカンストした後にレベルアップした際の金貨orトリ肉が入手できなくなる代わりに、武器の性能を限界を超えて強化出来るようになる「リミットブレイク」という機能があるのだが、通常武器のまま強化した場合、進化時に強化がリセットされてしまう。
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封印システムの罠
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キャラ強化の項目で、タイトル画面にあるコレクションメニューから最大30個まで武器・アイテム・フィールドアイテムを選出・出現しないように設定できるようになるシステムなのだが、フィールドに落ちているのを入手した物や該当武器が初期武器のキャラはレベルアップさせられなくなるため、出撃しなおす必要がある。
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別にそれだけなら損が無いため問題ないのだが、封印したままであることに気付かずステージ内の商人でアルカナを購入したりした場合、所持金が消費した瞬間にセーブされる仕様のため損をしてしまう。
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残念ながらオンラインマルチ非対応。人数分のコントローラーを用意した上で顔を突き合わせて遊ぶ必要がある。
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持ってない友人が新たに購入する必要が無く、特にSwitch版はおすそ分けプレイに対応しているため、布教には持って来いなのが良いところか。
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仕方のないことだが、プラットフォームによってアップデートやDLCの配信時期にズレが生じている
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数か月の期間が開いてしまうため、最速でプレイしたいかネタバレを踏みたくないのであればPCで遊ぶ必要がある。
総評
インディーゲームであることを加味しても、たったのワンコインで購入できるとは到底思えないレベルの傑作。
移動のみという手軽な操作で派手な展開を楽しむ事ができるシンプルかつ、完成度の高いそのゲームシステムから数多くの「ヴァンサバ系」と呼ばれるフォロワーを生み、ローグライトと呼ばれるジャンルの代表的な作品となった。
今現在もアップデートや新DLCの開発が続いているため、時間に余裕のある未プレイユーザーは是非一度遊んでみてほしい。
余談
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タイトル画面等に映っているヴァンパイアは出てこない
(Ver. 1.9.0現在)
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一応本作の敵はそのヴァンパイアが率いている軍団という設定だが、作中でも「ヴァンパイアは別の棺だ」と言われるばかりで一切出てこない。タイトル/サムネ詐欺もいいところである。
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「ヴァンサバ系」と呼ばれるサブジャンルを形成した本作だが、その始祖となった作品は、2019年に配信された「Magic Survival」である。宝箱・多数の操作キャラ・30分耐久等、基礎的なシステムは本作と殆ど変わらない。開発者は「Magic Survival」から強いインスピレーションを受けており、リスペクトしている事を公言している。
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ゲーム好きなら一見して分かる通り世界観や各種アイテム、登場キャラは悪魔城ドラキュラシリーズの影響があからさまに大きい。
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PSNでの発売に合わせて悪魔城ドラキュラを製作・販売していたコナミとのコラボレーションによる追加コンテンツが配信される予定だが、タイトルは魂斗羅シリーズである。
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YouTubeのNintendo公式チャンネルに投稿された『よゐこのインディーでお宝探し生活4 第1回(外部リンク)』にて、本作が取り上げられた。
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動画内にて、出演者の濱口優氏が本作のタイトルを「ヴァンパイア
スルビボーズ
」と誤読したことから、それに倣って本作を「スルビボーズ」と呼ぶプレイヤーもいる。
最終更新:2024年04月30日 13:34