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*スーパーマリオサンシャイン 【すーぱーまりおさんしゃいん】 |ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B000065C92,image);| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|2002年7月19日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|3個&br;(メモリーカード使用ブロック数7)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|異色だが奥が深いポンプアクション&br()操作の複雑さも含め難易度が全体的に高い|~| |>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ・関連作品リンク>マリオシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ゲームキューブで発売されたマリオシリーズの正統派3Dアクション。名作と名高い『[[スーパーマリオ64]]』(以下前作、『64』)のシステムを踏襲した続編的作品でもある。 本作のテーマは「南国」。南国の観光地ドルピックタウンを舞台に、落書き犯の濡れ衣を着せられたマリオが名誉を回復するべく、新機軸の『ポンプアクション』を引っさげて縦横無尽に島を駆け巡る。~ **ストーリー バカンスでドルピック島を訪れたマリオとピーチ姫。~ しかし島全体がおかしな絵の具でラクガキされており、島は光の源「シャイン」を失って薄闇に包まれていた。~ マリオは覚えのない落書き行為の罪で逮捕されてしまい、無実を訴えるも裁判で有罪になってしまう。~ 罰として島の掃除をさせられる羽目になったマリオは、オヤ・マー博士が開発した「ポンプ」をパートナー代わりに、~ 島の掃除をしつつ真犯人を捜し出すことになったのだった。 **システム -基本システムやゲームの流れは前作『64』と同様。 --拠点であるドルピックタウンのあちこちにあるラクガキから様々なステージに進める。コースには複数の「ストーリー」((稀に「シーン」などと間違えている人がいるが、正しくは「ストーリー」))があり、ストーリーごとに手に入るシャイン(前作のスターにあたる)が異なる。また、拠点からアスレチックコースに挑むこともでき、こちらも異色である -新アクション「''ポンプアクション''」。 --「ノーマルノズル」を使えば、マリオが背中に背負ったポンプから放水できる。自由な方向に水を打ち出して、ラクガキを消したり、ラクガキから生まれた敵への攻撃に使用できる。 ---これまでのシリーズにはなかったTPS的な要素と言える。 ---操作によっては、放水しながら移動したり、回転しながら放水することで広範囲に水を散布できたりとアクションの幅は前作同様幅広く奥が深い。 --「ホバーノズル」を使うと、水を下向きに放水して空中を一定時間移動できる。 ---マリオの基本操作であるジャンプを補助するアクションと言える。 --他にもストーリーを進めると、高くジャンプできる「ロケットノズル」や高速で移動できる「ターボノズル」が使用可能になる。 --ポンプを使うには水を消費するので、島のあちこちにある水場や海で補充しなければならない。 --このようにポンプがメインとなっているため、本作はシリーズで珍しい「マリオが変身しない作品」となっている。 --ポンプアクションが従来作のアクションの代替的位置づけとなっているため、アクション面では幅跳びやパンチ・キックなどが廃止されており、敵への攻撃手段が若干減っている。 --ちなみにこのポンプ、制作者は『[[ルイージマンション]]』にも登場したオヤ・マー博士である。 -ヨッシーも使用可能。乗ることも可能な他、小さな敵を食べたり口からジュースを噴射して攻撃することもできる。 --しかし、一定の条件を満たした状態になるとドルピックタウンに現れる「タマゴを持ったニセマリオ」を追い詰めて捕らえなければヨッシーのタマゴ自体が出現せず、また乗るためには「タマゴが要求するフルーツを探してタマゴの側まで持ってくる」という若干面倒な手順を踏まねばならない。さらに水に落ちたり長時間何も食べさせないままにしておくと''バラバラに溶けて消滅してしまう''。 --これは''ドルピック島のヨッシーはラクガキから生まれた''という設定によるもの。なので他作品のヨッシーとは似て非なる物と思ってよい。 -今作では水中での空気の残量が体力とは別枠になった。 --前作では体力と同じ枠を使用していた為、水に飛び込むだけでマリオが全回復するという仕様がある。ポンプアクションという仕様上、水に飛び込むことが多々ある今作では問題となる仕様と判断されたのであろう。 **評価点 -''ステージ構成'' --堅実な作りと練り込まれた各アクションステージが健在。アスレチックなステージ、個性豊かな敵や登場人物など飽きさせない構成はさすがの一言に尽きる。 ---高いアクション性とパズル面もしっかり継承されており、やり込み要素や収集要素が多くなった。 -''ポンプアクション'' --操作はやや複雑で使いこなすには慣れが必要だが、放水による射撃や、ホバーによる空中制御など、テクニック次第ではマリオのアクションを大きく補助してくれる。 --水を登場人物に掛けると何らかのリアクションを取ってくれるのもまた面白い。 -''作り込まれたグラフィック'' --プラットフォームの移行に伴って、グラフィックの美麗さ・滑らかさはお墨付き。 --特にメインテーマでもある水の表現の美しさは現在の観点から見てもレベルが高い。 --観光地が舞台となっているだけに景観も非常にいい。他にもホームであるドルピックタウンの街並み、港、遊園地、避暑地など舞台も多く、南国気分が存分に味わえること請け合い。 -''カメラワークの自由度の高さ'' --これも特筆すべき事項の一つである。前述の通り、作り込まれたフィールドを自由に見まわせるのは大きなポイントと言える。アスレチック系のステージではこのカメラワークが最大限に生かされている。 -''BGM'' --南国の雰囲気にマッチした良曲揃い。勿論マリオシリーズお馴染みのテーマ曲やヨッシーに乗るとBGMが若干変化するといったファンサービスも。 -''シャイン集めの動機付け'' --本作では、シャインを集めるほどドルピック島の太陽の光が強くなる。薄暗い島が徐々に明るくなっていく他、おまけ要素としてマリオがサングラスをかけたりアロハシャツを着たりといった変化もあり、シャイン集めのモチベーションを高めてくれる。 --NPCとして各地に登場するモンテ族・マーレ族も個性の強い台詞が多い。どういう訳かシャインを隠し持っているモンテ族もいる。%%思わず「貴様!」と叫びたくなる事請け合いである。%% **賛否両論点 -''アクションの変化'' --『64』と比べるとアクション面での細々とした操作感の変化が大きく、「幅跳び」がなくなったことなどもあって、慣れないうちは「行ける所が少なくなった」「取り回しが不便になった」と感じやすい。水中ステージや、浮かぶオブジェクトの上に乗っての移動など、制御が非常に難しい操作を要求される場面が多い事も批判される一因となっている。 --前作の格闘アクションがなくなり、攻撃は基本的にポンプによる放水か踏みつけに限定された。旧マリオに回帰したと言えなくもないが、やはりパンチやキックが繰り出せなくなってしまったのは寂しいものがある。 --ただ、「幅跳び」以外の移動系アクションの変化については遠距離カメラワークによる相対的な面が大きい。キャラクターの身長を元にすれば本作の回転ジャンプは『64』のいかなるアクションより高いトンデモなジャンプ力であるし、濡れた状態での匍匐滑りやジャンプ→飛び込みの速度も遜色ない程に速い。慣れれば十分にスピーディな操作が可能である。 -''過去作の矛盾点や、これまでのマリオシリーズとは異なったデザイン'' --本作中盤のとあるイベントにおいて、クッパの息子という肩書きの''「クッパJr.」''というキャラが新登場し古参ファンを混乱させた。 ---本来、クッパの子供たちは『[[スーパーマリオブラザーズ3]]』で登場したコクッパ7人衆であったのだが、後に『[[New スーパーマリオブラザーズ Wii]]』で復活してJr.と共演した際に、肩書きが「クッパの手下」へと変更され、過去の設定はなかったことにされた。 --ギラギラと照りつける太陽の下でこれでもかと異物感を放つ毒々しい色の絵の具や、前述のヨッシーがバラバラに溶ける演出、引き千切ったイカの足(腕)がビチビチ跳ねる演出など、本作は南国という舞台に似合わぬブラックな雰囲気を漂わせている。 --シナリオの都合上仕方ないとはいえ、ピーチ姫らによる異議を認めず一方的に有罪を言い渡される冒頭の裁判シーンを始めとした、''冤罪を晴らす''というストーリーの根本自体も世界観の明るさと裏腹にシビア。最後までマリオの冤罪が明確に晴らされるような描写が見受けられないなどのフォロー不足も、人によっては気になる点だろう。 ---また、キーアイテムであるシャインは、いわば守り神のような存在でありドルピック島のシンボルになっているが、ドルピックタウンの狸が大量に持っていたりモンテの村の村長が所持していたりと、住民の守り神に対する扱いにツッコミが入っている。 --今作は南国という設定からか敵キャラにはオリジナルのものが多く、既存のものでもサンボやゲッソー、ワンワンと言った一部を除き全体的にデザインが変化している。 ---ボスパックンのようなその後派生作品に登場するようなキャラも、よだれやジト目の目立つテレサ、お腹にブツブツがあるプクプクなど全体的に賛否の割れる方向にリメイクされた敵キャラが目立つ。 **問題点 ''ステージの減少'' -『64』では全15ステージだったのに対して、本作は全7ステージ+ラストステージに減少。ラストステージを除く各ステージは8つのストーリー(シナリオ)に分けられており、そこに+αの要素などを含めると相当なボリュームになるため退屈する事はそうそうないが、それでも以前と比べると少々寂しい所もある。 --また舞台が南国の島ということで、ステージのシチュエーションが統一された。『64』の雪原やお化け屋敷など、様々なシチュエーションが用意されていたのに比べるとバリエーションの少なさを感じるかもしれない。 --ちなみに、過去作では『マリオワールド』でも同じくひとつの島が舞台であったが、此方は統一されたシチュエーションの中でも洞穴や橋、森などマンネリ化しない程度のバリエーションを確保できていた。 ''ステージの選択'' -前作ではステージ開始時に選択したシーン以外の「スター」(本作のシャインに相当)を取る事ができた((「やまのうえの ボムキング」のシーンを選択して「ワンワンの いぬごやで」のスターを取るなど))。 --しかし、本作は選んだストーリーとは別のストーリーのシャインは、一つの例外を除き((ビアンコヒルズのストーリー1を選択して、ストーリー2のシャインを取る事が可能。))正攻法では取得できなくなっている。 --従ってクリア順序は従来のマリオと同じ型に戻っており、「難しいステージはパスして別のシャインで穴埋め」といった攻略はできない。ゲームクリアには全てのステージでストーリー7までのクリアが必須となっている。 ''ヨッシーの仕様'' -ヨッシーが必要となる箇所が限定的で、かつ水中に入ったり空腹になると即座に消えてしまう。基本的に特定のギミックを解除するだけの存在となっており、連れ歩けないのが非常に惜しい。 -ポンプアクションと絡める必要があったとはいえ、口からジュースを出すというアクションも下品に感じるプレイヤーもいる。((もっとも他作品では食べた後のスイカの種を鼻から撃ったりもしているが…。)) //スイカの種を吐き出すことについては何も言われてないのですか? //ジュースそのものや確実に混じっている唾液の他(ゲージの形状やヨッシーのジュース放出時ボイス等からの連想だが)胃液etc色々混じってそうなのが「嘔吐」を髣髴とさせて「下品」と見られる原因なのかも。種はホラ、口に含んでも飲み込まずに吐くだけで、種以外に飛ばすブツは種に付着した少量の唾液位のものだろうから… //--最後のステージは他のステージにはない仕掛けやテクニックが必要になる。 //--前半はそこまで難しくはないのだが、問題は後半の部分。後半は泥船を操作する事になるのだが、これが上述したリーフボート同様に制御が非常に難しく、通常の船と同様1回でも障害物と接触すると沈んでしまう((こちらは溶岩上であるためミス確定))。さらに障害物と障害物の間が狭い通路もある。更に青コイン回収にも必要。 //↑泥舟はマーレのいりえで安全に練習可。 //---余談だが、このステージをクリアすると本作のラスボスと対決することになる。しかしシチュエーションや攻略方法がかなり異質な為ここでもマリオファンから不評を受けてしまった。 //↑ソースは? 全体はともかくクッパ戦のみで「マリオファン総意で」不評という声は見た事がないが ***全体的な難易度の高さ 本作は通常のクリア、フルコンプリートの両面で難易度が高い。減少したステージ数などに反し、その難易度や密度はかなりのもの。~ 単純な難易度だけなら『64』や次作『ギャラクシー』と比べても比較にならないと言われる程。 -まず通常のゲームクリアについてだが、本作では全ステージのストーリー7をクリアする事がラストステージの出現条件になっている。 --基本的にストーリーは1から順番にクリアする事になるが、各所に難易度が高いストーリーが組み込まれているため、どこか一か所でも躓くと先に進めなくなる。また、ストーリーの難易度は段階的に増えるのではなく、序盤から高難易度のストーリーが配置されていたり、後半に明らかに易しすぎる難易度が配置されていたりとバランスが悪く、突然の高難易度ストーリーで挫折の憂き目に遭ったプレイヤーは数知れず。エンディングを迎えるだけでも相当な力量を要求される。 --高難易度ストーリーに共通するのは繊細な操作を要求される事に加え、時間制限付き(タイムオーバーで強制1ミス)、即死系、長丁場といった具合。どれか一つならまだ許容できようが、2つ組み合わさる…例えば即死と長丁場が組み合わさるとリトライする気力も失いかねない。 #region(通常クリアを阻む高難易度ストーリー例) -「リコハーバー」 --2つ目に解禁されるステージでありながらイカ型サーフィンボードや細い足場・金網を伝って移動するステージ構成が高難易度。 ---特に常時猛スピードで前進する停止・離脱不可能なイカサーフィンは相当な力量が必要。イカには三種類あるが、色によって性能が異なり、''旋回性能の悪いイカを引いてしまうとその時点でクリアは絶望的''。更にジャンプや回避のタイミングを間違えて障害物や壁に触れると1ミスになる。 ---後半ストーリーの「すいじょうのあかコイン」ではこのイカに乗りながら海上の障害物を避け、''時間制限付きの赤コイン''を集めなければならず、おまけに8枚集めた後は陸上に出現するシャインをイカに乗ったまま入手しなければならない。 -「ピンナパーク」 --ジェットコースターに乗って''シューティング''を行うシーンが2回存在しており、そのどちらも難易度が高い。射撃の照準がなく、慣れるまでは標的を狙うだけでも一苦労。しかもコースターのレールに回転が多く、3D酔いしやすいプレイヤーには相当厳しい。 ---ちなみに2回目の「ジェットコースターでフーセンわり」は3周するまでにシューティングで風船を全て割る必要がある。こちらはストーリー8扱いなので、ゲームクリアを目指すだけなら攻略必須ではないのがせめてもの良心というべきか。 -「シレナビーチ」 --最初のストーリー「ふしぎせいぶつ マンタ しゅうらい!」で登場するボス敵「マンタ」戦を皮切りに、謎解きやヒミツ系コースの難易度も一気に激増。 ---マンタ戦は広範囲への放水操作を活用できないとあっという間に追い詰められてしまう。とはいえ木陰や小屋といった屋根の真下が安全地帯である他、ショットガン放水に慣れていればそこまで理不尽な難易度ではない。 ---しかしマンタを突破しても、その後は進入路にやや手間取る上に即死系かつ長丁場の「ホテルのロビーのヒミツ」、ヒントなしに長時間手探りで隠れた侵入ルートを探す必要がある「めいきゅうホテル デルフィーノ」と続く。逆に後半ストーリーは前半と比べて(簡単とは言えないが)明らかに平易で、このステージは特にストーリーの難易度バランスが取れていない。 -「モンテのむら」 --通常ステージでは最後の解禁だけあって難易度の高さはおかしくはないが、それでもストーリー3の「ほのおのなか そんちょうはどこだ?」は強烈。ここでは開始直後にニセマリオにポンプを盗まれ、村の一角に投げ捨てられてしまうため、途中まではポンプを使用できない。その上触れるとダメージを受ける燃える泥が村中を覆っているため村を自由に歩くことはできず、正攻法で攻略する場合は村の地下エリアに張り巡らされた金網部分を移動することになる。地下エリアで足場を踏み外せば即死確定な上、金網部分の移動やそこのギミックも難易度が高く、クリアとは関係ないハズレのルートが各所にあるなど特に難しい。 --このストーリーに関しては''正規ルートを探す時点で困難''という有り様で、水場付近から回転ジャンプでショートカットする((水に触れた後一定時間内にマリオを回転させると狭い範囲に放水と同じ効果が出るので、ある程度道を作る事が出来る。))のが正規ルートと勘違いしたプレイヤーも少なくない。 -「ヒミツ系ストーリー」 --各ステージには「~のヒミツ」というストーリーが必ず存在する。ここでは一度クリアするまではポンプをニセマリオに奪われて使用を封じられ、ポンプアクション禁止縛りで様々なギミックがちりばめられた一本道を走破する。だが、これらは''狭い足場に加え、コース外が奈落''であり、そのステージにおける他のストーリーと比べても高い難易度となっている。 --どのステージでもギミックの内容はステージ外にはじき出したり落としたりするものが殆どであり、僅かでも操作ミスすると大抵の場合1発でアウト。安全な場所も細長くて狭いことが多い為慌てるとうっかりステージ外に転落する事も少なくない。何度もミスして最初からやり直しながら覚える所謂「死にゲー」要素が極めて強い。コース内を歩いているモンテ族の男に''投げてもらって先に進む''など変わった攻略方法が必要なステージもあり、一筋縄ではいかない。 --中でもピンナパークの「ヨッシーゴーランドのヒミツ」、シレナビーチの「ホテルのロビーのヒミツ」、マーレのいりえの「かいのなかのヒミツ」の3つは取り分け高い難易度を誇っている。いずれも長丁場なのが特徴で、ワンミスで最初からやり直しになるのが非常に厳しい。 ---ヨッシーゴーランドのヒミツは様々な色の移動ブロックを渡りながら先に進む必要がある。 ---ホテルのロビーのヒミツはカベキックから始まり、数秒で崩れる小さな砂ブロック上を駆け抜ける地帯が鬼門。ルートに曲がりが存在する上、砂ブロックは崩れ始めると高度が下がって段差が生まれ、次の砂ブロック端に捕まる動作が発生してしまう(当然捕まった砂ブロックも崩れ始める)。全速力かつ場合によっては視点を変えながら細いルートを走り抜けねばならない。 ---かいのなかのヒミツはこれまでの総合的なアクションの集大成といった趣で、連続「斜め」カベキックをマスターするまで幾人のマリオが奈落へ吸い込まれる事になる。 --幸い、ヒミツ系コースには複数の1UPキノコが用意されているため、それなりに操作できればゲームオーバーになることはない。…のだが、逆に「クリアできないまま残機が増え続ける」という事態になることも。 --「カジノ デルフィーノのヒミツ」はステージ難易度自体は易しい方だが、入るまでがかなり面倒。カジノの全てのスロットを放水して777に合わせるとシャインの絵が付いた絵合わせパネルが出てきて、これを放水して揃えることでようやく入り口が出て来る。この絵合わせパネルが曲者で、目標にめがけて放水しても、リアルな水の挙動で違う場所のパネルが動いてしまったり、放水跡が水が当たったと誤認して勝手にパネルが動く、突如高速回転したかと思えば最終的にはひっくり返らず裏のまま止まる、といったストレスが溜まる挙動をする。苦労してようやくパネルを合わせてからのヒミツコースはかなり萎えてしまう。 --一度クリアした後はポンプが解禁されるが、2個目のシャインは時間制限付きの赤コイン8枚集め。詳しくは後述。 #endregion -続いてゲームクリア後の難易度について。~ 率直に、''通常のクリアで四苦八苦したプレイヤーではフルコンプリートを目指すべきではない''と言い切れる地獄のような難易度が待ち受ける。 --''隠しステージ攻略やアイテム収集の難易度は鬼畜、理不尽を極めており、よほどのゲーマーであっても(少なくとも攻略情報抜きでは)シャインコンプリートはほぼ不可能''。 --前述したヒミツ系ストーリーの2個目のシャインはすべて制限時間付き赤コインが追加され、厳しい時間制限と共に嫌らしい配置や時間制限の厳しい配置でプレイヤーを苦しめる。1周目では通らなかったルートに赤コインが配置されている事も多く、そもそもの難易度も全体的に高めなので、此方でも何度も失敗を繰り返し、ステージギミックに慣れながらルートを少しずつ構築していかねばならない。 -''特殊ステージ'' --各ステージのペイントシンボルからの侵入ではなく、ドルピックタウン内の特定のシンボルに入る事で行ける、ヒミツ系コースの発展系の隠しアスレチックコースが幾つか存在している。~ その中で問題となるのは「パチンコ」をモチーフにしたステージと、通称「毒の川下り」の二つ。この二つのアスレチックコースは他の難ステージすらも可愛く見える程の超凶悪な難易度で、多くのプレイヤーを絶望に追いやった。 --「パチンコ」はマリオ自体が玉となって特定のチャッカーにある赤コインめがけて移動するというもの。 ---シューターによるジャンプで一番上から落ちる仕組みになっており、その勢いが強すぎるせいでホバーによる制御が難しい((足場として釘の上に乗ることができるが、ここからジャンプする際になぜか勢いよく加速してしまうこともある。))。ただでさえ移動が難しいにも拘らず、どのチャッカーにも入れずに一番下まで落ちると''強制的にステージ外へと落とされ一発アウト''。1度でも失敗したら最初からやり直し確定なのである。 ---ステージの構造から察したプレイヤーも多いだろうが、シャインが出てくる場所も入り口の狭いチャッカーでくくられた部屋の中のため、最後まで気が抜ける場面が存在しない。 ---赤コインの内3枚は簡単に手に入る事と、シューターから打ち出される際に何も操作しなければ、必ず同じ場所(ただし細いピンの上ではあるが)に着地するようになっているのだが、射出時にかかる横方向への影響がそのまま残り続けるバグがあり、ピンから射出側へジャンプする・降りようとすると反対方向へ吹き飛ばされる。 --「毒の川下り」はコース入り口に到達する事すらテクニックを要する((ヨッシーを連れて西の小島まで下水道を通って移動し、そこから船に乗って移動しなければならない。その船も途中にある櫓を経由して乗り継ぎもしなければならない。この船に乗る時間が長いうえに、海に落ちたらヨッシーが溶けて最初からやり直しになるのでかなり手間がかかる。なお多少のテクニックがあれば中継点の櫓に直接マンホールジャンプから到達できる))。入り口までの道のりでさえ他の難関ステージに匹敵する難度だというのに、その先のアスレチックコースは間違いなく本作最高の極悪難度を誇っている。 ---内容は時間経過や僅かな壁との接触で崩壊するリーフボートに乗って川下りをしながら赤コインを集めるというもの。…なのだが、通常のリーフボート操作の難易度の高さに加えて、''後戻り不可の急流が常にかかり、カーブ中の制御が恐ろしく難しい。'' ---''水に触れただけで一発アウト''、故に''コインを1枚でも逃したらやり直し確定''、赤コインの内1枚は''リーフボート上でのジャンプが必要''、川の外側は''奈落''(縁を歩くことは可能だがそんな状況では赤コインを取る事はほぼ不可能)、''ドカンの罠''((入ったらミスしてもコースの最初からやり直しができるのではなく、ドルピックタウンに戻されてしまう。))等々、アクションゲームが得意なプレイヤーでさえ降参する程の無茶苦茶な難易度と化している。[[→参考画像>https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%B3+%E6%AF%92%E3%81%AE%E5%B7%9D&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjQ89XIkbrJAhVIj5QKHbEeDHYQ_AUICSgC&biw=1009&bih=556]] ---通称の通り川の水は毒になっているらしいが、見た目は普通に透明で毒々しさはない。始まってすぐの場所にドクロのマークが描かれた看板があるため、初見殺しにはなっていないが、やや不親切で人によっては気づけないこともある。 ---実はとある操作をすると川底を歩けるようになり、水面の赤コインなら川底からジャンプするだけで入手できる。~ ただし、その状態になると水面より上には戻れない((水面をハイジャンプ等で突き抜けると即死する。))ので意味はないが… ''青コイン''~ -街やステージのあちこちに配置または隠されている収集要素。通常クリアを目指すだけなら1枚も必要ないのだが、この青コインを''10枚集めるとシャイン1つと交換できる''ため、''シャインをコンプリートするには必然的に青コインもコンプリートしなければならない。'' --そしてこの青コイン、兎にも角にもその数が非常に多い。見える形で存在するものや、ニセマリオの落書きを消すなど分かりやすいヒントが存在するコインが多数ある一方、特定の箇所に水をかける(又はかけ続ける)、特定の敵を倒すなどノーヒントのものも相当な枚数に上る。~ 基本的に手探りかつ手当たり次第に探さねばならず、しかもステージによっては特定のシーンでしか入手できないものまで存在するため、''攻略情報無しで青コインを全て見つけ出すのはほぼ不可能''。シャインのコンプリートを阻む最大の要因となっている。 ---中でも、ステージを飛び回る青い小鳥に放水し続ける事でドロップするもの、チョウの群れの中の青いチョウやハチの大群をヨッシーで食べる事でドロップするタイプは対象が小さく見つけにくい。発見しても移動周期やパターンに気付けないと入手は困難。 ---複雑な構造をしている場所に隠されているマーレのいりえ、シーン別で差が大きいシレナビーチ等が特に難易度が高い。 -「ペアの落書き」による青コインも人によっては困難である。これは同じマークの落書きが2か所用意されており、A地点の落書きを消すとB地点に青コインが出て、B地点の落書きを消すとA地点に青コインが出る、というもの。 --このタイプの青コインは時間制限付きであり、対となる落書きから青コインが出現する。再挑戦は容易なのでまだ楽な部類だが、制限時間はかなりシビアに設定されており、特に中盤以降のステージでは操作に熟達しても割とギリギリ。また、片方の落書きをクリアするともう片方の落書きは消えてしまう(つまりクリアした落書きの場所も覚えておかないと対の落書きの青コイン出現位置を見失う)のも地味に厄介。青コイン出現時は一時的に周辺の視点に切り替わるが、ホテル・デルフィーノなどはこれがなくノーヒントで、時間も厳しいためかなり難しい。 //-ラストステージの「コロナマウンテン」にある9枚の青コインは、マグマの上をドロ船に乗って取らなくてはならない。 //--青コインの付近に安全地帯はなく、泥船は壁にぶつかったらすぐに沈んでしまう。そして今作のマグマは落ちたら一発アウトという極悪な仕様になっている。 //--船の舵はポンプによる放水で地道に調整するしかなく、小回りが利きにくい。どうしても船の操作に慣れないなら、いっそ大量のマリオを犠牲にしてでも青コインに向かってホバー移動するのを繰り返す方が早いかもしれない。 -ステージごとの獲得枚数こそ確認できるものの、ステージ中のどの青コインが獲得済みなのかまでは分からない。たとえ攻略本やサイトを見ても、既にどの青コインを取得しているか記憶に無いと虱潰しに探す破目に陥る。収集要素のシステムでありながら、独自にメモを取る必要に迫られる点はさすがに不親切と断じられても仕方がない。 --ちなみに全240枚。ドルピックタウンに20枚((エアポートとドルピックタウンは同一マップ扱い))、最終ステージに10枚、7つのステージに各30枚ずつ存在する。 **総評 マリオシリーズの中では屈指の高難易度として名高い『2』にも匹敵する本作。~ ストーリーや設定面でも賛否を呼ぶ要素があり、その癖の強さゆえに人を選ぶゲームデザインとなっている事は否めない。~ しかしながら、問題点の筆頭である難易度には魅了されたプレイヤーもまた多く、粗削りなゲームとは一線を画している事も事実である。~ 万人に勧められる作品とは言えないが、ゲーム自体は致命的なバグは少なく、各所の作り込みも丁寧であり、総合的には十分に良作と呼べる作品である。~ 『64』や『ギャラクシー』をやり尽くした、又はあえて高い難易度に挑みたい往年のマリオファンには十分に応えてくれるだろう。~ **余談 -任天堂は本作に寄せられた評価を基に、ここから先の方向性を「誰でもクリアできる(高難易度面は終盤以外は隠しステージに集中させる)」「ストーリーなどは『マリオらしい』展開にする」という方向性を固めたらしく、以降3Dマリオシリーズはステージクリア型の形式への回帰に舵を切ることとなる。 --宮本氏いわく、「3D『箱庭』は[[ゼルダシリーズ>ゼルダの伝説シリーズ]]に任せる」とのことであったのだが、『64』や本作のような「箱庭をジャンプ・ダッシュ等の直感的なアクションで自由に駆け回る」楽しさに魅せられたプレイヤーも一定数存在しており、そうしたプレイヤー達の受け皿となる作品が(少なくとも『64DS』以降の任天堂作品においては)存在しないという状況を惜しむ声も多かった。 --結果的に、箱庭系の3Dマリオ作品の新作は2017年の『[[スーパーマリオ オデッセイ]]』の発売まで15年間もの空白が空くことになった。 -当時任天堂はGCを「ドルフィン」というコードネームで開発しており、最終的に「ゲームキューブ」に改名されるまで公でも長らくこの名前が使われていた。本作のイルカ形の島である舞台「ドルピック島」からは様々な憶測ができる。 -本作の制作において、任天堂公式ホームページ内で「マリオのために何ができるか?」と題して宣伝広報部員の募集イベントが行われた。 --優秀賞受賞者には宮本氏含むマリオシリーズの制作スタッフとの京都での食事会招待が、落選者には本作のソフトが商品として贈られた。 -問題点の項で「青コインを全て見つけ出すのは''ほぼ''不可能」とした通り、ごく僅かにだが自力コンプリートした恐るべき猛者もいる。 --青コインを除く全てのシャイン入手までなら自力達成できたというプレイヤー((この時点で、FCDマリオ2など他の高難易度アクション作品をコンプリートできるヘビーユーザーであるとは思われるが。))の間でも膨大な数の青コインを全て見つけるのは非常に難しかったらしく、青コインを含めた全コンプリートはまさに畏怖の対象であったようである。 -コクッパの設定変遷に関連して、『[[ドンキーコング]]』でマリオの恋人だったポリーン(レディ)は、『[[マリオvs.ドンキーコング2 ミニミニ大行進!]]』で再登場した際、マリオの友達という肩書きになっていた。 --ただし、こちらは[[ゲームボーイ版>ドンキーコング (GB)]]にて、(公式設定かは不明だが)「キノコ王国に辿り着いたマリオがポリーンからピーチに乗り換えた」というスタッフのインタビューが存在する。 -ゲーマガの読者イラストコーナーには『キン肉マン』のキャラである「サンシャイン」と合体したようなマリオのネタ絵が定期的に届いたとか。 -ポンプは『[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]』以降のスマブラシリーズでマリオの使う下必殺技に追加された。 --ダメージは与えられないが、当たった敵を向こうに押し出すというテクニカルな性能を持つ。 -前作『マリオ64』程ではないが、本作でもタイムアタック等のやりこみが行われている。 --各コースでストーリー7をクリアしなければならない都合上シャイン0枚クリアは不可能となっている上に「ケツワープ」等のぶっ飛んだテクニックも没収されてしまった…かと思いきや、やりこみ勢によって「移動系のノズルで速度を溜めて、一気に放出する」という、まさにサンシャイン版ケツワープとでも呼ぶべきテクニックが発見されてしまった。 ---特に猛威を振るうのはロケットノズル入手後。溜まった速度を一気に放出し、自由落下するよりも早く上昇移動する様は紛う事無き''“上に落ちる変態”''。100%クリアは勿論、シャイン最小枚数でのクリアを目指す場合でもラストステージで活用の機会があるそうな。 --バグに近い挙動だが、ポリゴン抜けでいきなりとあるステージのストーリー8をクリアしてしまったり、ピンナパークのストーリー5を飛ばして「ヨッシーゴーランドのヒミツ」のシャインを入手((やり方は二通り存在しているが、どちらも紫色のジュースで敵を固めた足場を利用する。通称「Early Yoshi Goround(EYG)」))してしまったりといったテクニックまで見つかってしまった。~ …そのうちシャイン0枚クリアもあっさり成し遂げられてしまうのではなかろうか。 -どういう訳か一部コミュニティにおいてピンナパークのストーリー4における空耳がネタにされる事が多く、特にニコニコ動画にアップされたプレイ動画では「弾幕」化しているケースが多々見られる。''オォウwwwwwマッサラデスwwwwww'' -Wiiソフト『[[おどる メイド イン ワリオ]]』のナインボルトステージに本作のミニゲームが登場する。 --内容はポンプで消火するアクション。BGMも再現されている。 -「水を発射して街を綺麗にする」アクションがキモである本作だが、後に任天堂は「インクを発射して街を塗りたくる」という本作のコンセプトを逆にしたようなゲーム『[[Splatoon]]』を世に送り出す((もっとも、あくまでその一点が比較対象になるだけで、ゲームとしては両作品は全く違うジャンルである))。当然『Splatoon』の発表当初から本作との比較やコラボネタが流行したが、「[[社長が訊く>https://www.nintendo.co.jp/wiiu/interview/agmj/vol1/index2.html]]」によれば『Splatoon』の開発スタッフは本作を全く覚えておらず、ゲームがほぼ完成した段階で「そういえばマリオサンシャインとかぶっている」と気づいたらしい。 -2020年9月18日、本作と『64』『ギャラクシー』が収録された、Nintendo Switchでオムニバスソフト『スーパーマリオ3Dコレクション』が発売。 --『64』と『ギャラクシー』と違い一切移植がなかったため、発売から18年越しの初移植となった。 --主な変更点はゲーム画面のワイド化、レターボックス前提のプリレンダムービーのクリッピング((発売当時の時点で上下の黒帯が表示されてるがSwitch版のみ黒帯を隠したズーム画面に変更。))、サウンドテストの収録。 --ちなみに収録されている本作は一部効果音の変更やBGMの追加、カメラ操作が原作のリバース操作からノーマル操作に変更されている等の点から、海外版ベースと思われる。
*スーパーマリオサンシャイン 【すーぱーまりおさんしゃいん】 |ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B000065C92,image);| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|2002年7月19日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|3個&br;(メモリーカード使用ブロック数7)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|異色だが奥が深いポンプアクション&br()操作の複雑さも含め難易度が全体的に高い|~| |>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ・関連作品リンク>マリオシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ゲームキューブで発売されたマリオシリーズの正統派3Dアクション。名作と名高い『[[スーパーマリオ64]]』(以下前作、『64』)のシステムを踏襲した続編的作品でもある。 本作のテーマは「南国」。南国の観光地ドルピックタウンを舞台に、落書き犯の濡れ衣を着せられたマリオが名誉を回復するべく、新機軸の『ポンプアクション』を引っさげて縦横無尽に島を駆け巡る。~ **ストーリー バカンスでドルピック島を訪れたマリオとピーチ姫。~ しかし島全体がおかしな絵の具でラクガキされており、島は光の源「シャイン」を失って薄闇に包まれていた。~ マリオは覚えのない落書き行為の罪で逮捕されてしまい、無実を訴えるも裁判で有罪になってしまう。~ 罰として島の掃除をさせられる羽目になったマリオは、オヤ・マー博士が開発した「ポンプ」をパートナー代わりに、~ 島の掃除をしつつ真犯人を捜し出すことになったのだった。 **システム -基本システムやゲームの流れは前作『64』と同様。 --拠点であるドルピックタウンのあちこちにあるラクガキから様々なステージに進める。コースには複数の「ストーリー」((稀に「シーン」などと間違えている人がいるが、正しくは「ストーリー」))があり、ストーリーごとに手に入るシャイン(前作のスターにあたる)が異なる。また、拠点からアスレチックコースに挑むこともでき、こちらも異色である -新アクション「''ポンプアクション''」。 --「ノーマルノズル」を使えば、マリオが背中に背負ったポンプから放水できる。自由な方向に水を打ち出して、ラクガキを消したり、ラクガキから生まれた敵への攻撃に使用できる。 ---これまでのシリーズにはなかったTPS的な要素と言える。 ---操作によっては、放水しながら移動したり、回転しながら放水することで広範囲に水を散布できたりとアクションの幅は前作同様幅広く奥が深い。 --「ホバーノズル」を使うと、水を下向きに放水して空中を一定時間移動できる。 ---マリオの基本操作であるジャンプを補助するアクションと言える。 --他にもストーリーを進めると、高くジャンプできる「ロケットノズル」や高速で移動できる「ターボノズル」が使用可能になる。 --ポンプを使うには水を消費するので、島のあちこちにある水場や海で補充しなければならない。 --このようにポンプがメインとなっているため、本作はシリーズで珍しい「マリオが変身しない作品」となっている。 --ポンプアクションが従来作のアクションの代替的位置づけとなっているため、アクション面では幅跳びやパンチ・キックなどが廃止されており、敵への攻撃手段が若干減っている。 --ちなみにこのポンプ、制作者は『[[ルイージマンション]]』にも登場したオヤ・マー博士である。 -ヨッシーも使用可能。乗ることも可能な他、小さな敵を食べたり口からジュースを噴射して攻撃することもできる。 --しかし、一定の条件を満たした状態になるとドルピックタウンに現れる「タマゴを持ったニセマリオ」を追い詰めて捕らえなければヨッシーのタマゴ自体が出現せず、また乗るためには「タマゴが要求するフルーツを探してタマゴの側まで持ってくる」という若干面倒な手順を踏まねばならない。さらに水に落ちたり長時間何も食べさせないままにしておくと''バラバラに溶けて消滅してしまう''。 --これは''ドルピック島のヨッシーはラクガキから生まれた''という設定によるもの。なので他作品のヨッシーとは似て非なる物と思ってよい。 -今作では水中での空気の残量が体力とは別枠になった。 --前作では体力と同じ枠を使用していた為、水に飛び込むだけでマリオが全回復するという仕様がある。ポンプアクションという仕様上、水に飛び込むことが多々ある今作では問題となる仕様と判断されたのであろう。 **評価点 -''ステージ構成'' --堅実な作りと練り込まれた各アクションステージが健在。アスレチックなステージ、個性豊かな敵や登場人物など飽きさせない構成はさすがの一言に尽きる。 ---高いアクション性とパズル面もしっかり継承されており、やり込み要素や収集要素が多くなった。 -''ポンプアクション'' --操作はやや複雑で使いこなすには慣れが必要だが、放水による射撃や、ホバーによる空中制御など、テクニック次第ではマリオのアクションを大きく補助してくれる。 --水を登場人物に掛けると何らかのリアクションを取ってくれるのもまた面白い。 -''作り込まれたグラフィック'' --プラットフォームの移行に伴って、グラフィックの美麗さ・滑らかさはお墨付き。 --特にメインテーマでもある水の表現の美しさは現在の観点から見てもレベルが高い。 --観光地が舞台となっているだけに景観も非常にいい。他にもホームであるドルピックタウンの街並み、港、遊園地、避暑地など舞台も多く、南国気分が存分に味わえること請け合い。 -''カメラワークの自由度の高さ'' --これも特筆すべき事項の一つである。前述の通り、作り込まれたフィールドを自由に見まわせるのは大きなポイントと言える。アスレチック系のステージではこのカメラワークが最大限に生かされている。 -''BGM'' --南国の雰囲気にマッチした良曲揃い。勿論マリオシリーズお馴染みのテーマ曲やヨッシーに乗るとBGMが若干変化するといったファンサービスも。 -''シャイン集めの動機付け'' --本作では、シャインを集めるほどドルピック島の太陽の光が強くなる。薄暗い島が徐々に明るくなっていく他、おまけ要素としてマリオがサングラスをかけたりアロハシャツを着たりといった変化もあり、シャイン集めのモチベーションを高めてくれる。 --NPCとして各地に登場するモンテ族・マーレ族も個性の強い台詞が多い。どういう訳かシャインを隠し持っているモンテ族もいる。%%思わず「貴様!」と叫びたくなる事請け合いである。%% **賛否両論点 -''アクションの変化'' --『64』と比べるとアクション面での細々とした操作感の変化が大きく、「幅跳び」がなくなったことなどもあって、慣れないうちは「行ける所が少なくなった」「取り回しが不便になった」と感じやすい。水中ステージや、浮かぶオブジェクトの上に乗っての移動など、制御が非常に難しい操作を要求される場面が多い事も批判される一因となっている。 --前作の格闘アクションがなくなり、攻撃は基本的にポンプによる放水か踏みつけに限定された。旧マリオに回帰したと言えなくもないが、やはりパンチやキックが繰り出せなくなってしまったのは寂しいものがある。 --ただ、「幅跳び」以外の移動系アクションの変化については遠距離カメラワークによる相対的な面が大きい。キャラクターの身長を元にすれば本作の回転ジャンプは『64』のいかなるアクションより高いトンデモなジャンプ力であるし、濡れた状態での匍匐滑りやジャンプ→飛び込みの速度も遜色ない程に速い。慣れれば十分にスピーディな操作が可能である。 -''過去作の矛盾点や、これまでのマリオシリーズとは異なったデザイン'' --本作中盤のとあるイベントにおいて、クッパの息子という肩書きの''「クッパJr.」''というキャラが新登場し古参ファンを混乱させた。 ---本来、クッパの子供たちは『[[スーパーマリオブラザーズ3]]』で登場したコクッパ7人衆であったのだが、後に『[[New スーパーマリオブラザーズ Wii]]』で復活してJr.と共演した際に、肩書きが「クッパの手下」へと変更され、過去の設定はなかったことにされた。 --ギラギラと照りつける太陽の下でこれでもかと異物感を放つ毒々しい色の絵の具や、前述のヨッシーがバラバラに溶ける演出、引き千切ったイカの足(腕)がビチビチ跳ねる演出など、本作は南国という舞台に似合わぬブラックな雰囲気を漂わせている。 --シナリオの都合上仕方ないとはいえ、ピーチ姫らによる異議を認めず一方的に有罪を言い渡される冒頭の裁判シーンを始めとした、''冤罪を晴らす''というストーリーの根本自体も世界観の明るさと裏腹にシビア。最後までマリオの冤罪が明確に晴らされるような描写が見受けられないなどのフォロー不足も、人によっては気になる点だろう。 ---また、キーアイテムであるシャインは、いわば守り神のような存在でありドルピック島のシンボルになっているが、ドルピックタウンの狸が大量に持っていたりモンテの村の村長が所持していたりと、住民の守り神に対する扱いにツッコミが入っている。 --今作は南国という設定からか敵キャラにはオリジナルのものが多く、既存のものでもサンボやゲッソー、ワンワンと言った一部を除き全体的にデザインが変化している。 ---ボスパックンのようなその後派生作品に登場するようなキャラも、よだれやジト目の目立つテレサ、お腹にブツブツがあるプクプクなど全体的に賛否の割れる方向にリメイクされた敵キャラが目立つ。 **問題点 ''ステージの減少'' -『64』では全15ステージだったのに対して、本作は全7ステージ+ラストステージに減少。ラストステージを除く各ステージは8つのストーリー(シナリオ)に分けられており、そこに+αの要素などを含めると相当なボリュームになるため退屈する事はそうそうないが、それでも以前と比べると少々寂しい所もある。 --また舞台が南国の島ということで、ステージのシチュエーションが統一された。『64』の雪原やお化け屋敷など、様々なシチュエーションが用意されていたのに比べるとバリエーションの少なさを感じるかもしれない。 --ちなみに、過去作では『マリオワールド』でも同じくひとつの島が舞台であったが、此方は統一されたシチュエーションの中でも洞穴や橋、森などマンネリ化しない程度のバリエーションを確保できていた。 ''ステージの選択'' -前作ではステージ開始時に選択したシーン以外の「スター」(本作のシャインに相当)を取る事ができた((「やまのうえの ボムキング」のシーンを選択して「ワンワンの いぬごやで」のスターを取るなど))。 --しかし、本作は選んだストーリーとは別のストーリーのシャインは、一つの例外を除き((ビアンコヒルズのストーリー1を選択して、ストーリー2のシャインを取る事が可能。))正攻法では取得できなくなっている。 --従ってクリア順序は従来のマリオと同じ型に戻っており、「難しいステージはパスして別のシャインで穴埋め」といった攻略はできない。ゲームクリアには全てのステージでストーリー7までのクリアが必須となっている。 ''ヨッシーの仕様'' -ヨッシーが必要となる箇所が限定的で、かつ水中に入ったり空腹になると即座に消えてしまう。基本的に特定のギミックを解除するだけの存在となっており、連れ歩けないのが非常に惜しい。 -ポンプアクションと絡める必要があったとはいえ、口からジュースを出すというアクションも下品に感じるプレイヤーもいる。((もっとも他作品では食べた後のスイカの種を鼻から撃ったりもしているが…。)) //スイカの種を吐き出すことについては何も言われてないのですか? //ジュースそのものや確実に混じっている唾液の他(ゲージの形状やヨッシーのジュース放出時ボイス等からの連想だが)胃液etc色々混じってそうなのが「嘔吐」を髣髴とさせて「下品」と見られる原因なのかも。種はホラ、口に含んでも飲み込まずに吐くだけで、種以外に飛ばすブツは種に付着した少量の唾液位のものだろうから… //--最後のステージは他のステージにはない仕掛けやテクニックが必要になる。 //--前半はそこまで難しくはないのだが、問題は後半の部分。後半は泥船を操作する事になるのだが、これが上述したリーフボート同様に制御が非常に難しく、通常の船と同様1回でも障害物と接触すると沈んでしまう((こちらは溶岩上であるためミス確定))。さらに障害物と障害物の間が狭い通路もある。更に青コイン回収にも必要。 //↑泥舟はマーレのいりえで安全に練習可。 //---余談だが、このステージをクリアすると本作のラスボスと対決することになる。しかしシチュエーションや攻略方法がかなり異質な為ここでもマリオファンから不評を受けてしまった。 //↑ソースは? 全体はともかくクッパ戦のみで「マリオファン総意で」不評という声は見た事がないが ***全体的な難易度の高さ 本作は通常のクリア、フルコンプリートの両面で難易度が高い。減少したステージ数などに反し、その難易度や密度はかなりのもの。~ 単純な難易度だけなら『64』や次作『ギャラクシー』と比べても比較にならないと言われる程。 -まず通常のゲームクリアについてだが、本作では全ステージのストーリー7をクリアする事がラストステージの出現条件になっている。 --基本的にストーリーは1から順番にクリアする事になるが、各所に難易度が高いストーリーが組み込まれているため、どこか一か所でも躓くと先に進めなくなる。また、ストーリーの難易度は段階的に増えるのではなく、序盤から高難易度のストーリーが配置されていたり、後半に明らかに易しすぎる難易度が配置されていたりとバランスが悪く、突然の高難易度ストーリーで挫折の憂き目に遭ったプレイヤーは数知れず。エンディングを迎えるだけでも相当な力量を要求される。 --高難易度ストーリーに共通するのは繊細な操作を要求される事に加え、時間制限付き(タイムオーバーで強制1ミス)、即死系、長丁場といった具合。どれか一つならまだ許容できようが、2つ組み合わさる…例えば即死と長丁場が組み合わさるとリトライする気力も失いかねない。 #region(通常クリアを阻む高難易度ストーリー例) -「リコハーバー」 --2つ目に解禁されるステージでありながらイカ型サーフィンボードや細い足場・金網を伝って移動するステージ構成が高難易度。 ---特に常時猛スピードで前進する停止・離脱不可能なイカサーフィンは相当な力量が必要。イカには三種類あるが、色によって性能が異なり、''旋回性能の悪いイカを引いてしまうとその時点でクリアは絶望的''。更にジャンプや回避のタイミングを間違えて障害物や壁に触れると1ミスになる。 ---後半ストーリーの「すいじょうのあかコイン」ではこのイカに乗りながら海上の障害物を避け、''時間制限付きの赤コイン''を集めなければならず、おまけに8枚集めた後は陸上に出現するシャインをイカに乗ったまま入手しなければならない。 -「ピンナパーク」 --ジェットコースターに乗って''シューティング''を行うシーンが2回存在しており、そのどちらも難易度が高い。射撃の照準がなく、慣れるまでは標的を狙うだけでも一苦労。しかもコースターのレールに回転が多く、3D酔いしやすいプレイヤーには相当厳しい。 ---ちなみに2回目の「ジェットコースターでフーセンわり」は3周するまでにシューティングで風船を全て割る必要がある。こちらはストーリー8扱いなので、ゲームクリアを目指すだけなら攻略必須ではないのがせめてもの良心というべきか。 -「シレナビーチ」 --最初のストーリー「ふしぎせいぶつ マンタ しゅうらい!」で登場するボス敵「マンタ」戦を皮切りに、謎解きやヒミツ系コースの難易度も一気に激増。 ---マンタ戦は広範囲への放水操作を活用できないとあっという間に追い詰められてしまう。とはいえ木陰や小屋といった屋根の真下が安全地帯である他、ショットガン放水に慣れていればそこまで理不尽な難易度ではない。 ---しかしマンタを突破しても、その後は進入路にやや手間取る上に即死系かつ長丁場の「ホテルのロビーのヒミツ」、ヒントなしに長時間手探りで隠れた侵入ルートを探す必要がある「めいきゅうホテル デルフィーノ」と続く。逆に後半ストーリーは前半と比べて(簡単とは言えないが)明らかに平易で、このステージは特にストーリーの難易度バランスが取れていない。 -「モンテのむら」 --通常ステージでは最後の解禁だけあって難易度の高さはおかしくはないが、それでもストーリー3の「ほのおのなか そんちょうはどこだ?」は強烈。ここでは開始直後にニセマリオにポンプを盗まれ、村の一角に投げ捨てられてしまうため、途中まではポンプを使用できない。その上触れるとダメージを受ける燃える泥が村中を覆っているため村を自由に歩くことはできず、正攻法で攻略する場合は村の地下エリアに張り巡らされた金網部分を移動することになる。地下エリアで足場を踏み外せば即死確定な上、金網部分の移動やそこのギミックも難易度が高く、クリアとは関係ないハズレのルートが各所にあるなど特に難しい。 --このストーリーに関しては''正規ルートを探す時点で困難''という有り様で、水場付近から回転ジャンプでショートカットする((水に触れた後一定時間内にマリオを回転させると狭い範囲に放水と同じ効果が出るので、ある程度道を作る事が出来る。))のが正規ルートと勘違いしたプレイヤーも少なくない。 -「ヒミツ系ストーリー」 --各ステージには「~のヒミツ」というストーリーが必ず存在する。ここでは一度クリアするまではポンプをニセマリオに奪われて使用を封じられ、ポンプアクション禁止縛りで様々なギミックがちりばめられた一本道を走破する。だが、これらは''狭い足場に加え、コース外が奈落''であり、そのステージにおける他のストーリーと比べても高い難易度となっている。 --どのステージでもギミックの内容はステージ外にはじき出したり落としたりするものが殆どであり、僅かでも操作ミスすると大抵の場合1発でアウト。安全な場所も細長くて狭いことが多い為慌てるとうっかりステージ外に転落する事も少なくない。何度もミスして最初からやり直しながら覚える所謂「死にゲー」要素が極めて強い。コース内を歩いているモンテ族の男に''投げてもらって先に進む''など変わった攻略方法が必要なステージもあり、一筋縄ではいかない。 --中でもピンナパークの「ヨッシーゴーランドのヒミツ」、シレナビーチの「ホテルのロビーのヒミツ」、マーレのいりえの「かいのなかのヒミツ」の3つは取り分け高い難易度を誇っている。いずれも長丁場なのが特徴で、ワンミスで最初からやり直しになるのが非常に厳しい。 ---ヨッシーゴーランドのヒミツは様々な色の移動ブロックを渡りながら先に進む必要がある。 ---ホテルのロビーのヒミツはカベキックから始まり、数秒で崩れる小さな砂ブロック上を駆け抜ける地帯が鬼門。ルートに曲がりが存在する上、砂ブロックは崩れ始めると高度が下がって段差が生まれ、次の砂ブロック端に捕まる動作が発生してしまう(当然捕まった砂ブロックも崩れ始める)。全速力かつ場合によっては視点を変えながら細いルートを走り抜けねばならない。 ---かいのなかのヒミツはこれまでの総合的なアクションの集大成といった趣で、連続「斜め」カベキックをマスターするまで幾人のマリオが奈落へ吸い込まれる事になる。 --幸い、ヒミツ系コースには複数の1UPキノコが用意されているため、それなりに操作できればゲームオーバーになることはない。…のだが、逆に「クリアできないまま残機が増え続ける」という事態になることも。 --「カジノ デルフィーノのヒミツ」はステージ難易度自体は易しい方だが、入るまでがかなり面倒。カジノの全てのスロットを放水して777に合わせるとシャインの絵が付いた絵合わせパネルが出てきて、これを放水して揃えることでようやく入り口が出て来る。この絵合わせパネルが曲者で、目標にめがけて放水しても、リアルな水の挙動で違う場所のパネルが動いてしまったり、放水跡が水が当たったと誤認して勝手にパネルが動く、突如高速回転したかと思えば最終的にはひっくり返らず裏のまま止まる、といったストレスが溜まる挙動をする。苦労してようやくパネルを合わせてからのヒミツコースはかなり萎えてしまう。 --一度クリアした後はポンプが解禁されるが、2個目のシャインは時間制限付きの赤コイン8枚集め。詳しくは後述。 #endregion -続いてゲームクリア後の難易度について。~ 率直に、''通常のクリアで四苦八苦したプレイヤーではフルコンプリートを目指すべきではない''と言い切れる地獄のような難易度が待ち受ける。 --''隠しステージ攻略やアイテム収集の難易度は鬼畜、理不尽を極めており、よほどのゲーマーであっても(少なくとも攻略情報抜きでは)シャインコンプリートはほぼ不可能''。 --前述したヒミツ系ストーリーの2個目のシャインはすべて制限時間付き赤コインが追加され、厳しい時間制限と共に嫌らしい配置や時間制限の厳しい配置でプレイヤーを苦しめる。1周目では通らなかったルートに赤コインが配置されている事も多く、そもそもの難易度も全体的に高めなので、此方でも何度も失敗を繰り返し、ステージギミックに慣れながらルートを少しずつ構築していかねばならない。 -''特殊ステージ'' --各ステージのペイントシンボルからの侵入ではなく、ドルピックタウン内の特定のシンボルに入る事で行ける、ヒミツ系コースの発展系の隠しアスレチックコースが幾つか存在している。~ その中で問題となるのは「パチンコ」をモチーフにしたステージと、通称「毒の川下り」の二つ。この二つのアスレチックコースは他の難ステージすらも可愛く見える程の超凶悪な難易度で、多くのプレイヤーを絶望に追いやった。 --「パチンコ」はマリオ自体が玉となって特定のチャッカーにある赤コインめがけて移動するというもの。 ---シューターによるジャンプで一番上から落ちる仕組みになっており、その勢いが強すぎるせいでホバーによる制御が難しい((足場として釘の上に乗ることができるが、ここからジャンプする際になぜか勢いよく加速してしまうこともある。))。ただでさえ移動が難しいにも拘らず、どのチャッカーにも入れずに一番下まで落ちると''強制的にステージ外へと落とされ一発アウト''。1度でも失敗したら最初からやり直し確定なのである。 ---ステージの構造から察したプレイヤーも多いだろうが、シャインが出てくる場所も入り口の狭いチャッカーでくくられた部屋の中のため、最後まで気が抜ける場面が存在しない。 ---赤コインの内3枚は簡単に手に入る事と、シューターから打ち出される際に何も操作しなければ、必ず同じ場所(ただし細いピンの上ではあるが)に着地するようになっているのだが、射出時にかかる横方向への影響がそのまま残り続けるバグがあり、ピンから射出側へジャンプする・降りようとすると反対方向へ吹き飛ばされる。 --「毒の川下り」はコース入り口に到達する事すらテクニックを要する((ヨッシーを連れて西の小島まで下水道を通って移動し、そこから船に乗って移動しなければならない。その船も途中にある櫓を経由して乗り継ぎもしなければならない。この船に乗る時間が長いうえに、海に落ちたらヨッシーが溶けて最初からやり直しになるのでかなり手間がかかる。なお多少のテクニックがあれば中継点の櫓に直接マンホールジャンプから到達できる))。入り口までの道のりでさえ他の難関ステージに匹敵する難度だというのに、その先のアスレチックコースは間違いなく本作最高の極悪難度を誇っている。 ---内容は時間経過や僅かな壁との接触で崩壊するリーフボートに乗って川下りをしながら赤コインを集めるというもの。…なのだが、通常のリーフボート操作の難易度の高さに加えて、''後戻り不可の急流が常にかかり、カーブ中の制御が恐ろしく難しい。'' ---''水に触れただけで一発アウト''、故に''コインを1枚でも逃したらやり直し確定''、赤コインの内1枚は''リーフボート上でのジャンプが必要''、川の外側は''奈落''(縁を歩くことは可能だがそんな状況では赤コインを取る事はほぼ不可能)、''ドカンの罠''((入ったらミスしてもコースの最初からやり直しができるのではなく、ドルピックタウンに戻されてしまう。))等々、アクションゲームが得意なプレイヤーでさえ降参する程の無茶苦茶な難易度と化している。[[→参考画像>https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%B3+%E6%AF%92%E3%81%AE%E5%B7%9D&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjQ89XIkbrJAhVIj5QKHbEeDHYQ_AUICSgC&biw=1009&bih=556]] ---通称の通り川の水は毒になっているらしいが、見た目は普通に透明で毒々しさはない。始まってすぐの場所にドクロのマークが描かれた看板があるため、初見殺しにはなっていないが、やや不親切で人によっては気づけないこともある。 ---実はとある操作をすると川底を歩けるようになり、水面の赤コインなら川底からジャンプするだけで入手できる。~ ただし、その状態になると水面より上には戻れない((水面をハイジャンプ等で突き抜けると即死する。))ので意味はないが… ''青コイン''~ -街やステージのあちこちに配置または隠されている収集要素。通常クリアを目指すだけなら1枚も必要ないのだが、この青コインを''10枚集めるとシャイン1つと交換できる''ため、''シャインをコンプリートするには必然的に青コインもコンプリートしなければならない。'' --そしてこの青コイン、兎にも角にもその数が非常に多い。見える形で存在するものや、ニセマリオの落書きを消すなど分かりやすいヒントが存在するコインが多数ある一方、特定の箇所に水をかける(又はかけ続ける)、特定の敵を倒すなどノーヒントのものも相当な枚数に上る。~ 基本的に手探りかつ手当たり次第に探さねばならず、しかもステージによっては特定のシーンでしか入手できないものまで存在するため、''攻略情報無しで青コインを全て見つけ出すのはほぼ不可能''。シャインのコンプリートを阻む最大の要因となっている。 ---中でも、ステージを飛び回る青い小鳥に放水し続ける事でドロップするもの、チョウの群れの中の青いチョウやハチの大群をヨッシーで食べる事でドロップするタイプは対象が小さく見つけにくい。発見しても移動周期やパターンに気付けないと入手は困難。 ---複雑な構造をしている場所に隠されているマーレのいりえ、シーン別で差が大きいシレナビーチ等が特に難易度が高い。 -「ペアの落書き」による青コインも人によっては困難である。これは同じマークの落書きが2か所用意されており、A地点の落書きを消すとB地点に青コインが出て、B地点の落書きを消すとA地点に青コインが出る、というもの。 --このタイプの青コインは時間制限付きであり、対となる落書きから青コインが出現する。再挑戦は容易なのでまだ楽な部類だが、制限時間はかなりシビアに設定されており、特に中盤以降のステージでは操作に熟達しても割とギリギリ。また、片方の落書きをクリアするともう片方の落書きは消えてしまう(つまりクリアした落書きの場所も覚えておかないと対の落書きの青コイン出現位置を見失う)のも地味に厄介。青コイン出現時は一時的に周辺の視点に切り替わるが、ホテル・デルフィーノなどはこれがなくノーヒントで、時間も厳しいためかなり難しい。 //-ラストステージの「コロナマウンテン」にある9枚の青コインは、マグマの上をドロ船に乗って取らなくてはならない。 //--青コインの付近に安全地帯はなく、泥船は壁にぶつかったらすぐに沈んでしまう。そして今作のマグマは落ちたら一発アウトという極悪な仕様になっている。 //--船の舵はポンプによる放水で地道に調整するしかなく、小回りが利きにくい。どうしても船の操作に慣れないなら、いっそ大量のマリオを犠牲にしてでも青コインに向かってホバー移動するのを繰り返す方が早いかもしれない。 -ステージごとの獲得枚数こそ確認できるものの、ステージ中のどの青コインが獲得済みなのかまでは分からない。たとえ攻略本やサイトを見ても、既にどの青コインを取得しているか記憶に無いと虱潰しに探す破目に陥る。収集要素のシステムでありながら、独自にメモを取る必要に迫られる点はさすがに不親切と断じられても仕方がない。 --ちなみに全240枚。ドルピックタウンに20枚((エアポートとドルピックタウンは同一マップ扱い))、最終ステージに10枚、7つのステージに各30枚ずつ存在する。 **総評 マリオシリーズの中では屈指の高難易度として名高い『2』にも匹敵する本作。~ ストーリーや設定面でも賛否を呼ぶ要素があり、その癖の強さゆえに人を選ぶゲームデザインとなっている事は否めない。~ しかしながら、問題点の筆頭である難易度には魅了されたプレイヤーもまた多く、粗削りなゲームとは一線を画している事も事実である。~ 万人に勧められる作品とは言えないが、ゲーム自体は致命的なバグは少なく、各所の作り込みも丁寧であり、総合的には十分に良作と呼べる作品である。~ 『64』や『ギャラクシー』をやり尽くした、又はあえて高い難易度に挑みたい往年のマリオファンには十分に応えてくれるだろう。~ **余談 -任天堂は本作に寄せられた評価を基に、ここから先の方向性を「誰でもクリアできる(高難易度面は終盤以外は隠しステージに集中させる)」「ストーリーなどは『マリオらしい』展開にする」という方向性を固めたらしく、以降3Dマリオシリーズはステージクリア型の形式への回帰に舵を切ることとなる。 --宮本氏いわく、「3D『箱庭』は[[ゼルダシリーズ>ゼルダの伝説シリーズ]]に任せる」とのことであったのだが、『64』や本作のような「箱庭をジャンプ・ダッシュ等の直感的なアクションで自由に駆け回る」楽しさに魅せられたプレイヤーも一定数存在しており、そうしたプレイヤー達の受け皿となる作品が(少なくとも『64DS』以降の任天堂作品においては)存在しないという状況を惜しむ声も多かった。 --結果的に、箱庭系の3Dマリオ作品の新作は2017年の『[[スーパーマリオ オデッセイ]]』の発売まで15年間もの空白が空くことになった。 -当時任天堂はGCを「ドルフィン」というコードネームで開発しており、最終的に「ゲームキューブ」に改名されるまで公でも長らくこの名前が使われていた。本作のイルカ形の島である舞台「ドルピック島」からは様々な憶測ができる。 -本作の制作において、任天堂公式ホームページ内で「マリオのために何ができるか?」と題して宣伝広報部員の募集イベントが行われた。 --優秀賞受賞者には宮本氏含むマリオシリーズの制作スタッフとの京都での食事会招待が、落選者には本作のソフトが商品として贈られた。 -問題点の項で「青コインを全て見つけ出すのは''ほぼ''不可能」とした通り、ごく僅かにだが自力コンプリートした恐るべき猛者もいる。 --青コインを除く全てのシャイン入手までなら自力達成できたというプレイヤー((この時点で、FCDマリオ2など他の高難易度アクション作品をコンプリートできるヘビーユーザーであるとは思われるが。))の間でも膨大な数の青コインを全て見つけるのは非常に難しかったらしく、青コインを含めた全コンプリートはまさに畏怖の対象であったようである。 -コクッパの設定変遷に関連して、『[[ドンキーコング]]』でマリオの恋人だったポリーン(レディ)は、『[[マリオvs.ドンキーコング2 ミニミニ大行進!]]』で再登場した際、マリオの友達という肩書きになっていた。 --ただし、こちらは[[ゲームボーイ版>ドンキーコング (GB)]]にて、(公式設定かは不明だが)「キノコ王国に辿り着いたマリオがポリーンからピーチに乗り換えた」というスタッフのインタビューが存在する。 -ゲーマガの読者イラストコーナーには『キン肉マン』のキャラである「サンシャイン」と合体したようなマリオのネタ絵が定期的に届いたとか。 -ポンプは『[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]』以降のスマブラシリーズでマリオの使う下必殺技に追加された。 --ダメージは与えられないが、当たった敵を向こうに押し出すというテクニカルな性能を持つ。 -前作『マリオ64』程ではないが、本作でもタイムアタック等のやりこみが行われている。 --各コースでストーリー7をクリアしなければならない都合上シャイン0枚クリアは不可能となっている上に「ケツワープ」等のぶっ飛んだテクニックも没収されてしまった…かと思いきや、やりこみ勢によって「移動系のノズルで速度を溜めて、一気に放出する」という、まさにサンシャイン版ケツワープとでも呼ぶべきテクニックが発見されてしまった。 ---特に猛威を振るうのはロケットノズル入手後。溜まった速度を一気に放出し、自由落下するよりも早く上昇移動する様は紛う事無き''“上に落ちる変態”''。100%クリアは勿論、シャイン最小枚数でのクリアを目指す場合でもラストステージで活用の機会があるそうな。 --バグに近い挙動だが、ポリゴン抜けでいきなりとあるステージのストーリー8をクリアしてしまったり、ピンナパークのストーリー5を飛ばして「ヨッシーゴーランドのヒミツ」のシャインを入手((やり方は二通り存在しているが、どちらも紫色のジュースで敵を固めた足場を利用する。通称「Early Yoshi Goround(EYG)」))してしまったりといったテクニックまで見つかってしまった。~ …そのうちシャイン0枚クリアもあっさり成し遂げられてしまうのではなかろうか。 -どういう訳か一部コミュニティにおいてピンナパークのストーリー4における空耳がネタにされる事が多く、特にニコニコ動画にアップされたプレイ動画では「弾幕」化しているケースが多々見られる。''オォウwwwwwマッサラデスwwwwww'' -Wiiソフト『[[おどる メイド イン ワリオ]]』のナインボルトステージに本作のミニゲームが登場する。 --内容はポンプで消火するアクション。BGMも再現されている。 -「水を発射して街を綺麗にする」アクションがキモである本作だが、後に任天堂は「インクを発射して街を塗りたくる」という本作のコンセプトを逆にしたようなゲーム『[[Splatoon]]』を世に送り出す((もっとも、あくまでその一点が比較対象になるだけで、ゲームとしては両作品は全く違うジャンルである))。当然『Splatoon』の発表当初から本作との比較やコラボネタが流行したが、「[[社長が訊く>https://www.nintendo.co.jp/wiiu/interview/agmj/vol1/index2.html]]」によれば『Splatoon』の開発スタッフは本作を全く覚えておらず、ゲームがほぼ完成した段階で「そういえばマリオサンシャインとかぶっている」と気づいたらしい。 -2020年9月18日、Nintendo Switchにて、本作と『64』『ギャラクシー』が収録されたオムニバスソフト『スーパーマリオ3Dコレクション』が発売。 --『64』と『ギャラクシー』と違い一切移植がなかったため、発売から18年越しの初移植となった。 --主な変更点はゲーム画面のワイド化、レターボックス前提のプリレンダムービーのクリッピング((発売当時の時点で上下の黒帯が表示されてるがSwitch版のみ黒帯を隠したズーム画面に変更。))、サウンドテストの収録。 --ちなみに収録されている本作は一部効果音の変更やBGMの追加、カメラ操作が原作のリバース操作からノーマル操作に変更されている等の点から、海外版ベースと思われる。

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