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*チョロQ HG2 【ちょろきゅー はいぐれーどつー】 |ジャンル|レースゲーム|&amazon(B00005UF6F)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|タカラ|~| |開発元|イーゲーム(E-GAME)|~| |発売日|2002年1月10日|~| |定価|6,090円|~| |プレイ人数|1~2人|~| |廉価版|THE BEST タカラモノ:2003年7月10日/2,980円&br()アトラスベストコレクション:2007年2月8日/1,980円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[チョロQゲームリンク>チョロQシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -デフォルメされた車の玩具「チョロQ」を題材にしたチョロQシリーズの内、PS2の『チョロQ HG』シリーズ第2弾。 -開発はE-GAMEで、良作と評判の『[[チョロQ3]]』に勝るとも劣らない大ボリュームが売り。 -E-GAMEは過去に『チョロQワンダフォー!』(以下『ワンダフォー』)を発売している。 --上記の「ワンダフォー!」はレースとスタンプの難易度が非常に高く、他の町に行くのがやや面倒であったが、今作では難易度が下がり、街の移動も手軽にできる様になった。 -基本的なシステムや概念は『ワンダフォー』を踏襲しているが、『ワンダフォー』をプレイしたことがなくても楽しめるようになっている。 --チョロQが生活している世界が舞台でありチョロQが住人、オプションパーツの「ジェットタービン」や燃料の概念、スタンプの存在などなど。詳しくは『''[[チョロQワンダフォー!]]''』の記事にて。 -GTA等と同様にオープンワールド系フィールドを採用しており、高速道路でドライブしたり、冬山でヒルクライムをしたり、海の中で立ち往生してしまったり…などができ、自由度が非常に高い。 -しかし、レース面では他のシリーズ作品に比べると粗い部分が多く見られる。 ---- **ストーリー -大統領という身分に飽き飽きした現大統領フォレストは、次のワールドグランプリ(以下グランプリ)優勝者に大統領の座を譲ることにした。プレイヤーはグランプリを優勝して大統領を目指すことになる。 ---- **特徴 ''出走台数の増加とチーム制の導入'' -シリーズ初の24台同時出走。更に、町でチョロQをスカウトすることで、チームメイトとして一緒にレースもできる。これでレースの戦略性の幅が広がり、より白熱した勝負ができるように。 --チームメイトの存在が最後のレースへの進行条件になっている他、チームメイトが入賞(6位以内)すればその分の賞金も入手することができる。 -決戦の大舞台であるワールドグランプリに参加するにはチームメイトを2台見つけることと、スーパーAライセンスを取得していることが条件。 --レースへの参加はライセンス制であり、最初はランクCである6レースにしか出場できない。ここで6レース全てで入賞すればBライセンスが獲得できる。~ 続いて同じくBランクのレース全てで入賞し……と繰り返し、ランクAである9レースに入賞することで晴れてスーパーAライセンスを取得、ワールドグランプリへの道が開かれる事になる。 --また、『ワンダフォー』では無かったパーツショップやボディショップ、お金の概念が復活した。 ''マップの大幅な拡張と探索要素の追加'' -本作では非常に大きなマップをシームレスに移動することができ、そこにいくつもの街や収集・探索要素が点在しているような構成になっている((最後の街のみ、街のテーマの関係上そのひとつ前の街から別マップへ移る仕組みである))。 //-本作ではフィールドマップが大幅に拡張されており、『ワンダフォー!』のような街がいくつも点在している様な形になっている。 --探索要素満点だが、レースやパーツ変更といった基本的な事を行える「Q's factory」は、大抵町の入口近くや分かりやすいランドマークの近くに存在しており、とにかく進めたい人にも大きな煩わしさは感じさせない。 ---すでに訪れたQ'sfactoryであれば、ワールド内でどんな状況下にあろうと、どこからでもワープできるので安心。 --時間の概念が存在し、日の出や日の入りもある。ゲーム内の1日は、現実世界での1時間に相当。探索要素の中にはこの昼夜の入れ替わりがカギになっているものもある。 ---- **評価点 ''マップの広さと、その自由度の高さ'' -各地に点在する町へは舗装路などの下道や、高速道路を使って移動する。町の一つ一つも中々に造り込まれており、中には隅々まで探索しないと見つけられないような場所にチョロQがいたりもする。 --町と町の行き来にはそれなりの時間がかかり、景観の変化やちょっとした冒険要素等もあって旅情感に溢れる。一方、訪れた町の「Q's factory」に入る事で、以降はいつでもどこでも好きな所からワープ移動できる等、痒い所に手が届いている。 --『ワンダフォー!』では特定の施設でしか燃料を補給してもらえなかったが、今作ではどの家に入っても燃料を補給してもらえる様になった。 ---道中にはプチクラと呼ばれる収集要素もアリ。その名の通り「チョロQ版プ○クラ」とも呼べるもので、各地に全部で100ヵ所も点在。単に町と町の間の行き来だけでなく、それなりに寄り道する必要もある為、コンプを狙うと中々骨が折れる。&br();既存の背景画像の右下に自分のチョロQが載るだけではあるが、単に既存の画像を集めるのではなく、撮影時のカスタムが反映されるので、実際に旅行している気分を楽しめる。 ''やり込み要素の豊富さ'' -本作はミニゲームが非常に多く、『ワンダフォー』にもあったサッカーの他、正統派のジムカーナやスペック勝負のスノージャンプ、果ては''カーリング''や''ゴルフ''((一応「チョロQ3」にも「ゴルフレース」として、「ふたりであそぶ」専用コースで登場していた。一人用モードでは初の上、ルールもこちらの方がゴルフらしさがある))などが存在し、プレイヤーを飽きさせないようになっている。 --レースの最高記録や達成したスタンプ、上述のプチクラなどはポーズ画面の「テチョウ」で確認する事ができる。 --「街」を主軸に置いた作風らしく、ワールド中盤には「マイシティ」という、自分だけの街も登場。初めて訪れた時は不動産以外何もないが、移住を望んでいるチョロQをマイシティに誘うことで、街が発展していく。~ 流石に住民の選択や街の傾向といったプレイヤー独自の街になる訳ではなく、最終的には家は固定された場所に配置、住民も固定の街に仕上がるのだが、自分で誘ったチョロQ達と町の発展ぶりにワクワクした人も多いはず。 ''細かな造り込みの数々'' -マップの広さは上述しているが、何よりの特徴はこのマップを最後の街以外、ロード無しで走りまわる事ができる点。スペックによっては道なき道を強引に進んでいく事も可能。 --本当に広大なマップ((建物だけでも200を越える))に、多くのチョロQが存在。その一台ずつに確固たるキャラ付けがなされており、プレイヤーもその世界の住人として、チョロQの住む世界を十分に体感することが出来る。 --イベントやお願い事をこなす事で仲間になる、いわゆる主要キャラポジションのチョロQも。ヒロインこそいないものの、主人公に明確な好意を持っている女性チョロQも存在する。デートイベントの様なものは無いが、チームメイトにできる女性チョロQもいる。 -長いドライブで退屈しない様にラジオ機能((ゲーム内時間に合わせてBGMの内容が変化する機能。3つのラジオチャンネルと、BGMなしの4種類から選べる))まで完備。 --朝には天気予報が流れたり、昼には宇宙人がゲストで来たり、夜には実在バンドの曲を聴けたり、夕方にはトーク番組を楽しめたり。そして深夜にとあるラジオチャンネルのノイズに耳を澄ませると・・・~ とにかく、自分の好きな番組を聞きながらドライブするのもこのゲームの醍醐味の一つ。 ''隠しパーツの性能'' #region(完全クリア後に関わる要素の為クリックで詳細) -本作にもシリーズ恒例のアクマパーツが存在し、スタンプを100個全て集めて、とある住人の元に向かう事で入手できる。さらに本作と同じく街がメインであった『ワンダフォー』と異なり、本作にはタイヤ以外のアクマパーツも存在する。 --本作のアクマのエンジンとアクマのタイヤは、装備すると『チョロQ3』のアクマパーツに勝るとも劣らない非常に高い加速力と速いスピードを発揮する。 ---更にアクマのエンジンは燃料消費が「0」となっており、ジェットタービンを使用し燃料を空にしても走り続ける事ができる。 --このアクマパーツとワールドマップとの相性が非常に良く、並外れたスピードを出しつつ広大なワールドマップを自由に駆け巡る、ジェットタービンなどのオプションパーツと組み合わせてワールドマップの上空を飛行する、などの非常に爽快感のある遊び方ができ、アクマパーツ無しでは本作は語れない程。スタンプを全て集めた後からが本番といっても過言ではないだろう。 #endregion ---- **問題点 ''拙いCPUのレースAI'' -『ワンダフォー』では全体的に難易度が高くなり敷居が上がってしまった部分もあってか、本作では全体的に難易度は低下傾向にある。しかしその難易度の下がり幅が極端すぎて、かえって不評を呼んでいる。 --24台同時出走の弊害か、敵同時がよくぶつかっている事が一つの要因。また、本シリーズ自体がトリッキーなコースレイアウトの多いゲームであり、PS時代に見られた、「跳ね返るような衝突判定」が消え、AIもバック走行もしない結果、~ 壁にぶつかったまま抜け出せなくなってしまうチョロQが出る事も多い。~ 時には壁でハマっていたCPUが、次の週に同じように突っ込んできた別のCPUにぶつけられて抜け出し、ぶつけたCPUが同じ位置でハマっている事も。 ---特にワールドグランプリではチームメイトを含めた順位で優勝が決まるため、チームメイトが動けなくなってしまうと目も当てられない状況に。 --グリップ力の落ちるオフロードコース、長いストレートからの直角カーブなどでは、後から曲がりきれなかったCPUがたくさん突っ込んできて一気に順位を落とすこともある。~ 従って、プレイヤーは適度にパーツを買い替え、コースを理解してスローイン・ファーストアウトを意識すれば、スペック差を除いて大概のレースで勝利する事ができる。PS版チョロQのようにドリフトやブレーキを考えたり、という必要性は終盤まであまりない。 --CPUの問題点はチームメイトについても同様であり、例え最高級のパーツを買い揃えても、曲がりきれないCPUの群に埋もれ、性能を活かせずにあっさりと差されてしまう事も。逆にオーバルコース(モリモリサーキットII)ではしっかりとパーツに見合ったタイムを刻むなど、全体的にコーナリングのAIの甘さが見える。~ 特に高性能なエンジンとタイヤにいわゆるブーストに当たるジェットタービンを組み合わせた時のオーバルの速さはなかなかの物。 -ただ、難易度が低い分、シリーズ入門としては比較的良いかもしれない。 ''その他レースに関する問題点'' -コース数がやや少ない。 --『ワンダフォー』と比べると多くなったものの、『チョロQ3』などと比較すると少々物足りないかもしれない。同様に、コースの全長そのものも全体的に短く、終盤のスペックだと、大抵のコースは一周1分もかからない。 --もっとも、この点に関してはスプリントレースとして、クリアまでの資金稼ぎの観点から見ると悪いとは言い切れない。複雑な形状のコースも存在している為、それに対する救済措置としての一面もある。 --しかし、資金稼ぎとしてはワールドグランプリやミニゲームの「くるくるルーレット」の方が稼ぎやすい。ただ、前者はスーパーAライセンス取得まで挑戦できず、後者は慣れないと狙い通りの数字に止める事が難しい。 -&bold(){自車の挙動に問題がある。} --左右で曲がりやすさに差があったり、タコメーターがブルブル震え、実車における息継ぎ症状の様に回転・速度共になかなか上がらなかったり、段差では突然、ひっくり返りそうなほど角度を付けて飛び上がる等、不自然な挙動がある。 --中でも息継ぎ症状と段差飛びはレースに大きく関わる部分であり、特に段差での飛び上がりはかなり速度を落とす上、着地までの時間も大きなロスになる為、&bold(){本来であればレースゲームとして致命的。}~ ウィングを装着する事でジャンプの高度を変えられるはずだが、その影響も受けない。全体的な難易度の低さ故に大きな問題にはなっていないが、&bold(){ある程度歯ごたえのある難易度だった場合、この一点でゲームとしての評価を落とす事もあり得る程のポイント。} --また、確率は低いが、壁にめりこんでしまうバグも存在。特定の角度や速度が影響しているらしく、チョロQの性能が上がってくると多発の恐れあり。 ---しかし本作はクラッシュ判定((隠しパーツで壁にぶつかり、無理矢理壁を越えようとすると『クラッシュしました』というメッセージが出現し、メニュー画面やガレージに戻される))がワールドマップでは存在せず、((『クラッシュしました』のメッセージはないが、レース中やミニゲームでは本作にもクラッシュ判定が存在する))ワールド内ではどれだけ壁にめり込もうがQ'sファクトリーに戻されないので、自由度の高さには一応貢献している。 -よって、&bold(){本作は純粋な「レースゲーム」をやりたいプレイヤーに対しては推奨しづらい作品となっている。}この挙動の仕様もあってか、ネット上での評価がアテにならなかったと言うプレイヤーの声も存在する。 -本作は、主に街のボリュームと「チョロQの世界」を上手く表現している点で高い評価を受けているのだが、レース面に関しては他の『チョロQ』シリーズと比較すると、全体的に粗い出来栄えとなっている。 -これらの挙動の問題点は、次作『HG3』では大幅に改善された。 ''その他の細かな問題点'' -オープンワールドという概念が今ほど深く浸透してない時代の作品としては十分工夫が凝らされているが、中には広々と野が広がっているだけで建物やイベントがまったくない場所が存在する。 --裏を返せばその分見つけにくいイベントも存在しないため、あまり頭を使わずに自由に走り回れるというメリットもあるが。 --終盤の目的地に当たるパパイヤアイランドへ向かうには、一つ前の町であるホワイトマウンテンから抜け道を通り、更に海底を抜けて上陸する必要がある。~ ホワイトマウンテンを抜けるまではある程度ガイドがついているが、いざ海底に出ると水中用のスクリュー込みでも身動きが遅い上、パパイヤアイランドまでの距離がそこそこある為、大雑把に西へ進んでいるとナビゲーターにも映らないまま素通りしてしまう事も。 ---ポーズ画面のワールドマップでは島や自車の位置が確認でき、島付近にも島の入り口を示す矢印看板が設置されてはいる。     海底マップも広大であり方向を見失いやすい為、数十分近く海底を彷徨うことも珍しくない。 -あるミニゲームのスタンプが、取得条件のクリアタイムをオーバーしてもスタンプが取れてしまう。但しそのミニゲームは難易度が高い為、救済措置になっている面もあるが。 -BGMが大人しく、PSのタムソフト3部作や『チョロQHG』のようなギターが効いたBGMはラジオの歌でしか聴くことが出来ない。 --大人しいBGMが本作の雰囲気とマッチしていると言う声もない訳ではない。 ---- **総評 E-GAME製『チョロQ』シリーズの前作である『ワンダフォー!』で不満が多かった点をある程度解消。レース面では粗い部分もあるが、それ以外の要素は非常にボリュームが多く、やり込み要素も充実している良作である。~ 難易度は低いものの、かえってそれがとっつきやすく、ゆったりしたゲームを好む方ならおススメ。未だに本作が最高傑作とするファンの数も少なくない。~ 今作以降は町要素は縮小気味であり、今作のように町要素=キャラとのコミュニケーションの多いチョロQシリーズを期待している人も多いのではないだろうか。~ レースゲームとしてみるとあまり良くない出来だが、それを補ってあまりある魅力が本作にはあるだろう。~ 実際、純粋なグラフィックでは前作『HG』よりも大人しめだが、問題視する声はほとんどない。~ // ↑私以外気にしていないと思いますし…。 中古価格は現在でも高額で、廉価版の定価どころか下手な新鋭ソフトや人気作の中古価格すら上回り、一部の名作級プライスタグを付けられている事が多い。~ もしも安値で売っているのを見かけたら手に取ってみるのもいいかもしれない。 ---- **余談 -ボリュームたっぷりなのにもかかわらず、今作はなんとCD-ROMで提供されている。 -本作にはバグによって大幅にショートカットできるコースが2つある。 #region(クリックで詳細) -「ブルルンマウンテン」では、スタート地点からすぐ左側の壁を上手くよじ登って逆走し、コントロールラインを通過すると''あっという間に1位になることができる''。 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=dDSSebrjNhk&t=99s) よじ登る力さえあれば''初期装備に近い性能でも可能''。 -また、E-GAME恒例の空中コース枠である「ブリキンランチ」では、&bold(){ホームストレート付近を往復するだけ}でショートカットできる。~ &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=K7_nTeP9jvI) 但しこちらは隠しパーツなどの多くの装備を揃える必要がある上に、操作も少々難しいのである程度のウデがないとやりづらい。 #endregion //「問題点」ではないと思うので「余談」の項に移動 -HGシリーズとしては攻略本が発売された最後のタイトルである。次作(HG3)以降は発売されていない。 --シリーズ全体では『新コンバットチョロQ』が最後。
*チョロQ HG2 【ちょろきゅー はいぐれーどつー】 |ジャンル|レースゲーム|&amazon(B00005UF6F)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|タカラ|~| |開発元|イーゲーム(E-GAME)|~| |発売日|2002年1月10日|~| |定価|6,090円|~| |プレイ人数|1~2人|~| |廉価版|THE BEST タカラモノ:2003年7月10日/2,980円&br()アトラスベストコレクション:2007年2月8日/1,980円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[チョロQゲームリンク>チョロQシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -デフォルメされた車の玩具「チョロQ」を題材にしたチョロQシリーズの内、PS2の『チョロQ HG』シリーズ第2弾。 -開発はE-GAMEで、良作と評判の『[[チョロQ3]]』に勝るとも劣らない大ボリュームが売り。 -E-GAMEは過去に『チョロQワンダフォー!』(以下『ワンダフォー』)を発売している。 --上記の「ワンダフォー!」はレースとスタンプの難易度が非常に高く、他の町に行くのがやや面倒であったが、今作では難易度が下がり、街の移動も手軽にできる様になった。 -基本的なシステムや概念は『ワンダフォー』を踏襲しているが、『ワンダフォー』をプレイしたことがなくても楽しめるようになっている。 --チョロQが生活している世界が舞台でありチョロQが住人、オプションパーツの「ジェットタービン」や燃料の概念、スタンプの存在などなど。詳しくは『''[[チョロQワンダフォー!]]''』の記事にて。 -GTA等と同様にオープンワールド系フィールドを採用しており、高速道路でドライブしたり、冬山でヒルクライムをしたり、海の中で立ち往生してしまったり…などができ、自由度が非常に高い。 -しかし、レース面では他のシリーズ作品に比べると粗い部分が多く見られる。 ---- **ストーリー -大統領という身分に飽き飽きした現大統領フォレストは、次のワールドグランプリ(以下グランプリ)優勝者に大統領の座を譲ることにした。プレイヤーはグランプリを優勝して大統領を目指すことになる。 ---- **特徴 ''出走台数の増加とチーム制の導入'' -シリーズ初の24台同時出走。更に、町でチョロQをスカウトすることで、チームメイトとして一緒にレースもできる。これでレースの戦略性の幅が広がり、より白熱した勝負ができるように。 --チームメイトの存在が最後のレースへの進行条件になっている他、チームメイトが入賞(6位以内)すればその分の賞金も入手することができる。 -決戦の大舞台であるワールドグランプリに参加するにはチームメイトを2台見つけることと、スーパーAライセンスを取得していることが条件。 --レースへの参加はライセンス制であり、最初はランクCである6レースにしか出場できない。ここで6レース全てで入賞すればBライセンスが獲得できる。~ 続いて同じくBランクのレース全てで入賞し……と繰り返し、ランクAである9レースに入賞することで晴れてスーパーAライセンスを取得、ワールドグランプリへの道が開かれる事になる。 --また、『ワンダフォー』では無かったパーツショップやボディショップ、お金の概念が復活した。 ''マップの大幅な拡張と探索要素の追加'' -本作では非常に大きなマップをシームレスに移動することができ、そこにいくつもの街や収集・探索要素が点在しているような構成になっている((最後の街のみ、街のテーマの関係上そのひとつ前の街から別マップへ移る仕組みである))。 //-本作ではフィールドマップが大幅に拡張されており、『ワンダフォー!』のような街がいくつも点在している様な形になっている。 --探索要素満点だが、レースやパーツ変更といった基本的な事を行える「Q's factory」は、大抵町の入口近くや分かりやすいランドマークの近くに存在しており、とにかく進めたい人にも大きな煩わしさは感じさせない。 ---すでに訪れたQ'sfactoryであれば、ワールド内でどんな状況下にあろうと、どこからでもワープできるので安心。 --時間の概念が存在し、日の出や日の入りもある。ゲーム内の1日は、現実世界での1時間に相当。探索要素の中にはこの昼夜の入れ替わりがカギになっているものもある。 ---- **評価点 ''マップの広さと、その自由度の高さ'' -各地に点在する町へは舗装路などの下道や、高速道路を使って移動する。町の一つ一つも中々に造り込まれており、中には隅々まで探索しないと見つけられないような場所にチョロQがいたりもする。 --町と町の行き来にはそれなりの時間がかかり、景観の変化やちょっとした冒険要素等もあって旅情感に溢れる。一方、訪れた町の「Q's factory」に入る事で、以降はいつでもどこでも好きな所からワープ移動できる等、痒い所に手が届いている。 --『ワンダフォー!』では特定の施設でしか燃料を補給してもらえなかったが、今作ではどの家に入っても燃料を補給してもらえる様になった。 ---道中にはプチクラと呼ばれる収集要素もアリ。その名の通り「チョロQ版プ○クラ」とも呼べるもので、各地に全部で100ヵ所も点在。単に町と町の間の行き来だけでなく、それなりに寄り道する必要もある為、コンプを狙うと中々骨が折れる。&br();既存の背景画像の右下に自分のチョロQが載るだけではあるが、単に既存の画像を集めるのではなく、撮影時のカスタムが反映されるので、実際に旅行している気分を楽しめる。 ''やり込み要素の豊富さ'' -本作はミニゲームが非常に多く、『ワンダフォー』にもあったサッカーの他、正統派のジムカーナやスペック勝負のスノージャンプ、果ては''カーリング''や''ゴルフ''((一応「チョロQ3」にも「ゴルフレース」として、「ふたりであそぶ」専用コースで登場していた。一人用モードでは初の上、ルールもこちらの方がゴルフらしさがある))などが存在し、プレイヤーを飽きさせないようになっている。 --レースの最高記録や達成したスタンプ、上述のプチクラなどはポーズ画面の「テチョウ」で確認する事ができる。 --「街」を主軸に置いた作風らしく、ワールド中盤には「マイシティ」という、自分だけの街も登場。初めて訪れた時は不動産以外何もないが、移住を望んでいるチョロQをマイシティに誘うことで、街が発展していく。~ 流石に住民の選択や街の傾向といったプレイヤー独自の街になる訳ではなく、最終的には家は固定された場所に配置、住民も固定の街に仕上がるのだが、自分で誘ったチョロQ達と町の発展ぶりにワクワクした人も多いはず。 ''細かな造り込みの数々'' -マップの広さは上述しているが、何よりの特徴はこのマップを最後の街以外、ロード無しで走りまわる事ができる点。スペックによっては道なき道を強引に進んでいく事も可能。 --本当に広大なマップ((建物だけでも200を越える))に、多くのチョロQが存在。その一台ずつに確固たるキャラ付けがなされており、プレイヤーもその世界の住人として、チョロQの住む世界を十分に体感することが出来る。 --イベントやお願い事をこなす事で仲間になる、いわゆる主要キャラポジションのチョロQも。ヒロインこそいないものの、主人公に明確な好意を持っている女性チョロQも存在する。デートイベントの様なものは無いが、チームメイトにできる女性チョロQもいる。 -長いドライブで退屈しない様にラジオ機能((ゲーム内時間に合わせてBGMの内容が変化する機能。3つのラジオチャンネルと、BGMなしの4種類から選べる))まで完備。 --朝には天気予報が流れたり、昼には宇宙人がゲストで来たり、夜には実在バンドの曲を聴けたり、夕方にはトーク番組を楽しめたり。そして深夜にとあるラジオチャンネルのノイズに耳を澄ませると・・・~ とにかく、自分の好きな番組を聞きながらドライブするのもこのゲームの醍醐味の一つ。 ''隠しパーツの性能'' #region(完全クリア後に関わる要素の為クリックで詳細) -本作にもシリーズ恒例のアクマパーツが存在し、スタンプを100個全て集めて、とある住人の元に向かう事で入手できる。さらに本作と同じく街がメインであった『ワンダフォー』と異なり、本作にはタイヤ以外のアクマパーツも存在する。 --本作のアクマのエンジンとアクマのタイヤは、装備すると『チョロQ3』のアクマパーツに勝るとも劣らない非常に高い加速力と速いスピードを発揮する。 ---更にアクマのエンジンは燃料消費が「0」となっており、ジェットタービンを使用し燃料を空にしても走り続ける事ができる。 --このアクマパーツとワールドマップとの相性が非常に良く、並外れたスピードを出しつつ広大なワールドマップを自由に駆け巡る、ジェットタービンなどのオプションパーツと組み合わせてワールドマップの上空を飛行する、などの非常に爽快感のある遊び方ができ、アクマパーツ無しでは本作は語れない程。スタンプを全て集めた後からが本番といっても過言ではないだろう。 #endregion ---- **問題点 ''拙いCPUのレースAI'' -『ワンダフォー』では全体的に難易度が高くなり敷居が上がってしまった部分もあってか、本作では全体的に難易度は低下傾向にある。しかしその難易度の下がり幅が極端すぎて、かえって不評を呼んでいる。 --24台同時出走の弊害か、敵同時がよくぶつかっている事が一つの要因。また、本シリーズ自体がトリッキーなコースレイアウトの多いゲームであり、PS時代に見られた、「跳ね返るような衝突判定」が消え、AIもバック走行もしない結果、~ 壁にぶつかったまま抜け出せなくなってしまうチョロQが出る事も多い。~ 時には壁でハマっていたCPUが、次の週に同じように突っ込んできた別のCPUにぶつけられて抜け出し、ぶつけたCPUが同じ位置でハマっている事も。 ---特にワールドグランプリではチームメイトを含めた順位で優勝が決まるため、チームメイトが動けなくなってしまうと目も当てられない状況に。 --グリップ力の落ちるオフロードコース、長いストレートからの直角カーブなどでは、後から曲がりきれなかったCPUがたくさん突っ込んできて一気に順位を落とすこともある。~ 従って、プレイヤーは適度にパーツを買い替え、コースを理解してスローイン・ファーストアウトを意識すれば、スペック差を除いて大概のレースで勝利する事ができる。PS版チョロQのようにドリフトやブレーキを考えたり、という必要性は終盤まであまりない。 --敵CPUの問題点はチームメイトについても同様であり、例え最高級のパーツを買い揃えても、曲がりきれない敵CPUの群に埋もれ、性能を活かせずにあっさりと差されてしまう事も。逆にオーバルコース(モリモリサーキットII)ではしっかりとパーツに見合ったタイムを刻むなど、全体的にコーナリングのAIの甘さが見える。~ 特に高性能なエンジンとタイヤにいわゆるブーストに当たるジェットタービンを組み合わせた時のオーバルの速さはなかなかの物。 -ただ、難易度が低い分、シリーズ入門としては比較的良いかもしれない。 ''その他レースに関する問題点'' -コース数がやや少ない。 --『ワンダフォー』と比べると多くなったものの、『チョロQ3』などと比較すると少々物足りないかもしれない。同様に、コースの全長そのものも全体的に短く、終盤のスペックだと、大抵のコースは一周1分もかからない。 --もっとも、この点に関してはスプリントレースとして、クリアまでの資金稼ぎの観点から見ると悪いとは言い切れない。複雑な形状のコースも存在している為、それに対する救済措置としての一面もある。 --しかし、資金稼ぎとしてはワールドグランプリやミニゲームの「くるくるルーレット」の方が稼ぎやすい。ただ、前者はスーパーAライセンス取得まで挑戦できず、後者は慣れないと狙い通りの数字に止める事が難しい。 -&bold(){自車の挙動に問題がある。} --左右で曲がりやすさに差があったり、タコメーターがブルブル震え、実車における息継ぎ症状の様に回転・速度共になかなか上がらなかったり、段差では突然、ひっくり返りそうなほど角度を付けて飛び上がる等、不自然な挙動がある。 --中でも息継ぎ症状と段差飛びはレースに大きく関わる部分であり、特に段差での飛び上がりはかなり速度を落とす上、着地までの時間も大きなロスになる為、&bold(){本来であればレースゲームとして致命的。}~ ウィングを装着する事でジャンプの高度を変えられるはずだが、その影響も受けない。全体的な難易度の低さ故に大きな問題にはなっていないが、&bold(){ある程度歯ごたえのある難易度だった場合、この一点でゲームとしての評価を落とす事もあり得る程のポイント。} --また、確率は低いが、壁にめりこんでしまうバグも存在。特定の角度や速度が影響しているらしく、チョロQの性能が上がってくると多発の恐れあり。 ---しかし本作はクラッシュ判定((隠しパーツで壁にぶつかり、無理矢理壁を越えようとすると『クラッシュしました』というメッセージが出現し、メニュー画面やガレージに戻される))がワールドマップでは存在せず、((『クラッシュしました』のメッセージはないが、レース中やミニゲームでは本作にもクラッシュ判定が存在する))ワールド内ではどれだけ壁にめり込もうがQ'sファクトリーに戻されないので、自由度の高さには一応貢献している。 -よって、&bold(){本作は純粋な「レースゲーム」をやりたいプレイヤーに対しては推奨しづらい作品となっている。}この挙動の仕様もあってか、ネット上での評価がアテにならなかったと言うプレイヤーの声も存在する。 -本作は、主に街のボリュームと「チョロQの世界」を上手く表現している点で高い評価を受けているのだが、レース面に関しては他の『チョロQ』シリーズと比較すると、全体的に粗い出来栄えとなっている。 -これらの挙動の問題点は、次作『HG3』では大幅に改善された。 ''その他の細かな問題点'' -オープンワールドという概念が今ほど深く浸透してない時代の作品としては十分工夫が凝らされているが、中には広々と野が広がっているだけで建物やイベントがまったくない場所が存在する。 --裏を返せばその分見つけにくいイベントも存在しないため、あまり頭を使わずに自由に走り回れるというメリットもあるが。 --終盤の目的地に当たるパパイヤアイランドへ向かうには、一つ前の町であるホワイトマウンテンから抜け道を通り、更に海底を抜けて上陸する必要がある。~ ホワイトマウンテンを抜けるまではある程度ガイドがついているが、いざ海底に出ると水中用のスクリュー込みでも身動きが遅い上、パパイヤアイランドまでの距離がそこそこある為、大雑把に西へ進んでいるとナビゲーターにも映らないまま素通りしてしまう事も。 ---ポーズ画面のワールドマップでは島や自車の位置が確認でき、島付近にも島の入り口を示す矢印看板が設置されてはいる。     海底マップも広大であり方向を見失いやすい為、数十分近く海底を彷徨うことも珍しくない。 -あるミニゲームのスタンプが、取得条件のクリアタイムをオーバーしてもスタンプが取れてしまう。但しそのミニゲームは難易度が高い為、救済措置になっている面もあるが。 -BGMが大人しく、PSのタムソフト3部作や『チョロQHG』のようなギターが効いたBGMはラジオの歌でしか聴くことが出来ない。 --大人しいBGMが本作の雰囲気とマッチしていると言う声もない訳ではない。 ---- **総評 E-GAME製『チョロQ』シリーズの前作である『ワンダフォー!』で不満が多かった点をある程度解消。レース面では粗い部分もあるが、それ以外の要素は非常にボリュームが多く、やり込み要素も充実している良作である。~ 難易度は低いものの、かえってそれがとっつきやすく、ゆったりしたゲームを好む方ならおススメ。未だに本作が最高傑作とするファンの数も少なくない。~ 今作以降は町要素は縮小気味であり、今作のように町要素=キャラとのコミュニケーションの多いチョロQシリーズを期待している人も多いのではないだろうか。~ レースゲームとしてみるとあまり良くない出来だが、それを補ってあまりある魅力が本作にはあるだろう。~ 実際、純粋なグラフィックでは前作『HG』よりも大人しめだが、問題視する声はほとんどない。~ // ↑私以外気にしていないと思いますし…。 中古価格は現在でも高額で、廉価版の定価どころか下手な新鋭ソフトや人気作の中古価格すら上回り、一部の名作級プライスタグを付けられている事が多い。~ もしも安値で売っているのを見かけたら手に取ってみるのもいいかもしれない。 ---- **余談 -ボリュームたっぷりなのにもかかわらず、今作はなんとCD-ROMで提供されている。 -本作にはバグによって大幅にショートカットできるコースが2つある。 #region(クリックで詳細) -「ブルルンマウンテン」では、スタート地点からすぐ左側の壁を上手くよじ登って逆走し、コントロールラインを通過すると''あっという間に1位になることができる''。 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=dDSSebrjNhk&t=99s) よじ登る力さえあれば''初期装備に近い性能でも可能''。 -また、E-GAME恒例の空中コース枠である「ブリキンランチ」では、&bold(){ホームストレート付近を往復するだけ}でショートカットできる。~ &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=K7_nTeP9jvI) 但しこちらは隠しパーツなどの多くの装備を揃える必要がある上に、操作も少々難しいのである程度のウデがないとやりづらい。 #endregion //「問題点」ではないと思うので「余談」の項に移動 -HGシリーズとしては攻略本が発売された最後のタイトルである。次作(HG3)以降は発売されていない。 --シリーズ全体では『新コンバットチョロQ』が最後。

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