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*Rance IX -ヘルマン革命- 【らんすないん へるまんかくめい】 |ジャンル|タクティカルRPG|CENTER:&amazon(B00JITTPA0)| |対応機種|Windows XP(SP2以降)/Vista/7/8日本語版|~| |発売・開発元|アリスソフト|~| |発売日|2014年4月25日|~| |価格|パッケージ版 8,800円(税別)&br()ダウンロード版 6,800円(税別)|~| |レーティング|ソフ倫:&color(crimson){''18歳未満禁止''}|~| |ポイント|高評価のストーリー展開・新キャラ&br()最終作への繋ぎとしては及第点の出来&br()やり込み面の奥の浅さは否めない|~| |>|>|CENTER:''[[Ranceシリーズリンク>Ranceシリーズ]]''| ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br()&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}} ---- **概要 -エロゲー界の老舗・アリスソフトの看板シリーズ『Rance』第9作。 --『[[Rance VI>RanceVI -ゼス崩壊-]]』以来久々に、正式タイトルにナンバリングが入る本来のスタイルに戻された(前々作『[[戦国ランス]]』がVIIに、前作『[[ランス・クエスト]]』がVIIIに該当)。 -かねてからランスシリーズは10で完結することが明言されており、クライマックス前の大詰めとなる本作は『Rance III』から続いていた北の大国・ヘルマン帝国絡みのストーリーを回収。~ ''「押し寄せる敵」''というテーマのもとに、元皇子・パットン率いる少数精鋭の革命軍がヘルマンの圧倒的大軍をあの手この手で切り崩していく様子が描かれる。 -戦闘パートは正統派RPGだった前作から、往年のアリスソフトの名作『[[ママトト]]』を彷彿とさせるシミュレーションRPG形式に変更。 -また、シリーズ25年目にして初めての恋愛ADVっぽいパート「ランスモード」が採用され、7人のヒロインを攻略する要素が用意されている((「次作のランス10は大作になりすぎて個別のヒロイン攻略のようなシステムを組み込む余地はなく、今回がラストチャンスなので導入を決断した」とのこと。))。 #br ---- **ストーリー >大陸に現存する国家の中で最も古い歴史を持つ軍事大国、ヘルマン帝国。~ 歴史の中で長く世界最大最強の国家であったこの国は、数年前から続く腐敗政治によってぼろぼろに荒廃し、疲弊している。~ いずれ内乱が起きるか、隣国に攻め込まれるか、その両方か――~ 少なくない人々がそんな終焉を予見する中、かつて国を追われた男が立ち上がった。~ ~ 数年前に功を焦って隣国へ侵攻し、失敗して行方をくらませた皇子、パットン・ミスナルジ。~ いつか国を取り戻すと誓った彼は修行を積み、たくましく成長して帰ってきた。~ 「修行の旅で知り合った一騎当千の猛者を集め、少数精鋭で革命を成し遂げる」~ その作戦の仕上げにパットンが協力を頼んだのは、最強の鬼畜戦士ランスだった。 なお、前作『[[ランス・クエスト]]』では無印版のエンディングと『[[マグナム>ランス・クエスト#id_e7dc93e6]]』版のエンディングという2つの異なる設定が生まれていたが、本作では『マグナム』版のエンディングを正史として引き継いでいる。 #br ---- **特徴・システム 基本的に「イベント」モードを消化していくことでストーリーが進行。戦闘があるイベントではタクティカルバトルに突入するという流れ。~ ストーリーは全16章で構成されており、少々の寄り道要素はあるものの、ほぼ一本道。~ 一周目の初回は正史ルートしか選択することができないが、条件を満たせば終盤に「if」展開である各ヒロインルートへと進むことができる。 ***戦闘関連 -3Dグラフィックで展開される、オーソドックスなシミュレーションRPG(以下、SRPG)形式。~ 戦闘ごとに設定されている「勝利条件」を満たせばステージクリア、「敗北条件」を満たすと一部の戦闘を除いてゲームオーバーとなる。 --完全ターン制となっており、1ターンにマップ内の全てのキャラが1回ずつ行動可能。敵味方を問わず、「素早さ」が高いほど行動順が早くなりやすい(行動順は画面左に一覧表示される)。~ 行動順が回ってきたキャラは移動と行動を行える。本作では行動を選択するとその場でターン終了となり、先に行動してから移動を行うことはできない。 ---行動は「通常攻撃」、キャラによって異なる「特殊行動」「必殺技」、何もしない「行動終了」のいずれかを選択。~ 必殺技は使用回数が限られている上に「発動ゲージ」を消費。発動ゲージは全キャラで共有されており、戦闘中に攻撃を行う/食らうと1、敵を倒す/倒されると3ずつ溜まっていく(最大20までストック可)。 ---なお、本作にはMPは無い。魔法使い職のソーサラーは魔法が通常攻撃扱いなので使い放題である。 --体力が0になると戦闘不能となって離脱。キャラロストはない。 -ステータス類の仕様は少々変わっている。 --レベルの概念は無く、キャラは戦闘によって得られる「熟練ポイント」を消費して強化していく。~ 熟練度の振り分け方は自由だが、キャラによって得意不得意があり、得意な項目は必要な熟練ポイントが少ないため上げやすく、苦手な項目は逆に上げにくくなっている。 --武器と防具はキャラごとに固定で、装備品の付け替えはできない。お金をかけて「武器強化」「防具増装」を実行することで一定確率で攻撃力や装甲値が上昇する。~ ただし防具の「装甲」の強化は一時的なもので、一回攻撃を受けるたびに10ずつ下がっていく(増装実行時に稀に発生するボーナスによって基本値を底上げすることは可能だが、1%ずつしか上がらない)。 ---本作では、装備品による強化はアイテム(一般的なRPGで言う「アクセサリ」類)の付け替えによって行う。 --相手の攻撃を防ぐ「回避」と「受流し」は一回発動するごとに発動率が10%下がる(ターン経過で2%ずつ回復)。キャラによっては「受流し」が発動すると一定確率でカウンター攻撃を繰り出す。~ これに対して「クリティカル量」というステータスがあり、攻撃側のクリティカル量の%分は回避や受流しを無視して必ずダメージを与える(魔法攻撃は回避も受流しも不能なのでクリティカル量は無い)。 --体力が0になった時に踏ん張る確率「ねばり」。発動すると体力1で生き残り、ねばりが10減少する。『[[ロマサガ>ロマンシング サ・ガ2]]』シリーズの「LP」のようなもの。 -浮要塞 --本作の戦闘の特徴的要素。序盤~中盤に入手できる移動魔法要塞で、革命軍一行の攻撃拠点としてストーリー上の大きな鍵を握る。 ---要所で浮要塞を守る戦闘が用意されており、これらの戦闘ではまず「防衛戦」で敵を迎え撃つ。~ 防衛戦で突破を許した場合、浮要塞内部での「最終防衛戦」が発生。ここで動力部を守り切れないとゲームオーバーとなってしまう。 --イベントの合間や戦闘開始前に「浮要塞モード」で整備が可能。整備画面は縦16マス・横21マスで区切られており、この中に機関を設置しておくことで、戦闘中に効果を発揮できる。 --設置できる機関は6種類。 #region(詳細) ---「動力部」:1ブロックにつき、浮要塞の耐久値が50確保される。 ---「魔砲」:1ブロックにつき、レーザー魔法を1発発射可能。 ---「魔壁」:1ブロックにつき、侵攻を妨害する壁を1つ作れる。 ---「魔手」:1ブロックにつき、敵味方問わず任意の場所への移動を1回行える。 ---「魔活」:1ブロックにつき、行動済みの味方を再行動に戻す行為を1回行える。 ---「魔球」:1ブロックにつき、範囲攻撃の爆裂型魔法球を1回使用可能になる。 ---どの機関も1ブロック設置するのに「聖魔ポイント」が必要(聖魔ポイントは戦闘勝利時に得られる)。~ また、初期の状態ではどの機関もサイズが大きく、数個ずつしか設置できないのだが、敵を倒したときにたまに手に入る「聖魔石」を消費して6段階まで小型化が可能で、設置できる数が増える~ (魔砲と魔球は小型化できないが、代わりに威力の強化が可能)。 #endregion ---「動力部」以外の機関は浮要塞が参戦する戦闘において「聖魔法」として使用できる。ただし使用した分の機関は消滅し、再設置しない限り回復はしない。 -この他、いつでも挑戦できる「自由戦闘」が存在。 --本編のストーリーと関連しているものもあるにはあるが、基本的にはレベル上げ用のもの、やり込み用の強敵が多数を占める。 ***ランスモード -7人のヒロインたちを抱いて、めろめろやエロエロにさせていくモード。~ 「入れて出して自分が気持ちよければオーケ! がはは!」だったランス君も少し大人になり、今回はなんとなーく、特に気に入った女の子をじっくり攻めてめろめろにしたい気分、らしい。 -エロシーンは各キャラ4段階まであり(メインヒロインであるルシアンのみ5段階+さらに…が存在)。 --実行するには各種条件を満たす(多くはストーリーの進行に伴って解禁)ことに加え、戦闘勝利時に入手できることがある「猿玉」が必要。~ 新しい段階に進むには3つの猿玉が必要。一回実行した後は猿玉1つで同じ段階の汎用バージョンを見られる。 ---ランスモードを実行すると、イベント後に「蟹玉」を1つ入手できる。~ この「蟹玉」は戦闘時に消費できる強化アイテムのようなもので、装備したキャラの「ねばり」が50アップ、戦闘終了時に得られる熟練ポイントが倍になるメリットを得られる。 --最終章突入時に4段階まで進めているキャラの個別ルートが選択可能(正史ルートを一度クリアすることが条件だが、一周目でもクリア後に終章突入前のセーブデータをロードすると解禁されている)。 --全てのヒロインのルートをクリアすると、CGモードにて正史エンディングとは若干異なる「真・エピローグ」が完成。~ この真ENDにおける設定が正史として次回作に引き継がれるものと思われる。 ***まめ知識 -本編に登場するキャラクターや設定・用語の解説を確認できる、オフラインヘルプ的な要素。 #br **キャラクター #region(登場キャラが多いのでランスと七人のヒロインのみ紹介) -''ランス'' --おなじみ緑の鬼畜主人公。最愛のシィルの解凍法と美人を求めてヘルマンへやってくる。&br()主人公なだけあって全能力が味方の平均値を超えており、汎用性の高い強力なアタッカーとして活躍する。 -''ルシアン・カレット'' --ランスの新たな奴隷となる褐色少女。今までシリーズにいそうでいなかった正統派ヒロイン。正体はお察し。&br()本来はヒーラーなのだが途中で入手できる専用武器が強く、遠隔地にいる敵をどんどん撃ち殺していくことができる。そのため投石機とネタにされる。 -''見当かなみ'' --『ランス1』から長い付き合いのへっぽこ忍者。相変わらず不憫な目にあうかわいそうな子。&br()攻撃力は低いが移動力が高く、敵をすり抜けて動けるという特性を持つ便利なキャラ。特に魔球を持たせての特攻戦術が単純ながらも強い。 -''チルディ・シャープ'' --『クエストにて初登場した野心家の腹黒少女。しかし今作ではその向上心がランスに利用され…。&br()スピードタイプのファイターというべき存在。特に必殺技の性能が単体特化しているためボスキラーとして活躍する。 -''魔想 志津香'' --ランスとは腐れ縁のツンデレ魔法使い。今回は衝撃の展開が彼女を待ち受けることになる。&br()全体的に魔法抵抗が低い敵が多く、必殺技は横3列分×射程∞と広範囲に撃てるので一気に敵をナギ払うことができる。反面防御面は期待できないのでしっかり守る必要がある。 -''戦姫'' --『戦国』にて登場した戦い大好きのクールビューティー。一方で母性的な一面が今作では発揮される。&br()『戦国』での彼女の性能+『ママトト』の奈菜璃とライセンの要素を折半した結果、攻撃範囲の広いガード役という非常に使い勝手のいいユニットに。 -''ピグ・ギリシアム'' --本作にて初登場の純粋無垢なマスコット的存在の少女。最初はヘルマン所属だが色々あって仲間入りする。&br()『ママトト』のシェンナと同じく分身を作って戦うという固有能力を持っている。敵の進行妨害・肉壁・ボスをタコ殴りと応用の幅は広い。 -''ミラクル・トー'' --新キャラ。世界最強クラスの魔女なのだが、中二病で人付き合いが苦手という残念な性格。素直になれないだけで実はいい人。&br()殲滅力と破壊力では魔想さんに若干劣るが、防御・回避面ではこちらが上で必殺技も着弾点指定タイプと安定感と小回りで勝る。 #endregion ---- **評価点 -キッチリとまとまったストーリー --本作の舞台となるヘルマン帝国に関しては『[[鬼畜王ランス]]』などにて既に大まかな設定がお披露目されていたため、革命に関してもある程度は予想通りの規定路線であった。~ その上で、どの部分まで鬼畜王設定を踏襲し、どの程度まで変更を加えてくるのかというのが注目点であったのだが、実際に完成した本作のストーリーは概ねファンが満足できるものとして好評を得た。~ 完結作である『Rance X』に向けて、消化すべき物語はしっかり消化してくれたと言っても良いだろう。 ---最も大きな変更と言えるのが、ヘルマン皇帝・シーラの境遇。 #region(重大なネタバレ要素のため注意) #br ---鬼畜王におけるシーラはただの傀儡皇帝であり、国政の実権を握る実の父による麻薬漬け&近親姦というあんまりにも悲惨な人物として描かれていた。~ しかし本作では父の歪んだ愛情や麻薬には犯されておらず、とある出来事をきっかけに、自らの意思によって軟禁生活を脱出。~ その後ランスとの出会いによって奴隷に身を落とされ、一時は絶望の中に自分を見失いそうになってしまったが、外の世界を知り、周りの人間と触れ合うことで少しずつ人間として成長。~ 現皇帝でありながら帝国に反抗する革命軍の一員として戦うという数奇な運命を辿ることとなる。~ ~ お飾りの皇帝である点は鬼畜王設定を引き継ぎつつ、本来は芯の強い人物として、最終的に救いのある結末に落ち着いたことで、どんな鬼畜展開になるのかと心配していたファンも胸を撫で下ろした。~ 純粋にキャラとして見ても、本作のシーラは内面の葛藤を描くことで、か弱いながら非常に人間味がある人物に仕上がっており、ファンの好感度を一気に上げた。 #br #endregion ---前作『[[ランス・クエスト]]』が、女性キャラ多めのややゆるい展開が目立ったのに対し、本作はパットンをはじめ男性キャラの活躍が光る硬派かつ骨太の展開が目立つ。~ 無論、エロゲーなので女性キャラの比重は依然高いのだが、近年のランスシリーズには無かった男臭さを感じさせる場面が随所に挿入されていることで、「革命」という題材も説得力のあるものに仕上がっている。 --本編の正史ストーリーが割とガチなノリで最後まで突っ切る分、「if」扱いのヒロインルートは良い意味で羽目をはずしたものが多い。~ 国家規模の痴話喧嘩が勃発する見当かなみルート、イカが持っていくピグルート、ハゲが持っていくミラクルルートetc...。 ---中でもストーリー上大きな進展があったのが、シリーズ古参の人気キャラ・魔想志津香に関するサイドストーリー。 #region(重大なネタバレ要素のため注意) #br ---『Rance VI』での事件以来、仇として命を狙われていた志津香の異父妹であるナギ・ス・ラガールとの因縁が、志津香ルートにてついに決着。~ その結末は「死に瀕したナギを前に、志津香が決死の分裂魔法を使用した結果、''姉妹ともども幼女化してしまう''」という斜め上の展開であった…(幼女化の反動でナギの憎しみの記憶は消えた)。~ が、以前は「ナギの血みどろの復讐劇はナギの死以外の展開では解決されないのではないか」との予想がファンの間で多数を占めていたので、これはこれで予想外ながらも理想的な着地点だったと思われる。~ ~ なお、志津香ルートは大人に戻るバージョン・戻れないバージョンの2種類のエンディングが用意されているが、真・エピローグでは二人とも子供のままなので、こちらが正史扱いになる模様。~ 今までの狂気に満ちた表情が嘘のように無邪気に笑うナギの姿や、志津香との姉妹本来の触れ合いの光景に、思わず目頭が熱くなったプレイヤーも多いとか。 #br #endregion ---そして、真・エピローグではあの娘がついに…。 -新キャラとエロシーンの好評 --厨二病全開だけど実際大魔法使いで一見邪悪そうだけど実はただの良い人な新キャラ、ミラクル・トーの人気が上々で、「ランスの女版」とも評されている。~ もう一人の新キャラである改造人間、ピグ・ギリシアムは人気投票では振るわなかったが、コメディリリーフとしては上手く機能している。 ---脇キャラに関しても、素でランスと絶妙の掛け合いを見せる革命軍の後方支援担当、メルシィ・アーチャ、鬼畜王設定からまさかの変貌を遂げた盗賊団のリーダー、エレナ・フラワー、元料理人見習いにして現在パットンの影武者となったポートフ・トカレフなど、良い味を出してくれているキャラが多い。 --また、エロシーンに関しても歴代でも屈指の出来と評されることが多い。~ 要因として、基本的に一発ヤッたら終わりだったランスの心境の変化によって、段階的に女の子をこましていくという今までのシリーズに無かった要素が功を成している。~ メインヒロイン7人を重点に重点に置いてるため一人あたりのHシーンの量や恋愛描写が過去作に比べ内容が濃く、旧キャラ4人が好き、あるいは新キャラ3人が気に入ったという人からかなり好評。 ---…が、ヒロイン以外のエロシーンも評価は上々なので、やはり織音氏らによるCGやシチュエーション設定の良さが光ったということになるだろう。~ 戦姫のエロCGに関してだけは不満も見られるのだが(主に構図の問題で)。 -バランスの良い戦闘 --本作の戦闘は独特のシステムを採用しながら非常に簡潔な仕様になっており、一周目に関しては稼ぎに走らなくてもギリギリ何とかなる程度の絶妙な難易度。~ SRPGだからといって細かな戦略を構築する必要はなく、サクサクと進めることができる。~ 育成も単純に各キャラの利点を伸ばしていけばいいので、育成方針で悩んだりして無駄な時間を浪費することは無い。 ---ただし、後述するやり込み要素に目を向けると物足りなさの一因となるため、一長一短でもあるのだが…。 -堅実な仕上がりのBGM --長らくアリスソフトを支えてきたShade氏が退社したので不安視されていたが、新たな担当者となった三者が手がけたBGMは大国へルマンを舞台にした革命物語にマッチした重厚な曲調で概ね好評。~ どうしてもShadeに比べて、と過去作ファンから言われてしまうことはあるが十分に聴き応えのあるクオリティーである。 --そして正史ルート最終決戦の曲は……。この辺りも『ママトト』プレイヤーには実に嬉しいサプライズとなった。 #br ---- **賛否両論点 -BADエンディング --特定の条件を満たすことで、ヒロイン7人それぞれのBADエンドが見られるようになっているのだが、どれもこれも非常に鬼畜。~ ほとんどは「敵兵に捕縛されて集団陵辱」という流れだけに、いつものランスの鬼畜行為のような酷いなりのギャグ要素などは無い。人によっては胸糞が悪くなるほど容赦無しの鬼畜展開である。 ---ただし予告無しにいきなり、という訳ではなく、しっかり事前警告が入るし、条件を満たしてしまっても「セーフイベント」を選択することで回避できる。~ 決して開発側がユーザーに対する配慮を怠っている訳ではない…が、それでもCGを回収するためには嫌でも一回は見なければならない。 ---しかし、あまりランスシリーズらしくないとはいえ、このような陵辱シーンが好きだという者も実際にいるので、結局は好み次第だろう。 --シーラのBADエンドだけは少々毛色が異なっており、前述の鬼畜王設定を補完するような鬱展開となっている。これも全く救いは無いのだが、鬼畜王プレイ済みなら一見の価値はあり。 #br ---- **問題点 -戦闘の練り込み不足 --バランスの良さとテンポの良さでゲーム性は保たれているが、SRPGとしてははっきり言って作り込みが不足している。特に二周目以降にやり込み要素の薄さが露呈する。 ---まず、技が少ない。各キャラの持ち技は通常攻撃が1つ、職業ごとにほぼ共通の特殊行動が1つに、必殺技が1つの計3つだけである。 ---RPGの華と言える魔法に関しても、ソーサラーはノーコストの通常攻撃で強力な遠距離範囲攻撃ができてしまい、種類も各キャラ1つだけ。属性の概念も無ければ、(必殺技を除けば)呪文の使い分けも無い。~ このため魔法が強すぎる傾向があり、ほとんどの戦闘は「ガードの挑発で敵の攻撃を引き付け、後方からソーサラーの魔法で一掃」という戦法を基本にすれば何とかなってしまう。~ ソーサラーは防御面が非常に弱く、一歩間違えると簡単に死ぬのでバランスは取れているのだが、単調と言わざるを得ない。 ---高低差や地形の概念などは無く、マップの作りも平坦で似たり寄ったりなステージばかり。~ 一応、勝利条件や敗北条件を絞ったり、強制スクロールするマップがあったりと工夫はされているのだが、SRPGならではの利点をいまひとつ活かし切れていない。 ---出撃コストが空気。出撃コストを抑える激レアアイテム「ゴーストパイプ」も空気なので、貴重な激レアアイテムの中で最初の方にこれが出てしまったら悲しい。 --敵の種類も少ない。ストーリー上のメインとなるヘルマン兵との戦闘はほとんどが槍兵・重騎士・魔法兵・弓兵ばかりで構成されており、変わり映えしない。~ 特に弓兵は遠距離からの攻撃は厄介ではあるものの、装填に1ターンかかり、1回攻撃するとまた1ターンかけて装填…というトロくささ。こんな欠陥兵種を主力にしてるヘルマン軍って…。 ---その一方でレリューコフやガームロアといった、直接対決が盛り上がりそうなヘルマンの実力者たちとの戦闘が省略されるという肩透かし感。戦闘用のキャラを作るのが間に合わなかったのだろうか。 --浮要塞の調整が極端。 ---「動力部」は小型化に大量の聖魔石を消費するにもかかわらず、実際はそもそも動力部が活きる最終防衛戦自体が少ない上に、動力部のHPに頼らなければならない状況もほぼ無いので罠に近い。 ---逆に強すぎるのが「魔活」。''魔活が残っている限り、同じキャラを何度でも連続で再行動させてしまえる''ため、「ずっと俺のターン」が可能((ターン終了時に魔活を使用する場合。ターン途中に使用する場合は2キャラを交互に再行動させればずっと俺らのターンが可能。))。~ しかも設置コストが低めな上に小型化の恩恵が大きく、''最大で70個以上も設置できてしまう''。さすがにそこまで強化するにはやり込みが必要だが、こうなるともはや戦略もへったくれも無い。 --自由戦闘の選択の余地の無さ。稼ぎは熟練度稼ぎ用の「ヘルマン砦5」と、アイテム稼ぎ用の「ヘルマン赤備え」(Ver.2.00で追加)の2つさえ繰り返しやっていれば事足りてしまうので、非常に飽きやすい。~ クリアするごとに敵が強くなるやり込み用のステージもあるのだが、クリア時の報酬アイテムは1回しか貰えないので、何度も挑戦する意味があまり無い。 ---そもそもやり込み要素と言えるものがレアアイテム収集ぐらいしか無い。~ 周回用に「×2」「×4」「めちゃくちゃ」モードは用意されているものの、単に敵の強化+補正値が高いアイテムが出る可能性があるだけで、新たな敵などは全く出現しないのでモチベーションに欠ける。~ 2周目で追加イベントとヒロインルートを回収したら飽きて終わり、というプレイヤーも多いと思われる。 ---尤も、この程度のボリュームのエロゲーなどザラにあるのだが、『[[鬼畜王ランス]]』や『[[戦国ランス]]』、直近では『[[ランス・クエスト マグナム>ランス・クエスト#id_e7dc93e6]]』といった、とことん遊び尽くせる名作を輩出しているランスシリーズとしては、どうしても物足りなさを感じてしまう。 --「エロゲーにしては」戦闘グラフィックはかなり頑張ってはいるものの、それでも3Dモデルの出来はせいぜいPS2レベル。技が少ないせいもあって、早々に見飽きてしまう。 -ご都合主義展開の多さ --全体的に見ればストーリーはよくまとまっているのだが、それは「腐敗したヘルマンに立ち向かう革命軍」という構図で見た場合の話。~ 敵対するヘルマン視点で考えると、上層部の判断ミスによって革命軍が助けられる場面が目立つ。政治腐敗しているのでまともな人材が多かったら不自然ではあるが、仮にも超大国という設定だったヘルマンの威厳はどこへ。 ---まず無能の先鋒として登場するのが、第四軍将軍のネロ・チャペット7世。~ 『鬼畜王』では「指揮官としては失格ではあるが、生真面目なエリート」といった彼だったが、本作では正真正銘の無能&クズに成り下がってしまった。彼の発狂顔グラは本作の顔芸ナンバーワンとの評判。 ---「人類最強の女」という設定であるミネバ・マーガレットは強いことは強いのだが、圧倒的というほどの強さを発揮する描写が無く、やや設定負けしてしまった感がある。 ---ヘルマン腐敗の元凶であるステッセル・ロマノフにしても、最終的に器の小ささが露呈してしまい、どうにも小物臭い印象が残ってしまう。~ 全体的に、本作には「魅力のある敵キャラ」が足りないと評されることが多い。 --いくら『3』と『6』でランスの活躍を見てきたと言えど、パットンがランスに心酔しきってるのがやや引っかかる。「ランスの外付け良心回路」ことシィルが不在なので、ストーリーを都合よく展開するにはこうするのが手っ取り早かったのかもしれないが…。 ---『6』であったパットンとランスの対立フラグも一応回収されるものの、その内容に納得がいくかは人による。 -それなりに重要なキャラや設定でも「まめ知識」に項目がない物がある。製作期間がよほどシビアだったのだろうか。 #br ---- **総評 発売直後は高い評価を得ていたが、時が経つにつれて戦闘面の作り込み不足が目立つようになり、やや評価を落とした感のある作品。~ とはいえ、戦闘バランス自体は悪くなく、単体のゲームとして見れば及第点は満たしている。評価を下げたのは『ランス』に求められるハードルの高さゆえという要因も大きいかと思われる。~ ストーリーやエロシーンの出来は良いので、世界観やキャラクターに魅力を感じられる人は買って損はない出来である。~ 超大作となるべく開発が進んでいるランスシリーズ完結編『Rance X』への繋ぎとして、本作をプレイしておくのも悪くないだろう。 ---- **余談 -今作も『マグナム』と同様発売後に追加マップやキャラクターを内含したTADAパッチ(Ver.2.00)が配布された。あちらと同じく非公式・サポート対象外扱いとなっているのでバグ修正目的だけの人はver.1.01の方を適応推奨。 --が、やっぱりVer.2.00でないと修正されてない部分やUIの改善がなされていない部分もある。 -発売を記念し、イラスト印鑑の製作を行っている痛印堂とのコラボ商品としてランス+ヒロインたちの痛判子と限定レザー捺印マットが販売された。 --なんと公的書類にも使えるというファンアイテムに収まらない実用性も高い優れ物。(現在は全て完売済)
*Rance IX -ヘルマン革命- 【らんすないん へるまんかくめい】 |ジャンル|タクティカルRPG|CENTER:&amazon(B00JITTPA0)| |対応機種|Windows XP(SP2以降)/Vista/7/8日本語版|~| |発売・開発元|アリスソフト|~| |発売日|2014年4月25日|~| |価格|パッケージ版 8,800円(税別)&br()ダウンロード版 6,800円(税別)|~| |レーティング|ソフ倫:&color(crimson){''18歳未満禁止''}|~| |ポイント|高評価のストーリー展開・新キャラ&br()最終作への繋ぎとしては及第点の出来&br()やり込み面の奥の浅さは否めない|~| |>|>|CENTER:''[[Ranceシリーズリンク>Ranceシリーズ]]''| ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br()&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}} ---- **概要 -エロゲー界の老舗・アリスソフトの看板シリーズ『Rance』第9作。 --『[[Rance VI>RanceVI -ゼス崩壊-]]』以来久々に、正式タイトルにナンバリングが入る本来のスタイルに戻された(前々作『[[戦国ランス]]』がVIIに、前作『[[ランス・クエスト]]』がVIIIに該当)。 -かねてからランスシリーズは10で完結することが明言されており、クライマックス前の大詰めとなる本作は『Rance III』から続いていた北の大国・ヘルマン帝国絡みのストーリーを回収。~ ''「押し寄せる敵」''というテーマのもとに、元皇子・パットン率いる少数精鋭の革命軍がヘルマンの圧倒的大軍をあの手この手で切り崩していく様子が描かれる。 -戦闘パートは正統派RPGだった前作から、往年のアリスソフトの名作『[[ママトト]]』を彷彿とさせるシミュレーションRPG形式に変更。 -また、シリーズ25年目にして初めての恋愛ADVっぽいパート「ランスモード」が採用され、7人のヒロインを攻略する要素が用意されている((「次作のランス10は大作になりすぎて個別のヒロイン攻略のようなシステムを組み込む余地はなく、今回がラストチャンスなので導入を決断した」とのこと。))。 #br ---- **ストーリー >大陸に現存する国家の中で最も古い歴史を持つ軍事大国、ヘルマン帝国。~ 歴史の中で長く世界最大最強の国家であったこの国は、数年前から続く腐敗政治によってぼろぼろに荒廃し、疲弊している。~ いずれ内乱が起きるか、隣国に攻め込まれるか、その両方か――~ 少なくない人々がそんな終焉を予見する中、かつて国を追われた男が立ち上がった。~ ~ 数年前に功を焦って隣国へ侵攻し、失敗して行方をくらませた皇子、パットン・ミスナルジ。~ いつか国を取り戻すと誓った彼は修行を積み、たくましく成長して帰ってきた。~ 「修行の旅で知り合った一騎当千の猛者を集め、少数精鋭で革命を成し遂げる」~ その作戦の仕上げにパットンが協力を頼んだのは、最強の鬼畜戦士ランスだった。 なお、前作『[[ランス・クエスト]]』では無印版のエンディングと『[[マグナム>ランス・クエスト#id_e7dc93e6]]』版のエンディングという2つの異なる設定が生まれていたが、本作では『マグナム』版のエンディングを正史として引き継いでいる。 #br ---- **特徴・システム 基本的に「イベント」モードを消化していくことでストーリーが進行。戦闘があるイベントではタクティカルバトルに突入するという流れ。~ ストーリーは全16章で構成されており、少々の寄り道要素はあるものの、ほぼ一本道。~ 一周目の初回は正史ルートしか選択することができないが、条件を満たせば終盤に「if」展開である各ヒロインルートへと進むことができる。 ***戦闘関連 -3Dグラフィックで展開される、オーソドックスなシミュレーションRPG(以下、SRPG)形式。~ 戦闘ごとに設定されている「勝利条件」を満たせばステージクリア、「敗北条件」を満たすと一部の戦闘を除いてゲームオーバーとなる。 --完全ターン制となっており、1ターンにマップ内の全てのキャラが1回ずつ行動可能。敵味方を問わず、「素早さ」が高いほど行動順が早くなりやすい(行動順は画面左に一覧表示される)。~ 行動順が回ってきたキャラは移動と行動を行える。本作では行動を選択するとその場でターン終了となり、先に行動してから移動を行うことはできない。 ---行動は「通常攻撃」、キャラによって異なる「特殊行動」「必殺技」、何もしない「行動終了」のいずれかを選択。~ 必殺技は使用回数が限られている上に「発動ゲージ」を消費。発動ゲージは全キャラで共有されており、戦闘中に攻撃を行う/食らうと1、敵を倒す/倒されると3ずつ溜まっていく(最大20までストック可)。 ---なお、本作にはMPは無い。魔法使い職のソーサラーは魔法が通常攻撃扱いなので使い放題である。 --体力が0になると戦闘不能となって離脱。キャラロストはない。 -ステータス類の仕様は少々変わっている。 --レベルの概念は無く、キャラは戦闘によって得られる「熟練ポイント」を消費して強化していく。~ 熟練度の振り分け方は自由だが、キャラによって得意不得意があり、得意な項目は必要な熟練ポイントが少ないため上げやすく、苦手な項目は逆に上げにくくなっている。 --武器と防具はキャラごとに固定で、装備品の付け替えはできない。お金をかけて「武器強化」「防具増装」を実行することで一定確率で攻撃力や装甲値が上昇する。~ ただし防具の「装甲」の強化は一時的なもので、一回攻撃を受けるたびに10ずつ下がっていく(増装実行時に稀に発生するボーナスによって基本値を底上げすることは可能だが、1%ずつしか上がらない)。 ---本作では、装備品による強化はアイテム(一般的なRPGで言う「アクセサリ」類)の付け替えによって行う。 --相手の攻撃を防ぐ「回避」と「受流し」は一回発動するごとに発動率が10%下がる(ターン経過で2%ずつ回復)。キャラによっては「受流し」が発動すると一定確率でカウンター攻撃を繰り出す。~ これに対して「クリティカル量」というステータスがあり、攻撃側のクリティカル量の%分は回避や受流しを無視して必ずダメージを与える(魔法攻撃は回避も受流しも不能なのでクリティカル量は無い)。 --体力が0になった時に踏ん張る確率「ねばり」。発動すると体力1で生き残り、ねばりが10減少する。『[[ロマサガ>ロマンシング サ・ガ2]]』シリーズの「LP」のようなもの。 -浮要塞 --本作の戦闘の特徴的要素。序盤~中盤に入手できる移動魔法要塞で、革命軍一行の攻撃拠点としてストーリー上の大きな鍵を握る。 ---要所で浮要塞を守る戦闘が用意されており、これらの戦闘ではまず「防衛戦」で敵を迎え撃つ。~ 防衛戦で突破を許した場合、浮要塞内部での「最終防衛戦」が発生。ここで動力部を守り切れないとゲームオーバーとなってしまう。 --イベントの合間や戦闘開始前に「浮要塞モード」で整備が可能。整備画面は縦16マス・横21マスで区切られており、この中に機関を設置しておくことで、戦闘中に効果を発揮できる。 --設置できる機関は6種類。 #region(詳細) ---「動力部」:1ブロックにつき、浮要塞の耐久値が50確保される。 ---「魔砲」:1ブロックにつき、レーザー魔法を1発発射可能。 ---「魔壁」:1ブロックにつき、侵攻を妨害する壁を1つ作れる。 ---「魔手」:1ブロックにつき、敵味方問わず任意の場所への移動を1回行える。 ---「魔活」:1ブロックにつき、行動済みの味方を再行動に戻す行為を1回行える。 ---「魔球」:1ブロックにつき、範囲攻撃の爆裂型魔法球を1回使用可能になる。 ---どの機関も1ブロック設置するのに「聖魔ポイント」が必要(聖魔ポイントは戦闘勝利時に得られる)。~ また、初期の状態ではどの機関もサイズが大きく、数個ずつしか設置できないのだが、敵を倒したときにたまに手に入る「聖魔石」を消費して6段階まで小型化が可能で、設置できる数が増える~ (魔砲と魔球は小型化できないが、代わりに威力の強化が可能)。 #endregion ---「動力部」以外の機関は浮要塞が参戦する戦闘において「聖魔法」として使用できる。ただし使用した分の機関は消滅し、再設置しない限り回復はしない。 -この他、いつでも挑戦できる「自由戦闘」が存在。 --本編のストーリーと関連しているものもあるにはあるが、基本的にはレベル上げ用のもの、やり込み用の強敵が多数を占める。 ***ランスモード -7人のヒロインたちを抱いて、めろめろやエロエロにさせていくモード。~ 「入れて出して自分が気持ちよければオーケ! がはは!」だったランス君も少し大人になり、今回はなんとなーく、特に気に入った女の子をじっくり攻めてめろめろにしたい気分、らしい。 -エロシーンは各キャラ4段階まであり(メインヒロインであるルシアンのみ5段階+さらに…が存在)。 --実行するには各種条件を満たす(多くはストーリーの進行に伴って解禁)ことに加え、戦闘勝利時に入手できることがある「猿玉」が必要。~ 新しい段階に進むには3つの猿玉が必要。一回実行した後は猿玉1つで同じ段階の汎用バージョンを見られる。 ---ランスモードを実行すると、イベント後に「蟹玉」を1つ入手できる。~ この「蟹玉」は戦闘時に消費できる強化アイテムのようなもので、装備したキャラの「ねばり」が50アップ、戦闘終了時に得られる熟練ポイントが倍になるメリットを得られる。 --最終章突入時に4段階まで進めているキャラの個別ルートが選択可能(正史ルートを一度クリアすることが条件だが、一周目でもクリア後に終章突入前のセーブデータをロードすると解禁されている)。 --全てのヒロインのルートをクリアすると、CGモードにて正史エンディングとは若干異なる「真・エピローグ」が完成。~ この真ENDにおける設定が正史として次回作に引き継がれるものと思われる。 ***まめ知識 -本編に登場するキャラクターや設定・用語の解説を確認できる、オフラインヘルプ的な要素。 #br **キャラクター #region(登場キャラが多いのでランスと七人のヒロインのみ紹介) -''ランス'' --おなじみ緑の鬼畜主人公。最愛のシィルの解凍法と美人を求めてヘルマンへやってくる。&br()主人公なだけあって全能力が味方の平均値を超えており、汎用性の高い強力なアタッカーとして活躍する。 -''ルシアン・カレット'' --ランスの新たな奴隷となる褐色少女。今までシリーズにいそうでいなかった正統派ヒロイン。正体はお察し。&br()本来はヒーラーなのだが途中で入手できる専用武器が強く、遠隔地にいる敵をどんどん撃ち殺していくことができる。そのため投石機とネタにされる。 -''見当かなみ'' --『ランス1』から長い付き合いのへっぽこ忍者。相変わらず不憫な目にあうかわいそうな子。&br()攻撃力は低いが移動力が高く、敵をすり抜けて動けるという特性を持つ便利なキャラ。特に魔球を持たせての特攻戦術が単純ながらも強い。 -''チルディ・シャープ'' --『クエストにて初登場した野心家の腹黒少女。しかし今作ではその向上心がランスに利用され…。&br()スピードタイプのファイターというべき存在。特に必殺技の性能が単体特化しているためボスキラーとして活躍する。 -''魔想 志津香'' --ランスとは腐れ縁のツンデレ魔法使い。今回は衝撃の展開が彼女を待ち受けることになる。&br()全体的に魔法抵抗が低い敵が多く、必殺技は横3列分×射程∞と広範囲に撃てるので一気に敵をナギ払うことができる。反面防御面は期待できないのでしっかり守る必要がある。 -''戦姫'' --『戦国』にて登場した戦い大好きのクールビューティー。一方で母性的な一面が今作では発揮される。&br()『戦国』での彼女の性能+『ママトト』の奈菜璃とライセンの要素を折半した結果、攻撃範囲の広いガード役という非常に使い勝手のいいユニットに。 -''ピグ・ギリシアム'' --本作にて初登場の純粋無垢なマスコット的存在の少女。最初はヘルマン所属だが色々あって仲間入りする。&br()『ママトト』のシェンナと同じく分身を作って戦うという固有能力を持っている。敵の進行妨害・肉壁・ボスをタコ殴りと応用の幅は広い。 -''ミラクル・トー'' --新キャラ。世界最強クラスの魔女なのだが、中二病で人付き合いが苦手という残念な性格。素直になれないだけで実はいい人。&br()殲滅力と破壊力では魔想さんに若干劣るが、防御・回避面ではこちらが上で必殺技も着弾点指定タイプと安定感と小回りで勝る。 #endregion ---- **評価点 -キッチリとまとまったストーリー --本作の舞台となるヘルマン帝国に関しては『[[鬼畜王ランス]]』などにて既に大まかな設定がお披露目されていたため、革命に関してもある程度は予想通りの規定路線であった。~ その上で、どの部分まで鬼畜王設定を踏襲し、どの程度まで変更を加えてくるのかというのが注目点であったのだが、実際に完成した本作のストーリーは概ねファンが満足できるものとして好評を得た。~ 完結作である『Rance X』に向けて、消化すべき物語はしっかり消化してくれたと言っても良いだろう。 ---最も大きな変更と言えるのが、ヘルマン皇帝・シーラの境遇。 #region(重大なネタバレ要素のため注意) #br ---鬼畜王におけるシーラはただの傀儡皇帝であり、国政の実権を握る実の父による麻薬漬け&近親姦というあんまりにも悲惨な人物として描かれていた。~ しかし本作では父の歪んだ愛情や麻薬には犯されておらず、とある出来事をきっかけに、自らの意思によって軟禁生活を脱出。~ その後ランスとの出会いによって奴隷に身を落とされ、一時は絶望の中に自分を見失いそうになってしまったが、外の世界を知り、周りの人間と触れ合うことで少しずつ人間として成長。~ 現皇帝でありながら帝国に反抗する革命軍の一員として戦うという数奇な運命を辿ることとなる。~ ~ お飾りの皇帝である点は鬼畜王設定を引き継ぎつつ、本来は芯の強い人物として、最終的に救いのある結末に落ち着いたことで、どんな鬼畜展開になるのかと心配していたファンも胸を撫で下ろした。~ 純粋にキャラとして見ても、本作のシーラは内面の葛藤を描くことで、か弱いながら非常に人間味がある人物に仕上がっており、ファンの好感度を一気に上げた。 #br #endregion ---前作『[[ランス・クエスト]]』が、女性キャラ多めのややゆるい展開が目立ったのに対し、本作はパットンをはじめ男性キャラの活躍が光る硬派かつ骨太の展開が目立つ。~ 無論、エロゲーなので女性キャラの比重は依然高いのだが、近年のランスシリーズには無かった男臭さを感じさせる場面が随所に挿入されていることで、「革命」という題材も説得力のあるものに仕上がっている。 --本編の正史ストーリーが割とガチなノリで最後まで突っ切る分、「if」扱いのヒロインルートは良い意味で羽目をはずしたものが多い。~ 国家規模の痴話喧嘩が勃発する見当かなみルート、イカが持っていくピグルート、ハゲが持っていくミラクルルートetc...。 ---中でもストーリー上大きな進展があったのが、シリーズ古参の人気キャラ・魔想志津香に関するサイドストーリー。 #region(重大なネタバレ要素のため注意) #br ---『Rance VI』での事件以来、仇として命を狙われていた志津香の異父妹であるナギ・ス・ラガールとの因縁が、志津香ルートにてついに決着。~ その結末は「死に瀕したナギを前に、志津香が決死の分裂魔法を使用した結果、''姉妹ともども幼女化してしまう''」という斜め上の展開であった…(幼女化の反動でナギの憎しみの記憶は消えた)。~ が、以前は「ナギの血みどろの復讐劇はナギの死以外の展開では解決されないのではないか」との予想がファンの間で多数を占めていたので、これはこれで予想外ながらも理想的な着地点だったと思われる。~ ~ なお、志津香ルートは大人に戻るバージョン・戻れないバージョンの2種類のエンディングが用意されているが、真・エピローグでは二人とも子供のままなので、こちらが正史扱いになる模様。~ 今までの狂気に満ちた表情が嘘のように無邪気に笑うナギの姿や、志津香との姉妹本来の触れ合いの光景に、思わず目頭が熱くなったプレイヤーも多いとか。 #br #endregion ---そして、真・エピローグではあの娘がついに…。 -新キャラとエロシーンの好評 --厨二病全開だけど実際大魔法使いで一見邪悪そうだけど実はただの良い人な新キャラ、ミラクル・トーの人気が上々で、「ランスの女版」とも評されている。~ もう一人の新キャラである改造人間、ピグ・ギリシアムは人気投票では振るわなかったが、コメディリリーフとしては上手く機能している。 ---脇キャラに関しても、素でランスと絶妙の掛け合いを見せる革命軍の後方支援担当、メルシィ・アーチャ、鬼畜王設定からまさかの変貌を遂げた盗賊団のリーダー、エレナ・フラワー、元料理人見習いにして現在パットンの影武者となったポートフ・トカレフなど、良い味を出してくれているキャラが多い。 --また、エロシーンに関しても歴代でも屈指の出来と評されることが多い。~ 要因として、基本的に一発ヤッたら終わりだったランスの心境の変化によって、段階的に女の子をこましていくという今までのシリーズに無かった要素が功を成している。~ メインヒロイン7人を重点に重点に置いてるため一人あたりのHシーンの量や恋愛描写が過去作に比べ内容が濃く、旧キャラ4人が好き、あるいは新キャラ3人が気に入ったという人からかなり好評。 ---…が、ヒロイン以外のエロシーンも評価は上々なので、やはり織音氏らによるCGやシチュエーション設定の良さが光ったということになるだろう。~ 戦姫のエロCGに関してだけは不満も見られるのだが(主に構図の問題で)。 -バランスの良い戦闘 --本作の戦闘は独特のシステムを採用しながら非常に簡潔な仕様になっており、一周目に関しては稼ぎに走らなくてもギリギリ何とかなる程度の絶妙な難易度。~ SRPGだからといって細かな戦略を構築する必要はなく、サクサクと進めることができる。~ 育成も単純に各キャラの利点を伸ばしていけばいいので、育成方針で悩んだりして無駄な時間を浪費することは無い。 ---ただし、後述するやり込み要素に目を向けると物足りなさの一因となるため、一長一短でもあるのだが…。 -堅実な仕上がりのBGM --長らくアリスソフトを支えてきたShade氏が退社したので不安視されていたが、新たな担当者となった三者が手がけたBGMは大国へルマンを舞台にした革命物語にマッチした重厚な曲調で概ね好評。~ どうしてもShadeに比べて、と過去作ファンから言われてしまうことはあるが十分に聴き応えのあるクオリティーである。 --そして正史ルート最終決戦の曲は……。この辺りも『ママトト』プレイヤーには実に嬉しいサプライズとなった。 #br ---- **賛否両論点 -BADエンディング --特定の条件を満たすことで、ヒロイン7人それぞれのBADエンドが見られるようになっているのだが、どれもこれも非常に鬼畜。~ ほとんどは「敵兵に捕縛されて集団陵辱」という流れだけに、いつものランスの鬼畜行為のような酷いなりのギャグ要素などは無い。人によっては胸糞が悪くなるほど容赦無しの鬼畜展開である。 ---ただし予告無しにいきなり、という訳ではなく、しっかり事前警告が入るし、条件を満たしてしまっても「セーフイベント」を選択することで回避できる。~ 決して開発側がユーザーに対する配慮を怠っている訳ではない…が、それでもCGを回収するためには嫌でも一回は見なければならない。 ---しかし、あまりランスシリーズらしくないとはいえ、このような陵辱シーンが好きだという者も実際にいるので、結局は好み次第だろう。 --シーラのBADエンドだけは少々毛色が異なっており、前述の鬼畜王設定を補完するような鬱展開となっている。これも全く救いは無いのだが、鬼畜王プレイ済みなら一見の価値はあり。 #br ---- **問題点 -戦闘の練り込み不足 --バランスの良さとテンポの良さでゲーム性は保たれているが、SRPGとしてははっきり言って作り込みが不足している。特に二周目以降にやり込み要素の薄さが露呈する。 ---まず、技が少ない。各キャラの持ち技は通常攻撃が1つ、職業ごとにほぼ共通の特殊行動が1つに、必殺技が1つの計3つだけである。 ---RPGの華と言える魔法に関しても、ソーサラーはノーコストの通常攻撃で強力な遠距離範囲攻撃ができてしまい、種類も各キャラ1つだけ。属性の概念も無ければ、(必殺技を除けば)呪文の使い分けも無い。~ このため魔法が強すぎる傾向があり、ほとんどの戦闘は「ガードの挑発で敵の攻撃を引き付け、後方からソーサラーの魔法で一掃」という戦法を基本にすれば何とかなってしまう。~ ソーサラーは防御面が非常に弱く、一歩間違えると簡単に死ぬのでバランスは取れているのだが、単調と言わざるを得ない。 ---高低差や地形の概念などは無く、マップの作りも平坦で似たり寄ったりなステージばかり。~ 一応、勝利条件や敗北条件を絞ったり、強制スクロールするマップがあったりと工夫はされているのだが、SRPGならではの利点をいまひとつ活かし切れていない。 ---出撃コストが空気。出撃コストを抑える激レアアイテム「ゴーストパイプ」も空気なので、貴重な激レアアイテムの中で最初の方にこれが出てしまったら悲しい。 --敵の種類も少ない。ストーリー上のメインとなるヘルマン兵との戦闘はほとんどが槍兵・重騎士・魔法兵・弓兵ばかりで構成されており、変わり映えしない。~ 特に弓兵は遠距離からの攻撃は厄介ではあるものの、装填に1ターンかかり、1回攻撃するとまた1ターンかけて装填…というトロくささ。こんな欠陥兵種を主力にしてるヘルマン軍って…。 ---その一方でレリューコフやガームロアといった、直接対決が盛り上がりそうなヘルマンの実力者たちとの戦闘が省略されるという肩透かし感。戦闘用のキャラを作るのが間に合わなかったのだろうか。 --浮要塞の調整が極端。 ---「動力部」は小型化に大量の聖魔石を消費するにもかかわらず、実際はそもそも動力部が活きる最終防衛戦自体が少ない上に、動力部のHPに頼らなければならない状況もほぼ無いので罠に近い。 ---逆に強すぎるのが「魔活」。''魔活が残っている限り、同じキャラを何度でも連続で再行動させてしまえる''ため、「ずっと俺のターン」が可能((ターン終了時に魔活を使用する場合。ターン途中に使用する場合は2キャラを交互に再行動させればずっと俺らのターンが可能。))。~ しかも設置コストが低めな上に小型化の恩恵が大きく、''最大で70個以上も設置できてしまう''。さすがにそこまで強化するにはやり込みが必要だが、こうなるともはや戦略もへったくれも無い。 --自由戦闘の選択の余地の無さ。稼ぎは熟練度稼ぎ用の「ヘルマン砦5」と、アイテム稼ぎ用の「ヘルマン赤備え」(Ver.2.00で追加)の2つさえ繰り返しやっていれば事足りてしまうので、非常に飽きやすい。~ クリアするごとに敵が強くなるやり込み用のステージもあるのだが、クリア時の報酬アイテムは1回しか貰えないので、何度も挑戦する意味があまり無い。 ---そもそもやり込み要素と言えるものがレアアイテム収集ぐらいしか無い。~ 周回用に「×2」「×4」「めちゃくちゃ」モードは用意されているものの、単に敵の強化+補正値が高いアイテムが出る可能性があるだけで、新たな敵などは全く出現しないのでモチベーションに欠ける。~ 2周目で追加イベントとヒロインルートを回収したら飽きて終わり、というプレイヤーも多いと思われる。 ---尤も、この程度のボリュームのエロゲーなどザラにあるのだが、『[[鬼畜王ランス]]』や『[[戦国ランス]]』、直近では『[[ランス・クエスト マグナム>ランス・クエスト#id_e7dc93e6]]』といった、とことん遊び尽くせる名作を輩出しているランスシリーズとしては、どうしても物足りなさを感じてしまう。 --「エロゲーにしては」戦闘グラフィックはかなり頑張ってはいるものの、それでも3Dモデルの出来はせいぜいPS2レベル。技が少ないせいもあって、早々に見飽きてしまう。 -ご都合主義展開の多さ --全体的に見ればストーリーはよくまとまっているのだが、それは「腐敗したヘルマンに立ち向かう革命軍」という構図で見た場合の話。~ 敵対するヘルマン視点で考えると、上層部の判断ミスによって革命軍が助けられる場面が目立つ。~ 政治腐敗しているのでまともな人材が多かったら不自然ではあるが、腐っても超大国という設定だったはずのヘルマンの威厳はどこへ。 ---まず無能の先鋒として登場するのが、第四軍将軍のネロ・チャペット7世。~ 『鬼畜王』では「指揮官としては失格ではあるが、生真面目なエリート」といった彼だったが、本作では正真正銘の無能&クズに成り下がってしまった。彼の発狂顔グラは本作の顔芸ナンバーワンとの評判。 ---「人類最強の女」という設定であるミネバ・マーガレットは強いことは強いのだが、圧倒的というほどの強さを発揮する描写が無く、やや設定負けしてしまった感がある。 ---ヘルマン腐敗の元凶であるステッセル・ロマノフにしても、最終的に器の小ささが露呈してしまい、どうにも小物臭い印象が残ってしまう。~ 全体的に、本作には「魅力のある敵キャラ」が足りないと評されることが多い。 --いくら『3』と『6』でランスの活躍を見てきたと言えど、パットンがランスに心酔しきってるのがやや引っかかる。「ランスの外付け良心回路」ことシィルが不在なので、ストーリーを都合よく展開するにはこうするのが手っ取り早かったのかもしれないが…。 ---『6』であったパットンとランスの対立フラグも一応回収されるものの、その内容に納得がいくかは人による。 -それなりに重要なキャラや設定でも「まめ知識」に項目がない物がある。製作期間がよほどシビアだったのだろうか。 #br ---- **総評 発売直後は高い評価を得ていたが、時が経つにつれて戦闘面の作り込み不足が目立つようになり、やや評価を落とした感のある作品。~ とはいえ、戦闘バランス自体は悪くなく、単体のゲームとして見れば及第点は満たしている。評価を下げたのは『ランス』に求められるハードルの高さゆえという要因も大きいかと思われる。~ ストーリーやエロシーンの出来は良いので、世界観やキャラクターに魅力を感じられる人は買って損はない出来である。~ 超大作となるべく開発が進んでいるランスシリーズ完結編『Rance X』への繋ぎとして、本作をプレイしておくのも悪くないだろう。 ---- **余談 -今作も『マグナム』と同様発売後に追加マップやキャラクターを内含したTADAパッチ(Ver.2.00)が配布された。あちらと同じく非公式・サポート対象外扱いとなっているのでバグ修正目的だけの人はver.1.01の方を適応推奨。 --が、やっぱりVer.2.00でないと修正されてない部分やUIの改善がなされていない部分もある。 -発売を記念し、イラスト印鑑の製作を行っている痛印堂とのコラボ商品としてランス+ヒロインたちの痛判子と限定レザー捺印マットが販売された。 --なんと公的書類にも使えるというファンアイテムに収まらない実用性も高い優れ物。(現在は全て完売済)

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