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*ウルトラ警備隊 空想特撮ゲーム 【うるとらけいびたい くうそうとくさつげーむ】 |ジャンル|シューティング|~| |対応機種|アーケード|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|セタ|~| |稼働開始日|1996年|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ウルトラマンゲームリンク>ウルトラマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ウルトラシリーズ30周年を記念して制作された、ウルトラシリーズとのタイアップ作品としては異色のシューティング作品。~ しかも本作の主役はウルトラ戦士ではなく、初代『[[ウルトラマン>ウルトラマン (SFC)]]』から『ウルトラマン80』までの時代に活躍した防衛隊である。~ 彼らが有する対怪獣用戦闘機を自機として操作し、全7ステージの攻略を目指す。 **内容 -内容は1レバー3ボタン式の縦スクロールシューティングゲームである。1ボタンがショット、2ボタンが機雷、3ボタンがウルトラボムとなっている。 --ショットはボタンを押しっぱなしにすると一定時間発射し続けて、しばらくすると途切れる。再び発射するには再度ボタンを押す必要がある。 --機雷はボタンを押した際に入力していたレバーの方向に向かって発射され、一定時間その場に浮遊する。同時に最大8発まで発射可能で、時間の経過もしくは敵との接触で消滅する。その威力はかなり強烈。 ---本作はこの機雷の使い方が鍵となる。あらかじめ耐久力の高い敵の登場する場所に設置して、出現した敵を機雷で撃退し自機は別の敵の対処に回るという戦法が極めて有効。 ---但しこれは、敵の出現パターンを把握しきれていない内は苦戦を強いられやすいという事でもある。所謂「覚えゲー」。 --ボムを発動すると自機に対応したウルトラマンが駆けつけて援護攻撃を行う。発動はウルトラマンの登場シーンから始まり、ウルトラマンが画面外に飛び去るまで自機は無敵状態となる。 -自機はアイテムキャリアーを倒すと落とすアイテムを取ることでパワーアップする。 #region(アイテム一覧) -P:ショットをパワーアップする。最大16段階まで。ショットを限界まで強化した時点でPアイテムを獲得すると自機の左右からサイドショットが発射されるようになる。 --ただし限界まで強化した場合Pアイテムが出現しなくなるため、サイドショットまで強化したい場合は限界一歩手前の段階でPアイテムを2つ出現させておく必要がある。 -M:追尾ミサイルを発射できるようになる。獲得するごとに発射される数が増加し、最大で6発まで同時に発射できるようになる。 -B:ウルトラボムの残弾が1発分追加される。ストックは最大9発まで。 -1UP:残機が1増える。 -?:ショット及びミサイルが一気に限界まで強化される。サイドショットも発射可能。 -正八面体:(獲得時の得点の100の位の数+1)×1000点のボーナス点がもらえる。100の位の数が9のときは9000点のボーナスとなる。 #endregion #region(自機紹介) -科学特捜隊 --『ウルトラQ』の事件を受けて設立された、初代『ウルトラマン』の防衛隊。正式名称は「国際科学警察機構 科学特別捜査隊」。「科特隊」と略すことも。アルファベットだと「SSSP(Science Special Search Party)」((劇中でそう呼ばれたことはないが、ジェットビートルの翼等には書かれている。))。 --自機:ジェットビートル ---攻撃力は低いものの、移動速度は全機体中最速である。 --ウルトラボム:スペシウム光線 ---ウルトラマンが画面広範囲にスペシウム光線を発射する。持続時間は比較的長い。 -ウルトラ警備隊 --『[[ウルトラセブン]]』の防衛隊。正式名称は「地球防衛軍 極東支部 ウルトラ警備隊」。「ウルトラ」とは極東支部内の精鋭部隊という意味で、ウルトラ一族とは特に関係無い((そもそもウルトラ一族と言う設定自体が『帰ってきたウルトラマン』からの後付け設定。))。アルファベットでの略称は「TDF-UG(Terrestrial Defense Force - Ultla Guard)」。 --自機:ウルトラホーク1号 ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃範囲が拡大する。 --ウルトラボム:アイスラッガー ---ウルトラセブンがアイスラッガーを投げて画面広範囲を攻撃する。 -MAT --『帰ってきたウルトラマン』の防衛隊。正式名称は「Monster Attack Team」 ウルトラマンの援護に関しては歴代最高峰の有能さを誇る。 --自機:マットアロー1号 ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。 --ウルトラボム:八つ裂き光輪 ---ウルトラマンジャックが正面に八つ裂き光輪を発射する。攻撃範囲は狭いが、威力は高い。 -TAC --『ウルトラマンA』の防衛隊。超獣ベロクロンによって地球防衛軍が壊滅した後に設立された組織で正式名称は「Terrible-monster Attacking Crew((「Terrible-monster」で「凄いモンスター=超獣」を指すらしい。))』。隊員関係の劣悪さは今でも語り草になる程((尤も、肝心な時にいつもいなかったり、ウルトラ超能力を基に独断先行する主人公を一切咎めない他の防衛隊が緩過ぎるとも言えるが。))。 --自機:タックスペース ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃範囲が拡大する。 --ウルトラボム:バーチカルギロチン ---ウルトラマンAが正面にバーチカルギロチンを発射する。ウルトラマンジャックの八つ裂き光輪同様、攻撃範囲は狭いが威力は高い。 -ZAT --『ウルトラマンタロウ』の防衛隊。%%後付け設定の%%正式名称は「Zariba of All Territory(Zariba of All Terestrialとも)((『怪獣VOW』で「Zaribaなんて英語は無いぞ」と突っ込まれていたが、アフリカ語で「茨で作られた柵」と言う意味。))」 数多くの怪獣を倒すなど有能だが、珍作戦の多さでも有名。 --自機:コンドル1号 ---移動速度は若干遅いが、ショットの攻撃範囲は最高レベルになると全機体中最も広くなる。 --ウルトラボム:ストリウム光線 ---ウルトラマンタロウが画面広範囲をストリウム光線で攻撃する。発射の前には「溜め」の動作があるため、ウルトラマンのスペシウム光線より無敵時間は長い。 -MAC --『ウルトラマンレオ』の防衛隊。正式名称は「Monster Attacking Crew」。昭和シリーズで唯一全滅した防衛隊として(悪い意味で)有名((当時のオイルショックによる予算削減が原因とされている。なお平成シリーズだと第1話で全滅した「GUYS JAPAN」(ウルトラマンメビウス)もあるが、すぐに再編成されている(そもそも主人公の入隊は再編成後の話)。))、全滅前でも(無名隊員を含め)やたらと殉職者が多い。 --自機:マッキー3号 ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。 --ウルトラボム:レオ全身発光 ---ウルトラマンレオが前方をレオ全身発光で攻撃する。拡散型。 -UGM --『ウルトラマン80』の防衛隊。正式名称は「Utility Government Members」。物語前半は主人公が中学教師と防衛隊を兼任したいたせいで中学校の場面の方が多く((一般的に『3年B組金八先生』の人気にあやかったものと言われている。))、しばしば存在感が薄いと揶揄されるが、最終回では80の力を借りず単独で怪獣を退治したという実績もある。 --自機:シルバーガル ---移動速度は最低だが、ショットを強化すれば貫通レーザーを発射できるようになる。その攻撃力は間違いなく全機体中トップクラス。 --ウルトラボム:ウルトラスパイラルビーム ---ウルトラマン80が正面にウルトラスパイラルビームを発射して攻撃する。 #endregion -ステージは難易度順に日本(ウルトラマン)・アメリカ(セブン)・ヨーロッパ(ジャック)・中国(エース)・上空(タロウ)・宇宙(レオ)・月面(80)となっており、最初の4ステージは任意で選択可能。 -自機が撃墜された時、ランダムでウルトラの父が現れることがある。現れた際はウルトラアレイで画面全体を攻撃し去っていく。ウルトラの父の攻撃中も自機は完全無敵状態。 **評価点 -おなじみの怪獣・宇宙人達 --登場する敵は全て歴代ウルトラシリーズに登場した怪獣・宇宙人・宇宙船である。ウルトラシリーズのファンならば戦いながら「あ、お前は!!」となること必至だろう。 --作中登場する宇宙船は原作で映る場面が少ないこともあり、相当コアなファンでもなければ全ての宇宙船とそれに乗っている宇宙人を言い当てるのは不可能に近い。もし本作に登場する全ての宇宙船を知っているのであれば、堂々とウルトラ博士を自称しても許されるレベルである((一例として改造巨大ヤプールの宇宙船やアイロス星人の円盤が出現する。))。 --登場する怪獣の中には、多くの視聴者にトラウマを植え付けた「円盤生物」たちも存在する。マッキー3号を選択すれば「円盤生物を相手にMACが逆襲をかける」というifを思わせる構図を作り上げることも可能。これはこれで中々に楽しい。 ---原作『ウルトラマンレオ』で最初に登場した円盤生物にして多くの民間人を殺害、さらにはMACを壊滅させ、視聴者にトラウマを植えつけたシルバーブルーメをはじめ、アブソーバ、デモス、更に宇宙ステージのボスとしてノーバが登場する。 //元の文章だと円盤生物たちと戦いつづけてついには壊滅したMAC、と読み取れるので。 --マイナー怪獣も多く、ゲランやファイヤードラコ等他のゲーム作品では見られない怪獣((怪獣ではないが、雑魚敵として直接戦うことのなかったポール星人も登場する。))も多い。 -ウルトラボムの存在 --ウルトラマンのゲームである以上ウルトラマンが登場するのは当然の事だが、前述の通り主役ではなくプレイヤーをサポートする味方としての登場である。これによりウルトラマンの「ギリギリまでがんばって、それでもどうにもならない時に現れ助けてくれる」と言うヒーローとしての存在感が一層際立つようになっている。 ---ゲームの構成が「自分がウルトラマンとなって防衛隊を助ける」ではなく「防衛隊となった自分をウルトラマンが助けてくれる」となっている為、あたかも本当に防衛隊員になったような気分を味わえる。ファンアイテムの要素としても、ウルトラボムというシステムは非常に優れたものだと評価できるだろう。 --この設定により本作では他のウルトラマンゲームにありがちな「ウルトラマンの敗北」は絶対に存在しない。%%怪獣を倒し切らずに帰っちゃうって事だけどね。%% -使用されているBGM --それぞれのステージで使用されているBGMは歴代ウルトラシリーズの主題歌。ウルトラマンシリーズのゲームとして、実に分かっているチョイスである。 ---宇宙ステージのBGMは原作で1クール目のみに使用された主題歌「ウルトラマンレオ」。 --前半の4ステージではボス戦BGMとして「ワンダバ」こと「TACの歌」が使用されている。こちらも聴いているだけで気分が盛り上がる曲の為ボス戦のBGMとしてはぴったりである。 -コンティニューが容易 --ゲームオーバー後にコンティニューした際はその場からの復帰となる。 ---コンティニューからの復帰時には、確実にウルトラの父が現れて画面の敵を一掃する。その為復帰は他のSTGと比較しても容易な方。 **難点 -難易度が高い --本作はウルトラシリーズという版権作品とタイアップした所謂キャラゲーであるが、その難易度は非常に高い。ゲーム(特にSTG)に慣れていないファンであった場合は、本作でのファンサービスを満喫する前にその難易度で心を圧し折られる可能性が高い。 --一例としてペテロの様に倒した後に大量の弾をばらまいたり、タッコングのように八方に弾を発砲する怪獣が登場する。 --特に最終ステージは、STG上級者ですらウルトラボム連発によるゴリ押しを強いられる程にピンチの連続するステージ構成となっている。 #region(高難度の原因として、以下の要素が挙げられる。一応ネタばれ注意) -アイテムキャリアーとなる雑魚敵が妙に強い。耐久力が比較的高い上、常に自機をめがけて攻撃してくる。 --さらにこのアイテムキャリアーがボス戦であってもお構いなく出現するため、ボスの相手をしながら固い雑魚の処理をしなければならない。 -上空ステージボスのゲランがやたら強い。当たり判定は頭にしか存在せず、高速で首を伸ばす攻撃は攻撃してくるタイミングを事前に予習していないと確実に直撃する。 --巨大な体でいながら画面中央に陣取り、上記の当たり判定であるため、攻撃時は画面下の狭い範囲に行くことを余儀なくされるのも難易度上昇の一因となっている。 --そもそもなぜゲランが上空ステージのボスなのか。此奴の設定は「地底1万メートルで冬眠していた地底竜」の筈である。とてもではないが飛行能力があるとは考え難い。 ---それまでのステージボスがバルタン星人・キングジョー・ベムスター・バキシムと知名度の高い怪獣たちなのに、いまひとつ知名度の低いゲランが選ばれた、というのも謎。空中戦ならバードンがまず挙がるし、タイラントやテンペラー星人など、ボスにふさわしい大怪獣はいるのに。 -月面ステージの道中に難所が多く、しかも道中自体が長い。 --特に道中の左右両側からドリルが伸びてくるエリアと、ビームによって進路が阻まれるエリアはどちらも「移動できる範囲が限られる」「障害物が自機のショットを阻むため奥から現れる敵の対処が難しい」「障害物に触れるとミス」という三重苦。 -エクステンドが難しい。 --本作では得点によるエクステンドが存在しない。エクステンド手段はアイテムキャリアーが極稀に落とす1UPアイテムを獲得する事のみ。 --残機を犠牲にして強行突破、という戦法ではあっという間にジリ貧に追い込まれる。本作においては可能な限りノーミスで進むことを心がけ「エクステンドできれば儲けもの」位に考えるべき。 #endregion -自機の性能差が大きい --具体的に不遇機体を挙げるとするならば、マットアロー1号とマッキー3号がその筆頭であろう。 ---どう不遇なのかというと「特徴らしい特徴が無い」この一点に尽きる。紹介項目で「ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。」と書いたが、本当にこんな当たり前の事位しか取り立てて書けるような特徴が無いのである。~ ファンの中にはこれらの作品に思い入れのある人もいそうなものだが、この扱いはあんまりと言う他無い。 ---名誉のために付言すると、どうしようもないほど扱いにくいという訳ではない。しかし他の機体と比較するとどうしても見劣りしてしまう。 //「こういう長所があるだろう。」という方は本記事該当部の編集をお願いします。 -原作と異なる声 --ウルトラセブンとウルトラマンレオの声がウルトラマンジャックの声に変わっている。 --中国ステージのボスであるバキシムの声が、レッドキングの声になっている。 ---攻略上の問題がある訳ではないのだが、原作ファンがプレイするとかなり違和感がある。ウルトラマンのファン向けゲームとしてこれはどうなのか。 -倒すことをためらう怪獣 --ヨーロッパステージの雪山エリアには「子を思う親の思いが具現化した」と思しき怪獣ウーや、「故郷の星を人間によって破壊された」ギエロン星獣、中国ステージにはよりにもよって「かつて人間の宇宙飛行士だったが遭難の際に母国に見捨てられ、不時着した異星の環境に適応した結果怪獣となった」ジャミラが出現する。 --ゲームだから仕方ないとはいえ、原作を知っていると倒すのをためらいたくなる。 ---正直な所、製作スタッフはこの扱いについて疑問に思わなかったのだろうか?特にジャミラの設定と、円盤生物の所業にも負けない程のトラウマを視聴者に刻み込んだその最期はシリーズ作品を少しでも齧った経験があるならば知っていて当然の知名度なのだが。 -%%ミスターファイヤーヘッドこと%%ゾフィーの出番が無い --地球に常駐していないという設定や、昭和二期(『A』以降)のTV作品においては扱いも戦績も最悪だった((簡単に言えば「最強のゾフィーさえ敵わない敵」と言う体の良いバロメーター代わりに扱われていた。))と言うのが理由だろうが、仮にも宇宙警備隊最強の戦士、流石に何かしらの出番があってもよかったのではなかろうか。 --それこそM87光線という必殺技もあるのだから、状況に応じてウルトラの父の代わりに駆けつける…といった活躍もできない訳ではないだろうに。 //誰です、「ゾフィーのことはいいよ」なんて言ったのは。 **総評 ウルトラマンのゲームといえば格闘やアクションというイメージが強いだけに、本作での「防衛軍の戦闘機を操作しウルトラマンと共に戦う」というアプローチは非常に斬新なものとして評価できるだろう。~ それを実現する為のウルトラボムも「ウルトラマンの魅力を表現する手段」と「STGとしてのシステム」を高いレベルで両立させたものとなっている。 こうしたアプローチが後の名作『[[ウルトラ警備隊 MONSTER ATTACK]]』『[[怪獣バスターズ]]』を生み出す土壌となったであろう事は想像に難くない。~ ウルトラマンシリーズのゲーム作品の歴史において、本作が果たした役割は非常に大きいものだったと言えよう。 しかしながら「細かい点で原作との相違が見られる」「自機の性能に大きな差がある」など原作ファンにとっては見逃せない点が目立つのも事実。~ 更に最大の問題点であろう高難度ぶりは、本作の一番のターゲットである(普段はシューティングゲームに興味の無いであろう)原作ファンを悉く返り討ちにしたであろう事が容易に想像できる((この点はアーケード版『美少女戦士セーラームーン』等も同じで、回転率を考慮しないといけないアーケードゲームであるゆえのジレンマともいえる。))。~ これらの問題点をしっかりと調整していれば、それこそ不朽の名作となりえる可能性もあっただけに何とも惜しい作品である。 **移植 -2016年10月現在においても、移植・アーカイブズ配信はなされていない。 --キャラゲー移植最大の壁である「版権」の問題のみならず、デベロッパーであるセタの制作した全ゲームの版権が、2007年にゲーム事業から撤退した親会社のユニバーサルエンターテイメント(旧・アルゼ)によって飼い殺しにされているという事情も大きい。 -難易度変更が可能でクレジットに悩むこともない家庭用ハードで遊べたなら上記の問題点の半分は解消されただろう。
*ウルトラ警備隊 空想特撮ゲーム 【うるとらけいびたい くうそうとくさつげーむ】 |ジャンル|シューティング|~| |対応機種|アーケード|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|セタ|~| |稼働開始日|1996年|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ウルトラマンゲームリンク>ウルトラマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ウルトラシリーズ30周年を記念して制作された、ウルトラシリーズとのタイアップ作品としては異色のシューティング作品。~ しかも本作の主役はウルトラ戦士ではなく、初代『[[ウルトラマン>ウルトラマン (SFC)]]』から『ウルトラマン80』までの時代に活躍した防衛隊である。~ 彼らが有する対怪獣用戦闘機を自機として操作し、全7ステージの攻略を目指す。 **内容 -内容は1レバー3ボタン式の縦スクロールシューティングゲームである。1ボタンがショット、2ボタンが機雷、3ボタンがウルトラボムとなっている。 --ショットはボタンを押しっぱなしにすると一定時間発射し続けて、しばらくすると途切れる。再び発射するには再度ボタンを押す必要がある。 --機雷はボタンを押した際に入力していたレバーの方向に向かって発射され、一定時間その場に浮遊する。同時に最大8発まで発射可能で、時間の経過もしくは敵との接触で消滅する。その威力はかなり強烈。 ---本作はこの機雷の使い方が鍵となる。あらかじめ耐久力の高い敵の登場する場所に設置して、出現した敵を機雷で撃退し自機は別の敵の対処に回るという戦法が極めて有効。 ---但しこれは、敵の出現パターンを把握しきれていない内は苦戦を強いられやすいという事でもある。所謂「覚えゲー」。 --ボムを発動すると自機に対応したウルトラマンが駆けつけて援護攻撃を行う。発動はウルトラマンの登場シーンから始まり、ウルトラマンが画面外に飛び去るまで自機は無敵状態となる。 -自機はアイテムキャリアーを倒すと落とすアイテムを取ることでパワーアップする。 #region(アイテム一覧) -P:ショットをパワーアップする。最大16段階まで。ショットを限界まで強化した時点でPアイテムを獲得すると自機の左右からサイドショットが発射されるようになる。 --ただし限界まで強化した場合Pアイテムが出現しなくなるため、サイドショットまで強化したい場合は限界一歩手前の段階でPアイテムを2つ出現させておく必要がある。 -M:追尾ミサイルを発射できるようになる。獲得するごとに発射される数が増加し、最大で6発まで同時に発射できるようになる。 -B:ウルトラボムの残弾が1発分追加される。ストックは最大9発まで。 -1UP:残機が1増える。 -?:ショット及びミサイルが一気に限界まで強化される。サイドショットも発射可能。 -正八面体:(獲得時の得点の100の位の数+1)×1000点のボーナス点がもらえる。100の位の数が9のときは9000点のボーナスとなる。 #endregion #region(自機紹介) -科学特捜隊 --『ウルトラQ』の事件を受けて設立された、初代『ウルトラマン』の防衛隊。正式名称は「国際科学警察機構 科学特別捜査隊」。「科特隊」と略すことも。アルファベットだと「SSSP(Science Special Search Party)」((劇中でそう呼ばれたことはないが、ジェットビートルの翼等には書かれている。))。 --自機:ジェットビートル ---攻撃力は低いものの、移動速度は全機体中最速である。 --ウルトラボム:スペシウム光線 ---ウルトラマンが画面広範囲にスペシウム光線を発射する。持続時間は比較的長い。 -ウルトラ警備隊 --『[[ウルトラセブン]]』の防衛隊。正式名称は「地球防衛軍 極東支部 ウルトラ警備隊」。「ウルトラ」とは極東支部内の精鋭部隊という意味で、ウルトラ一族とは特に関係無い((そもそもウルトラ一族と言う設定自体が『帰ってきたウルトラマン』からの後付け設定。))。アルファベットでの略称は「TDF-UG(Terrestrial Defense Force - Ultla Guard)」。 --自機:ウルトラホーク1号 ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃範囲が拡大する。 --ウルトラボム:アイスラッガー ---ウルトラセブンがアイスラッガーを投げて画面広範囲を攻撃する。 -MAT --『帰ってきたウルトラマン』の防衛隊。正式名称は「Monster Attack Team」 ウルトラマンの援護に関しては歴代最高峰の有能さを誇る。 --自機:マットアロー1号 ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。 --ウルトラボム:八つ裂き光輪 ---ウルトラマンジャックが正面に八つ裂き光輪を発射する。攻撃範囲は狭いが、威力は高い。 -TAC --『ウルトラマンA』の防衛隊。超獣ベロクロンによって地球防衛軍が壊滅した後に設立された組織で正式名称は「Terrible-monster Attacking Crew((「Terrible-monster」で「凄いモンスター=超獣」を指すらしい。))』。隊員関係の劣悪さは今でも語り草になる程((尤も、肝心な時にいつもいなかったり、ウルトラ超能力を基に独断先行する主人公を一切咎めない他の防衛隊が緩過ぎるとも言えるが。))。 --自機:タックスペース ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃範囲が拡大する。 --ウルトラボム:バーチカルギロチン ---ウルトラマンAが正面にバーチカルギロチンを発射する。ウルトラマンジャックの八つ裂き光輪同様、攻撃範囲は狭いが威力は高い。 -ZAT --『ウルトラマンタロウ』の防衛隊。%%後付け設定の%%正式名称は「Zariba of All Territory(Zariba of All Terestrialとも)((『怪獣VOW』で「Zaribaなんて英語は無いぞ」と突っ込まれていたが、アフリカ語で「茨で作られた柵」と言う意味。))」 数多くの怪獣を倒すなど有能だが、珍作戦の多さでも有名。 --自機:コンドル1号 ---移動速度は若干遅いが、ショットの攻撃範囲は最高レベルになると全機体中最も広くなる。 --ウルトラボム:ストリウム光線 ---ウルトラマンタロウが画面広範囲をストリウム光線で攻撃する。発射の前には「溜め」の動作があるため、ウルトラマンのスペシウム光線より無敵時間は長い。 -MAC --『ウルトラマンレオ』の防衛隊。正式名称は「Monster Attacking Crew」。昭和シリーズで唯一全滅した防衛隊として(悪い意味で)有名((当時のオイルショックによる予算削減が原因とされている。なお平成シリーズだと第1話で全滅した「GUYS JAPAN」(ウルトラマンメビウス)もあるが、すぐに再編成されている(そもそも主人公の入隊は再編成後の話)。))、全滅前でも(無名隊員を含め)やたらと殉職者が多い。 --自機:マッキー3号 ---ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。 --ウルトラボム:レオ全身発光 ---ウルトラマンレオが前方をレオ全身発光で攻撃する。拡散型。 -UGM --『ウルトラマン80』の防衛隊。正式名称は「Utility Government Members」。物語前半は主人公が中学教師と防衛隊を兼任していたせいで中学校の場面の方が多く((一般的に『3年B組金八先生』の人気にあやかったものと言われている。))、しばしば存在感が薄いと揶揄されるが、最終回では80の力を借りず単独で怪獣を退治したという実績もある。 --自機:シルバーガル ---移動速度は最低だが、ショットを強化すれば貫通レーザーを発射できるようになる。その攻撃力は間違いなく全機体中トップクラス。 --ウルトラボム:ウルトラスパイラルビーム ---ウルトラマン80が正面にウルトラスパイラルビームを発射して攻撃する。拡散型。 #endregion -ステージは難易度順に日本(ウルトラマン)・アメリカ(セブン)・ヨーロッパ(ジャック)・中国(エース)・上空(タロウ)・宇宙(レオ)・月面(80)となっており、最初の4ステージは任意で選択可能。 -自機が撃墜された時、ランダムでウルトラの父が現れることがある。現れた際はウルトラアレイで画面全体を攻撃し去っていく。ウルトラの父の攻撃中も自機は完全無敵状態。 **評価点 -おなじみの怪獣・宇宙人達 --登場する敵は全て歴代ウルトラシリーズに登場した怪獣・宇宙人・宇宙船である。ウルトラシリーズのファンならば戦いながら「あ、お前は!!」となること必至だろう。 --作中登場する宇宙船は原作で映る場面が少ないこともあり、相当コアなファンでもなければ全ての宇宙船とそれに乗っている宇宙人を言い当てるのは不可能に近い。もし本作に登場する全ての宇宙船を知っているのであれば、堂々とウルトラ博士を自称しても許されるレベルである((一例として改造巨大ヤプールの宇宙船やアイロス星人の円盤が出現する。))。 --登場する怪獣の中には、多くの視聴者にトラウマを植え付けた「円盤生物」たちも存在する。マッキー3号を選択すれば「円盤生物を相手にMACが逆襲をかける」というifを思わせる構図を作り上げることも可能。これはこれで中々に楽しい。 ---原作『ウルトラマンレオ』で最初に登場した円盤生物にして多くの民間人を殺害、さらにはMACを壊滅させ、視聴者にトラウマを植えつけたシルバーブルーメをはじめ、アブソーバ、デモス、更に宇宙ステージのボスとしてノーバが登場する。 //元の文章だと円盤生物たちと戦いつづけてついには壊滅したMAC、と読み取れるので。 --マイナー怪獣も多く、ゲランやファイヤードラコ等他のゲーム作品では見られない怪獣((怪獣ではないが、雑魚敵として直接戦うことのなかったポール星人も登場する。))も多い。 -ウルトラボムの存在 --ウルトラマンのゲームである以上ウルトラマンが登場するのは当然の事だが、前述の通り主役ではなくプレイヤーをサポートする味方としての登場である。これによりウルトラマンの「ギリギリまでがんばって、それでもどうにもならない時に現れ助けてくれる」と言うヒーローとしての存在感が一層際立つようになっている。 ---ゲームの構成が「自分がウルトラマンとなって防衛隊を助ける」ではなく「防衛隊となった自分をウルトラマンが助けてくれる」となっている為、あたかも本当に防衛隊員になったような気分を味わえる。ファンアイテムの要素としても、ウルトラボムというシステムは非常に優れたものだと評価できるだろう。 --この設定により本作では他のウルトラマンゲームにありがちな「ウルトラマンの敗北」は絶対に存在しない。%%怪獣を倒し切らずに帰っちゃうって事だけどね。%% -使用されているBGM --それぞれのステージで使用されているBGMは歴代ウルトラシリーズの主題歌。ウルトラマンシリーズのゲームとして、実に分かっているチョイスである。 ---宇宙ステージのBGMは原作で1クール目のみに使用された主題歌「ウルトラマンレオ」。 --前半の4ステージではボス戦BGMとして「ワンダバ」こと「TACの歌」が使用されている。こちらも聴いているだけで気分が盛り上がる曲の為ボス戦のBGMとしてはぴったりである。 -コンティニューが容易 --ゲームオーバー後にコンティニューした際はその場からの復帰となる。 ---コンティニューからの復帰時には、確実にウルトラの父が現れて画面の敵を一掃する。その為復帰は他のSTGと比較しても容易な方。 **難点 -難易度が高い --本作はウルトラシリーズという版権作品とタイアップした所謂キャラゲーであるが、その難易度は非常に高い。ゲーム(特にSTG)に慣れていないファンであった場合は、本作でのファンサービスを満喫する前にその難易度で心を圧し折られる可能性が高い。 --一例としてペテロの様に倒した後に大量の弾をばらまいたり、タッコングのように八方に弾を発砲する怪獣が登場する。 --特に最終ステージは、STG上級者ですらウルトラボム連発によるゴリ押しを強いられる程にピンチの連続するステージ構成となっている。 #region(高難度の原因として、以下の要素が挙げられる。一応ネタばれ注意) -アイテムキャリアーとなる雑魚敵が妙に強い。耐久力が比較的高い上、常に自機をめがけて攻撃してくる。 --さらにこのアイテムキャリアーがボス戦であってもお構いなく出現するため、ボスの相手をしながら固い雑魚の処理をしなければならない。 -上空ステージボスのゲランがやたら強い。当たり判定は頭にしか存在せず、高速で首を伸ばす攻撃は攻撃してくるタイミングを事前に予習していないと確実に直撃する。 --巨大な体でいながら画面中央に陣取り、上記の当たり判定であるため、攻撃時は画面下の狭い範囲に行くことを余儀なくされるのも難易度上昇の一因となっている。 --そもそもなぜゲランが上空ステージのボスなのか。此奴の設定は「地底1万メートルで冬眠していた地底竜」の筈である。とてもではないが飛行能力があるとは考え難い。 ---それまでのステージボスがバルタン星人・キングジョー・ベムスター・バキシムと知名度の高い怪獣たちなのに、いまひとつ知名度の低いゲランが選ばれた、というのも謎。空中戦ならバードンがまず挙がるし、タイラントやテンペラー星人など、ボスにふさわしい大怪獣はいるのに。 -月面ステージの道中に難所が多く、しかも道中自体が長い。 --特に道中の左右両側からドリルが伸びてくるエリアと、ビームによって進路が阻まれるエリアはどちらも「移動できる範囲が限られる」「障害物が自機のショットを阻むため奥から現れる敵の対処が難しい」「障害物に触れるとミス」という三重苦。 -エクステンドが難しい。 --本作では得点によるエクステンドが存在しない。エクステンド手段はアイテムキャリアーが極稀に落とす1UPアイテムを獲得する事のみ。 --残機を犠牲にして強行突破、という戦法ではあっという間にジリ貧に追い込まれる。本作においては可能な限りノーミスで進むことを心がけ「エクステンドできれば儲けもの」位に考えるべき。 #endregion -自機の性能差が大きい --具体的に不遇機体を挙げるとするならば、マットアロー1号とマッキー3号がその筆頭であろう。 ---どう不遇なのかというと「特徴らしい特徴が無い」この一点に尽きる。紹介項目で「ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。」と書いたが、本当にこんな当たり前の事位しか取り立てて書けるような特徴が無いのである。~ ファンの中にはこれらの作品に思い入れのある人もいそうなものだが、この扱いはあんまりと言う他無い。 ---名誉のために付言すると、どうしようもないほど扱いにくいという訳ではない。しかし他の機体と比較するとどうしても見劣りしてしまう。 //「こういう長所があるだろう。」という方は本記事該当部の編集をお願いします。 -原作と異なる声 --ウルトラセブンとウルトラマンレオの声がウルトラマンジャックの声に変わっている。 --中国ステージのボスであるバキシムの声が、レッドキングの声になっている。 ---攻略上の問題がある訳ではないのだが、原作ファンがプレイするとかなり違和感がある。ウルトラマンのファン向けゲームとしてこれはどうなのか。 -倒すことをためらう怪獣 --ヨーロッパステージの雪山エリアには「子を思う親の思いが具現化した」と思しき怪獣ウーや、「故郷の星を人間によって破壊された」ギエロン星獣、中国ステージにはよりにもよって「かつて人間の宇宙飛行士だったが遭難の際に母国に見捨てられ、不時着した異星の環境に適応した結果怪獣となった」ジャミラが出現する。 --ゲームだから仕方ないとはいえ、原作を知っていると倒すのをためらいたくなる。 ---正直な所、製作スタッフはこの扱いについて疑問に思わなかったのだろうか?特にジャミラの設定と、円盤生物の所業にも負けない程のトラウマを視聴者に刻み込んだその最期はシリーズ作品を少しでも齧った経験があるならば知っていて当然の知名度なのだが。 -%%ミスターファイヤーヘッドこと%%ゾフィーの出番が無い --地球に常駐していないという設定や、昭和二期(『A』以降)のTV作品においては扱いも戦績も最悪だった((簡単に言えば「最強のゾフィーさえ敵わない敵」と言う体の良いバロメーター代わりに扱われていた。))と言うのが理由だろうが、仮にも宇宙警備隊最強の戦士、流石に何かしらの出番があってもよかったのではなかろうか。 --それこそM87光線という必殺技もあるのだから、状況に応じてウルトラの父の代わりに駆けつける…といった活躍もできない訳ではないだろうに。 //誰です、「ゾフィーのことはいいよ」なんて言ったのは。 **総評 ウルトラマンのゲームといえば格闘やアクションというイメージが強いだけに、本作での「防衛軍の戦闘機を操作しウルトラマンと共に戦う」というアプローチは非常に斬新なものとして評価できるだろう。~ それを実現する為のウルトラボムも「ウルトラマンの魅力を表現する手段」と「STGとしてのシステム」を高いレベルで両立させたものとなっている。 こうしたアプローチが後の名作『[[ウルトラ警備隊 MONSTER ATTACK]]』『[[怪獣バスターズ]]』を生み出す土壌となったであろう事は想像に難くない。~ ウルトラマンシリーズのゲーム作品の歴史において、本作が果たした役割は非常に大きいものだったと言えよう。 しかしながら「細かい点で原作との相違が見られる」「自機の性能に大きな差がある」など原作ファンにとっては見逃せない点が目立つのも事実。~ 更に最大の問題点であろう高難度ぶりは、本作の一番のターゲットである(普段はシューティングゲームに興味の無いであろう)原作ファンを悉く返り討ちにしたであろう事が容易に想像できる((この点はアーケード版『美少女戦士セーラームーン』等も同じで、回転率を考慮しないといけないアーケードゲームであるゆえのジレンマともいえる。))。~ これらの問題点をしっかりと調整していれば、それこそ不朽の名作となりえる可能性もあっただけに何とも惜しい作品である。 **移植 -2016年10月現在においても、移植・アーカイブズ配信はなされていない。 --キャラゲー移植最大の壁である「版権」の問題のみならず、デベロッパーであるセタの制作した全ゲームの版権が、2007年にゲーム事業から撤退した親会社のユニバーサルエンターテイメント(旧・アルゼ)によって飼い殺しにされているという事情も大きい。 ---難易度変更が可能でクレジットに悩むこともない家庭用ハードで遊べたなら上記の問題点の半分は解消されただろう。

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