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*METAL BLACK 【めたるぶらっく】 |ジャンル|横スクロールシューティング|~| |対応機種|アーケード(F2システム)|~| |販売・開発元|タイトー|~| |稼動開始日|1991年9月|~| |プレイ人数|1~2人(同時プレイ)|~| |判定|なし|~| |ポイント|四面楚歌・衝撃のエンディング&br()後世への影響大&br()ゲーム本体は佳作|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 西暦2042年。伴星ネメシスの重力の影響でオールトの雲より飛来した彗星群。~ 人類は迎撃計画「星の嵐作戦」によって地球圏到達前に対処していったが、その彗星の1つがアストベルト帯に突入して隕石雨を発生させ、月コロニーとスペスコロニーは全滅。大陸に落下する可能性が高い隕石だけはなんとか迎撃して人類滅亡は免れたものの、地球は荒廃してしまう。~ 時同じくして正体不明の侵略者「ネメシスの敵」が出現し、圧倒的な技術差に地球は瞬く間に蹂躙され、人類は滅亡の危機を迎えていた。~ そんな中、敵兵器に無尽蔵なエネルギーをもたらす未知の粒子「ニュー・アローン(ニューロン)」の存在を突き止めた地球軍は、敵のテクノロジーを応用した新兵器の開発に着手。~ かくして一大反撃計画「プロジェクト・メタルブラック」が推進されるが、それは地球政府と侵略者との間で突如結ばれた不可解な停戦和平協定により永久凍結される。 平和と言う名の妥協により、全ては闇に葬り去られようとしていた。~ しかし、西暦2052年。新兵器のテストパイロットであったジョン・フォードの手により、プロジェクトの成果たる戦闘機「ブラックフライ」が強奪される。~ プロジェクトの最終段階「ネメシス殲滅」を完遂すべく、全てを敵に回してブラックフライが飛び立つ。 **概要 仙波隆綱が手掛ける「プロジェクトガンフロンティア」の第二弾として開発された、業務用横スクロールシューティング。~ 開発スタッフこそ第一弾である『[[ガンフロンティア]]』と多くが共通しているが、世界観的な繋がりは一切無い、独立した作品となっている。~ 『ガンフロンティア』が一般向けをターゲットとしていたのに対し、本作は当初よりマニア向けを意識して制作されているのが特徴。 **ゲームシステム -全6面構成で、1面と3面終了時にはホーミングミサイルで敵を撃墜するFPS風味のボーナスステージが用意されている。 -派手なパワーアップショットが多い横STGの中では珍しく、自機「ブラックフライ」の通常攻撃は正面への幅の狭いショットのみ。オプションの類は一切ない。~ その代わり、''パワーアップアイテムである「ニューロン」がほぼ常時画面外から供給されつづける''という珍しいシステムを採用しており、取得した量に応じてショットの大きさと威力が5段階に向上する。 --レベル5とMAXではショットの当たり判定が自機全体を取り囲む程に巨大化する。自機の攻撃幅が少ない本作においてはこれを活用したアグレッシブな攻めが重要となる(通称:腹打ち)。 --ただしレベル4からは一撃で破壊できるもの以外の耐久力が上がる。単純な攻撃力と言う意味ではレベル3が最も高い仕様。 -この他、蓄積したニューロンを全て消費してビームを発射する「''ビーム開放''」が行える。 --ビームの発射時間≒威力はショットレベルに比例する。特に最大レベル時に発動した場合に限り、画面全体へと拡散して敵弾もろとも消し去ることも可能となり、緊急回避手段となりうる。 ---ビームは通常、拡散共に地形を貫通する性質があるため、地形越しにいる敵への有効な攻撃手段となる。 ---ただし、ビーム中でも無敵状態にはならないため、相殺できない攻撃や敵機、地形に当たると当然ながらミスとなる。 --また、「ニューロンを回収してビームを発射する行為」はボスも使用してくる((殆どのボスがビームを発射する為にニューロンを回収する動きを見せ、自機と同様にショットレベルの概念も存在している。))が、ボスのビームにこちらのビームを一定時間重ねると「''ビーム干渉''」によってエネルギーの球がボスにダメージを与え続け、先にビームが途切れた方へ球が飛んでいく。 --一方でビーム開放は一度発動すると途中でミスする以外では中断する事が出来ず、ショットレベルが最低の状態になるまでビームを発射し続ける。この為、使い所を間違えると一気に不利な状態となってしまう。 ショットレベルを調整し、どのタイミングでビーム開放を行うかを考えながらパターンを構築していく、というのが本作を攻略する上での肝となる。 **評価点 -『ガンフロンティア』の方向性をさらに発展させた、演出重視の作風。元アニメーターである仙波氏の手腕がいかんなく発揮されており、その拘り様は目を見張るものがある。 --徹底的に作り込まれた世界観と、ストーリー性を感じさせるゲーム展開。 ---1面の「涸れた地球」や3面の「宇宙開発の廃棄場」など、退廃・終末的ハードSFの世界観をステージの背景美術で表現。また、背景には「宇宙の泡構造」といった実際に宇宙で起こっているものがモチーフに使われている。 ---主人公は無断で兵器の封印を解いている為、1面最初に出て来る敵に主人公を止めるべく出撃した地球製の戦闘機がいる、2面では前から侵略兵器群が迫り後ろからも人類の撃った核ミサイルが追ってくる、という四面楚歌のシチュエーションが演出されている。 ---『ガンフロンティア』同様にマルチエンディングとなっており、最終面でコンティニューせずゲームオーバーになるとバッドエンド、普通にクリアするとトゥルーエンドを迎えるが…。 #region(衝撃的な最終面(以下ネタバレ)) ---最終ボスとの戦闘が進むにつれ、人類の進化と闘争の歴史のようなビジョンが背景に示される。そして、ボス破壊直後、青い地球が真っ二つになる映像が現れてフェードアウト。~ 膝を抱える主人公。「そのビジョンは夢か現か、まだ誰にも分からない」というテロップ(原文は英語)が表示され、最後は穏やかな海の風景…。~ 以上がトゥルーエンドである。通称「地球割り」のビジュアルのインパクトに加え、非常に抽象的で如何様にも解釈できそうな内容という事もあり、苦労してエンディングまで辿り着いた多くのプレイヤーを唖然とさせ、同時に本作に対する強烈な印象を心に刻みつけた。 ---一方のバッドエンドでは、主人公の死に触発されて蜂起した大量の同型機が敵本拠地である木星軌道上の彗星核「ネメシス」を目指して飛んで行く…という、一見トゥルーエンドよりも希望のありそうな内容。~ しかし、実は敵本拠地そのものが政府の流した偽情報だったため、結局彼らも本拠地を見つけられないままに死ぬ運命が待っているのだ。((開発者の意図としては、「多人数でボスをボコるゲームが増えてるけど、殺るなら俺一人が殺ってやるという気持ちを若者には持ってて欲しい」という旨のメッセージをこのエンディングに込めている。))~ ゲーム上でも、敵本星があると言われる木星軌道上を通り抜けてしまう5面のBGM名「Doubt」「Phantasm」で偽情報の件を暗に示唆している(実際の敵本拠地は水星、つまり木星とは真逆の方向にあったとされている)。 #endregion() ---設定も細かく作られているのだが、様々な事情によりストーリーの全容が明かされたのは後年になってからだった。詳しくは後述。 --斬新な演出手法の数々。 ---「『ガンフロンティア』とコントラストを付ける」という理由から、背景演出は主人公の心情風景と、その幻視を暗示する様なものが多い。全ボス戦におけるラスタースクロールを用いたトリップしているような特殊な画面効果や、2面での「割れる月」以降の背景や中盤の舞台など不可解なシーンが目立つのはその為である。((レイフォースの「背景で語る」の先駆けとも言える例が2面目。背景の月が決して離れない、いくらスピードを上げてもまるで此方を伺う様に…。そして正面から敵機・後ろから人類の放ったロケット、最後に本物の月が…という怒涛の配置。)) ---一方で本作の目玉システムである「ビーム干渉」、ボーナスステージで行われる「板野サーカス」など、『ガンフロンティア』譲りの目を引くド派手な演出も健在。ボスの破壊演出は壮絶。 ---メタファーに富んだ演出や設定。曲名を表示する演出や、各ステージのボス名・そしてラスボス戦~エンディングなどが代表的。 -タイトーの音楽チーム「ZUNTATA」のYack.(渡部恭久)によるBGMは、殆どがそれまでのSTGらしからぬ曲ばかりだが、ZUNTATAらしく意欲的な試みが多い。~ 「STGのBGMと言えばノリの良い曲」という、半ば常識化していたイメージを持つユーザーに衝撃を与えた。 --1面BGM「Born to be free」は終始穏やかな曲調に泣きメロが流れる。一見明るく聞こえる曲だが、主人公の置かれている状況と合わせると悲壮感であるようにも感じられる。 --他、アップテンポな曲調でステージ展開とシンクロした2面BGM「Dual Moon」、またも子守唄のように物静かな4面BGM「Waste days」など、高評価を受けた曲が多い。 --予算をサウンドに多く割り当てたため、グラフィックのほうの人手を削ることになった。((仙波氏いわく「予算配分ですが、ガンフロとメタブラのグラフィックを比較してください メタブラの雑魚キャラはほとんどアニメーションしていないでしょう? それは手を抜いてるのではなくて、サウンドの方に予算をそれだけ投じたゲームなのです。」とのこと。)) **問題点 &i(){演出以外はシューティングゲームとして凡庸な出来である}、とよく指摘される。 -『ガンフロンティア』程ではなかったが、やはり癖のあるゲームデザインとなっており難易度はやや高め。 --正面しか撃てないショット、多用しにくい拡散ビーム(=ボム)という自機性能、にもかかわらず敵はお構いなしに多方向から攻めてくる、という点は変わらず。 --3面以降、敵の動作や攻撃のタイミングにランダム要素が絡んでくる様になり、気まぐれに弾を撃ってくるかと思えば何もしてこなかったりと、動きが読みにくい敵の対処に苦しむ事になる。 ---このゲームの死因は、敵や砲台を無理に処理しに行こうとした結果、不意に撃たれた弾に当たるという「事故死」である場合が多い。 ---敵の出現位置・出現タイミングは完全に固定であり、大まかなパターン化自体は可能。流石にクリアする事自体が運ゲーという程の凶悪さではないが、ノーミス狙いの場合はとかく心を折られやすい。 ---ミス後はショットのレベルダウンがないその場復活と、ペナルティーは少ない部類に入るのが救いか。 --ゲーム序盤でありながら物量攻めが凄まじく、特にボス直前の前後からのラッシュで綿密なパターン化が必須となる2面、変則的な敵の動きが顕著になり配置も嫌らしい3・5面は本作の山場と言える。 -全編通して編隊を組んでくる敵の種類が少なく、画面のあちこちから散発的に敵が湧いてくる場面が多い為、パターンを組んで攻略する類のゲームの醍醐味を感じにくい。 --「敵が散発的に湧いてくる」がゆえに、プレイヤーにどう撃たせ、どう避けさせるか、つまりSTGとしてどうプレイヤーを楽しませたいのかという意味での製作者の意図が感じられる場面が殆ど無く、ただ漫然と敵が出てくる印象を受ける。 -各種システムも「演出」としては優れている一方、ゲームとしての面白さには直結していない感が強い。 --ショットレベルとビームゲージが直結している関係上、どうしてもビームは使い所が限られてくる。結果的にほぼショット一辺倒なゲーム展開が続き、内容の淡泊さをより助長する事となる。 --ビーム干渉も、ショットの威力が下がるというデメリットに対して与えられるダメージが普通にビームを当てたときと変わらない場合が多く、''得点ボーナスも存在していない''ため、事実上演出のみの要素になってしまっている。 --ボーナスステージは「敵をロックオン→ミサイルが複数飛んでいく→撃墜」という流れを繰り返すのだが、敵の数が意外と多く、またミサイルが着弾するまでの間がやや長い(この間はタイマーが止まるがたまに着弾せずに長々と飛び続ける事もある)為、今一つテンポが悪い。 **総評 仙波氏が後のインタビューで「開発期間が『ガンフロンティア』と比べて短く((『ガンフロンティア』の開発期間が11ヶ月だったのに対し、本作は7ヶ月。これでも伸びており、当初は3ヶ月で作る様に言われていたとの事。))、調整の時間が殆ど無かった」と語っている様に、純粋にSTGとして見ると練り込み不足な感は否めない。~ しかし、こと演出という一点に関しては非常に力が入っており、そこに魅了されたプレイヤーからカルト的な人気を得た。 当時は(狙い通りとは言え)良くも悪くも「マニア向け」の作品として評価は限定的なものに留まり、プロジェクトガンフロンティアも本作をもって解散する形となってしまった。~ 一方で、後述する様にタイトーSTGの方向性を決定付けたと言っていい作品であり、また本作の影響を受けたと公言するSTG開発者も少なくない等、後世に与えた影響は大きい。~ STGの歴史を語る上では外せない存在である事は間違いないだろう。 **余談 -元々本作の素案は『ガンフロンティア』の一年前に作成されており、正式に開発が決定して仕様書が作成された段階で「プロジェクトガンフロンティアの一作」に取り込まれた、という経緯がある。 --素案当初は『[[ダライアスII]]』等で使用された二画面筐体用タイトルを想定していたという逸話があったようだが、これは本作のメインプログラマーでもあった「たらばー」こと堀崇真氏が否定している。 -本作は二人同時プレイが可能となっているが、ストーリー的にはあくまでも主人公はジョン・フォード一人であり、奪われたブラックフライも一機のみである。この存在しない筈の「二機目」が追加されたのは、セールス上の都合と言われている。 -1面クリア後のボーナス面でコナミコマンドを入力すると、ターゲットとなる敵が大量に出現する。 --これを利用すればスコアが大量に稼げる…様に見えるが、実際は制限時間内に全て倒しきるのは不可能な程に増殖しており、普通にクリアしてタイムボーナスを貰った方が結果的にスコアを多く稼げるので、ネタの域を出ない裏技となっている。 ---同様に1面目にある操作をすると、背景の街頭テレビジョンの映像がZUNTATA LIVEのものから「カレーの王様」((元ネタはタイトーがACとSFCでリリースしたクイズゲーム、『ゆうゆのクイズでGo!Go!』に出てくる同名のボーナスゲーム。内容は「カレー嫌いな王様にカレーを無理やり食わせる」という代物。))に変わる。 -当時はゲーメストは当然だとしても、スコア集計をしてはいるがアーケードは多少の紹介記事程度の扱いだった「マイコンBASICマガジン」で二大シューティングとしてコナミの『[[XEXEX]]』との同時期激突を煽っていた時期がある((ゼクセクスを「グラディウスIIのスタッフが~」、メタルブラックを「ガンフロンティアのスタッフが~」…という感じ。))。ファミコンの「4大RPG」((ドラクエ、FF、メガテン、WIZ))の様な雑誌主導だが、「4大~」は『[[ウィザードリィ>Wizardry#id_484d32d0]]』を無理矢理ねじ込む為の作為的なモノだったのに対して(ウィザードリィそのものは良ゲー)、ベーマガの「二大演出シューティング」は雑誌側には何の思惑も感じられない盛り上げコールの様なモノだった。 --ベーシックマガジンの略語がまた独特で、ゼクセクスは「ゼ」メタルブラックは「メ」と表記。まるで「了解」を「り」と略す先駆けの様。おそらくベーマガのメインの「ベーシック言語」のプログラム命令の略が単語の先頭1文字が多いからだと思われる。((「print」を「p」、「cursor」を「c」等)) ***ストーリーについて -本作稼働当時、雑誌等で紹介されていたストーリーは上述のものとは全く異なる、以下の様な内容だった。 >宇宙海賊ワイルドリザード(『ガンフロンティア』の敵)に蹂躙された地球、反撃の手段は妥協の平和によって永久に封印された。~ 地球が死にかけていたまさにその時、今一度の反撃のため、最終平和兵器「メタルブラック」が闇を解き放ち蘇った! -実はこれ、「ハードなSF路線のストーリーが受け入れられる土壌は今のゲーム業界にはない」と判断した仙波氏が、社内プレゼンで上層部の目を誤魔化すために用意したニセストーリー。~ この為、本来であればユーザーが目にする事は無いものだったのだが、広報を通じて資料が外部に漏れた事でこちらが取り上げられてしまった上、家庭用移植版の取説でもこのダミーストーリーが掲載されてしまい、長年本当のストーリーが日の目を見ない事態となってしまった。 --本作中のデモが全て英文なのは、ニセストーリーと実際の内容が違う事を誤魔化す為の緊急措置でもある。 --後年になって、「ダミーストーリーによって広まった誤解を解く」という目的で出版社側から漫画化の打診が行われ、実際に仙波氏自身の手によってコミックゲーメスト紙上にて漫画が執筆されている。しかし読者人気は今一つで、結局4話にて打ち切りとなってしまった。 -このゲームの詳細な設定は、1997年に発売されたアレンジアルバム「METAL BLACK -The First-」のブックレットに掲載されている。 --ただこの資料、同じ文章を二重に掲載するという致命的な誤植があったため、この「ダブった文章の片方」には本来どんな設定が掲載される予定だったのかが明かされぬままとなった。 -作中における「ネメシス」という単語は、それぞれ3通りの意味合いを持っている。 --太陽系と数光年の近さにあって太陽と連星になっている未発見の暗い恒星である伴星「ネメシス」(地球に彗星群をもたらし大量絶滅を誘発する伴星ネメシスは実際に唱えられた学説である)[[参考リンク>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%A1%E3%82%B7%E3%82%B9_(%E4%BB%AE%E8%AA%AC%E4%B8%8A%E3%81%AE%E6%81%92%E6%98%9F)]] --伴星ネメシスの影響で飛来した彗星核「ネメシス」 --彗星から現れたとされる生命体「ネメシス」(「ネメシスの敵」とも) #region(以下ネタバレ) -後年行われた仙波氏へのインタビューで、世界観的な救いは与えられたものの、より衝撃的な結末が明らかにされている。~ 隕石の衝突により「枯れて」しまった地球だが、実は大気の循環により数年後には再び大量の雨が降ることが予想されていた。「ネメシスの敵」はケイ素生物でありその高湿度に耐えられず、撤退を余儀なくされるだろう。軍の和平はそれを予期してのことであった。 --すなわち主人公の反乱は現実的には全くの無駄だったといえる。 ただし、別の所でのコメントには、ラスボスを倒したことで「[[何かを得て、何かを変えた>http://sweeprecord.com/gun-metal-dino-massage/]]」とも言っている。 -最終面のステージ名はそれまでの「ROUND *」を含まない、「A MIRAGE OF MIND GAIA」(地球意思の幻影)という表示になる。~ また、全てのボス名は人種差別・環境破壊といった国際問題の単語をもじったもので統一されている他、ラスボスを除くそれまでのボスの撃破演出は「一瞬の暗転の後世界地図のようなシルエットが画面全体に広がる」というものとなっている。 --これらから所謂「ガイア理論」((地球と生物を一纏めにして巨大な「一つの生命体」とする考え方。ガイア仮説とも。大雑把に言えば、フィクションでよくある「地球の意志が人類を排除しようとする」的な展開の大元。))と本作を結びつける意見も見受けられた。ただし、仙波氏は後のインタビューで「『ガイア理論』ではありません。ガイア''?''です。それを、最後の背景~エンディングは語っています。」と発言している。 --サントラブックレットの用語には「マザーコンピュータGAIA」なるものについても言及がある。 --[[ラウンド1のタイトル、「DOWN TO EARTH」に全ての答えがある>http://sweeprecord.com/gun-metal-dino-massage/]]とのこと。 #endregion **その後 -本作発売後、プロジェクトガンフロンティア第三弾となるフロントビューSTGの開発も予定されていたが、プロジェクト解散に伴い中止となっている。 --尚、仙波氏が手掛けた恐竜格闘ゲーム『[[ダイノレックス]]』を含めて「プロジェクトガンフロンティア三部作」と形容される事が多かったが、2012年にプロジェクトガンフロンティアのサウンドトラックCDが発売されるのに際し、「『ダイノレックス』はプロジェクトガンフロンティアには含まれない」と公式に否定されている。 -本作でハードSF風の演出路線を固めたタイトーは、後に『[[ダライアス外伝]]』や[[レイシリーズ>レイフォース]]で業務用シューティング界における「演出系」の地位を確固たるモノとした。 --また極太ビームで敵のビームを真っ向から押し返すアイディアは、後の『[[Gダライアス]]』以降でより洗練された形に発展される。 ---『Gダライアス』の開発スタッフの一部は後にグレフを立ち上げ、本作のオマージュ作品『[[ボーダーダウン]]』(販売:セガ)をリリースすることになる。 --『Gダライアス』と『[[ダライアスバースト]]』はビームカウンター以外・世界観上でも「敵のテクノロジーを奪って戦闘機を建造する」という本作との共通点を持っている。 --これらの演出を重視するタイトーシューティングは、後発のSTGの演出にも多大な影響を与えた。 -『[[スペースインベーダー インフィニティジーン>SPACE INVADERS INFINITY GENE]]』には本作のオマージュも有り、パワーアップアイテムは本作のそれと同じニューロンとなっている。 --他、自機のブラックフライをモチーフにしたDLC自機も配信されており、それを購入すると本作の1面を再現したステージ「BORN TO BE FREE」やアレンジBGMが流れるステージ「BEFORE TEN ORB」も出現。後身作『[[GROOVE COASTER 2 HEAVENLY FESTIVAL]]』にもこのアレンジが自機ブラックフライのアバターと同時期に登場した。 //実は、当時タイトーがシューティング関係の部門をかなり縮小していたという裏事情があったようで([[こちら>http://www6.ocn.ne.jp/~t-1008dx/]]参照のこと)、本作及び前身作「ガンフロンティア」が完璧に外れていたら後のダライアス外伝やレイシリーズといったタイトーシューティングの名作群も生まれなかった可能性がある。 //↑は事実確認が取れてないので、そういう事情に詳しい方は追記してください。 -『[[ダライアスバースト クロニクルセイバーズ]]』のコラボDLC機体の一つとして、ブラックフライが登場している。 --ニューロンによるパワーアップやビーム開放といった独自のシステムが可能な限り再現されている。また、オリジナルでは不可能だった「ビーム開放の中断」も出来る。 -本作のBGMのDual Moonは後に音楽ゲームの『太鼓の達人』と『ミュージックガンガン2』に移植された。 --うち、『太鼓の達人』に収録された「おに」譜面は一度削除された後にVバージョンへの収録を機に新譜面が実装されたが、『モモイロver.』で登場した「ドンカマ2000(おに)」の前衛的な譜面に倣ってか、''ステージ中の月を再現するかのように、最後のオブジェが非常に遅い速度で流れ続けていく''というギミックが追加されていた。 ---- **移植版 |対応機種|セガサターン&br()プレイステーション2|&amazon(B000069UGH)|&amazon(B000P4NACG)| |発売元|【SS】ビング&br()【PS2】タイトー|~|~| |発売日|【SS】1996年5月24日&br()【PS2】2005年7月28日|~|~| |定価|【SS】5,800円(税別)&br()【PS2】5,040円(税込)|~|~| 移植度はかなり高い。 -SS版のBGMはサントラをそのまま流用している。~ その為、サントラでステージ4のBGMがフェードイン/フェードアウトがそのままになっており、このステージでBGMの冒頭パートがAC版に比べて非常に聞き取りづらくなっている。 -PS2版は『タイトーメモリーズ上巻』の収録作品の一つ。~ 但し、メモリーズは初盤及びベスト盤に「最大ビーム放出時に拡散ビームに固定され、収束ビームが撃てない」という不具合があるので、エターナルヒッツ版を推奨。 -PC『Taito Legends 2』収録版(XPLOSIV) --海外で発売された「Taito Legends 2」の収録39作品の内の1つとして収録。AC版をそのまま収録している。 --PC版なのでJoyToKeyなどフリーウェアツールを使えば連射機能の無いコントローラーでも最高速の連射設定が容易であるという点もメリットである。 --他にも「[[ダライアス外伝]]」「[[レイフォース]]」「[[ガンフロンティア]]」「[[逆鱗弾]]」「グリッドシーカー」「インセクターX」「ルナレスキュー」「あっかんべぇだぁ~」「スペースインベーダーDX」「マジェスティックトゥエルブ」といったシューティングをAC版そのままに収録。当時のポスターも日本版のまま収録していたりするので、シューターのみならずとも興味のあるレトロゲームファンは入手が困難になる前に是非入手しておきたい。 ----
*METAL BLACK 【めたるぶらっく】 |ジャンル|横スクロールシューティング|~| |対応機種|アーケード(F2システム)|~| |販売・開発元|タイトー|~| |稼動開始日|1991年9月|~| |プレイ人数|1~2人(同時プレイ)|~| |配信|アーケードアーカイブス&br;【Switch】2022年11月17日/838円(税10%込)&br;【PS4】2022年11月17日/837円(税10%込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|四面楚歌・衝撃のエンディング&br()演出重視の内容&br()後世への影響大&br()ゲーム自体は凡庸な出来|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 西暦2042年。伴星ネメシスの重力の影響でオールトの雲より飛来した彗星群。~ 人類は迎撃計画「星の嵐作戦」によって地球圏到達前に対処していったが、その彗星の1つがアストベルト帯に突入して隕石雨を発生させ、月コロニーとスペースコロニーは全滅。大陸に落下する可能性が高い隕石だけはなんとか迎撃して人類滅亡は免れたものの、地球は荒廃してしまう。~ 時同じくして正体不明の侵略者「ネメシスの敵」が出現し、圧倒的な技術差に地球は瞬く間に蹂躙され、人類は滅亡の危機を迎えていた。~ そんな中、敵兵器に無尽蔵なエネルギーをもたらす未知の粒子「ニュー・アローン(ニューロン)」の存在を突き止めた地球軍は、敵のテクノロジーを応用した新兵器の開発に着手。~ かくして一大反撃計画「プロジェクト・メタルブラック」が推進されるが、それは地球政府と侵略者との間で突如結ばれた不可解な停戦和平協定により永久凍結される。 平和と言う名の妥協により、全ては闇に葬り去られようとしていた。~ しかし、西暦2052年。新兵器のテストパイロットであったジョン・フォードの手により、プロジェクトの成果たる戦闘機「ブラックフライ」が強奪される。~ プロジェクトの最終段階「ネメシス殲滅」を完遂すべく、全てを敵に回してブラックフライが飛び立つ。 **概要 仙波隆綱氏が手掛ける「プロジェクトガンフロンティア」の第二弾として開発された、業務用横スクロールシューティング。~ 開発スタッフこそ第一弾である『[[ガンフロンティア]]』と多くが共通しているが、世界観的な繋がりは一切無い、独立した作品となっている。~ 『ガンフロンティア』が一般向けをターゲットとしていたのに対し、本作は当初よりマニア向けを意識して制作されているのが特徴。 **ゲームシステム -8方向レバー2ボタンで操作。一撃死残機制で復帰はその場復活を採用。 --全6面構成で、1面と3面終了時にはホーミングミサイルで敵を撃墜するFPS風味のボーナスステージが用意されている。 -派手なパワーアップショットが多い横STGの中では珍しく、自機「ブラックフライ」の通常攻撃は正面への幅の狭いショットのみ。オプションの類は一切ない。~ その代わり、''パワーアップアイテムである「ニューロン」がほぼ常時画面外から供給されつづける''という珍しいシステムを採用しており、取得した量に応じてショットの大きさと威力が5段階に向上する。 --ショットにはソフト側でオート連射がついているが、砲塔がオーバーヒートするという設定を反映してボタンを押し続けると連射速度が段々低下していく特性を持つ。~ 連射速度は一度ボタンを離すと初期の速度へリセットされるため、適度にボタンを離して再度押す必要がある。 --ショットの当たり判定は見た目よりも大きめに設定されており、特にレベル5とMAXでは判定が自機全体を取り囲む程に巨大化する。~ 自機の攻撃幅が少ない本作においてはこれを活用したアグレッシブな攻めが重要となる(通称:腹撃ち)。 --ただしレベル4からは一撃で破壊できるもの以外の耐久力が上がる。単純な攻撃力と言う意味ではレベル3が最も高い仕様。 -この他、Bボタンを押すことで蓄積したニューロンを全て消費してビームを発射する「''ビーム解放''」が行える。 --ビームの発射時間≒威力はショットレベルに比例する((レベル1でも解放自体は可能だがビームが伸び切る前に終わってしまうため、ビームがきちんと撃てるのは事実上レベル2からである。))。特にレベルMAX時に発動した場合に限り、発動した瞬間に画面上の全ての敵弾を消去でき、緊急回避手段となりうる他、レベル2に下がるまで自機から画面ほぼ全域を覆う程の稲妻が発生して全方位攻撃(拡散ビーム)が可能。Bボタンを押し続ける事で拡散中のビームを収束させることが出来る。 ---ビームは収束、拡散共に敵や地形を貫通する性質があるため、大量の敵を一掃したり地形越しにいる敵への有効な攻撃手段となる。 ---ただし、ビーム中でも無敵状態にはならないため、相殺できない攻撃や敵機、地形に当たると当然ながらミスとなる。 --また、「ニューロンを回収してビームを発射する行為」はボスも使用してくる((殆どのボスがビームを発射する為にニューロンを回収する動きを見せ、自機と同様にショットレベルの概念も存在している。))が、ボスのビームにこちらの収束ビームを一定時間重ねると「''ビーム干渉''」が成立し、干渉演出を経て紫色のエネルギー球が発生する。 ---エネルギー球は先にビームが途切れた方へ飛んでいく。こちらのビーム出力がボスに勝っている場合は球が青色に変色してボスにダメージを与えられ、逆にこちらが負けている場合は球が赤色になり、これに当たるとミスとなる。 --一方でビーム解放は一度発動すると途中でミスするかボス撃破以外では中断する事が出来ず、ショットレベルが最低の状態になるまでビームを発射し続ける。この為、使い所を間違えると一気に不利な状態となってしまう。 ショットレベルを調整し、どのタイミングでビーム開放を行うかを考えながらパターンを構築していく、というのが本作を攻略する上での肝となる。 **評価点 -『ガンフロンティア』の方向性をさらに発展させた、演出重視の作風。元アニメーターである仙波氏の手腕がいかんなく発揮されており、その拘り様は目を見張るものがある。 --徹底的に作り込まれた世界観と、ストーリー性を感じさせるゲーム展開。 ---1面の「涸れた地球」や3面の「宇宙開発の廃棄場」など、退廃・終末的ハードSFの世界観をステージの背景美術で表現。また、背景には「宇宙の泡構造」といった実際に宇宙で起こっているものがモチーフに使われている。 ---主人公は無断で兵器の封印を解いている為、1面最初に出て来る敵に主人公を止めるべく出撃した地球製の戦闘機がいる、2面では前から侵略兵器群が迫り後ろからも人類の撃った核ミサイルが追ってくる、という四面楚歌のシチュエーションが演出されている。 ---『ガンフロンティア』同様にマルチエンディングとなっており、最終面でコンティニューせずゲームオーバーになるとバッドエンド、普通にクリアするとトゥルーエンドを迎えるが…。 #region(衝撃的な最終面(以下ネタバレ)) ---最終ボスとの戦闘が進むにつれ、人類の進化と闘争の歴史のようなビジョンが背景に示される。そして、ボス破壊直後、青い地球が真っ二つになる映像が現れてフェードアウト。~ 膝を抱える主人公。「そのビジョンは夢か現か、まだ誰にも分からない」というテロップ(原文は英語)が表示され、最後は穏やかな海の風景…。~ 以上がトゥルーエンドである。通称「地球割り」のビジュアルのインパクトに加え、非常に抽象的で如何様にも解釈できそうな内容という事もあり、苦労してエンディングまで辿り着いた多くのプレイヤーを唖然とさせ、同時に本作に対する強烈な印象を心に刻みつけた。 ---一方のバッドエンドでは、主人公の死に触発されて蜂起した大量の同型機が敵本拠地である木星軌道上の彗星核「ネメシス」を目指して飛んで行く…という、一見トゥルーエンドよりも希望のありそうな内容。~ しかし、実は敵本拠地そのものが政府の流した偽情報だったため、結局彼らも本拠地を見つけられないままに死ぬ運命が待っているのだ。((開発者の意図としては、「多人数でボスをボコるゲームが増えてるけど、殺るなら俺一人が殺ってやるという気持ちを若者には持ってて欲しい」という旨のメッセージをこのエンディングに込めている。))~ ゲーム上でも、敵本星があると言われる木星軌道上を通り抜けてしまう5面のBGM名「Doubt」「Phantasm」で偽情報の件を暗に示唆している(実際の敵本拠地は水星、つまり木星とは真逆の方向にあったとされている)。 #endregion() ---設定も細かく作られているのだが、様々な事情によりストーリーの全容が明かされたのは後年になってからだった。詳しくは後述。 --斬新な演出手法の数々。 ---「『ガンフロンティア』とコントラストを付ける」という理由から、背景演出は主人公の心情風景と、その幻視を暗示する様なものが多い。全ボス戦におけるラスタースクロールを用いたトリップしているような特殊な画面効果や、2面での「割れる月」以降の背景や中盤の舞台など不可解なシーンが目立つのはその為である。((レイフォースの「背景で語る」の先駆けとも言える例が2面目。背景の月が決して離れない、いくらスピードを上げてもまるで此方をうかがう様に…。そして正面から敵機・後ろから人類の放ったロケット、最後に本物の月が…という怒涛の配置。)) ---一方で本作の目玉システムである「ビーム干渉」、ボーナスステージで行われる「板野サーカス」など、『ガンフロンティア』譲りの目を引くド派手な演出も健在。ボスの破壊演出は壮絶。 ---メタファーに富んだ演出や設定。曲名を表示する演出や、各ステージのボス名・そしてラスボス戦~エンディングなどが代表的。 -タイトーの音楽チーム「ZUNTATA」のYack.(渡部恭久)によるBGMは、殆どがそれまでのSTGらしからぬ曲ばかりだが、ZUNTATAらしく意欲的な試みが多い。~ 「STGのBGMと言えばノリの良い曲」という、半ば常識化していたイメージを持つユーザーに衝撃を与えた。 --1面BGM「Born to be free」は終始穏やかな曲調に泣きメロが流れる。一見明るく聞こえる曲だが、主人公の置かれている状況と合わせると悲壮感であるようにも感じられる。 --他、アップテンポな曲調でステージ展開とシンクロした2面BGM「Dual Moon」、またも子守唄のように物静かな4面BGM「Waste days」など、高評価を受けた曲が多い。 --効果音の方もレベル毎に変わるショット、特徴的なクレジット投入やワーニング音等、耳に残りやすいものが多い。 ---効果音担当は「ばび~」こと石川勝久氏。本作が氏のデビュー作である。 --予算をサウンドに多く割り当てたため、グラフィックのほうの人手を削ることになった。((仙波氏いわく「予算配分ですが、ガンフロとメタブラのグラフィックを比較してください メタブラの雑魚キャラはほとんどアニメーションしていないでしょう? それは手を抜いてるのではなくて、サウンドの方に予算をそれだけ投じたゲームなのです。」とのこと。)) **問題点 &i(){演出以外はシューティングゲームとして凡庸な出来である}、とよく指摘される。 -『ガンフロンティア』程ではなかったが、やはり癖のあるゲームデザインとなっており難易度はやや高め。 --正面しか撃てないショット、多用しにくい拡散ビーム(=ボム)という自機性能、にもかかわらず敵はお構いなしに多方向から攻めてくる、という点は変わらず。 --3面以降、敵の動作や攻撃のタイミングにランダム要素が絡んでくる様になり、気まぐれに弾を撃ってくるかと思えば何もしてこなかったりと、動きが読みにくい敵の対処に苦しむ事になる。 ---このゲームの死因は、敵や砲台を無理に処理しに行こうとした結果、不意に撃たれた弾に当たったり体当たりされる「事故死」である場合が多い。 ---敵の出現位置・出現タイミングは完全に固定であり、大まかなパターン化自体は可能。流石にクリアする事自体が運ゲーという程の凶悪さではないが、ノーミス狙いの場合はとかく心を折られやすい。 ---ミス後はショットのレベルダウンがないその場復活と、ペナルティーは少ない部類に入るのが救いか。 --ゲーム序盤でありながら物量攻めが凄まじく、特にボス直前の前後からのラッシュで綿密なパターン化が必須となる2面、変則的な敵の動きが顕著になり配置も嫌らしい3・5面は本作の山場と言える。 --外部連射装置を用いた場合、耐久値の高い敵やボスの撃破時間が短くなるだけでなくボスの解放ビームを連射ショットで容易に押し返せるようになるため、主にボス戦の難易度が低下する。 -全編通して編隊を組んでくる敵の種類が少なく、画面のあちこちから散発的に敵が湧いてくる場面が多い為、パターンを組んで攻略する類のゲームの醍醐味を感じにくい。 --「敵が散発的に湧いてくる」がゆえに、プレイヤーにどう撃たせ、どう避けさせるか、つまりSTGとしてどうプレイヤーを楽しませたいのかという意味での製作者の意図が感じられる場面が殆ど無く、ただ漫然と敵が出てくる印象を受ける。 -各種システムも「演出」としては優れている一方、ゲームとしての面白さには直結していない感が強い。 --ショットレベルとビームゲージが直結している関係上、どうしてもビームは使い所が限られてくる。結果的にほぼショット一辺倒なゲーム展開が続き、内容の淡泊さをより助長する事となる。 --ビーム干渉も、ショットの威力が下がるというデメリットに対して与えられるダメージが普通にビームを当てたときと変わらない場合が多く、''得点ボーナスも存在していない''ため、事実上演出のみの要素になってしまっている。 --ボーナスステージは「敵をロックオン→ミサイルが複数飛んでいく→撃墜」という流れを繰り返すのだが、敵の数が意外と多く、またミサイルが着弾するまでの間がやや長い(この間はタイマーが止まるがたまに着弾せずに長々と飛び続ける事もある)為、今一つテンポが悪い。 **総評 仙波氏が後のインタビューで「開発期間が『ガンフロンティア』と比べて短く((『ガンフロンティア』の開発期間が11ヶ月だったのに対し、本作は7ヶ月。これでも伸びており、当初は3ヶ月で作る様に言われていたとの事。))、調整の時間が殆ど無かった」と語っている様に、純粋にSTGとして見ると練り込み不足な感は否めない。~ しかし、こと演出という一点に関しては非常に力が入っており、そこに魅了されたプレイヤーからカルト的な人気を得た。 当時は(狙い通りとは言え)良くも悪くも「マニア向け」の作品として評価は限定的なものに留まり、プロジェクトガンフロンティアも本作をもって解散する形となってしまった。~ 一方で、後述する様にタイトーSTGの方向性を決定付けたと言っていい作品であり、また本作の影響を受けたと公言するSTG開発者も少なくない等、後世に与えた影響は大きい。~ STGの歴史を語る上では外せない存在である事は間違いないだろう。 **余談 -元々本作の素案は『ガンフロンティア』の1年前に作成されており、正式に開発が決定して仕様書が作成された段階で「プロジェクト・ガンフロンティアの一作」に取り込まれた、という経緯がある。 --素案当初は『[[ダライアスII]]』等で使用された二画面筐体用タイトルを想定していたという逸話があったようだが、これは本作のメインプログラマーでもあった「たらばー」こと堀崇真氏が否定している。 --デモ中の「Project Gun Frontier 2」で混乱を生んでしまっているが、これはロケテストに出す時にデモ画面に「何もなかった」為に急遽挿入したものが残った、と先述の堀氏がインタビューにて答えている。((YouTubeゲーセンミカドのメタルブラック回のゲスト出演時)) -本作は二人同時プレイが可能となっているが、ストーリー的にはあくまでも主人公はジョン・フォード一人であり、奪われたブラックフライも一機のみである。この存在しない筈の「二機目」が追加されたのは、セールス上の都合と言われている。 -上記のボス前の特徴的なワーニング音は何かの空耳に聞こえるファンが多かったが、元ゲーマガ編集長の梅田浩二氏のブログにより、実際の所は''「アマイヨウメチャン」という台詞を加工したもの''であることが発覚している。 --これは梅田氏の友人で本作のプログラマーである堀崇真(たらばー)氏とセガの鶴見六百氏の間で「梅田氏には内緒で自分の開発中のゲームに当時仲間内の流行語だった「あまいよ、うめちゃん」をこっそり入れる」賭けをしていたことが由来。 --このネタはネームエントリーの方にも仕込まれており、「UME」と入力すると上記のワーニング音が鳴り響く隠し要素がある。 -1面クリア後のボーナス面でコナミコマンドを入力すると、ターゲットとなる敵が大量に出現する。 --これを利用すればスコアが大量に稼げる…様に見えるが、実際は制限時間内に全て倒しきるのは不可能な程に増殖しており、普通にクリアしてタイムボーナスを貰った方が結果的にスコアを多く稼げるので、ネタの域を出ない裏技となっている。 --同様にゲーム開始直後のデモ画面中にある操作をすると、背景の街頭テレビジョンの映像がZUNTATA LIVEのものから「王様(ジョン=ニャーニック6世)」((元ネタはタイトーがACとSFCでリリースしたクイズゲーム、『ゆうゆのクイズでGo!Go!』に出てくるボーナスゲームの1つである「カレーの王様」。内容は「カレー嫌いな王様にカレーを無理やり食わせる」という代物。))や「カンフーのポーズを取っているホーリー・チャン」に変わる。 #region(コマンド成立条件) デモ画面をスキップしない→ZUNTATA LIVE~ デモ画面をスキップする→ホーリー・チャン~ デモ画面が途中で白くなった瞬間にショットボタンを押す→王様~ #endregion -当時は「ゲーメスト」は当然だとしても、(スコア集計こそしているが攻略記事は書かない)「マイコンBASICマガジン」で二大シューティングとしてコナミの『[[XEXEX]]』との同時期激突を煽っていた時期がある((ゼクセクスを「グラディウスIIのスタッフが~」、メタルブラックを「ガンフロンティアのスタッフが~」…という感じ。))。 //ファミコンの「4大RPG」((ドラクエ、FF、メガテン、WIZ))の様な雑誌主導だが、「4大~」は『[[ウィザードリィ>Wizardry#id_484d32d0]]』を無理矢理ねじ込む為の作為的なモノだったのに対して(ウィザードリィそのものは良ゲー)、ベーマガの「二大演出シューティング」は雑誌側には何の思惑も感じられない盛り上げコールの様なモノだった。 //「盛り上げコール」なんて言いだすならWizどころかディープダンジョンとかが入っていても問題ないでしょ。それこそゼクセクスなんて凡作なのだから --ベーシックマガジンの略語がまた独特で、ゼクセクスは「ゼ」メタルブラックは「メ」と表記。まるで「了解」を「り」と略す先駆けの様。おそらくベーマガのメインの「ベーシック言語」のプログラム命令の略が単語の先頭1文字が多いからだと思われる。((「print」を「p」、「cursor」を「c」等)) -[[東方Project>東方Projectシリーズ]]で有名なZUN氏は、本作を好きな横STGとして『[[ダライアス外伝]]』と共に名を挙げている。 --作中についても本作へのオマージュらしき演出が見られる。 -ラスボス戦の途中に出てくる「猫」だが、元ネタは『[[チェイスH.Q.]]』や『WGP』、後に『[[バトルギア]]』などを手掛けた酒匂弘幸氏が当時飼っていた「めんめちゃん」と言う飼い猫。スタッフロールのキャスト欄に名前が出ている。 ***ストーリーについて -本作稼働当時、雑誌等で紹介されていたストーリーは上述のものとは全く異なる、以下の様な内容だった。 >宇宙海賊ワイルドリザード(『ガンフロンティア』の敵)に蹂躙された地球、反撃の手段は妥協の平和によって永久に封印された。~ 地球が死にかけていたまさにその時、今一度の反撃のため、最終平和兵器「メタルブラック」が闇を解き放ち蘇った! -実はこれ、「ハードなSF路線のストーリーが受け入れられる土壌は今のゲーム業界にはない」と判断した仙波氏が、社内プレゼンで上層部の目を誤魔化すために用意したニセストーリー。~ この為、本来であればユーザーが目にする事は無いものだったのだが、広報を通じて資料が外部に漏れた事でこちらが取り上げられてしまった上、家庭用移植版の取説でもこのダミーストーリーが掲載されてしまい、長年本当のストーリーが日の目を見ない事態となってしまった。 --本作中のデモが全て英文なのは、ニセストーリーと実際の内容が違う事を誤魔化す為の緊急措置でもある。 --後年になって、「ダミーストーリーによって広まった誤解を解く」という目的で出版社側から漫画化の打診が行われ、実際に仙波氏自身の手によってコミックゲーメスト紙上にて漫画が執筆されている。しかし読者人気は今一つで、結局4話にて打ち切りとなってしまった。 -このゲームの詳細な設定は、1997年に発売されたアレンジアルバム「METAL BLACK -The First-」のブックレットに掲載されている。 --ただこの資料、同じ文章を二重に掲載するという致命的な誤植があったため、この「ダブった文章の片方」には本来どんな設定が掲載される予定だったのかが明かされぬままとなった。 -作中における「ネメシス」という単語は、それぞれ3通りの意味合いを持っている。 --太陽系と数光年の近さにあって太陽と連星になっている未発見の暗い恒星である伴星「ネメシス」(地球に彗星群をもたらし大量絶滅を誘発する伴星ネメシスは実際に唱えられた学説である)[[参考リンク>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%A1%E3%82%B7%E3%82%B9_(%E4%BB%AE%E8%AA%AC%E4%B8%8A%E3%81%AE%E6%81%92%E6%98%9F)]] --伴星ネメシスの影響で飛来した彗星核「ネメシス」 --彗星から現れたとされる生命体「ネメシス」(「ネメシスの敵」とも) #region(以下ネタバレ) -後年行われた仙波氏へのインタビューで、世界観的な救いは与えられたものの、より衝撃的な結末が明らかにされている。~ 隕石の衝突により「枯れて」しまった地球だが、実は大気の循環により数年後には再び大量の雨が降ることが予想されていた。「ネメシスの敵」はケイ素生物でありその高湿度に耐えられず、撤退を余儀なくされるだろう。軍の和平はそれを予期してのことであった。 --すなわち主人公の反乱は現実的には全くの無駄だったといえる。 ただし、別の所でのコメントには、ラスボスを倒したことで「[[何かを得て、何かを変えた>http://sweeprecord.com/gun-metal-dino-massage/]]」とも言っている。 -最終面のステージ名はそれまでの「ROUND *」を含まない、「A MIRAGE OF MIND GAIA」(地球意思の幻影)という表示になる。~ また、全てのボス名は人種差別・環境破壊といった国際問題の単語をもじったもので統一されている他、ラスボスを除くそれまでのボスの撃破演出は「一瞬の暗転の後世界地図のようなシルエットが画面全体に広がる」というものとなっている。 --これらから所謂「ガイア理論」((地球と生物を一纏めにして巨大な「一つの生命体」とする考え方。ガイア仮説とも。大雑把に言えば、フィクションでよくある「地球の意志が人類を排除しようとする」的な展開の大元。))と本作を結びつける意見も見受けられた。ただし、仙波氏は後のインタビューで「『ガイア理論』ではありません。ガイア''?''です。それを、最後の背景~エンディングは語っています。」と発言している。 --サントラブックレットの用語には「マザーコンピュータGAIA」なるものについても言及がある。 --[[ラウンド1のタイトル、「DOWN TO EARTH」に全ての答えがある>http://sweeprecord.com/gun-metal-dino-massage/]]とのこと。 #endregion **その後 -本作発売後、プロジェクトガンフロンティア第三弾となるフロントビューSTGの開発も予定されていたが、素案自体は出されたもののプロジェクトの解散に伴い中止となっている。 --尚、仙波氏が手掛けた恐竜格闘ゲーム『ダイノレックス』を含めて「プロジェクト・ガンフロンティア三部作」と称される事が多かったが、2012年にCD3枚組のサウンドトラックである「『GUN FRONTIER/METAL BLACK/DINO REX』Sound Tracks for Digital Generation 』(スーパースィープ)が発売された際、「&bold(){『ダイノレックス』はプロジェクトガンフロンティアには含まれない}」との公式見解により現在では否定されている。 -本作でハードSF風の演出路線を固めたタイトーは、後に『[[ダライアス外伝]]』や[[レイシリーズ>レイフォース]]で業務用シューティング界における「演出系」の地位を確固たるモノとした。 --また極太ビームで敵のビームを真っ向から押し返すアイディアは、後の『[[Gダライアス]]』以降でより洗練された形に発展される。 ---『Gダライアス』の開発スタッフの一部は後にグレフを立ち上げ、本作のオマージュ作品『[[ボーダーダウン]]』(販売:セガ)をリリースすることになる。 --『Gダライアス』と『[[ダライアスバースト]]』はビームカウンター以外・世界観上でも「敵のテクノロジーを奪って戦闘機を建造する」という本作との共通点を持っている。 --これらの演出を重視するタイトーシューティングは、後発のSTGの演出にも多大な影響を与えた。 -『[[スペースインベーダー インフィニティジーン>SPACE INVADERS INFINITY GENE]]』には本作のオマージュも有り、パワーアップアイテムは本作のそれと同じニューロンとなっている。 --他、自機のブラックフライをモチーフにしたDLC自機も配信されており、それを購入すると本作の1面を再現したステージ「BORN TO BE FREE」やアレンジBGMが流れるステージ「BEFORE TEN ORB」も出現。後身作『[[GROOVE COASTER 2 HEAVENLY FESTIVAL]]』にもこのアレンジが自機ブラックフライのアバターと同時期に登場した。 //実は、当時タイトーがシューティング関係の部門をかなり縮小していたという裏事情があったようで([[こちら>http://www6.ocn.ne.jp/~t-1008dx/]]参照のこと)、本作及び前身作「ガンフロンティア」が完璧に外れていたら後のダライアス外伝やレイシリーズといったタイトーシューティングの名作群も生まれなかった可能性がある。 //↑は事実確認が取れてないので、そういう事情に詳しい方は追記してください。 -『[[ダライアスバースト クロニクルセイバーズ]]』のコラボDLC機体の一つとして、ブラックフライが登場している。 --ニューロンによるパワーアップやビーム開放といった独自のシステムが可能な限り再現されている。また、オリジナルでは不可能だった「ビーム開放の中断」も出来る。 -本作のBGMのDual Moonは後に音楽ゲームの『[[太鼓の達人]]』と『ミュージックガンガン2』に移植された。 --うち、『太鼓の達人』に収録された「おに」譜面は一度削除された後にVバージョンへの収録を機に新譜面が実装されたのだが、『モモイロver.』で登場した「ドンカマ2000(おに)」の前衛的な譜面に倣ってか、''2面で特徴的だった「もうひとつの月」の演出を再現するかの如く、楽曲最後のオブジェが非常に遅い速度で流れ続けていく''というギミックが追加されていた。 --ブラックフライはタカラトミーのシューティングゲームヒストリカでノンスケールの塗装済み完成品で立体化された。なんと量産型ブラックフライもある。ケース入り単品販売のデラックス商品版ではロケットブースター付き。何がどうなっているのかドット絵やイラストではわかりにくいデザインだが、実にかっこいいモノである。どれも発売当初から即プレミアが付き入手は難しい。 ---- **移植版 |対応機種|セガサターン&br()プレイステーション2|&amazon(B000069UGH)|&amazon(B000P4NACG)| |発売元|【SS】ビング&br()【PS2】タイトー|~|~| |発売日|【SS】1996年5月24日&br()【PS2】2005年7月28日|~|~| |定価|【SS】5,800円(税別)&br()【PS2】5,040円(税込)|~|~| |判定|なし|~|~| 移植度はかなり高い。 -SS版のBGMはサントラをそのまま流用している。~ その為、サントラでステージ4のBGMがフェードイン/フェードアウトがそのままになっており、このステージでBGMの冒頭パートがAC版に比べて非常に聞き取りづらくなっている。 -PS2版は『タイトーメモリーズ 上巻』の収録作品の一つ。~ 但し、メモリーズは初盤及びベスト盤に「最大ビーム放出時に拡散ビームに固定され、収束ビームが撃てない」という不具合があるので、エターナルヒッツ版を推奨。 -PC『Taito Legends 2』収録版(XPLOSIV) --海外で発売された『Taito Legends 2』の収録39作品の内の1つとして収録。AC版をそのまま収録している。 --PC版なのでJoyToKeyなどフリーウェアツールを使えば連射機能の無いコントローラーでも最高速の連射設定が容易であるという点もメリットである。 --他にも『[[ダライアス外伝]]』『[[レイフォース]]』『[[ガンフロンティア]]』『[[逆鱗弾]]』『グリッドシーカー』『インセクターX』『ルナレスキュー』『あっかんべぇだぁ~』『スペースインベーダーDX』『マジェスティックトゥエルブ』といったシューティングをAC版そのままに収録。当時のポスターも日本版のまま収録していたりするので、シューターのみならずとも興味のあるレトロゲームファンは入手が困難になる前に是非入手しておきたい。 -『イーグレットツー ミニ』収録版 本体収録作品の一つ。AC版をそのまま収録。また、連射ボタンが標準装備されている。 -PlayStation 4、Nintendo Switch『アーケードアーカイブス』版(ハムスター) --海外版も収録。キャラバンモードでは6面スタートも選択可能。 -Xbox One、PC(Steam)『メタルブラック Sトリビュート』版(シティコネクション) --2023年2月2日配信。「サターントリビュート」シリーズの一作としてセガサターン版を&bold(){そのまま移植}((タイトル画面にVINGのロゴがある))。リワインド、中断セーブ、ステージセレクト、オンラインランキング等の追加要素を実装。 --当初はPlayStation 4、Nintendo Switchでも配信予定だったが、上記のアーケードアーカイブス版と発売時期が被ってしまったということもあり、それと揃える形でXbox One、Steamでのみのリリースとなった((シティコネクションの吉川社長は「ハムスターさんもうちも発売が近い時期になってたことについてはお互いに知らなかった。また、ハムスターさんともこの件で話し合いをした結果、ユーザーが混乱することを考慮して今回の措置に至った」旨を述べている。))。値段も他のSトリビュート作品に比べかなり安い800円(税込)となっている。 //ソース→https://www.youtube.com/watch?v=y6YSi2RtmEU の1時間23分40秒辺りから -Nintendo Switch『タイトーマイルストーン2』収録版 --収録ソフトのひとつ。 ----

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