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テイルズ オブ デスティニー」を以下のとおり復元します。
*テイルズ オブ デスティニー
【ているず おぶ ですてぃにー】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム&br()(シリーズ内ジャンル名:運命のRPG)|CENTER:&image(tod1.jpg,height=160,https://www.amazon.co.jp/dp/B000069S9H)[[裏を見る>https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/91wnRW0iSwL._SL1500_.jpg]]|
|対応機種|プレイステーション|~|
|メディア|CD-ROM 1枚|~|
|発売元|ナムコ|~|
|開発元|ナムコ&br;日本テレネット|~|
|発売日|1997年12月23日|~|
|価格|6,090円|~|
|プレイ人数|1人(戦闘のみ1~4人)|~|
|セーブデータ|1ブロック(最大3ファイル保存可能)|~|
|周辺機器|マルチタップ(戦闘のみ)|~|
|廉価版|PlayStation the Best&br;1998年11月26日/オープン価格|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|意思を持つ剣を巡る物語&br;全体的に低難易度&br;RPG史に名を残す''最弱''ラスボス|~|
|>|>|CENTER:''[[テイルズ オブ シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
テイルズ オブ シリーズの第2作目。略称は『デスティニー』『TOD』。キャラクターデザインはいのまたむつみ。 ~
PSハード初のテイルズシリーズで、人気の高さゆえに後に前作[[『ファンタジア』>テイルズ オブ ファンタジア]]がリメイクされるきっかけとなった。

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**特徴・評価点
-主題歌に合わせたアニメーションムービーが製作された。
--SFCから大幅に上昇したスペックを持つハード、大容量となったソフトである事を存分に活かしている。この主題歌とプロダクションIGの製作によるアニメーションムービーによるオープニングはシリーズの定番となった。
--当時珍しかったデジタルアニメーションは20年後のHDアニメと並べても負けず劣らずの出来。DEENが歌う主題歌「夢であるように」はシリーズでも高い人気をもつ。
---DEENはゲームの脚本を網羅した上でイメージを確たるものにして作曲したと公式インタビューで語っており、まさに本作の為に作られた渾身の一曲である。
--9年後に発売されたセルフカバー版でもOPムービーおよび主題歌がほぼ使いまわされている。本当にそのままなので、''隠しキャラ扱いからパーティキャラに昇格したコングマンがいない''のも同じである…。

-戦闘システム「エンハンスト・リニアモーションバトルシステム (E-LMBS)」
--今作から、戦闘システムに独特な名前がつけられるようになった。~
前作であるSFC版ファンタジアと比べて、SFC→PSへのハード性能の向上による進化が見られる。
---魔法などの演出にて、派手なカメラワークが導入された。
---身長の高い敵や、最大8匹までの敵とも戦えるようになった。
//---''下級魔法に限り''術を同時発動させる事も可能になった。
//SFCファンタジアでも下級魔術は止まらなかったよ。クラースさんのシルフとかはあれだけどね…。
//クラースだけ画面が止まらない術を持っていないからアーチェと同時に術で攻撃出来ないってだけで、ミントのファーストエイドやアーチェのファイアーボールといった画面が止まらない術同士なら同時発動が出来ているように見えましたが……
--前作で技・奥義は斬りか突きか、SレンジかLレンジかで切り替わる仕様であったが、本作から距離に関係なく十字キーの上・下・横・ニュートラルの4箇所に登録するように統一され、以降のシリーズの基本となった。

-ソーディアン
--意思を持つ剣の総称。ストーリーの中核を担う重要な存在。
--主人公達主要メンバー(ソーディアンマスター)は各々、パートナーと言える固有のソーディアンを一本ずつ持つことになる。
--ソーディアンを装備しているマスターは、そのソーディアンの能力である晶術が使えるようになる。
---主人公スタンは、自分のソーディアンであるディムロスを装備している時のみ、奥義も使えるようになる。
--ソーディアンにも経験値及びレベルの概念があり、成長すると攻撃力が上がったり、新しい晶術を使えるようになる。
--マスター間でソーディアンを持ち回すこともできる。

-キャラが話し合うアクティブ・パーティー・ウィンドウ。
--条件を満たしてからフィールドで15秒放置すると、戦闘メンバーが掛け合いを始める。
--内容はストーリーのヒントから雑談まで様々。キャラが状態異常になっている時のみ発生する会話や、キャラの意外な一面が見れる会話もある。後のシリーズで『スキット』と呼ばれるシステムの元になっている。
--ラスボス手前でセーブすると、全てのスキットがサウンドテストで視聴できる。その中には「ウッドロウの告白シリーズ」など、本編では聴けないボツスキットもある。

-サブイベントの種類が多く、ミニゲームも多数。
--登場人物の内面を掘り下げるイベントも多く、寄り道の楽しさを生み出している。
--隠しダンジョン「ドルアーガの塔」は、構造や出てくる敵なども同じにするこだわり。余談だが本作とドルアーガの塔は略称が「TOD」で共通している。
---原作と異なり、突入可能な時期になると一部の町人の会話内容が塔の攻略方法に変更される。ノーヒントで60階攻略しなくても良くなった。
--但し一部のミニゲームは攻略法を知らないとかなり難易度が高かったりする。クリアできないからといって物語が進めないことはないが、そういうミニゲームに限って貴重品が手に入ったりするので、多少もどかしい。
--前作の『ファンタジア』からゲストでクレスとアーチェの二人が登場する。このように歴代キャラが何らかの形でゲスト出演するというのも以降のシリーズで定番要素の一つになった。
--もう一つの定番要素にシリーズ伝統の料理''マーボーカレー''((公式ガイドによると作り方は「普通にマーボーを作ります→普通にカレーを作ります→二つを混ぜます→食べます→うっうまい!」とのこと))が初登場したことが挙げられる。
---本作ではとある一箇所でのみ試食ができる…が、食べるチャンスは2回だけ。((しかもその内一回は、状況的にのんびりカレーをつまんでいる場合ではなかったりもする。まあ体力が回復するのでむしろ食べた方がいいと言えばいいが…。))

-マルチプレイの実装
--装飾品「チャネリング」を装備したキャラクターを2P以降のコントローラーに対応した隊列に並べた状態(2Pなら2番目)で戦闘中でセレクトボタンを押すとマルチプレイが可能になる。協力プレイならではの楽しさがあり好評を得たため、これも後のシリーズで引き継がれることとなった。
--しかし本作でスタンはパーティで入れ替えができないので、1Pはスタンしか操作できない。
---また、パーティが5人以上いないと並び替えが出来ないので、マルチタップがない場合は2Pの操作キャラが制限される時期がある。
---後のシリーズでは1Pのキャラを含め、いつでも並び順を変更できるようになった。

-会話スキップ機能の実装
--ボタンを連打していなくても○ボタン長押しで台詞を飛ばしてくれるため、台詞を見なくていい場合は便利。
---現在でこそ会話スキップ・イベントスキップは当たり前の機能だが、当時としては珍しい仕様であった。テイルズオブシリーズで本格的に採用されるのは「デスティニー2」から。
//---後の作品では誤爆防止の為か×+□のコマンドになったり、声優が台詞を一通り読み上げたら自動でメッセージを送ってくれるようになったり、自動でメッセージを送るモードにしていてもスタートボタンでポーズをかけてじっくり台詞を読めるようになったり、イベントそのものをカット出来るようになったり等、様々な変化を遂げている。

-パーティキャラの1人であるリオン・マグナスは、シリーズ全体で見ても未だに高い人気をもつ。
--実質生まれる前から自身の運命を掌握される事が決まっており、他者の手で自分の人生を翻弄され続けるという、本作の固有ジャンル名の「影の一面」を担っていると言っても良い存在であり、苦悩しながらも強い信念を貫き、それに殉ずる姿は多くのプレイヤーの心を打った。
---華奢な美少年で声優の緑川光氏の熱演もあって(特に女性からの)人気が高く、彼を主役にした小説や漫画、彼の生涯に焦点を当てた長編ドラマCDまで制作されている。

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**賛否両論点
#region(リオンの扱いについて(ネタバレ注意))
-ゲーム中盤でスタン達と敵対。戦闘の末に敗北し直後、海底洞窟の濁流に飲まれて死亡する。その後、ラスボス戦手前の前座として、ゾンビ化されたリオン(通称:ゾンビリオン)が唐突に登場。スタン達は戦闘を余儀なくされ、リオンを完全に殺すことになる。
--自我が無い訳ではなく、「コロシテクレ…」と悲痛な訴えを切れ切れに呟きながら襲いかかってくる為、パーティは勿論プレイヤーの心理にも重くのしかかる。
--このゾンビ化に対しては当時からブーイングが激しく(先述の通りリオンは人気キャラである)、あろうことかPS版の公式攻略本で批判されたほど。
--PS版において『リオン戦の前にリオンのことを信じるかどうか選択肢がある』こと、リメイクでも『ダイクロフトでリオンのセリフが没ではあるが設定されている』ことから、公式で生存ルートの分岐が検討されていた可能性もある。
--一方で「死してもなお他者に弄ばれる」事で彼の悲壮さが強調され、「このシーンがなければTODは名作になれないのでは」と考えるファンもいる。好みが分かれる展開と言えよう。
--続編であるD2ではこのゾンビ化には触れられず、リメイク版でもこの展開は削除されている。どうやら公式側としてはゾンビリオンをなかった事にしたいようである。しかし当然ながら、またもや賛否が分かれた。CEROの審査にあたっての都合か、元々の設定なのかは不明。

-リオンは過激ながらも現在まで語り継がれている名台詞を多く発しているが、これもリメイク版で多くが削除され、不満の声も強く上がった。
--性格面でも辛辣さが悉くこそぎ落とされ、「普段はツンツンしているが、今迄の環境故素直になれない少年」といった人物にされている上、一部キャラの設定自体が変わってしまっている。
--なお、バグ技でリオンをパーティに残して「隠された神殿」でスタンに装備させたシャルティエを扉の鍵に使うと衝撃的な台詞を聞くことが出来る。
#endregion

-前作から開発スタッフが大幅に変わっているための弊害
--システムから雰囲気から、テイルズオブシリーズの初続編ということを意識して作られている。それは問題ないのだが、スタッフはかなり変わっているため、表面上はあまり感じにくいが、細かいところでの違和感を感じたプレイヤーも多かった。
--CD-ROM媒体に移行し容量が増えたことで、仲間が倍近くに増加した。しかしその割には人物描写にきわめて顕著な格差があり、増えているはずなのにそれ相応の存在感を掴みにくい。
--前作は捨て曲がないといっていいほど良曲ぞろいの作品だったが、今作は割と地味な印象で、ファンの間でも前作に比べると話題になっている曲は少なめ。作曲スタッフに関して言えば代わってはいないのだが、今作と「スターオーシャン」とで作曲を兼任しており、極めて近い期間で2作品のBGMを手掛けていたため、人的リソースを注力しにくかったと思われる。
---全く無いという訳ではなく、通常戦闘曲の「Bare its fangs」、リオン戦の「Lion -Irony of fate-」、印象的なイベントで流れる「Missing you」などは今でもファンから語り継がれている名曲で、特にリオン戦に関しては多くのリメイクなどが作られてている。
--システムは引き継いでいるが、技や術そのもののクオリティはあまり変わらず、全体的に粗けずりなバトル周りも煮詰め不足な感がある。
--ファンタジアを手掛けたスタッフが次に手掛けた『スーパーファミコン版スターオーシャン』とクオリティを比較すると、デスティニーは「ファンタジアの系譜のようで似て非なる物」という印象を受けてしまう人も多く、この点は賛否がある。

-シリーズ隋一の低さを誇る難易度
--ゲーム全般に渡って敵があまりに弱く、普通にレベルを上げていれば負ける要素が滅多に無い。
---雑魚敵のAIがほぼ無反応の為適当にボタン連打してるだけでほぼノーダメで進行可能。但し味方AIも敵に近付かないと近接攻撃を行わない仕様の為位置を調整しておく必要あり。結果としてスタン一人で全て終わらせる展開になりがち。
---ボス戦も適当にタコ殴りしてれば大半が簡単に倒せてしまう。挟み撃ちにしてしまえば必殺技もほとんど怖くない。
--唯一の例外は先述されていた隠しダンジョンの「ドルアーガの塔」で登場するある雑魚敵で、こいつだけは理不尽に手ごわい。詠唱時間が短く威力も高い全体攻撃晶術を遠距離から最大4匹で連射してくる為、詠唱を邪魔できる技を持っていないと近づけないまま全滅の憂き目に合う。

--極めつけはラスボスであり、戦闘システムの作りが甘いこともあってか「全然手ごたえが無い」と言われることも多い。~
確かに強力な術をいくつも持っており詠唱時間も非常に短いが、他のボスと違い''空中に浮遊していなければ詠唱できないと''いう致命的な弱点がある為、一度撃ち落としてからタコ殴りにするだけで完封できる。~
加えて、第1部のボス達が頻繁に使用してきた必殺技も持っていないので、術を使わせなければ負ける要素が無いのである。
---強さだけなら、強力な闇属性の必殺技「魔人闇(マリアン)」((ちなみにこの技、リオンが仲間にいるときはレベルが41になると使えるようになるのだが、そこまでリオンのレベルを上げるプレイヤーは殆どいないのが普通。一応コンボカウンターによるEXPボーナスを利用すれば、ある場所で比較的容易にレベル上げはできる))を使う前座のゾンビリオンの方がまだ手強い。
//一応coで記載。氷の大河で水属性を吸収する敵を、アトワイトを装備させたスタンで虎牙破斬→敵を挟み込んだ状態でリオンのぶっ飛ばし攻撃~のループで回復させながら99hitいけます。
---ベスト版でガード性能が強化されるも、乱打技を連発すればほとんど何も出来ないのは変わってない((乱打技を習得していないと足止めできない程度には強化されている。))。
---そもそもHPが低過ぎるのもある。前作のラスボスのHPが第1形態が56000、第2形態が64000+40000ありしかも頻繁にこちらの攻撃を無効化してくるのに対し、今作は第1形態が25000、第2形態でも30000しかない。
---また近年の作品でほぼ全てのボスが実装している鋼体((スーパーアーマーとも。攻撃を受けても一定回数まではリアクションを取らず、そのまま行動し続けられる特性のこと。))も無い為、とにかくガードされるかどうかに関係なく一回でも攻撃を当ててしまえば、後は一方的なハメ殺しコース直行である。~
詠唱時間が短いので接近するまでに多少のダメージは覚悟…といいたいが、スタンには敵の近くまで一瞬で移動できる技があるのでそれを使えばノーダメージ撃破も可能。
---流石に弱すぎたのか、ベスト版だと攻撃力20、回避率90上昇。更に属性攻撃を一定確率で無効化するようになった上、レーザーを撃つ際に無敵になり、一度でもレーザーを許すとそのまま連打されてハメ殺されるボスに。流石にこの調整は大味すぎるだろう…。
//ラスボスが弱い、なんて動画は「必要最低限」ではないし「RPG史上最弱」もオーバーすぎる。普通にプレイしてHP1や雑魚レベルのラスボスなどいくらでもいるのだから。
--「野望の為に暴利をむさぼった邪知暴虐の天上王」というシリーズでは数少ない「完全悪」なラスボスで、本編でもオベロン社を設立して世界の文明レベルを大幅に飛躍させた一方、それらも全て野望成就の為でリオン一家を崩壊させ、多くの志ある者の人生を狂わせるなど、シリーズでも残酷な功績を残しているにもかかわらず、一部からは哀れに思われ「かわいそうなラスボス」として名前が挙がる。
---シリーズのお祭りゲー等での出番も、シリーズのラスボスの中でも特に少ない。
---ちなみに、続編では「圧倒的な強さを誇る天上の王ミクトラン」という発言がある。シナリオ上は間違っていないのだろうが、本作でのゲーム上の弱さを知っていると、どうしても名前負けしてる感が拭えない発言となっている。


--ただ[[前作>テイルズ オブ ファンタジア]]は非常に尖ったゲームバランスで難易度が恐ろしく高く、プレイヤーの敷居を大きく上げてしまっていたのは間違いないため、新規ユーザー層のことを考慮すると妥当なバランスとも言え、決して間違っているとも言えないだろう。
--[[リメイク版>テイルズ オブ デスティニー (PS2)]]では戦闘バランスに大幅な調整が入り、かなり難しくなっている。~
最弱のレッテルを貼られ続けたラスボスも名前・外観、強さ共に抜本的に変更され、シリーズでもトップクラスの強ラスボスになった。

-召喚獣
--前作では特別な存在として描写されていた召喚獣だが、今作では普通にダンジョン内の道に落ちている。特にイベントも会話もなく、戦闘中に使うと召喚される、ただの道具同様になっている。世界観などが異なっているとはいえ流石にとってつけた感が否めない。

-隠し要素
--評価点でもあった隠しダンジョンだが、やはり前作と比較すると魅力が弱い点もある。
---「ドルアーガの塔」はファン以外からすればテイルズの世界観に無関係な代物である。ドルアーガの塔は刺さる人には刺さるが、やや尖ったセレクトでやりこみ要素としても賛否両論出てしまうのは無理もない。
---前作は海賊アイフリードの財宝探し、忍者の里、闘技場、ギースショップ、クレスの隠し奥義書、クラースの隠し召喚獣、アーチェの隠し魔術、モーリア坑道最下層などの最終戦前のやりこみ要素が多く、さらにそのほとんどにイベント会話まで用意されていた。スーパーファミコンでここまでやっていたことと比較すると、デスティニーのサブイベントは「期待したほどじゃないな」と感じてしまう人も多いだろう。

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**問題点
''シナリオ面の問題点''
-シナリオに唐突な展開が散見される。
--それに伴って多くの仲間キャラの必然性がファンタジアと比べると低い。前作がそれぞれのキャラ性が立っており、それぞれ戦う理由、旅する理由が明確だったため、今作のそれは比較として魅力が弱いわりに数だけがやたらと多い印象。
--特にソーディアン使いではないサブキャラクターは後半以降のメインシナリオには殆ど関与せず、後半以降味方勢は実質ソーディアン使いとソーディアン、その場その場のサブキャラクターだけでイベントが終始する事が多い。
--リメイク版ではシナリオの不自然な点に関して、伏線や理由付けをするなど多少フォローされている他、ソーディアン使い以外のメンバーも全員自動加入になりメインシナリオにも深く絡むようになった。
--差別的な発言も少なくない。主人公スタンを何かと田舎者呼ばわりしたり彼の故郷を事あるごとに卑下するルーティや、女性蔑視の発言が特に多いリオンなど((グレバムの部下だったフィリアを「グレバムの女」呼ばわりしたり、彼を助けようとしたフィリアに「女の手を借りるくらいなら死んだほうがマシだ」と言ったり、ルーティへの買い言葉とはいえ「ヒス女」呼ばわりしたり。))。リメイクでは大幅に変更を余儀なくされたのか、これらの発言も殆ど無くなり、こちらもこちらで賛否が分かれるきっかけになった。

-メインキャラの1人、ウッドロウ・ケルヴィンの扱いが悪い。
--「王族なのにあまり目立たない」「ストーリー中盤に低レベルで加入する(序盤の一時加入の際は経験値が入らない)」「ソーディアンマスターなのに終盤まで自身のソーディアンを使えない(しかもそのソーディアンも入手時のレベルは5)」「技も魔法も属性が風」などといった理由から「&bold(){空気王}」という大変不名誉なあだ名をつけられている。
--習得する技はどれも優秀だが、技が剣と弓で折半されているため、弓(及び技の半分)は使われず無駄になりがちなのも、ネタ化に一役買ってしまっている。終盤はソーディアンの突き攻撃力がとても高く、攻撃力・範囲・無敵時間をかねそなえたとても強力な専用突き技があるため強いことは強いのだが、前述の通りソーディアンの初期レベルは5なので…。
---その反省からか、リメイク版では再加入時のレベルがパーティに合わされ、第二部開始後に加入した時点でソーディアンを使えるようになったり、弓と剣を同時に装備し使用することができるなど、扱いは大きく改善されている。

-パーティキャラの一人「マイティ・コングマン」の扱い
--一応隠しキャラという扱いにも拘らず説明書に記載されているがメインシナリオでは敵としてのみ登場するため、多くのプレイヤーを勘違いさせた。このためか彼のみ小説版では未登場となってしまった。
---性格面でもかなり傲慢な振る舞いが多く、根はいい奴ではあるものの感情移入しづらい人物である。
---なお、加入時の彼の名前は「マイティ」。敵対時は後の作品同様「コングマン」なため、かなり違和感がある((ただ「コングマン」を変更させた場合、敵の名前も合わせて変更する処理を用意する必要がある為、仕方がない面もある。これはエターニアの「ハーシェル」と「ツァイベル」も同様。))。
//↑リオンの名前を変更していた場合の確認をしていないので、もしリオンの名前に合わせて敵リオンの名前が変更されるのなら、修正お願いします
---リメイク版では自動加入になり出番も大幅に増え、性格面もややコメディリリーフ寄りになりつつ「熱血漢」を字でゆく真っ直ぐな方向に改善された。加入時の名前も勿論「コングマン」である。

-ソーディアンマスター以外のサブメンバーは概して陰が薄くなってしまっている。
--第二部においては任意加入方式となっている上、ソーディアンマスターの人数が5人と(最終的には4人になるが)多いのに、パーティーは6人が定員というのも大きな原因。
---サブメンバーも魅力的な面々ではあるのだが、本作ではいささか見せ方が足りない部分が散見される。サブイベントに恵まれているマリーはともかく他3人は不遇で、辛うじてチェルシーが過去を掘り下げられている程度。
---加入・離脱時期に関しても差が激しい。チェルシーは前半でパーティに加わるのは、ほんの僅かなため後半ではレベルにかなりの差がついてしまう。マリーは前半長くパーティ入りするが、後半では特定の手順を踏んでいないと加入が遅くなってしまう。
---この点もリメイク版では大幅に改善されている。

''戦闘などのシステムの問題点''
-ソーディアンマスターの装備武器の問題
--ソーディアンには経験値が設定されており、装備している場合は現マスターが入手した経験値の100%を入手するが、装備していない場合は50%しか入手できないため、マスターの武器の選択肢がほとんどない。
---ソーディアンとの相性が悪い敵が多いところで属性のない武器を装備したり、コンボ稼ぎに弱い武器を装備する程度。特にルーティ+デッキブラシの組み合わせは余りに有名で『なりきりダンジョン2』でもネタにされている。
--この問題に合わせて、一部の武器種の存在意義がほとんどなくなってしまっている。
---剣はマリーが使用できるのでまだ使用用途はあるが、ロッドにいたってはソーディアンマスターであるフィリアしか装備できないので全く存在意義がない。
---実は没になった下記のリリスはロッドが専用武器であったためその名残として残ってしまったものと思われる。

-スタンの奥義の強弱が極端過ぎる
--全体的に見た目の割に攻撃力が低すぎるものが多く、敵にダメージを与える目的としては利用価値が薄くTP消費量も多い。
--逆に終盤で習得できる殺劇舞荒剣や皇王天翔翼などは公式チートと言えるほど強力で調整がいささか極端。
---どういう技なのかというと''ボタンを押した瞬間に発生し終了寸前まで完全無敵。かつ硬直が少ないため連発可能な高威力全画面攻撃。技の発生まで時間停止効果アリ''という具合。壊れにも程がある性能であり、現在でも''テイルズ最強技''と名高い。
---本作は主人公の攻撃属性の関係か、炎属性を無効化or吸収する敵が少ないので連打するだけでほぼ全ての戦闘に楽々勝利できる((例外は闘技場ででてくるワイバーンなど。炎属性の攻撃を吸収しHPを回復してしまうのでこの奥義が全く意味を成さない。))。実は仲間にも壊れと言える性能の技は結構な数があったりするが、皇王天翔翼のあまりに頭抜けた性能の前には霞んでしまう。習得したが最後、自主的に封印でもしない限り仲間はスタンのTPを回復させるくらいしかやる事が無くなってしまう。
---極めつけにこの技、恐ろしいバグがある。技中にスタンが毒で戦闘不能になった場合、巨大な鳳凰のオーラが出っぱなしになるというもの。攻撃判定も当然のようにそのままなので、この状態になると''その場に突っ立ってるだけで永久コンボが完成する。''
---ただ、習得方法は攻略本なしではまず分からないほど難解((とあるディスクが必要になるのだが、それを入手するには何百通りから正解を選ぶ種育てのイベントをこなさなければならない。))であるため、習得しないままゲームをクリアしてしまったユーザーも多かった。一種のやりこみ要素のおまけとして作られたのかもしれない。
---リメイク版では大幅に仕様が変更され、奥義からBC(ブラストキャリバー。他シリーズにおける秘奥義の様なもの)になり、攻撃範囲や連射性などが大幅に弱体化した。

-晶術が少し使いづらい
--全体的に詠唱に時間がかかり発動が遅い晶術よりも、すぐに出せる技を使用したほうが有効な場面が多く、晶術がやや持ち腐れとなっている感がある。

-スタン以外を操作しようとするとアクセサリ枠が潰されてしまう
--AIよりプレイヤー操作の方が有利である、という理由からだろうが、スタン以外を操作するにはアクセサリー枠が一つ潰れてしまう。更にマニュアル操作なども行いたい場合はもう一つも使う必要があるため、アクセサリーが自由に装備できなくなってしまっている。

-装備と資金のバランス
--本作ではレンズの力で凶暴になったモンスターを退治し、レンズを集めて換金する事で生計を立てる「レンズハンター」という職業がある。
--RPGにとって「モンスターがお金を落とす」というお約束を本作ではあえて払拭し、「モンスターが落としたレンズをお金に換金する」という形で筋を通しシナリオへの伏線にもしているのだが、肝心のモンスターがレンズと一緒に従来のRPGと同じくお金も落とす為、この設定が揺らいでいる。
--パーティの大半はソーディアンを所持しており武器を購入する必要も無い為、レンズ換金もあって容易に大金を所持でき、難易度低下に拍車をかけている。
---リメイクでは人間系のモンスターのみガルドを落とすように変更されている。

//オリDはダッシュしてもエンカ率が変わらないので、記述を全削除。

-全体的にバグが多い。
--本来なら仲間にならないリリスや永久離脱するはずのリオンがメンバーとして使える、ある条件下で無敵になるなどの有利なバグもあるものの、基本的にフリーズするような致命的なバグが多かった。
--特に有名なのが、戦闘中に技名のボイスが止まらなくなり、戦闘終了後にフリーズを起こすバグ。雑魚戦、ボス戦問わず突然発生し、そのままリセットせざるを得なくなるかなり致命的なものである。
---Best版でほとんどのバグは修正されたにもかかわらず、これだけは直っていない。一応戦闘ボイスをOFFにすれば回避できるものの、テイルズシリーズの目玉の一つとなっている要素故、バグ回避の為とはいえはばかられるものがある。
--もう一つ有名であるのがオート操作時で術・技選択画面で上キーを入れっぱなしにするとカーソルが画面外に飛び、未習得な術やそのキャラクターが使えない技が使用できる物。術はソーディアンマスターであるならだれもが使えるので問題はないが、技に関しては不自然な挙動を起こすので注意。最悪、上記の技ボイスバグや画面外にすっ飛んで画面の上下ループで戦闘が終わらない、フリーズなどで泣くこととなる。やるならセーブしてから。
--また凶悪なバグとしては、フロア移動などした際の暗転後に黒背景に作品ロゴ、その下にエラーメッセージが出現してボタンを押すとタイトルに戻されるとんでもないものがあった。((この項を書いた筆者は新品購入なのに序盤からたびたび遭遇したがロットによるものかは不明。))
---Best版ではかなり修正されている。

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**総評
「サイエンス・ファンタジー」の名に恥じない世界観や克明な設定、キャラクターの人間臭さや秀逸なテキスト、様々な人間の運命が入り混じり展開するストーリーは、間違いなく粗の多さを覆すだけの魅力と言える。~
加えて、登場キャラの「リオン」の人気もあってか未だにシリーズでも高い人気を持つ作品である。~
この作品がヒットしたおかげで現在のシリーズの地位が確立されており、後のシリーズに影響を及ぼした点も大である。

今現在ではシステム面が大きく改善されたPS2版の存在があり、わざわざこのPS版をプレイする意義は薄い…と思われがちだが、原典から良くも悪くもストーリーやキャラの性格や設定が大きく変わり、勧善懲悪に大きく傾き現代風のコミカルさを強く押し出したPS2版には無い、必ずしも報われるとは限らない負のしがらみや多くを語らず数多の運命の交錯を描くこのPS版独自の魅力も数多い。~
発展途上故のシステム面での拙さ、やや悪いテンポを割り切れるならば、あえてこのPS版をプレイする価値も充分あるだろう。

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**その後
-その人気から[[続編>テイルズ オブ デスティニー2]]が発売されたが、主人公であったスタンの扱いやシナリオの粗の多さ、本作設定との食い違い(正確にはメディア版設定の多数輸入)、戦闘の高すぎるハードル故に賛否両論あるゲームとなってしまっている。
-2006年にはPS2で[[リメイク>テイルズ オブ デスティニー (PS2)]]された。システム面や戦闘の完成度の高さは評価されているものの、PS版から削られた要素・名シーン・名台詞なども多々あり、大きく内容が変わっている。
-『[[NAMCOxCAPCOM]]』にスタンとルーティが参戦。それ以外に、リオンやマーボーカレーなどの細かいキャラクターやアイテムなども登場している。

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**余談
-リリスについて
--スタンの妹、リリスも戦闘に参加できるパーティメンバーの一人として作られていたが、没になったらしく、内部データにはリリスの各種データが存在する。専用アイテムやセリフ、ボイスまで存在した。
--初期版では、バグ技によりリリスを仲間にすることができた。第2版以降及びBest版では修正されたため不可能。
---ただ、出現させた後のセーブデータであれば修正版でも扱える。ちなみに何故か修正版では「銀のおたま」という武器の入手イベントが追加されたのだが、後のテイルズシリーズではこれがリリスの標準武器扱いになった。特に意味はないが、初期版と通常版を併用すれば本作でもリリスにおたまを持たせられる。
--開発側もお蔵入りにはしたくなかったのか、次回作のPS版ファンタジアでは、闘技場の隠しボス的存在として、本作のデータを流用したリリスが登場している。
---リメイク版では正式なパーティキャラクターへの出世を果たした。
--ちなみに登場する度に声優が変わっており、本作の没データではルーティ役の今井由香氏、PS版ファンタジアでは川田妙子氏、ドラマCD・正式ユニット化したPS2リメイクでは沢口知恵氏が声を当てている。

-外部書籍でのリオンの扱いについて
--発売後に二雑誌にてコミカライズされている。1つは「ファミ通ブロス」の啄木鳥しんき氏の作品、もう1つは「Gファンタジー」で連載されたくおん磨緒氏の作品。
--啄木鳥しんき氏の『神の眼をめぐる野望』では生きて再登場を果たしたことに多くのファンが歓喜した。
---ただし、この漫画は最初からオリジナルの部分が多く、リオン生存ルートの伏線に対しても色々と((主にリオンの心境の変化具合や、スタンやルーティとの関係の改善。))張り巡らしていたり、描いていたりしたので、再登場時の唐突感はほぼない((作者もその点に関してかなり真面目に考えたことが当時のインタビューで語っていた。))。というか(ゲームで例えるならほぼイベントボス近い)ラスボスの登場の仕方に(伏線はあったものの)びっくりした人も多いだろう。
---また、ドラマCD本編&彼の生涯をクローズアップした『プルースト フォーゴットンクロニクル』でもゾンビ化はなく、生きたリオンがミクトラン戦で絶体絶命の窮地に陥ったスタン達に駆けつける展開になっている。むしろ、ゾンビリオンはPS版(と矢島さら女史のPS版の小説)のみの演出となっている。
---余談ではあるが小説版では同様に出てきたゾンビリオンを即死魔法【エクステンション】((ゲーム内では本来ボスに効かないしもちろんゾンビリオンにも無効))で消滅させている。((なお同呪文のPS版内設定は相手を分子レベルに分解して消滅。既に死んでいるとはいえやりすぎである。))なんという仕打ち。
--なお、くおん磨緒氏の方は原作通りとなっている。

-本作のドラマCDについて
--本編をドラマ化したものが全6巻、これを基にしたリオンのアナザーストーリーである「ブルースト フォーゴットンクロニクル」があるが、このドラマCDがリメイクや続編などの公式展開に与えた影響は地味に大きい。
--PS2版でのリメイクや「D2」での本作のキャラのCVは、このPS版ではなくこれらドラマCD版に合わせられている事、アナザーストーリーの設定がPS版ではなく本編ドラマCD版に基づいている事、後に発売されたドラマCD「テイルズリング アーカイブ」の本作の後日談もこのドラマCD版での展開が採用されている…など、マイナーなメディアであるにも関わらず決して無視出来ない影響をもたらしている。
---特に「テイルズリング アーカイブ」はリオンのゾンビ化が設定として採用された数少ない媒体でもあり、後のPS2版しか知らない者が聴くと所々の設定が把握できず首をかしげる事になる。

-コングマンについて
--問題点にあるように扱いの悪い彼だが、むつみ氏はコングマンが気に入っているようで「肉々しいキャラを描くのが好きなのに、発注が来るのは美形ばっかり」「コングマンを描いてる時が一番楽しかったのに需要がなかった」とインタビューで不満を漏らしていた。
--電撃文庫の「ルーティのルール」(著:祭紀りゅーじ)では所謂コメディリリーフ的なポジションでありながら、サブ主人公といってもいいほどの活躍っぷりを見せている。ただ、此方はこちらでとんでもないオリジナル設定が追加されてはいるが…。
--ちなみに彼の声優はアーノルド・シュワルヅネッガー氏の吹き替えや『機動戦士ガンダム』のドズル・ザビ等の重みを含んだ男性ボイスに定評のある玄田哲章氏が担当しており、なんとも違和感のない配役となっている。
//コングマンの見た目的に解りやすい方がいいと判断しこちらへ

-ステータスにLUCという運のパラメータがあり、宿屋に泊まるとランダムで変化する。
--ステータス画面にはキャラの立ち絵が表示されるが、LUCが高いと別のバストアップ絵に変わる。
---ちなみにリリスは立ち絵なし、と思いきや他キャラだとバストアップ絵になる高LUCで普通の立ち絵が表示される。

-また、直接ゲームに関する問題ではないのでこちらへ記述するが、本作のサウンドトラックは''耳を疑うほどに出来が悪い''。『エターニア』でも同じことをやらかしており、サントラで音源が増えた『レジェンディア』とは真逆の問題となってしまっている。

-本作ではセーブデータのチェックサムを行っていない。
--これがどういうことかというと、タイミングをはかってセーブ中にメモリーカードを抜いたり電源を切ったりすると、タイミング次第で「元データの状態+アイテム上書き」や「元データのイベント進行具合+パーティメンバー上書き」を狙って引き起こせる(万が一のデータ破損の危険もあり得るため、試すなら自己責任の上でバックアップを忘れずに)。
--強くてニューゲーム、ソーディアン強化イベントをまた起こしてさらに強化、リオン離脱後のデータを離脱前のリオンが居たパーティで上書きして最後までリオンとシャルティエを使う((ちなみに第二部序盤のイベントにて進行次第でスタンが装備中のソーディアンと会話するのだが、この時にシャルティエを装備していると衝撃的な発言をする。))、など色々なことが可能。

-解説キャラ・マリー
--第二部以降、マリーを連れてドルアーガの塔の入り口がある場所に行くと、いきなり入り方のヒントを教えてもらえる。またシュサイアでの敵の撃破率と隠し宝箱を教えてもらえるなど、一部の隠し要素のヒントを教えてもらえる。
---何故彼女がこんな役割になったのかは不明だが、第二部のシナリオの出番のなさに対するフォローだろうか?

-攻略本のインタビューで開発者が「最近の子供はあまり勉強しないので、もっと学んでほしいとの意味を込めて名前の元ネタは理系に関するものが多い」といった趣旨の発言をしている。しかし当の子供が見たら何故上から目線で見ているのだろうかと思うであろう発言である。

-2016年2月に『CRテイルズ オブ デスティニー~剣に導かれし最終決戦~』としてニューギンからパチンコ化された。
--とはいえ、当時は「マックスタイプ」と呼ばれるギャンブル性の強いタイプがバリバリ現役で、それを抑えた1/319タイプの多くは苦戦を強いられた上に、スペックも典型的な「規制により仕方なくその中で強いギャンブル性」を求めた劣化版で、その上演出もありきたりで強みになるものがまるでなく、印象にすら残らないものに終わった。

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