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ダブルキャスト」を以下のとおり復元します。
*ダブルキャスト
【だぶるきゃすと】
|ジャンル|やるドラ(アドベンチャー)|#amazon(B00006LJP5)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|シュガーアンドロケッツ|~|
|発売日|1998年6月25日|~|
|定価|5,040円|~|
|廉価版|PlayStation the Best&br()2001年8月16日/2,940円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''やるドラシリーズ''&br()''ダブルキャスト'' / 季節を抱きしめて / サンパギータ&br()[[雪割りの花]] / スキャンダル / [[BLOOD THE LAST VAMPIRE]]|

*やるドラ ポータブル ダブルキャスト
【やるどら ぽーたぶる だぶるきゃすと】
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|&amazon(B00097D9KW)|
|開発元|ウィル|~|
|発売日|2005年7月28日|~|
|定価|3,990円|~|
|配信|2009年9月24日&br()2,800円(UMD Passport:1,000円)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
当時ソニー・コンピュータエンタテインメントが「見るドラマからやるドラマへ」をキャッチフレーズに展開していた「やるドラ」シリーズ4部作の第1作。本作は春夏秋冬の「夏」をテーマにしている。~
「やる=プレイするドラマ」というコンセプト通り、ビジュアル・サウンド面のドラマ要素と、選択肢によって展開が変化するゲーム部分の両立が目指されている。

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**あらすじ
大学生である主人公は所属する映画研究会の飲み会で泥酔し、繁華街の道端で意識を失っていたところを赤坂美月という少女に介抱される。~
自分の名前以外の記憶が無いという美月は、記憶が蘇るまでの間主人公と同居することに。

やがて、映研では自主制作映画を撮影することになり、そのヒロインとして美月が起用されることになる。だが、それをきっかけに美月の周辺では様々な異変が起こり始め…。

**特徴
-本作のグラフィックは一般的なテキストアドベンチャーのように「立ち絵+会話ウィンドウ」ではなく、すべて固有のアニメーションで描かれる。
--キャラデザインが「機動戦艦ナデシコ」で有名な後藤圭二氏であることも売りの一つ。
-台詞はフルボイスで、字幕の有無を切替可能。
--主人公の台詞のみボイスが無く、映像でも顔が一切映らない。
-選択肢によって展開が変化するオーソドックスなノベルゲーム方式。
-エンディング後に、前回のプレイを自動再生でなぞる機能もある。
--周回プレイの際には一度見たシーンのスキップや、特定ポイントからの開始が可能。

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**評価点
-アニメとゲームの融合
--全編アニメーション+フルボイスで進行するため、まるでアニメを鑑賞するようにプレイ可能。
---アニメも良く動きクオリティが高い。ムービーに強いCD-ROMハードならではといえる。
--選択肢によって展開やエンディングが大きく変わるため、一般的なADVゲーム相応のボリュームはしっかりある。

-シナリオも秀逸
--序盤は比較的明るい青春ラブコメ的な雰囲気なのだが、中盤からは徐々に不穏な要素や謎が登場し、シリアスなサイコサスペンスへとシフトしていく。
---謎の提示や開示、伏線も各所に仕込まれており飽きさせない作り。さらに終盤にはホラー・バイオレンス要素を含むかなり刺激的な展開やシーンも存在し、「かわいい女の子との同居生活」をイメージして購入したプレイヤー達に強い印象を残すことに。
--一部の伏線は本筋では明かされないが、サブキャラのルートで明かされたりと、ルート分岐の多彩さに役立っている。
---細かい描写や伏線も多いため、綿密な考察を行って物語の背景を深読みするファンも多い。

#region(終盤や一部ルートの展開についてネタバレあり)
-序盤は朗らかで可愛いヒロインだが、終盤の展開次第では想像もつかないような豹変っぷりを見せる。
-また二周目以降で進める一部のルートは、(直接的な描写はないものの)大量の血しぶきが飛び散る残虐シーンの連続であり、衝撃の展開に驚いたプレイヤーも多い。
--そのルートで一瞬表示される狂気に満ちたヒロインの表情はトラウマ要素と名高い。
---この画像は一応ネタバレ要素ではあるのだが、本作で画像検索すると真っ先に出てきてしまう。
#endregion

-ヒロインや絵柄のアニメーションとの相性の良さ
--ヒロイン・美月は元気な「ボクッ娘」であり、コロコロ変わる表情も含め全編アニメーションである本作との相性が良く、その魅力が存分に発揮されている。
--キャラデザが当時ナデシコで人気の後藤圭二だったのも大きい。

-声優陣もベテラン揃い
--メインキャラからサブキャラまで、ギャグもシリアスも演じ切っている。

-EDテーマの「door」も好評

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**賛否両論点
-メインヒロインが「ボクッ娘」である事
--若干ニッチなキャラ付けであり、メインヒロインとしては少々人を選ぶ。
--ただしこの一人称すら、実は物語上の伏線の一つとして活かされていたりする。

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**問題点
-グッドエンドの条件が少々難しい
--必要なフラグがそこそこある為、1周目ではどれかが欠けてバッドエンドに行ってしまう事が多い。

-グッドと言えないグッドエンド
--今回の事件を「ひとまず解決できた」ものは全てグッドエンドとされているため、すっきりしない結末も存在する。

-バッドエンドを迎えた際のヒントが少なすぎる
--主人公の先輩2人がヒントを担当するのだが、片方は「その通り」と同意するだけ。実質的に一言メッセージとなっており、種類も少ない。
--大雑把な内容のものが多い。「彼女は寂しがっている」や「信頼できる者の協力が不可欠」はマシな方であり、中には「世の中そんなに甘くない」という意味不明なものすらある。
--本作はグッドエンドに必要なフラグ数が多い為、キャラ付けや尺の都合を優先した可能性もある。

-分岐条件の厳しいバッドエンドが二つある
--どちらも「夜道を追いかけてきた美月にそこそこ冷たくあたる」必要がある。冷たさの加減(選択肢の組み合わせ)がよく分からない上、やりすぎるとジェノサイドルート確定。しかも、これらの仕様はノーヒントである。
--夜道のイベントが発生するのは序盤の終わり頃。これに対し、ジェノサイドルートへの分岐が中盤、専用バッドエンド2種への分岐が終盤なので、自力での関連付けが難しい。
--分岐条件だけでも厄介だが、周回プレイでシナリオ中盤から始めた場合、夜道のイベント自体がスキップされてしまう。これらの仕様により、達成率100%の鬼門となっている。

-CGモード・回想モード・サウンドテストがない
--いずれも大抵のノベルゲームに実装されている。ただし、CGモード・回想モードに関しては、本作が膨大な数のアニメーションを使用している都合上、やむを得ないとする見方もある。
--PSP版はギャラリーモードでBGMを聴く事が可能。

-スキップ機能が不便
--速度がやや遅い、未読部分を飛ばせない、△ボタンを押し続ける必要がある((PSP版ではON/OFF切替式が追加されている。))等、使い勝手はあまり良くない。

-チャプターが少ない
--本編の途中から始める場合、開始地点は「冒頭で美月と出会うシーンの後」「シナリオ中盤」の二つしかなく、どちらも解禁条件が設定されている。

-いわゆる「システムデータ」がない
--ED達成状況やルート達成率を増やすためには、毎度何かしらのEDを迎えてセーブし、また最初から始めなければならない。
--選んだ事のある選択肢を色分けする機能がなく、自分で暗記するかメモを取る必要がある。

-達成率100%について
--先述した「スキップ機能の不便さ」「チャプターの少なさ」「システムデータの不在」が原因で、かなりの作業を要求される。
--CGモードが存在しない都合上、達成率100%の特典CGを再度見るには最初からやり直すか、達成直前のセーブデータをバックアップするしかない。
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**総評
フルボイス・フルアニメーションというありそうでなかったADVゲーム。~
人気のキャラデザインを起用し、アニメーションの出来もよく、さらにシナリオの評価も高いと、やるドラシリーズでも特に人気の高い作品になっている。~
サイコサスペンス的なストーリーはやや人を選ぶが、そういった作風のADVが好きなら楽しめるだろう。

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**その後の展開
-本作に続き、当初の予定通りの4部作が発売された。
--「春」がテーマの第2作『季節を抱きしめて』は主人公とヒロインを含む三角関係といった恋愛要素とファンタジー色が強いシナリオ。
--「秋」の第3作『サンパギータ』はクライムサスペンス&バイオレンス的な作風。
--「冬」の第4作『雪割りの花』は独特の絵柄で、内容も年上のヒロインとの沈鬱な交流を描いたもの。
--この4作品は全て''ヒロインが記憶喪失''という共通点がある。これは元々、初期4部作は「記憶喪失」をテーマにした4編のオムニバスからなる1本のソフトの予定だった為。
---また春夏秋冬の「春」にあたる作品よりも「夏」にあたる本作品が先に出たのは、「春」がコア向きの内容だったためとのことである……が本作が「万人向け」かと言われると疑問も残るが。
--本作を含めた4部作は後に廉価版が発売され、PSPにも移植された。
---さらに初期4部作の後もハードをPS2へ移し、『スキャンダル』『[[BLOOD THE LAST VAMPIRE]]』が発売された。

**PSP版について
-UMD1枚にまとめられており、ディスク交換の手間がなくなった。
-画面表示をフルスクリーン/オリジナルサイズの二種類から選べる。
--画質自体は上がっておらず、フルスクリーンで引き延ばすと粗く見える。
-テキストの解像度が上がっており、ウィンドウの透過・表示位置の変更が可能。
-タイトル画面やUI(効果音含む)が異なる。
-自動スキップ(ON/OFF切替式)が追加。
-セーブポイントが大幅追加(セーブスロットは5つ)。
-各エンディングのリプレイデータが自動保存される。
-ギャラリーモードが追加。
--エンディング収集の特典として、各キャラの設定画が解禁されていく。また、作中のBGMを聴く事もできる。
-PS版から劣化した部分は以下のとおり。
--映像・音声のつなぎがPS版より遅く、やや間延びした印象を受ける。
--一部のシーンにおいて、直前に表示したフレームがちらつく事がある。
--達成率を画面左上に表示する隠しコマンドが廃止。ただし、数値自体はセーブ/ロード画面で確認可能。
-気になる点は幾つかあるものの、携帯機向けに遊びやすくした良移植と言えるだろう。

**余談
-プレステはセガサターンに比べてお色気描写の規制が厳しく、移植版でもパンチラは徹底的に修正されていたが、本作はパンチラどころか堂々と美月のパンツが見えるシーンがあり、「ソニー自体の発売だったらパンツ出してもいいのか」と話題となった。

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