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DEMENTO」を以下のとおり復元します。
*DEMENTO
【でめんと】
|ジャンル|ゴシックサイコホラー|&amazon(B0007QD6J4)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|発売日|2005年4月21日|~|
|定価|6,800円|~|
|廉価版|カプコレ:2006年12月14日/2,079円|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2015年4月4日/1,234円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

#contents(fromhere)
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**ストーリー
 深い、冥い眠りから目を醒ますフィオナ=ベリ。
 彼女はひとり、一糸纏わぬ姿で、見も知らぬ地下室に閉じ込められている。
 檻に、閉じ込められている。
 冷たい檻を、地下室を抜け出すフィオナ。
 逃げなくては。
 でも、どこへ?
 いずことも知れぬ、古びた城の中。さまようフィオナ。
 
 やがて、フィオナは知る。
 両親と共に事故に遭い、ひとり命のあったフィオナが、縁戚にあるこの城へ連れてこられた事を。
 衝撃を受けるフィオナ。しかし、それは始まりに過ぎなかった。
 フィオナを執拗につけ回す異容の男。
 絡みつく視線。
 人影。気配。
 禍々しくも整然と並ぶ錬金の術具。
 
 城は、悪意をはらんで歪んでいた。
 
 偶然に救い出した犬、ヒューイをパートナーに、フィオナの探索が始まる。
 狂気に彩られた悪夢は、彼女をどこへ導くのか。

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**概要・特徴
-元々『[[クロックタワー3]]』の続編として製作される予定だったが、新規ユーザー開拓の為にタイトルや設定を変更して開発された。
--その為、クロックタワーシリーズとの類似点が多く、ゲームシステムは『クロックタワー3』の発展形と言える。
--音響効果はクロックタワー3のサウンドデザイナーである内海秀明が手がけている。効果音も同作の流用が見られる。
-本作の特徴的な要素として、「犬と協力してゲームを進めていく」というものがある。
-ストーリーや世界観は、人間の狂気や錬金術世界のダークサイドな一面を題材にしている。
-イベントシーンの監督(シネマティクス・ディレクター)は、俳優・コメディアン・映画監督・歌手の竹中直人が担当している。
--登場人物の一人のモーションアクターも同氏が担当している。

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**ゲームシステム
-追跡者
--主人公を執拗に付け回し、襲ってくる敵。
--追跡者自体は複数存在するが、一度に登場する追跡者は一体だけ。ゲームの進行およびマップ(ステージ)によって登場する追跡者が替わっていく。
--追跡者の出現について
---追跡者は一定時間の経過や、特定のイベントによって出現する。それ以外にも大きな音を立てたりすると時間に関係なく追跡者に気配を悟られるので、逃走状態でなくても慎重な行動が必要。
---特定のマップに存在するルミネセンスという発光体に触れると、大きな破裂音がして追跡者を呼び寄せてしまう。ルミネセンスも主人公をゆっくり追尾する。
---もうすぐ追跡者が現れる時は、予兆として犬(ヒューイ)が唸り声を上げ、通常BGMが停止し無音状態になる。
---追跡者が出現している時はBGMが専用のものに切り替わる。
--追跡者を振り切ったり物陰に隠れてやり過ごしたとしても、追跡者はしばらくの間付近のマップを捜索している(主人公のいる場所に戻ってくる場合もある)。そのため追跡者のBGMが無くなったとしてもすぐには安心できない。
---同じ場所に長時間(あるいは何度も)隠れていると追跡者に見つかる可能性が高くなる。そのため安易なパターン化がしにくく、一筋縄ではいかない。
--戦闘について
---追跡者は、戦闘により体力を減らして一時的に行動不能にしたり、撃退することも可能。
---主人公は女性という点もあり非力なので、一人で戦うことは非常に困難。そこで犬(ヒューイ)の協力が重要となる。
---あまり多くは無いが、クロックタワーシリーズ同様の撃退ポイントも存在し、本作では「ヒューイを待ち伏せさせておく」「アイテムで誘導する」など条件付きの撃退ポイントもある。
---各チャプターの最後には追跡者との対決が待っている。しかしクロックタワー3のようなファンタジックなバトルではなく、物理攻撃や部屋の仕掛けを駆使した戦いとなる。
-犬(ヒューイ)
--主人公のパートナー的存在であり、ゲームのほぼ全編に渡って主人公の助けとなる。
--犬に指示を送り、行動の手助けや敵への攻撃が可能。一部の仕掛けの解除や、一部のアイテム入手にも犬が必要となる。
--犬のAIは主人公との友好度に依存する。犬の行動を褒めたり躾を行って、犬のAIを賢くすることもできる。
-主人公の状態変化
--疲労・ダメージ
---走り続けたりして体力を消耗し過ぎると、移動速度が低下したり、バックステップなどの行動が取れなくなる。
---敵の攻撃で負傷するとダメージ状態になることがある。ダメージ状態になると、疲労と同様いくつかの行動に制限が掛かる。また敵の攻撃で瀕死状態になり、ゲームオーバーの危険が高まる。
--パニック
---パニック値という内部パラメータが一定値を越えると一定時間パニック状態に陥る。パニック状態の時は画面が白黒に変化し辺りの状況が把握しづらくなったり、行動に制限が掛かるなど様々なデメリットがあり、ゲームオーバーの危険が高まる。
---パニック値は敵の攻撃を受けたり、敵の近くで叫び声を聞いたり、隠れている時に敵に発見されたり、敵から逃げ続けていると上昇する。
---パニック値が一定値以上になると、走っているだけでも転んでしまうことがあるので、ただ逃げ回っているだけでは追い詰められやすい。
-アイテム
--主人公や犬の状態を回復したり、敵をしばらく行動不能にするなど、ゲームを有利に進められるアイテムがいくつか存在する。
--アイテムの入手法は、マップ上にあるものを拾う他に、特定の場所にて錬金術によって作り出すこともできる。また追跡者を攻撃してダウンさせている間に、追跡者からアイテムを入手することもできる。
-その他
--各マップ間の扉は開けっ放しにしておくこともできる。
---開けっ放しにしておくと、犬とはぐれにくい、追跡者から逃れやすい、扉の影に隠れられるといった利点がある。ただし物音が他所のマップまで届くので、追跡者に存在を察知されやすいというリスクもある。
---ルミネセンスは扉を通過できないという性質があるので、扉を閉めておけばルミネセンスの追尾から逃れられる。
---追跡者の中には、通過した扉を閉めるものも存在する。

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**評価点
-グラフィックが美麗。PS2内ゲームでも最高水準。
-ホラー部分
--クロックタワー譲りの「追われる恐怖」は健在。
--追跡者は視覚的な「怖さ」と内面的な「気持ち悪さ」の双方が上手く表現されている。
-主人公のエロ可愛さは好評。
-犬(ヒューイ)の存在
--外見や基本的な行動が非常にリアルであり、それらが可愛らしく見えるため犬好きにはたまらない。
--様々な場面で犬と協力するという、ホラーゲームとして新鮮なゲーム内容。
-ゲームに慣れてくれば、追跡者を逆に撃退するアクションゲーム的な楽しさも味わえる。
-ロード時間が無い
--ロード時間が存在するのはニューゲーム時やセーブデータをロードした時の最初の1回だけであり、ゲーム中はロード時間と言えるものが皆無。マップの切り替えも画面の暗転や扉の開閉といった演出無しに一瞬で行われる。
-充実のおまけ要素
--BGM・ムービー・3Dモデルの観賞・イラストを鑑賞できるギャラリーや、ヒューイをプレイヤーが操作してフィオナはAI操作になるミニゲームがある。
--隠しコスチュームも数種類存在する。コスチュームを変更するとムービーなどのイベントにも反映される。
---一部のコスチュームには武器が付属しているものもある。但し、各武器は攻撃力こそは高くとも、隙が大きかったりなどで必ずしも使い勝手が良いとは限らない。

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**問題点・賛否両論点
-ストーリー
--全編通じて描写不足。専門用語が多く、回想なども断片的にしか語られないためプレイヤーが置いてきぼりにされがち。 
--本作はマルチエンドであるが、Goodエンディングは3つとも内容はほぼ同じである。
--とは言え、クロックタワー3のような幼稚さや大きな粗は無く、本作のテーマである「狂気」を巧みに表現している。
--公式サイトでは登場人物や用語の補完が行われているので一度クリアしたら確認してみるといい。
--ちなみにシナリオライターはクロックタワー3と同じく杉村升。本作の発売を待たず急性心不全により急逝したので、実質、本作が氏の遺作となる。
-犬(ヒューイ)の存在
--犬好きかそうでないか、ヒューイとのやり取りを楽しめるかどうかで評価が分かれやすい。
--ヒューイを躾けるなどして友好度を上げなければ、なかなか言うことを聞いてくれず、イライラさせられることもある。
--躾などのヒューイとのやり取りは、人によってはそれだけでも楽しめるのだが、AIを賢くするために探索の足を止めてまでやらされているとも感じられる。
--いつ追跡者が襲ってくるとも知れない緊迫した状況下にあって、犬を躾けたりお手をさせたりボールで遊んだりといった「余裕のある行為」をするのは違和感がある。
---ある意味ではそういう状況だからこそ、とも言えるが、プレイヤーがそれをしたいとは限らない。かといって、それをしなければヒューイが賢くならず、ゲームを円滑に進められないというジレンマがある。
-ゲームバランス
--ゲームを進めるにつれて難易度が上がるのではなく、むしろ簡単になっていく部分がある。
---追跡者はそれぞれ異なる性質を持っているものの、戦闘面などでやることはそれほど変わらないのでパターン化できる。能力的にも、後々の追跡者の方が強いとは言い切れない。ゲームに慣れていない序盤の方が体感的には難しく感じられる場合もある。
---ゲームが進むほど有用なアイテムを入手できる上に、ヒューイも強力な攻撃手段や回避アクションを覚えていく。
--アイテム練成は運の要素が強すぎる。
---スロット形式のミニゲームであり同じ色を揃えていくことでアイテムを入手できるのだが、色が付いた部分を止めるタイミングが非常にシビアであり、下級メダリオンではほとんど成功が望めない。
---ただし揃えた色によってはゲームバランスを崩壊させかねない装備品が入手できることもある。
--カメラ
---本作のカメラは固定視点であり、マップの特定地点に移動する度に別の視点に切り替わるという方式を採用している。
---追跡者から逃げたり戦っている最中にカメラ切り替え地点に差し掛かると、視点が急に変わって視認性が悪くなる場合が多々ある。さっきまで追跡者との距離感や位置関係がよく見えていたのに、間合いを保とうするとカメラが切り替わって追跡者の姿が隠れてしまうなど。
-追跡者
--外見的な恐怖感は弱い。
---別段、異様で人間離れした容姿ではなく、最初の追跡者以外は普通の人間とそれほど変わらない。
---終盤の追跡者は火柱を発生させたり瞬間移動するなど超人的な能力を持っており、恐怖感よりもむしろクロックタワー3にも似た滑稽さがある。
---また追跡者の一人であるリカルドの顔が竹中直人そのまんま。人によっては、リカルドの登場するムービーがギャグにしか見えない。
---あくまで外見的なだけであり、内面とくれば話は別。特に追跡者の一人であるダニエラは不気味な雰囲気と笑い声で多くのユーザーを震え上がらせた。
-その他
--何かを調べる時に、主人公が長めのモーションを取ることがよくある。モーション中の待ち時間が長めで、ややテンポを損ねている。
---クロックタワー3では調べるモーション自体が無かったので、進化した点ではある。もう少しスピーディーだったら純粋に評価点に挙げられたのだが。
--ソファの下などに隠れている時は主観視点になるのだが、この時視点を操作することができず完全固定なので、ゲームの没入感としては今一つ物足りない。クロックタワー3では視点操作が可能だったので、同作から退化した数少ない要素と言える。

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**総評
-クロックタワーの遺伝子を受け継ぎつつ、独自の要素を取り入れて上手く昇華させたホラーゲームの良作。
-ホラーゲー好きはもちろん、クロックタワー好き、犬好きにもお勧め。現在ではゲームアーカイブスで手軽に入手可能なので、興味のある人はプレイしてみると良いだろう。
--ただし過度に性的描写が存在するので購入は17歳以上をお勧めする(CEROレーティングはD(17歳以上対象)判定)。

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**余談
-クロックタワーシリーズにとどめを刺した功罪
--本作をクロックタワーシリーズの続編として売り出さなかったことからは、カプコンがクロックタワーの続編を出す気が無いという意向が読み取れる。これにより、事実上クロックタワーシリーズの死亡がほぼ決定的なものとなってしまった。
--仮にクロックタワーの新作として出ていれば、3の汚点を払拭する内容として評価され、シリーズが存続した可能性もある。
--ただし、クロックタワーは2の時点で大体完結しており、3でやらかしてしまった経緯もあるので、これ以上クロックタワーの続編を出す意義があるのかは怪しいところ。また、クロックタワーに縛られず新しいことをやろうとする開発側の姿勢も、これはこれで正しいと言える。

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