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ファンタシースター ~千年紀の終りに~」を以下のとおり復元します。
*ファンタシースター ~千年紀の終りに~
【ふぁんたしーすたー せんねんきのおわりに】
|ジャンル|RPG|&amazon(B000148I5O)|
|対応機種|メガドライブ|~|
|メディア|24MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|セガ・エンタープライゼス|~|
|発売日|1993年12月17日|~|
|定価|8,800円|~|
|備考|バーチャルコンソール&br;【Wii】2008年6月24日/700Wiiポイント|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ファンタシースターシリーズリンク>ファンタシースターシリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
-『ファンタシースター』旧シリーズの第4作目にして、「アルゴル太陽系」を舞台にした初期シリーズの完結作。~
過去シリーズに登場したモタビアン、デゾリアン、ニューマン、アンドロイドといった種族がパーティメンバーとして勢ぞろいする他、ジャコウネコ((『I』でのミャウの種族。))、ラッピーといった動物なども登場するのが特徴。
--タイトルに『IV』のナンバリングは無いのだが、実質『ファンタシースターIV』の扱いとなっている((電撃メガドライブの1993年3月号に掲載された速報記事では『ファンタシースターIV』のタイトルで紹介されていた。))。実際、海外版は『PHANTASY STAR IV』のタイトルで発売された。※本項記事でも本作を便宜上『IV』と明記させて頂きます。
--当時のスタッフのコメントによると、『PS IV』のタイトルにしなかった理由は『IVだと以前のシリーズを未プレイのプレイヤーに売れないから』なのだとか。
--また、よく間違われてしまうのだが、副題の表記は『千年紀の''終り''に』であって『終わり』ではないので気をつけよう。これだけでも検索結果に大きく違いが出る。
-過去作から舞台となっているアルゴル太陽系の主な惑星の一つ「モタビア」を主軸に物語は進み、やがて主人公はアルゴル星系全体を飲み込まんとする大いなる闇の存在と戦う運命を背負わされる事となっていく。
-ファンタシースターシリーズの初期の作品は、SF的な世界観と当時のゲームとしてはよく動くビジュアルが見所だった[[1作目>ファンタシースター]]、更にSF色が強くなりつつ、悲劇的なストーリー展開かつ準バッドエンドともいえる結末が衝撃的だった「[[II>ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~]]」の2作品が好評を博していた。
--だが、そのIIの1年後に発売された『[[III>時の継承者 ファンタシースターIII]]』が、今までと違うスタッフの手で急スパンによる開発が行われたのが原因か、過去2作と明らかに毛色の違う、コレジャナイ感溢れる作品になってしまった。
--それから3年後に送り出されたこの『IV』は、『II』のスタッフが再び集結して様々な点で大きなパワーアップを遂げた良作として世に送り出してくれた事により、旧シリーズの良きフィナーレを飾ってくれる事となった。

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**評価点
-戦闘システムは『II』をベースにさらに洗練され、プレイヤーのパーティ(後ろ姿)や敵の動くアニメーションレベルも格段に上昇。((特にスライサーのアニメーションは、IIの時よりも格段にテンポが良くなっている。))
-従来のテクニック(PS世界でのマジックを再現した技術)の他にキャラクターごとに回数制の特技も追加。キャラクターごとの個性がより明確になった。
--また、同じターンで複数のキャラが特定のテクニック・特技を組み合わせて発動させた場合「コンビネーションアタック」という必殺技を発動させることも可能。コンビネーションアタックの発動を支援するシステムとしてあらかじめ使用するテクニックや特技のコマンドを登録して自動実行する「マクロ機能」も搭載。
---最強のコンビネーションアタックの発動方法を送付すると『I』のMD版カートリッジが抽選で当たるキャンペーンもあった((内容はMKIII/SMS版と全く同じ。但しMDの仕様上サウンドはPSG音源。後にユーザーからの強い要望で『ファンタシースター復刻版』として一般販売されている。))。

-ストーリーは王道ものを地でいく展開ながら、主人公や他の登場人物の会話シーンも豊富で、非常に感情移入がし易い。
--特にイベント発生時には1枚絵の小さなイラストCGを漫画的なコマ割りでテンポ良く表示するシーンが多数発生して物語を彩ってくれる。その展開場面やイラスト数の豊富さ・見せ方のうまさも手伝ってストーリー全体の評価は高い。
--ストーリー展開自体は、鬱展開や報いようのない結末らが多かった過去作と比べるとかなりマイルドに軟化。
--序盤に起こるある主要人物の最期やラストダンジョン出現時に壊滅する近隣の村…といった鬱展開はいくつかあるものの、全体的には明るいノリ・作風で、エンディングもこのシリーズでは珍しく大団円に近い結び。毒気が減っている意味で、ファンの中では賛否両論になっている事も。
--町や施設のオブジェクトを調べた際の主人公のコメントもかなり豊富なのが面白い。
--世界設定では、主人公は荒廃したモタビア星でモンスター討伐を生業とする職「ハンター」に所属している。
---この要素は後の大作『[[PSO>ファンタシースターオンライン]]』でも「ハンターズ」という組織として受け継がれており、ハンターズギルドの受付嬢の台詞などは意図的にこの『IV』のものをオマージュしている。
---また、後年に発売された『[[PSZ>ファンタシースターZERO]]』も、文明が滅んだ荒廃した星でハンターズ稼業が成り立っているという、本作にかなり近い作風をしているのが特徴だった。
--『III』に関連する、過去作との矛盾点があったある設定も、それを払拭する為の処置として補完がされている事柄がある。
---いちばんの補完(追記?)設定は「ダークファルスは複数存在する」こと。そして「千年の封印」が実はダークファルスに対して行われていたわけではないことだろう。((後付けに近いが、『II』でもダークファルスは二体いた事になっている。))

-ゲームバランスはこの当時のRPGとしても非常に良質なレベル。過去作の難易度が総じてやや理不尽さがあった事が指摘された為か、本作はそれらを反面教師とし、理不尽さのほとんどない作りに仕上げられている。
--敵の強さ・ダンジョン攻略の難易度・エンカウント率に戦闘バランス、全てにおいて問題のない良好な出来となっている。攻略がきつそうなダンジョンがあっても、装備・回復アイテムやレベル上げといった前準備をしっかりしておけば、攻略が詰まる事はほとんどない。
--ささいな事項では、レベルが上がるとザコ戦からほぼ確実に逃走も可能になる点も大きい。これさえも過去作品ではランダムで逃走失敗が起きたりしてダンジョン探索などでのテンポが阻害されていたのだ。
-細かい見方では、前述の合体攻撃やマクロによるコマンド登録、味方キャラとの会話による「そうだん」コマンド等、他社の有名どころな後続メジャータイトル作品でも散見されるようなシステムがこれでもかと組み込まれている。時代を先取りするメーカー・セガ・エンタープライゼスの面目躍如である。(?)
--ちなみにこの「そうだん」コマンド、単独行動になっているときは「ひとりごと」コマンドになっていたりする。芸が細かい。
-当時、他には無い細かい良点として、「フィールドマップ上の町のシンボルが、実際のその町の配置になっている」所。これが簡易地図にもなれば、ちょっとしたヒントにもなっている。((町の中で分かりづらい場所を、一旦外に出て町シンボルで確認してから再度探す…等))

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**賛否両論点
-Ⅱの悲壮感のあるシナリオ・Ⅲの世代を超えて諍いや苦難を乗り越えるシナリオから一転、実に活気のあるシナリオは「これぞSF冒険活劇!」もあれば「PSっぽくない」とも。「Zガンダムの後のZZみたいだ」と当時も聞かれた。((Zガンダムの悲壮感から、「明るいガンダムを」で出たのがそこかしこに笑いをちりばめた「ZZ」。しかし、途中から仲間の死がきっかけとなりシリアス展開が増えるのもZZとPS4の共通点。))特にライラとハーンの漫才絡みが繰り広げられている間は微笑ましくもあり緊張感が無いとも言える。
---ただ、PSっぽくないと言っても全面否定は殆どされていない。単体としてみれば活気のあるシナリオは良点である。
--途中のライラとの別れ等、この活気ある明るさが引き立てる展開もある。ある意味、シナリオの起伏感はシリーズ1とも言える。  
-仲間の一人、ファルの扱いがラスト近くまでヒロインとしての存在感が薄い。ラスト近くのコマ割りシーンでようやく「ヒロインっぽく」なるがⅡの人気キャラクター・ネイに寄せてるにしては一登場人物、一パーティメンバーの域を出ていない。中盤の転換点で悲劇的な別れをするライラが別れても悲劇的なヒロインとして影響力が残っているのも原因の一つ。((ライラの立ち位置として分かりやすい例がFF7のエリアス、またそもそものPSシリーズでのネイ。))
--フレナ、シェス等他にも魅力的な女性キャラも多く、「パーティとして満遍なく」と「でしゃばらず、うずもれず」な公平な扱いではある。
--また、男性キャラが皆線が細い。一応、戦士タイプで「パイク」がいるがモダビアンで可愛らしい。主人公からしてガキんちょ、後は理系大学生風・防御力最低の優男・高身長の筈がそうは見えないサイボーグ・どうしようもない親父ギャグ使い等。女性キャラのライラが1番逞しく頼り甲斐がある。
---ただ、これまでのシリーズを通して線が細くないのはⅡのルドガーだけなのでこれで合っているとも言える。
-やはり、大幅な難易度の低下。「サクサク進む」というのもあれば「ⅡやⅢの苦労が良かった」とも。ただし、この頃のRPGのトレンドが「サクサク進む」路線が主流なので致し方ない所も。
--要所要所にシビアな箇所もあるのでヌルゲーという訳ではない。あくまで前作前々作よりも難易度が低いという事。
-ダークファルスが何度も何度も出てくるのは、これまでラスボス、又は準ラスボスとして君臨していたカリスマ性を薄めてしまった。「ダークファルスのバーゲンセール」と当時の雑誌やメガ・ディクショナリーの「メガドライブの朝」で揶揄される始末。
--「ダークファルスは数体いる」として過去作の補完となったが、引き換えに出現する度に貫禄がどんどん小さくなる。かえって序盤のジオの方が強敵として存在感があるという声も。
-前々作の問題点でもあったがウリだったダンジョンの二重スクロールが無い、またはおとなしくなった。見やすいのは見やすいが、前々作ダンジョンの「広大で、結構寄らなければスクロールしない」が既に改善されているので前々作程邪魔にしなければ二重スクロールはやって欲しかったとも。Ⅲでは二重スクロールも大幅に改善していたので勿体ない。
--代わりにラスダン等は違う演出もあるが、ごく一部となっている。


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**問題点
-クリア後の隠し要素や本編より強い敵と言ったやり込み要素が皆無な点。
--一応「ハンターギルド」で請け負える依頼は本編攻略に関係のない寄り道要素なのだが、一度クリアした依頼を再度受ける事ができず、それらの依頼を順にクリアしてしまうと結局残るのは一本道のストーリーのみという事に。『III』のような一部のストーリー分岐といった要素ももちろん無い。
---ストーリー進行上仕方のない面もあるが、一部の依頼は、ストーリーが最終局面になると受けられなくなる。
-「ランドマスター」をはじめとしたいくつかの乗り物に搭乗して移動している際の戦闘(通称マシンバトル)では、HPはその時のパーティーメンバーのHPではなくマシン自体の耐久力という扱いに個別設定されており、戦闘で敵の攻撃を受けてこの耐久力がゼロになると強制的にゲームオーバーになる。一応耐久力は戦闘が終わる度に自動回復するのだが、使用回数の少ないマシンの搭載武装をうまく駆使しないと通常戦闘よりも危なっかしい局面に立たされる事が多い。((ちなみに搭載武器は宿屋に泊まると全回復する。))
-欠点と言うよりは賛否両論点ともいえるのだが、長所欄にある通り過去作より大幅に低下した難易度。
--それでも一部のダンジョンではレベル上げとHP回復を怠ると苦戦を強いられる局面が多い為、一概にヌルゲー化しすぎたと断言するのは早計ともいえる。特に中盤の難所として名高いダンジョン「エアキャッスル」や、何も知らずに戦いを挑むと全滅に追い込まれかねない砂漠のサンドワームとか。
-当時主流になりつつあったAIバトルが搭載されていない。
--前述の通りマクロが用意されているので、経験値稼ぎとかで楽は出来る。
-役に立たないわけではないのだが、特殊攻撃(テクニック・マジック)の種類が多すぎて使いこなせない。

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**総評
-魅せてくれる世界観とイベントシーンに、オーソドックスRPGの鑑ともいえる良質なゲームバランスを両立した、欠点がほとんどない良作RPG。
-『PSO』が登場するまでの間、シリーズの人気を長く繋いでくれた作品といえる。『PSO』以降で初めてファンタシースターシリーズにふれた方にも、「元ネタ」といえる要素が多数ちりばめられている為にニヤリとくる場面と巡り会える事は必定。~

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**余談
-やり込んでレベル99にするとパラメータがバグってしまう。
--バグったという声と、大丈夫だったという報告もある。どうやらスタメンの編成で起こっているとみられている。弱体化するので注意。
-色々と「消える」問題。
--「メギドを覚えるとラザンが消える((ルディをレベル37以前にメギドを習得させれば消える事はない。))」「エルシディオンを取ると武器がなくなる((手に入れる前に装備をはずしておけば大丈夫。弱い武器の使い道はあまりないので消失しても問題は無いが、コレクション的にどうかな?というところ。))」等仕様からバグから色々とある。どれも特には進行に影響していないのが救いである。
-説明書の不備
--14種類しかないコンビネーション攻撃が15種類あると説明書に書いてある。これも特にやり込まなければ影響は無い。((ある意味先出の「消える問題」に絡めて言われる事もある。))現在では「説明書の不備」とされているが、「未発見のものが放置、または解答されていない」可能性も残っている。

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**移植
-Windows PC版で移植がされた(メーカーはメディアカイト)他、SSとPS2では過去3作やGG版らも遊べるカップリング移植がされている。また、WiiのVCでも配信されている。
--SS版とPS2版では移動速度・入手経験値倍率の変更が可能になり、より快適な環境で遊べる。また裏技扱いで、MD実機版にあったある深刻なバグを再現できるかどうかの設定が可能という、実機プレイをしたファンの琴線に触れる要素が。
-2019年9月発売のメガドライブミニにも収録されることが決定している。

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**その他
-2012年3月16日に開催された、アメリカの国立スミソニアン博物館が世界中の優れたゲームを特別展示した「アート・オブ・ビデオゲーム展」では、Atari VCSやファミコンからPlayStation 3まで世代別の歴代ゲーム機と4本ずつのソフトが展示された中で、メガドライブ枠では『[[ガンスターヒーローズ]]』などと並んで本作が選出された((ちなみに残りの2本はカルト的な人気を誇るミミズが主人公のアクションゲーム『アースワーム・ジム』と『コマンド&コンカー』シリーズで知られる、Westwood製作のRTS『DuneII :The Battle for Arrakis』が選出されている))。

//---SS/PS2版移植を担当した会社のM2はレトロゲーム移植に高い実績を持ち、今作でもその株を大きく上げてくれた事となる。エミュレーターによるコピー。

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