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シミュレーションRPGツクール95」を以下のとおり復元します。
*シミュレーションRPGツクール95
【しみゅれーしょんあーるぴーじーつくーるきゅうじゅうご】
|ジャンル|シミュレーションRPG作成ソフト|&amazon(B00005ODCW)|
|対応機種|Windows 95~XP|~|
|発売・開発元|アスキー((バリュー版からはエンターブレインに表記変更。))|~|
|発売日|1998年5月29日|~|
|定価|9,800円|~|
|廉価版|VALUE!:2001年4月2日/3,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|後発が振るわないため、根強い人気を誇る&br()サウンドノベルが何故か作りやすい&br()ツール自体は優秀だが、バランス調整の難易度は高い|~|
|>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
簡単にゲーム作ることが出来る点がセールスポイントであるツクールシリーズの一作品で、初の『シミュレーションRPGツクール』シリーズタイトル。~
発売年は悪名高い[[PS/SS版>シミュレーションRPGツクール]]と同じだが、半年程度先に発売されている。

戦闘アニメーションなどは自分で用意することが可能。ただし素材の用意や設定は面倒くさい。~
しかしツールとしては非常に初心者向けで取っ付き易く、公式で行われていたアマチュアのゲーム制作コンテストでは、このツールを使った作品も多く投稿され、入賞していた。

**基本的なシステム
-戦闘システム
--PS/SS版が『[[伝説のオウガバトル]]』を彷彿とさせるバトルシステムであるのに対し、こちらは全般的に『[[ファイアーエムブレムシリーズ]]』に近いシステムとなっており、射程の概念も存在する。
--それと違うのは、装備武器での攻撃の他に、魔法といった特殊攻撃が任意で使えるように出来る点である。攻撃射程も自由に設定が可能。
--また、所謂マップ兵器も設定が可能など、『ファイアーエムブレム』からは逸脱した要素も取り込まれている。
--PS/SS版のように増援の設定が出来ないなどといったことはなく、Win版ということもあって努力をすればかなり幅広いゲームが作れる。

-プレイ時の操作は、『RPGツクール95』などと同じくマウスで行われる。
--自動的にカーソルが戻るなど一長一短な仕様もあるが、PC操作とSRPGというジャンルは意外と良好。
---しかしキーボード・パッドプレイに完全に非対応なのは短所。キーボードやパッドでプレイしたい場合、マウス操作を代用するソフトが必要。パッドはパッドで楽な姿勢でプレイしたり、ユニットが多い場合などに便利なので両方に対応する方が望ましかっただろう。

**評価点
-初心者でもとにかく作りやすい。
--自作の素材を持ち込もうとすると難易度が跳ね上がるものの、デフォルトだけで考えれば難しい設定項目などは少ない。
--後のRPGツクールが複雑化したり不安定化したのを見ると、本作の安定度は95というタイトルながらツクールの本来の目的を満たしていると言える。
---逆に上級者には制限の強いところも多い。ただし工夫次第ではSRPGツクールでありながらRPGを製作したり、まったく関係ないミニゲームを作るといった荒業も可能である。

-戦闘アニメを自分で設定出来る。
--なお、デフォルトの戦闘アニメは非常にテンポ良く進んでいくため、ストレスをあまり感じないのが魅力。

-SRPGとしての肝は大体備えていること。
--後のPS/SS版では採用されなかった射程やマップ兵器といった概念を本作は持っており、キャラの個性もつけやすくなっている。
---特に『魔法(名称変更は可能)』はキャラの個性を付けられる最大の要素で、攻撃に留まらず回復スキルもここで設定可能なため、自由度が高い。
--PS版のように小隊方式でもないので癖が少なく、多くのツクラーから求められているシンプルで分かりやすいシステムでゲームが作れることは大きな利点。
---ちなみにそれなり以上の質のSRPGを0から自分で作ろうとすると、GUIはもちろんのことながらまともなAIの作成・管理なども必要なのでこの一点のみでもかなり有りがたいツールである。

-ノベルゲーが作りやすい。
--背景の設定や顔グラフィックの設定は比較的容易なため、「後に発売された恋愛シミュレーションツクールよりもノベルゲーが作りやすい」という不思議な評価を受けている。
---これは本来あまり想定された用途ではない。にも関わらず戦闘パートがなく、シミュレーションパートだけで進んでいくゲームが作られたり、戦闘パートはあるがSRPGではなく普通のRPG風味だったりといったゲームが作られたりもした。

-ツクールシリーズなので、ツクール素材を使える((配布規約は確認すること))。

**問題点
-デフォルト素材の質が良いとは言えない。
--キャラグラは洋ゲーに片足を突っ込んだような画風であり、元にしたと思われるFEシリーズの雰囲気とはかけ離れている。
---一応、マップ上のキャラチップと合わせてそれらしく作られており、洋ゲーらしさに目を瞑れば問題はない。
--BGMは悪いとは言えないが、他のツクールがBGMでも評価されているのを見ると、話題にあがりづらいくらいには印象の薄い内容のBGMになっている。
---後にリリースされた『RPGツクール2000』のBGMを利用している作品も多く見られた。
--デフォルトのSEはやや質素。この点は外部素材で補いやすい(著作権が発生しないケースも多い)ので問題点としては薄めだが、手間はかかる。

-オリジナルで画像を賄おうにも色数制限が厳しい。
--発売当時ではよく見かける手法なのだが、256色固定パレットのせいで小規模な作品ならともかく大規模な作品になると制限がかなり辛い。

-時代的に仕方ないが、素材として使えるデータがbmp.やwav.など重たいものばかり。
--これでゲームをつくろうとすると、否が応でも容量が過多になってしまう感は否めない。
--ちなみにツクール作品のBGM素材としてよく使用されるMidiデータは、このツールでは使うことが出来ない。

-テキストを送る際に決定音として設定したSEが鳴ってしまう。
--これはツクールにはよくありがちな問題点である。本作はテキストが一気に全て表示されるため当時としてはテキスト送りがしやすく、余計目立ってしまう感はある。
--一応決定音を無音設定することでこの点は解決出来る。が、決定音が鳴らなくなるのはやや寂しさもある。

-仕方ないことだが、複雑な内容の素材を設定しなければならない部分は、通常のRPG製作に比べてかなり面倒くさい。
--戦闘アニメ、マップ上のキャラグラフィックなど、アニメーションが挿入されるものを完全に揃えようとするとかなり大変である。
---ゲームジャンル的に、例え長編でも敵の種類が少なくても違和感ないことが多いことだけは幸い。
--ちなみに、戦闘アニメに関しては動画枚数がやや少なめだが、デフォルトのマップ上のキャラアイコンの待機モーションは意外とぬるぬる動いたりする。

-長編になるほどバランス調整が難儀。
--特に命中率の調整が難しい。命中率を決めるパラメーターである武器の扱いやすさは、あげるとクリティカルが出やすくなってしまい、逆にバランスが崩壊する。
---さりとてその点を控えめにすると攻撃が当たらない不毛な展開になるなど、かなり難しい。その点は工夫次第ではあるものの、基本このツールを使った大長編作品はあまり向かない。
--攻防の値も制限がきつく、属性設定による弱点や耐性で工夫は出来るのだがそれも数が限られていたり計算の融通が効かなかったりと、長編製作ではネックとなりやすい。
--状態異常も用意されているが、数が少ない上にカスタマイズ出来なくてバグもある。

-プレイヤーに対するGUIが良くない
--ユニットの移動速度などが遅かったり、どのパラメータがどう影響しているかが分かり辛くて初見だと意味不明だったりする。
--属性も内部データ扱いで分かり辛い。製作者側が工夫して表示していることもあるが、ツールの制限と相まって分かりやすいとは言い難い。
---戦闘前の値表示など、見やすくするための工夫もほとんど為されていない。
--起動時は強制フルスクリーンになったり(F4で切り替え可能)、セーブファイルも8が限度(制約の少ないPCではかなり少ない)。

**総評
最悪の評価を受けているPS/SS版より早くリリースされていながら、良い評価を受けている作品。~
デフォルト素材にやや難はあるが最低限のクオリティは確保されており、本作の内包物だけでもゲームは十分に製作が可能。~
上級者に向けた機能があるわけではないが、初心者向けにハードルを落としている作品であるため、ビギナーでも取っ付き易いツール。

シリーズ一のロングラン『[[RPGツクール2000]]』と比べると流石に普及率は落ちるものの、未だにこのソフトを使ったゲームが見られるほど愛されているツールである。~
それほど本作の完成度は高い、というよりハードルが低い。が、動作保証されているOSが徐々に少なくなっているのが玉に瑕である((公式では7以降のOSに関して「△」と評価されている。))。~
サポートが終了しているため入手困難でありながら、2014年でもこのツールを使ったゲームが現れるほど愛好家は多い。

とはいえ、動作可能環境の縮小化や流石に98年の作品だけあって、プレイヤー側のGUIの使いづらさや素材として使用可能なデータが狭いなど、野暮ったさが目立つ。~
続編を望む声は多かったのだが、このシリーズはWin版ではこの一作のみになってしまった。~
こう言った事情もあって、より本作は愛され続けている。

**余談
本作以外のPCのSRPG製作支援ツールの選択肢。~
本作が長い間愛用され続けた経緯と、後発の作品が出なかった実情を詳しく説明する為に記載。

-『RPGツクール(2000以後)』:かなりの数のスクリプトが作られており、そういうものを駆使してSRPGが作られていることもある。
--当然ながらSRPG製作に向いているとは言えない。しかし、ツクールシリーズ内なら素材を使いまわせるので後発の作品共々素材として使われることは多い。
---ファンサイトによる『ツクールシリーズでなら使用可能な素材』もあるため、間接的に本作も恩恵を受けていることもある。

-『SRC』:本作以前からフリーで公開されている古いソフトで、スパロボ風の作品を想定した設計。
--ファンもそれなりに居たがメジャーなツールとは言い難く、2016年現在では作品をあまり見かけない。元がスパロボを強く想定していたり、プログラミング知識が少し必要だったりとややとっつきにくい。

-『ウディタ』:2008年にフリーで公開されたゲーム製作支援ツールで、元は作者が自身の為に作ったツール。
--自由度が非常に高くて便利なツールなので知識さえあればSRPG製作にも不足はない。…とは言え、SRPG製作が簡単に出来るとは言い難い。これは自分でスクリプトを組むことが好きな人に向けた、上級者向けのツールであることが大きい。

-『Unity』:マルチプラットフォーム対応のゲームエンジンで、3D描写を売りにしている(2D描写も当然可能)。
--元々は外国産のソフトウェアであることや、グラフィックを売りにしていること・新技術を意欲的に搭載しているので自由自在に使いこなすことはウディタ以上に敷居は高い。
--英語の情報は多いので、英語や地道な情報収集が苦にもならない人なら代替は可能と思われるが…売りである3Dをフル活用してSRPG製作というのは個人では非現実的だろう。

-『SRPG Studio』:2015年発売のDL販売専用ソフトで、本作同様にプログラムの知識が無くてもSRPGを作ることも可能。
--発売当初はバグが多かったり初心者にとっては拡張性が乏しかったが、有志によるスクリプト提供と数多のアップデートによってかなり幅が広がっている。本作同様にFEシリーズを意識した設計。
--細々とした問題があったりアップデートでバグが発生することもあるが、色数などの分かりやすい制限はない。プレイヤー側のGUIも本作より断然分かりやすい&基本的には快適。これらの事情もあって国内SRPG製作者層の間では本作に代わるメジャーなツールと目されている。
---''本作発売から約17年も経過してようやく''というところである。

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