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ファイターズヒストリー - (2022/04/04 (月) 21:37:18) の編集履歴(バックアップ)


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ファイターズヒストリー

【ふぁいたーずひすとりー】

ジャンル 2D対戦格闘
対応機種 アーケード
発売・開発元 データイースト
稼動開始日 1993年
判定 なし
ポイント カプコンに訴訟を起こされた不遇のゲーム
完成度はそこそこ良好
弱点や通常技キャンセル投げなどの独自システムも
ファイターズヒストリーシリーズリンク
ファイターズヒストリー / ダイナマイト / 溝口危機一髪!!


概要

データイースト(以下デコ)が1993年にリリースした対戦格闘ゲーム。
当時はカプコンがリリースした『ストリートファイターII』を中心とする対戦格闘ブーム絶頂期であり、各メーカーもここぞとばかりに様々な格ゲーをリリースしていた。そんな業界全体の流れに乗って登場したのが本作である。

特徴

弱点システム

  • キャラクターごとに特定の部位が弱点として設定されており、そこに一定以上のダメージを受けると身に着けていたもの(ハチマキやプロテクターなど)が外れ、気絶するというシステム。
    • さらに、以降はその部位に攻撃を受けるとダメージが増加する*1

通常技をキャンセルしてのコマンド投げ

  • 現在では珍しくなくなったが「通常技をキャンセルしてコマンド投げを連続技に組み込める」というシステムを初めて取り入れた。
    • その影響もあり、「投げキャラは弱い」と考えられていた当時の格闘ゲームにおいて、柔道少女の「嘉納亮子」やキングコング・ザ・ブルーザー・ブロディがモデルであるプロレスラーの「マーストリウス」といった投げキャラが3強入りするという特異な事態となった。
  • ボスキャラについて
    • 中ボスは「クラウン」。仮面を付けたオカマのピエロ。
      • 飛び道具でトランプのカードを投げる際の「Pick a Card!」が、「ヘタクソ」と聞こえる等、空耳ネタが多い。
    • ラスボスは同社の別作品主人公「カルノフ」が務めている。
      • 通常時は原作よりスマートだが、必殺技の「バルーンアタック」で自身の体を膨らましてフライングボディアタックを仕掛けたり、宙に浮きながら連続横飛び蹴りを繰り出してくる。原作のような各種アイテムは使用してこないが口から火を吐く攻撃は可能。

評価点

  • 登場キャラクターはデコゲーらしく濃いものが多い。
    • 女性キャラクターの一人である「劉飛鈴」は、ゲーメスト増刊「ギャルズアイランド」で「ウケ狙いをせずにとことん中国人の顔にしたところにデコの偉大さを感じさせる」と評された。
    • ムエタイ使いの「サムチャイ・トムヤムクン」は技名が全てムエタイ用語で、声優にもネイティブスピーカーを起用。その濃いキャラクター性から「お兄ちゃん」の愛称でコアなファンを獲得した。
    • 登場人物の一人「溝口誠」は、宮下あきら氏の漫画「魁!!男塾」のキャラクターである剣桃太郎を彷彿とさせる大阪の硬派学生*2。音声面含め、本シリーズの本来の主人公である「レイ・マグドガル」を差し置いて、やたらな濃さと存在感を発揮している。
      ちなみに溝口の声を演じたのはデコ社員(当時)の森田典志氏であり、さらに「タイガーバズーカじゃ!」などがテスト収録でのアドリブの産物だというのだから驚き。
    • ラストボスは上述した通りカルノフなのだが、同名の別人ではなく原作ゲーム『カルノフ』の主人公である本人が参戦している。

問題点

  • 弱点システムの問題点
    • 前述の通り弱点に一定以上のダメージを喰らうと気絶するが、ラウンドが終わるまで弱点がむき出しのまま。つまり1ラウンド中、相手を気絶させられるチャンスは1回だけである。
    • 弱点は衣装の一部が破損して肌が露出したりすることでダメージを表現しているのだが、レイの弱点はシャツの模様(アップリケ?)が外れるだけというヘンな事に…体の一部なのか?

総評

当時の『ストII』人気により、『ストII』プレイヤーは台待ちが長くプレイできない、もしくは一人プレイ中に乱入を受けて練習が出来ないという事態に陥りやすかった。
そうした状況下でリリースされた本作は、ストIIと同等の操作系(8方向レバー+6ボタン)を持ち、ゲームとしての出来も良好であったことから、『ストII』の代理という形で一定の評価を受け、続編も開発される地味なヒット作となった。


家庭用移植と続編

  • 本作の家庭用ゲームは、1994年5月27日発売にて唯一スーパーファミコンに移植されている。その移植度は当時のアーケード移植もの格ゲーの中でも非常に優秀で、格ゲーとしての実用性はアーケード同様に高い。
    • また、アーケードでは使用不可だった、クラウン(中ボス)とカルノフ(最終ボス)が特定条件で使用可能となった。
  • 続編は、アーケード(MVS)作の『ファイターズヒストリーダイナマイト』と、スーパーファミコンオリジナル作の『ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!』の2作があり、いずれも完成度は当時の格ゲーの中でもクオリティの高いものであった。
    • なお『~ダイナマイト』は家庭用ネオジオ、ネオジオCD、セガサターンに移植されているほか、Wiiのバーチャルコンソール、アケアカNEOGEO(PS4/One/Switch)にて配信されている。

余談

訴訟問題

  • 本作のリリース後、デコは『ストII』の親であるカプコンから「おたくのファイターズヒストリーは、我が社のストリートファイターIIの悪質な盗作であり、損害賠償と製品の差し止めを求める」といった訴訟を起こされてしまった。
    • 予断を許さない状況がしばし続いたが、訴訟の約1年後、最終的に両社は和解。本作の存在の差し止めは免れた。
    • 当時「『ストII』の類似品・模倣作」と呼びうる作品は数多く存在したが、何故本作がターゲットとなったのかは明らかになっていない。
    • ちなみに、本件に対するデコ側の言い分は「対戦格闘のルーツは同社の『対戦空手道』であって、そっちこそ類似物だ」というものだった。もっとも『対戦空手道』はスポーツゲームというニュアンスが強く、『チェルノブ』の件並みに強引。
    • 詳細はこちら(クソゲーまとめ用語集)
    • だがこれに関しては明らかにデータイースト側による論点逸らしのミスリードともいえる主張で、実際にカプコンが訴えたのはデータイースト側がカプコン独自に作った「プログラムソース」を盗用した事だったと後に開発者の安田朗氏がTwitter上で供述している。

溝口のその後

  • コミックゲーメストで連載された漫画版では溝口が主人公となり、さらにスーパーファミコンの『溝口危機一髪!!』では正式に主人公に抜擢されている。
    • なお、本来の主人公であるはずのレイは漫画版では格闘描写は全く無い脇役扱いで、『溝口危機一髪!!』では主人公どころかプレイヤーキャラクターからも外されてしまうという、『ストリートファイターIII』のアレックス並の悲惨な扱いを受け「主人公(笑)」のレッテルを貼られてしまった。*3
  • 本シリーズ以外でも、溝口は同社の格闘ゲーム『水滸演武 風雲再起』にゲスト出演したり、固定画面アクションゲームの『JOE&MACリターンズ』では最終面の特定ステージの敵キャラとして登場し*4、忘れた頃にSNKプレイモアの『KOF MAXIMUM IMPACT Regulation"A"』やスパイクの『喧嘩番長3』にまさかの乱入を果たしたりしている。

同時期に登場した柔道少女

  • 本作で登場する柔道少女の「嘉納亮子」については、奇しくも同時期に発売された『ワールドヒーローズ2』で初登場する「出雲良子」と結果的にかぶってしまう事態となった。
    • どちらも柔道女子金メダリストの田村亮子(現:谷亮子)氏をモチーフとしている点でも共通である。なお「嘉納」に関しては柔道(講道館柔道)の開祖である嘉納治五郎氏から。
    • とはいえ発売時期がほぼ同時期であったため、問題視されることはなく以降の続編でもちゃんと続投している。