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--また、中には部位が大きすぎて弱点を突かれやすいキャラもいる。特に劉飛鈴はリーチと対空技に秀でながらも弱点が「胸当て全体」であるため弱キャラ扱いとなっている。 --こうした事情含め、評価点に記した攻防の以前に「弱点システムの存在自体が微妙」と評するユーザも存在する。 //-ステージ背景について //--本作は当時リリースされていた対戦格闘ゲーム群の例に倣って各種ステージの背景は世界の国々になっているが、各キャラクターのイメージと合ってないステージが多く、キャラクターの掘り下げにあまり繋がっていない。 //--特に顕著な例として挙げられるのは、ジャンはキザなキャラクターであるが何故かステージ背景はヴェルサイユ宮殿内部で貴族的なイメージだったり、マットロックは物騒なイメージのパンクロッカーであるがステージはロンドンの街角で落ち着いていたり等。 //この程度なら問題にするほどじゃないだろう ---- **総評 当時の『ストII』人気により、『ストII』プレイヤーは台待ちが長くプレイできない、もしくは一人プレイ中に乱入を受けて練習が出来ないという事態に陥りやすかった。~ そうした状況下でリリースされた本作は、ストIIと同等の操作系(8方向レバー+6ボタン)を持ち、ゲームとしての出来も良好であったことから、『ストII』の代理という形で一定の評価を受け、続編も開発される地味なヒット作となった。 ---- **家庭用移植と続編 -本作の家庭用ゲームは、1994年5月27日発売にて唯一スーパーファミコンに移植されている。その移植度は当時のアーケード移植もの格ゲーの中でも非常に優秀で、格ゲーとしての実用性はアーケード同様に高い。 --また、アーケードでは使用不可だった、クラウン(中ボス)とカルノフ(最終ボス)が特定条件で使用可能となった。 --2011年7月19日よりプロジェクトEGGにて配信されている。また、2022年7月22日には『[[スーパーファミコン Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』で配信開始。 -続編は、アーケード(MVS)作の『[[ファイターズヒストリーダイナマイト]]』と、スーパーファミコンオリジナル作の『[[ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!]]』の2作があり、いずれも完成度は当時の格ゲーの中でもクオリティの高いものであった。 --なお『~ダイナマイト』は家庭用ネオジオ、ネオジオCD、セガサターンに移植されているほか、Wiiのバーチャルコンソール、アケアカNEOGEO(PS4/One/Switch)にて配信されている。 **余談 ''訴訟問題'' -本作のリリース後、デコは『ストII』の親であるカプコンから''「おたくのファイターズヒストリーは、我が社のストリートファイターIIの悪質な盗作であり、損害賠償と製品の差し止めを求める」''といった訴訟を起こされてしまった。 --予断を許さない状況がしばし続いたが、訴訟の約1年後、最終的に両社は和解。本作の存在の差し止めは免れた。 --当時「『ストII』の類似品・模倣作」と呼びうる作品は数多く存在したが、何故本作がターゲットとなったのかは明らかになっていない。 --ちなみに、本件に対するデコ側の言い分は「対戦格闘のルーツは同社の『対戦空手道』であって、そっちこそ類似物だ」というものだった。もっとも『対戦空手道』はスポーツゲームというニュアンスが強く、『[[チェルノブ]]』の件並みに強引。 --詳細は[[こちら(クソゲーまとめ用語集)>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1419.html]]。 --だがこれに関しては明らかにデータイースト側による論点逸らしのミスリードともいえる主張で、実際にカプコンが訴えたのはデータイースト側がカプコン独自に作った「プログラムソース」を盗用した事だったと後に開発者の安田朗氏がTwitter上で供述している。 -なお、データイーストもカプコンに劣らず知的財産権の保護に対しては厳しい姿勢で臨んでおり、1997年にはデータイーストの人気ゲームである『[[マジカルドロップ]]』をパクったとされる『[[マネーアイドルエクスチェンジャー]]』の発売元であるフェイスに対して訴訟を起こしている。 ''溝口のその後'' -コミックゲーメストで連載された漫画版では溝口が主人公となり、さらにスーパーファミコンの『溝口危機一髪!!』では正式に主人公に抜擢されている。 --なお、本来の主人公であるはずのレイは漫画版では格闘描写は全く無い脇役扱いで、『溝口危機一髪!!』では主人公どころかプレイヤーキャラクターからも外されてしまうという、『ストリートファイターIII』のアレックス並の悲惨な扱いを受け「主人公(笑)」のレッテルを貼られてしまった。((もっともアレックスは後にクロスオーバー作品への出演を経てナンバリングタイトルへ再び出演できたため、そのような機会すらなかったレイは(笑)どころか(悲)と呼ぶ声もある)) -本シリーズ以外でも、溝口は同社の格闘ゲーム『水滸演武 風雲再起』にゲスト出演したり、固定画面アクションゲームの『JOE&MACリターンズ』では最終面の特定ステージの雑魚キャラクターとして登場し((しかも、プレイヤーに向かってタイガーバズーカや通天砕でやたら攻撃してくるため結構強敵な部類に入る。尚、倒すとたこ焼きやお好み焼きを落とす点はさすがデータイーストといったところか。))、忘れた頃にSNKプレイモアの『KOF MAXIMUM IMPACT Regulation"A"』やスパイクの『喧嘩番長3』にまさかの乱入を果たしたりしている。 - ''同時期に登場した柔道少女'' -本作で登場する柔道少女の「嘉納亮子」については、奇しくも同時期に発売された『[[ワールドヒーローズ2]]』で初登場する「出雲良子」と結果的にかぶってしまう事態となった。 --どちらも柔道女子金メダリストの田村亮子(現:谷亮子)氏をモチーフとしている点でも共通である。なお「嘉納」に関しては柔道(講道館柔道)の開祖である嘉納治五郎氏から。 --とはいえ発売時期がほぼ同時期であったため、問題視されることはなく以降の続編でもちゃんと続投している。 ---元より90年代は「女性柔道キャラといえば田村亮子」というイメージはある種日本全体の共通認識であり、他にも『[[ごきんじょ冒険隊]]』の「やわら」など、単なるテンプレートの一種でしかなく問題になりようもない情勢ではあった。 //---- //**カプコンによる訴訟から和解までの経緯 //-1991年、カプコンからリリースされ、社会現象まで生む程のヒット作である『ストリートファイターII』(通称:ストII)がアーケード業界の頂点に君臨していた。そして、ストIIブームは収まるどころか日に日に加速していき、新バージョンである『~ダッシュ』『~ダッシュターボ』が登場、これらも超絶ヒットを飛ばした。 //-ストIIを中心とした対戦格闘ブームの最中に登場したのが本作である。すでに本作以前にも多くのメーカーが格ゲーをリリースしており、本作もまたその流れに登場した一つの格ゲーで収まるはず…だったのだが。 //-しかし、ここでアクシデントが発生してしまう。なんとストIIの親であるカプコンからデコに対して''「おたくのファイターズヒストリーは、我が社のストリートファイターIIの悪質な盗作であり、損害賠償と製品の差し止めを求める」''といった訴訟が届き訴えられてしまったのだ。 //-もちろんデコ側も黙ってはおらず、「対戦格闘のルーツは同社の『対戦空手道 美少女青春編』であって、そっちこそ類似物だ」というチェルノブの件並みに強引な言い分を残したらしい(対戦空手道はスポーツゲームというニュアンスが強いため)。そして、お互いが一発触発な関係に陥ってしまうのであった。 //-予断を許さない状況がしばし続いたが、訴訟の約1年後、最終的に両社は和解し、本作は存在を差し止められる事は免れた。その後、本作の続編が2作登場し、各ゲーム共に一定の評価を得る事になる。 //**何故訴訟されたのか? //-上記も示した通り、ストIIと類似した格ゲーは本作以外にも多く登場しており、何故他の格ゲーを置いて本作だけがターゲットになってしまったのかは明らかになっていない。 //--本作以前に登場したストII関係以外の格ゲーとしては『餓狼伝説(SNK)』『ワールドヒーローズ(アルファ電子)』『ナックルヘッズ(ナムコ)』などがあるが、それらは多少警戒されていたという噂はあるものの、訴訟までには至っていなかった。 //--本作が訴えられた理由として考えられたのが、「ストIIと同じ6ボタン操作が問題だった((同時期の6ボタン操作の格闘ゲームとしては、『カイザーナックル(タイトー)』や『バーニングライバル(セガ)』なども存在しているが、カプコンはこれらの作品については全く触れていない。また『サムライスピリッツ(SNK)』は4ボタン操作だが、強攻撃をボタン同時押しで出すことによる「擬似6ボタン操作」を採用している))」「元カプコンスタッフが関わっていたのが原因だった((もっとも『餓狼伝説』も初代『ストリートファイター』の開発者が製作したゲームではあったが))」などの説があるが、どれも憶測の域を超えていないのが現状である。 //-すでにデコは亡きメーカーになってしまい、カプコン側も詳しくは語らず、これらの真実が解明されるのはほぼ絶望的である。
「[[修正依頼]]」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。~ 依頼内容は「ポイント・総評の『ゲームとしての出来・完成度が良好』の記述に対する根拠の説明」、「評価点などの記事内容の充実」です。 ---- *ファイターズヒストリー 【ふぁいたーずひすとりー】 |ジャンル|2D対戦格闘|~| |対応機種|アーケード|~| |発売・開発元|データイースト|~| |稼動開始日|1993年|~| |判定|なし|~| |ポイント|カプコンに訴訟を起こされた不遇のゲーム&br()完成度はそこそこ良好&br()弱点や通常技キャンセル投げなどの独自システムも|~| |>|>|CENTER:''ファイターズヒストリーシリーズリンク''&br;''ファイターズヒストリー'' / [[ダイナマイト>ファイターズヒストリーダイナマイト]] / [[溝口危機一髪!!>ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 データイースト(以下デコ)が1993年にリリースした対戦格闘ゲーム。~ 当時はカプコンがリリースした『[[ストリートファイターII]]』を中心とする対戦格闘ブーム絶頂期であり、各メーカーもここぞとばかりに様々な格ゲーをリリースしていた。そんな業界全体の流れに乗って登場したのが本作である。 1年に1度催される世界異種格闘技選手権大会「グレートグラップル」において、金のため、名声のため、或いはその他の目的のため、優勝を目指す9人の格闘家の姿を描く、という筋立てである。 余談項に記述する通り、多くのストIIフォロワーゲーの中で''唯一カプコンから訴訟されたゲーム''として界隈では有名であり、6ボタン式の操作や各種UIなどの面でかなりの類似性が見られる。~ そのためパクリゲー、転じてクソゲーのレッテルを短絡的に貼られることがあるが、実際には独自のシステムもあり、またデコらしい唯一無二の世界観で差別化はなされている。 **特徴 ''弱点システム'' -キャラクターにそれぞれ弱点部位が設定されており、そこに一定以上のダメージを当てると身に着けていたものが外れ、気絶する(ピヨる)システム。 --該当箇所はハチマキやプロテクターなど、キャラクターに応じて決まっている。 --それらを剥がした後は、その部位に攻撃を受けるとダメージが増加する((未検証だが、一説によれば2倍。))。 ''通常技をキャンセルしてのコマンド投げ'' -現在では珍しくなくなったが「通常技をキャンセルしてコマンド投げを連続技に組み込める」というシステムを初めて取り入れた。 --その影響もあり、「投げキャラは弱い」と考えられていた当時の格闘ゲームにおいて、柔道少女の「嘉納亮子」やキングコング・ザ・ブルーザー・ブロディがモデルであるプロレスラーの「マーストリウス」といった投げキャラが3強入りするという特異な事態となった。 //ただの特徴なので移動 //-ボスキャラクターについて //--中ボスは「クラウン」。仮面を付けたオカマのピエロ。 //---飛び道具でトランプのカードを投げる際の「Pick a Card!」が、「ヘタクソ」と聞こえる等、空耳ネタが多い。 //--ラスボスは同社の別作品主人公「[[カルノフ]]」が務めている。 //---通常時は原作よりスマートだが、必殺技の「バルーンアタック」で自身の体を膨らましてフライングボディアタックを仕掛けたり、宙に浮きながら連続横飛び蹴りを繰り出してくる。原作のような各種アイテムは使用してこないが口から火を吐く攻撃は可能。 //↑書き方を変えて評価点に移動します ---- **評価点 -デコゲーならではの「濃い」キャラクター群 --「劉飛鈴(リュウ・フェイリン)」は中国出身の女性キャラクターのため春麗との共通性を感じられそうなところだが、勝ち気でナルシストで商売っ気の強い京劇女優というアクの強い設定であり、顔もファンタジーゲーム的な無国籍美少女ではなくかなりアジアン色の強い雰囲気にデザインされている。 ---ゲーメスト増刊「ギャルズアイランド」で''「ウケ狙いをせずにとことん中国人の顔にしたところにデコの偉大さを感じさせる」''と評された。 ---本作から30年後の『[[ストリートファイター6]]』で、春麗が顔デザインを大きく変えて本物の中国人風の外見になった。まさに偉大なる先見性だったと言えよう。 --ムエタイ使いの「サムチャイ・トムヤムクン」は技名が全てムエタイ用語で、声優にもネイティブスピーカーを起用。その濃いキャラクター性から、設定に応じた「お兄ちゃん」の愛称((貧困にあえぐ家族のために戦っている、というバックストーリーがある))でコアなファンを獲得した。 --登場人物の一人「溝口誠」は、宮下あきら氏の漫画「魁!!男塾」の主人公・剣桃太郎を彷彿とさせる学ラン姿だが、世界一の番長を目指す28歳留年中のナニワの高校生という、これもまた異色の設定。「タイガーバズーカじゃ!」「チェストォ!」などネタ性の高いボイス含め、本シリーズの本来の主人公である「レイ・マグドガル」を差し置いて、強烈な存在感を発揮している。 ---ちなみに溝口の声を演じたのはデコ社員(当時)の森田典志氏で、印象深いセリフはテスト収録でのアドリブの産物とのこと。 --さらに、ゲーム内のアナウンス音声も、独特の粘りつくようなイントネーションで、特に「WINS」の音声は続編の『ダイナマイト』にもそのまま流用されるほどの人気があった。((他の音声は「ジャン」「マットロック」などの人名が聞き取りにくいなどの苦情があったため、『ダイナマイト』では新規に入れ直していた。)) -中ボス・ラスボスも負けじと強烈 --中ボス「クラウン」は仮面で顔を隠した不細工なピエロで、しかし自分自身では美しいと思い込んでいる30代のゲイの男性という設定。 ---この設定がギャグとされていることについてはリリース当時の時代観を加味すべきだが、ともかく格闘ゲームに詰め込む必要のない濃い背景であるとは言える。 ---専用ステージがメルヘンチックなサーカスの舞台というのも悪趣味で強い印象を与えるほか、飛び道具でトランプのカードを投げる際の「Pick a Card!」が「ヘタクソ」と聞こえる等、空耳方面でのネタもある。 --ラスボスは同社の別作品『[[カルノフ]]』から主人公・カルノフが担当。パラレル的な同名他者ではなく普通にご本人であり、テーマ曲も原作フレーズを用いている。 --これらキャラクター達の醸す雰囲気は最早「ストIIの類似品」には到底収まっておらず、十分にオリジナリティのある世界観が造成されている。 -弱点システムがもたらす攻防 --どのキャラクターも固有の特定部位を攻撃されると気絶し、以降被ダメージが増加する、という要素は、いかにそこを攻めるかといった攻防や形勢逆転の面白味に繋がっている。 --対人においては弱点を狙うことで却って手が読まれやすいというリスク・リターンの関係が生じ、それまでの格闘ゲームになかった駆け引きに繋がっている。 --また単純に、弱点を集中的に攻めることができれば勢いで押し勝てる可能性が高いため、さほど技術がなくとも格闘ゲームの気持ち良さを体験でき得るのも長所といえる。 **問題点 -弱点システムの問題点 --本作の大きな特徴である弱点システムだが、あくまで気絶の条件は部位破壊であるため、1ラウンドで相手を気絶させられるチャンスは1回だけである。 --ハチマキが外れる、仮面が外れる、またはズボンの''膝部分のみ破ける''など衣装の一部が破損することでそれを表現しているのだが、レイの弱点はシャツの模様が外れるだけというヘンな事に…。あのシャツの模様はアップリケなのか? --また、中には部位が大きすぎて弱点を突かれやすいキャラもいる。特に劉飛鈴はリーチと対空技に秀でながらも弱点が「胸当て全体」であるため弱キャラ扱いとなっている。 --こうした事情含め、評価点に記した攻防の以前に「弱点システムの存在自体が微妙」と評するユーザも存在する。 //-ステージ背景について //--本作は当時リリースされていた対戦格闘ゲーム群の例に倣って各種ステージの背景は世界の国々になっているが、各キャラクターのイメージと合ってないステージが多く、キャラクターの掘り下げにあまり繋がっていない。 //--特に顕著な例として挙げられるのは、ジャンはキザなキャラクターであるが何故かステージ背景はヴェルサイユ宮殿内部で貴族的なイメージだったり、マットロックは物騒なイメージのパンクロッカーであるがステージはロンドンの街角で落ち着いていたり等。 //この程度なら問題にするほどじゃないだろう ---- **総評 当時の『ストII』人気により、『ストII』プレイヤーは台待ちが長くプレイできない、もしくは一人プレイ中に乱入を受けて練習が出来ないという事態に陥りやすかった。~ そうした状況下でリリースされた本作は、ストIIと同等の操作系(8方向レバー+6ボタン)を持ち、ゲームとしての出来も良好であったことから、『ストII』の代理という形で一定の評価を受け、続編も開発される地味なヒット作となった。 ---- **家庭用移植と続編 -本作の家庭用ゲームは、1994年5月27日発売にて唯一スーパーファミコンに移植されている。その移植度は当時のアーケード移植もの格ゲーの中でも非常に優秀で、格ゲーとしての実用性はアーケード同様に高い。 --また、アーケードでは使用不可だった、クラウン(中ボス)とカルノフ(最終ボス)が特定条件で使用可能となった。 --2011年7月19日よりプロジェクトEGGにて配信されている。また、2022年7月22日には『[[スーパーファミコン Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』で配信開始。 -続編は、アーケード(MVS)作の『[[ファイターズヒストリーダイナマイト]]』と、スーパーファミコンオリジナル作の『[[ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!]]』の2作があり、いずれも完成度は当時の格ゲーの中でもクオリティの高いものであった。 --なお『~ダイナマイト』は家庭用ネオジオ、ネオジオCD、セガサターンに移植されているほか、Wiiのバーチャルコンソール、アケアカNEOGEO(PS4/One/Switch)にて配信されている。 **余談 ''訴訟問題'' -本作のリリース後、デコは『ストII』の親であるカプコンから''「おたくのファイターズヒストリーは、我が社のストリートファイターIIの悪質な盗作であり、損害賠償と製品の差し止めを求める」''といった訴訟を起こされてしまった。 --予断を許さない状況がしばし続いたが、訴訟の約1年後、最終的に両社は和解。本作の存在の差し止めは免れた。 --当時「『ストII』の類似品・模倣作」と呼びうる作品は数多く存在したが、何故本作がターゲットとなったのかは明らかになっていない。 --ちなみに、本件に対するデコ側の言い分は「対戦格闘のルーツは同社の『対戦空手道』であって、そっちこそ類似物だ」というものだった。もっとも『対戦空手道』はスポーツゲームというニュアンスが強く、『[[チェルノブ]]』の件並みに強引。 --詳細は[[こちら(クソゲーまとめ用語集)>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1419.html]]。 --だがこれに関しては明らかにデータイースト側による論点逸らしのミスリードともいえる主張で、実際にカプコンが訴えたのはデータイースト側がカプコン独自に作った「プログラムソース」を盗用した事だったと後に開発者の安田朗氏がTwitter上で供述している。 -なお、データイーストもカプコンに劣らず知的財産権の保護に対しては厳しい姿勢で臨んでおり、1997年にはデータイーストの人気ゲームである『[[マジカルドロップ]]』をパクったとされる『[[マネーアイドルエクスチェンジャー]]』の発売元であるフェイスに対して訴訟を起こしている。 ''溝口のその後'' -コミックゲーメストで連載された漫画版では溝口が主人公となり、さらにスーパーファミコンの『溝口危機一髪!!』では正式に主人公に抜擢されている。 --なお、本来の主人公であるはずのレイは漫画版では格闘描写は全く無い脇役扱いで、『溝口危機一髪!!』では主人公どころかプレイヤーキャラクターからも外されてしまうという、『ストリートファイターIII』のアレックス並の悲惨な扱いを受け「主人公(笑)」のレッテルを貼られてしまった。((もっともアレックスは後にクロスオーバー作品への出演を経てナンバリングタイトルへ再び出演できたため、そのような機会すらなかったレイは(笑)どころか(悲)と呼ぶ声もある)) -本シリーズ以外でも、溝口は同社の格闘ゲーム『水滸演武 風雲再起』にゲスト出演したり、固定画面アクションゲームの『JOE&MACリターンズ』では最終面の特定ステージの雑魚キャラクターとして登場し((しかも、プレイヤーに向かってタイガーバズーカや通天砕でやたら攻撃してくるため結構強敵な部類に入る。尚、倒すとたこ焼きやお好み焼きを落とす点はさすがデータイーストといったところか。))、忘れた頃にSNKプレイモアの『KOF MAXIMUM IMPACT Regulation"A"』やスパイクの『喧嘩番長3』にまさかの乱入を果たしたりしている。 - ''同時期に登場した柔道少女'' -本作で登場する柔道少女の「嘉納亮子」については、奇しくも同時期に発売された『[[ワールドヒーローズ2]]』で初登場する「出雲良子」と結果的にかぶってしまう事態となった。 --どちらも柔道女子金メダリストの田村亮子(現:谷亮子)氏をモチーフとしている点でも共通である。なお「嘉納」に関しては柔道(講道館柔道)の開祖である嘉納治五郎氏から。 --とはいえ発売時期がほぼ同時期であったため、問題視されることはなく以降の続編でもちゃんと続投している。 ---元より90年代は「女性柔道キャラといえば田村亮子」というイメージはある種日本全体の共通認識であり、他にも『[[ごきんじょ冒険隊]]』の「やわら」など、単なるテンプレートの一種でしかなく問題になりようもない情勢ではあった。 //---- //**カプコンによる訴訟から和解までの経緯 //-1991年、カプコンからリリースされ、社会現象まで生む程のヒット作である『ストリートファイターII』(通称:ストII)がアーケード業界の頂点に君臨していた。そして、ストIIブームは収まるどころか日に日に加速していき、新バージョンである『~ダッシュ』『~ダッシュターボ』が登場、これらも超絶ヒットを飛ばした。 //-ストIIを中心とした対戦格闘ブームの最中に登場したのが本作である。すでに本作以前にも多くのメーカーが格ゲーをリリースしており、本作もまたその流れに登場した一つの格ゲーで収まるはず…だったのだが。 //-しかし、ここでアクシデントが発生してしまう。なんとストIIの親であるカプコンからデコに対して''「おたくのファイターズヒストリーは、我が社のストリートファイターIIの悪質な盗作であり、損害賠償と製品の差し止めを求める」''といった訴訟が届き訴えられてしまったのだ。 //-もちろんデコ側も黙ってはおらず、「対戦格闘のルーツは同社の『対戦空手道 美少女青春編』であって、そっちこそ類似物だ」というチェルノブの件並みに強引な言い分を残したらしい(対戦空手道はスポーツゲームというニュアンスが強いため)。そして、お互いが一発触発な関係に陥ってしまうのであった。 //-予断を許さない状況がしばし続いたが、訴訟の約1年後、最終的に両社は和解し、本作は存在を差し止められる事は免れた。その後、本作の続編が2作登場し、各ゲーム共に一定の評価を得る事になる。 //**何故訴訟されたのか? //-上記も示した通り、ストIIと類似した格ゲーは本作以外にも多く登場しており、何故他の格ゲーを置いて本作だけがターゲットになってしまったのかは明らかになっていない。 //--本作以前に登場したストII関係以外の格ゲーとしては『餓狼伝説(SNK)』『ワールドヒーローズ(アルファ電子)』『ナックルヘッズ(ナムコ)』などがあるが、それらは多少警戒されていたという噂はあるものの、訴訟までには至っていなかった。 //--本作が訴えられた理由として考えられたのが、「ストIIと同じ6ボタン操作が問題だった((同時期の6ボタン操作の格闘ゲームとしては、『カイザーナックル(タイトー)』や『バーニングライバル(セガ)』なども存在しているが、カプコンはこれらの作品については全く触れていない。また『サムライスピリッツ(SNK)』は4ボタン操作だが、強攻撃をボタン同時押しで出すことによる「擬似6ボタン操作」を採用している))」「元カプコンスタッフが関わっていたのが原因だった((もっとも『餓狼伝説』も初代『ストリートファイター』の開発者が製作したゲームではあったが))」などの説があるが、どれも憶測の域を超えていないのが現状である。 //-すでにデコは亡きメーカーになってしまい、カプコン側も詳しくは語らず、これらの真実が解明されるのはほぼ絶望的である。

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