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マリオカートDS - (2017/03/20 (月) 23:41:11) の編集履歴(バックアップ)


マリオカートDS

【まりおかーとでぃーえす】

ジャンル アクションレースゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
発売・開発元 任天堂
発売日 2005年12月8日
定価 4,571円(税別)
プレイ人数 【DS】ローカル:1~8人/Wi-Fi:2~4人
【WiiU】1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:全年齢(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年5月25日/950円(税8%込)
判定 なし
ポイント ミニターボゲー、「直ドリ」が賛否両論
目玉のWi-Fiランダム対戦は不備多し
バトルモードが1人でも遊べるように
売上本数はシリーズ1位
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

ニンテンドーDSにて発売された、様々なアイテムを駆使して1位を目指す定番レースゲーム『マリオカートシリーズ』の第5作目に当たる作品。
DSの比較的初期に発売されたソフトであるが、Wi-Fiコネクションを通じたランダム対戦に対応しているのが話題となり、初のネット対戦できる『マリオカート』となった。
ただしシリーズでも最悪のバランスが問題に。


特徴・評価点

  • Wi-Fiランダム対戦が可能
    • マリオカートシリーズ初となるオンライン対戦が可能。フレンドコードを交換した相手だけではなく、ランダムマッチも可能で、戦績も保存される。
    • DSのWi-Fiコネクション対応ソフトとしては『おいでよ どうぶつの森』に次ぐ2作目とかなり初期ながら、意欲的な仕様としてユーザーから歓迎された。
    • しかし初期作品ゆえにか後述するように問題点も少なくなかった。
  • ローカルプレイも充実
    • タイムアタックモードでは、下画面のマップに自分とゴーストのライン取りやドリフト、キノコの使用タイミングなどが表示され、研究のし甲斐がある仕様になった。
    • 従来のグランプリやタイムアタックの他、特定のレースコースやバトルフィールドを使用して「番号の順番通り○つのゲートをくぐりぬけろ」「○枚のコインを全部集めろ」等の様々なクリア条件を満たせるように試行錯誤しながら走行する「ミッションランモード」が新たに追加された。
      • ミッションランはグランプリと同様に評価システムを導入している。
    • バトルゲームは今作からシリーズで初めてCPUを交えた1人でのプレイが可能になった。内容も従来の「ふうせんバトル」に新ルール「あつめてシャイン」を加えた2種類を収録している。
    • GBA版から可能になった1人でCPU相手に好みのコースをレースできるモード「VS」も搭載。今作では「周回数」の設定は不可能になったものの、GBAより細かな設定をして遊べるようになっている。
    • 「VS」「バトルゲーム」は2チームに分かれて遊ぶ事が可能。
    • シリーズ初となる最大8人同時プレイが可能になった。
  • 多種多彩な全32コース
    • 新規16コースの「ニトログランプリ」と、旧作から16コースを抜粋した「レトログランプリ」に分かれている。
    • GBA版の40コース(新規20+SFC版20)には一歩及ばないものの、十分なボリューム。
    • GBA版では一旦なくなっしまった左右反転コースも今作では「150ccミラー」として復活。もちろん「ニトロ」「レトロ」の全32コースで遊べる。
  • 豊富な登場キャラと搭乗可能マシン
    • 初期こそ選択できるキャラ・マシンに制限があるが、グランプリモードを進めていくことで最終的に12人・36台が登場する。
    • 本作ではシリーズ準レギュラーのノコノコを差し置き、なんとカロンが参戦。異色のチョイスだが、『マリオパーティ7』で知名度を上げていたこともあって概ね好意的に受け入れられている。
    • さらにもうひとりの隠しキャラは非常にサプライズの大きな人選だった。
  • グラフィック
    • 携帯機ながら常時60fpsでスムーズな描画がなされている。発売前も「60fps」が売り文句の一つになっていた。
    • ただしキャラは3Dだが、甲羅やバナナなどのアイテムは2D表示。
    • また後述のWi-Fi対戦時は30fpsに表示レベルが落とされている。
  • マイエンブレム作成機能
    • マシンの特定部位やWi-Fiマッチング時に戦績と共に表示されたりする、自分だけの「32×32で作られるドット絵」である。
    • 予め用意されている「15色+透明色」でドット絵を自由に作成でき、色数は少ないが工夫次第で手の込んだものも作成可能。また、これらの「職人」も存在する。

問題点

  • マシン性能間の大きな格差
    • 今作は大まかに「加速タイプ」「バランスタイプ」「ドリフトタイプ」の3タイプに分かれているのだが、「加速性能」が非常に重要視されており、「ダート踏破性能」も兼ねているため、「加速タイプ」のマシンが有利すぎる。
      • 今作ではミニターボの効果時間の長さが加速タイプ>バランスタイプ>ドリフトタイプとなっている。さらにカロンやヨッシーのような軽量型キャラのマシンであるほど効果時間が長くなる。これにより、加速性能の高いマシンは総じてミニターボ効果持続時間が長いダートで速度が落ちにくい攻撃されてもすぐ速度が回復すると非常に有利。
      • 逆にドリフト性能の高いマシンは軽量系ですらバランスタイプの重量系カートよりもミニターボの効果が低い上、ドリフト時に無駄に内側に曲がる&ハンドル力が低いためミニターボ後の軌道修正がしづらいなど扱いづらい性能になっている。一応、キラーシップの螺旋コーナーなど例外はあるが、ドリフト性能が高いマシンは「コーナーの内側に入りすぎて逆に曲がりにくい」という本末転倒な事がザラ。
      • 加速性能の高いマシンは上記のテクニックを使用すると常にミニターボの速度で走れてしまう。
      • 加速性能に加え、最高速も兼ね備えたチート性能なマシンも存在する。
      • マシンによってはダートを走ってラインを縮めるほうが速いこともあり、その他のマシンで同じような操作をおこなうと半周以上程度の差がつく。
    • 同じキャラ用の別のマシンと比べて「アイテム」「おもさ」が高くそれ以外の基本的な性能は低い。
      • 肝心の「アイテム」性能は強力な効果のスペシャルアイテムの出やすさに影響するが一位だとスペシャルアイテムが「トリプルバナナ」のみと、あまり恩恵を受けにくい。
      • 一応タイムアタックモードではキノコ使用回数の多さに関わっており、キノコを使うショートカットが毎周できるようになるのだが、一部マシンのミニターボ(下記参照)が優秀すぎてプレイヤーの腕があればキノコを使わずに代用できてしまう。基本性能も低いのでタイムアタックでは完全に性能差を覆せなくなっている。
      • 「おもさ」は他のマシンと接触した時の衝撃に影響するが悪路での減速が大きくなる。これ自体は軽いキャラを載せるメリットも生む調整だがタイムアタックモードでは敵マシンがいないので 死にステータスどころか低いほうが良い
    • さらに、本作では初期状態ではキャラ毎に選べるマシンが違うという制約があるのだが、最終的にはすべてのマシンとキャラの組み合わせを選べるようになるため、性能の低いマシンをあえて使う必要性がなくなってしまう。
  • ミニターボの強力さと「直線ドリフト」
    • 前述の仕様も含め、本作ではミニターボの効果が高く、加速タイプのマシンでミニターボを連続して出すと、ドリフトタイプのマシンはそれだけで追いつけなくなるほど差がつけられてしまう。
      • 本作のミニターボの仕様は『スーパーマリオカート』や『マリオカートアドバンス』の一定時間ドリフトし続けると解除時にターボできるというものと異なり、『マリオカート64』や『マリオカート ダブルダッシュ!!』と同じくドリフト中に十字キーを左右に操作することで火花の色が変わり、ドリフトを解除するとターボする手動タイプなので、素早く操作することで、カーブ以外の直線でも、ドリフト→即ミニターボを繰り返し、蛇行しながらほぼ常にミニターボで走り続けるというプレイが可能になってしまう。
    • このテクニックは直線ドリフト(直ドリ)と呼ばれ、賛否を呼んだ。
      • 否定的意見としては、まず前述の通り性能が高い加速タイプのマシン特有のテクニックであり、マシン格差がさらについてしまうという点が挙げられる。前述のドリフトタイプのマシンでは、ドリフト時に曲がりすぎてコースアウトしてしまうため、直ドリはやりにくく、ミニターボの持続時間も短いためあまり恩恵を受けられない。
      • 特にWi-Fi対戦では直ドリしないと勝負にならないというような状況もしばしば起こったため、マシンやプレイスタイルが半ば強制されてしまう点が問題になった。
      • また直線をクネクネ蛇行しながら進むほうが速くなるというバランスに対する現実的な違和感や美しくなさ、ライン取りや他のプレイヤーとの干渉などのレースゲームとしての面白さを消してしまっているという批判もある。直ドリ中は常に十字キーを激しく動かす必要があるので、単調な作業を強いられるだけだと嫌うプレイヤーも。さらに、このような激しい操作をするプレイを続けると、DS本体の十字ボタンやRボタンを傷めやすい。
    • もっとも直ドリ中もライン取りなどを気にする必要はあり、ミニターボを素早く出すテクニックや判断などの戦略性は存在するため、一概に問題ばかりとは言えない。
    • ちなみに特定マシンを使い、完璧なタイミングで出したロケットスタートやダッシュ板での加速からミニターボをタイミングよく断続的に繋ぐことで、入力ミスするまでダートさえも無視できるほどの驚異的な速度で走行可能なバグがある。通称「PRB」。
      • タイムアタックで圧倒的な好記録を出すことができるが、これも直ドリの派生テクニックなので同じく賛否両論。
  • 不備点の多いWi-Fi対戦
    • Wi-Fi対戦は最大で4人までしか同時に遊べず、選択できるコースも全体の半分しかない。グラフィックも30fpsに落ちてしまう。
      • いずれも容量やマシンパワーの問題。
    • 一部アイテムが出ない+アイテムをマシン後部に装備できない。
      • アイテムをぶら下げて赤甲羅などをブロックできないため、攻撃アイテムによる逆転要素が強まっている。
    • 接触時の「おもさ」の概念が無いため、軽量キャラ・マシンがさらに有利になる。
      • 続編では全体的に重量級有利のバランスに改善された。
    • 上記のとおり一部マシンでしか勝負にならないためか、あまりにも距離を離されると戦意を失い、プレイヤーの負けの数が増えるペナルティがあるにも関わらず接続を切断するプレイヤーが頻発した。
      • 他にも、まともにレースしようとせず、わざと逆走してアイテム(特にスター)を使い攻撃を繰り返して妨害するようなプレイヤーも見られた。
      • そのためか、チートプレイヤーの数がDSソフトの中でおそらく最多。(チートでフリーズさせられると最悪、セーブデータが消える場合も。)
    • バトルモードはWi-Fiには非対応。
  • ダウンロードプレイの制限
    • 1カードリッジでダウンロードプレイする際は、ニトログランプリとレトログランプリの8コースしか選べない
    • またカードを持っていないプレイヤーは全員キャラがヘイホー(このモード専用キャラ)固定となる。
    • 容量的に仕方ない部分ではあるが、その場に集まったプレイヤー全員がこのソフトを持っていなければならないというのはハードルが高い。
  • 相変わらずCPUがインチキ走行する。
    • 『64』『アドバンス』『ダブルダッシュ!!』でもそうだったが、プレイヤー(人間)との差を調整するためにCPUがインチキな速度で走る。
    • 今作のCPUのカートは「かそく」と「おもさ」以外の全性能がプレイヤーが乗った場合と異なる。もっともハンドリングが悪い「タイラント」に乗ったCPUのクッパがドリフトせずにL字やU字の急カーブを平然と曲がったり、もっとも最高速が低い「バニッシュ」に乗ったCPUのカロンがプレイヤーの最高速トップレベルの「HVC-BLS」でも追い抜けない程のインチキ速度を何もなしに出して直線ルートを疾走したり。
    • しかし、プレイヤーとの差を埋めるためにCPUにインチキな速度を与えてバランスを取る仕様は今作が最後となった。
      次回作『Wii』以降はCPUのAIを強化する事でバランスを取るようになり、理不尽さは大幅に下がった。
    • CPUの方が順位に対して良いアイテムが出る仕様がある。
      • どちらかというと本作はプレイヤーが1位だとミドリこうらとバナナなどの設置アイテムだけでアカこうらやキノコすら出ないとプレイヤーのアイテムがしょっぱすぎる。
      • CPUは異常な頻度で「トゲゾーこうら」を入手する。1レースに一回あるかないかのレベルではなく、長いコースだと二、三回飛んでくるのもザラ。グランプリで高評価を狙って一位をキープしてるとイライラするだろう。ただし、高評価を取る基準に1レース中に「トゲゾーこうら」をCPU投げられたかどうかも入っている模様なので、一応デメリットのみというわけではない。
    • 1人プレイのふうせんバトルにおいて、ルールを「チームを組まないバトルロイヤル」且つCPUを「強い」に設定すると、CPUは他のCPUには一切の自発的な攻撃を仕掛けることはなくプレイヤーを集団でリンチしてくるようになる。
  • マップが便利すぎる
    • 下画面はマップになっているが、飛んできたアイテムや敵の所持しているアイテムが丸わかりなため「トゲゾーこうらが来るのでブレーキして一位を譲る」「サンダーが来るので落とす前にアイテムを使う」などが容易に可能。「にせアイテムボックス」や見えづらく置かれた「バナナ」もマップ画面だと判別が容易。
    • これにより、新アイテムの「ゲッソー」が対人戦ではほぼ死にアイテムに。
      • 相手の画面に黒い墨を吐いて視覚的に妨害すると言えば聞こえがいいが、下画面に表示されるマップは一切汚れないためそれを見ればいい話である。一方で、CPUの場合はこれを食らうとバトルモード以外では強さを問わず蛇行運転してスピードが落ちるので、CPUが相手の場合には普通に有用なアイテムとなっている。
  • サンダーの仕様が今作から変更されており下位のプレイヤーほど戻るのが早くなった。
    • 良く言えば初心者に優しい仕様だが、悪く言えば弱体化している。
      • この仕様は最新作の『8』まで続いている。
  • 特定コースのある地点でスピンターンするとフリーズするバグがある。
    • その部分は普通に走るだけで通り過ぎる事ができる場所のため、意図的にやらない限りはまず起こりえないが、 Wi-Fi対戦だろうと対戦相手までも全員フリーズする大迷惑なバグ
  • ミッションランは評価システムを導入しているものの、☆3つをコンプリートしても特典は何もない。
    • 逆にいえば、グランプリと勝手が違うためどう頑張っても高評価でクリアができず苦手だというプレイヤーにとっては優しい仕様であるといえるが。
  • 出荷ROMの個体差があるのか、通常プレイしているだけでも稀にセーブデータの一部(全部)が破損する場合がある模様。

総評

マシン性能のバランスの悪さは問題点ではあるものの、カジュアルに携帯機でプレイできる『マリオカート』としては決して酷い出来というわけではなく、DSの定番ソフトとしてロングセラーとなった。
国内売上は約399万本(2012年時点)で、これは『スーパーマリオカート』を超えるシリーズ歴代1位の本数である。

一部のマシンでミニターボ合戦のスピードレースや特定のマシンでミニターボの使用制限付きで走ったり、特定コースにある、特定アイテムのみしか出現しない特殊アイテムボックスを使った擬似バトルゲームなど、マシン性能差が著しく激しいためにいろいろな遊び方が考案されてきたふしがある。
一方で目玉のWi-Fiランダム対戦においては、このようなローカルルールは通用しないために「直ドリ」をはじめプレイヤー間で摩擦が起こりやすく、簡略化された仕様も含めて良い対戦環境だったとは言えない。
ローカル対戦もダウンロードプレイだと制限が多すぎるなど、やや残念な部分もある。