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コープスパーティー Book of Shadows - (2014/08/26 (火) 21:05:12) の編集履歴(バックアップ)


コープスパーティー Book of Shadows

【こーぷすぱーてぃー ぶっくおぶしゃどうず】

ジャンル 廃校監禁ホラーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 5pb.(MAGES.)
発売日 2011年9月1日
定価 通常版:6,090円
限定版:9,240円(税込)
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
ポイント やはり誰も救われないIFストーリー
コープスパーティーシリーズリンク


概要

誰もが思う、“たら”、“れば”の話……あのときこうしていたら、ああしていれば……
もし、本当にやり直せるとして、必ず幸せな結果が待っているのでしょうか?
やり直したことで、回避していたはずのより大きな不幸に出会うかもしれないのに……
やり直す機会があるとして、あなたは本当にやり直すことを望みますか?
すでに“最善の選択”をしているのかもしれないのに……(本作ティザーサイト及びファミ.comに掲載されたメッセージより)
  • PSP屈指の鬱ゲー『コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー(以下BR)』のサテライトエピソード集。
    『BR』と同じくエピソード毎に主人公が違い、基本システム等は変更されテキストを読み進めるタイプのアドベンチャーゲームとなっている。
    • 限定版には直美と世以子のデフォルメフィギュア2体とサウンドトラックCDが封入された。
    • 本作がテキストアドベンチャー形式になった理由としては、「続編ということでなるべく前作から時間を空けずに発売したかったのだが、『BR』のような探索形式のゲームはどうしてもスクリプトを組む作業に時間がかかる*1ため、発売元の5pb.が以前に出したゲームのノウハウを活かせるテキストアドベンチャー形式に変更になった」と語られている。

システム

  • 上記のとおり、テキストアドベンチャー形式に変更された。また、移動した場所を探索するためのモードも存在する。
    • 結果としてCG枚数が大幅に増え、ビジュアル的に猟奇度が増した。
  • 新要素として「精神汚染度」が追加された。
    これは操作キャラクターがどれだけ正気を失っているかを示す指数で、100になると完全に精神を破壊され黒化*2しゲームオーバーとなる。
    • 一定値を越えると、BGMにノイズが混じったり画面に恐ろしげなエフェクトがかかるようになる。怖い。
    • 探索を行うと上昇するため、無駄にあちこち調べるとすぐに汚染度が上がってしまう。
      そのため、総当たりによる攻略は難しくなっており、難易度は少し高めとなっている。
      • ただし、精神汚染度が一定以上ないと進まないイベントや、見れないサブイベントもある。
        例えばある場所では、汚染度が低いままだと操作キャラクターが嫌悪感を示すだけだが高くなると「ころす」「にへる」という選択が出てくる。
        「ころす」を選ぶと見えない何かを相手に暴れ、「にへる」はよく分からないまま笑みを浮かべてシーンが切り替わると言う不気味なもの。
      • 更に、特定のイベント通過後に精神汚染度を100にすることで見られるWrong End(バッドエンド)も存在する。

ストーリー

  • 第一章・刻印
    • 主人公は中嶋直美。
      『BR』Chapter5にあったWrong Endの一つである、Loop ENDから繋がる物語。前作Chapter1をなぞるように進むが…。
  • 第二章・夭逝
    • 主人公は鈴本繭。
      第一章と同じく、Loop ENDから繋がる物語。終わり方の猟奇さは本作でも屈指のもの。
  • 第三章・邂逅
    • 主人公は宍戸結衣。
      過去の回想話になっており、如月学園の生徒であった結衣が、高校3年生のとある秋の雨の日に、夜の校舎で体験した恐怖の物語。唯一探索パートが存在しない。
  • 第四章・煉獄
    • 主人公は本作で初登場となる大上さやか。
      BRの前日談であり、冴之木七星が天神小学校へ向かうまでの日常と、七星と一緒に天神小学校へ飛ばされたさやかの運命を描く。
      • 先行して発売された小説版Book of Shadowsはこのシナリオの前日談となっている。
  • 第五章・理想郷
    • 主人公は森繁朔太郎。
      第一章と同じく、Loop ENDから繋がる物語。彼が徐々に狂気に堕ちていく様が描かれる。
  • 第六章・泥濘
    • 主人公は持田由香。
      第一章と同じく、Loop ENDから繋がる物語(エンディングで「THE World after Loop END」と表示される)。
      • ただし、内容的には『BR』Chapter5の別のWrong Endの内容を由香の視点から描くものとなっている。
  • 第七章・歯
    • 主人公は霧崎凍孤。
      BRの前日談。白檀高等学校の生徒が天神小学校へ飛ばされる直前、飛ばされた直後の様子と、刻命裕也が暴走を始めるきっかけとなった出来事を描く。
      • ちなみに、本章はPC版である『BloodCovered(BC)』にてExtra Chapterの1つとして配信されており、そちらは『BC』及び『BR』と同じ見下ろし型の探索形式となっている。
  • 第八章・BLOOD DRIVE
    • 隠しシナリオ。
      オープニングイベントと同様に、前作のTrue Endの後日談にあたるストーリー。あまりにも衝撃的なエンディングは是非自分の目で確かめて欲しい。

連動要素

  • 前作のセーブデータを読み込むことで、前作にあるビジュアルシーンを全て閲覧できるようになる。メモリースティックへ出力できるので、PSPの壁紙としても使用可能。
  • また、隠しシナリオ「BLOOD DRIVE」へ進むための条件が緩和される。
    • 通常は全エンディングを見なければならないが、7つめのシナリオをトゥルーエンドで終わらせるだけで見れるようになる。

評価点

  • インターフェイスの快適化。
    • 基本システムが弱かった前作とは打って変って、セーブ・ロード時間の改善、デモシーンのスキップ機能やバックログの確認が可能になった。
    • セーブもいつでもできるようになっており、快適さが格段に向上した。プログラマー陣のPSPに対するノウハウの蓄積が顕著に感じられる。
      • ただし、選択ルートによってはWrong End確定になることもあるので、安易なセーブによる詰みには注意が必要。
  • サウンド・演出の強化。
    • 前作同様バイノーラル録音を使用しており、サウンドへの力の入れようが半端ない。今回もヘッドホンによるプレイを推奨。
    • 喜多村英梨氏と今井麻美氏が歌う、OP曲「花の咲く場所」ED曲「パンドラの夜」も好評。喜多村氏によれば登場人物の思いを代弁する形で歌っていると語っている。
    • 『BR』では余り掘り下げが行われることのなかった白檀高等学校の生徒たちや武蔵川女子中学校の面々も本格的にシナリオに食い込んでおり、『BR』で謎だった彼らの経緯も明らかになるためシナリオに深みを出している。
    • テキストアドベンチャー形式への変更ということで発売前には不安の声も上がったが、今作でも『コープス』シリーズ特有の恐怖演出は健在である。
      • 特に「精神汚染度」によってキャラクターの行動やメッセージが常軌を逸していく演出は、出口なき廃校で追い詰められていくという恐怖感を一層強めている。
      • 犠牲者の遺したメモや残留思念を辿っていくと、彼(彼女)らがどういう経緯を辿り非業の死を遂げたのかを窺い知ることができる。
        あちこちに散らばった死体を調べていくことで断片的な情報を繋げて自分なりに解釈していくという楽しみがあり、「精神汚染度」の上昇というデメリットを理解しつつもついつい死体を調べたくなってしまう。
  • 条件を満たすことで解禁される特典要素が充実している。
    • 「心霊写真館」:いわゆるCGギャラリー。前述のように、『BR』のセーブデータがあれはそちらのイベントCGも閲覧することができる。
    • 「電動演奏機」:いわゆるサウンドギャラリー。BGMを聴くことができる。
    • 「心霊音声劇場」:バイノーラル録音された音声を聞くことができる。
    • 「言霊集」:CVキャストのコメントを聴くことができきる。主要キャラクターから脇役まで、実に19人分のコメントが収録されており、かなりのボリューム。
    • 「ネームタグ」:手に入れた犠牲者の名札を確認することができる。『BR』同様、死因などの細かい情報が設定されている。

賛否両論・問題点

  • 更に更に上昇した鬱&猟奇度。
    • 『もし、本当にやり直せるとして、必ず幸せな結果が待っているのでしょうか?やり直したことで、回避していたはずのより大きな不幸に出会うかもしれないのに……』というメッセージに偽りは一切なく、今度こそ救えると思ったプレイヤーの心を徹底的に叩き潰してくれる演出の数々。前作をプレイ済みの人でもある程度の覚悟が必要。
    • イベントCGも、コンシューマで出せたのが不思議なほどに猟奇的な物がいくつもある。
    • プレイ後の読後感の悪さは特筆物。人によってはトラウマになりかねない。
  • マップが細かく区分けされており、移動時は例え数マス先を指定したとしても1マスずつ進んでいく描写が挟まれるため、目的地までの移動に時間がかかる*3
    また廊下にアイテムが落ちている場合もあるので、1マスずつ調べていくのは結構面倒。
    • 更に意地の悪いことに、小刻みに移動していると児童霊に捕まってしまう箇所もある。
    • 移動先に指定できるのは現在地と同じ階のマスのみ。他の階に移動するには踊り場を経由する必要がある。
      • 1階と2階を繋ぐ踊り場は2ヶ所あるのだが、移動先指定の画面で違う階のマップを見ることはできないため、「選択した方の踊り場から目的地へ向かう途中の廊下がその章では通れなくなっており、もう1つの踊り場に向かうために戻る羽目になった」というケースもあり得る。
        2階と3階を繋ぐ踊り場も2ヶ所あり、こちらの場合3階の東側と西側が完全に分断されている。教室などの配置は『BR』とほぼ同じであるため『BR』をプレイ済みなら問題ないだろうが、こちらもうっかり間違えてしまうと戻る羽目になる。
    • また、ネームタグの蒐集もかなり面倒になっている。
      • 前作では、名札リストで獲得済みの名札を確認した際、隅の枠の中に小さく死体のドット絵*4が表示される仕様だったため、リストを確認する手間はかかるものの「どの死体が確認済みなのか分からない」ということはなかった。
        しかし、今作ではビジュアルがドット絵ではなくなったため小さい画面に表示すると見にくくなるという判断からか、リストに画像は表示されず、後から姿と名前を一致させるのはほぼ不可能。
        そのため、攻略情報に頼らずコンプリートしようとすると虱潰しに探していくしかない。
  • シナリオごとのボリュームの差が大きい。
    • エンディングリストを見るとよく分かるが、ほぼ一本道のシナリオがある一方で非常に複雑なシナリオもある。
      「後半になるほど難易度が上がり、ボリューム・収集要素が増える」というありがちなパターンとも違い、前半のシナリオにもかなり複雑な分岐条件が設定されていたりする。
  • 前作と同じく、エンディング制覇がかなり厳しい。
    • シナリオ難度が高すぎるという問題ではなく、Wrong Endの条件にかなりややこしいものがある一方でヒントが乏しいため、「どうすれば未見のエンディングに到達できるのか」が分かりにくい。
      リストの真ん中あたりがぽっかり開いていたりすると、そのためだけに何度も同じシナリオをプレイすることに。

総評

  • インターフェイスの向上で前作の不満点はほぼ解消され、かなり快適にプレイできるようになった。
  • ストーリー上の繋がりから、本作を100%楽しむなら前作をクリアしておくことが前提となる。
    ただし前作以上にグロい描写に救いが無い展開なため、もう耐えられないというユーザーは手を出さないほうが賢明。
    • 体験版で最初の第一章を丸々遊べるので、前作プレイ済みかつ、ある程度の猟奇耐性があると自覚している人は遊んでみてほしい。
      • 下手をすると、オープニングイベント*5で気分が重くなるかもしれない。

その後

  • 2012年8月2日にPSPでは3作目である『コープスパーティー -THE ANTHOLOGY- サチコの恋愛遊戯 HystericBirthday 2U』が発売された。
    ジャンルはまさかのラブコメアドベンチャーであり、今までとは毛色の異なる番外編な内容になっている。
  • 2014年7月24日、本作の第八章から続く正統な続編として、PSVitaで『コープスパーティー BLOOD DRIVE』が発売された。