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テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ
【ているず おぶ ざ ひーろーず ついんぶれいう゛】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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メディア
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UMD 1枚orダウンロードソフト
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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バンダイナムコゲームス アルファ・システム
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発売日
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2012年2月23日
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定価
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UMD:6,280円 ダウンロード:5,650円
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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ポイント
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あんまりなキャラクターデザイン ファン向けゲームとしては進化している
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テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク
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概要
テイルズ オブ シリーズのキャラクターが共演する作品。『テイルズ オブ バーサス』と同じくアクションゲームだが、対戦格闘だった『バーサス』とは違い、本作は大量に襲い来る敵をPCとNPCの2人で倒していくという所謂無双系ゲームである。
なお、テイルズスタジオ吸収後初のバンナム内製テイルズ作品でもある(ただしアルファ・システムとの共同。完全な内製作品は合併以前に出た『テイルズ オブ ファンダム Vol.2』)。
ファンへの悪意が詰め込まれた『バーサス』と同じくアクションゲームということなど、発売前に発表されたあらゆる要素がユーザーを遠のかせるものであり、前評判は最悪だった。
しかし発売されると、これまでの共演作品よりはるかに質の高いストーリーが評価されることとなった。
特徴
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シリーズキャラクターについては、15作品から「絆で結ばれた」2人とボスキャラが3人、計33人が登場している。
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ストーリーはボスを除く全員に個別のものが用意されており、世界の存亡にかかわる「シリアスシナリオ」と、本編では見られない一面を描いた「コミカルシナリオ」の2つが用意されている。
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技や術は本作用にエフェクトがアレンジされており、派手なものとなっている。また術は詠唱時間なしで発動できるようになっており、『バーサス』での術師が使いにくいという問題が解消されている。
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強力な性能の技「秘奥義」も健在。他の外伝作品では見られないものも存在するため、ファンにとってはニヤリとできるだろう。
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さらに味方と連携することもできる。特定のコンビだと専用の掛け合いが見られる。
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高得点を目指す「スコアアタック」、素早いクリアを目指す「エクストリーム」と、全国のプレイヤーと腕を競い合う要素もある。
評価点
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キャラクターの選定が平等なこと
。『テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー』以降、特定作品から大量に登場し当該作品・他作品のファンのどちらも嫌な思いをするという状況が続いていたが、本作はそれぞれの作品から2人にしぼるという方法でそれを解決した。
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これまでは特定の作品(特に、藤島康介氏がキャラデザをした『アビス』『ヴェスペリア』など)からの登場キャラクターが多かったり、作中の描写などでも贔屓や冷遇が露骨だったり、酷い時には主人公すら参戦していない作品があったり等が当たり前であった。そのため、贔屓されていないタイトルのファンは扱いの酷さに不満を募らせ、贔屓されている作品のファンは自分達が悪い訳でも無いのに理不尽に他作品のファンから叩かれるという状況になっていた。
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きちんと「
主人公は
」全員参加しているのも評価に値する。『バーサス』では特定作品の主人公がハブられていただけに尚更だろう。
公式コンプリートガイドでのスタッフインタビューによれば、キャラについて最初に決められたのが「主人公を全員出すこと」だったという。
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流石にヒロインについては全員参加は出来なかったが、非戦闘員である『リバース』のクレアやサポートキャラである『ファンタジア』のミントなど、どうあがいても無双的な戦闘に向いてないキャラを出さなかったのは正しい判断といえる。尚、『バーサス』登場時のミントは
ごらんの有様な性能だった
ことを付け加えておく。
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登場ボスキャラクターも、他作品で見られない3人が選ばれており好評。3人のうち他作品に登場したのはエルレインのみで、そのエルレインも2005年発売の『テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン3』以来7年振りの登場。
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オープニングアニメにボスキャラを除く全員が登場している。本作よりキャラの少ない『レディアント マイソロジー』ですらこれは実現できていなかった。
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OP曲も好評。歌詞に「生まれてきた意味」「守る」といった歴代作品を連想させるフレーズが出てくる。
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ストーリーがの質がそれまでのお祭りゲーのそれに比べて高い。
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シリアスシナリオは、原作の印象的な場面の再現といったものとオリジナルシナリオがある。原作再現では短い時間のなかで再構成をしており、特に『ヴェスペリア』は原作でうやむやだったある部分を解消している。オリジナルシナリオも綺麗にまとめており、『ファンタジア』の声優の演技は高く評価された。
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コミカルシナリオではどのキャラクターも崩壊しきっているが、そのギャップが笑いを誘う絶妙なものとなっている。
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特に真面目な口調で「パシ…お使い」「もはやわけがわからなくなってきている」など結構ひどいことを言うナレーションや、通常シリアスなボスキャラたちが崩壊する様は見所。
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ただし、下記にもあるとおり「いくらコミカル(ネタ)シナリオでもやりすぎ」と不快感を示す声もちらほら見られる。
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戦闘システムは、原作ではどうあがいても出せないようなヒット数を叩き出せるなどのこともあり、そこそこ好評。
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上手く行けば10,000hit以上などというとんでもない数値を出せ、その時には相手や味方が反応してくれる。
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条件を満たせばボスキャラも使用可能。3人とも性能は高く、使っていて爽快感がある。原作が同じキャラとの組み合わせという有り得なかったシチュエーションも楽しめる。
問題点
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最大の問題点であるキャラクターデザイン。本作のアニメーションやグラフィックはテレビアニメ版『アビス』を担当したサンライズによるが、多くのシリーズ作品で作画監督・キャラクターデザインを務める松竹徳幸氏は関わっておらず、そのためにキャラクターデザインが原作とかけ離れており不評。
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ただし各シナリオの最後に現れる一枚絵は上記のキャラクターデザインとは異なる、ややデフォルメされた柔らかい絵柄になっており好評。
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基本はスキットと戦闘で進む本作だが、何度かCGによるムービーが挿入される。しかしCGキャラのクオリティが異様に低く、『エクシリア』の2人以外のキャラは目がやけに離れていたり、顔が妙にのっぺりしている。
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特に発売前に発表されたゼロスとシェリアのグラフィックは作中でも一二を争うほどひどいものだったため、この時点で購入を見送る人は多かった。
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術技はエフェクト強化の弊害か、1人8つ、ボスは6つしかない。
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やりこみ要素が少ない。
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ストーリーを全て見て、キャラクターも全員揃えると、やることがほとんどなくなってしまう。下記のように無双ゲーとしてのクオリティは高くはないので、ゲーム性に頼ったやり込みにはさほど期待しない方が良いだろう。
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戦闘は最大難易度のハードでもそれほど難しくない。
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本作が発表された段階から「(根本的に)PSPというハードの選定自体が無双系アクションゲームの性質的に向いていないのでは?」と危惧する者もいたが、上述の通り、発売前時点で微妙に思われていたグラフィックを筆頭に、実際の内容も何かと物足りなさを感じる内容だったため、より高性能なハードで出して欲しかったという意見が出た。
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特に直前に『テイルズ オブ イノセンス R』がPSVITAで発売されていたため、このような意見は多かった。もっともPSPにはシリーズのお祭りゲーがいくつも発売されている事からファン数が多い点や、普及台数という面で仕方ない所もある。
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前述の「より高性能なハード云々」の意見はあくまでスペックの向上により敵が群がるようになることで敵を薙ぎ倒す爽快感が増すだろうし、容量が緩和されればより豊富なアクション(ここでは技など)が楽しめ、ゲームモードなど内容も増やすことが出来、グラフィック性能が上がれば美麗なグラフィックでエフェクトもド派手になる「だろう」といったような憶測から来ているものに過ぎないものでもある。
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キャラ崩壊
シリアス、コミカル面共に他のお祭りゲーより大きく改善されているが、それでも不快な要素が全く無い訳ではない。
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やりすぎな崩壊(ギャグキャラ化)しているのは『レディアントマイソロジー』シリーズで崩壊していた面々とだいたい同じ顔ぶれである。
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特にアスベルは他のキャラと比べてシリアスでろくに活躍していないのに対し、コミカルでのキャラ崩壊が激しく不満の声を上げるファンもいる。
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アスベルの扱いはマイソロ3の時点でかなり雲行きが怪しかったが、今作で「原作での台詞をネタにされる」「暴走キャラ化」「それでいて妙な所で原作らしい雰囲気を出す」等、完全にヴェイグの二の舞になってしまった。
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リッドは何故かニートの様に扱われており、コミカルシナリオの主な内容は就職活動である。原作では猟師を生業としておりニートではない(今作中でリッド自身もツッコミをいれている)。
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コミカルでのルビアは異様にヒステリックな性格となっており、原作のプレイヤー・未プレイヤー両方から批判された。無論、原作ではそのような一面は無い。
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お祭りゲーの定番となっているクレスの「空気の読めないダジャレ好き」も相変わらず続投されている。元々否定的に見ていた者はともかく、ネタとして見ていた者ですらいい加減食傷気味となっており、中には「それしかネタが無いなら、もうクレスは出さなくていい」という意見も出ている。
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そもそもクレスは朗らかな所こそあれど穏やで礼儀を重んじる好青年で、ギャグ要員にするには厳しいキャラである。制作陣は何とか個性をひねり出したつもりなのだろうが、その結果(一部とは言え)原作ファンからすら登場を望まれないキャラクターになってしまっているのも事実であり、完全にキャラクター作りが失敗していると言わざるを得ないだろう。
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ヴェイグはコミカルシナリオでやけに「ピーチパイが好物」ということが押されるようになり、ピーチパイに釣られてティトレイのハタ迷惑な行動を支援する場面などが描かれる。確かにヴェイグはピーチパイが好物でピーチパイ自体も原作において重要な要素であるが、ヴェイグが本作のようにピーチパイに執拗な執念を向けるような場面は原作にはない。
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これについては、過去に特典DVDでヴェイグが「クレア」と叫ぶ部分が過剰にピックアップされてネタ扱いされる→それに対する批判すらも公式が悪ノリしてネタにする…という流れの末、PSP版『リバース』特典で「これからはピーチパイ好きキャラで行く」としたことに由来していると思われる。要は楽屋裏の延長である特典だけで済まされていた悪ノリがギャグとはいえゲームのストーリーにまで波及してしまったということで、むしろ悪化しているともいえる。
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そもそもヴェイグは原作では非常に寡黙で何より笑顔を殆ど見せず、クレス以上にギャグを絡ませるのが厳しい人物である。制作陣もコミカルな方面での人物像構築に苦心したのだろうが、彼を巡るこれまでの一連のことを踏まえると「迷走」と呼んで差し支えないだろう。
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原作中でヴェイグがよく「クレア」と叫ぶのは、強い自責の念からクレアのことになると見境がなくなっていたことによる部分が大きい。上記のネタ扱いに対する批判は、上記のようなヴェイグの本来の性格を無視または軽視してこうした言動を過剰に強調し、ただのネタ要素にしたことに対する不満にその本質がある。上記のピーチパイにしたって、幼い頃から自分を世話してくれた人物の得意料理であったゆえに好物だったり、ストーリーの重要な場面で例として言及されたりする点で作中でも目立っていたわけで、こうした点を無視してただ「ピーチパイ好き」をネタ要素として押し出せば、上記の「クレア」ネタと本質的にまったく変わらない。「クレア」ネタが批判されたからピーチパイネタにシフトすればよいというのは、親に叱られた子供の幼稚な言い逃れと同レベルの稚拙な発想としか言いようがない。
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その他。
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本作のロゴにユーリとフレンが描かれている事が仇になったという意見が少なからずある。
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『マイソロ3』においてユーリ贔屓が酷かったという前例があったためであり、「またヴェスペリア贔屓か」と呆れた人は多い。ただし、実際の本作のシナリオの出来はそれこそ「ヴェスペリア本編でやってくれ」といわれるほど好評だった為、現在は落ち着いている。
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『ファンタジア』(1998年)、『エターニア』(2000年)はかなり古い作品となっているが、顔グラフィックは原作のものが本作を含むお祭り作品でずっと使われており、「いい加減使いまわしすぎ」という声もある。
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一方で当作や『ファンダム Vol.2』での新規書き下ろしのキャラクターグラフィックがあまりにも酷いものになっていることもあって、「(そうなる位なら)使い回してくれた方がマシ」と言われることもある。
総評
ストーリーを楽しむ以外はやりこみ要素が不足しており、ゲーム性も決して高いとは言えない為、他のお祭りゲー以上にファン向けの作品となっている。
しかしそれだけに、長年ファンを悩ませ続けたストーリーの質やキャラ選定などの改善は大きい。
前評判こそ最悪だったが、買ったファンからは「思ったよりも面白い」といった意見が多く、テイルズ オブ シリーズファンならば買って損のない十分な内容といえるだろう。
余談
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『デスティニー』のキャラクターのイラストは、PS2版の発売以降はPS2版のものが各媒体で使用されていたが、本作ではPS版のものが使用されている。このため、PS版のキャラ設定の2人が参戦するのではないかという憶測が流れたが、特にそのようなことはなかった。なぜPS版のイラストを使用したのかは特に触れられておらず、詳細は不明のままである。