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テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ - (2024/02/26 (月) 12:22:01) の編集履歴(バックアップ)


テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ

【ているず おぶ ざ ひーろーず ついんぶれいう゛】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア PKG UMD 1枚
備考 ダウンロード販売有
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 バンダイナムコゲームス
アルファ・システム
発売日 2012年2月23日
定価 PKG 6,280円
DL 5,650円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント あんまりなキャラクターデザイン
ファン向けゲームとしては進化している
テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク


概要

テイルズ オブ シリーズのキャラクターが共演する作品。『テイルズ オブ バーサス』と同じくアクションゲームだが、対戦格闘だった『バーサス』とは違い、本作は大量に襲い来る敵をPCとNPCの2人で倒していくという所謂無双系ゲームである。
なお、テイルズスタジオ吸収後初のバンナム内製テイルズ作品でもある(ただしアルファ・システムとの共同。完全な内製作品は合併以前に出た『テイルズ オブ ファンダム Vol.2』)。

ファンへの悪意が詰め込まれた『バーサス』と同じくアクションゲームということなど、発売前に発表されたあらゆる要素がユーザーを遠のかせるものであり、前評判は最悪だった。
しかし発売されると、これまでの共演作品よりはるかに質の高いストーリーが評価されることとなった。


特徴

  • ストーリーはボスを除く全員に個別のものが用意されており、世界の存亡にかかわる「シリアスシナリオ」と、本編では見られない一面を描いた「コミカルシナリオ」の2つが用意されている。
  • 技や術は本作用にエフェクトがアレンジされており、派手なものとなっている。また術は詠唱時間なしで発動できるようになっており、『バーサス』での術師が使いにくいという問題が解消されている。
  • 強力な性能の技「秘奥義」も健在。他の外伝作品では見られないものも存在するため、ファンにとってはニヤリとできるだろう。
    • さらに味方と連携することもできる。特定のコンビだと専用の掛け合いが見られる。
  • 高得点を目指す「スコアアタック」、素早いクリアを目指す「エクストリーム」と、全国のプレイヤーと腕を競い合う要素もある。

評価点

偏りのないキャラ選定

  • キャラクターの選定が公平であること 。『テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー』以降、特定作品から大量に登場し当該作品・他作品のファンのどちらも嫌な思いをするという状況が続いていたが、本作はそれぞれの作品から2人にしぼるという方法でそれを解決した。一応、3作品にボスキャラがいることに難癖をつける者もいるが、そのボスキャラも藤島康介氏、いのまたむつみ氏、中澤一登氏がキャラクターデザインを担当した作品からそれぞれ一人ずつ出ている為、公平な選定である。
    • これまでは特定の作品、特に『アビス』『ヴェスペリア』のキャラクターの登場が多く、作中の描写などでも贔屓や冷遇が露骨だったり、酷い時には『バーサス』など主人公すら参戦していない作品があることが当たり前であった。
    • そのため、きちんと「 主人公が 」全員参加している点は評価に値する。
      公式コンプリートガイドでのスタッフインタビューによれば、キャラについて最初に決められたのが「主人公を全員出すこと」だったという。
      • 流石にヒロインについては全員参加しているわけではないが、非戦闘員である『リバース』のクレアやサポートキャラである『ファンタジア』のミントなど、どうしても無双的な戦闘に向いてないため仕方がないと言える。
    • 登場ボスキャラクターも、他作品で見られない3人が選ばれており好評。3人のうち他作品に登場したのはエルレインのみで、そのエルレインも2005年発売の『テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン3』以来7年振りの登場。
  • オープニングアニメにボスキャラを除く全員が登場している。本作よりキャラの少ない『レディアント マイソロジー』ですらこれは実現できていなかった。
    • OP曲も好評。歌詞に「生まれてきた意味」「守る」といった歴代作品を連想させるフレーズが出てくる。

過去のお祭りゲーに比べ練られたストーリー

  • ストーリーがの質がそれまでのお祭りゲーのそれに比べて高い。
    • シリアスシナリオは、原作の印象的な場面の再現といったものとオリジナルシナリオがある。原作再現では短い時間のなかで再構成をしており、特に『ヴェスペリア』は原作でうやむやだったある部分を解消している。オリジナルシナリオも綺麗にまとめており、『ファンタジア』の声優の演技は高く評価された。
    • コミカルシナリオではどのキャラクターも崩壊しきっているが、そのギャップが笑いを誘う絶妙なものとなっている。
      • 特に真面目な口調で「パシ…お使い」「もはやわけがわからなくなってきている」など結構ひどいことを言うナレーションや、通常シリアスなボスキャラたちが崩壊する様は見所。
      • ただし、一部キャラクターの描写については批判の声も…。

その他

  • 戦闘システムは、原作ではどうやっても出せないようなヒット数を叩き出せるなどのこともあり、爽快感はある。
    • 上手く行けば10,000hit以上などというとんでもない数値を出せ、その時には相手や味方が反応してくれる。
  • 条件を満たせばボスキャラも使用可能。3人とも性能は高く、使っていて爽快感がある。原作で敵対したキャラクター同士の共闘という有り得なかったシチュエーションも楽しめる。
    • ただ残念ながら連携秘奥義での掛け合いは無い。

問題点

原作から逸脱したキャラデザ

  • 最大の問題点であるキャラクターデザイン。本作のアニメーションやグラフィックはテレビアニメ版『アビス』を担当したサンライズによるが、多くのシリーズ作品で作画監督・キャラクターデザインを務める松竹徳幸氏は関わっておらず、そのためにキャラクターデザインが原作とかけ離れており不評。
    • ただし各シナリオの最後に現れる一枚絵は上記のキャラクターデザインとは異なる、ややデフォルメされた柔らかい絵柄になっており好評。
  • 基本はスキットと戦闘で進む本作だが、何度かCGによるムービーが挿入される。しかしCGキャラのクオリティが異様に低く、『エクシリア』の2人以外のキャラは目がやけに離れていたり、顔が妙にのっぺりしている。
    • 特に発売前に発表されたゼロスとシェリアのグラフィックは作中でも一二を争うほどひどいものだったため、この時点で購入を見送る人は多かった。

ゲームシステム面

  • 術技はエフェクト強化の弊害か、1人8つ、ボスは6つしかない。
  • やりこみ要素が少ない。
    • ストーリーを全て見て、キャラクターも全員揃えると、やることがほとんどなくなってしまう。下記のように無双ゲーとしてのクオリティは高くはないので、ゲーム性に頼ったやり込みにはさほど期待しない方が良いだろう。
  • 戦闘は最大難易度のハードでもそれほど難しくない。

コミカルシナリオによるキャラ崩壊

  • シリアス、コミカル面共に他のお祭りゲーより大きく改善されているが、それでも原作ファンが不快になる要素が全く無い訳ではない。
    • やりすぎな崩壊(ギャグキャラ化)をしているのは『レディアントマイソロジー』シリーズで崩壊していた面々とだいたい同じ顔ぶれである。
    • 特にアスベルは他のキャラと比べてシリアスでろくに活躍していない*2上に、コミカルでのキャラ崩壊が激しく*3不満の声を上げるファンもいる。
      • アスベルの扱いはマイソロ3の時点でかなり雲行きが怪しかった*4が、今作で「原作での台詞をネタにされる」「暴走キャラ化」「それでいて妙な所では原作らしい雰囲気を出す」等、完全にヴェイグの二の舞になってしまった。
    • リッドは何故かニートの様に扱われており、コミカルシナリオの主な内容は就職活動である。原作では猟師を生業としておりニートどころか無職ですらない(今作中でリッド自身もツッコミをいれている)。
    • コミカルでのルビアは異様にヒステリックな性格となっており、原作のプレイヤーはおろか未プレイヤーからも批判された。無論、原作ではそのような一面は無い。
    • お祭りゲーの定番となっているクレスの「空気の読めないダジャレ好き」も相変わらず続投されている。元々否定的に見ていた者はともかく、ネタとして好意的に見ていた者ですらいい加減食傷気味となっており、中には「それしかネタが無いなら、もうクレスは出さなくていい」という意見も出ている。
      • そもそもクレスは朗らかな所こそあれど穏やで礼儀を重んじる好青年で、ギャグ要員にするには厳しいキャラである*5。制作陣は何とかギャグ個性をひねり出したつもりなのだろうが、その結果(一部とは言え)原作ファンからすら登場を望まれないキャラクターになってしまっているのも事実であり、完全にキャラクター作りが失敗していると言わざるを得ないだろう。
    • ヴェイグはコミカルシナリオでやけに「ピーチパイが好物」ということが押されるようになり、ピーチパイに釣られてティトレイのハタ迷惑な行動を支援する場面などが描かれる。確かにヴェイグはピーチパイが好物でピーチパイ自体も原作において重要な要素であるが、原作ではヴェイグが本作のようにピーチパイに執拗な執念を向けるような場面はおろか、好物だという事自体も基本的に他人の口から一言二言語られるだけ。
      • これについては、過去に特典DVDでヴェイグが「クレア」と叫ぶ部分が過剰にピックアップされてネタ扱いされる→それに対する批判すらも公式が悪ノリしてネタにする…という流れの末、PSP版『リバース』特典で「これからはピーチパイ好きキャラで行く」としたことに由来していると思われる。要は楽屋裏の延長である特典だけで済まされていた悪ノリがギャグとはいえ作品本編にまで波及してしまったということで、むしろ悪化しているともいえる。
      • そもそもヴェイグは原作では非常に寡黙で何よりED直前まで一度も笑顔を見せず、クレス以上にギャグを絡ませるのが厳しい人物である*6。制作陣もコミカルな方面での人物像構築に苦心したのだろうが、彼を巡るこれまでの一連のことを踏まえると「迷走」と呼んで差し支えないだろう。
      • 原作中でヴェイグがクレアに執着するのは、彼女との絆や強い自責の念から彼女のことになると見境がなくなっていたことによる部分が大きく、彼女の名を絶叫する時は彼女に相応の危機が迫った瞬間のみで日常的に叫んでいる訳ではない。上記のネタ扱いに対する批判は、上記のようなヴェイグの本来の性格を無視または軽視してこうした一言動のみを過剰に強調し、ただのネタ要素にしたことに対する不満にその本質がある。
      • 上記のピーチパイにしても、幼い頃から自分を世話してくれた隣人の得意料理であったゆえに好物だったり、ストーリーの重要な場面で言及されたりする点で作中でも目立っていたのであって、こうした点を無視してただ「ピーチパイ好き」をネタ要素として押し出せば、上記の「クレア」ネタと本質的にまったく変わらない。

その他

  • 本作のロゴにユーリとフレンが描かれている事が仇になったという意見が少なからずある。
    • 『マイソロ3』においてユーリ贔屓が酷かったという前例があったためであり、「またヴェスペリア贔屓か」と呆れた人は多い。ただし、実際の本作のシナリオの出来はそれこそ「ヴェスペリア本編でやってくれ」といわれるほど好評だった為、現在は落ち着いている。
    • 『ファンタジア』(1998年)、『エターニア』(2000年)はかなり古い作品となっているが、顔グラフィックは原作のものが本作を含むお祭り作品でずっと使われており、「いい加減使いまわしすぎ」という声もある。
      • 一方で当作や『ファンダム Vol.2』での新規書き下ろしのキャラクターグラフィックがあまりにも酷いものになっていることもあって、「(そうなる位なら)使い回してくれた方がマシ」と言われることもある。

総評

ストーリーを楽しむ以外はやりこみ要素が不足しており、ゲーム性も決して高いとは言えない為、他のお祭りゲー以上にファン向けの作品となっている。
しかしそれだけに、長年ファンを悩ませ続けたストーリーの質やキャラ選定などの改善は大きい。
前評判こそ最悪だったが、買ったファンからは「思ったよりも面白い」といった意見が多く、テイルズ オブ シリーズファンならば買って損のない十分な内容といえるだろう。



余談

  • 『デスティニー』のキャラクターのイラストは、PS2版の発売以降はPS2版のものが各媒体で使用されていたが、本作ではPS版のものが使用されている。このため、PS版のキャラ設定の2人が参戦するのではないかという憶測が流れたが、特にそのようなことはなかった。なぜPS版のイラストを使用したのかは特に触れられておらず、詳細は不明のままである。