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SIMPLE2000シリーズ Vol.68 THE 逃走ハイウェイ ~名古屋-東京~ - (2019/05/19 (日) 19:34:57) の編集履歴(バックアップ)


本項では『THE 逃走ハイウェイ(PS2)』と移植版である『THE 逃走ハイウェイ フルブースト(PSV)』を併せて紹介します。
判定は全て「なし」です。

SIMPLE2000シリーズ Vol.68 THE 逃走ハイウェイ ~名古屋-東京~

【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむろくじゅうはち ざ とうそうはいうぇい なごや とうきょう】

ジャンル レーシング(?)
対応機種 プレイステーション2
発売元 D3パブリッシャー
開発元 タムソフト
発売日 2004年12月9日
定価 2,000円(税別)
判定 なし
ポイント 本当に4時間走るゲーム
和製GTA
闘争ハイウェイ
鉄人主人公(肉体的に)
鉄人プレイヤー(精神的に)
SIMPLEシリーズリンク


物語

ここは名古屋。
自称日本一の名探偵、大河原 源九郎の元に、妙な依頼が舞い込んだ。東京のある女性代議士からの依頼は、有名な大物政治家の汚職を調査であった。
彼女は有力な手がかりを握っているらしい。
しかし、いちはやく察知した大物政治家は、巧妙たる罠で彼女に無実の罪に陥れた。刻々と迫る彼女の裁判。その間、大河原は汚職の調査を慎重に進めていった。
彼女の握っていた情報は確かな物で、大河原は証拠をひとつ、ひとつ確実に集めていった。

そして、彼女の裁判当日、事件がおこった。
大河原事務所から集めた証拠が盗まれたのだ。
愛車に飛び乗った大河原は、高速道路のインターに消えた黒塗りの高級車の後を追う。国家権力まで動かし、大河原を追跡する機動隊。
名古屋~東京へ、果てしなき追跡と逃走が始まったのであった。

(公式サイトより)


概要

実際の東名高速を可能な限り忠実に再現したマップ上を、警察の猛追を振り切りながら名古屋から東京めがけて走り抜けるレーシングゲーム。
ただし、制限時間はリアル4時間
その間、大物政治家の手下が奪っていった証拠品を回収していくことが目的になる。


特徴・評価点・ツッコミどころ

  • タイムリミットはジャスト4時間。
    • 現実的に考えれば、法定速度を守っている限り非常に厳しいタイムリミットである。車の限界を引き出しても難しく、緊張感あふれるゲームデザインになっている。
      • ステージは名古屋~岡崎、岡崎~浜松、浜松~静岡、静岡~御殿場、御殿場~厚木、厚木~東京で6分割されており、それぞれを終えた際にセーブが可能。
    • 背景や「○○まで○○km」の案内板なども割と現実に忠実に作られており、再現度は高い。
      • 途中で渋滞があったり、濃霧で視界が悪くなったりといったところも難易度調整の意味も含め再現されている。
    • 『チョロQ』シリーズ・『THE タクシー』等のノウハウがあるタムソフト製作であるため、車の操作性について特に問題は無い。
      • 初速が速くすぐに最高速になるなどあまりリアルな挙動を追及しておらず、動かしやすさ寄りの調整になっているという点でもこれらと同じである。
  • 「悪い!借りるぞ!」
    • 元より警察に追われる身の主人公、ガソリンスタンドなど利用できるはずもない。
    • また、車はぶつけるとナンバープレートが外れたり車体が外れたりと徐々に破損していき、速度やハンドリング性能もガタ落ちする。
      • そのうち「ファーン、ファーン」とサイレン音が鳴り響き、しまいには爆発して走行不能になってしまう。爆発に巻き込まれるとゲームオーバー。
    • そんなわけで、ガソリン切れや車の大破で走れなくなった場合は、正義のために周囲の車を一時拝借することになる。
      • 要するにその辺の車をとっ捕まえて運転手を引きずり出し、車を奪えるという、どこぞのGTAのごときシステムである。
      • もちろん彼らは何の罪もない一般人であり、主人公の行動はどこからどう見ても完全な犯罪行為なのだが、4時間以内にたどり着くにはこれしかない。ないったらない。
      • その際には上にあるようなボイスが数種類から流れる。「借りるぞ」とか言っているが、当たり前ながら返せる見込みはない。大破もザラである。
      • サービスエリアには何台かの車が停まっているので安全に乗り換えることが可能だが、それはつまりこの世界では駐車時は鍵をかけないどころか、鍵を刺したまま車を離れることが通常な模様。
    • 車は軽自動車からワゴンカー、スポーツカー、セダン、トラックやバスまである。種類は12種、色違いも含めれば58種。
      • 各車種ごとに様々なパラメーターが設定されており、状況に合わせて乗り換えることで有利になる。
      • 単純な速度やハンドリングなどのほか、燃費や耐久性、車体の大きさなど考えるべき要素は多い。
      • 車種によって速度メーター等のデザインも異なる。芸が細かい。
      • 警察のパトカーは(残念ながら)奪えない。
    • ゲーム中は、「自動車強奪事件が発生しています」などといった車載ラジオや、「現在○○付近を逃走中」などといった警察無線が適宜流れる。
    • 高速のあちらこちらに検問が敷かれているが、当然まともに相手する訳にはいかないので車で突っ切ることになる。
    • メニュー画面の「ヒストリー」からは、今まで奪った車の数や壊した車の数を確認することができる。
  • このゲームの登場人物たち
    • 超人主人公
      • 車を失うと一時的に徒歩で移動することになるが、主人公の超人ぶりが凄まじい。「もうお前徒歩で東京まで行けるんじゃね?」という身体能力を発揮する。
      • 異様に走るのが速く、走っている車に徒歩で追いつく(目測時速50㎞ほどか)。
      • 何度車にはねられても傷一つ付かない。というか、無理矢理はねられて車を止めた方が効率がいい。
      • 同様に、どんな大事故を起こしてもへっちゃらである。大クラッシュで爆発した車からも無傷で脱出。
      • 「自称」日本一の名探偵らしいが、前述のストーリーからすると一応証拠集めの能力などはそれなりに高いようである。とはいえ、裁判の当日になってなお現地入りしていない辺り本当に有能なのか疑わしいが…。
    • 無能警察
      • あちこちに検問を敷いておきながら簡単に突破され、車に乗り込む主人公を追いかけドアを開けながらなぜか開けただけで引き下がるなど、妙にやる気がない。
      • 腕を振り回しながら追いかける姿は間抜けに見える。障害物に引っかかると動けなくなることもザラである。
      • 拳銃を構えているが、発砲することは一切ない。
      • とはいえ、ゲーム的には徒歩の状態で捕まるとゲームオーバーになるので、それなりに厄介な存在ではある。
      • また、こちらも車で弾き飛ばそうが念入りに轢こうが、難なく立ち上がってくるタフガイである。
    • 一般人
      • 高速道路を走っていたら突然当たり屋を轢いたり車をぶつけられたりで無理矢理停止させられ、車を奪われてしまう可哀そうな人たち。
      • 主人公によって車から引きずり出されるのだが、パニックになって対向車線に走っていきそのまま轢かれたりする。

問題点

  • ダレやすい。
    • ネタに溢れているので最初は楽しく遊べるだろうが、幾らなんでもリアルで3~4時間ずっと走り続けるという飽きやすさを緩和しきれてはいない。
    • いかんせん実際の高速道路をモチーフにしているため、極端なカーブなどで走行に影響が出ることもなく、基本的な景色も郊外の山の中からずっと変わらないため余計に単調な印象が増してしまっている。
  • 詰みやすい。
    • 証拠品は全て回収しないと強制バッドエンドなのだが、途中セーブのせいで回収していない状態でセーブするとバッドエンド確定
    • 制限時間的にも、途中で時間をロスしすぎると、やはり時間切れでバッドエンド確定になる。
      • やり直すにも、さくさく進めて3時間ほどかかるので、精神的苦痛が大きい。ステージごとに引き返すにも、1ステージ30分以上かかるのでやはりつらい。
  • フリーモードなどがなく、特定のステージだけを狙って遊ぶことは出来ない。
    • 一度トゥルーエンドを迎えると、ノンストップモードが遊べるようになる。名前からして嫌な予感しかしないが、セーブなしで走り続けるモードである。
  • ストーリーはあってなきがごとし。ハードボイルドものを期待するのはやめておいた方がいい。
  • グラフィックは悪く、どうひいき目に見てもポリゴンはPSレベルかそれ以下。『THE タクシー』と比べても粗い。
    • PS版『首都高バトル』よりちょっと低いぐらいと言えば分かる人には分かるか。
    • 多様な多数の車を描写しなければならないことに加え、車の破損によるグラフィック変更があることが影響しているものと思われる。
  • ガソリンの減り方が非常に微少で、燃費のパラメーターの意味がほぼない。リアルな減り方と言えばそうだが、燃費だけが売りの軽トラや軽自動車を選ぶと不利になる。
    • というより普通にプレイしていればほぼ100%、ガソリンが尽きる前に車が全損する。一応燃料漏れというトラブルで、ガソリンの減少速度が跳ね上がることはあるが、この際はスポーツカーだろうが軽自動車だろうがほぼ一瞬でガソリンが尽きるのでやはり意味が無い。

総評

ツッコミどころのそれなりに多いバカゲー寄りの作りであり、「リアル志向のレースゲーム」としても比較的手堅くまとまっている作品である。
「ドライブが好き、特に高速道路をかっ飛ばすのが大好き」という人なら、非現実的な所も含めて楽しめるだろう。

ただ、全体的な評価を端的にまとめると、やはり「最初はネタまみれでなかなか楽しいが、飽きるのも割と早いゲーム」となりやすい。
プレイにはかなりの精神力と忍耐力が要求されるので、どちらかと言えば心の広い人向けである。

余談

  • 本作の主人公「大河原源九郎」は、『THE タクシー』で主人公が務めるタクシー会社の社長をしていた「大河原源五郎」の親戚という設定。
  • 続編『逃走ハイウェイ2 ~ROAD WARRIOR 2050~』も発売されている。
    • タイトルからも察することができるが、この作品の現代とは違い世紀末で崩壊した東名を走ることになる。ちなみに主人公の名前は「大河原源士郎」。

@SIMPLE Vシリーズ Vol.2 THE 逃走ハイウェイ フルブースト ~名古屋-東京 激走4時間~

【あっとしんぷる う゛いしりーず ぼりゅーむつー ざ とうそうはいうぇい ふるぶーすと なごやとうきょう げきそう4じかん】

ジャンル レーシング(?)
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 D3パブリッシャー
開発元 タムソフト
発売日 2014年4月30日
定価 1,800円(税別)
判定 なし
ポイント やっぱり4時間走る
非常に多い追加要素
紙装甲ノンストップモード
だがやっぱりダレやすい
SIMPLEシリーズリンク

概要(V)

PSVitaのダウンロード専用ブランド「@SIMPLE Vシリーズ」で登場した移植版。
大幅なグラフィック向上に加え、車種やアイテム要素の搭載など非常に多数の要素を追加、遊びやすさやボリュームも改善されているとの触れ込みとなっている。


特徴(V)

細かい部分まで追加要素は多く、ほぼリメイクに近いものになっている。

  • 主人公のダッシュ速度は残念ながら人並みに……と思いきや、好評価で一周クリアするとPS2版と同様の速度で走れるボーナスが貰える。
  • 警官が発砲してくるようになった。動いていればそうそう当たらないが、数発当たると死んで1ミス。尚、車からガソリンが漏れていても容赦なく撃ってくる。
  • 警察のパトカーを奪えるようになった。異様な高性能を誇る代わりに、常時指名手配状態になってしまうデメリットがある。
  • 道にはキャリアカーも走っており、キャリアカーの荷台部分に乗ると、そこからジャンプして飛び出すことが可能。
    • もっとも、曲がり角でジャンプすると壁に思いっきりぶつかる上、うまくジャンプできても大したメリットはなかったりするのだが。
    • もちろんキャリアカーも奪える。ただ、さすがにデカブツだけあって速度が遅く、実用性は低い。
  • なぜか、説明書に載っている主人公などのキャライラストまで変わっている。
    • PS2版では割といかつい感じの大柄な男だったのだが、今作では青シャツにサングラス姿でクールな雰囲気の男に。完全に別人である。
  • 道にアイテムが落ちており、使うと効果を得られる。『グラディウス』などのように、使わないまま複数個拾うと効果が変わる。
    • 1個:ブースト……1秒間ほど加速して、最高速を突破した速度で走れる。効果時間が短いので有用性は低い。
    • 2個:デコイ……車の後ろから主人公のチャチなビニール人形を出して囮にし、警察を撒く。こんなのと誤認する警察って……
    • 3個:スピード……ブーストの効果時間が長くなったバージョン(5秒程度)。一時的に速度が欲しい場合は使えないことも無い。
    • 4個:ガード……10秒ほどダメージを受けない無敵状態になり、その間は破損状況を無視してノーダメージ状態と同じ扱いになる。七色に光る演出がマリオカート。
    • 5個:ヒール……クリア後のみ使用可能。使用すると、乗っている車の破損状況を全回復し、ノーダメージ状態に戻せる。
      • 最高の効果になっても効果を使わないままアイテムを取ると、一周して一番弱い効果に戻る代わりにボーナスポイントが貰える。
  • PS2版では「ただセーブが無いだけ」だったクリア後のノンストップモードだったが、本作では全く別のモードに。
    • ゲームが始まると、なんと主人公が乗っているのはF1カー。どこから持ってきたんだよ!
    • F1カーだけに速度はメチャクチャ早い。300km/h以上の速度で走れるうえ、このモードでは車の数が少ないので思う存分カッ飛ばせる。……が。
    • その代償としてとてつもない紙装甲であり、少しまともにぶつけただけで即サイレンが鳴り響き、数秒後の大破確定。
    • おまけにこのモードでは車から降りることができないため、車の大破は1ミス=ペナルティ10分に直結する。
    • そのため、このモードでは大量に落ちているアイテムを利用して、無敵状態を維持しながら進んでいく必要がある。全速力のまま無敵が切れるとほぼ死亡確定。

評価点(V)

  • 上記の通り、奪える車種のボリュームが増えたことにより、見た目的な退屈さをある程度解消させた。
    • 車種は23種に増加。セダンにワゴン、大型トラックにタンクローリーまで操縦できる。
  • グラフィックは描き直されており、前作よりは高い水準になった。
    • もっとも、ようやくPS2レベルの水準になったくらいであり、PSVitaの作品として見ると微妙なレベルではあるが。
  • 証拠を全部取っていなくても、おおむね取っていれば無罪エンドを迎えられるようになった。
    • 証拠が足らない場合でも、クリア後の評価は変わるがクリア扱いにはなる。証拠を全て取っていれば「完全無罪」エンドになる。

問題点(V)

  • 操作が非常に緩慢になってしまい、ボタンを操作してやや間を置いてようやく応答するレベルに落ちてしまった。
    • 加速性能も全体的に悪化しており、全車種に渡ってリアルでの軽自動車未満並みの起動加速性能になってしまっており、爽快感がダウンしている上に無駄に難易度が上がってしまっている。
  • 特にPCH-1000番台でプレーした際の処理落ちが酷く、とても遊べたものではないほどに常時発生してしまい、操作すらもままらないほどに陥ってしまう。
    • 頻発するであろう車両が爆発した時の処理落ちの酷さは最早常識を逸しており、操作すら受け付けるかも怪しいほどに。素直にPCH-2000番台を用意しておこう。
  • 降車する場合の事実上必須テクニックである「パーキングギアに入れる」動作が「アクセルとブレーキを同時押し」となっているが、これが説明書に記載されていない。また、ハンドル操作を十字キーにアサインされているキーコンフィグが無い為、スティック操作を強要されてしまっている。
  • 1800円という価格は内容を考えても高めである。
    • 追加要素自体は多いとは言え、根本的な飽きやすさを完全にカバーしきれているとも言えない。

総評(V)

どうもショボい部分も残ってはいるものの、多数の追加要素を出して単調さを緩和しようとした感は全面に見られる。
ツッコミ所自体は間違いなく増えているので、バカゲーとしての完成度は間違いなく上がっているといえる。
ただ、根本的な造りや、それに伴う欠点自体はPS2版とほとんど変わっておらず、更に操作性がPS2版よりも明らかに悪くなってしまっており、総じてお勧めできるようになったとも言いがたいところではあるのが残念なところ。