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ファイトフィーバー - (2022/07/18 (月) 12:32:50) の編集履歴(バックアップ)


ファイトフィーバー

【ふぁいとふぃーばー】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(MVS/業務用ネオジオ)
販売・開発元 ビッコム
稼動開始日 1994年
判定 クソゲー
バカゲー
ポイント お前らのようなテコンドー使いがいるか!
格ゲーとしての出来は劣悪
所々おかしなゲームシステム
勝利セリフの誤植は有名

世界中のテコンドー使いが、「テコン王」の名を賭けて戦う格闘ゲーム。だがその実態は…

まったくテコンドーなっとらんわ!



概要

  • 餓狼伝説』のヒット以来、立て続けに対戦格闘をリリースし続けた(業務用)ネオジオを舞台に突如登場した一作。
    • 当時のNEOGEO格ゲーといえば、ファーストパーティであるSNKの作品群がメインであり、それ以外のメーカーから発売された作品は異端の目で見られる事になる。韓国からやってきた本作もその例にもれなかったのだが、肝心のゲームの出来はあまりにも悲惨であり…。
  • 現地版のタイトルは『王中王』。

ゲームシステム

  • 操作は1レバー4ボタン。一見普通の格闘ゲームに見えるが、独特すぎる特徴を多く備える。
    • 立ち通常攻撃は一般的な遠距離、近距離の他に中距離というものまであり、計3種類となっている。
    • 本作では、必殺技は「必勝技」と表記されている。
      • 必勝技を出すと、画面端に必勝技の名前が表示される演出がある。しかも全員漢字表記である…バスケットマンだろうがジェイソンマスクだろうが、誰でも。
      • そして非常に出しづらい
    • 体力ゲージが赤く点滅している状態で特定のコマンドを入力すれば発動する「超必勝技」も存在する*1。コマンド自体はそれほど複雑ではないがこれまた非常に出にくい。そして、ほぼ全員が乱舞技の系統という代物*2である。
    • どのキャラでクリアしてもエンディングは共通。各キャラの試合終了その後を映したであろう絵がフィルム調に流れ、同時にスタッフロールも表示される。
      • しかしスタッフロールは全部ハングル*3苦労の末にクリアしたプレイヤーがズッコケたとかなんとか。
  • 攻撃やガードの処理などが色々と変で、他の格ゲーとは明らかに異彩を放っている。
    • のけぞり中は無敵。
      • 実はのけぞりモーションの最後の1~2フレームのみ喰らい判定があり、タイミングを測れば連続技を作れる模様。
    • 強さに関係なく、相手に攻撃を4回連続でヒットさせると強制的に気絶させる。ただし、一度でもガードされるか、相手にヒット・ガード関係無く攻撃を当てられると気絶カウントはリセット。
    • 攻撃判定が不自然で、どう見ても当たっているような技がスカったり、密着した相手を投げられなかったりする場合がある。
    • 足払いのような、普通ならダウンが取れそうな技でダウンが取れない。逆に立ち強キックのような普通の格ゲーではダウンが取れないような技でダウンが取れたりする。
      • ダウンを取れない技でKOすると相手が倒れず、そのまま負けポーズを取る。戦う気力無くなったのか。
    • 昇りジャンプ攻撃を当てると、当てたキャラが強制的に再度ジャンプする。逆にジャンプの下りでジャンプ攻撃を当てると、当てた側はその場で垂直落下する。
    • ガード方向の切り替えができない
      • 相手に必勝技を出されたときにガードしていると、レバーが後ろ要素に入っている限りガードポーズを取り続けてしまう。突然下段判定の必勝技を出された時、レバーが後ろに入っていて立ちガードのポーズを取ってしまうと…
    • 攻撃がヒットした時のダメージに非常にバラつきがあり、中にはノーダメージであることも
      • 投げ技は必ずダメージを与えられるようではあるのだが、必勝技と通常技は当ててもダメージがないときがある。かと思えば弱攻撃ヒットでも強攻撃以上のダメージを与えられたりと…。一応カウンターダメージの設定があるようなのだが、攻撃力のシステムには謎が多い。

バカゲー要素

  • 登場キャラはラスボスを除き、9人が全員(設定上は)テコンドー使いのハズだが、まともにテコンドーな外見のキャラは2人しかおらず、それ以外のキャラは「レオタードを着た体操教師」、「テコンドーと言うより少林拳使い」、「ホッケーマスク男の軍人」、「ブラジルの原住民」等と、どう見てもテコンドーから非常にかけ離れている容姿である。
  • 外見もさる事ながら、技も一体どの辺がテコンドーなのかわからないものが大半を占める。
    • テコンドーの技と言えば派手な蹴り技が特徴的だが、それらしい技はあまりない。むしろさば折り、体当たり、頭突きといった''本来のテコンドーでは反則となるような技が多い。
    • 主人公の投げからして、相手を押さえ込んだポーズのまま垂直に画面外に浮いてから叩きつけるという妙な技になっている。
    • 終いにはヒップアタック、引っ掻き、手や足を伸ばす空中で円盤のように体をグルグル回して体当たり*4腹這いになって地面をスピンするなど、最早テコンドーと言うより奇人変人ショーとでも言った方が良さそうな技が飛び出す。
      • 現実の格闘技とは異なる技を使う格ゲーキャラは多いが、いくら何でもほとんどのキャラがテコンドーらしさを微塵も感じさせないような技ばかり使う格ゲーはそうそう無い。
    • 全キャラが飛び道具を持っている。テコ……ンドー……!?
      • 中には「アンダースローで放たれ、放物線を描かず真っ直ぐ飛ぶ、爆発しない手榴弾」*5という、もはやどこから突っ込めばいいのか分からない飛び道具もある。お前ら真面目にテコンドーしろよ!!
  • ラスボスの「空手 健児(からて けんじ)」は名前通り唯一名目上のテコンドー使いではない…が、これも空手とは程遠い技を連発してくる上に、裸にサスペンダー裃(かみしも)と言うまるで怪しい宗教家のような容姿。
    • ラスボス戦前まで勝ち抜くと、一旦「CONGRATULATION」が表示された後に、ラスボスからの招待状が(物理法則を無視したかのような不可解な軌道で)飛んで来るという演出がある。
      • 「おめでとう、ついにきみは跆拳(テコン)王だ!。だが、真の王者になるには、まだKARATEというFIGHTERがきみの前に立ちはだかっているぞ!」
        まるで第三者が書いたかのような妙な文面である。本人の直筆サインがあるので、書いたのは紛れもなく本人であるはずなのだが…
    • キャラクターコールの「カラテェケンジィー↑!」に始まり、必勝技だけにとどまらず通常技も悉くがボスらしいぶっ壊れ性能で、ネックハンギングツリーような体勢から相手をつかんだままバク転の要領で体勢を急反転させ、そのまま飯綱落としの要領で敵を頭から叩き付けるという人間にあるまじき動きの投げ技「ウルトラバックドロップ」やいきなり筋肉ムキムキになって突っ込んでくる「吸氣破*6*7」など(ネタ的な意味で)インパクト抜群。
      • 一方、先ずはプレイヤーの優勝を称えてから勝負を挑むと言う礼儀正しい挑戦状や、負けた後もプレイヤーキャラの手を取って「キミが勝者だ」とばかりに掲げる潔い紳士である事もあり、一部のファン(!?)からは「先生」や「空手先生」などの愛称で親しまれているとかいないとか*8
    • ちなみに、勝利デモで「俺が最強の格闘王、KENJIだ!もう一度やるか。」(ゲーム中表記ママ)と言っているので、別に空手家だという訳でもないのかも知れない。
      • と思いきや、かつて発売されていた「ゲーセン天国」誌上で本作が紹介された際には「日本空手界の頂点に君臨する男」と紹介されているので、これが公式なものであれば、やはり単純に(使う技はともかくとして)空手家なので空手姓にされていただけの模様。
  • 日本ステージでは秋葉原風の在来線の駅に5両編成の新幹線が通っている。そんな短い新幹線あってたまるか*9
  • ちなみに効果音が龍虎の拳そっくり。暫烈拳などを当てたときの「スコーン!」も搭載。BGMも普通にかっこいいのだが、これもすごい龍虎臭がする。
    …だが、これにはれっきとした理由がある。
    • 本作はれっきとしたSNK公認作で開発にも協力している。その際にSNKから当時の対戦格闘ゲームの効果音ライブラリの提供を受けているからだそうな。
    • そもそも、元々はビッコムから研修のためにSNKに派遣された実習生が『餓狼伝説2』や『龍虎の拳』の開発に参加しており、そこで得たノウハウを元に生み出されたのが本作である。
    • 更に細かい話になるとスコアのフォントや一部のグラフィックパーツも『餓狼伝説』や『龍虎の拳』で使われていたものと思しきものから流用されている。
  • 声の空耳具合は神レベルと言われることも。
    • 例えば主人公と思われるテコンドー使いハン・ベーダルの必勝技「猛虎拳」*10のボイスが「援交します!」、「飛虎撃」*11のボイスが「不合格!」勝利ボイスは「ヘタクソー!!」など。
    • 主人公のライバルキャラ、キム・フーンの「鷲爪脚」*12のボイスは「獅堂光!」*13
    • 空耳とは少し違うが、ドイツ人のテコンドー使いロッペンハイマーの勝利ボイスの「ダン↓ケッ↑シェーン↑」*14もポーズ含めて味わい深い。
    • そんな中、ラスボスの空手健児の声は龍虎の拳のリョウ・サカザキでお馴染みの臼井雅基氏であり普通にカッコイイ。臼井氏の出演もSNK公認作品だからと言えよう。
    • なのに同じく日本人設定である紅一点のミユキは向こうの国の人が担当している為、日本人としては違和感バリバリの奇声を発する。ひゃひゃひゃひゃひゃーと顔をひっかいてくる*15姿は軽くホラー。そして勝利ボイスは「やっ↑たー↓」とアクセントが変*16
  • 空耳だけでなく、日本語台詞のつづりもどことなく変。しかも時々文字がバグる*17*18
    • 勝利メッセージではゴルリオの「ガハハハ…全く勝負ならんわ!」、ロッペンハイマーの「テコンドーをヨーロッパに拡げるまで負けるわけるわけにはいかん!」に代表される妙な誤字がある。
    • ニック・コマンドー*19の勝利セリフである「俺がNO 1.
       だ!次は誰が相手だ!」。これも誤植*20がある上に、改行が変な事になっている。

問題点

  • 見た目としては初代の『餓狼伝説』と『龍虎の拳』の中間のような間隔。だが出る時期が遅かったと言わざるを得ない。
    • 同時期にリリースされたNG格ゲーといえば『龍虎の拳2』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ'94』などがあり、それらと比べるとあまりにも外見がしょぼく、見るからにして香ばしいオーラを漂わせていたのである。
      • もっとも、おそらく大したノウハウを持っていなかった本ゲーム製作陣の事情を鑑みるに、比較対象としていきなり上記ゲーム達*21を挙げるのは酷といえば酷かもしれない。……とはいえ(少なくとも日本の)ユーザーにとってそんな事情など関係ないのは当然だが。
    • また、各ステージとも、KO後の獲得スコアが表示されるタイミングで背景の動きが一瞬止まる。例を挙げると、日本ステージでは背景で新幹線が走行しているのだが、獲得スコアの表示時に一瞬停止してしまうのだ。この辺のところも、作りが稚拙と思われる原因の一端となっている。
  • ゲームバランスはもちろん操作性も劣悪と言っていいレベルであり、必勝技も出しにくく、まともにキャラを動かす事すら困難。対戦ツールとしての実用性も見出されずに終わった。
    • その割にCPUの強さは尋常ではなく、無駄に苦戦しやすい。
      • ラスボス手前に出てくる中ボスのマスター・テクゥは腕が伸びるキャラであり、離れているといきなり掴まれる事も。更に必勝技の「直立撃」はガード不能である。そしてラスボスの空手健児の強さもかなりの物。
      • その昔、ゲーメストの読者投稿コーナーでは「タイミングよく飛び蹴りを当てる」事でクリアする事が出来たと言う投稿もあった。いずれにせよ、後半敵の強さは本物だったが。
    • ちなみに「必勝技の出しにくさ」については好事家たちの研究によると「何らかの動作処理(プレイヤーが必勝技のコマンド入力途中に相手が必勝技のコマンドを入力する等)が終了しない限り、必勝技のコマンドを入力しても技が出ない*22」といういわば「1P側と2P側で入力処理を共有している珍妙な仕様」が理由ではないかということでほぼ確定している。

評価点(?)

  • 突っ込みどころは十分にあるので、ネタにしながらプレイすると意外な楽しみ方ができる…かも。
  • この時期の格ゲーには珍しく、ボーナスステージがある事。一つはAボタン連打で瓦を割る*23物、もう一つは左右から次々と現れる板をキャラ操作で動かして割る物。
    • 前者は龍虎の氷柱割り、後者は『ストリートファイター』の二つ目のボーナスステージ*24と似ている。

総評

気づいた人にはツッコミどころ満載なゲームのため、単なるクソゲーではなく立派なバカゲーと評価する人もいた…が、どう取り繕ってもあまりにもお粗末で劣悪なゲーム性が前面に出すぎていて、大半のプレイヤーはバカゲー要素に気づく前に離れていってしまった。
せめて必勝技がもっと出しやすかったり、操作性やゲームバランスがある程度マシだったら多少は違ったかもしれないが…


その他

  • 100メガショックを謳っているが、実際の使用容量は100メガ未満(海外版のフライヤーによると98メガビット)。ちなみにこういう珍妙な仕様は後にも先にも本作のみである。 故に「100メガ未満ショック」と揶揄されることも珍しくない。
    • しかし、100メガショックのロゴ表示中に鳴る音が、餓狼などで鳴る正規のものと比べて音数が足らないあたり、実は芸が細かいのかも知れない。
  • あまりにも劣悪な出来だったためか、家庭用NG及び同CDも含め、家庭用ゲーム機には移植されていない。ちなみにAC版のリリースは日本が最初(1994年6月)で、海外がその1ヶ月後、 肝心の韓国は同年9月と最後発
  • 後にビッコム社は次回作として『極超豪拳』(海外タイトルは『The Eye of Typhoon』)を開発し、日本国内でも1996年のAOUショーに出展されていたが、ゲーム自体はマスターアップしていたにもかかわらず残念ながら発売中止となる。しかし、MVS版こそお蔵入りになったものの、韓国では末期の市場だった3DO版とPC(MS-DOS)版が発売された。*25
  • ちなみに当時のビッコムは韓国におけるMVS基板及びネオジオの販売代理店でもあった。
    この縁からか、韓国でのネオジオ普及の足掛かりとして『餓狼伝説2』に韓国出身のキャラ「キム」を登場させることになった際、そのフルネームをビッコムの社長から拝借したものとなった*26
    • なお、近年のKOFシリーズ作品ではフルネームの「キム・カッファン」ではなく「キム」とだけ表記されている*27。ただし、SNK時代の作品の移植作では「キム・カッファン」のままである。
    • 他、キムの次男であり、『餓狼 MARK OF THE WOLVES』のプレイヤーキャラとして登場する「キム・ジェイフン」もまた、ビッコムの社長の息子の名前をそのまま借りている。
  • THE KING OF FIGHTERS』シリーズの登場キャラ「ジョン・フーン」のモデルは本作の登場キャラの一人「キム・フーン」である*28。また「満月斬」「排気撃」といった技名もラスボスの空手健児の技からとったものだが、技としては全くの別物。また、『KOF2000』ではジョンのアナザーストライカーとして本作の主人公と思われる「ハン・ベーダル」をモデルとした「カン・ベダル」が登場している。