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プリルラ - (2022/03/22 (火) 05:43:50) の編集履歴(バックアップ)


プリルラ

【ぷりるら】

ジャンル ベルトスクロールアクションゲーム


対応機種 アーケード(F2システム)
発売・開発元 タイトー
稼動開始日 1991年
判定 バカゲー
ポイント パステルカラーのファンシーなゲームと思いきや…
病的、狂気的な演出だらけの中盤以降
メルたん萌え
メルヘンというよりむしろメンヘル


概要

時間の流れを守っていた時計のネジが悪いやつに奪われた!?
「ザック」と「メル」がおじいさんから託された魔法の杖を使い、全6面の攻略を目指すベルトスクロールアクションゲーム。


ゲーム内容

  • ベルトアクションにありがちなバイオレンスやリアルとは相反する、ファンシーさやメルヘンを題材にし、このジャンルでは珍しい空気を持つ。
    • 敵キャラは、悪いやつに魔物に変えられた動物や人間であり、彼らを魔法の杖で元の姿に戻しながら先に進んでいく。
  • システムはシンプル。複数を巻き込める当たり判定の大きいロッドアタックとジャンプの操作に、使用回数制限があるマジック(いわゆるメガクラッシュ)がある。

評価点

  • 難易度は高くなく、初心者にも安心して楽しめるバランスになっている。
  • グラフィックは一部を除けば美麗で、序盤ステージはパステルカラーで描かれている。
  • キャラパターンがとても多く、キャラクターは生き生きと動きまわる。BGMもノリのいい曲が多い。

ここまでみると初心者向けの普通のゲームに見えるが、本作は「3面」の存在でそのバカゲーとしてのインパクトを絶大なものにしている。


妄想は爆発だ!?

序盤は見た目の通りのファンシーでメルヘンな流れで展開するが、2面ボスが「なにかいやな予感」を感じさせるイカれたデザインでバカゲーの片鱗を見せ始める。
そして、その2面ボスを撃破した後、本作最大の問題にして見どころである3面「誇大妄想家の町」に突入する。 内容は以下の通りである。

  • このステージ、なぜか実写画像(当時の社員によるもの)が使われている。
    • まずステージが始まると、地面に対して水平姿勢で棒につかまっている女(実写)が登場、なぜかくるくる回っている。そこに青髪のデカイ男の顔(もちろん実写、なぜか髪だけCG?)が現れるも、回ってる棒女に蹴り飛ばされ? 画面手前にすっ飛ばされて退場する。
      • この文だけでは恐らくよく伝わらないと思われるので、下記のプレイ動画を呼吸を整えてから見て欲しい。
    • 次は、門の中から飛び出してM字開脚状態の赤タイツを履いた女性の両脚。その脚の間に意味深なドアがあり、開けるとボーナスキャラの「ゾウさん」が出てくる。あまり深く考えないようにしたい
      • そのドアの後ろには地球が写っている。上記同様にあまり深く考えないようにしたい。ちなみに海外版では見事に検閲に引っかかり脚がカットされている。
    • その次は、背景にマリア様? の顔が張り付いていて、近づくと「長い舌で舐められる」。また、この辺りでトンボの様な敵の編隊が「とびます、とびます」と声付きでやってくる。プレイヤーの頭の方がとびそうである
    • 少しザコ敵と遊んだ後、いよいよボス戦となるが、ここで出てくるのはステージの狂いっぷりからすると意外すぎる「ただの歌舞伎野郎」(目張入之助)である。世界観的には十分おかしいのだが、ここまでの展開で頭が慣れていると、それすら「ネタ切れか」と思えてしまう不思議
    • そして激闘の末”目張入之助”を倒すと、町は元に戻り、誇大妄想家も目を覚ます。
      • それに対しての主人公の発言は「もう変な夢は見ないでね」。全くである。
+ 実際の動画:自己責任でご覧下さい

  • 次の砂漠ステージは案外普通な為、これで変なステージは終わり…と思いきや、その後のゲーム展開もまだまだイカれたステージやキャラクターのオンパレードである。以下詳細。
    • ステージ5…前のステージから打って変わって物語の設定に忠実な「時が止まった街」が舞台となるのだが、少し進むとステージの背景が大量のミイラで埋め尽くされている物に変化してしまう。どうしてこうなる。
      また、このステージから登場する雑魚敵の中には自らの鼻をほじって鼻糞を飛び道具として放ってくるという物も。正直言って汚いと言わざるを得ない。
      ボス戦に突入すると、それまでの光景から打って変わって現住民族風な物に変化。ボス自体もペ○スケースを着けたシャーマンという制作者のセンスを窺わせるような奴が相手となる。
    • ボーナスステージ…ステージ5をクリアするとボーナスステージに突入するが、こちらも斜め上な内容であった。
      というのも、前ステージ突入時に引き起こした大洪水が止まっていた時間を戻した影響で再び発生。その中で溺れながら雑魚敵を倒していくという、常人には理解しがたい全く新しい形式のボーナスステージである。
    • ステージ6…遂に敵の本拠地に突入といったところだが、まるでエッシャーの様な騙し絵っぽい奇妙な背景が印象的で「敵の本拠地に来た」とは言いがたい。まるで異世界に来たようである。ファンタジー?
      ステージの最後に待ち受けるラスボスは「顔が地球儀でマントを付けた怪人」という、案外普通な見た目をしているため、ここで奇怪な世界と遂におさらば…といいたい所だが、ラスボスが攻撃を放つ毎に背景に大量の目玉がウヨウヨとギョロつく。正直言ってグロいと言わざるを得ない。
  • マジックも一癖ふた癖あり、「ラップマンを召喚し、画面上の雑魚をラップにくるんで電子レンジでチンして動物に変える」「動物を一斉に呼び出し、大行進させて敵にダメージ」「タイトーのとある没ゲーキャラのミカタ氏を召喚」などというものも。さらに2人同時プレイ時に双方のプレイヤーが同時にマジックボタンを押すと*1「ショックのパーの助」を呼び出し、「しょっくのパー」の掛け声とともにマップ上に広がる大爆発を起こしてしまう。
    • ショックのパーの助の大爆発は後半ボスにすら大ダメージを与え、序盤ボスなら一発で簡単に倒すことができる。
  • こうした電波展開やハチャメチャさも「不思議の国のアリス」の様なシュール路線を目指したとすれば、ある意味メルヘンしていると言えるのかもしれない。
    メルヘンを目指すのに実写や下ネタが必要だったかは謎だが。

2Pキャラ「メル」

  • このゲームもう一つの見どころが、とにかく動くキャラクター、中でも2Pキャラ「メル」である。
    • 仕草の一つ一つが当時のゲームとしては驚異的に作りこまれており、とにかく動かすだけで可愛らしく楽しくなってくる。
    • それだけでなく実は性能面でもメルのほうが恵まれている。攻撃のリーチ・隙・当たり判定など、ザックよりも僅かながら優遇されている部分が多いのだ。これは小さいようでいて、攻略上で実に響いてくる。

賛否両論点

  • 雑魚敵が全体的に柔らかい。
    • 本作の雑魚敵は攻撃を一、二撃加えるだけで倒される物が多い。
    • ベルトスクロールアクションゲームに登場する雑魚は耐久力のある物が多く、本作の雑魚耐久力の低さはベルスク愛好家から異端の目で見られやすい。
    • とは言うものの、本作の雑魚は一発当てるだけで吹っ飛ばせる仕様になっているため、特有の柔らかさも相まって独特の爽快感を生んでいる。一概に批判に上がる物では無い。

問題点

  • 攻撃アクションの種類が非常に少ない
    • 本作のメイン攻撃となるロッドアクションはニュートラル、レバー下入れ、ジャンプ攻撃の3種類。これに加えてマジックを含めると、本作の攻撃アクションは基本的に4種類しか存在しない。
    • ベルトスクロールアクションゲームは通常攻撃を組み合わせての連続技やつかみからの投げ、ステージに落ちている武器を拾うなど豊富な攻撃アクションが特徴的だが、本作における攻撃アクションの少なさに関してはいただけない。
  • アイテムの種類も非常に少ない。
    • 本作のアイテム類はステージ中に現れるカボチャを叩くと出現するが、アイテム自体の種類がライフ及びマジック回復の2種類の妖精しか存在しない。
    • ベルトスクロールアクションゲームといったらナイフや刀などの武器類や、ジュースから肉までの体力回復類といったアイテムの種類の豊富さも華ではあるが、それらに対して本作のアイテム種類の少なさは異常である。

…とはいうものの、これら攻撃アクションやアイテムの少なさは本作の特有の「取っつきやすさ」に貢献しているといえるだろう。


総評

アクションゲームとしてはとてもシンプルでプレイしやすい。軽快な操作、よく動くキャラクター達と魅力的な箇所は多い。が…電波あり下ネタありの中盤以降は本当に人によっては受け付けないので、とても万人にはお勧めできない、もどかしいゲームである。
シュールかつサイケデリックな作風のバカゲー好きならば、触ってみて損はない。……かも知れない。


余談

  • こんな内容なのでゲーセンでの出回りは悪く、現在では基版も非常に入手困難らしい。のちのタイメモ収録時も作品解説に「の名作」との文字がある始末であった。
  • 元々、海外向けに作ったらしく、国内での展開は予定外だったらしい。
    • 当時のタイトーは海外展開に関してどのようなリサーチをしていたのだろうか? 実際、その海外版で上記の「脚」が検閲に引っかかっている訳で…
    • ちなみに、この時期のタイトーのアーケード作品は、ファンシーなキャラクターが主役のアクションゲームから、海外市場を意識した筋肉ムキムキのマッチョキャラクターが闊歩するハードなテイストのアクションゲームへと作品の主流が移り変わっていた時期でもあった。
    • 『奇々怪界』の制作・デザイナーである藪崎久也氏によれば、本作はそうした時勢の中で登場した、タイトーのファンシー路線ゲームの系譜に連なる最後の作品であったという。
  • 後に発売した『バブルシンフォニー』では本作モチーフのステージが存在する。
    • そちらではザコが本作のモノになり、ステージボスとして本作のラスボスが登場する。もっとも、上記の演出の数々まではさすがに再現されてない。

移植

  • FM TOWNSにはビング、SSとPSにはエクシングより『アーケードギアーズ』シリーズの一作、PS2には『タイトーメモリーズ上巻』に収録という形で移植。ただ元のアーケード版が恐ろしく出回りが少なかったので移植度が良いか悪いかの判断が極めて困難、という逸話が有る。