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ノットトレジャーハンター - (2017/08/31 (木) 00:39:35) の編集履歴(バックアップ)
ノットトレジャーハンター
【のっととれじゃーはんたー】
ジャンル
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3Dアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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アクティアート
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発売日
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1996年12月20日
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定価
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5,800円
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判定
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バカゲー
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ポイント
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ゲーム自体はクソゲーだが笑いどころ満載 スーツ姿で遺跡探索する紳士 素手でトカゲを蹴り倒す紳士 ヘタレシャア紳士
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概要
私の名はジェームズ・アークライト。
イギリス人だ。
学生時代にマヤ、インカなどのいわゆる「古代文明」の魅力に取り付かれた私は、29歳になった今でも、その謎を解き明かすために様々な遺跡を探索している。
ただ、世の中にはそんな魅力あふれる遺跡を金儲けの道具としてしか見ていない輩がいる。
一般的に「トレジャーハンター」と呼ばれる連中だ。
奴らは遺跡に眠る財宝を持ち出しては金に換えているのだ…。
おっと、私をそんなトレジャーハンターと一緒にしないでほしい。
私の目的は純粋に古代神秘の追求にあるのだから。
スーツとキックで未知の神秘に挑む、英国紳士による英国紳士的な英国紳士のアクションアドベンチャーここに開幕!
特徴
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妙な信条を持った英国紳士の冒険家・ジェームズを操作して洞窟を探検する、マルチエンディング形式のアクションアドベンチャー。
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変わったタイトルの由来は「主人公は遺跡から宝を漁って飯の種にするのではなく、遺跡から古代の謎を解き明かすことを生き甲斐としている」。即ち「金目当てのトレジャーハンターではない」という主人公の信条からのようである。文法間違えてるのは良いのだろうか。
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もっとも、未知の洞窟にスーツ姿で入り込むというのは、むしろ探検を舐めているとしか思えないが。
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一部のPS2本体、及びPS3ではゲームが動作しないので、PS1を用意しておこう。
単純な問題点
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やたらとロードが長い。しかも移動中だろうが平然とストップ&ロードが入る。
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操作性が最悪。アナログスティックがない時代なので、スラスラ移動するのが困難。
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そのため、敵に殺されるよりも崖に落ちて死ぬ事の方が多い。そのぎこちない走りは某実況動画にて「ダバダバ走り」と例えられた程。
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当時はポリゴンによる3Dムービーが大流行していた時期であったが、本作のグラフィックはかなり粗くカクカクである。
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「エンディングが50種類以上」と謳われているが、実際は選択肢ミスによるバッドエンドもカウントしただけである。
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ほとんどが選択肢による微妙な差分であり、後述の3秒EDも当然含まれている。
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ロードは長くイベントのスキップも不可能なので全てのエンディングを見ようとするとかなり骨が折れる。
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そして全EDをコンプリートした暁にはなんとアクティアートの社内をそのまま撮影したホームビデオが流れ出す…
バカゲーたる所以
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外れているはずのパンチ、キック攻撃が敵に当たる。全然別の方向向いててもHIT。拳銃などの武器も手に入るが、素手の方が強力で、無理に使う必要は無い。
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あまりも強力なため、ディープなファンからは「英国紳士パンチ(キック)」の愛称が付けられている。
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『ホームズ』といい、ゲーム界の英国紳士は「素手喧嘩(ステゴロ)」が信条なのだろうか?
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「1プレイ5分のお手軽アドベンチャー、遊ぶたびに物語が違う」が売りであったが、ストーリーがあまりにハイテンポすぎて呆気に取られてしまう。
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例:女「道に迷ったので出口まで案内してください」→10歩ほど歩く→女「出口だわ!」
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ちなみに最短でEDを見るには、ゲームスタート→遺跡に入る→入ってきたところから出る→どこからか矢が飛んできて胸に刺さる→エンディング。…この間僅か3秒である。
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洞窟に入ってすぐにトカゲ人間が襲い掛かってくるが、その時の行動で行き先が変わる。
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英国紳士キックで倒すのも良いが、放って置くと勝手に穴に落ちて自殺するため無視するのもアリ。
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他にも、途中で見つけた遺体をどう扱うかなど、細かい行動でストーリーが分岐する。何故それで分岐するのか意味不明なものも多数。
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紳士らしからぬ行動をとると増えていく内部パラメーターが存在しており、これにより選択肢の数や内容が増えていく。
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選択肢を全て開放するのは意外と面倒だが、実は隠しコマンドで全開放可能。
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選択肢も無駄に多彩。敵に勇ましく立ち向かうものもあれば、情けなく命乞いをするものや、明らかに無駄な行動も。
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特にはっちゃけたものになると、女性がトカゲに襲われている場面にて「(トカゲと)共に女性を攻撃する」。別の女性が怪物を倒すの目撃した後で「次は私が相手だ」。いや、なんで!?
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マヤの遺産編の終盤の展開が、奥に隠されていた石仮面をライバルであるカルミス(悪役)が被ったことで不死身の怪物となるという清清しいまでの『ジョジョの奇妙な冒険』のパクリ展開を見せてくれる。マヤの石仮面という設定や石仮面のデザイン等言い逃れが出来ないレベルである。
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さらに、決着のつけ方もジェームズが銃撃を受けるもペンダントに当たって無事だった為、そのまま死んだフリをして、「気絶しているだけかもしれん。死んだかどうか確認せねば」と言って近づいた来たカルミスに不意打ちを食らわせるというこれまたジョジョ第3部を彷彿とさせるノリ。
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他にも、石仮面を守護する敵の黒い影の剣士がジョジョ第5部のシルバーチャリオッツ・レクイエムに似ている。但しこのゲームが発売された頃はまだジョジョ第5部は序盤である為、偶然の一致と思われる。ちなみに倒す方法が自分の手を傷つけて出血させる、という点についても第5部終盤の展開と微妙に一致している。
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ちなみに、ジェームズ自身が仮面を被って自ら人間をやめることもできる。
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キャプテンゴールド編の終盤ではエレノアという宝石箱を巡ってカルミスと対決するのだが、勝つ方法がエレノアが開封された際の閃光を利用して逃げるトリックが複数のエンディングで流用されている。
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ちなみにカルミスの部下はサングラスをしているのに閃光で視界を奪われる。
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水の中に入ると崖から落ちるのと全く同じ速度で落下してゲームオーバーになる。その液体はオイルか何かですか? というか探検家なのに泳げないというのはアウト。
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こんな内容なのに主人公ジェームズの声は池田秀一氏、敵対するカルミスは塩沢兼人氏、そしてイラストは末弥純と無駄に豪華。この時期のPSタイトルにありがちな傾向である。
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しかもジェームズの容姿は金髪オールバックという『逆襲のシャア』時代のシャアの容姿まんまである。狙ったとしか思えない。
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おまけになんとほぼフルボイス。どんなに間の抜けた台詞だろうとも律儀に喋ってくれる。
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例:「(女を見捨てて)私だけでも助けてくれ!」、「で、でたー」など。
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その中でも上記の「共に女性を攻撃する」の選択肢を選んだ際は必見。シャアなら死んでも口にしないようなはっちゃけた声で「私も仲間に入れてくださーい!」と言い、女性を蹴った後に頓狂な声で「おやぁ?」と喋る一連の行動は声との違和感も合わさって腹筋崩壊レベル。ちなみに女性は英国紳士キック一撃で即死する。
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一応フォローしておくとネタまみれという訳ではなく、それなりにかっこいい台詞もあるにはある。
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尚、その他のキャラはほぼ無名声優で基本的に棒読み。スタッフロールから察するに代々木アニメーション学院の卒業生を起用しているのだと思われる。
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ジェミーというキャラの声優は声が妙に野太かったり発言の最後に不自然に「だわ」とつけるなど特に演技が酷い。
総評
純粋にゲームとして見ればクソゲーと言わざるを得ないような完成度だが、笑える要素が目白押しである。
特にシャアを知っていれば、この
シャア似の男がシャアの声でシャアが絶対に言わないセリフを言う
のに吹かない人はいない。ガンダム好きの人とネタで盛り上がること必至のゲームである。
サクッとプレイ可能、笑い所満載、現在は出来の割には値段が高騰してしまったが、それでも(笑える)クソゲー入門としては最適である。
余談
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96年前後にはこうした「ポリゴンを使えば売れる」「喋らせれば売れる」「大物を起用すれば売れる」「お手軽なら売れる」といった身の程知らずな自称ビッグタイトルが散乱していた。それだけPS1が世間に与えたインパクトは大きかったのである。
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全EDコンプリートの際に流れるキーワードを送るとクリア記念グッズ(末弥純のイラストタペストリーと終了認定レリーフ)が当たるという内容のキャンペーンが施行されていた。
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ちなみに、アクティアートは本作のみを発売しその後解散。「大物3名へのギャラを払うので精一杯だったんじゃないか」という憶測もある。
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なお、Amazonでは一時期14円(『SDガンダム G-CENTURY』よりは高い)という破格の値段で売られていた。
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プレイ動画などを含め、ネタゲーとしての需要が高まったため現在では中古のPSソフトとしては比較的高めの値段になっている。
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ちなみに主人公が前述の通りもろにシャアを意識したキャラだが、流石にシャアの名言を口にしたり等はしないので、そこは期待しないように。