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ZONE OF THE ENDERS HD EDITION - (2014/06/15 (日) 12:36:20) の編集履歴(バックアップ)


ZONE OF THE ENDERS HD EDITION

【ぞーん おぶ えんだーず えいちでぃー えでぃしょん】※THEは発音しない

ジャンル ハイスピードロボットアクション



対応機種 プレイステーション3
Xbox360
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 コナミデジタルエンタテインメント(小島プロダクション)
High Voltage Software
ヘキサドライブ
発売日 2012年10月25日
PS3 the Best版 / DL版価格改定:2013年7月25日
定価 【PS3/360共通】通常版:3,980円、限定版:8,980円、コナミスタイル特別版:9,980円
【PS3 the Best】2,480円
配信 【PS3】3,480円→1,980円、【360】3,600円/2,440マイクロソフトポイント
【PS3価格改定後のみ】単品:1,000円×2本
レーティング 【PS3初版のみ】CERO:D(17歳以上対象)(後述)
【PS3 Best/360】CERO:C(15歳以上対象)
分類 改善
ポイント HD(HexaDrive)EDITION

概要

  • メタルギアシリーズを手がける「小島プロダクション」スタッフのPS2初進出作『ZONE OF THE ENDERS』と、
    その続編として隠れながらも名作の評価を得た『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』のカップリング・HD移植版。720p・60fps対応を謳っていた、が…。
    • 『ANUBIS』は増補版「SPECIAL EDITION」の移植。ただし、こちらで追加された別バージョンのオープニングムービーだけは未収録。
  • PS3初版(パッケージ・DLとも)には『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』体験版の先行ダウンロードコードが付属。同年12月13日から一般配信を開始。
    • このため、レーティングが高く設定されている。『ZOE HD』本編の表現に差異は一切無く、ベスト版発売時には緩和されている。
    • 「メタルギアシリーズの体験版セット」というのは、かつての『ZOE』とも同じである。
  • PS3版は『大神 絶景版』を製作したヘキサドライブのパッチによって大幅な改善が図られ、文句なしの良作と言える出来に仕上がっている。

問題点

  • 『ANUBIS』の処理落ち
    • ほぼ常時処理落ちが発生しており、PS3版は平均20~30fps、Xbox360版でさえ平均40fpsという有様。そもそもPS2版の時点で60fps対応であった。
      • ダッシュ、ブレードコンボなどの基本操作でさえ処理落ちする。
      • オブジェクト数を減らすようにカメラを動かしたりすれば、確かに30fps超過で動く。
      • 自機を透明化・ロックオンを無力化させるサブウェポン「デコイ」の使用でも処理落ちを軽減できる。
        自機オブジェクトが処理落ちの一因を担っている、というのはどうしようもない。
    • 名実共に「ハイスピードロボットアクション」として評価されていたZOEシリーズの移植には、致命的な問題点である。
      • 単なるフレームレート低下ではなく処理落ちのため、ボタン入力がズレるなどの弊害も起こっている。
    • 『ZOE』でも大型ボス戦などで処理落ちが見られるものの、ANUBISほどではない。後述する改善評価点から省みると、グラフィック描写エンジンの違いに起因するものと考えるのが妥当か。
  • 『ANUBIS』一部テクスチャ・エフェクトの劣化
    • PS2と比べ色鮮やかでなくなっている、発色が変わってしまっている箇所がある。
    • ベタ塗り的な建造物に縞模様が出ているだけでもマズいが、画面を赤く染めるアヌビスのバーストショット、空間を歪めて出現するベクターキャノンなど、見せ場にも影響が出ている。
+ 上記2点の参考動画

  • 非HD化ムービー
    • 『ZOE』のムービーはプリレンダリング(収録済み)が多く、人間も含め全編3Dとなっているのだが、このムービーがHD化されていない。
      • いかにも作り物っぽくテカテカしてる10年前の3Dのキャラクターを、今の目で見るのは厳しい。
      • ムービーにはロボットや建物も写っているので、ゲーム本編よりムービーのほうが汚いという逆転現象が起こっている。HD化のありがたみを、こんな形で実感させられても困る。
      • メタルギアシリーズを制作する小島プロダクションらしく、リアルタイムレンダリングムービーも間に挟んでいるのが仇になってしまっている。
        ロボット出撃はリアルタイム、コクピット内会話~ロボットまでの引きはプリレンダ、のようにシーンの途中で画質が変わってしまうことも。
    • プリレンダムービーのHD化には、1からの作り直しに等しい作業量が必要なので、致し方ない点もある。同様の問題点を抱えた他社HD化タイトルに『デビルメイクライ HDコレクション』などがある。
    • 『ANUBIS』のムービーは2Dのアニメだが、同じくHD化なし。
      • とは言っても、アニメを作り直すのは、ZOEの人体3Dを作り直す以上に無茶な話である。『ZOE』ほど違和感があるわけではない。
    • OPムービーには、ゲーム本編のプレイ映像と、ゲーム本編でリアルタイムレンダリングになるムービーが挟まれているが、そこはきちんとHD EDITIONのものに差し替えてある。

評価点

  • グラフィック
    • ロボットやエフェクトの3Dは、元々がPS2タイトルの中でも高水準であったため、720pに対応しても、引き伸ばしは感じさせない。ただし、問題点で先述した変色などは除く。
    • ロボットの各所にはコーションマークが施されており、PS2では潰れて模様や落書きのようなものにしか見えなかったが、本作では描き直されている。
    • サブウェポンのアイコンなどのUIグラフィック、『ANUBIS』のコクピット内通信グラフィックの表情やコンソールも、HD準拠で描き直されている。

PS3パッチ適用後 改善点

  • 『ANUBIS』が劣化移植であることは明白であり、発売からわずか2~3日で比較動画が投稿されるなど、批判・落胆の声が寄せられた。
    その後、半年以上経った2013年5月2日、小島プロダクションのネットラジオ(27分ごろから)で本作が話題に挙がる。
    本作に下された低評価を踏まえ、製作の過程を交えて、PS3版の修正パッチ・修正ROM発売、ダウンロード版配信による2作の分売化の予定が明らかになった。
  • そして7月25日、ついにパッチ配信を開始*1 「HD EDITIONがPS2版と並ぶためには一つ欠けている物がある。スペックを最大限に引き出すためのプログラムだ。」
  • 描画エンジン入れ替えの英断、スタッフロールにパッチ製作スタッフのクレジットを入れる時間すら惜しむ執念によって、
    容量588MB、バージョン2.00というパッチとは思えないレベルの大規模なクオリティアップが施されている。
    • 自然数(小数点より上)の繰り上がったバージョン表記は、大幅な機能の追加を表す。オンラインゲーム以外で見られることは極めて稀。
  • 詳しい内容は公式サイト「HDリマスター改善版とは?」にて、画像・動画を用いた解説が行われている。
    • 本作のパッチを製作したのは、コナミでもHigh Voltage Softwareでもなく、株式会社ヘキサドライブである。
      ヘキサドライブ自身もパッチを解説しており、当時作品のファンを公言するプログラマーによる記事は、
      専門用語がかなり使われているものの、ビジュアル的にも技術的にも興味深く、ファンなら必見。
  • 1080p対応
    • 720pから更に高画質化。黒っぽい背景に白っぽいロゴが並ぶメニュー画面の時点でも影響を受ける。
  • 60fps対応
    • 本来想定されていた60fps仕様を実現。PS2でも処理落ちを起こしがちだった「荒野乱戦」「圧縮空間」でも善戦している。
  • ジャギー/ギザギザの軽減(アンチエイリアス適用)
    • ホーミングレーザーをはじめ、ロックオンカーソルやリングレーダーといった、本作で特徴的な「線」の表現が更に鮮明になっている。
  • グラフィック向上、エフェクト追加
    • 縞模様の削除、PS2版に近い色彩・エフェクトを再現した。
  • 被写界深度(ピンボケ)の追加
    • 奥行きのあるイベントムービーが迫力・臨場感を増した。
  • 2Dマップ書き直し
    • ほぼ単純に16:9に引き伸ばされていたマップをレイアウトごと変更、16:9対応しつつPS2版同様の表現を可能にした。

総評

  • 「再起動(REBOOT)」というキャッチコピーを引っさげてきたものの、その再起動を待っていた旧来のファンには不安を与え、
    「名作」「ハイスピードロボットアクション」というフレーズに惹かれた新規のファンにも期待外れであった、と言わざるを得ない出来。
  • しかし、パッチ適用により、スピードの復活だけでなく、グラフィックも今まで以上のHD化が実現された。
    思わず投げ出してしまった人も、悪評を聞いて触れられなかった人も、今一度手に取ってもらいたい。

開発・製作などについて

  • 本作の開発を担当したHigh Voltage Softwareは、本作がPS3の2本しかない開発タイトルである。
    • 更に本作以降、PS3どころかコンシューマー機の開発を行っていない。開発力の貧弱さ、こんなデベロッパーに依頼したコナミ/小島プロの甘さを認めざるを得ない。
    • ゲーム起動直後に流れるメーカーロゴに、High Voltage Softwareのものも入っているが、そのロゴには「DANGER」という文字が含まれている。「これはクソゲーです」という警告だったのか。
    • 同時期にHD化が発表され、本作に先行して『メタルギア ソリッド HD エディション?』が発売されている。
      こちらはHD化に定評のあるBluepoint Gamesによる移植が公式サイトで発表され、発売後も好評を博しており、(パッチ適用前の)本作とは対照的である。
  • 最初からヘキサドライブに開発を依頼していれば良かったのでは…と思うかもしれないが、本作とほぼ同時に発売された『大神 絶景版』(2012年11月1日)の開発も担当していた。
    あちらも名高い名作であり、本作もパッチ配信という後手を取ったものの、かつての名作が2本とも次世代機に遜色なく移植された、と考えれば怪我の功名と言えよう。
  • 小島プロダクションは『HD EDITION』シリーズの発表と共に、据置機と携帯機でセーブデータを共有する「トランスファリング」というコンセプトを掲げており、本作もPSVitaでの発売が2012年発売予定(ページ下方参照)とされていたが、公式サイトからはいつの間にか「発売予定」の表記すら無くなっていた。
    • ネットラジオでもVita版の予定については触れられる事はなかった上、本作の低評価のせいで続編制作チームを解散させたということが明らかにされ、多くのファンを落胆させた。過去作の劣化移植によって新作の「再起動(REBOOT)」が無くなるというのは本末転倒であろう。
  • コナミ公式サイトの「REBOOT GUIDE」「フレームレートは秒間30コマから60コマに増加し、より滑らかなスピード感を醸成することにも成功した。」と、HD化の際に60fpsになったように書かれているがPS2版は元々60fpsであり、コナミの紹介文が間違っている。
    • これだけなら広報担当者の手違いと思えるのだが、ネットラジオ内で本作プロデューサー・是角有二氏が「PS2の時は30フレームだったんですけども~」と発言しており、小島秀夫氏も発言を訂正することなく会話を続けている。
      製作スタジオ(小島プロダクション)のプロデューサーという内外共に重要な役割の人間が仕様を理解できていない、というのはいかがなものか。
      ちなみにヘキサドライブはきちんと「PS2と同じ60fps」と記述している。
  • Xbox360版もフレームレートの低下を起こしているが、PS3版ほど酷くないということでパッチ制作は見送られている上、価格改定も打ち切られている。営業戦略にもよるのだろうが、明らかに不公平である。