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THE HOUSE OF THE DEAD III - (2014/07/19 (土) 20:31:29) の編集履歴(バックアップ)


THE HOUSE OF THE DEAD III

【ざ はうす おぶ ざ でっど すりー】

ジャンル ガンシューティング
※画像はXb360版
対応機種 アーケード(Chihiro)
発売元 セガ
開発元 ワウ・エンターテイメント
稼働開始日 2002年
分類 ゲームバランスが不安定
ポイント 最大の敵はコントローラー、そして難易度
『HOD』おなじみの高難度気味のバランスは健在
数回の移植で徐々に難易度緩和
前作も収録されているWii版か、AC版とほぼ同様のPS3版がお勧め
THE HOUSE OF THE DEADシリーズリンク


概要

ガンシューティングゲームの中でも知名度の高い、ゾンビを相手に戦い抜く『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド?』シリーズの三作目。
ガンシュー界でも珍しいショットガン(散弾銃)型のコントローラーが特徴。
ちなみに、シリーズ中唯一ナンバリングにローマ数字を用いている。

ストーリー

ストーリーの系列は「OK(オーバーキル)>1>2>4>3」となっており、本作はシリーズでもっとも後の年代を描いた作品となっている。

前作から三年後、世界ではイレギュラーな事態が多発。世界の秩序は崩壊し、人類の文明はほぼ壊滅に追い込まれてしまう。
そして、世界秩序の崩壊から16年が経過した2019年。
世界崩壊の謎の答えが、廃墟と化したEFI研究所にあると突き止めた元AMS工作員であるトーマス・ローガンは私設部隊の隊員と共にEFI研究所に向かうが、部隊は壊滅しローガンも消息を絶ってしまう。

それから二週間後。
ローガンの娘であるリサ・ローガンと、トーマスの元相棒であるGはショットガンを片手に、トーマス捜索のために研究所へと向かっていた。
二人はトーマスの行方、そして世界崩壊の謎の答えを求めるべく、廃墟と化したEFI研究所へと向かう…。

ゲームシステム

  • ゲームルールに大きな変更はないものの、コントローラーをはじめとした細かいシステムの変更箇所が多い。
  • コントローラー・射撃関連
    • 本作最大の特徴ともいえるのがショットガン型のコントローラー。ポンプアクション機構を内蔵しており、その重量はかなりのものがある。
    • 最大装弾数は6。リロードはポンプアクションで行う。
    • 現実の散弾銃の特徴を再現してか「近距離では範囲が狭くて威力が高く、遠距離では範囲が広くて威力が低い」という特徴があり、前作で不評だった判定の狭さをある程度解決している。
  • ゲーム進行
    • ステージは全5面。
    • ルート選択の要素があり、2面から4面は、計3つのステージを任意の順番で攻略する。
      • 後回しにしたステージは敵の耐久力が上がるので、苦手なステージは早めに選択するという戦略性が必要となる。
+ ステージ・ボス詳細
  • Chapter0 追想-Reminiscence-
    • プロローグとなるステージで、ローガン突入時の回想となっている。ボスは登場せず、ゲームに慣れる為のステージ。
  • Chapter1 追走-Chaising Shadows-
    • 研究所突入から侵入までが内容のステージ。まだ一面なので難易度は低いが、ボスだけは別。ルート選択あり。
    • ボスは巨大な棍棒を振り回し、こちらを執拗に追う巨人警備員「Death」。これまでの伝統に従い本作のボスもタロットカードから名を取られており、Deathは死神のタロットから命名されている。
    • 頭部が弱点だが、棍棒を振り回しながら追ってくる為頭が狙いにくく、攻撃をしてくる直前に連射しないと攻撃のキャンセルをさせられない為、難易度が高い。
  • Chapter2 混迷-Bewilderment-
  • Chapter3 交錯-Sensory Chaos-
  • Chapter4 突破-Ultimate Challenge-
    • 先ほどの解説の通り、Chapter2~4は選択ルート次第で内容が変化する。
選択ルート ボス 解説
管理情報システム部東棟と管理情報システム部西棟 Death 一度はシャッターで食い止めたDeathが、再びリサたちを追ってくる。
群れをなして襲い来るゾンビを蹴散らしながら、プレイヤーはDeathに引導を渡さねばならない。
弱点は前と同じく頭だが、障害物の合間を縫って頭を狙う場面が多く、的確なタイミングでのリロードを求められる。
L3バイオ実験室とL2のバイオプラント Sun
(太陽)
異常成長した植物に覆われたエリアで、意思を持つツタや植物と同化したゾンビが登場する。
ボスの「sun」は巨大な樹で、ツタを伸ばしたり中央の花から種を飛ばして攻撃する。
弱点は植物の表面に浮き出た無数の顔面と、ツタの先端、そして後半の攻撃で中央の花から飛び出す顔。とにかく連射が重要。
EFIゲノム研究室とD.B.R.研究室 Fool
(愚者)
キュリアンが遊びで生み出した「怠けないナマケモノ」ことFoolの餌場となっているフロア。
弱点は両手足の爪だが、動きまわるためこちらも当てづらい。また、両手足の爪ならどこを撃っても良いわけではなく、カーソルが出ている部位を狙わなければならない。
  • Chapter5 運命-Wheel of Fate-
    • 最終ステージ。敵の攻勢も激しく、プレイヤーには緻密なパターンと持久力が要求される。
    • 最終ボスは「Wheel of Fate」(運命(因果)の輪)。銀色のボディの周囲に回転する巨大なリングを武器に戦うが、リングをルーレットにして攻撃パターン及び難易度を変えるためパターン化がしにくく、その攻撃内容も苛烈なものとなっている。
      弱点はHODの最終ボスの伝統で解説されないが、胸の紋章が弱点となっている。
  • システム面での追加要素
    • 今までのボス戦と違い「弱点を一発撃つと怯み、ダメージを与えられる」方式から、相手の弱点を連続して撃ち、ボスの体力バー下の「キャンセルゲージ」をゼロにすることで大ダメージを与えながら行動を中断できる(怯ませる)方式に変更となった。
      • 弱点以外の場所を撃つか、キャンセルゲージ及び弱点の出現前でもボスを撃てば微量ではあるが一応ダメージを与えられる。しかしキャンセルゲージを0にするまでは怯みは発生せず、勝つためにはどうしても撃ちこむしかない。
    • 世界の秩序が崩壊したためか、今までの作品における「研究員(市民)救出」の要素はなくなった。代わりに特定のポイントでプレイヤーが操作していないキャラクターがゾンビに不意打ちを受けるイベントが発生し、ゾンビを撃って仲間を助けることでライフが1増えるなど様々な特典が受けられる。
    • 各チャプタークリアごとにランク評価(E、D、C、B、A、Sの6段階)が表示されるようになり、Aランクでクリアするとライフが1増え、Sランクでクリアすると2増える。
    • ゾンビの倒し方によって様々なボーナスが出る。出現してから即座に倒す「EXELLENT」または「GOOD」、攻撃してくる直前で倒す「FASTER」のほか、1発で2体のゾンビを同時に倒す「TWIN SHOT」というショットガンならではのボーナスも存在する。

問題点

コントローラー

本作最大の問題が、本ゲーム最大の特徴であるポンプアクションショットガン型のコントローラーである。

  • ポンプアクションギミックを搭載しているためか非常に重く、プレイヤーの腕に負担をかける。またリロードごとにポンプアクションしなければならないため、腕の筋肉もプレイ時間に比例して酷使される。
    • その為、ゲームの腕前だけでなく体力も求める*1二重の意味で難易度の高いゲームになってしまっている。
    • おまけに前述の通り最大装弾数が6と少ないため、すぐにポンプを引かなければならない。連射を必要とする場面も所々にある為、体力を余計に消耗しがち。
      • ちなみに、これでも連射速度だけは従来作準拠なので、まだマシなのである。実際のポンプアクション式のショットガンを再現しようものなら「1発撃つ毎にポンプを引く」「リロードは手動で弾丸を1発ずつ装填」となり、本作のような連射は到底無理*2
    • 根本的な問題だが、ハンドガンならともかくショットガンで「連射を必要とするガンシュー」にするべきだったのか?という疑念がある。ステージ構成などは基本的には前作・前々作と同じで、更に難易度と連射の必要性が高いだけに、余計にキツイ(詳しくは「難易度」で)
  • ポンプアクションギミックのメンテナンスも面倒で、整備の行き届いていないゲームセンターに置かれた筐体や長年稼動し続けた筐体では「ポンプアクションのギミックが壊れてた」という報告も珍しくなかった。
  • 隠しコマンドを入力すると二丁拳銃モードで遊べるが、ただでさえ重量のあるコントローラーを片手で一丁ずつ持ってプレイすることになり、更にリロードが自動的で行われるため無闇に撃っているとリロード中に攻撃を受けてあっという間にゲームオーバー。一人で遊ぶ以上にパターン化しないとまともに進む事すらままならないだけでなく、ガンシューティングとは無関係であろう筋力をも鍛える必要がある。
  • このコントローラーの利点をあえて挙げるならば、他のシリーズでは出来ない「敵から狙いを外さずにリロード」が可能な事であろうか。
    • またギミックや見栄えの良さから、あまりゲームをしない若いカップルなどの受けは良く、都市部のアミューズメント店舗では結構多く稼働していた。

難易度

HODシリーズ自体やや難易度高めのゲームバランスが特徴だが、本作は素の難易度がシリーズの中でも高い上に、前述したコントローラー問題が重なってかなり難易度が上がってしまっている。

  • 今までのシリーズでもあったことだが、うかつにゾンビを撃って部位破壊してしまうと行動スピードが早くなってしまう場合があり、思わぬダメージを受けてしまう。それに加えて今作のゾンビは中距離からタックルを仕掛けてくることもある。そのため的確に頭部を撃って戦闘能力を奪って行かないと数の暴力に押し負けてしまう。
  • 武器がショットガンなためかリロードをすると硬直時間が発生し、安易にリロードを行うとその隙に攻撃を喰らったりボスの攻撃のキャンセルに間に合わなかったりする局面も多い。瞬時の判断力や行動パターンの分析力が求められるため精神的な消耗も馬鹿にならない。
  • HOD恒例の「小さくすばしっこいソンビ」「物投げゾンビ」も健在。要所要所で登場してプレイヤーの体力を余計に奪っていく。また、後半に登場する兵士がゾンビ化した個体は前転やステップで銃撃を避けてくる厄介な存在である。
  • 一応体力を回復するチャンスはアイテムボックスや救出イベントで割と用意されている。だが敵の攻勢はそれ以上にかなり激しいので、生き延びるためには高ランクを獲得してのライフ補給が必須。だがコントローラーのことがあるため、後半になるほど高ランクを目指すのも厳しくなっていく。
  • ボス戦の難度もキャンセルゲージの導入で上昇しており、一撃でも当てればキャンセルに持ち込めた以前と違い、高い精度と連射能力の両方を要求される。
    • 動きが緩慢なFoolや弱点がほぼ常にむき出しのSunはまだしも、弱点が小さい上に振り回す棍棒や障害物が盾になり銃撃を阻むDeathは一面から登場するボスながら多くのプレイヤーに苦戦を強いてきた。
    • ファンの間でも語り草になっているのが「Foolの跳びかかり攻撃」「管理情報システム部後半戦のDeath」
      • 前者はFoolが飛びかかって攻撃してくるのだが、これに対して装弾数6発全てを振りかぶった手の鉤爪に当てないとキャンセルできない。狙わなければいけない弱点が小さい上にコントローラーの問題があったため、多くのプレイヤーがこの面でライフを削り取られていった。
      • 後者はDeathが壁を突き破りながらこちらに接近してくるというものなのだが、Deathが壁を突き破っている間は壁が盾となって攻撃を防いでしまう上にキャンセル猶予時間が短い。うかつにリロードしようものなら数少ない攻撃チャンスを失ってしまい、攻撃をキャンセルできない状況にすぐ陥ってしまう。前者と違い、このパターンを繰り返してこないのが唯一の救いである。
  • ラスボスも当然ながら強い。特にリングを高速回転させての突進攻撃は、キャンセルに持ち込めるタイミングがシビアで、ここまでの苦境を乗り越えたプレイヤーにさらに連射能力を要求してくる。一応、攻撃パターンをプレイヤーの意思で決定することはできるが、分かりづらい。
    • そのキャンセルのシビアさたるや、PC移植版で高速連射ツールを使ってなおギリギリまで突っ込んでくるほど。
  • いずれもこれらの問題は全てAC版の時点で発生していた問題で、移植版ではリロードが遅くなった上に、素早く(ゲーム内で)リロードできたAC版のデータを使い回している為、難易度がさらに上昇している。

その他

  • 救出イベントは、前述の通りゾンビに襲われているもう一方のキャラを助けるというものだが誤射というものが無く、相棒めがけてショットガンをぶっぱなしても平然としていて不自然である。
    • もっとも弾の判定がでかいので、誤射を取られてもソレはソレで厳しいのだが。

評価点

  • グラフィックの向上。
    • グラフィックが前作に比べて格段にパワーアップしており、荒れ果てた研究所の荒廃や不気味さがよく表現されている。ゾンビのグラフィックもパワーアップし、よりグロさを増している。
  • HODシリーズ特有の、熱いBGMは健在。
    • ラストバトルのBGMはラスボスの設定を反映して前作ラストバトルの曲のアレンジとなっており、この演出は多くのHODファンから評価された。
  • ストーリー面である程度掘り下げが行われた。
    • それまでマッドサイエンティストとしか描写されていなかったゾンビの創造主・Drキュリアンが、ゾンビ研究に傾倒した理由が明かされ、『難病に侵された息子を救うため』という非常に人間らしい理由が描かれた。
    • 以前より人間味をみせるようになったGと、勝気なリサの掛け合いはクスリと来る。特に各ボスを倒した後の二人のコメントはなかなか秀逸である。
  • 難易度はHODシリーズ屈指のものがあるが、クリアできないわけではない。きちんとパターンを構築し、高ランクを獲得してライフを補給していけば、ワンコインクリアもちゃんと可能である。
    • …それには「強靭な体力」という前提条件がつくが。

総評

これまでのHODシリーズ同様ゲームとしての完成度は高くまとまっているのだが、「重量のあるコントローラー」と「シリーズ特有の難度高めのバランス」が悪い方向に噛みあってしまったことで、楽しむためのハードルを大きく引き上げてしまった。
特にコントローラーに関しては「ゲーム以外の部分で難易度を引き上げてしまった」ために批判が大きく、最大の特徴でありながら大きく評価を下げるポイントになってしまっている。

この批判は制作側にも届いていたのか、続編ではガンコンが非常に軽いサブマシンガン型に変更され、ゲームバランス面でも「緊急回避のための武器『手榴弾』の追加」「一部の敵の攻撃を受けても、まだレバガチャで脱出のチャンスがある」という新要素で難易度緩和が図られている。
この調整は総じて好感触で、『4』はHODファン納得の名作となった。

移植

移植版は「救出イベントで確実にライフが出現」「リロードが遅くなっている」等の変更点がある。

  • Xbox版(2003年1月30日発売)
    • 家庭用初移植。DC版『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド2』をオマケとして収録している。
    • 劇場版のメイキング&PVも付属、本編を見なくとも酷い出来なのが一目でわかる*3
  • Windows版(2005年3月17日発売)
    • ガンコン系のコントローラーは使用出来ず、マウスか十字キーのみのプレイに限られる。
  • Wii版(2008年3月19日発売)
    • 2と3を一緒に収録。基本的にはXbox版の移植であり、2はDC版クオリティのままである。IIIは一部違う箇所があり新モードが追加されている。Wiiザッパー同梱版も発売された。
  • PS3版(2012年4月19日PSNで1000円で配信)
    • 初移植となる4と同時配信。弾切れ時のオートリロード(リロード速度はWii版と同様)に残弾有りでのボタンリロード(リロード速度がAC版と同じ)とトリガー引きっぱなしでの連射機能が標準で搭載された。それ以外のシステムは移植作品の中でもっともAC版に近い。
    • 移植に当たってHD化が施されているが、16:9のワイド画面には対応していない。

また『THE TYPING OF THE DEAD II』という、本作を下敷きにしたタイピングゲームも存在。