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SEGA AGES 2500シリーズ Vol.11 北斗の拳 - (2019/06/06 (木) 20:22:13) の編集履歴(バックアップ)


SEGA AGES 2500シリーズ Vol.11 北斗の拳

【せがえいじす にせんごひゃくしりーず ぼりゅーむいれぶん ほくとのけん】

ジャンル 世紀末バイオレンスアクション
対応機種 プレイステーション2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 3Dエイジス
開発元 シムス
発売日 2004年3月25日
定価 2,500円(税別)
プレイ人数 1人(同時収録のセガ・マークIII版は1~2人)
セーブデータ 50KB以上
判定 クソゲー
ポイント 回避攻撃だけで全てが事足りる
とにかく薄いリメイク版
オマケのはずのマークIII版と資料がむしろメイン
注意 本項ではリメイク版にのみ触れ、同時収録された原作に当たるセガ・マークIII版に関しては割愛する
北斗の拳シリーズリンク
SEGA AGESシリーズリンク


概要

1986年にセガ・マークIIIに発売され、その完成度の高さからプレイしたいがために本体ごと購入するユーザも多く生んだとされる名作『北斗の拳』を3Dでフルリメイクした作品。
大元の作品であるマークIII版も同時収録され、当時の関連資料とも言えるルーズリーフも同封される*1など、マークIII版の経験者・未経験者双方にとって嬉しいリメイク…になるはずだった。
しかし、実際の出来はその双方にとって褒められたものではなく、加えてキャラゲーとしても不満の噴出する仕上がりとなってしまった。


問題点

回避攻撃(弱攻撃+強攻撃)だけで全てが事足りてしまう

最強の北斗を屠る者の名は回避攻撃! この回避攻撃より真の強者の伝説は始まるのだ!

  • 北斗ゲームやSNKゲームに関するコンテンツで有名な某サイトでは、このゲームに触れた中で上のように表現しているが、これがこのゲームの全てを表現していると言ってもいいくらいに的確な内容なのが笑えない。
    • ファイナルファイト』などに代表される大抵のベルトスクロールアクションゲームでは、敵に囲まれた時などの切り返し手段として、一時的に完全無敵になりながらの反撃が出来るアクション(「メガクラッシュ」・「必殺技」などと言われる)が用意されている。これによって敵からの集中攻撃に対応出来るようになっているのだが、その代償としてこの攻撃がヒットすると体力を微量ながら消費するようになっている*2
    • 本作にもそれに当たる「回避攻撃」というアクションがあるのだが、なんとこれが体力の消費などのデメリットもなければ、使用回数の制限もなく、おまけに攻撃中は完全無敵になり、技後の隙もほぼ皆無。このため、どのステージでもひたすらこれを連発しているだけで簡単にクリア可能で、相手が南斗最強の男だろうが拳王だろうがこれ1つで全てが事足りてしまうため、プレイが作業となってしまった。
      • せいぜい気をつけるべき事としては、回避攻撃を繰り出すには強弱両方の攻撃ボタンを同時押しする必要があるのだが、調子に乗りすぎてボタンを連打し続けたときに北斗百裂拳*3が暴発してしまうことくらいなものである。
    • ボス戦以外の場面ではナイフや手榴弾が飛んでくることもあるのだが、回避攻撃中の場合は不自然にかき消されてしまう。
  • ちなみに回避攻撃を封じてプレイしても難易度が多少上がるぐらいで、余程アクションゲームが苦手というわけでもなければ普通にクリア出来てしまう(前述の飛び道具への対応が少々面倒になるが)。
    • 場面の切替えごとに体力が完全回復する仕様が、更に低難易度化に拍車をかけてしまっている面もある。

単調な上にボリューム不足

  • 一部ステージを除いて横スクロールのザコ戦パートをこなしてボス戦という流れが基本になるのだが、それが特にザコ戦パートは作業と化してしまう程にメリハリもなくだらだらと続くため、やっているうちにだんだん苦痛になってきてしまう。
    • 変な所で原作のマークIII版を尊重した結果か、画面内に同時に出てくるザコは3体までで、しかも一発で撃破出来てしまう*4事が余計に作業感を強めてしまっている。
      • 一発で倒せるなら倒せるで、無双シリーズ程とは行かなくても、もっと大量のザコを出現させてそれを薙ぎ倒すという形であれば、幾分かは爽快感も生まれて作業感の軽減にも繋がったであろうが…。
  • ボリュームの方はキャラゲーにはありがちではあるが、ステージが色々端折られているために噴出している。
    • 特にアミバ等の作品内でカルトな人気のあるキャラクターに関するエピソードを端折ってることに対する不満の意見はちらほら見られるが、ステージを増やしたところでやることが結局回し蹴り(回避攻撃)の連発になりかねない以上、有り難くも何ともないとも言える。
  • またクリア後に対戦プレイが出来るモードが出現するものの、コンピューターとしか対戦出来ない上に、プレイヤーは本編内でプレイヤーキャラクターとして使用出来るケンシロウ、レイ、トキのいずれかからしか選べず、更に敵も本編で敵として戦ったキャラクターからしか選べないため、非常に不満の残る作りとなっている。
+ 本作のステージ毎のプレイヤーキャラクター及びボスキャラクター一覧
ステージ プレイヤー ボス ザコ
1 ケンシロウ ハート
シン
2 ケンシロウ ジャギ
3 レイ ユダ
4 ケンシロウ サウザー
5 トキ ラオウ ×
6 ケンシロウ ラオウ×2回 ×

※ザコの項は、ボス戦に移行する前にザコの群れと戦うパートがあるか否かを示しています。

演出面等

  • ステージ合間のナレーションやキャラクターの掛け合いに関しては一切ボイスがない。特に千葉繁氏のナレーションがアニメ版の北斗の拳の世界観を盛り上げるのに一役も二役も買っていたことは間違いなく、これがないことを惜しむ声は多い。
  • ボイスがあるのはアクション中のシャウトやボスに奥義でトドメを刺した時の技名、ステージクリアのボイスくらいだが、ザコ戦をクリアして何の脈絡も無く唐突に「お前はもう、死んでいる」と言われても微妙な感は拭えないし、そもそもトキやレイに至ってはクリア時のボイスもなければ奥義でトドメを刺しても無言。
    • ボス戦の間も画面の上の体力ゲージの側でキャラクターのセリフが時折表示されるが、当然ボイスもなければ*5出てくるタイミングもこちらの動きと連動していないために開始早々何もしていないのにケンシロウから「お前の命はあと1分!」と出てきたり等、かえって白けさせる要因にもなっている。
  • もはや「東映時代からの悪癖」とでも言うべきか、原作を知るファン程顔をしかめたくなる色々な原作との差違は本作でも当然搭載。
    • なぜかケンシロウとトキがリュウケンの奥義である「七星点心」を用いたりする*6が、これなどはまだかわいい方で、レイに至っては「舞撃掌」と「疾空翼破」なる捏造奥義しか使えない
  • ラオウ昇天のシーンも例のポーズ・例のセリフが出てくるのだが、掛け合いのシーンのフェイスアイコンの1つという扱いのため、とても小さく地味で勿論ボイス無し。
  • 定価も安いために仕方ない所もあるとしつつも、ゲーム部分がゲーム部分なので、せめてDVDメディアでナレーションや掛け合いのシーンはフルボイスにして欲しかったとする意見が出てくるのも無理もないところであろう。

評価点

セガ・マークIII版が収録されている

  • もはやリメイク版の内容と全く関係ないが、ソフト全体として見れば唯一の救いとも言える点なので挙げさせて頂く。
    • 「ポケモンショック*7」の兼ね合いで一部場面の演出が修正されているが、それ以外は完全移植されたものが収録されており、メインのはずのリメイク版の出来が散々であったことも手伝って「マークIII版の移植のおまけに出来の悪いアレンジ版がくっついてきた」と言われることもザラ。
      • とはいえ、マークIII版の方も流石に最近の基準で考えると色々と問題がある*8ことも事実で、経験者からは上のような意見が出るが、そうでない者からはリメイク版をひっくるめて「完全なクソゲー」と言われてしまうこともある。

その他

  • 一部BGMが原作アニメのアレンジ
    • ほとんどの曲は当たり障りの無い曲だが、一部の楽曲が原作アニメで使用された曲目のアレンジとなっている。
  • 上記でも書いた通り、当時の開発者のコメントや貴重な資料満載の「特製ルーズリーフ型ライナーノート」が封入されていること。

賛否両論点

ケンシロウの声優が神谷明氏

  • 以降のゲームでは神谷氏が年齢を重ねた影響でケンシロウのシャウトなどを演じることが困難になってきたなどの理由から代役が演じることが多くなっているが、本作のケンシロウはアニメで演じた神谷氏が演じている。
    • とは言え、やはり違和感が出てきてしまうところは否めず、神谷氏が演じているにもかかわらず「ケンシロウの声が下手な物真似っぽい」といった意見も出ている。
  • 元となる作品であるアニメのキャスティングを大事にしようという考えは悪くないのだが、アニメ自体がかなり古い作品になることもあり、それに引っ張られすぎて裏目に出ているのも否めない。
    • かと言ってキャスティングの変更はデリケートで批判を生みやすい為*9、制作側の続投の判断が少なくとも間違いであるという事にはならない。老いとそれによる衰えばかりは人間に避けられない問題である以上、当時の演技と異なっている等と神谷氏を責めるのは些か筋違いというものだろう。

総評

初期のセガエイジスシリーズに共通して言われる出来の悪い誰得リメイクという点で引き合いに出されやすいタイトルである。
マークIII版との比較を抜きにしてリメイク版だけで見ても、元々の難易度が低めな上に追い打ちをかけるかのように回避攻撃だけでクリア出来てしまう切ないバランス、原作と差違があるというキャラゲーとしての不備、最後の砦となり得るボイスもほとんど無い等々、原作のマークIII版をプレイしたことがない北斗の拳のファンでも不満を覚える仕上がりと言わざるを得ない。

一応ゲームとしての体裁は整っているが、いくら低価格ソフトであるとはいえ、この内容の薄さは流石に擁護しがたいレベルであり、本作がクソゲーの誹りを受けるのもやむなしである。

この項では紹介を割愛したが、マークIII版の方は今もなお名作として名高いタイトルであるため、そちらを目的に本作を購入するというのも1つの手ではあった。
しかし、今となってはWiiのバーチャルコンソールにてマークIII版が600Wiiポイントで配信されているため、それすらも薦められなくなっている。

いくら低価格ソフトでも物には限度がある事と、何でもかんでも今風にリメイクすればいいわけではない事を身をもって示してくれたという点では、価値が見出せる一本である…かもしれない。