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マドゥーラの翼 - (2019/10/23 (水) 15:50:15) の編集履歴(バックアップ)


マドゥーラの翼

【まどぅーらのつばさ】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 512KbitROMカートリッジ
発売・開発元 サンソフト(サン電子)
発売日 1986年12月18日
定価 4900円
配信 3DSバーチャルコンソール:2013年1月30日/500円
プロジェクトEGG:2010年3月30日/500円(税別)
判定 なし
ポイント ビキニ型ではありません


概要

女戦士を主人公に据えRPG的要素を取り込んだ面クリアタイプのアクションゲーム。
キャラクターデザインは、当時サンソフトにデザイナーとして所属していた漫画家「もりけん」氏が担当している。

美しい色合いで描かれた幻想的なファンタジー世界、魅力溢れるキャラクターやBGMの魅力で人気を呼んだ。

ストーリー

かつてバダムの地に、伝説の鳥像『マドゥーラ』の存在が伝えられていた。
手にしたものは世界の全てを支配することが出来るというその像を巡って、
人々は長きに渡って争いを続け、栄枯盛衰を繰り返してきた。

ある時代になって、マドゥーラの翼を手にした心ある王が、争いの元にならぬようと
マドゥーラの翼を洞窟の奥深くに封印し、ラメール一族と呼ばれる戦士の一族に守役を命じた。

それから数世紀が経ったある時。
ラメール一族の裏切り者ダルトスがマドゥーラの翼を奪ってアレクス城の地下迷宮に閉じこもり、
魔物を呼び出して世界征服を企み始めた。
ダルトスを倒すべく派遣されたラメール一族の戦士団も魔物たちの牙の前に一人また一人と倒れ、
ついには一族で唯一魔法を使える女戦士ルシアを残すのみとなってしまった。
独りになっても怯むことなく、ルシアはダルトスの待ち構える城を目指して突き進んでゆく。

システム・特徴

  • 剣攻撃としゃがみ・ジャンプを駆使し、屋外や洞窟、城や塔(縦長)などの全16面のステージを攻略していく。
    • 各ステージにはボスがいるが、一部のボスは、後の面で雑魚として登場する。
      • ちなみにとあるステージでは逆に、大量の雑魚敵がボスとして登場したりもする。
  • ゲーム中に登場する様々なアイテムを入手する事で、攻撃手段が増え、パワーアップしていく。
    • 通常の剣以外は「魔法」として扱われ、攻撃時にMPを消費する。剣とブーツ(ジャンプ強化)も含めそれぞれ3段階まで強化でき、攻撃手段の切り替えは任意に行える。
  • ライフ制
    • 体力はHP、魔法力はMPで表され、ダメージを受ける・魔法を使うことで減少する。
    • 及びHP/MPとも初期値は1000で、アイテムにより最大値は5000まで増える。
    • HPがOになるとゲームオーバー。
    • コマンド入力により、攻略中及びクリア済みのステージから任意でステージを選んでコンテニューできる。

評価点

  • シンプルなアクションRPG要素
    • 横スクロールアクションにRPG要素を加味することで変化が付けられており、アイテムを取得してパワーアップというシンプルな構成ながら、グラフィックやBGMのよさも含めて飽きさせない。
  • ステージセレクト付きコンテニュー機能による配慮
    • 電源を切らなければいくらでもやり直せ、稼ぎ易い場所を選んで体勢の立て直しを図れる。
  • 美しいグラフィック
    • 青空輝く地上、夕焼けの大地、暗い地下洞窟等のフィールドが、ファミコンながら美しく描かれている。
  • 幻想的なBGM
    • 特に、穏やかで美しいタイトルBGMや、疾走感と躍動感溢れる城ステージのBGMの人気が高い。
  • 主人公ルシアの魅力
    • この時代に出始めた露出度の高い衣装に身にまとった女戦士の流れを汲んでいるが、厳密には身にまとった防具はビキニアーマーではないものの、ただ露出度が高いだけに留まらない、高潔なイメージも兼ね備えた一風変わったキャラクター性にファンも多い。

問題点

  • 最終面でラスボスの居場所に行く方法が完全にノーヒント
    • あるアイテムを取った上で空を飛ばなくてはならないのだが、その事に関する情報や操作方法が攻略本にしか載っていない。
      • 更に、ラスボスと戦わずにアイテム部屋などに入ると、ラスボス自体が消えてしまいクリア不能となる。
        また、ボスを倒した時点でMPが一定量無い場合、ゴールに辿り着けない上にMP回復手段がないため詰んでしまう。
        前述のコンテニュー機能を使えばやり直せる分、完全な詰みにならないのが救い。
  • ステージクリア時にMPは最大値まで回復するが、HPの現在値は据え置きのまま。
    またコンティニューした場合はHPが最初期の1000の状態で再スタートとなるため、ミスしやすい。
    • 面によっては回復の泉(HPを最大まで回復できる)や回復アイテムが用意されているが、それらの部屋まで自力でたどり着く必要が有る。
      もしくは、雑魚がたまに落とす回復アイテム(100回復)でちまちま回復していくしかない。
  • ボス以外と戦う意味が希薄。
    • 雑魚を倒しても無限に現れるうえに時折落とす薬瓶以外メリットがなく、またボスとして出てきた敵も早くて次の面からそのまま雑魚として出てくるため、まともに戦っていてはHPやMPがあっという間に尽きる。そのため、クリアするにはとにかく足を止めずに部屋を巡るだけのプレイになりがちで、ボス以外を倒す必然性や雑魚敵をなぎ倒していく爽快感はあまりない。
    • また、せっかくの多数のマジックアイテムも消費に威力が釣り合ってなかったり、HPMPを温存して進むスタイルになりがちなため使う機会がなく、結局は極一部の武器と魔法、移動速度の強化に必須なブーツを集めれば十分となってしまう。
  • エンディングはあるが、内容が唐突。
    + ネタバレ注意
  • ルシアが王子らしき人物を助けて結婚するというものなのだが、この王子が何の説明も無く唐突に登場するので、プレイヤーを置き去りにしたまま終わってしまう。
    • 後にもりけん氏が自身のサイトで語ったところによると、「『マリオ』などの『男主人公がお姫様を助けるゲーム』へのアンチテーゼとして作られた」らしいのだが…あいにく説明書にもストーリー紹介にも、王子の事はまったく載っていないので、「唐突」の一言でしかない。
    • なお、パッケージイラストに描かれている「黒い服の男」は、ルシアの宿敵であるラスボス・ダルトス。ゲーム中ではすでにモンスター化している状態と思しきドラゴンの姿で出てくるため、パッケージ上の姿では出てこない。
  • 魔法の「フラッシュ」を使用すると画面が激しくフラッシュするので注意。

総評

ストーリーはシンプルでこの時代のファミコンらしく多くを語らないが、その分、美しいグラフィックとBGMが独特なファンタジー世界を強く印象付けている。
ゲーム面では若干の短所はあれど、大きく破綻するようなバランスの悪さや理不尽さは少なく、シンプルながらも卒なくまとまったアクションRPGとして手軽に楽しめるゲームとなっている。興味のある人はぜひとも手にとって見て欲しい。

余談

  • 何ともスッキリしない結末を迎えるゲームなのだが、現在でもカルトな人気を誇っている。
    • また、当時サンソフトが運営していたファンクラブの会員証や会報の表紙にもルシアの絵が使われており、当時のシンボルキャラ的存在であったことが伺える。
  • オフィシャルの続編や後日談などは一切存在しないが、以下の様な展開は行われている。
    • ファミコンソフト『バーコードワールド』に、デフォルメされたルシアのカードが同梱された。
    • プレイステーションソフト『メモリアルシリーズ サンソフト Vol.3』に、『かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次』とのカップリングで収録された。
    • 2013年1月30日より、ニンテンドー3DS専用バーチャルコンソールの配信ソフトに選ばれた。価格は500円(税込)。
  • アーケード『任天堂VSシステム』版も発表されていたが、広告だけで世には出なかった。
    • 一部の店舗でロケテストは行われたらしく、映像が動画サイトなどに出回っている。
  • 徳間書店からゲームコミック*1が発売された。
    • 主人公や敵キャラなどはゲームと同じだが、ストーリー展開やボスと戦う順番などは大きく異なっている。
    • ちなみに同じメーカー製である『アトランチスの謎』の主人公も出演している
    • また、キャラクターデザインを担当したもりけん氏による漫画版もある。
      • こちらでは、エンディングにおける王子の登場についての補足がなされている(あくまでコミカライズ上の設定ではあるが)。
  • 主人公・ルシアは、一見ビキニアーマースタイルに見えるがそうではなく、レオタード風の鎧を身に付けている。後にもりけん氏が雑誌インタビューで語ったところによると、「ビキニ型は恥ずかしいから腹も鎧で覆った」かららしい。
    • しかし後に『夢幻戦士 ヴァリス』の主人公のデザインを見て「しまった!」と思ったという。
    • 別の作画家による上記のゲームコミック版では、明確なビキニ型にアレンジされている。
  • 実は敵の攻撃のバリエーションは、体当たりと放物線状にバラ撒かれる火球のみだったりする。