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Neorude - (2013/09/13 (金) 00:51:59) の編集履歴(バックアップ)


Neorude

【ねおりゅーど】

ジャンル リーディングRPG
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 テクノソフト
発売日 1997年5月9日
定価 6,800円
配信 ゲームアーカイブス:2010年3月10日/600円(PSP専用)
分類 良作


ストーリー


それは、ささやかながらも運命の始まりだった。
そうと知ったのは、すべてが終わった後だったけど。
それでも……ぼくたちの新しい日々の始まりだった。

はじめはこんな風に……

 長い月日の内に寂れ、半ば波打った遺跡の石畳。
 遥か頭上の空を、大陸船がゆっくりと飛んでいく。
 かすかにきこえてくる、呪音機関の音。

「皇国製の『ジオロア』か―― 年代もんだな、ありゃ」
「へえ? よくわかるねルーフレイン」
「さっすが、元空賊」
「けっ」

それは、よく知られた遺跡の一つ……
いままで何人もの冒険者が足を踏み入れ、価値ある物はほとんど何も残っていないという場所だった。

「でも、歩いて来れる遺跡って、ここぐらいだよね」
「大陸船があったらなあ……」

ティルの言葉につられて、アリアがためいきをつく。
大陸船は、本当の冒険者の証。そして彼らは半人前だった。

「だれか、出入りした跡があるな……ここ二、三日ってとこか」

遺跡の入り口を調べていたルーフレインの言葉に、アリアが敏感に反応する。

「だったら急がなきゃ。 ほら、二人とも!」
「へいへい」
「ようし……行こう!」

軋みながら開かれる、遺跡の扉。

それが、ぼく達の新しい日々の始まりだった。

(説明書より引用)


特徴

  • サンダーフォースなどで知られるテクノソフトが発売したRPG。ジャンル名のリーディングRPGとはreading(読む)ではなくleading(導く)。
    • その理由は、通常のRPGではプレイヤーはキャラクター本人を操作するのに対して、ネオリュードでは画面上に表示されるカーソルをマウスポインターのように操作し、クリックした場所へキャラクターを移動させたり、調べさせたりするからである。
    • どちらかといえばクロックタワーなどの一部ホラーゲームや昔のPCのアドベンチャーゲームの操作方法に近い。
  • 世界観は空飛ぶ大陸船が飛び交い、遥か昔に滅びた古代文明の遺産を求める冒険者たちが活躍する王道的なファンタジー。
    • 短いシナリオやこじんまりとした舞台に対して世界観の造形は深く、物を調べた時に出てくるキャラクターのコメントなどからある程度の広がりを推測することができる。
  • ゲームはほぼダンジョン探索に終始したシンプルな構成で、街はムービーの中でしか出てこない。
    • その分細かいところまで作られたダンジョン尾ギミックや3人の主人公それぞれの性格がよく表れたキャラクター造形などの作りこみは深い。
  • プレイヤーはティル(戦士)、アリア(魔法使い)、ルーフレイン(盗賊)の3人を状況に応じて切り替えつつ、カーソルで移動や探索を導きながらゲームを進めていく。
    • 調べられるものは宝箱や像、スイッチ、色の違う壁、箱、碑文、トラップなど多岐にわたるだけでなく、調べたキャラクターによってそれに対する反応や用い方が変わってくる。
      • 例えば同じスイッチを調べるにしても慎重なアリアやルーフレインは罠だと思って押さないが、ティルなら押す、といった性格的な違いのほか、アリアなら魔法文字を読んだり暗闇の中で魔法の明りを照らす、ルーフレインなら鍵を開けたり鉄の箱を持ち上げたりといった技能的な違いもある。
      • それに合わせて謎解きの回答も一つではなく、例えば宝を守るモンスターを前にして直接戦闘で倒す、機敏な動きで宝を奪取する、魔物を驚かせてどいてもらう、など複数の手段で解決できる事が多い。
      • ただしこのゲームでは謎解きで経験値を大量に得られる仕様であり、謎解きの解法によって貰える経験値に差をつけられている。より効率的な解決方法ほど貰える量が多くなる。
  • リーディングのコンセプトは戦闘にも反映されており、基本的にプレイヤーが何もしなければキャラクターたちは勝手に自分の判断で自動的に戦闘してくれる。
    • プレイヤーは必要に応じて魔法や必殺技、逃走、防御を指示していく。

評価点

  • ダンジョン探索の雰囲気が素晴らしく出ている。
    • 一部屋進むごとに新たな仕掛けが現れ、プレイヤーはキャラを変更したり、調べる箇所を探したり、使えるアイテムを探したりしながら知恵を絞って進んでいく。隠し通路なども豊富で探索が楽しい。
    • 時には穴へ身を乗り出してみる、見知らぬレバーを引いてみるなどわざと迂闊な行動をとってみることで新たな道が切り開けることも。
    • 物を調べた時に出てくるキャラクターたちのコメントも非常に豊富で、終始冒険している実感がもてる。
      • 仕掛けや謎解きに直接関係のない物品や建物の構造の一部にもキャラクターのコメントが用意されておりその量はなかなかのもの。
    • ゲームシステムもあいまってゲームブックやTRPGのような雰囲気を常に漂わせている。
  • ダンジョンの仕掛けのバリエーションが非常に多く、最初から最後まで飽きさせない。
    • 単なるスイッチの開閉など単純でよくある仕掛けはほとんどなく、追いかけてくる魔物をダンジョンの仕掛けを駆使して撃退する、石版の内容を記憶して問いかけに答える、落ちてくる球体を上手く導いてスイッチを押すなど凝ったものばかり、かつ重複したものがない。
    • シンボルエンカウントで、戦闘はほぼ自動であるためじっくりと謎解きに頭を働かせられるところもありがたい。
  • 個性豊かなキャラクターたち
    • 3人の主人公たちは物を調べたり、手に入れたアイテムを説明したりするのにキャラごとに全くテキストやリアクションが異なっており、それぞれの個性を深めている。イベント時の掛け合いもほのぼのとして明るい。
    • 発売された時代が時代なのでキャラクターのポリゴンは荒いが、頭をかく、首をかしげるなど細かい仕草をよくしてくれる。
    • ライバルとなる空賊リムファイアや意志を持つ大陸船フリーメルなどサブキャラも短いシーンの中で強い印象を与えている。
  • 九十九百太郎氏の手による音楽
    • 好奇心・冒険心を掻き立てられる王道的な曲が多く、冒険の楽しさを前面に押し出している。戦闘曲も普通に格好良い。
  • 充実したおまけ
    • ディスク2がまるまるおまけに費やされており、ミュージックプレイヤー、設定画、イベントビューアなどが観られる。本編のボリュームに対するとなかなかの量。

賛否両論点

  • 最初こそ駆けだし冒険者の探索行という地味な話だが、古代文明からの因縁などがだんだんと絡んできて徐々にシリアスに盛り上がってくるシナリオ。
    • しかし、1単体で言えば肝心の盛り上がってきたところで終わり2に続いていく。アークザラッド1・2のような続編ありきの構成であるところは評価が分かれる。
      • ただし2のシナリオは「想い出」や「絆」をテーマにした作りや1に引き続き魅力的なキャラクターたちといった点から高い評価を受けている。あくまで前日譚と割り切ってプレイする分には1も悪くはない。
  • 戦闘がぬるく、自動戦闘であるためプレイヤーが介入する余地がほとんどない。
    • ダンジョンの謎解きを楽しむに専念できるというメリットもあるが、謎解きで大量に経験値が手に入る仕様や逃走が簡単なこともあいまってボス以外の戦闘の意味が薄い。
  • 街はイベントムービーなどでしか出てこず、フィールドマップにいたっては皆無であるためゲーム中の9割以上がダンジョンの中での行動となる。
    • ダンジョン内でほのめかされるキャラクターたちの知識やコメントから世界観はよく作りこまれているはずなのだが、ほぼダンジョン内の活動に終始しているため折角の世界観が持ち腐れになっている。
      • 本格的にこの世界観を堪能できるようになるのは2以降である。

問題点

  • カメラワークが固定されており(同じ部屋の視点なら□ボタンで切り替えることができる)、同じ部屋でも特定の位置に来ると勝手に別の視点に切り替わるため混乱する。
    • キャラクター本人ではなくカーソルを操作するという仕様もあいまって、通路の幅に余裕があるにもかかわらず敵を避けるのが困難な場所などもある。
    • 戦闘中もこの仕様であるため、技や魔法をかけようとした対象が別の対象の陰に隠れたり重複したりして思うように操作できないこともある。
  • ボリュームの少なさ。
    • 登場するダンジョンはチュートリアルとなる最初のダンジョンを含めるとたった三つしかない(そのうち後半の二つは地続きの構造になっているので実質一つともいえる。ただしマップデザイン自体は単調ではなく、地続きであるためアイテムの取り逃がしがしにくいともいえる)。
    • クリアまでのプレイ時間は慣れていないプレイヤーでも10時間あれば多い方。

総評

ダンジョン探索ゲームとしての雰囲気や作りこみが素晴らしい一作。 一風変わったシステムながらも魅力的なキャラクター、ギミック満載で謎解きの楽しいダンジョンのお陰で多くの人に楽しめるゲームデザインとなっている。 ボリュームが少ない分軽い気持ちでプレイできるので、この作品を気に入ったプレイヤーはシナリオの後編にあたる2、刻まれた紋章と合わせてプレイするのをお勧めする。