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スーパーマリオ64 - (2021/04/24 (土) 23:25:53) の編集履歴(バックアップ)



スーパーマリオ64

【すーぱーまりお ろくじゅうよん】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 ニンテンドウ64
発売・開発元 任天堂
発売日 1996年6月23日
定価 9,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 4個(フラッシュメモリ)
判定 良作
ポイント 3Dアクションの偉大なる金字塔
圧倒的な自由度の高さと豊富なアクション
今なお世界中でやりこまれ続けている
マリオシリーズ

スーパーマリオ64 振動パック対応バージョン

【すーぱーまりお ろくじゅうよん しんどうぱっくたいおうばーじょん】

発売日 1997年7月18日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
廉価版 1998年3月2日/4,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2006年12月2日/1,000Wiiポイント(税5%込)
【WiiU】2015年4月8日/1,028円(税8%込)
判定 良作

※共通項目は省略しています。


It's me Mario!!


概要

ニンテンドウ64本体と同時発売されたソフトの1つ。スーパーマリオシリーズ初の3Dアクション作品でありながら、その圧倒的な完成度の高さから後の多くの作品に多大なる影響を与えた。

あらすじ

プロローグ

ある日、ピーチ姫からお城の招待状をもらったマリオ。
喜び勇んでピーチ城へとやってきましたが、何やら様子がヘン。
お城へ入るとどこからか響いてきた嫌な声…そう! またまたクッパの仕業です。

クッパはお城を乗っ取り、お城の力の源「パワースター」を絵の世界のアチコチに隠し、ピーチ姫を封印してしまいました。
クッパを倒し、ピーチ姫を取り戻すためには再びパワースターを集めなければいけません。

こうしてマリオの、絵の世界での大冒険が始まろうとしています。


特徴

アクション

  • 本作はマリオシリーズ初の3Dアクション。ニンテンドウ64の3Dスティックを活かし、360度自由な方向へのアクションが可能。
    • マリオの代名詞であるAボタンによるジャンプも、助走をつけてタイミングよく踏み切ることで大幅にジャンプ力が上がる「三段跳び」や、しゃがみと組み合わせることで遠くまで飛べる「幅跳び」、壁に当たる瞬間にボタンをおすことでもう一段ジャンプできる「壁キック(三角飛び)」、高さを稼げる「横宙返り」「背面跳び」、尻で敵を押しつぶす「ヒップドロップ」などの多彩な種類が存在する。
    • また、Bボタンを押すと、パンチやキックといった攻撃アクションになる。これにより、従来の敵をジャンプして踏む以外の攻撃も可能。
      • これが用意された理由としては、「2Dと違ってジャンプで敵を踏むのがやや難しい」という開発者の発言がある。
  • アイテムでのパワーアップは、大空を自由に飛び回れる「はねマリオ」、一定時間無敵になり水中も歩ける「メタルマリオ」、金網や一部の壁を通り抜けられる「とうめいマリオ」の3種類。
    • 特定のステージでアイテムスイッチを押した後、色付きのブロックを叩いて帽子を取ることでパワーアップできる。
  • マリオの体力は8段階のライフ×残機制。ダメージを受けたり水中にいたり、毒ガスの中にいると減っていき、0になるとミス。コインを1枚取るとライフが1回復する他、本作では水面から顔を出す(息継ぎする)ことでライフが最大まで回復する。
    • ただし、本作はコインを集めた時点では残機は増えず、クリア時に精算されたコイン50枚につき1機増加する*1
    • 集めたコインを持ち越すことはできず、ステージごとのハイスコアとして記録される。
  • 他にもボスの巨体を背後から捕まえて投げ飛ばす、大ボスであるクッパに至っては尻尾を捕らえてジャイアントスイング!といった「3D」を活かしたアクションが多く追加されている。

ステージ

  • ゲームの拠点になるのはクッパに乗っ取られたピーチ城。お城のいたるところに飾ってある「絵」の中に飛び込むと、様々な世界に入り込むことができ、その中で「パワースター」を集めるのが目的。
    • ステージ1つにつき6個(+α)のパワースターがあり、絵に飛び込んだ後に目標のスターを選んで攻略を開始する。選んだスターによっては専用のギミックが登場する場合もある。
      • 例えばステージ「ボムへいのせんじょう」のコース1「やまのうえのボムキング」は一番奥・上にボスのボムキングがいるので、倒すとスターが手に入るという内容。しかし、コース2「はくねつノコノコレース」はボムキングのかわりにノコノコがスタート地点に登場し、スターを手に入れるために山の上への競争をすることになる。
    • これに全マップで共通の「マップ上のコインを100枚集めることで取れるパワースター」を含めて、一つのステージから7枚のパワースターを取得できる。
  • パワースターの総取得数によって城内の移動できる範囲が広がっていき、その分行けるステージも増えていく。
    • 入れる絵画や壁が15箇所存在し、これ以外に次のエリアに進むためのクッパステージや隠しステージ等で取れるパワースターが15枚あるため、ゲーム中にパワースターは全120枚*2存在するが、(通常の遊び方で)エンディングまでに必要なパワースターは70枚。

カメラ操作

  • 上下左右あるCボタンはカメラの操作に使用する。Cボタンの左右で視点を回転、下でカメラを引く、上を押すとマリオ視点で周囲を見回す。
  • 本作におけるカメラは、シリーズの敵キャラとして登場していたジュゲムのカメラマン「ジュゲムブラザーズ」が、カメラを釣り竿に吊るしてマリオを撮影しているという設定である*3

ストーリーについて

  • ストーリーについては概ね「いつものマリオ」。「クッパにピーチ姫がさらわれたから救いに行く」の一言で終わるようなものである。
    • ただし、今回クッパは「ピーチ姫の自宅を丸ごと乗っ取る」という大胆な手法を取っている。以降のシリーズ作品でもストーリーの骨格は大体同じながら予想外の要素を盛り込んでくるのが定番と化していく。

その他

  • マリオが完全に止まっているときにポーズした場合のみ、ポーズ中のメニューが表示されるようになった。
    • コースを抜ける項目があるため、高所から落下した際のミスをなかったコトにできてしまうことへの対策。
    • 『サンシャイン』や『3Dワールド』ではポーズそのものが出来なくなったが『ギャラクシー』『同2』では脱出含め可能となっている。

評価点

  • アクション性の大幅な増加
    • 舞台が3Dになったこと、コントローラーにスティックが追加されたことにより、2D時代とは文字通り次元が異なる圧倒的に自由度の高いアクション性を獲得した。それでいて「マリオを動かすだけで楽しい」という大原則はしっかり維持されている。
    • 前述の通り、ジャンプ一つとっても非常に多彩な種類が存在するため、慣れてくればマリオを思い通りに自由自在に操れる。
    • マップ上に存在する大砲や帽子、ワープゾーンなどの存在も、マップの探索のバリエーションを向上させている。
  • 箱庭ステージ探索の楽しさ
    • フルポリゴンで構成された3D箱庭空間を自由に動き回る事ができるゲームである本作、その箱庭空間はニンテンドウ64の当時としては超高性能のGPUにより表現されており、美術的にも当時としては群を抜いたクオリティを誇る。ニンテンドウ64は本作を完成させるために作られたハードと言っても過言ではない。
    • 本作のステージは2Dマリオのように「右に進んでゴールを目指す」一本道ではなく、明確なルートが存在しない箱庭的なマップである。
    • したがって、スターのもとにたどり着くにも、様々な進行ルートが考えられる。どんなアクションを使ってどんな道を進むのかはプレイヤー次第である。
    • 多彩なアクションを駆使すれば大幅なショートカットも可能。アクションの自由度が非常に高いため、発売から年月が経った今でもタイムアタックのやりこみが世界中で活発である。
    • ステージもそれぞれ異なる雰囲気とギミックを持っており、作り込まれている。また拠点となるピーチ城自体も探索のしがいがある構造であり、プレイヤーを飽きさせない。
      • 中にはステージに入る際のマリオの状況によってステージ内のギミックが変化するといった細かい作り込みまで存在する。
    • マリオ3』で好評を受け、『ワールド』で更に洗練された「攻略ルートを考える楽しさ」は、全く文法の違う本作でもしっかりと生かされている…どころか、3Dの箱庭探索型アクションになった事で爆発的進化を遂げたと言えるだろう。
  • 攻略の自由度の高さ
    • パワースターは全部で120枚隠されているが、クリアに必要なのは最低70枚で良いため、攻略ルートの自由度は非常に高い。全てのステージを完全攻略するも良し、苦手なステージや面倒なステージを省いて最短ルートを目指すといった遊び方を楽しむも良し。
    • ステージ突入の前にミッションを選択し、その名前がヒントとなっている。だが本作では、すべてのステージで選んだミッションのものとは違うスターを取ることができる。これは後の『サンシャイン』『ギャラクシー』を始めとする3Dマリオ作品では(ごく一部の例外を除いて)できない事であり、このゲームの自由度の高さに拍車をかけている。
  • カメラワークも、当時の作品としては気遣われた出来栄え。単純ながら死角が少ない。
    • カメラワークの難しくなるような狭いマップはほとんど無く、あったとしてもカメラが固定配置になる。
    • 流石に現在の観点で見ると自由にグリグリとカメラが動かせないことに不自由さは感じられるだろうが、3Dアクション作品に頻繁に付いて回る問題であるカメラワーク問題を、まだまだ3Dが未開拓であった時代の本作でここまで抑えられているのは特筆に値する。
    • マリオとカメラの間に障害物があるとマリオが見えなくなる、自キャラの向きと画面の向いている方向が正反対になってしまう事がある、不意にカメラ角度が変わって操作に戸惑う等の欠点はしばしば見られる。同様の問題が後世の3Dゲームでも指摘されている辺り、中々に根の深い問題ではあるが。
      • こうした3D空間でキャラを動かす事で起きる問題点に対し、本作ではジュゲムブラザーズというキャラの存在を明示し「第三者視点の追っかけカメラだから」という理由付けで予防線を張った。根本的な解決策という訳ではないものの、プレイヤーからは時折(ジュゲムブラザーズに対する)融通のきかなさへの不満意見が見られる程度で、カメラワークの仕様については概ね受け入れられた様だ。
    • 3Dゲーム黎明期に任天堂が提示したカメラワークの仕様に対するこれらの回答は、後世の3Dゲームにも少なからず影響を与えている。ただとある機能が搭載されていないことを除けば...(後述)
  • 本作から、マリオがアクションを起こす時に声が入るようになった。これも「マリオを動かすだけで楽しい」という爽快感に繋がっている。
    • マリオの声を演じるのはチャールズ・マーティネー氏*4。本作をキッカケに「マリオの声=チャールズ氏」という認識がユーザー間で定着し、以降氏はマリオシリーズにとって欠かせない存在の一人となる。
  • 音楽は全編近藤浩治氏が担当。アスレチックステージで使われる軽快な曲調の「スライダー」、透明な曲調が美しい「ウォーターランド」、無敵マリオの曲をハードロック調にアレンジした「メタルマリオ」など、良曲が多い。
    • また、ステージ深部に進むことで楽器が増えたり、メロディーが徐々に差し変わる曲があるなど、芸の細かいサウンドプログラミングは後の傑作『ゼルダの伝説 時のオカリナ』にも繋がる。
  • 大小様々な小ネタやお遊び要素も備えている。
    • オープニングデモではマリオの顔が登場し、様々なリアクションを見せてくれる。この時特定の操作をするとセーブデータを選ぶ画面に行かずに、このマリオの顔をつまんで引っ張って遊ぶ事が可能。
      • 引っ張っても離せばすぐ元に戻ってしまうが、Rボタンを押し続けながら引っ張ればそのままの状態を維持可能。様々な変顔を作って大笑いできる。気がついたらこれだけで1日を過ごしていた、というのは当時のユーザーなら一度は経験している筈。
      • このギミックは元々『マリオペイント』の続編の一モードとして作られた要素とのこと。作品自体は開発中止になってしまったものの、意外な形で日の目を見る事となった。
      • 本作はニンテンドウ64のローンチタイトルの一つであったため、当時のユーザーにとっては新デバイスとなる3Dスティックでの操作に親しんでもらうという意図も込められていたと思われる。これについては、その後の展開を見るに正しく狙い通りの結果を得られたと評してもいいだろう。
      • 今では当たり前となったスケルタルアニメーション(スキンメッシュアニメーション)と呼ばれる手法で、TVゲームに使われた最初期のものである。当作ではゲーム本編ではおそらく使われていないが、後に『ゼルダの伝説 時のオカリナ』では主人公リンクの動きや水のボスなどに使われている。
    • 「杭」の周りをぐるぐる回るとコインが飛び出してくる*5、3匹セットの蝶を(個別に)パンチすると一匹は1UPキノコ、二匹は爆弾に変化する、特定ポイントを通ると1UPキノコが出現し、キノコの方からプレイヤー目がけて高速で突っ込んでくる(通称:緑の悪魔)など、多数のネタが存在している。
    • これらの小ネタやお遊び要素の大半は公式攻略本にすら記載されていない。隠された小ネタを探して遊びまわるのもまた一興か。

賛否両論点

  • 従来の一本道を進んでゴールを目指す2Dマリオの形式とは異なり、箱庭を探索することに比重が置かれたゲームとなった。
    • 3Dゲームの黎明期だったこともあってか、「従来の2Dマリオではとりあえず右に進んでいれば良かったが、3D化した本作ではどちらに進めばいいのかすら分からず、最初のピーチ城前で何時間も迷いまくった」といった、現在のゲーマーからすれば俄かには信じ難いような報告も少なくなかった。
    • アクションの増加によって操作が複雑化したこともあり、ライトユーザーにはややハードルが高い部分もある。
      • 任天堂もこうした「そもそも何をすればいいか分からない」ユーザーが出てしまった事を重く見たのか、後の3Dマリオでは自由度がある程度制限されるような作品が多くなっていった。
  • マリオの変身は全て一定時間が経つと元に戻ってしまう。
    • 攻略に深く関わってくるため仕方がないが、変身アクションが売りだった前作『ワールド』までに比べると少々さびしい。
      • 特にシリーズおなじみの「ファイアマリオ」は、本作でのリストラをきっかけに3Dマリオでは『ギャラクシー』まで登場しない。
      • もっとも、3Dアクションにおける飛び道具は正確に狙いを定めるのが難しいなどの問題点があり、当時のプレイヤーにとっては3Dアクションが未知のジャンルであったため、一概に悪い点とは言えない。
  • 水中面の難易度の高さ
    • 元々「マリオ」の水中面は陸と勝手が違う操作・(一部のパワーアップ状態を除いて)攻撃できないもどかしさをどう立ち回るかというコンセプトなのだが、今回はそれに加えて3Dによる方向の把握しづらさや、体力に空気の概念が加わった緊張感等でより難易度が増している。
      • 空気(=体力)が切れると苦しくもがいて溺死するマリオや、どうあがいても倒せない巨大ウツボ、近づいただけで吸い込まれてミス確定の渦潮などの要素から、「水中面が怖い」という感想を持ったプレイヤーも少なくない。このホラー要素は現在もプレイヤーの間で語り草になっている。
    • 通常のステージ構成の水中面は2つあるのだが、両方ともコインの枚数がやけに少ない。恐らくコインを取る事で空気残量を回復できるシステムの影響なのだろうが、片方はスイッチ起動後一定時間だけ出現する青コインを2枚、もう片方は1枚でも取り逃しただけで100枚コインのスターが取得できなくなる。
      • 厳密に言えばもう一つ水をテーマにしたステージが存在するが、こちらはギミックの都合上特定のスターを除けば溺死の危険性は低く、またコインも十分に豊富な為問題にはなりにくい。
  • アクションが暴発し易い
    • アクションが増えた弊害として、意図せずアクションが出てしまうという事が多い。
      • 特に多いのが、敵に近づいてパンチまたは掴もうとしてヘッドスライディングが暴発してしまう。
  • 炎ダメージを受けた時の暴走
    • ヘイホーやクロマメ(火を吐く黒い玉)、クッパなどが吐き出す炎に当たってしまうと、お尻から煙を噴きながら「アチャチャチャチャァー…」と熱がって走り回るアクションが追加された。
      • リアリティある演出ではあるものの、この状態になってしまうとまともにマリオを動かせなくなり、そのまま奈落にまっさかさま…という憂き目に合うことも多い。
        加えて質の悪いことに炎自体に追尾性能があり、かわしたと思っても思わぬダメージを受けてしまうことも。その場から動かないクロマメの攻撃はまだ予測もしやすいが、空中を飛び回りながら炎を吹くヘイホーの攻撃はまさに脅威。

問題点

  • マリオの新アクションが3D視点も相まって、少々難しいものが多い。
    • 中でも「壁キック」は慣れるまで出しづらい。
      • 必要な場面はあまりなく、スター70枚でクリアするだけなら一回も使わない事も珍しくない。但しコンプリートを目指すなら話は別で、取得の為にこのテクニックの習熟が必要となるスターが比較的序盤に存在する。
      • リメイクのDS版も含め、壁キックを採用している『サンシャイン』以降の作品では壁をずり落ちるアクションが追加された為、出しやすくなった。
      • ただしこのずり落ちるタイプの壁キックは壁から垂直に飛び出すことしかできず、斜めに入射すれば斜めに飛び出す壁キックは本作のみのものである。90°の角で2回壁キックをして上るテクニックなど、攻略に必須ではないものの決まると楽しいので、無くなったのは残念である。
    • 全体的にマリオが滑りやすい。3Dで操作性が異なる為旧作とは一概に比べられないが、体感的に氷上以外でもマリオが滑りやすく感じてしまう。特に坂道ではその影響が大きく、3Dアクションに慣れていない場合、そのまま転落してしまう危険が旧作より大きい。
      • とあるステージに存在するピラミッド外周の道で「登ろうと 上方 の坂を踏んだらいきなり滑り状態になり、道部分で止まらずそのまま滑り落ちた」という謎の挙動と、それによるミスの報告が存在している。
      • 移動速度が激減する代わりに、余程急な坂でもなければ滑りにくくなるハイハイ(匍匐移動)操作もあるが、一度滑ると完全に静止するまでハイハイへの操作変更ができなくなる。
    • 上述通り「ジャンプで敵を踏みづらい」として考案されたパンチやキックのアクションも、扱いづらいものが多い。
      • 素手の攻撃なのでリーチが短く、ヒットさせるために接近しなければならないが、多くの敵はこれまでのマリオシリーズ同様に触れるとダメージを受ける仕様なのでリスクが大きい。またそもそも通用しない敵も多い。
      • その場でBボタンを三回連続で押すとパンチ→パンチ→キックのコンボになるのだが、ヒットさせると反動でマリオと敵の両方がのけぞるため、全段当てることは難しく、そもそもパンチやキックが通用する敵はほとんどが一撃で倒せることからあまり意味をなしていない。さらに上記の滑りやすい操作性のために、狭い場所で使うと反動で滑って転落ということもあり得る。
      • ごく少数ながらパンチなどでないと倒せない敵やボスはいるのだが、基本的にジャンプからの踏み付けやヒップドロップの方がメリットが大きくなっている。あくまでマリオの本分はジャンプアクション、というところか。
      • この反省か、以降のシリーズではパンチなどの素手攻撃はほとんど採用されておらず、放水などの飛び道具、あるいはボディアタックやスピンアタックといった足の止まらない体当たりのような攻撃手段が採り入れられている。
  • マリオの向きとは逆方向にスティックを入れ続けると、即座にではなくUターンしながら徐々にその方向に向かっていく。
    • リアルな挙動とも言えるのだが、狭い場所で方向転換をするとこの回り込むモーションの影響で足場から落ちてしまうため、操作性を損ねている。スティックを少しだけ入れることでUターンせずに方向転換が可能だが、手間のかかるだけの仕様と言えるだろう。
    • ただし、スティックを瞬時に反対方向へ倒せばこの現象は起きないので、人に寄っては全く気にならない点でもある。
  • 3D酔いを起こし易い。
    • 全面的なポリゴンによる立体的なグラフィック構成に加え、3Dスティックでの柔軟かつ独特な操作性に慣れず、うまく動かせずにウロウロしているうちに酔ってしまった…という事が起こりがち。
      • 当時はまだ2Dゲーが主流であったため、子供たちの目にも3D耐性があまり備わっていなかったことも大きい。
    • またカメラの操作と挙動の癖も強いため、3Dが普及しきった現代でも体質によっては3D酔いを起こす場合もある。
  • 一瞬で操作キャラ(マリオ)の背後にカメラが移動する「カメラリセット」機能が無い
    • 後世の3Dマリオシリーズはもちろん、現在その他の3Dアクションゲームでも定番の機能となりつつある、カメラがどの角度にいてもボタン一つで一瞬でプレイヤーキャラの背後にカメラが移動し真正面を映す、いわゆる「カメラリセット」機能が無い*6
    • この手のゲームではカメラワークが重要であるため、マリオの背後にカメラを移動させ目の前の細い道を真っ直ぐ歩くといった行為をする際にマリオの向きによってカメラを移動させる操作が変わってしまうのが少々煩わしいというのは大きな難点である。
    • また、今作はLボタンに何の機能も搭載されていない。普段今作をプレイする持ち方*7からは少々押しづらい位置にあるものの、「空いているボタンが無くてカメラリセット機能を搭載できなかった」等ならともかく何も機能が無いボタンがあるのにも拘わらず同機能を搭載しなかったのは何故なのだろうか。
    • 3Dアクション黎明期という点から上記の発想に容易に至らなかったというのは致し方ないことだが、現在多数の3Dアクションゲームに搭載され、もはや基本機能ともいえる「カメラリセット」が搭載されてさえいれば同ジャンルのゲームとして申し分無かったであろう。
      • この問題は後に『ゼルダの伝説 時のオカリナ』でZ注目によるカメラ補正が実装されたことで、解決の糸口が見いだされることとなった。
  • ステージによってはスター探しの難易度がかなり高いものもある。
    • 基本的には後半のステージになるほどその傾向が強くなっていく。最序盤はステージ開始時のメッセージでナビゲートしてくれるし、それ以降もステージ突入時に選択するミッションのタイトルから探し方を推測する事が可能なスターも多いが、当然例外もある。
    • スターが見つからない・取り方が分からない場合、同じステージを長時間ウロウロすることになり、ストレスを感じさせる。
    • この点について3Dマリオの次回作『サンシャイン』では、ステージ開始時にヒントとなるデモが挿入されるようになった。
    • 作中で取っておくように勧められる、パワーアップブロックを出すための赤・緑・青スイッチステージの場所もほぼノーヒント。青スイッチステージは城を歩き回れば容易に見つかるが、赤と緑はヒントが僅かで、気付けないとずっと気付けないような場所にある。
  • 基本的にミスをするとステージの入り口前に投げ出されるのだが、一部の番外ステージでミスをすると、ステージの入り口からかけ離れたところへ投げ出されてしまう。
    • 再度挑戦するには長距離移動しなければならず手間がかかる。残機が減らないのが救いか。
  • 反対にステージ7の火山、ステージ8のピラミッドは入ると別のステージ扱いになるのか、1度入るとクリアするまで出ることが出来なくなる。
    • これらのステージはそれなりの難易度を誇るため、難しかったからやり直して別のスターを目指す、という切り替えが出来ないのは非常に不便である。
  • 水中の酸素メーターと体力ゲージが同一という仕様が原因で、ダメージを受けている状態でも水中に入り水面に顔を出すだけで体力が全回復してしまう。*8
    • 次作『サンシャイン』にて、酸素メーターと体力ゲージは分離されることになる。何かと水に入る事が多い同作品で、水に入っていくらでも体力回復可能なのは流石にまずかったのだろう。

総評

3Dアクションの黎明期にも拘らず、極めて完成度の高いアクション性とステージの自由度の高さはプレイヤーのみならずクリエイターからも高い評価を受け、その後の多くの作品に多大なる影響を与えた。
現在ではカメラワークこそ実験段階ではあるものの、3Dアクションの先駆者にして最高傑作と評価する声も少なくない。
スーパーマリオブラザーズ』が2Dアクションの始祖にして代名詞となったのと全く同様に、本作も3Dアクションという領域を切り開くと同時に決定づけてしまった、まさに記念牌的傑作である。


移植・リメイク

  • 後に振動パックに対応したバージョンが発売された。
    • コントローラーに振動パックをセットすることでマリオがダメージを受けた際に振動する。更にマリオやピーチにボイスが追加、ワンワンの声と赤コイン及び5シークレット取得時の効果音が変更され、一部のバグも修正されている。
      • なお、日本版より後に発売された海外版*9では、マリオがクッパを最高速で投げる際に「から揚げ食べ~るSo long kinga Bowser!」(訳:じゃあな、クッパ!)という台詞を発していたが、振動パック対応版では「ババーイ」という台詞に差し替えられている。
    • バーチャルコンソール版や後述の『3Dコレクション』収録版もこちらのバージョンとなっている。
  • 本作のアレンジ移植版として『スーパーマリオ64DS』がニンテンドーDS本体と同時発売された。
    • プレイアブルキャラクターが4人に増えており、相違点が多い。
  • 2020年9月18日にNintendo Switchでオムニバスソフト『スーパーマリオ 3Dコレクション』が発売。『サンシャイン』『ギャラクシー』と本作が収録されている。
    • バージョンについては先述の通りで、移植にあたりアイコンやフォントなどの表示が滑らかになっている他、言語切替機能(英語(アメリカ、イギリス/オーストラリア)、フランス語、ドイツ語)も搭載。


余談

  • 逆に、本作のルーツは『スターフォックス』開発会社が任天堂に向けて作ったテスト作品『Yoshi Racing』とされている。
  • 本作ではマリオが帽子を失うと、受けるダメージが1.5倍になるという弱体化補正がかかる。これはコミックボンボンで本山一城氏が連載していた「スーパーマリオ」が元ネタではないかとされている。
    • 近年ではゲーム中マリオが帽子を失う場面が少なくなり、したとしてもエンディング中だったりする為、この設定は無いに等しくなってきている。帽子無しでステージを抜けた後、無くした帽子を取り戻すのが非常に面倒*10だった事も理由の一つかもしれない。
  • この作品からピーチ姫の名前が日本国外でも日本国内の「ピーチ」に統一された。
    • 基本的にマリオシリーズでは海外名が日本と異なるキャラの方が多いが、味方のメインキャラは世界共通である事が多い。しかし「ピーチ(Peach)」にはわいせつなイメージがあるという理由から、彼女に対して日本国外では「Princess Toadstool」という名前がつけられていた。
    • オープニングの手紙には「Princess Toadstool」(活字)「Peach」(手書き)とある。Princess Toadstoolは肩書きであってPeachが個人名という意味合いで、上手く移行させたものだ。
    • ちなみにToadstoolとは直訳すれば「ヒキガエルの椅子」、要は「毒キノコ」という意味を持っており、正直何ともいえない。それに合わせてか、キノピオは海外では「Toad(ヒキガエル)」という、これまた何ともいえない名前になっている。
  • 本作で未登場となってしまったルイージだが、実は開発初期段階では登場する予定だった。
    • ルイージファンには残念な結果となってしまったが、上述したニンテンドーDS版ではプレイヤーキャラに晴れてルイージが加わり、今作のリベンジを果たせた。
      • ちなみに64DD用ソフトとして本作の続編である『スーパーマリオ64.2』が1997年頃に企画されており、ルイージが出演する予定であったが、企画が1999年にお蔵入りになった為幻に終わっている。
  • この他、ヨッシーもゲーム本編で活躍する予定があった。ゲーム内のギミックの一つとして構想されていた模様。
    • 宮本茂のインタビューによれば、仕様が満足の行く物にならなかった為、開発段階でお蔵入りになったとの事。ヨッシーのポリゴンはすでに作られていたのだが、これがゲームクリア後のおまけ要素として日の目を見たという。
    • 内部データには、没になったと思われるヨッシーの卵のグラフィックが存在している。
  • 評価点で触れた「マリオの顔いじり」だが、後に『マリオパーティ』のミニゲーム「クッパひゃくめんそう」という形で任天堂自らパロディを行っている。好評だった事を把握していたのだろう。
    • また、初代ニンテンドーDSが発表された際に公開された技術デモでも、タッチペンの操作性をプレゼンするためのミニゲームとして顔いじりが採用されていた。
  • IGN.comの読者によって作成されている名作ゲームランキングでは、3年連続でベスト20にランクインしている。
    2006年:19位 2007年:5位 2008年:11位

熱心なプレイヤーによる研究・やり込み

  • プレイヤーに突っ込んでくるタイプの1UPキノコは壁や障害物を貫通する上、マップ移動しないといつまで経っても消えない。
    • この性質を活かし、一部プレイヤーによって「1UPキノコから逃げながら赤コインを8枚集める」という通称 「緑の悪魔」 と呼ばれる遊び方が生み出された*11
    • 延々と最短経路で追いかけてくるキノコから逃げ延びるには、ステージ構造をしっかり頭に叩き込んでおく必要がある。
    • 操作やマップに慣れてきたら挑戦してみるといいだろう。落下や即死ギミックの危険が少ない「ボムへいのせんじょう」等のステージだと比較的楽である。
  • 序盤のうちから先のステージに進めてしまうバグも存在するが、これがタイムアタックでは非常に重要な要素になるなどまさしく怪我の功名である。普通にやるぶんにはまず発生しないバグであるため、何の問題もない。
    • マリオが後ろの方に高速で飛んで壁を抜ける様は、壁や階段に向かって尻を擦り付けているように見えることから 「ケツワープ」 *12と呼ばれ、見た目のインパクトが非常に大きく印象的である。
      これらを駆使し続けた結果、最低スター枚数は70→16→1→0まで短縮され、さらには1Fを無視して地下に侵入する手段が見つかり「1KEY」が最速記録になっている。
  • 発売から20年以上が経過しているにも拘らず、現在でも全世界でタイムアタックを始めとしたやりこみが盛んに行われている。
    • ニコニコ動画でマリオ64のタイムアタックが流行っていた時期は上位記録の多くを日本人プレイヤーが占めていたが、現在はタイムアタックの主戦場がTwitchに移ったこともあり多種多様な国のプレイヤーが好記録を残している。
    • これだけやりこまれているにも拘らず、日々新しいルートやバグが発見されその都度記録が更新されていることからも、このゲームの奥深さがわかるだろう。
  • 2014年に、これまで取得不可能とされてきたコインが本作発売から18年目にして漸く取得されたというニュースが飛び込んできた。
    • 取得不可能とされていたのは、コース13「ちびでかアイランド」に出てくる1枚。ある鉄球が飛び出す岩壁の近辺で、プレイヤーの視点をぐねぐね変えると、岩の内側にコインが埋まっているのが確認できる。勿論このステージでは、通常プレイの範囲内においてマリオが岩壁を貫通する手段は存在していない。
    • だが絶対に取れないと思われるコインの存在が挑戦心に火をつけたのか、数多の本作ファンが「インポッシブルコイン」取得を目指して技術研鑽に励んできた。そして18年もの間本作を研究し続けてきたとあるプレイヤーの手によって、遂にこのコインが理論上取得可能である事が証明されたのである。
    • その2年後、同じくちびでかアイランドにて別のインポッシブルコインが発見されてしまった。しかも発見したのは、コインの配置に法則性があることと、上述のコインが理論上取得可能である事を証明したプレイヤーその人という…。
      • 詳細はこちらを参照されたし。…最早学問の域に達していると評する他無い。本作をやりこみ続けるプレイヤー達の総称としてスーパーマリオ64学会とはよく言ったものである。
  • このプレイヤーは海外において、マリオ64に対する徹底的な研究を行なっている事で知られている。特に、Aボタンを出来る限り押さないで全てのスターを取得するというやりこみは高い評価を得ている。
    • 中でも、クリボーで橋を作って「そらにはばたけ はねマリオ」をクリアするというやり込みは日本でも反響を呼んだ。
    • 海外では、"But First We Need to Talk About Parallel Universes."(でもまず始めに、並行宇宙の説明をしなければなりません)という彼の発言がネットで流行化している。
      • この文面がマリオ64に関する話だとは誰が想像するだろう。流行化したのもうなずける。
    • その他、ステージ14「チックタックロック」で発生したバグの再現に対して高額賞金もかけている。興味ある方は是非。
  • ステージ8の「あっちっち砂漠」にいるオニマスクンというサイコロのような敵がいるが、はねマリオでコイツの頭上に近づくとなぜか空中にいるのに流砂に巻き込まれたのと同じようなリアクションを上げて即死するバグがある。
    • 原因は不明だが、コイツのいる足場の周りは落ちたら即死する流砂になっており、上空からオニマスクンの端に触れるとそこが一瞬流砂の足場判定になり即死するものと思われる。
  • 初期版では、コインを1000枚以上取得すると残機がマイナスになってしまう*13というバグがある。
    • 裏技などを使わず1000枚入手するには、クッパの吐く炎から変化したコインを集める方法が有名だが、実は表示されないもののエントランスや中庭でお城のコインを集めても可能、こちらの方が楽。
    • 本来はコインの所持数が999を超えないように「1000枚以上であれば所持数を強制的に999で上書きする」というプログラムが組まれていたが、このプログラムにミスがあり「残機を999で上書きする」という挙動になっていたのが原因。その結果、8ビットの符号付整数(-127~127の間でしか値を持つことができない)としてメモリに格納されている残機数に999→0x3E7(16進数)を書き込もうとしてE7の部分だけが残機数として認識されるようになり0xE7=-25として認識される*14、というものである。
      • なお、海外版と振動パック対応版ではプログラムミスが修正され正しい挙動になっている他、「64DS」では所持上限が255まで引き下げられたため、このバグは発生しない。
        (参考:https://www.youtube.com/watch?v=T-YtojVHfKc )
    • ちなみに、バグを駆使すれば殆どのコースで1000枚のコインが取得可能。255枚以上のコインを集めると、ステージ別ハイスコアの挙動がおかしくなる。