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ゼルダの伝説 スカイウォードソード - (2021/02/18 (木) 16:32:13) の編集履歴(バックアップ)


ゼルダの伝説 スカイウォードソード

【ぜるだのでんせつ すかいうぉーどそーど】

ジャンル アクションアドベンチャー





対応機種 Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 通常版 / ゼルダ25周年パック:2011年11月23日
Wiiリモコンプラスセット:2012年1月31日
定価 通常版:6,800円
ゼルダ25周年パック:8,800円
Wiiリモコンプラスセット:8,800円
プレイ人数 1人
周辺機器 要WiiモーションプラスorWiiリモコンプラス
配信 【WiiU】2016年9月2日 / 2,700円(税込)
判定 良作
ポイント 「濃密ゼルダ」の名に恥じないボリュームと手ごわさ
バトルの数だけ、謎解きがある
空中と水中の操作性が悪い
ゼルダの伝説シリーズ関連リンク


概要

ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』に続く、Wii用『ゼルダ』の2本目。
ただし、『トワプリ』が元々ゲームキューブ向けに開発されていたのに対し、本作は当初からWii専用ソフトとして開発されている。
開発期間は実に5年にも及び、キャッチコピーに「濃密ゼルダ」とあるように、ゲームのボリュームだけでなく遊びそのものの密度に重点が置かれている。

発売前の大手ゲームメディア各社によるレビュー評価は高く、その中でもIGN, Eurogamer, Game Informer, Edgeなどは、本作を10点満点とするレビューを発売前に発表していた。
また、ファミ通クロスレビューでも史上16本目となる40点満点を獲得し、『ゼルダ』シリーズとしては『時のオカリナ』『風のタクト』に続いて3回目となった。
その結果、これらのメディアレビューの集計値であるメタスコアは90点超えの高い数値となり、この件については発売前の社長が訊くでも語られていた。


特徴

システム

  • 基本的には3Dゼルダ過去作のゲームシステムを引き継ぎながらも、アイテムの強化やダッシュなどのアクションの追加など、遊戯性を突き詰め快適なプレイを可能にしたシステムが追加された。
  • ポーチアイテム
    • 本作は「ポーチ」というアイテム欄に、ビンや盾、各所持数を追加するバクダン袋や矢筒などのアイテム、持っているだけで効果の発揮するメダルを入れる事になる。
    • 初期は4つまで入れる事が可能。最終的には8つになるが全てのアイテムを持ち運べるわけではない。相棒のファイからポーチアイテムが現在の状況にあっているかアドバイスをもらうこともできるので、何を持っていくか迷った時はこのアドバイスを参考にできる。
    • バクダン等の消耗品の所持数を増やすか、予備の盾を持っていくか、メダルで強化するか、ビンを持って薬を多めに持っていくか等、プレイヤーに合わせたスタイルを選択することが可能。
    • メダルはハートが出やすくなったり、虫の居場所がマップに表示されるようになったりなど、便利な効果を持っている。なお、本作でハートを最大にするにはメダルが必須となる。
  • ダンジョンの謎解きに使う弓矢やクローショットなどのアイテムと、薬など冒険の補助に使われるアイテムが分けられたことにより、アイテムを探す手間が省けた。
  • 新アイテム"ビートル"
    • 遠隔操作をすることが出来、直接行けない場所の偵察が可能になった。飛行距離もかなり長く、非常に離れた場所のアイテムを手に入れたり、スイッチを押すこともでき、何をすればいいのか分からなくなったときに隅々まで探索することが出来るようになった。強化すれば飛行距離、移動速度が上昇し、さらに快適な探索が可能になる。
  • ダウジング
    • 相棒ファイの能力で、対象がどこにあるのか、大まかな距離と方向を知ることが出来る。これにより、ゼルダの居場所や、冒険を進めるためのキーアイテムやハートなどのアイテムを探すことが出来るようになる。


Wiiリモコンのフル活用

  • Wiiモーションプラスを用いた直感的な操作に特化しているのが特徴。剣による攻撃は、振った方向により縦・横・斜め・突きを自由に繰り出すことができる。
    この使い分けがうまくできるかどうかが、本作の難易度を極度に左右するほどの基本操作となっている。
    • さらにリモコンを縦にしたままにして剣を掲げ、しばらくするとスカイウォードが使用できる。旧ゼルダにおけるソードビームのようなもので、攻撃は勿論謎解きにも使用する。これも使いこなすか否かで、難易度に影響する。
  • 本作はPUNCH-OUT!!さながらに、不用意な攻撃は確実に防御する敵がかなり増加している。例えば敵が上を防御していれば下から振り上げるなど、防御のスキを狙うような形でリモコンを振り分けねばならない。 これはつまり、今までのように適当に剣を振っているだけでは雑魚敵を一体倒すことすらままならない
    • しかし逆に言えば、敵の動きを見極めて、適切に操作する重要さが増しており、より臨場感のある戦闘を楽しめる。最初は思うように敵を倒せず手こずるだろうが、 慣れていくにつれてまるで自分自身がリンクになったかのように、自由自在に剣を操る体験ができ、主人公との一体感と腕の上達を味わえるという見事な操作体系を実現している。
  • 当然、弓矢やパチンコで狙いをつけるにもWiiリモコンを使用する他、マップの各所にある綱を渡る際のバランス取りや水中を泳ぐ際の方向変換など、様々な部分でWiiリモコンを使う。むしろWiiリモコンを使わない操作の方が少ない。
    • 特にヌンチャクにより「引き絞る動作」を疑似的にできるようになった弓矢の評価は高い(従来と同じボタンでの引き絞りもできるが、ヌンチャクを使えば瞬時に構えが完了するという凝った設計)。
  • ちなみに剣をWiiリモコンで振る仕様に合わせて、本作のリンクは右利きに設定されている。ゲーム内に加えて公式イラストなどでも右利きで統一されている。
  • 精密な動作が要求されるためか、Wiiモーションプラスの着用、またはWiiリモコンプラスが必須となっている。
    • このおかげで全体的なレスポンスは非常に良好で、落ち着いて操作すれば前作のように誤入力が起こることは極めて少ない。また、使用中にWiiリモコンの動きにズレが生じてきた場合は十時キーの下でいつでも補正できる。
  • ちなみにゲームの起動を除いて、ゲーム中にセンサーバーが使われる機会も一切ない。


テンポのよさ

  • アイテム選択時にはゲームがポーズされず動作したまま選択する事になる。Bボタンを押しっぱなしにするとアイテム画面が表示され、Bボタンを離した時にWiiリモコンを傾けている方向に応じてアイテムを切り替える仕組みとなっている。
    • アイテム画面がどの配置になっているのかを覚えておけば、あらかじめWiiリモコンを傾けておき、素早くアイテムを切り替える事も可能。慣れれば慣れるほどスムーズに操作が出来るようになり、剣の操作同様に自分の腕の上達を実感できる。
    • ゲーム進行中にアイテムを選択する事になるので、選んでいる間に攻撃を受ける場合もある。前作までは薬を飲む際にはゲームが停止していたが、今作では薬を飲む際にもゲームが停止せず移動しながら飲むことができる。ピンチで薬を飲みたい時も、敵から離れて安全な場所に逃げてから飲むなど、素早い判断力が要求され緊張感も増している。
  • 2ボタンを押す事によって、いつでも操作のヘルプが呼び出せる。
    • ヘルプもゲームが停止せず表示され、リンクのそのときの状況(何も持っていないとき、剣や各種アイテムを出しているとき、泳いでいるときなど)に応じて随時内容が変化し、操作のヒントを教えてくれる。


有機的に関連した収集要素

  • 今までのゼルダでは、お宝を集めてもルピーをもらうこと以外にあまり使い道がなく、虫にしてもただ集めるだけといった向きが強かった。
    • だが、今作ではお宝はアイテムの強化に、虫は薬の強化に使うため、それぞれ集めることで非常に冒険に役立つようになった。
    • また、ルピーに交換してもアイテムの強化、ポーチアイテムの購入…などなどかなり出費が増えた為、収集要素が無駄になることなく、冒険につながるようになった。


濃密なゲームボリューム

  • キャッチコピーにもあるように、本作は非常に濃密。公式曰くプレイ時間は70~100時間にも及ぶ。さらに虫やお宝の収集、各地におかれた女神キューブや感謝のかけら集め、ミニゲームなどのやり込み・寄り道要素も満載。
    • 女神キューブとは大地の各地に置かれたキューブで、これにスカイウォードをあてると対応した大空にある宝箱が開くようになる。宝箱の中には冒険に役立つ便利なアイテムや多額のルピーが入っている。
    • 感謝のかけらは、人に感謝されたときに出るもので、集めると同様に役立つアイテムがもらえる。
    • どちらも集めるのは大変だが、ゲームが進むとダウジングによってどこにあるか知ることが出来、収集の手助けになる
  • ミニゲームはシリーズ恒例の弓矢を用いた射的の他にも、ルピーの掘り当てやトロッコレース等バラエティに富んでいる。


伝説のはじまりを描くストーリー

  • 今作の世界にはまだ「ハイラル」という言葉すら存在しない。マスターソードの誕生までのエピソード等が描かれ、テレビCMでは「ゼルダの伝説、はじまりの物語」とされているように、現時点で今作がシリーズ通して時系列的に最初の物語となる。
    • シナリオは従来のゼルダシリーズを踏襲した極めて王道的な作風で、期待を裏切らない出来である。
      • 伏線の張り方等も絶妙で、何度もよく目にしていたアレが実は…という仕掛けも多い。
    • 『時のオカリナ』や『風のタクト』等の歴代ゼルダ経験者向けのネタも多数仕込まれているが、時系列上最初の話なのでゼルダの知識が全く無くても問題なく楽しめる。


魅力的なキャラクター

  • 今作のゼルダは姫ではなく、リンクと幼馴染で同級生というかなり近しい関係であり、ゼルダ個人に関する描写も多いため、「助けたい」という気持ちをより強くさせる。
  • 敵のボスであり作中幾度となく闘うことになるギラヒムも、その独特のセリフ回しや行動・動作も含めた奇抜なデザインがとても印象的。
    ファンは彼を本当に「ギラヒム様」と呼んで親しんでいる。
  • 本作のパートナーキャラのポジションである、剣の精霊ファイ。人造生命体らしく機械的な思考・台詞が特徴だが、駄洒落を交えた解説をしたりリンクの行いに注意や苦言を行ったりするなど、印象的な部分も多い。
    • そして彼女は出会う人物・敵全てに解説を行ってくれる。中には思わず笑ってしまうものも。
  • 他にもドラえもんで言うジャイアンにあたるポジションキャラのバドを始め、どのキャラクターもそれぞれの魅力にあふれている。ゲームやイベントを進めるに連れて彼らの意外な一面も見られたりすることも。特にバドは初登場シーンからは考えられないほど非常にカッコよくなる。
  • また風のタクト以降ちょくちょく出演している「テリー」や、ムジュラ以降シリーズの定番ネタとなりつつある「手」などお馴染のサブキャラも登場する。


高い難易度

  • これまでのゼルダシリーズはどちらかというと低難易度化の傾向にあったが、本作はそれらに喝を入れるかのような高難易度になっている。そのため「風のタクト」「ふしぎのぼうし」以降と同じ感覚でプレイすると、確実に痛い目に遭う。
    • その分ハート初期値は従来の倍の6から始まるが、最初のダンジョンですでに1ミスで1~2ハート分を削る敵やボスがいるなど、特に序盤が初期作並の手強さ。詳しくは後述するが、ゲームに慣れるための意図的な設計ではないかと思われる。
  • ただの雑魚敵も適当に剣を振れば倒せるような相手ではなく、的確にこちらの攻撃を防御してきたり、特定の切り方でないとダメージを与えられないといった一癖ある敵ばかり。剣の振り方やアイテムの使い分け、時には無視するなどの戦略も必要。
    • 例として挙がるのがスタルチュラ。「時オカ」から出ている巨大なクモで、腹部が弱点……なのだが、倒すにはまずひっくり返すか剣撃で向きを変えてから腹部を斬らなければ倒せない。地上にいる時はともかく、宙にぶら下がっている場合は攻撃するなどして向きを変えなければならない。初プレイ時は高確率でこいつ相手に躓くことになるであろう。
    • それでも、相手の動きを見極め、相手の隙に乗じて攻撃すれば気持ちよく斬ることが出来る。前述の通り慣れてくると自由自在に斬ることが出来るようになるので、苦戦させられた敵を思うがままになぶることが出来るようになる。回転斬りなどがヒットするとかなり吹っ飛んだりするので、爽快感もある。
    • さらに……
+ 序盤のネタバレ含む
  • なんと最初のダンジョンのボスがいきなり前述のギラヒムである。最初だから手加減を…等ということは無く(それでもかなり弱化はされているが)割と本気で殺しにかかってくる。
  • 剣の振り分けを基本操作と上述したのは、正しい方向から切る、という操作ができないとこの戦いは絶対に超えられないようにできているからである。
  • 「がんばりゲージ」の導入。
    • 所謂スタミナゲージで、ダッシュしたり重いものを持ち上げたり、ツタなどにしがみついていると消費する。なくなるとリンクはヘロヘロになってしまい、ゲージが回復し切るまで動きが鈍くなって一部の動作も行えなくなってしまう。これによりツタや崖の移動時に常に落下の危険性が伴う等の緊迫感が加わった。
    • ダッシュが実装されたことで遠いところへも短時間でたどり着けるようになり、非常に快適なプレイが可能になった。また、壁にダッシュすると、壁を蹴ってよじ登るという”かけあがり”というアクションが追加された。これにより、今までブロックがなければ上ることが出来なかった壁にも登れるようになり、よりリンクの挙動がリアルになった。普段の移動の他にも、大きな盾を構える敵に向かってダッシュし、その盾を駆け上がって後ろに回り、隙だらけの背面を斬りつけるなど、戦闘にも応用できる重要テクニックとなっている。
    • ダッシュが出来るようになったので、敵と戦ってピンチになったら全力で逃げ出すなど、幅広い戦略をとれるようになった。
    • ツタの移動時にも、リモコンを振れば飛び移ることが出来るようになり、移動が非常に快適に。ゲージは減るものの、がんばりの実というアイテムをとれば瞬時に回復する。ゲージが減り続ける場面では大抵設置されているので、よほど無計画なプレイをしない限り落下するようなことはない。
      • がんばりゲージの減少を遅くする薬もあり、この薬を強化すればがんばりゲージが一切減らなくなる為、ダッシュし続けることも可能になる。
    • とはいえ、実質ダッシュに制限がかかってるような状態である故、ダッシュぐらい自由にさせて欲しいという意見もあり、賛否両論となっている。
  • これまで盾は無敵の存在で、一部の盾を除いて防御すればほとんどの攻撃を防ぐことができたが、本作は盾までもが消耗品扱いになっている。耐久度が設定されており、普通にダメージを防ぎ続けただけでも壊れる。
    • この仕様のために今までの常套手段であった「盾で防御しつつ時間をかけて攻撃のチャンスを伺う」といったことができなくなっている。
      • また、今作では鉄製の盾にも電気攻撃を防げないという弱点が設定された。
    • 壊れた場合は当然新しいのを買い直さなければならないし、何よりこれから向かう先の地形特性に合わせて持ち替える必要もある。一応弱点が無く、自己修復する盾も存在しているが、こちらは耐久度が極めて低く、盾アタックに習熟しきるまでは常用はままならない。
      • 弱点が無く、ゲージが減らない従来通りの仕様の盾もあるが、入手可能になるのが終盤も終盤になってからなので通常プレイでは使えない。
    • 盾は強化して壊れにくくしたり、壊れる前ならジャンク屋や薬で盾を修理することもできる。また、敵の攻撃を受ける際にヌンチャクをタイミングよく振る「盾アタック」が決まれば盾の耐久ゲージは減らず、さらに敵を怯ませる事もできる。
      • 盾アタックはほとんどの敵に有効なため、積極的に狙うことが推奨される。
    • 盾を能動的に外したまま進行することも可能。無論メリットは一切ないが、今迄は盾によって見えなかったリンクの背中や剣の鞘を好きな時に好きなだけ見れる。
  • アイテム選択画面を開いても時間が止まらない。装備変更や回復アイテムを選ぶ間も常に状況は変わる為、悠長に選択画面を見ている暇はない。
    • また、薬を飲んでる間も一時停止しないのでピンチになる前に飲むか温存しておくかの判断が重要になった。その代わりに飲みながら歩けるようになった。
  • 試練として、「サイレン」が登場。ここは「リンクの心の試練」という設定で、「しずく」というアイテムを15個入手するのが目的。
    • ここには剣も含めて一切のアイテムを持ち込むことができず、よって雑魚敵は倒せない上に攻撃を喰らうとまた最初から集め直し。しずくを1個入手する度に敵の動きは止まるが、その時間も限られている。その間見つからないように進まなければならない。全てのしずくを入手して指定の場所まで戻ればクリアとなる。
    • ただ目の前のしずくを闇雲に取るのではなく、取りやすいものは後回しにするなどの戦略も必要。「急がば回れ」「短気は損気」ではあるが、時には敵に見つかるのを覚悟して、次のしずくまでノンストップで走るという一見無茶な選択も必要とされる場合もある。
  • 本編を一度クリアすると出現する「辛口モード」。雑魚を倒してもハートが出てこずハート花も存在しないというのに、受けるダメージが2倍になっているなど、文字通りの激辛アクションアドベンチャーが待ち構える。
    敵の攻撃をしっかり見切る戦術以上に、スカイウォード*1を使い、遠距離から攻撃をさせずに倒すというテクニックが重要になってくる。
    • 一応あるアイテムを持っているとハートが出てくるようになるが、元から攻撃が中々痛いこのゲームで被ダメ2倍はハートが出てこようが凶悪。回復アイテムはあくまでも気休め程度に考え、そもそも敵の攻撃を受けないことを前提としたノーダメージプレイが必須となる。辛口の名は字面以上である。
  • セーブがこれまでのどこでも自由に行える方式から、一般的なRPGと同じく特定のポイントで行う方式に変更。少し進んではセーブ、という手段が取れなくなり、ピンチの時は無理しても進むか、回復に戻るか、という駆け引きが生まれた。
    • シビアになったように感じるが、ダンジョン内にはある程度の間隔で置かれているので、ゲームが中断しにくいといったことは意外と少ないかと思われる。


グラフィック

  • 今作のグラフィックデザインは『時のオカリナ』から始まった「リアルゼルダ」を踏襲しており、リアルな高頭身でキャラクターが描かれている。
    • 一方で、写実路線だった『トワプリ』と異なり、キャラクターデザイン自体はややアニメ調のデフォルメの効いたハーフトゥーンという技法で描かれており、水彩画風の淡い色彩で統一されている。
      • これについては「開発初期はキャラクターも水彩画風にしていたが、これでは背景に埋もれて見えづらくなってしまったため」と公式ホームページの「社長が訊く」で説明されている。


問題点

  • 致命的な進行不能バグ
    後半、ある特定の順序で進めてしまうと後のイベントが発生しなくなり、そのまま進行不能となる。
    • これに対して任天堂は謝罪し、本作のデータを入れたSDカードを送ることで修正をするという対処がされた(詳細)。
      修復プログラムもWiiチャンネルとして配信。ネットに接続している人は、自宅での修復も可能である。
    • 回避不能というわけではないが発生条件がやや気づきにくいため、犠牲となったプレイヤーも多い。
  • 空中と水中の操作性が悪い。
    • 「リモコンの傾きに合わせて進行方向が変わる」という操作方法にいきなり変わるため、思い通りに動かすのが難しく、もどかしい、ストレスの貯まる操作感になってしまう。
      • Wiiのソフトで定番の批判となっている「無理やりリモコンを使わせて操作性を損なう」に該当してしまっている。今作は前作に比べてかなりリモコン操作が練られており、特に地上では道具の使い勝手も含めて極めて快適(おそらくWiiのアクションアドベンチャー随一)なだけに悔やまれる点。
    • このゲームはリモコンの傾きを普段地上では剣や道具の操作に使っている。そのため高台からジャンプして水中に落ちたりなどすると、エイミング(照準)操作がいきなりリンク自体の操作に切り替えられてしまう。これは明らかに直感的でなく、ゲームテンポを阻害している。
      • ロフトバードの操作の場合は自分から大空へ飛び立って任意的に起こす動作であり、演出も長めで心の準備ができる「ミニゲーム的要素」であるのに対し、水中へ落下するのはプレイヤーが「やりたくてやっているわけではない」事が多い。たとえばダンジョンの探索などで不意に水中に落ち、いきなり操作体系が変わるのは煩わしいことこの上ない。
      • 今作で最も評価が低い場面が、水没したフィールドの探索パートと言われているあたり、問題点は浮彫り。
    • 空中と水中ほどではないが剣の突き動作もやや出しにくいと言われている。ただこちらはいきなり操作体系が変わると言ったものではないので大きな問題はなく、そもそも突きが出しにくいという意見にも異論が結構ある。
  • 空中のフィールド移動が退屈で面倒。
    • 『風のタクト』の海の移動が散々批判されたにも関わらず、同じ失敗を繰り返してしまった形である。もっとも、自分で操作する必要があるため『タクト』よりは退屈さは緩和されたという意見もあるが。
    • またゲーム冒頭でロフトバードによる空中移動をクリアしないと先に進めないチュートリアルがあるが、この難易度が前述の操作性の悪さも相まって高い。独特の操作にまだ慣れていない状態でノルマを課せられるので、苦手な人はここで何十分も詰まってしまう可能性がある。
      • 新しいゲームを開始したばかりの時点でこんな面倒でストレスの貯まる操作を強いるのは、プレイヤーのモチベーションを大きく下げる要因になってしまうが、これも『トワプリ』で釣りのミニゲームを冒頭で強制させた失敗を繰り返してしまっている。
  • ダンジョンや地域が少ない。基本的には同じ地域を何度もプレイすることになる。
    • この点は「社長が訊く」でも触れている。その分密度重視でボリュームそのものはあるのだが、同じ所を行き来することになるのでプレイしている内に飽きがくる。
    • しかしながら、地形は非常に複雑で、とても作りこまれているため、ちょっとやそっとでは探索しきれるものではなく、迷ってしまうこともしばしば。何度も訪れる間にも新しい場所など、新しい発見もあり、通いつめてその地形を覚えるほどスムーズに冒険を進められる。地形は冒険を進めて再び訪れた時には火山の噴火などによって大きく変化することもあり、非常にバラエティに富んでいて、丁寧な作りこみを感じられるだろう。
    • ダンジョンの数にしても、流石に4つしかなかった『ムジュラの仮面』よりは多いし、丁寧に作りこまれていて、ボリュームの少なさを感じることはない。
    • ただ、ボリュームの裏返しで常に何かギミックが存在している事や、基本的に一本道な点もあり2周目の辛口モードを遊び始めるあたりでは段々と作業感が増してくる。
      • テンポ向上を重視するあまり、ファイが然程アドバイスしてくれなくなるというのも、それはそれで世界観やストーリー上問題ではあるのだが…。
  • ゲームを起動するたびに、お宝と虫を入手した時の演出が入ってしまうので煩わしい。
    • ついでに言うならその時敵などに注目していた場合は注目が解除されてしまう。そのため場合によっては敵に背を向けてしまう結果となり、いらぬダメージを受けるハメになることも。
  • Wiiモーションプラスの機能が必須
    • 本作ではWiiリモコンを振った方向などをより正確に把握するために、初期のWiiリモコンには搭載されていなかったジャイロセンサーを追加する「Wiiモーションプラス」を利用している。そのため、Wiiリモコンに別売りの同パーツを装着するか、組み込み済みの「Wiiリモコンプラス」が必要。
      • ソフト単品版では『ムジュラ』のような注意書きがなかった点が批判されている。
      • なおWiiリモコンプラス同梱版は限定カラー同梱の25周年パックしか存在しなかったが、2012年1月31日に通常カラーである白のものを同梱した新パッケージが発売された。前者が限定版、後者が通常版という見方もできる。
  • 電気を防ぐ盾は存在するが、電気を防ぐ剣は存在しない。
    • 電気を帯電している状態の敵を斬りつけたり、電気を帯びた武器を使う敵を間違った方向から斬りつけると感電して逆にこちらがダメージを受けてしまうのだが、これを防ぐ手段がない。ストーリーを進めて剣を最終段階まで強化しても、間違って帯電している敵や敵の武器を斬りつけると感電してしまうのは相変わらず。
      • これまでのシリーズにもこのような敵は存在したし、一応スカイウォードや弓矢で遠距離から攻撃したり、パチンコで隙を作るなどして安全に戦う手段はある。だが、防ぐのはできるのに剣で倒せないのはもどかしいという意見もある。


総評

5年の歳月をかけて作られた期待の新ゼルダ、その出来は当時のファンの期待に応えるべきものとなっている。
シリーズの時系列の始祖に相応しい壮大なストーリー、高難易度でかつ操作体系やシステムを一新しながらも緻密なバランスを保つゲーム性は、その変化の激しさ故の賛否こそあれど多方面でハイクオリティな水準を保っている。

今までの低難易度志向によりゼルダから離れていたプレイヤーも振り向かせることに成功した一作ではあるが、逆に言えばそれだけ初心者やライトユーザーを突き放しているという事でもある。
それ故、「人気のあるシリーズだから~」と気軽な気持ちで手を出すことはオススメできない。ゲームにある程度慣れた上で、覚悟を持って伝説の序章に挑んでいただきたい。

余談

  • シリーズ25周年記念作品でもあり、ソフト単品の追加出荷分以外には25周年記念スペシャルCDが同梱。
  • 公式サイトに発売前から過剰なネタバレ要素が含まれていた。
    + 若干ネタバレ要素あり
    • 公式サイトでは発売前よりワールドマップ全体とほぼ全てのエリア・ダンジョン名及び映像が公開されていた。ダンジョンについては、5つめと7つめを除いた全てのダンジョンが公開されていた。(現在も当時のまま公開されている)
      • ゼルダの醍醐味は「冒険」である。特にエリアが比較的少なくワールド全体が狭いこのゲームにおいて、それら及びその終着点であるダンジョンや景観をほぼ全て事前に明かしてしまうのは、確実にプレイヤーの期待や楽しみを損ねることとなる。
      • その上で問題となるのが公開されていなかった終盤部分。このゲームの内容を3部に分けるならば、序盤・中盤についての行動範囲とダンジョン名については(公式サイト上では)5つめを除き全て公開されてしまっている。つまり事前に公式情報に目を通していたプレイヤーはここからがいよいよ未知の領域となるわけだが、これが(風のタクトのそれ程ではないものの)非常に異質で作業的なものとなっており、ダンジョンもラストダンジョンを除き登場しないため、従来のゼルダらしい冒険に相当する部分はほぼ全て公式情報のネタバレ範囲内ということになる。これにより事前に公式情報に目を通すか通さないかではプレイ後の印象が大幅に変わり得る。
    • 「社長が訊く」では『"濃密"な作り込みゆえ"濃密"な情報が印象を損ねることはないので安心して欲しい』と随所で強調されているが、本当にその通りであろうか?
  • 2021年7月16日に『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』がNintendo Switchで発売予定。