ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス

【ぜるだのでんせつ とわいらいとぷりんせす】

ジャンル アクションアドベンチャー

対応機種 Wii
ニンテンドーゲームキューブ
メディア Wii 12cm光ディスク 1枚
GC 8cm光ディスク 1枚
発売・開発元 任天堂
発売日 2006年12月2日
定価 6,476円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 犯罪
備考 GC版は任天堂オンライン限定販売
※現在は販売終了
判定 良作
ポイント リアルな世界観で構築された『ゼルダ』
過去最大規模のボリューム
狼リンクに賛否あり
やや冗長感・マンネリ感も
ゼルダの伝説シリーズ

概要

任天堂が誇る謎解きアクションアドベンチャー『ゼルダの伝説』シリーズの一作。2世代にまたがる据え置きハードで発売された縦マルチの作品として、GCの最後とWiiの最初を飾った。
当初はGCでのみ発売を予定していたが、後にWiiでも発売されることとなったため、日本では混乱を防ぐためGC版を任天堂公式のオンライン限定販売にしたという経緯がある。ちなみに海外ではGC版も通常通り一般販売されていた。
Wii版とGC版を合わせた売り上げは885万本。北アメリカではWii版の1か月後に発売されたGC版のみでミリオンを突破しており、Wii版と合わせた北アメリカでの売り上げは480万本を超えている。
日本でも60万本を突破しており、Wiiのロンチキラータイトルとなった。

Wii版ではWiiリモコン&ヌンチャクを利用した体感操作を可能とするため、今まで左利きだったリンクが右利きになっているばかりか、GC版からUI以外のほぼすべてが左右反転になっている。その他、アイテムを合計4つまでセットできるなど細かい違いがある。

本作は、『時のオカリナ』で7年前の少年時代に戻ったリンクの進言により、ガノンドロフの野望が未然に防がれ平和が保たれたハイラルの百数年後を舞台としている。


ストーリー

魔王ガノンドロフの野望を打ち砕き、時の賢者ゼルダ姫の手引きによって7年前の少年時代に戻ったリンクは、
ガノンドロフを未然に処刑することで魔王の野望を阻止することに成功する。
それと引き換えに、現代のハイラルに勇者の伝説は不在となった……。

百数年後。

トアル村に暮らす牧童の少年リンクは、魔物にさらわれてしまった村の子供を救うべく後を追った先で、
トワイライトと呼ばれる異世界に足を踏み入れてしまう。
そこで出会った謎の魔物ミドナと共に戦う中で、リンクはトライフォースをめぐる因縁の戦いに身を投じることになっていく。


ゲーム内容

  • おおまかな志向は「Wii(GC)で作ったリアルゼルダ」といったところ。
    • 風のタクト』でのトゥーン調からリアル路線に舵を戻し、『時のオカリナ』や『ムジュラの仮面』で見られたようなグラフィックやシステムをより精巧に突き詰めている。
    • 64時代より表現力が増したこともあり基本的なストーリー自体は王道ながらも、全体の雰囲気としてダークさが増した。システム面も64の二作のそれをほぼ踏襲している。
  • 最も大きな新要素として「狼リンク」と「騎馬戦」が挙げられる。
    • 「狼リンク」は、その名の通り狼になったリンクを操作できるシステム。
      • 狼リンクは嗅覚や聴覚が発達し、覚えた匂いを追跡したり、動物と話してヒントを入手できるようになる。序盤は特定箇所で強制的にこの姿になるが、中盤以降任意で変身できるようになる。
    • 「騎馬戦」では、騎馬状態でかなり自由度の高い行動・戦闘が可能。それをフィーチャーしたイベントもある。
    • これに加え剣を用いた戦闘では「奥義」という新アクションが追加された。
  • 本筋と関係ないサブイベントにも64時代にあった「釣り」に加え「黄金の虫集め」「ゴースト集め」が追加され、新たなミニゲームも存在する。

評価点

  • メインキャラクターで本作のヒロインであるミドナの描写
    • ミドナは今作のキーキャラ(メインヒロイン)でナビィやチャットのようにサポートも担当する。
      • 64の妖精たちと違い、小柄で女性的な魔人というフェティシズム全開のデザインのため、いわゆる人外キャラの人気が高い海外では(シリーズの元々の人気もあって)かなりの人気度を誇る。
    • 序盤は(色々事情があるのだが)リンクに傍若無人な態度を取る場面が多く、あまり好きになれない人もいるかもしれないが、*1様々な困難をリンクと共に乗り越えることで自分の使命に目覚めリンクに好意的な態度も見せるようになる。ようはツンデレ。
    • この過程が作中を通してきちんと描かれ、物語の最後の展開もあいまってキャラ人気は高い。
  • 美麗なグラフィック
    • GCでは間違いなく最高クラスで、SD画質ながら当時の次世代機であったPS3/360の一部のソフトを上回るほど。
      • 特に任天堂が得意とした水の表現はかなりのもの。
  • ボリュームが多い。
    • 製作期間に恥じないボリュームで、ダンジョン数、攻略するマップの広さ共にゼルダシリーズ屈指。
  • 「奥義」や、騎馬戦など、正当進化を果たした要素
    • 「奥義」は全部で7つ*2存在し、特定の場所にいる骸骨の騎士から「居合切り」等の特殊アクションを教えて貰える。
      • これにより従来よりも攻撃のバリエーションが増え、より白熱した戦闘が可能となった。ストーリーの都合で最初に必ず習得することになる「とどめ」以外は全部取らなくてもゲームクリアは可能だが、習得しておくと一部の敵に対して非常に有利になれる。
    • 「騎馬戦」は、従来の乗馬中の攻撃を大きく発展させたもので、シリーズお馴染みのエポナに乗った状態で戦うボスも登場。弓のみならず剣でも攻撃できるようになった。
      • 騎馬の挙動は「さすがゼルダ」と言わせる出来で、開発陣が実際の馬の動きを参考にしただけあってリアルな躍動感に満ちている。それに乗って弓矢や剣で強力なボスと渡り合う迫力は当時の次世代機ゲームにも劣らない。
    • また、旧シリーズとは違いエポナに乗っている時もしっかりダメージを受け、時には落馬することもあるので、緊張感が増した。*3なおエポナに攻撃すると蹴りで反撃される。
  • 進化した演出
    • 実機ムービーが長くもなく短くもなく、かなり効果的に使われている。初見一周目からボタン二度押しでスキップすることも可能。
      • 騎馬戦前後はかなり燃えるし、ゼルダ姫の美しさが再確認できる実機ムービーや、ボス戦前のものも好評。
  • 細かなアクションの追加
    • 走りながら剣で攻撃する事が可能になったり*4、爆弾等を運搬する際は持ち方を変えるようになった等、派手さは無いがリアリティを重視した改善が多々施されている。
  • リモコンアクションの醍醐味
    • Wii版では「剣を振る」「盾アタック」というアクションを「リモコンを振る」「ヌンチャクを突き出す」とプレイヤーのシンクロ性を意識した操作にしており、特に剣士系の敵との戦闘での醍醐味を存分に味わわせてくれる。
    • たらして魚を釣るという「釣り」の感覚も、リモコンだからこそ再現しうる操作感に仕上がっており、スタッフのプッシュに相応しい完成度と言えるだろう。
    • 最初こそ慣れが必要だが、操作性は決して劣悪ではなく、すぐ思うように動かせるようになる。
  • 質の高いBGM
    • 勇ましく世界観を彩る「ハイラル平原メインテーマ」や、ミドナに関する印象的なイベントで流れる「傷だらけのミドナ」に加え、一度聴いたら絶対に忘れないであろう「マロマート」等は今なおファンの間で話題になる。
      • 過去作品のアレンジ曲も多く、これらも好評。
  • これだけのグラフィック・アクション性を内包しながらロードは短く、処理落ちもほとんどない。
    • よって、3Dゼルダ過去作に親しんだ人もほとんどストレスなく楽しめる。

賛否両論点

  • ダンジョンボスが弱い
    • 今作は比較的ダンジョンが多い(加えて、ダンジョン内にハートの欠片の入った宝箱が多く存在する)ため、探索をしなくとも後半はかなりのハートが確保できる。しかし、それにボスの攻撃力が全く追い付いていない…というより、最初から最後までボスの攻撃力が変わらないため、相対的に後半になるほどボスが弱く感じてしまう。
      • シリーズ経験者なら、ボス戦に限っていえば初期のハート3つのまま進めてもさほど苦労しないと思われる。
    • 当然ラスボス戦も例外ではなく、寄り道せずに進めてもハートが14前後はある中で、ラスボスは一部例外を除いてハートを半分から1個しか減らしてこない。
      • それでも、攻撃自体は後半のボスほど激しくなっている。終盤は連戦を重ねるボスもいくらかあり、攻略法が分からなければ長期戦の末にこちらが削り殺される、という可能性は無いわけではない。
      • ダンジョン内外の謎解きに苦労させられる分、ボス戦では壮大なシチュエーションをストレスなく楽しんでもらう意図があるのかもしれない。

問題点

  • Wii版のリモコンとヌンチャク
    • 初期のWiiソフトにしてはうまくプレイスタイルに溶け込んでおり、上述のようにリモコン操作で味わえる醍醐味もあるにはあるのだが、「リモコンの仕様を無理に使った」感が否めない箇所も少なからずある。
      • 具体的には剣の操作は「リモコンを どの方向にでも 振る」=GC版のAボタン相当であるため、プレイヤーとリンクの動きは特に一致せず没入感を削がれるし、方向も強さも使わないのならモーション操作である必要性は少ない。
    • リモコンのスピーカーから、剣を取り出したときや、仕掛けを解除したときなどにSEが鳴るが、非常にチープな音*5で、さらに通信できる量の限界かノイズがかかったり、時々通信不良で音が途切れたりと散々。剣はまだいいとしても、仕掛けのSEはわざわざリモコンで鳴らす必要性が薄い。
  • ボリュームの濃さの裏返しでもあるが、冗長感がある。
    • マップが広すぎる。2つ目のダンジョンをクリアして少し進んだ時点で『時のオカリナ』並みのマップの広さ*6となり、「広大」というより「だだっ広い」という印象になりがち。
      • 特に城下町には、もっとサブイベントや入れる建物が欲しかったところだが、本来なら色々入る予定だったものの大人の事情で盛大に削られてしまったという。
    • 狼リンクの必要性を問う声が多い。というのも、狼パートは基本的に一本道の自由度が低い探索パートであり、今作が冗長と言われる所以はこれにあるといっても差し支えない。
      • 「狼になれる・ゴーストなどと戦える」事自体への批判はないが、そもそも狼を操作することが『ゼルダ』らしくないという声もある。…じゃあ『ゼルダ』らしさとは一体何なのか、と問い質したい気はしないでもないが。
        もう少し狼状態の活かし方を工夫すれば十分解消可能な問題と思われるだけに、残念でならない。
    • ゲームを起動するたびに5ルピー以上のルピー取得の際に演出が入り、煩わしい。
  • 自由度の低さ
    • 普通の3Dアクションとしてみたらそこまででもないが、ゼルダとしてはその気が強い。攻略の自由度が高い『ムジュラ』や、序盤を越えれば移動範囲が一気に開ける『時オカ』『風タク』とは雲泥の差。
    • 前述のようにメインシナリオのボリュームが膨大な反面、息抜きとなるようなサブイベントが3Dゼルダ過去作とくらべてやや少なく、プレイヤーによってはひたすら本編を進めることばかりに集中してしまうようなプレイスタイルに陥りやすい。
    • ルピーの使い道がメインシナリオ中で要求される一部の場面を除くとほとんどない。一応、「装備すると無敵になるが、その間ルピーが凄まじい勢いで減っていく」という隠しアイテム「マジックアーマー」が存在し、全く使い道がないわけではない。ただルピーが尽きた場合のデメリット*7ゆえに実戦での使いどころに乏しく、ルピーを減らすためだけにマジックアーマーを装備するという本末転倒な事態になることも。マジックアーマーが役立つのは大妖精の洞窟*8ぐらい。
      • 本作でのルピー所持上限は最大で1000ルピーと『時オカ』の2倍なのだが、ルピーを預けられる施設がない。フィールド上にはルピーの入った宝箱が大量に設置されており、軽々と所持上限に達してしまう上に、上限だと宝箱のルピーを取ることができない。結果、宝箱を開けずに放置するか、消費してから戻ってくる二度手間になる。
      • 次作の『スカイウォードソード』では改善されたが、こちらではコレクトアイテムで同じような問題が発生してしまっている。
    • 時オカ』から続投した「時間」は本作でも重要なファクターにもかかわらず、昼夜を操作する事ができない。今作でも時間に関するイベントが多い(特にゴーストはフィールドでは夜しか出てこない)ので、かなり痛い。
  • 目新しさに欠ける謎解きやイベントの解決法が多い。
    • 焼き直し感があるかというとそうでもなく、ボリュームを考えると頑張っている方であり新要素も多い。それでもダンジョン数の多さに対して新しい謎解きの数が間に合っていない。
      • アイテムは『時オカ』に似たりよったりだった『ムジュラ』がダンジョンが少ない反面工夫があったのに対し、本作は『時オカ』を踏襲しているのか王道なダンジョンが多い。斬新な印象を残すアイテムはスピナーとコピーロッド、ダンジョンのあり様として新機軸なのは「雪山の廃墟」ぐらいである。
      • また、過去作のBGMのアレンジの多用がその感覚に拍車をかけているという皮肉な作用ももたらしてしまっている。
  • 釣堀で遊べるコロコロゲームの難易度が鬼畜。
    • 特にWii版のリモコン操作での難易度の高さが有名(ボタン操作であるGC版はそれに比べれば少し易しい)。
    • 最難関の8面まですべてクリアしたご褒美は、ゲーム中で最もレアな魚であるハイラルドジョウが釣れるようになる「カエルルアー」。
      • クリアできなくてもコンプに関与しないのが救いだが、ルアーの解禁のために、釣りと全く関係ないミニゲームのクリアを要求されるのは何とももどかしい。
    • カエルルアー入手後に挑戦できる2周目以降は、より制限時間が短くなった状態で、1~8面をループしていく形となるが……
      • 驚くべきことに、完全クリアしようと思えばそれを8周も繰り返さなくてはならない。周回ごとにみるみる制限時間が短くなっていき、最終的には超高難易度ゲーと化す。
      • そこまで苦労して達成した完全クリアのご褒美も「現在持っているルピー額を倍にしてくれる」という微妙なもの。はっきり言って苦労に見合ってない。
      • とはいえ、景品がハートのかけらや有用なアイテムだった場合、コンプリートするための大きな障害となってしまうが。
    • このような鬼畜要素などのせいで、この釣堀を管理しているNPCが「悪女」呼ばわりされてしまうこともしばしばある(理由は他にもあるが)。
  • ストーリー中でのミドナの扱い
    • ミドナ自体のキャラは人気だが、ゲームの進行の仕方に関しては幾らか意見が出ている。
      • 例えば「何かあるたびにミドナがしょっちゅう出てきてゲームが止められる」ことでテンポを悪くなっているというものが一つ。
      • また、「リンクは従来通り無口なのに対して、ミドナは積極的にリンク以外とも会話する」という性質故に「ミドナと他のキャラクターが一対一で話す状況になり易く、主人公のリンクが蚊帳の外に置かれている感が出る」と言われる場面もある。

総評

シリーズの王道をすべて踏襲したハイレベルな作品。
過去作と比較して冗長さやマンネリ感、一本道感が強く、新要素である狼化が目新しさと引き換えにその欠点を更に強めてしまった点だけは悔やまれる。
だが、総合的に見れば過去作から進化した要素も多く、その他の面も良作の水準を十二分に超えている一作と評価できるだろう。
国産ゲームとしては稀に見るハイクオリティのアクションアドベンチャーに仕上がっており、ゲームオブザイヤーをはじめ数々の賞を受賞するに至った。

『ゼルダ』シリーズのファンからシリーズ未経験者まで幅広い層が安心して楽しめる、シリーズの象徴的な一作である。


余談

  • リアル路線となった影響か、本作のレーティングは『ゼルダ』シリーズとしては初のCERO:B(12歳以上対象)となっている。
  • 2008年5月1日、本作のグラフィック素材やキャラクターモデリングなどを再利用して制作された『リンクのボウガントレーニング』が発売。
    • ただしゲームシステムは本作および『ゼルダ』シリーズとは大きく異なり、ストーリー的な要素もほぼ存在しないシューティングゲームとなっている。
      • ちなみに、こちらのレーティングはこれまでの『ゼルダ』シリーズと同じCERO:A(全年齢対象)である。
  • 『ゼルダ』シリーズのお祭りゲーとして2014年8月14日に発売された『ゼルダ無双』では、プレイアブルキャラクターとして本作から「ミドナ」「ザント」「アゲハ」「真のミドナ*9」が参戦。
    • この中でアゲハが参戦した理由については、公式によると『ゼルダ無双』開発チーム内で彼女に恋しているスタッフがいたためらしい。
    • 余談中の余談だが、同作におけるザントの動きや攻撃モーションなどは、原作の終盤で見せた姿をかなり忠実に再現している。原作終盤のザントが印象的だったプレイヤーには一見の価値があるかもしれない。
  • 元々『ゼルダ』シリーズは一般ユーザーに加えてクリエイター側の人間からの評価も高いタイトルが多く、本作もまた複数の著名人がお気に入りのゲームとして挙げている。
    • Ultima Underworld』『System Shock』『Deus Ex』などをプロデューサーやディレクターとして手がけたアメリカ人ゲームクリエイターのウォーレン・スペクターは、2007年9月「お気に入りのゲーム12本」の一つに本作を挙げた。
      • スペクター氏はイギリスの“Golden Joystick Awards”にて2004年に栄誉殿堂となったほか、2011年の“Game Developers Conference(ゲーム開発者会議)”にて生涯功労賞を授与される*10など、北米やヨーロッパを中心に著名なクリエイターとなっている。
      • 本作のほかにスペクター氏は『神々のトライフォース』『時のオカリナ』『スーパーマリオ64』などをお気に入りのゲームとして挙げていた。
    • ポピュラス』『ダンジョンキーパー』『フェイブル』などをゲームデザイナー兼プログラマーとして手がけたイギリス人ゲームクリエイターのピーター・モリニューは、2013年8月「生涯最高のゲーム5本」の一つとして本作を挙げた。
      • モリニュー氏は大英帝国勲章、フランス芸術文化勲章、サウサンプトン大学名誉理学博士号などの受賞歴を持つクリエイターであり、本国イギリスをはじめ世界的に著名。
      • なお、モリニュー氏はこの発言より過去に『時のオカリナ』や『風のタクト』などを賞賛する発言も何度かしており、『ゼルダ』シリーズの熱心なファンでもある。
    • イギリスのロックバンド「レディオヘッド」のメンバーであるイギリス人ミュージシャンのジョニー・グリーンウッドは、お気に入りのゲーム10本のうちの一つに本作を挙げた。
    • また、『時のオカリナ』以降の『ゼルダ』シリーズの主要タイトルほぼすべてにディレクターないしプロデューサーとして携わり、本作でもディレクターを務めた任天堂の青沼英二は、自身がこれまで手がけた『ゼルダ』タイトルの中で、最も思い入れの深いタイトル3本のうちの一つに本作を挙げていた。
      • そのコメントは2017年2月、アメリカ合衆国の大手ゲームメディア“Game Informer”が青沼氏に対して行ったインタビューによるもの*11
        制作側の立場でシリーズ内のお気に入りを明言するのは避けたかったのか、青沼氏は「妻の好みの順ということで」と前置きし、やや冗談まじりなランキングとして回答していた。
      • 同インタビュー内で、青沼氏は第3位に本作、第2位に『時のオカリナ』、第1位に『夢幻の砂時計』の順で(妻の)お気に入りのタイトルとして挙げており、一方で「最も過小評価されていると感じるタイトル」として『トライフォース3銃士』を挙げていた。
  • 『ゼルダ』シリーズの漫画化を長年担当してきた姫川明によって本作も漫画化されており、小学館の漫画アプリ「マンガワン」にて、2016年2月8日から2022年1月31日まで連載された。
    • 姫川氏いわくオリジナル版発売当時も漫画化される方向で話が進んでいたが、年齢制限が原因で企画がお蔵入りとなってしまったため、実に10年越しに漫画化が叶ったことになる。
    • なお連載開始のタイミングは下記のHD版の発売と同時期であったが、実際はHD版の発売にかかわらず本作を漫画化することはかなり以前から決まっていたことが姫川氏の公式ブログにて語られている。
      • 元々は2015年7月に新たな『ゼルダ』漫画化プロジェクトが告知され、その時点で「既に執筆は始まっている」とも発表されていたため、HD版発売のかなり前から漫画化の企画は動いていた模様。
        ちなみにその発表の際のシルエットは、オリジナル版発売前に漫画化を前提として描かれたイラストが元になっていた。
      • 姫川氏いわく、連載開始がHD版発売と重なったのは「たまたま一緒になった」とのこと。
    • 過去の『ゼルダ』シリーズの漫画化は学年誌での掲載だった都合から展開が大幅に省略・改変されているものが多かったが*12、本作では漫画版オリジナルの展開を取り入れつつも、基本的に原作ゲームのメインシナリオや重要イベントを比較的忠実に漫画化する形で描かれており、氏による『ゼルダ』コミカライズシリーズで初めて連載期間6年にわたる長期連載作品となった。
    • 学年誌の制約が外れたからか、リンクの腕が斬り落とされるなどの過激な表現も描かれている。
  • 海外での人気が凄まじく、GC版とWii版の合計売上本数が国内だと64万本なのに対し、世界全体では885万本を記録している。これは、現在も売上本数を更新している『ブレス オブ ザ ワイルド』に抜かれるまで、シリーズNo.1の数だった。

ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD

【ぜるだのでんせつ とわいらいとぷりんせす えいちでぃー】

※オリジナル版と異なる部分のみ記載

対応機種 Wii U
メディア 12cm光ディスク 1枚
ダウンロード販売
発売元 任天堂
開発元 Tantalus Media
任天堂企画制作本部
発売日 2016年3月10日
定価 通常版
ダウンロード版
5,700円(税別)
SPECIAL EDITION 6,700円(税別)
判定 良作

概要(HD)

WiiU向けにフルHD(1080p)で描画されたリメイク版。画面のアスペクト比も16:9に変更されている。画質だけではなく、原作の様々な部分に調整が入っている。
開発は任天堂内製ではなくオーストラリアの企業“Tantalus Media(タンタラス・メディア)”が担当したが、任天堂本社からの指導や監修も交えて開発されたと公式インタビューで語られている。
基本的にはGC版に準拠したHD化となっており、左利きのリンクにGC版のフィールドマップとなっているが、辛口モード(後述)を適用した場合は右利きのリンクにWii版と同じ地形となる。

通常版と『SPECIAL EDITION』が発売されており、『SPECIAL EDITION』はソフトに加えウルフリンクのamiiboとサウンドセレクションCDが付属する*13


主な追加要素と変更点(HD)

  • タイトル通りのHD化及び、WiiUへの対応。
    • 元がリアル指向のグラフィックだっただけにHD化の効果は大きい。キャラクターもより凛々しくなったリンク、より妖艶になったミドナ、よりグロテスクになった敵…など美しさと迫力が増している。
    • Wii U GamePad側にはマップが常時表示されており、時間を止めずにスムーズにアイテムの持ち替えも行える。弓矢やパチンコはジャイロ操作も可能。
    • もちろんWii U GamePadのみでのプレイにも対応。ボリュームがあるだけに寝っ転がって気軽に遊べるようになったのは大きい。
      • PROコンにも対応しているのでPadの充電がつい気になってしまう人も安心。一方Wiiリモコンには非対応。
  • 昨今のゼルダではおなじみの「辛口モード」も搭載しており、左右反転・ダメージ2倍・ハートが出ない仕様になる。ただし『風のタクト HD』と違って途中で切り替えられないので注意。
    • 辛口モードではリンクの利き腕を含む世界全体が左右反転するため、Wii版をやり込んだプレイヤーにとっては慣れ親しんだ地形でプレイできる。
  • 細かな仕様・シナリオの改善
    • ミドナに話しかけずワンタッチで狼リンクに変身できるようになった。細かい点ではあるがオリジナル版ではいちいち5秒程かかっていたのが1秒未満で済むようになり、総合的に大幅なプレイ時間削減につながっている。
    • トワイライトを開放するための必要な雫が16個から12個に減っており、話のボリュームはそのまま冗長さは若干薄くなっている。
    • 5ルピー以上のルピーを手に入れた際の演出が削除され、テンポがよくなった。
      • サイフ自体もオリジナル版より多くの金額が所持できるようになった。最終段階ではオリジナルでは1000ルピーまでだったがこちらは2000ルピーまで所持できる。
  • ゴーストの居場所が昼でもわかるようになる「ゴーストのカンテラ」というアイテムが追加された。マップに倒したゴースト数も表示されるため、取りこぼしがないか確認しつつ進められる。
  • amiiboとの連動要素
    • リンク、ゼルダ、シーク、ガノンドロフ、トゥーンリンクといったゼルダキャラのamiiboを読み込むとそれぞれ異なる効果が得られる。リンクとトゥーンリンクは矢が満タンに、ゼルダとシークはハートが満タンに、ガノンドロフは受けるダメージが2倍になる。
      • ガノンドロフamiiboのみマイナス効果があるが、これは辛口モードのダメージ倍増と重複するのでダメージ4倍という一発食らえばほぼ即死級の超高難易度でプレイすることも可能。
    • 『SPECIAL EDITION』に同梱されているウルフリンクのamiiboを使うと「獣の試練」という全40層の新ダンジョンに挑戦できる。
      • このダンジョンでは通常のリンクになれず、狼形態のまま最下層まで進むという制限がついている。無事最下層にたどり着ければ所持金が9999ルピーまで持てる新アイテム「底なしの財布」が手に入る。
      • また、このダンジョンを攻略することでamiibo自体も成長する。本作だけでは特に意味のない要素ではあるが、後発作品であり同じくウルフリンクのamiiboに対応している『ブレス オブ ザ ワイルド』の方で同じamiiboを使うと、ウルフリンクがより強化された状態で召喚できるという形で連動している。
  • その他オリジナル版にあった細々なバグの修正
    • ただ修正されたバグの中にはRTAやネタプレイなどで使える小技もあったため若干残念がる声も。

賛否両論点(HD)

  • オリジナル版はルピーの所持上限時に宝箱を開けた場合は取らずに戻していたが、本作では上限に達していても宝箱に戻さず持ち切れない分は切り捨てられるようになった。
    • いちいち面倒になってなくていいという意見もあれば損した気分になるという声も。上述の通り今作はルピーの使い道が乏しくサイフの限界も大きくなっているので切り捨てられてもさほど影響はないが。
  • WiiU GamePadでプレイする際、アイテム切り替えがタッチ操作でスムーズに変更できるようになった一方で、タッチ操作を強要されるためボタン操作だけでアイテムを変更することはできなくなっている。WiiU GamePadの画面を汚したくない人には不評。
  • ハシゴやツタの移動スピードが速くなっているためスムーズに移動できるようになったが、移動スピードを速くしただけのためリンクの挙動がやや不自然。

問題点(HD)

  • HD版において追加された「ハンコ」の入手場所がノーヒント。
    • ハンコとはMiiverseで使えるスタンプを増やすアイテムで、各地の宝箱に全50個隠されている。
    • 各ハンコを入手した場所は自分で憶えておくしかないため、ハンコの在り処について当のMiiverseで情報交換をするといったことは難しくなっており、普通に攻略サイトなどに頼る羽目になってしまう。
    • 上記のコロコロゲームと同様、集めなくてもコンプには影響しない。
    • さらに2017年11月8日をもってMiiverseのサービスが終了したため、現在では単なる収集アイテムと化してしまった。
      • 本作の発売からわずか1年8か月で用途が消失してしまったことを嘆く声もある。
  • 風のタクト HD』と同じく大きな追加要素はなし。
    • 「面白いが航海と終盤のトライフォース集めがダルい」というオリジナル版の明確な問題点が改善された『風タクHD』と比べると、HD版ならではのセールスポイントが弱く、オリジナル版をクリア済みのプレイヤーにはあちら以上に薦めにくい。

総評(HD)

画質以外あまり原典と違いはないものの、細かな部分の快適性は向上している。
WiiUを持っていて今から『トワプリ』をやってみたいという人には最適なバージョンといえるだろう。

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最終更新:2024年03月29日 23:19

*1 ただ、狼の姿にされたリンクに対して戦い方を教えてくれるため、これでもまだ親切な方ではある。

*2 厳密には1つはストーリー上必ず習得するので6つ。

*3 過去作品ではエポナに乗ると完全無敵で、敵の攻撃はすり抜けていた。

*4 旧3D作品でもダッシュしながらの攻撃は出来たがあくまでニュートラル攻撃と同じなので一瞬とはいえ立ち止まっていた。

*5 音が反響する場所で金属板をこすり合わせたような音。

*6 例:本作のハイリア湖の広さ=『時のオカリナ』のハイリア湖+ハイラル平原ぐらい。

*7 ルピーが尽きると非常に重くなり、動きが鈍重になる他エポナからも落とされてしまう。

*8 謎解きはなく、ひたすら敵を倒しながら進んでいくチャレンジダンジョン。一度も訪れなくともゲームクリアは可能。

*9 最初のWiiU版発売当初は参戦していなかったが、後に有料DLCとして配信。後発の3DS版とSwitch版では最初から収録されている。

*10 スペクター氏のほかにGDC生涯功労賞を受賞した人物は、宮本茂、小島秀夫、坂口博信、ピーター・モリニュー、トッド・ハワードなどがいる。

*11 当時のシリーズ最新作『ブレス オブ ザ ワイルド』発売直前に行われたインタビュー。

*12 読者層が入れ替わってしまうため1年弱での連載に収める必要があり、単行本は多くても上下巻の二冊だった。

*13 ウルフリンクamiiboは単体発売もされている。