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グローランサー - (2015/10/29 (木) 03:04:29) の編集履歴(バックアップ)


グローランサー

【ぐろーらんさー】

ジャンル ノンストップドラマチックRPG

対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚
発売元 アトラス
開発元 キャリアソフト
発売日 1999年11月25日
定価 7,140円(税込)
分類 良作
グローランサーシリーズリンク

ストーリー

かつて、人々が住んでいた世界は魔法エネルギー「グローシュ」が満ちていた。
人々は大気中に浮遊するグローシュから魔法を使い、生活していた。
しかし、人々は太陽が異常をきたしたため、死の星と化した自分の世界を別の世界と「重ね合わせ」た結果、グローシュは失われ、魔法を使うためには2つの世界の歪みからもれるわずかなグローシュを使うほかなかった。
そしてしばらく後…この大陸には3つの国があった。
大陸の西に位置するローランディア王国は、隣国バーンシュタイン王国と共同で魔法学院を創り、平和的に魔法を活用しようとしていた…。
ローランディアの宮廷魔術師サンドラに拾われた少年は「世を滅ぼす闇となる」「世界を救う光となる」と、相反する2つの暗示を受ける。
彼の将来を案じたサンドラは、自立できる年齢になるまで彼を王都の外へ出さず、外界との接触も持たせぬようにしてきた。
そして、少年が17歳になった朝、彼女は彼に告げた。
旅立ちの日が来たこと、自分の目で世界を見てくるようにと…。
少年は初めて王都を出て、外の世界へ旅立つ。
それが、すべての始まりであることを知らないまま…。
(公式サイトより抜粋)

概要

『ラングリッサーシリーズ』を開発した「キャリアソフト」が開発した「アトラス」のRPG。
「RMC(リアルタイムミッションクリア)戦闘」というMMO風RPGとSRPGを足して2で割ったような独自の戦闘システムと、うるし原智志氏がデザインした魅力的なキャラクターが特徴のRPGである。

戦闘システム

  • 本作の戦闘システムを大雑把に説明すると、『ファイナルファンタジーXII』などに代表されるMMO風RPGの戦闘システムからアクション性を廃止し、見下ろし視点にしたシームレス戦闘である。
    • とは言え、各キャラクターに直接指示を出す事が前提のシステムであり、またキャラクターに指示を出している間は時間が止まっているため、プレイ感覚としてはMMO風RPGよりもSRPGに近い。
    • 戦闘システムだけを見ればRPGと言うよりRTSに近い。
    • 「キャリアソフト」が手掛けてきた『ラングリッサーシリーズ』の戦闘システムをRPGに合うように発展させたものとも言える。
  • また、本作の戦闘システムの最大の特徴として、戦闘の目的が必ずしも敵を倒す事では無く「NPCを守りながら敵を全滅させるor一定時間を稼ぐ」「アイテムを入手して戦闘エリアを脱出する」「敵に成り済まして攻撃する事により仲間割れを誘う」などの勝利条件を達成する事である。
    • そのためストーリーのシチュエーションに合わせた戦略が要求されるため、飽きる事無くゲームを楽しむ事が出来る。
    • 従ってストーリーの出来がゲーム性の面白さに左右する事が多いのが特徴である。
  • さらに、この戦闘システムを盛り上げるのが、敵国が抱える1人で100人を相手に出来る最強の騎士のみに与えられる称号「インペリアルナイツ」の称号を持つ騎士達の存在である。
    • 「インペリアルナイツ」の一人「ジュリアン」は敵・味方共にレベル10代のうちから、レベル42という明らかに場違いな強さで主人公達と剣を交える事になる。攻撃を受ければほぼ一撃で倒される上にこちらの攻撃はほとんど効かないのだが、これで「インペリアルナイツ」で最弱なのだから、残りの三人はどれほど強いのかとプレイヤーは思い知らされる事になる。
    • ちなみに上記の文章だけ見ればただの負けバトルに見えないかも知れないが、その戦闘の勝利条件は「ジュリアン」を倒す事ではなく、「ジュリアン」をやり過ごしながら人質を救出する事であるため、明らかに勝てない相手を上手くゲーム性に盛り込んだシステムであると言える。
    • そして、ゲームが進み成長した主人公達は「インペリアルナイツ」と正面から戦う事になるため、成長が実感できる。
    • その設定の秀逸さとゲーム性との相性の良さからインペリアルナイツポジションの称号は『IV』の「ロイヤルガード」や『V』の「スレイヤー」など、以降のシリーズ作にも名前を変えて受け継がれていく。

評価点

ゲームバランス

  • 後述のスキルポイントも含め非常に遊びやすいゲームバランスになっている。
    • レベル上げの負担の少なさもあって全般に遊びやすい。
    • また、シナリオ上、通常は逃げたり負けたりするような強敵*1に対しても、パーティのレベルや戦術によっては撃破できるように作られている。

音楽

  • グランディアシリーズ』や『LUNARシリーズ』などで有名な岩垂徳行氏が担当しており音楽の評価はシリーズ最高との呼び声が高い。
    • 因みに、グローランサーシリーズで岩垂氏が作曲を担当しているのは本作のみである。

スキルポイントシステム

  • レベルアップ時に習得するポイントを割り振る事で各種スキルを習得できる。
    • 決められた値までポイントが貯まったスキルを習得する事が出来るため、プレイヤー個々の育成も楽しめる。
    • キャラクターの特性に合わせて習得できるスキルが違うため、キャラクターの性能も個性豊かである。
      • 例えば直接攻撃が得意な「ウォレス」なら「連続攻撃」や「クリティカル」といった攻撃を強化するスキルを、魔法が得意な「ルイセ」なら「ヒーリング」などの魔法や「詠唱時間短縮」などの魔法をサポートするスキルをと言った具合にキャラクターの特性に合わせて習得できるスキルが違うため、キャラクターの性能も個性豊かである。

ストーリー

  • 本作のストーリーは「ローランディア王国」の騎士となった主人公が、成り行きから敵対する事になった隣国「バーンシュタイン王国」との戦争に巻き込まれていく王道的な戦記モノである。
    • 大きな捻りがあるわけではないが、キャラクターの心情の描写などが良く描かれており、キャラクターが多い割りに空気となるキャラクターもいないため、シリーズでも最高との呼び声が高い。
    • また、本作のプレイ時間はクリアまで50時間程であり、当時のRPGとしてはかなりの大ボリュームである。

キャラクターメイキング

  • ゲーム開始時に主人公はお使いを頼まれるが、その時の行動でその後の成長力が決まる。
    • この時に街の困っている人を助けたり、子供の遊びの結果(鬼ごっこやかくれんぼ)、落し物を届けるかネコババするかなどの行動や成否によって成長しやすい能力や、習得スキル、装備可能武器まで影響が出る。
      • 万能の完璧超人にするもよし、魔法特化にするもよし、果ては最低値にして縛りにするなど、これだけでもゲーム性が広がる。
    • ちなみにこのキャラクターメイキングが好評だったようで、シリーズ後作品でも程度の差はあれ、キャラクターメイキングが恒例イベントになっている。

その他

  • 当時としては珍しくイベントシーンのほとんどはボイスつきであり、豊口めぐみ氏、小松里歌氏、玄田哲章氏などの豪華声優陣が物語を盛り上げてくれる。また、要所ではイベントCGが表示される。
    • 声優のコメントによると電話帳のように分厚い台本だったとのこと。
  • 本作はフィールドマップがない為、移動が若干不便だが、『ドラゴンクエスト』の「ルーラ」にあたる、行った事のある町や城などへ任意に飛べる魔法「テレポート」がある為、既存の場所であれば移動は手間取らない。
  • 読み込みの間が一瞬あるが、敵味方の通常攻撃から魔法からアイテムの使用まであらゆる演出を早送り・カットできる。
  • 戦闘中とイベント中以外は大抵の場所でセーブができる。
    • 上記のテレポートもそうだが、使用不可能な場面の方が圧倒的に少ない。そのためストレスも少なくスムーズにゲームを進めることができる。
      • 開発中はこの仕様のおかげでデバッグが非常に大変だった*2というエピソードがファンブックのインタビューで語られている。
      • ただし、この「どこでもセーブが出来る」事で、後述の詰みも発生してしまったが・・・。
  • 良質なオープニングアニメ。しかも男性バージョンと女性バージョンの2種類がある。因みに女性Verは地味に一部キャラのネタバレをしていたりする。
    • OP自体は3種類ある。3種類目は止め絵と文字で作られた歌なしバージョン。
  • オマケの豊富さ。隠しダンジョンやカードのコレクションなど。

賛否両論点

周回要素

  • RPGにギャルゲー要素を加え、個別EDがある事自体の評価は良いが、周回の不便さが足を引っ張っている。
    • システムデータがない上、イベントの発生時期の都合上誰かを攻略すると他のキャラの攻略がほぼ不可能になるためデータの使い回しもできない。
      • そもそもシナリオが長いので2~3周ならともかく、5~6周しようとすると非常に時間がかかる。
    • 2周目以降、データ引継ぎ時には非常に強力な強化アイテムがあるので、プレイ自体はサクサク進む。
      • この強化アイテムにより、1周目では逃げたり負けたりするしかできなかった敵の撃破なども可能。
    • PSP版ではバグとして削除されたが、敵全滅コマンドとアイテムフルコンプコマンドが隠しコマンドとして存在する。
      • ただし、このコマンドを使うと見られなくなるEDも存在する。
      • そもそも攻略本にも載っていないバグ要素なので、使用は自己責任で。
    • これらのシステムは次回作以降は改善され、一回のプレイで複数のEDに到達が可能となった。

問題点

戦闘システム

  • 初作である為、後続のシリーズ作と比べるとどうしても粗が目立ってしまう。
    • この時代のRPGでは良くある事ではあるが、攻撃モーションの遅さなど戦闘のテンポが少々悪い。
      • もっとも上述のカット機能があるので、サクサク進めたい時は省略可能。
  • 戦闘中の移動システムが不便。
    • RTSのようにキャラ単位で移動先を指定するのだが、目的地の一点のみしか指定できない。
      • その為、目的地との間に障害物がある場合、直接目的地を指定すると壁等に引っかかって移動に手間取ってしまう事も多い。
      • 移動させる場合だけでなく、攻撃指定時にも同様の現象が起きる。
    • 引っかかりを防ぎたい場合は、直線行動単位で逐一指示を出す必要がある。
      • 次回作以降は目的地までの経由地点を3箇所まで指定可能になり、改善された。

スキルポイントの不便さ

  • パーティにいないキャラもゲームの進行や経験値によってレベルアップしていくのだが、 パーティにいないキャラには勝手にスキルポイントが振られてしまう
    • ある程度キャラの方向性はあるものの満遍なくスキルポイントを割り振られてしまうので、優先的に覚えさせたいスキルの習得が遅れてしまう。
      • また、魔法系キャラの肉弾戦スキルやあまり使い道の無い「毒攻撃」系*3へのポイント使用ははっきり言って邪魔。
    • その為、お気に入りキャラはパーティに入れて育成する事をオススメする。
    • 後の「3」ではスキルポイントを貯蓄できるようになった。

メンバー編成の不自由さ

  • 戦闘メンバーは5人だが内3人が固定なので、実質二人しかパーティ編成できない。
    • 固定枠は自由育成できる近接武装の主人公、中距離戦士「ウォレス」、魔術師「ルイセ」なので、一応ゲームバランス的には良好。
    • なお、ほとんどのメンバーに近距離用武器と遠距離用武器が用意されているので装備による自由度は高い。

詰むポイントでセーブできてしまう

  • 移動魔法「テレポート」でしか移動できない状況で、使用者のMPが足らなくてもセーブ出来てしまう。セーブすると完全に詰み。
    • そのイベントの直前に「回復のチャンスがないかもしれないのでMPは残せ」と注意自体はされるが、MPを残せなかった場合の救済は一切ない。
      • とは言え、その忠告後にMPを回復させておけば、MPを無駄使いしたり無駄な戦闘を繰り返したりしなければまずMPは足りるのだが。

パッケージ裏が手抜き

  • 「この文章はアタリです。*4」で始まる上に、ゲームの売り文句の説明が途中で途切れている。
    • 廉価版では「この文章はアタリです。」が無くなり、説明は最後まで書かれている。
    • 今でこそ良作評価だが発売直後はこれが原因で地雷なのでは?と警戒された。

総評

後続の作品と比べてシステム面での粗は多いものの、当時としては斬新な戦闘システムと、良く練られたストーリーと魅力的なキャラクター等でシリーズでも特に評価が高い作品の一つである。
初代PSにおける名作RPGの1つであると言える。

余談

  • 本作では主人公の名前は決められていない。続編の『II』でのデフォルト名は「カーマイン」。
    • 後に「カオスウォーズ?」にゲスト参戦した際も「カーマイン」が使用されている。
  • ザ・プレイステーションにて連載特集が組まれていたことがある。掲載されていたショートストーリーは後に刊行された書籍にも載せられた。
  • ゲームを放置しておくと加入しているパーティーメンバーに応じてショートトークが聞けるというオマケがある。これは実際にはセレクトボタンを押すだけでいくらでも聞くことが可能となっている。上記のザ・プレでは何度も「ゲームを放っておくと会話が流れる」とは記載されていたのだが最後までセレクトボタンについて触れられることはなかった。もしかしてずっと知らないままだったのだろうか。
  • 女性ユーザーには「インペリアルナイツ」のオスカー、アーネスト、ジュリアンが好評だった。華があるからか。
  • 本当は続編の『II』にデータを引き継がせたかったのだが、権利関係の問題で見送られたそうである。
  • 2001年4月25日にデジキューブからWindows版が発売されていた。
  • 2007年6月7日に敵国であるバーンシュタインの1兵士を主人公にした携帯アプリ『グローランサー オルタナティブ』が配信された。
    • 原作の別視点として描かれた物語だが、途中からはオリジナル展開にシフトする。
    • 配信されたのは第1章のみだが2014年現在でも続きが配信されない所から察するに、続編の開発は止まってしまったようである。
  • 2009年には新キャラやストーリーの分岐が追加されたPSP版発売された。詳細は下記にて。

グローランサー(PSP版)

【ぐろーらんさー】

ジャンル ノンストップドラマチックRPG

対応機種 PSP
発売元 アトラス
開発元 キャリアソフト
発売日 2009年5月14日
定価 5,800円
分類 良作
グローランサーシリーズリンク

概要

グローランサー1作目のPSPリメイク版。
原作では救われなかったキャラに救済のあるシナリオ分岐等が追加された他、不具合や不満点が解消されている。
…が、一部難点も。

変更点

システム全般

  • PSPの画面に合わせて表示範囲が横に広くなった
  • BGMやSE、CGの解像度等が全体的に向上した。
    • 新規BGMが追加され、音質も向上している。
    • SEは新規に作り直されている。
  • 会話ウィンドウが透けてバストアップCGが太もも辺りまで見えるようになった。
  • 文章の表示速度がかなり速くなった。
  • バグが修正された。
    • 純粋な不具合がなくなった他、便利な裏技コマンド等もなくなっている。
  • OP曲が変更され、ED曲が追加された。
    • OPムービー自体は使い回しで、BGMのみのバージョンはそのまま。
  • GLチップスのカードが全24枚から全40枚に増加
  • 歴代妖精がサブイベントで登場(声は無し)

戦闘システム

  • 「戦闘方針」が廃止され、原作のようにCPUに操作を任せる事ができなくなった。
    • シリーズ後作のような「突撃」のみになり、魔術師も殴りに行く。
  • ポイントの貯蓄限界が9→12に上がっている。

シナリオ関係

  • 新規ルート追加と、それに伴う新キャラの追加。
    • 新ルートでは原作で救われなかったあるキャラとのEDまで追加されている。
    • 一部既存のシーンでも声の録り直しや追加がある。
  • 好感度関係(個別EDに関係する)が分かりやすくなった。
    • 各キャラの好感度を教えてくれる占い師が追加。
    • キャラ絵の背景が好感度で色が変わるようになった。
    • 男キャラの表情が1段階増えた

評価点

  • 新規ルートの追加
    • やはり最大の変更点はこれ。新ヒロイン追加の他、救われなかったキャラの救済も行われている。
    • 反面、完全に「新キャラ用のルート」になっており、パーティメンバーも途中から完全に固定され、EDも新ルート用のEDのみ。
+ 新ルートでの救済キャラについて(ネタバレ有り)
  • 何とリシャールとのEDが追加されている。
    • 原作では救いのない最期を迎えた彼だが、新ルートではその鬱憤を晴らすかのような活躍も追加されている。
  • システム全般の品質向上。
    • 上記、変更点に記載されている通り。
  • 原作ではウインドウで隠されていたバストアップCGが見えるようになった。

問題点

  • 戦闘の操作をCPUに任せる事ができなくなった。
    • シリーズ後作同様「突撃」のみに変更されたのは仕様の統一とも取れるが、原作で出来ていた事が出来なくなったのはやはり辛い。
  • 戦闘中いきなり移動、詠唱の速度が上がる事がある。
  • インストール機能がない為、UMDの仕様上少々ロードが遅い。
    • その為、SEや音声の読み込みでもたつく事も。
  • 新録された音声が以前収録された物より音が高く、一部では音割れを起こしている。
  • 新OP・ED曲を歌う女優が新規追加キャラの1人のCVを担当しているが、その演技のレベルはお世辞にも高いとは言い難く「CDを売るためのダシに使われたのではないか?」との意見もあり、担当キャラクターの行動と相まって度々批判の対象となる。
  • UMD版においては、旧PS版にも増して読み込みでもたつく事が多くなり、メディアインストールにも対応していないため、プレイストレスの一因となっている。

総評

基本的にはルート追加や全体的なブラッシュアップが施されたバージョンアップ版。
持ち運んでどこでも遊べる利点もあり、今グローランサーを遊ぶならこちらがオススメ。
原作発売から10年も経っているので、原作ファンが久しぶりに遊ぶのにも向いている。
ただし原作でパーティメンバーの操作をCPUに任せていた人にとっては、痛すぎる仕様変更がなされているので、その点だけは注意。