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NAMCOxCAPCOM - (2017/12/03 (日) 17:07:41) の編集履歴(バックアップ)



NAMCO×CAPCOM

【なむこ くろす かぷこん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 ナムコ
開発元 モノリスソフト
発売日 2005年5月26日
価格 7,140円
廉価版 PlayStation2 the Best
2006年6月8日/2,800円
判定 良作
CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズ
バンダイナムコ クロスオーバー関連作品シリーズ

概要

カプコンの許諾を受けてナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が発売したシミュレーションRPG。
ナムコやカプコンの新旧の人気キャラクター200以上が登場する両社のクロスオーバー作品である。
開発は『ゼノサーガ』シリーズで知られるモノリスソフトが担当。

スーパーロボット大戦シリーズのシナリオを担当した森住惣一郎がディレクションを務めており、オリジナル主人公を立てつつ有名作品からのゲストが大きな位置を占める点が同シリーズと共通している。
一方で、参戦キャラクターがすべて等身大の人間キャラクターであるという点や、ターンの概念の排除やコマンド入力によるアクション性の伴った戦闘システムにより差別化されていることが大きな特徴となっている。

参戦作品

参戦作は80年代頃の古い作品から、現在まで続いている作品まで様々で、本作独自の設定付けや世界観の味付けがなされているものもある。

+ 参戦作品一覧

他、両社のゲームやエレメカ等からアイテムが登場している他、固有名詞がアイテム名として多数引用されている。


システム

シミュレーションゲームとしてのインターフェイスは、ディレクターの森住惣一郎氏が関わっていた『スーパーロボット大戦シリーズ』に酷似しているが、根本面では大きく異なる戦闘システムが採用されている。

ここでは特徴的な以下の二つの点を挙げる。

行動

  • 行動は従来のSRPGに見られるターン制ではなくAP(アクティブポイント)制。
    • APは各種行動を取るのに必要なポイントでフェイズ経過毎に1ずつ加算されていき、敵味方含めて10に達した時点で行動可能になる。
      • 数値上、APは10が上限で、先に10に到達した順に行動が回ってくる。10に到達したユニットが複数いた場合、速度値が早い順から行動が開始される。
    • 「移動・待機・オブジェクト破壊*1*2」「攻撃」「防御」のいずれかの行動をとることで消費され、フェイズ経過及び防御行動時のコマンド入力、特定のスキル使用で回復する。
    • このシステムにより常に敵味方入り乱れての戦闘となり、自軍の行動をどうこなすかにより自軍キャラ1人1人の行動タイミングが常時変動する。

戦闘

攻撃戦闘(BA攻撃)

  • 攻撃範囲内の敵を選択すると戦闘開始。
    • 戦闘方法は方向キーの上下左右と○ボタンの組み合わせによって変化する攻撃を使い分けて戦う。攻撃回数の数だけ攻撃出る。攻撃すると必殺値が増え、100に達するとそれを全て消費して必殺技を使用できる。
    • 空中に浮かせた敵に続けてヒットさせると「AERIAL HIT」表示がされ、ヒット数とユニットごとに設定されたタイプにより与えるダメージや攻撃回数、獲得アイテム等のボーナスを得る。
    • その他にも、すべての通常技で攻撃するとHPかMPのどちらかが回復する「攻撃エクストラ」。宙に浮いたキャラが地面に落ちるギリギリでヒットさせると発生する「クリティカル」などがある。

防御戦闘
防御時は「ノーガード」「通常防御」「攻撃回避」、特定ユニット固有の「カウンタースキル」のいずれかを選択する。

  • ノーガード
    • 受けるダメージをそのまま全て受けることになり気絶値の上昇が大きいが、必殺値の上昇も大きい。
  • 「通常防御」
    • APを1消費。ダメージを通常の1/2に抑えることができ気絶値の上昇も抑えられる。反面、必殺値の上昇率も半減する。
  • 「攻撃回避」
    • APと必殺値を消費することで防御戦闘を回避できる。敵の追撃によりダメージは必ず受け、クリティカルダメージが発生する確率も高いが毒の攻撃を受けない、相手の必殺ゲージが増えないというメリットもある。
  • カウンタースキル
    • APと必殺値を消費。ダメージを0にする「回避」「完全防御」、ダメージ0の後に反撃する「回避カウンター」「完全防御カウンター」、小ダメージのあと反撃する「防御カウンター」がある。
  • この他、隣接する味方ユニットが「かばう」能力を持っていれば、AP1の消費と引き換えに代わりに防御させる事ができ、ダメージが通常の1/4となる。
    • 「ノーガード」「通常防御」「かばう」では攻撃を受ける際に表示されるキーの方向をタイミングよく押すことで、成功率により防御エクストラが発生しAPが上昇する。これによりAPが10を超えた場合はすぐに行動可能となる。防御エクストラの成功の可否自体はダメージの増減には影響しない。

評価点

とにかくキャラ同士の絡みが多い

  • 敵にも味方にもそれぞれのキャラ独自の思惑や考えをもっており、会話の中でも様々な意見や会話が飛び交うので見ていて飽きない。
    • サラリーマン魂全開で戦うベラボーマン、敵は問答無用で殺そうとする飛竜など一癖も二癖もあるキャラが一堂に会する、まさにお祭りゲームである。
    • クロスオーバーの醍醐味であるが、特にファイナルファイトの登場人物である凱とキャプテンコマンドーの主役勢であるコマンドーチームは全く違和感無く溶け合っており、原作を知らない人は確実に凱=コマンドーチームの一人、と勘違いする。
  • 主人公・有栖零児は持ち前の実直な性格と冷静なツッコミにより、極端な性格の曲者揃いのパーティを一人で見事にまとめてあげている。
    • もう一人の主人公である小牟は、まとめ役を零児にすべて任せてプロレス・アニメ・ゲームのパロセリフを喋りまくっており、プレイヤーを驚愕させた。
      • 2人とも版権キャラを踏み台にするような行動・言動は一切なく、物語の牽引役はあくまで版権キャラたち。しかしきちんとストーリーに絡み、盛り上がる見せ場も完備している、とクロスオーバーもののお手本のような主人公である。ユーザー人気も高く、ナムコ(バンナム)のクロスオーバーゲームにおける主人公の代表格的に目されているほど。
  • クロスオーバーゲームの性質上、版権キャラクターのイメージや設定・担当声優が異なる場合はもちろんあるが、 悪い意味で原作から逸脱した描写でイメージを損ねているようなことはほぼない。

ネタ

  • マニアックなネタ、原作ネタも多くちりばめられており、知っているとにやりとされられることもある。
    • 思考が壊れ始めたロックマン・ジュノを見て「イレギュラー」と呼ぶ『ロックマンDASH?』のロックや、「シルフィーの服」を買うとあのセリフをボイス付きで喋る『ロストワールド』のシルフィーなど例を挙げるときりがない。
    • ユニットの攻撃技などにも『ストリートファイター』のリュウのカウンター「ブロッキング→昇龍拳」や、『ファイナルファイト』のマイク・ハガーの回復スキル「原始肉」など細かなネタが随所に散りばめられている。
    • シルフィーは原作では武器ショップの店員という設定のサブキャラクターだが、本作では「お店の武器を活かして戦う」という設定となっている。更に技が全てカプコンのレトロゲームにちなんだマニアアックなネタ要素満載の仕様となっており、原作を知るものを爆笑させた。
      • 超必殺技は『ポケットファイター』の目玉システム「フラッシュコンボ」でカプコンレトロゲーヒロインに次々とコスプレしたり、カウンター技はどこから仕入れたのかブロディアパンチをぶっ放す等、突っ込みどころを探したらキリが無い
        また、「金に目がない守銭奴」という性格付けは本作独自の設定であり、ゲーム中で遺憾なく発揮される曲者ぶりもかなりの異彩を放っている。
    • 各話のサブタイトルにも何かしら作品に関係したものが使われている。原作作品内でのセリフや、作品のキャッチコピー、サブタイトル、主題歌のタイトルや歌詞など、出典は様々。
  • その他、登場アイテムからMAP背景にいたるまでそまざまなネタが仕込まれている。
    • 実際の主役は『魔界村』『ストライダー飛竜』『ドルアーガの塔』『ワルキューレの伝説』といった80年代のレトロアーケードゲームのキャラ達。豪華声優陣がそのキャラ達を演じており、昔ながらのファンにも、原作を知らないファンにもウケる作り。
      • 特にドルアーガはMAPタイトル、使用技、登場アイテムが鈴木直人氏が執筆したゲームブック3部作*3から取られている。

音楽

  • BGMおよび主題歌『すばらしき新世界』は出来がよく、高評価を得ている。
  • OPアニメも素晴らしく、各作品のキャラが主題歌に合わせて暴れまわっているその様子は一見の価値あり。クロスオーバーもののOPとしては屈指の出来栄えである。
+ OP

格闘ゲームに似たアクション戦闘

  • 自軍キャラが敵に攻撃を仕掛けた際には、先にも述べた通り、数々の技をリアルタイムで繰り出して、コンボを狙う事になる。
    • 各キャラの持つ各技は、単純なダメージ量のみならず、ヒット数、攻撃の隙、ふっ飛ばし性能など、格闘ゲームなみに多彩で細かな設定がなされている。
      • 原作が格闘ゲームやアクションゲームであるキャラは、その技が再現されている。
  • 敵は棒立ちでこちらから一方的に攻撃するだけなので格闘ゲームのような駆け引きはないが、「いかにコンボを繋げて最大ダメージを叩き出すか」という課題が立ち現れる。これに挑む事が本作の大きな楽しさである。
    • そして一定のコンボ数を達成したプレイヤーには、ダメージ増加、攻撃回数増加、レアアイテム獲得、等のご褒美がもたらされるという仕組みになっている。
  • このシステムにはもうひとつ長所がある。HPが特定値で撤退するボスキャラのHPをギリギリまで削っておきたい場合は、適度にダメージを与えてから攻撃をストップして戦闘を強制終了させればよいので、ターン制の同ジャンルよりはHP調整が楽なのだ。
    • ただし、その仕様やステータス変化系スキルの存在を考慮してか、基本的にボスのHP最大値は多く、撤退するHP条件値がかなり厳しい上に、中盤から終盤にかけて、状態異常攻撃やスキル効果を無効にするスキルを持つようになるボスが多いため、入念な下準備が必要になる。

ほぼ全てがアクション系のゲームジャンルである原作作品群の魅力を活かすには最適のシステムと言えるだろう。

誰もが役に立てる役割分担制

  • 本作の戦闘は、先述のようにやや複雑なシステムをとっていた。このため「攻撃力は高いが使いこなすにはテクニックを要するキャラ」と「同じボタンを連打するだけで安定したダメージを出せるキャラ」などが存在する事になった。
    • 加えて、本作では各キャラが千差万別さまざまなスキルを持っている。これによりさらなる個性が生まれ、「攻撃力が平均未満であっても、個性的なスキルを活かしたサポートが可能なキャラ」「敵からのレアアイテムの入手確率が通常より高いキャラ」「極端に移動力が高くてマップ上に点在するアイテムの回収に向いたキャラ」なども生まれた。
      • これにより、単なる「強い弱い」とは一味違った、キャラごとの強い個性を生み出した。メインで使用するキャラを変えるだけで、全く違ったゲーム性が楽しめる。

賛否両論点

  • 基本的に、味方キャラの性能が敵に比べ圧倒的に高い。
    • 「戦闘面のテンポの悪さゆえに強キャラをつっこませてさっさと終わらせる」となりがちで戦略性は低い。
    • 「スキルを使って自キャラに効率よく順番をまわし、味方側の高い火力で敵を一方的に倒していく」というのが本作独自の戦略スタイルともいえるのだが、純粋なシミュレーションとしてみるとやはり大味である。
    • 他のSRPG同様「既定ターン以内にボスを倒す」「特定の味方キャラが倒れるとゲームオーバー」「指定の陣地内に踏み込まれるとゲームオーバー」といった敗北条件が存在するが、味方側の性能が強いこともあり、めったなことがない限りはゲームオーバーになり難い。

問題点

冗長なゲーム展開

  • 戦闘面のテンポが非常に悪い。
    • ターン制の概念がなく敵味方共にコマンド入力によるアクション性を伴った戦闘システムである都合で各種演出がスキップできないため、1回あたりの敵との攻防のやり取りに非常に時間がかかるのが大きな要因である。
    • こちらから敵に攻撃を仕掛けるのであれば、多彩な攻撃を駆使してコンボを繋げボーナスを狙っていく楽しみがあるものの、効率よくボーナスを稼ぐことを意識すると作業的になりやすく、1ターンが終わるまでにやはり間がかかり易い。
    • 防御戦闘に至っては、ただでさえ敵の攻撃を一方的に受け続けなくてはならない上、防御コマンドを入力しなくてはならないため、煩わしさが特に大きい。行動順で先手を取っている敵が多い場合、一方的に防御に徹し続ける羽目になり、増援回数の多さも相まって非常にテンポが悪くなってしまう。
      • 厳密にはコマンド入力自体はダメージ値そのものに影響しないので無視しても根本的には問題ないのだが、防御行動でAPを消費してしまうため防御エクストラの成功によるAP回復はやはり無視できないのが困りどころ。
    • 防御戦闘に関してはコマンド防御せずに完全回避する戦闘回避で短縮が可能であるが、ダメージは必ず受ける(クリティカルヒットを受ける可能性も高い)上、APと必殺値を消費するため、回避に徹すると行動順に悪影響が出て却って不利になる。AP、必殺値いずれかが尽きた場合、回避行動すら取れなくなってしまう
      面倒でも防御戦闘をまめに実行し、AP支援系スキルを駆使して積極的に味方に行動順を回さないと却って効率が悪くなってしまう
    • 敵味方共にカウンターが発動した際の演出すらスキップできない。
  • 1ステージ辺りの敵増援回数が多い。
    • これもテンポ悪化の大きな原因で、増援の度に敵味方の行動順に変動が生じるためクリアにかかる時間が余計に伸びてしまう。
  • 経験値稼ぎのための全滅プレイもできることはできるが、既出の通り、1ステージの攻略に時間を食うのでやる気は起きにくい。
  • シナリオ進行に伴ってマンネリ感の増す戦闘展開
    • 同じボスキャラがしつこく襲撃してくる展開が繰り返されるため、マンネリになりがち。ボスキャラと完全に決着を着ける終盤になるまではこの流れが非常に顕著。
    • 大まかな流れとしては、「味方キャラ達がステージに立つ」→「敵が出てくる」→「その敵と戦っているうちにボスキャラを含めた敵、もしくは別の味方キャラの増援」→「ボスキャラのHPをゼロにする、もしくはゼロ近くにまで減らすとそのボスキャラが捨てセリフを吐いて逃亡」→「残ったザコ敵を全滅させてステージクリア」という感じである*4
      • 毎回のステージでこうした流れが何度も繰り返された挙句、自軍キャラがウンザリして「またかよ」的なニュアンスのセリフを頻繁に吐くようになる。

シナリオ面の賛否

  • あちこちの世界への転移を繰り返すので話しの展開が掴み難い。
    • 転移を繰り返すこと自体はシナリオの都合であるものの、「転移に巻き込まれる」という受身の展開が終始続いていく(先導役のNPCの助言に従って転移してもらって目的地に向かうという展開もあるにはあるが)ため、右往左往させられているという印象がぬぐえない。その展開自体にもシナリオ上の意味があるので仕方なくはあるのだが。
    • また、中盤から終盤にかけて『キーアイテムの争奪戦が発生→敵をかいくぐりようやく手に入れたと思ったらそれが転移してどこかへ消失』という展開がしつこいくらいに繰り返される。
  • マニアックなネタが多い分、元ネタを知らないと楽しめない。
  • 『企業間のクロスオーバー』は、実はかなり少ない。
    • シナリオ面ではほとんどはカプコンはカプコン、ナムコはナムコ内で話しが完結してしまっており、別企業のキャラや組織に関しては『住む世界が同じで顔見知り』『ごく一時的に手を組む』程度の関係である場合が多い。
    • また、別企業同士のキャラで組まれたユニットは「キング&フェリシア」のみ。MA攻撃においても別企業のキャラ同士で協力攻撃を行うキャラクターは極わずかしかいない。世界観やキャラクター設定上、共通点のあるキャラは多いだけにもったいない。
    • 設定面でのクロスオーバー描写も、
      • 「ミュージカルスターとなった『ヴァンパイア』シリーズのフェリシアが『ワンダーモモ』の主人公(の中の人)である神田桃と同業者として認知しあっている」「ワンダーモモの舞台となるナムコシアターの建設に『ストZERO』シリーズに出てくる神崎財閥が関わっている」「神崎財閥の党首であるかりんの父が鉄拳シリーズの一八に痛い目にあわされことがある」
    • ……など、あるにはあるがやはり少ない。
  • 序盤からキーワードで仄めかしつつうやむやなまま放置されてしまう設定があったり、因縁のあるボスと直接対決しないまま終わってしまいシナリオ上の扱いが中途半端なキャラもいる。
  • 描写が不自然なキャラクターがいる
    • ワンダーモモ』のライバルキャラクターであるアマゾーナは、原作でモモと同じ舞台劇に出演している相手役という設定なのだが、モモと異なり原作では本名などの細かいプロフィール設定が存在していない。そのためなのか、ナムカプ本編では、モモ本人はおろか、味方側の誰からも「アマゾーナ(役名)」としか呼ばれないという、不自然な扱われ方になっている。
  • 次回作があるともないとも取れる煮え切らない終わり方を迎えるエンディング。
    • 全体的な傾向としてカプコンキャラはさらなる戦いを予感させる結末が多く、ナムコキャラは一応の決着をつける結末が多い。
    • 『ヴァンパイアセイヴァー』のジェダの帰還や、『バイオハザード』のTウィルス*5の行方、『ロックマンDASH』のロックの出生の秘密など、むしろ続編のために故意にネタを使い残しているような印象もあるのだが・・・。
      • 余談にあるように、本作のシステムとナムコとカプコンのキャラが共演という点、そして本作の主人公をゲスト出演という形で引き継いだ完全新作『PROJECT X ZONE』が本作と同じ開発元の制作によりリリースされており、そちらの続編である『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』に渡って本作の続編を意識した脚本構成になっている。
        更に本作からの続投キャラも多くナムカプからの流れでストーリーが進み決着がついた作品もあるにはあるが、参戦作品自体が大幅に入れ替わっていることもあり、本作限りで決着がつかないまま終わった作品(PXZシリーズにも再登場していない作品)も多い。

キャラ間バランスの悪さ

  • 一部のキャラの攻撃力およびスキル構成が、明らかに他者より優遇されている。
    • 中でもKOS-MOSはあまりにも強すぎる。極論でもなんでもなく、彼女1人だけでマップ上の全ての敵を当たり前のように殲滅できる。この場合KOS-MOS以外のキャラは、彼女が攻撃する機会を増やしてやったり、マップ上に点在したアイテムを回収するといった行為のために存在する、完全なサポート役と化す。
    • 彼女の抱える問題点としては、KOS-MOSの唯一の欠点である速度の低さのために、ステージ開始時など敵味方全員のAPが10である際は行動順がほぼ最後となってしまう点があげられる。味方のAPを増やす手段が少ない序盤では特に、彼女が動き出す番はどうしても遅くなってしまう(敵から攻撃を受け防御戦闘を行うことでAPを11以上にすれば優先的に行動できるが)。しかし、AP回復手段が増える中盤以降は他のキャラからAP回復スキルを使ってもらうことで、比較的自由に行動順に割り込めるようになってしまうため、その弱点もほぼ完全に解消されてしまう。
    • そして、彼女は最終的に他者からのサポートなしに確実に2回行動が可能なスキル構成となる。己のAPを回復させるスキル(コマンド)と、攻撃するたびに己のMPが回復するスキル(特性)。この2つを併せ持つことにより「1ターンに1度、自分の行動回数を+1する」という行為を毎ターン実行し、それでいて使用した分のMPはそのターンのうちに補充されるのだ*6。このスキル構成により「永久機関」というあだ名で呼ばれることもあった。さらにそれに加えて、己を強化・回復するスキルと敵を弱体化させるスキルまで持っている。
    • これらの強スキルを持っているだけに飽き足らず、攻撃・防御・技術といったステータスも全ユニット中最高クラス。ステージを縦横無尽に駆け回ることもできる、全ユニット中最高クラスの移動力まで持っている。さらに隣接キャラの代わりに攻撃を受けられる「かばう」さえ持っている。
      • また、KOS-MOSは敵の攻撃を楽に耐えきれるだけの防御力が備わっているため、敵陣に放り込んでひたすら防御に徹してAPを稼げば楽に無双できる。(防御戦闘に時間がかかるというデメリットはもちろんあるが)
        いくら開発元の看板キャラとはいえ、さすがに贔屓し過ぎの感が否めない。
    • 彼女の他には、お手軽に攻撃回数を増やす事ができる上にスキルも強力な凱&翔とクリノ・サンドラ&サビーヌの攻撃性能が抜きん出ており、戦闘1回あたりの総ダメージ量ならKOS-MOSを上回る。これら3つのユニットをあわせて「邪神・武神・緑神」の三神ユニットなどと渾名されており、バランスブレイカーとされている。
  • 逆に使いにくいユニットとしては、移動力も火力も低いため*7どうにもならない御剣平四郎、登場が遅い上に防御が最下位のマイク・ハガー等が上げられる。他の弱ユニットは、アイテム回収役やスキルによるサポート役として活躍してくれるが、彼らはそれにさえ向いていない。
    • もっとも、本作の難易度は非常に低く、アイテム等のフォローがあれば、これらの弱いユニットに戦っても余裕でクリア出来るレベルではある。強ユニットを使うのに比べれば攻略にかかる時間は雲泥の差だが、攻略の難度自体は案外あまり変わらない。好きなキャラを使ってプレイ出来る。

エリアルシステムの問題点

  • 大きな魅力であるはずのエリアルシステムが、非常に解りにくい。理解できるようになるまでは、それなりの試行錯誤や検証などが必要になる。
    • 実はコンボで最も効率が良いのは「可能な限りコンボを繋げる」事ではなく、「攻撃回数増加までコンボを繋げてから、わざと途切れさせる」事。(ゲーム内でも説明書でもこれに関する説明は一切存在しないため、気付かないプレイヤーはいつまでも気づかない)
      • これにより、「長く難しいコンボを繋げる」楽しみはほぼ自己満足になってしまう。
  • 各ユニットが持つ技の性能に差がありすぎ、『複雑なコンボを決めるより特定の技を連発している方が良い』と言うキャラも少なくない。
    • 特に顕著なのは凱&翔。最も強力なコンボは「方向キー下を押し続けながら適当に○ボタン2回スモークボム!ホアァァァァァァ!!」「敵が下に落ちたらもう1度ホアァァァァァァ!!○ボタン2回」と言うのを延々繰り返すだけ。完全な作業である。
      • ただし全てのユニットがそうと言う訳ではなく、相手の重量や状況に応じて技を選んだり、シビアなタイミングでコンボを決めなければならないキャラも多く存在する。こういったキャラならば、エリアルシステムの魅力を存分に楽しめる。

賛否両論な仕様

  • マップ毎にキャラクターの入れ替わりが激しく、途中撤退者が結構いたり、最後に仲間になるキャラクターの参戦が遅すぎたりする。
    • 一番最後の仲間は残り11話で加入する。また仲間が全員揃った状態で好きなユニットを出撃させることのできる話は最終2話のみ。
    • それに加えて「部隊分割」も頻繁に発生する。そのため好きなキャラだけを重点的に育てるのではなく、すべてのキャラを万遍なく育てるプレイスタイルが強制され、これはSRPGとしての戦略自由度の低さに繋がっている。
  • 作中でチーム分けをする際、主人公がどのチームと共に行動するかの選択肢が出たりするのだが、どの選択肢を選んでも主人公がいるかどうか(とそれに伴う敵のセリフ)が変化するだけで、主人公のいないチームのマップも攻略する必要がある。*8
    • これについては「面倒だ」「選択の意味が薄い」という意見と「周回プレイをしなくても全てのマップを体験できる」という意見があり、賛否両論である。

その他

  • MA攻撃の威力が低く、使いづらい。
    • スパロボシリーズで言うところのMAP兵器*9に相当するものだが、MP50という燃費の割に、攻撃できる対象が最大で3体までと少ない上にLVを上げても威力が全く上昇しないため、シナリオ後半あたりでは無用の長物と化してしまう。
      • 長所は敵の必殺値を上昇させないことと、HPを削ったザコをまとめて始末するのに便利であることくらいだが、威力が壊滅的に低いので、その長所が生かせる場面は少ない。
  • ソフトリセットコマンドが未搭載。
    • 一応、次の味方の行動時に、中断コマンドを入力→「セーブしますか?」に「いいえ」を入力→「タイトルに戻りますか?」に「はい」を入力、という手順を踏むことで、ソフトリセットに似たことはできる。
      • 行動順が状況によって変わるため敵の行動が延々と続く場合はリセットボタンを押す方が速いが、タイトル画面に戻るまで時間がかかってしまうのが欠点。

総評

クロスオーバーゲームにありがちなキャラ崩壊、改悪などは一切なく、キャラクターたちの掛け合いや、隅々に至るまでに充実した原作由来の小ネタなど、原作ファンを意識したサービスに溢れており、全員平等とまではさすがにいかないが、それぞれのキャラにそれなりの見せ場も用意されている。他にも、原作ファンにはたまらない要素が多々含まれており、お祭りゲーとしてのクオリティは十分に保たれている。

一方、純粋なSRPGとしてみた場合、肝心のゲームシステム面では練りきれていない面や調整が足りない部分も散見し、詰めの甘い点が多い。
指摘される全体的な戦略性の低さと難易度の低さは、戦略性を特に重視せず純粋に好きな原作キャラクターの活躍や掛け合いを楽しみたい原作ファンにとっては、好意的に受け止められる部分と言える。
しかし、好きなキャラをメインにキャラゲーとして楽しみたいにしても、キャラクター育成の自由度の低さやひとつのシナリオの攻略に多大な時間を必要とする戦闘システムやシナリオ周りの詰めの甘さからくる単調さがネックとなってしまい、純粋なSRPGとしても、キャラクターメインのお祭りSRPGゲーとしても中途半端になっている感が否めないのが残念なところ。

「名作というには今一つ詰めが甘かった」というのが、大方のプレイヤーから聞かれる意見であるが、それでも原作ゲームのファンの中にそうした欠点を理解しつつ、本作を名作として受け止めている層が多くいるのも確かである。


余談

  • 本作の主人公・有栖零児と小牟は、さらに別会社のSRPG『スーパーロボット大戦IMPACT』に登場した主人公キャラのキョウスケ・ナンブとエクセレン・ブロウニングに造形や性格設定が酷似している。
    • 本作の企画者がこの『IMPACT』*10の企画者と同一人物なので、まあうなずける話ではある。
  • 無限のフロンティア』シリーズ及び『PROJECT X ZONE』シリーズに有栖零児と小牟もゲスト参戦している。
    • またストーリーや会話のノリ、サブタイトルのセンスも、全体的に近いものがある。
    • 『無限のフロンティア』シリーズはRPGだが、本作のアクション戦闘をより発展させた上で継承している。ゲームジャンルの垣根を越えて戦闘システムが継承されたという珍しい例であり、本作の戦闘システムが好評だった事がうかがえる。
    • 『PROJECT X ZONE』ではあくまで参戦作品の1つという扱いだったのだが、続編である『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』では零児と小牟が主人公を務めている。ナムカプの事件の後日談がストーリーの中心に据えられた他、BGMもナムカプから10曲以上が採用される等、事実上のナムカプ2と呼んで差支えの無い内容となっている。
  • ディグダグの主人公ホリ・タイゾウは、今作では姿に大幅なアレンジを加えられて参加しており、ものすごいイケメン(というかシブメン)となっている。
    • ホリ・タイゾウ=ディグダグの主人公、トビ・マスヨ=バラデュークの主人公という図式は『ミスタードリラー』における後付け設定であり、後付け設定をシナリオ上にうまく組み込む形でアレンジされている。
      • ドリラーの後付け設定上では『2人の間に生まれたのがドリラーの主人公『ホリ・ススム』であるとされている(時系列上、ナムカプ本編では結婚前として描かれている)
    • また、本作ではマスヨとコンビを組んでいる「バーニングフォース」の主人公、天現寺ひろみだが、原作作品にUGSFの世界観とに繋がりを持たせた設定は本作が初。その後、同作も正式にUGSF系列の作品として組み込まれるようになった。
  • 島津英雄役の声優・水鳥鐵夫氏が2010年7月に逝去。本作がゲームにおける最後の出演作になった。