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RPGツクール SUPER DANTE - (2016/02/15 (月) 21:52:17) の編集履歴(バックアップ)


RPGツクール SUPER DANTE

【あーるぴーじーつくーる すーぱーだんて】

ジャンル RPGコンストラクションソフト

対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 アスキー
開発元 空想科学
発売日 1995年3月31日
価格 9,800円(税別)
セーブデータ ゲームデータ:1つ、プレイ用セーブデータ:3つ
(バッテリーバックアップ。周辺機器によって複数保存可能)
周辺機器 ターボファイルツイン対応
判定 なし
ポイント コンシューマー用ツクールの元祖
粗の目立つ出来
ツクールシリーズリンク


概要

  • RPGツクールシリーズ初のコンシューマー作。
  • PC-98用ツクール『RPGツクール Dante98』の移植作。副題の「SUPER DANTE」にその名残がある。
  • 後にPS2版で発売された『RPGツクール』との混同を避けるため「(SFC版の)1」をつけたり、サブタイトル等で呼称される事がある。
  • 販促としてサテラビューにてエディット機能を省いたサンプルゲームの配信が行われた。
    • ファミ通関係者による作品・コンテスト入賞作・懸賞付き宝探しゲームなどジャンルは多岐に渡り、いずれもフルでプレイできた。

特徴

  • 全体的に『ドラゴンクエスト』シリーズを模倣したゲームシステム。
    • アイテムが個別式、コマンドウィンドウ、歩行時のグラフィックなどにドラクエ感が見られる。ただし、本作は移動時でもセーブ可能。

評価点

  • 作成までの準備がほぼ不要でとっつきやすい。
    • PC版の場合はインストールやアップデート、認証等始めるまでの準備に少々時間を取られるが今作はカセットを差し込んで起動すればすぐに作成が可能。
  • 当時としては使いやすいインターフェース
    • 説明書の内容も解りやすくゲームを作るまでのステップもある程度記載されているので全く使いこなせないという事はまず起こりにくい。
      • メモリ制約や記憶容量を除けばDante98と同等、改善されて使いやすくなったインターフェースもあり「SUPER DANTE」に恥じない性能を持っている。
  • Dante98をベースとしたシンプルな機能、システム
    • 魔法や道具制限を除けば、ほぼDante98と同じシステムが採用されている。
      • 主人公は設定値の分だけ成長、「(攻撃力-防御力)÷2=ダメージ」等計算式も極力解りやすくなっている。
  • ツクールシリーズをベスト、ロングセラーにのし上げた。
    • Dante98もシンプルながら工夫次第で色々な作品ができるRPGコンストラクションソフトであったが当時はまだPCの普及率が低く「知る人ぞ知る」マイナーソフトに過ぎなかった。
      • 今作の登場でツクールシリーズの存在を知ったユーザーも多く、今作を手にとった事で後のツクールシリーズも購入した、現在も作品を制作しているというユーザーも多い。
  • キャラクターやモンスターのグラフィック、BGMが多種類で使いやすい。
  • 乗り物も船、飛行船と揃っている。

問題点

  • 容量の関係と当時はまだツクールシリーズが発達していなかった為にゲーム上の制約が多い。
    • 特に容量はかなり厳しく他の仕様も考慮するとせいぜいドラクエIに毛の生えた程度の作品が精一杯である。
      • サンプルゲームや後の投稿作品に関しても(レベル1から始めた場合)大体20レベル前後でクリア出来るように調整されていることが多かった。
  • コントローラーで操作しながら作成するので結構手間がかかる。
    • この問題は特に文字入力で顕著になる。
  • 上記の通り主人公の成長は固定
    • その為にレベルが上がっていく程キャラクター間の格差が酷くなっていく。
      • 尤も、イベントの容量も厳しいのでそこまで引き伸ばしをしにくいのが救い。
  • 魔法のグラフィックを選択可能だが効果音は常に一定。
    • 魔法の効果も固定でそこにグラフィックや名前等を設定する形になる。
      • さらに、キャラ1人につき10個までしか覚えられず、それ以上は自動的に忘れてしまい使えなくなる。
  • ザコ戦向けの小型・中型サイズモンスターは4体まで出せる。ボス戦向けの大型サイズのモンスターは1体のみ。
    • 大型はイベント戦闘でしか使えず、小型中型も基本的に同一の敵を複数出せない。
      • 一応別Noに同じ敵を設定して同範囲に出現するようにすれば擬似的に複数出せるが今作にはモンスターのコピペ機能がないので結構大変である。
  • フィールドはあらかじめ決められた中から4つのみ選択できる。
    • マップチップは街・城・洞窟の3種類と乏しく、模様も選べない。
      • マップなどのBGM選択は共有式で、BGMをザコ戦とボス戦、普通の街とイベント等で異常状態の町という風に使い分けられない。
      • サンプルゲームでは、BGMをあらかじめなしにして、街に入った直後にBGMを流すというテクニックを活用して対処していた。
  • メッセージ上で使える漢字が非常に少ない。
  • アイテムの所有が制限ありの個別式(1人につき装備品込で10個)のため、少数しか持てない。
    • 重要アイテムをやたら持たせると、装備品の関係で回復アイテム等がろくに所有できなくなる。
      • 離脱するように設定したキャラに重要アイテムを持たせるとハマってしまう。
      • 所有上限をオーバーすると、捨てられないように設定してあるアイテムでも自動的に捨てられてしまうため、アイテムをイベントフラグとして使いづらい。
  • 船や飛行船を呼び出す機能がないため、進め方や作り方によっては簡単にハマリ状態に陥ることもある。
    • 自由度の高いRPGの場合、プレイヤーによるハマリを防ぐには、ワープ魔法または乗り物を出さないようにすれば良い。ただし、後者を選んでもハマる可能性がある。
      • 別途でワープイベントを各地に配置すればある程度はカバー可能であるがその場合はワープ魔法と乗り物のメリットが消えるので一長一短である。
  • ベースがDante98なのでFC製ドラクエ風のRPGしか作れない。
    • インターフェース自体は当時のパソコン版とほぼ同等か改善されて使いやすくなっている部分もあり、決して低性能ではなかったのだがこの頃のSFCのRPGはドラクエタイプから脱却、進化した次世代RPGが発売されていた時期だった為に一般のユーザーからは「期待外れ」、「子供騙し」と言った印象を持たれてしまった。
  • サンプルゲーム『FATE』は『Dante98』収録作の移植版。
    • 容量の都合か、元のPC版と比べて内容が削除・縮小されているイベントが多いが、それでも残容量はほぼ0である。
    • 町は大きいが住人が非常に少なく、会話しても無意味なものがほとんどで活気が感じられない。
      • フィールドが固定なので、場所移動時に使われていない所へ行かないようにしたりするテクニックを用いるなど、今作の仕様を掴める内容である。
  • 説明書に載っていないテクニックはこの頃から存在している。
  • 他人にプレイしてもらう、複数の作品を作る為の敷居が高い。
    • 作った作品をプレイする場合データが入ったカセットが必要。
    • カセット内には1作品のデータしか記憶できない。
      • PC版ならフロッピー等の(当時でも)比較的安価な記憶媒体が存在したが今作で複数のRPGを作成するならターボファイルツインが必要となる。
      • カセットに関してはバックアップ用の電池切れ、ショック等の外的要因などで容易に消えてしまうので現在このソフトで作成する(物好きな)ユーザーの場合ターボファイルツインはほぼ必須である。
      • この問題点は家庭用ツクールにおいて最大点の問題点とも言える。
      • 2015年に本作を買い集めた報告があるが、バックアップデータはほとんど全滅していた。

総評

当時としては低年齢でも解りやすく使いやすいツールだったのだが、ツクール自体がまだ成熟前だった事とRPGの進化によってガッカリツールとしての烙印を押されてしまった印象がある。 それでもRPG1本分は作れることをサンプルが証明している。
本作の問題点の多くは次作『RPGツクール2』で解消されている。
また当時は、まだパソコンが普及しておらず年少者は「この作品が初めてのツクール」「ゲームを作りたいと言う夢を叶えてくれた(あるいは作ることの厳しさを思い知らされた)ソフト」と言った者も多く、
同時期に発売されたシューティングゲームが作れる『デザエモン』と並びゲーム制作の窓口を広げた功績がある作品として知られている。

余談

今作におけるゲーム制作のコツが記載されている「RPGツクールSUPER DANTE公式ガイドブック」(入門編と実践編とデータ編)が発売されている。
入門編は実際に超短編RPGを作り、どうやってイベントを発生させてフラグを立てるかが記載されており、低年齢向けに書かれている為にわかりやすくツクールシリーズの基礎をしっかり学習できる。
実践編はRPGでありがちなイベントの作成例やRPGのネタなどが記載されている。
特にRPGネタ(「バランス崩壊RPG」、「30分で作成するプチRPG」、「ストーリーのないRPG」、「全て自動で進行しプレイヤーはボタンを押すだけ」)等は超大作を作ろうとして挫折してしまいがちなツクールユーザーに対する答えの一つ(?)とも言われる。
どちらもツクールシリーズの構造や心構えが理解しやすく、現行のツクールシリーズでも応用が効き易いので一読の価値はあるかもしれない……