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エスカトス - (2021/11/18 (木) 09:34:11) の編集履歴(バックアップ)


エスカトス

【えすかとす】

ジャンル シューティング
対応機種 Xbox 360
Windows Vista~10(Steam)
発売・開発元 キュート
発売元【Win】 デジカ
発売日 【360】2011年4月7日
【Win】2015年9月19日
定価 【360】6,804円
【Win】1,507円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 ワンダープライス:2012年6月14日/2,940円
配信 ゲームオンデマンド:2012年2月28日/2,052円
Steam:2015年9月19日/1,507円
判定 良作


概要

2011年初頭、Xbox360はSTG熱に沸き立っていた。約4ヶ月の間に10本近い新作タイトルの発売が予定されていたのだ。
内訳はアーケードやセガサターンなどで人気を博したタイトルの移植、そして完全新作とバラエティに富みシューターは喜びに沸いていた。
そんな中、一際シューターの話題となっていたタイトルがあった。それこそが『ESCHATOS(エスカトス)』である。

プログラム、ステージ設計に知る人ぞ知るワンダースワンの名作STG『ジャッジメントシルバーソード』を手がけたM-KAI氏、
音楽に『まもるクンは呪われてしまった!』の安井洋介氏を迎え、「80年代風STG」を謳い発売された作品は期待を裏切らないものであった。


ゲームシステム

  • 基本は2D縦スクロールSTG。3種類の武器を使い分けて進む。
    • センターショットは攻撃範囲は狭いが威力の高い武器。ワイドショットは広範囲に攻撃できるが、射程が短い上に真正面は攻撃出来ない。バリアは防御だけでなく攻撃にも使用できる。
    • それぞれ3ボタンで操作できるが、バリアはセンターとワイド同時押しでも発動可能。
    • バリア使用中はエネルギーを消費するが、解除すると自動で回復する。エネルギーが減るとバリアも小さくなるため無敵というわけではない。
    • またバリアは自機の少し前に展開されるため、真横や後ろからの攻撃は防ぐことが出来ないし、一部防ぐことができない攻撃もある。
      • 結局のところ、「どんな状況でも安定して使える武器」というものがこのゲームにはないため、上手に使い分ける必要がある。
  • ゲームモードは基本となる「オリジナル」、パワーアップの要素などが追加された「アドバンスド」、制限時間に関するルールが設けられた「タイムアタック」の3種類が用意されている。
    • 「オリジナル」は敵編隊殲滅速度に応じたタイムボーナスがあり、アイテムは敵弾消去のみとシンプル。それだけに敵の速攻破壊と弾避けに集中できる。
    • 「アドバンスド」でのパワーアップは最大7段階。アイテムを取ればセンターとワイド両方が強化されて基本倍率が上昇するが、その代償としてバリア用エネルギーの最大値が減ってしまう*1ので段階を1段階戻すパワーダウンアイテムがあり*2、状況に応じて調整することが出来る。
      • なお、「オリジナル」と「タイムアタック」での自機のショットは「アドバンスド」の5段階目に相当する性能である。
    • 「タイムアタック」では残機・スコアの概念はないが、制限時間が尽きるとゲームオーバーとなる。時間経過の他、撃墜されてもタイムが減る。ステージクリアやエクステンドアイテム取得で制限時間が回復する。
  • 他にスコアを稼いでいくことでオプションが解放されていくシステムがある。
    • ゲーム内の累計得点が一定点に達するとレベルが上がり、クレジット数増加・新オプション解放・難易度追加・壁紙追加などの特典が得られる。尚、コンティニューを使ってもスコアは累積されるのでその点は心配無用である*3
      • 難易度選択が可能なモードは「オリジナル」と「アドバンスド」の2モード。「タイムアタック」は難易度選択ができないが、ゲーム中のプレイ内容に応じてランクが変動する。

評価点

  • 考えられたステージ設計、演出によりSTG本来の面白さを体現したゲーム性。
    • STGの基本要素である狙う、撃つ、避けるに加え、3種類の武器の使い分けも面白い。倍率システムによるスコア稼ぎや上級の難易度では弾幕STGにもなり、
      これ1本でSTGの楽しさのほとんどを体験できる。
      • オリジナルの稼ぎは「速攻撃破&逃さず撃破→高得点」と非常にわかりやすい。一方で、アドバンスドは「パワーアップすれば倍率が底上げされるが、敵弾をアイテムに変えるバリア用エネルギーの最大値が減る」ため、ハイスコアを得る上で大いに悩ませてくれる。
    • エクステンドアイテムもかなり出やすく、初心者でも楽しめる良バランスも魅力。
    • エリア間に短いロードがある以外は一切途切れることなく、ゲーム開始直後の出撃シーンからエンディング終了まで完全なシームレスで展開するシナリオも熱い。敵の円盤を追って大空へ上昇、激しい敵の攻勢にさらされる月面、そしてSTGお約束の敵本拠地からの脱出、最後には自機と生存した同型機が編隊を組んで帰還…と、シンプルながらツボを押さえた熱い演出は見事というしかない。
      • 説明書で紹介されるストーリーはやたら厨二くさいが、ゲーム内で展開されるビジュアルはアステカ文明とUFOと三角縁神獣鏡が飛び交う月刊ムー的世界である。
        自機のデフォルトのカラーも某特撮シリーズを彷彿とさせるもの*4で、壁紙で明らかにソレを元ネタにしたものが用意されてる辺り、確信犯といっていいだろう。
  • ところどころに名作STGをオマージュした演出が入るため、古参のシューターも楽しめる。
    • STGの金字塔『スペースインベーダー』や『ギャラガ』を再現した隊列、『ゼビウス』のドモグラムのダンス、『レイシリーズ』のタイトーレーザー、『R-TYPE』エンディングの同型機集合など印象的なネタが豊富。
    • 特定の場所を撃ち続けると隠しキャラのウィッチ*5が出てくるボーナスなど昔懐かしの要素も。
  • 安井氏による熱いBGMもゲーム展開を盛り上げてくれる。
    • 特にエリア1で流れる「SILVER LINING」は「これこそシューティング」と言わんばかりの熱い曲調で人気を博した。
    • また『ジャッジメントシルバーソード』のBGMも一部アレンジされている。
    • 発売から1年後には有料DLCでアレンジVer.が追加された。
  • エスカトス本編の他、ワンダースワンで発売されたM-KAI氏の過去作『ジャッジメントシルバーソード』『カーディナルシンズ』の2作も作者本人の手による完全移植版を同時収録しており、単純なボリュームも豊富。
    • 3作とも基本システムは同じだが、ゲームバランスは大きく異なる。『カーディナルシンズ』はミニゲーム集でエリアごとに違う課題が与えられ*6、また違った面白さがある。

賛否両論点

  • グラフィックは賛否両論。クオリティ自体は問題ないのだが、デザインが古い、シンプルすぎる*7といった意見もある。発売前の雑誌レビューでも軒並み不満点として挙げられていた。
    • このようなデザインにもかかわらず発売当時はフルプライスであったことが、不満を助長していたことは否めない(しかも同時期に出たSTGの中には、数百MSP=高くても1,000円程度で購入可能なものもいくつかあった)。

問題点

  • 一部ステージが完全な縦ではなく、奥方向へスクロールするシーンや頻繁に視点が変わるシーンがあったりと、やや見難いという意見も多い。
    • 一部シーンにて視点切り替わりが終わる手前の段階から敵弾や敵及びオブジェクトとの接触判定が発生するケースも有るのでいつの間にかミスして1機減ってることもちょくちょく起きる。

総評

80年代風STGという謳い文句に虚偽はなく、熱い演出、爽快感、BGM、ゲームバランスと全体的なクオリティの高さも光る良作シューティング。
シューターならプレイして損はない一作。もちろん、STG初心者も気軽にプレイしてほしいタイトル。


余談

  • 本作の自機の名称は『FV-30MZアーカム』。ワンダースワンに搭載されていたCPU『V-30MZ』から取っている。
  • その後キュートからはXbox360ソフト『ギンガフォース』が2013年2月14日に発売されている。続編ではないが、直線ショット・ワイドショット・シールドの使い分けは本作に通じるものがあり、本作のネタや本作の実績取得者に対するサービスも盛り込まれている。
  • 2015年9月19日にSteamにてWindows版が発売された。追加要素はなくXbox360版に忠実な移植であるが、おまけの2作は別売りとして販売されている(セット版アリ)。
    • Windows版の特徴としてH/Wスペックに合わせたグラフィック関連などの各種設定が初期状態からアンロック済みとなっている。*8
  • 2021年11月18日にNintendo Switch版が発売。おまけの2作も収録されたXbox360版仕様となっているが、Switchには実績システムがないためゲーム内に「TROPHY」というモードが追加されている。
    • また、BGMは従来のオリジナル、アレンジに加えてリマスターVer.が追加されている。