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テイルズ オブ リバース - (2016/12/14 (水) 01:18:01) の編集履歴(バックアップ)


テイルズ オブ リバース

【ているず おぶ りばーす】

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:君が生まれ変わるRPG)

対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 ナムコ
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2004年12月16日
定価 7,140円
プレイ人数 1人(戦闘のみ1~4人)
レーティング CERO:全年齢対象
判定 スルメゲー
ポイント お使いが多すぎるストーリー
戦略性の高い戦闘システム
テイルズオブシリーズ関連作品リンク


概要 

テイルズ オブ シリーズのマザーシップタイトル(本編作品)第6弾。略称は『リバース』『TOR』。キャラクターデザインはいのまたむつみ。

特徴的な戦闘システム

  • このゲームがスルメ判定になった原因。システムや仕様の違いから他シリーズとは全く違った立ち回りが要求される。
    • その戦闘システムはハードルが高く、第一印象では「面白くない」という評価をする人も多かったようだが…?
  • 特に「回復魔法」が存在しないという、シリーズどころか全RPGとしても異例なシステムは、当時多くのプレイヤーが困惑した。
    • 代わりに術技を敵に当てるとHPが回復する。しかしHPの回復には、後述する「RG(ラッシュゲージ)」も大きく関わってくる。これがなかなか難しい。
    • HPの回復量は、RG以外にも「術技を使ったキャラ自身のHP回復力」「術技自体のHP回復力」「味方キャラのレベル」「敵キャラのレベル」などの要素が複雑に絡み合っている。
      • 難易度によって、敵のステータスだけでなく、レベルも変化する。難易度を下げると敵のレベルも下がるので、こちらのHP回復量も下がる。逆に難易度を上げると敵のレベルが上がるので、こちらのHP回復量も上がる。
  • シリーズ初の3ライン制を採用した「3L-LMBS(スリーライン・リニアモーションバトルシステム)」。戦闘フィールドに手前・中央・奥のラインが存在し、自由に移動が可能。
    • 「見た目的には3Dだが実質的には2D」というシンフォニアとは真逆。リバースは、「見た目的には2Dだが実質的には3D」のバトルフィールドを再現している。
    • 実質的に戦場を自由に駆け回れるようになったので、敵前衛をすり抜けて後衛を叩くことも簡単にできる。敵も同様に、こちらの前衛をすり抜けて後衛に集中攻撃してくることもあり、隊列をしっかり守って後衛を守ることが必要なことも。
    • 同じく特徴的な戦闘システムを持つ『テイルズ オブ デスティニー2』は「押し相撲」と呼ばれるが、今作は「陣取り合戦」である。
      • 今作の戦闘フィールドは非常に広く、一度の戦闘での出現数も多いため乱戦になりやすい。他作品のような感覚で敵を追いかけ、追い詰めようとすると乱戦化して立て直し不可、という事態が発生しやすくなる。
      • プレイヤーに求められるのは一人で突っ込むような立ち回りではなく、攻撃範囲の広い術技や的確な立ち回りなどで敵の足止めをし、陣形を維持すること。そのためオプションでのCPUへの作戦や位置も重要である。
  • TP制を廃止し「FG(フォルスゲージ)」を採用。
    • FGの数は各キャラに4つずつ。この4つのスロットに術技をセットして使う。今作では操作キャラ以外も全員に術技をセットしなければならない。
    • FGはTPと同様に通常攻撃で回復するが、TPと異なる点として空振りでも回復するだけでなく、時間とともに自然回復していく。
    • FGが満タン(緑色)の時に術技を使うと、威力や性能が最大限に発揮され、術技を敵に当てればHPも回復する。
    • 更に「FC(フォルスキューブ)」の位置により各術技に様々な追加効果を付加出来る。FGが満タンの時に術技を出すと、その術技に設定されたFCの能力が付加される。
    • FGが足りなくても、術技を使うこと自体は可能。極端な話、FGが0でも使える。つまりは、いつでも術技使い放題。
      • ただしFGが満タンでない状態で術技を使うと、本来の性能は発揮せず、HP回復もできず、FCの効果も発揮されない。
  • 奥義の仕様が変更され、術技に奥義をセットして使うものとなった。後述する「RG」が一定以上あり、且つ使いたい奥義をセットした術技のFGが最大の時に、他の術技から奥義をセットした術技に連携する事で、奥義を発動する事が出来る。
    • 奥義は各術技についてそれぞれ3~5種類の中から選ぶことができ、各種特技や奥義と「FC」の組み合わせの幅も広く、キャラクターのカスタマイズ性が高い。
  • 攻防双方に重要なシステム「RG(ラッシュゲージ)」を採用。いわゆるキャラのテンションを表す。
    • このRGの複雑さは随一で、「与ダメ」「被ダメ」「HP回復量」の他、「奥義の発動条件」や「ガードの耐久値」、さらには「敵に与えるRGの変化量」「術の詠唱時間」などなど、影響の大きいものから小さいものまで、戦闘の様々な要素に影響している。
      • 他のゲームにありがちな「テンションは上げれば上げるほど良い」という思考に囚われてしまい、「冷静になる(RGを下げる)」ことの重要性に気づかず、「回復できない」「受けるダメージ多すぎ」と嘆くプレイヤーが続出した。
      • 説明書に書いてあり、ゲーム中のガイドブックでも読め、さらにゲーム中でガイドブックを読むことを促されてもなおこのような意見があったことから、相当なものだったと言える。
    • RGが高いときは与ダメが上昇するが、被ダメも増加しHP回復量も下がる。低いときはその逆である。
      • 特にHP回復量への影響は大きく、RGが上がれば上がるほどHP回復量がガタ落ちしていき、RGが満タンになると全くHPが回復できなくなる。
    • RGが一定以上だと奥義の発動が可能になる。
    • ガードするとRGが下がり、0になるとガードブレイクしてしまう(つまり、RGが高いと、より多くの攻撃をガードできる。RGが低いと、強力な攻撃や多段ヒットの攻撃をガードしきれない)。
    • RGは攻撃的な行動を取ったり敵の攻撃を食らったりすることで上昇、敵の攻撃をガードしたりバックステップをしたりなど慎重な行動を取ると低下する。また、自らRG量を変えることも可能である(「チャージ」という)。
      • そのため、攻める時はRGを上昇、回復する時はRGを下降させて立ち回る事になるのだが、厄介なことにこちらのRG量に応じてガードをする敵がかなりの数存在するため、こちらの戦況だけに合わせてRGを管理するのは難しい。
      • RGはガードの耐久値も兼ねているため、下げ過ぎると簡単にガードブレイクされてしまう。回復する際、RGを0付近にすると大回復が可能だがガードができなくなる。RGを極限まで下げて敵の攻撃は確実に回避するか、そもそもRGを下げ過ぎずに少しずつ回復するかの選択を迫られる。
    • 術技を使わないとHPが回復しないのに、術技を使えば使うほどRGはどんどん上がっていくのでなかなか難しい。
  • 3ラインの広い戦場の戦況を常に把握しつつ、HPとFGとRGを適切に管理することが、このゲームにおける基本である。
  • HP回復分配システムを採用。このシステムも、他のRPGでは見られない独特なものである。
    • ゲーム中ではほとんど触れられていないが、これをしっかり設定するかどうかで戦闘の難易度を大きく左右するほどに重要なシステム。
      • 重要なシステムであるにもかかわらず、ゲーム中でほとんど説明されていないのは惜しい。
    • 具体的には、作戦メニューの隊列の設定で、近いキャラ同士がHPの回復量を分け合うシステム。全員を近づければ全員で全員を回復しあうことも可能。
      • 例えば、重戦士キャラ「ユージーン」は、自身のHP回復力も術技のHP回復力も低いため、自力での大幅なHP回復が難しく、ピンチからの脱却が苦手。そこで、他のキャラからHPの回復分配を受ければ、お互いに回復し合う形になり、欠点を補うことができる。
      • 例えば、HP回復力の高い術士「マオ」が覚える術「ガスティーネイル」は、かなりのHP回復力を持つ。HPを大幅に回復させることができるが、自身だけを回復させても回復量が過剰になりがち。HPの満タンをオーバーした分の回復量は、無駄になってしまう。それだけ大量のHP回復量を持つのであれば、分配するとかなりおトクなことが分かるだろう。全員に分配すると、とても効果的。
      • 戦闘中の実際の位置は関係なく、隊列設定上で近ければ、回復分配は常に発動する(例え戦闘中に距離が離れても問題なく分配される)。
    • HPが満タンのキャラは、分配しないと術技を使っても誰も回復せずHP回復量が無駄になるだけだが、分配することによって全てのHP回復量を分配相手に分け与えることができ、無駄になりにくい。
      • つまり、回復分配を増やせば増やすほど、HP回復量の平均化を図ることができ、HP回復に無駄が出にくくなる。
  • システムの難しさもさることながら、敵も強めの調整がされている。行動思考や強さも歯応えがあり、一筋縄ではいかない。
    • 隊列を組んで走って来る兵、極小サイズの体で大量出現しリンチを仕掛けてくるヒル、やたらとガードが固く攻撃判定を出しっぱなしで突っ込んでくる盾やカタツムリ、攻撃が非常に素早くガードも巧みで通常攻撃だけでこちらを壊滅させるカンガルー、厄介な雑魚が特に多い「ネレグの塔」など、今作のザコ敵は好戦的で頭も良く、連携までしてくる。ボスよりザコが強いケースも多い今作の戦闘はプレイヤーの間でも語り種になっている。
    • シリーズ他作品に比べると、敵の出現数が多い上に攻撃動作が素早く戦略的。それがシリーズでも屈指の戦略性の高さの一端を担っている。
      • 威力よりも隙のなさや攻撃範囲を重視し、多数の敵を長時間行動させないことの方が重要である。また、攻撃し続けて相手を動かさないことも重要。「攻撃は最大の防御」という言葉を体現するシステムである。動ける敵を減らせば、格段に戦闘が有利になる。
      • 数の不利を打ち破り突破した時の爽快感は抜群である。
  • 以上の仕様から初心者にはかなり難しい戦闘システムであることが分かる。
    • しかしながら、システムを理解してしまえば、これほど合理的で戦略性に富んだシステムも無いであろう。それ故にバトル派のプレイヤーからは非常に好評。
    • 今でもその戦闘はシリーズ最高に面白いとの呼び声も高く、やり込めばやり込むほど面白くなっていく。このゲームがスルメたる所以である。

その他、戦闘について他のシリーズとは異なる点

  • 通常の防御でも術攻撃を防御できる。
    • これまでは『デスティニー2』の「マジックガード」と『シンフォニア』の「防御奥義」でしか、術攻撃を防御できなかった。
  • 秘奥義が止め専用技になっており、Hit数を増やしてのグレード取得ぐらいしか使い道が無い。
    • 「実用的でない」と批判されるが、演出の評価は高い。
  • シリーズで初めて、使うと敵の詳細なパラメータを知ることが出来るアイテム「スペクタクルズ」が廃止され、同じ敵と戦うごとに少しずつ情報が開示されていくというシステムになっている。
  • 戦闘に勝利すると「エンハンスポイント」を入手でき、それを使うことで武器・防具を強化していくことができる。「ダメージ2倍」などの特殊効果が付くこともあり、確率で発動する。
    • エンハンスした武具は、新たな武具に「継承」をすることもできる。継承により、ボーナスで武具の性能がさらに上昇したり、時には特殊能力が引き継がれたり、全く別の武具に変形することもある。

評価点

  • 戦闘の難易度を上げた際の調整が丁寧。
    • 今作では難易度を最高にしても、敵が固くなり過ぎないので、戦闘がダレてしまうようなこともない。
      • シリーズ他作品では、難易度を上げると「敵のステータスが(防御力を含め)○倍」というような調整をしていることが多く、難易度を上げて歯応えのある戦闘を楽しもうとしても、敵の防御力が上がりすぎてこちらの与えるダメージが1ばかりになってしまい、ただただ長引くだけの、単調で退屈な戦闘になってしまうことが往々にしてあった。
    • なお、安易に難易度を下げてしまうと、敵のレベルが下がることによりこちらのHP回復量も下がってしまうので、逆に難しくなってしまうこともある。
  • 戦闘時のCPUのAIがかなり優れている。
    • 前作のシンフォニアでは、AIの頭が悪くイライラさせられることも多かったが、本作では戦闘システムが戦略的になっているせいか、AIも合理的になっており頭が良い。
      • 後衛キャラが敵陣に突っ込んでいくことなんて無いし、何もせずウロウロするだけの挙動も起こらない。
      • 作戦設定によっては前衛キャラが後衛キャラと同じラインで戦い後衛キャラを守るような動きをしたり、HPの減った敵を集中攻撃して敵の数を減らすことを重視したりといった、CPUのくせに「チームとしての連携」まで考えた動きもできる。
    • プレイヤーが初心者だとCPUの方がかなり戦闘が上手いということも多く、「上手く戦闘できないなら全員オートにして戦い方を観察しろ」と言われるほど。
    • ただし、CPUに良い動きをさせるためには、作戦設定を適切にしておくことが重要である。
      • このゲームでは攻撃頻度や術技の使用頻度、RGの調整がかなり重要だが、作戦設定を正しくしないと「なかなか攻撃してくれない」「術技は多く使えば使うほど良いのになかなか術技を使わない」「RGが100になってもなかなか下げてくれない」という事態も起こる。もちろん、作戦設定を適切なものにすれば解決する。
  • ロード時間は非常に早く、まずストレスを感じない。
  • 町に置かれているオブジェを調べると、それについての説明文が表示される。これの数が非常に多く、なんでもないように見えて実は説明文が用意されているということが多数あり、探す楽しみがある。

賛否両論点

  • シナリオ関連。本作は種族対立がテーマのシナリオである。
    • 今迄にも「ファンタジア」「シンフォニア」のように、シナリオの一部に種族対立を取り入れたシリーズ作品はあるが、本作はストーリーの終始に渡って種族対立がメインテーマとなっている。
    • 話としては纏まっているが全体的にお使い感が非常に強く、またテーマとなっている「種族差別」の収拾やラストの展開の粗さもあって評価は低い。
    • 前半は連れ去られたヒロイン・クレアを助けるために追いかけるのだが、手がかりを得て次の場所へ行くためにお遣い……と繰り返す。
    • 「確証はないけど他に情報がない」といったどうにも煮詰まらない状況の中動かされる展開も多く、プレイヤー側としてはパっとしない。
    • 全体的にサブキャラの活躍が多めで、メインキャラの印象が薄い。
+ ラストの賛否両論点に関して
  • ラスボスのキャラクター性が皆無でポッと出ラスボスと揶揄されている。
    • しかし、その存在については実は作中で長きにわたり伏線が貼られている。しかし話しかけずとも済む町の住人の台詞の中などに散りばめられているため、全ての伏線を確かめラスボスの存在を予測出来るのは町の住人全てに虱潰しに話しかけていたプレイヤーぐらいだろう。町の住人全員との会話はかなりの手間な上、内容が重苦しいことも手伝ってプレイヤーにとっては負担であり、その点は問題である。
  • ラストの展開についてあまりにもご都合主義だと批判する人が多い。
    • 大まかにいうなら「種族同士の争いの最中突然神のような存在が現れ、それによって両種族が滅びてしまう事を知ったヴェイグ達が立ち向かう」という内容。後半の種族対立も根本的な解決とは言いづらく、理想論的な描写が目立つ。
    • 結局はラスボスの思念のせいで種族対立が起こったということで、テーマを丸投げしたのではないかと言う人もいる。
    • しかし、種族対立自体は根深いものなのでヴェイグ達の活躍だけでは完全に解決するには至らず、ラスボスが消えた後も種族対立は続いている。同時にラスボスが生まれる原因となったのは人であり、またそれを乗り越えたのも強い人の心であるということで話は結論づけられている。
  • エンディングで唐突にある重要人物が亡くなってしまいプレイヤーを戸惑わせた。力を使ったせいだと推測されているが「安直なお涙頂戴」「死なせる事は無いだろうに」という声が散見される。しかもその人物は作中において精神的成長が見られたため余計に惜しまれた。
  • 主人公ヴェイグを含むPTキャラ全員との戦闘があり「君と殴りあうRPG」とも。
    • 「主人公が敵になり、それを倒す」という構図は本シリーズでは勿論RPGの中でも非常に珍しいものであり、一部で話題になった。
  • 冒頭にて力(フォルス)の暴走で沢山の人が亡くなり、ヒロインが氷漬けになったと思ったらすぐに助かったり*1、最初からクライマックス。おかげで置いてきぼりを喰らう。
  • 後半は世界全体で種族対立が勃発。それを一時的とはいえ沈めるために一度周った世界各地を再びお使いすることに。
    • 差別問題が世界中で起こっている為どの街も基本荒れており、住人の言動に不快感を覚える人も多い。
    • ヴェイグの故郷「山間の村スールズ」と、ティトレイの故郷「工業都市ペトナジャンカ」は、差別感情がほとんどない数少ない街村だが、それでも後半の一時期はギスギスとした空気になる。
      • ヴェイグとティトレイはそのような環境で育ったためか差別感情が無く、種族の違いについては「見た目が違うだけで、種族の違いなど取るに足らない問題だ」とたびたび発言している。
  • 主人公ヴェイグはテイルズでは珍しいクール(暗い)なキャラで連れ去られたヒロイン、クレアを第一に考え周囲を蔑ろにした行動をするため前半は特に印象が悪い。その割にクレアがヴェイグにとってどんな存在かが垣間見える場面も少なく(特に序盤)、彼の態度に対する掘り下げ不足によりただ闇雲にクレアに依存しているだけなのでは?という誤解も受けがち。 
    • 勿論意味も無く彼女に依存している訳ではなく、過去にクレアを自らの力の暴走により氷漬けにしてしまったトラウマから、周囲よりも彼女を第一に見えてしまうようになった…という相応に熾烈な経緯がある。
    • ただし途中からは彼自身の成長や状況の変化から、周りにも目を向けるようにはなる。
  • ティトレイとヴェイグの夕日の浜辺での殴り合いイベントや上記のクレアによる通称「ピーチパイ演説」など一部は好評。
    • 『電撃PS』では「あの作品の名シーン」を紙面の隅っこで幾つか紹介しており(300号突破記念当時)、ヴェイグとティトレイの浜辺で殴りあうシーンは紹介されたほど。*2
  • シリーズ他作品に比べると、メインキャラはアクが少なく、良くも悪くも真面目、常識人である。
    • シリーズ定番の、キャラ同士の雑談「チャット」は攻略本によると1000以上あるとの事。
      • だが、数こそ多いものの内容が薄い。パーティ内で(主人公を含め)口数が少なく、お世辞にも「明るい」と言えるキャラクターが少ないのが原因と言われている。実際、大半はオチも無く二言三言で終わるチャットが大半を占めている。
    • 次の目的地に関するチャットも、発言内容は殆ど変わらないのに2つ以上用意されていることが多い。
    • ちなみにチャットは特定の場で鑑賞できるが、『デスティニー2』や『シンフォニア』のよりも調べにくい物になっている。
      • ストーリーの時期ごとに分けられており、いくつかの階層を経なければならないデザインのUIなので面倒である。
    • 余談になるが、主人公をティトレイと誤解されるケースは少なくなかった。彼は非常に明るく、「ティトレイがいないと重い空気になる」と思われるほど。
  • アイテム関連。上記で述べられている通り、本作の戦闘は難解な上に回復手段が特殊なので、慣れない内はどうしてもアイテムに頼ってしまいがち。しかし、その消費アイテムが今作に限って妙な仕様となっている。
    • まず、シリーズ伝統の最安価回復アイテム「アップルグミ」が何故か非売品。変わりに「ピーチグミ」が最初の街から販売されている。ピーチグミはアップルグミよりも回復量は多いのだが、その分値段も高く(一個500ガルド)、大量に買い込むのが難しい。
    • 加えて戦闘不能を回復する「ライフボトル」の値段も今作に限ってやたら高い。一個につき800ガルドと、歴代シリーズ最高額である。
      • これらの理由から、特に序盤において深刻なガルド不足に陥りやすい。序盤の戦闘一回につき手に入るガルドが100前後といえば、いかにこれらのアイテムが高額かわかるだろう。
      • だが逆に言えばどのキャラも回復手段を持っているということなのであまり安く売ってもバランスを崩すという判断だろう。
    • バトルシステムに慣れてしまえば、回復アイテムどころか宿屋すら不要になるので全く問題点にはならないのだが、初心者にはキツい仕様であった。
    • この点は不満が多かったのか、PSP版ではアップルグミが安価な値段で販売されている(ライフボトルについては変化なし)。

問題点

  • 移動スピードが遅い。
    • お使い要素が非常に強く、マップ上を徒歩で移動する展開が多いにも関わらず、キャラの移動がとてもゆるやかなのでストレスが溜まる。多くのプレイヤーは「これで走ってるのか?」と驚くぐらいに遅い。特にクレアを操作する場面は戦闘もなくお使いでしかない為にストレスが溜まる。
    • PSP版では改善されている。やはり不満が多かったのだろう。
  • パーティメンバーの一人、アニーが弱すぎる。
    • 従来のシリーズで言う所、回復・補助系が中心の術師タイプのキャラクターなのだが、本作では対象のHPを直接回復する魔法が無いため補助系の術*3が中心である。攻撃用の術も1つだけあるが威力がとても低く、打撃攻撃力はパーティ中トップであるもののキャラ性能のせいで殴りにも向かない*4。早い話、敵にダメージを与える手段がほとんど無いキャラであり、非常に癖が強く使い難い。そのため、パーティが5人になった瞬間から使わなくなったという人も多い*5
    • しかし蘇生術「ライズ・エリキシル」は術者の周囲にいる味方全てを蘇生させるという非常に強力な効果であり、ボス戦でこそ真価を発揮できるキャラクターと言える。
      • 従来のTPと違い時間でFGは時間で回復するため、実質無消費で蘇生魔法を使えるようなもの。更に複数箇所に同技をセットすることでひたすら味方を蘇生し続ける守護神と化す。前述のライフボトルの価格設定はこれらの仕様もあってのものと思われる。
    • 他の五人も属性の偏りや敵の種類によって有利不利がある場合も多いのでそのキャラクターを外してアニーを入れた方が良い場面も当然ある。
    • アニーの低評価の大きな理由として、オート操作の場合「一度陣術を使った後、その効果が切れるまで再使用してくれない」というAIの仕様がある。
      • 一度魔法陣に入ったキャラは陣から出てもその支援効果がしばらくは持続する。*6支援効果の重複こそ不可能だが、FGの回復も詠唱も早いので、プレイヤー操作でどんどん次の陣術を唱えていれば回復役としてはかなりの性能を発揮できる。陣術に攻撃判定を付加するFCもある。
    • 本当にどうしようもないのは奥義の性能。効果時間が全体的に極端に短く、陣を消してまで発動する意義のある奥義はゼロと言っても過言ではない。
  • 「夢のフォルス」というサブイベント(ミニゲーム)の難易度がシリーズでも最狂レベル。その極悪さは未だに語り継がれている。
    • キャラクターを操作し、制限時間終了までにクリア条件を満たしていくというアクションゲームなのだが、クリアしていくに連れて「2人のキャラクターを同時操作し、操作キャラにダメージを与えるホーミング弾を避けつつ、星を一定数、邪魔キャラに奪われないように集める」というとんでもなく難しい条件のものまで出てくる。
  • 演出が稚拙
    • 特殊能力者同士の戦いというストーリーもあり、戦闘以外のイベントでも能力を使うシーンが数多くあるのだが…
      • その多くが「敵キャラクターが構える」→「画面全体にエフェクト」→「味方パーティが悲鳴をあげながら倒れる」→「むくり、と立ち上がる」というもの。
      • エフェクトのちゃちさや倒れる→立ち上がる動作の緊張感のなさから見ててなんともいえない気分になる。
      • キャラクターの動き自体も硬く、キャラグラの枚数も少ないため全く迫力がない。
    • やりたいことはわからないではないのだが、あまりに演出が伴っていない。
    • イベントシーンの演出面に関しては、翌年発売の『アビス』で一気に進化することになる。

その他

  • PS2向けのマザーシップタイトルで(移植・リメイクを除き)唯一Best版が発売されなかった。
    • 大量出荷の関係もあってかPS2版の中古価格の暴落は凄まじく、発売から1年弱で980円以下のところもあったほど。
    • 新品価格も暴落しており、現在でも他のPS2向けのマザーシップタイトルのBest版より安く買えるところもある。
  • 後半に戦うことになるジルバ・マディガンという人物が、『機動戦士ガンダム0083』*7のシーマ・ガラハウともろにキャラが被っているどころか担当声優も同じ真柴摩利氏である。戦闘中の台詞まで完全に一致する。
    • おそらく声優ネタ。第1作『ファンタジア』からアーチェがメロンパンについて言及したり*8と、シリーズでは珍しい事ではない。
  • ヴェイグとヒルダの協力秘奥義の「セルシウスキャリバー」の〆の演出に使われる武器も声優ネタ。ただし、この武器自体は檜山氏の演じるキャラとは別のキャラの武器。

総評

記したように、シナリオは大筋こそまとまっているが、テーマの収拾にはやや丁寧さが欠けている面がある。
また全体的なお使い感の強さや、キャラクターの暗さは人を選ぶ。

戦闘に関してはシリーズ中では難解な部類で、回復周りの馴染みのなさも手伝って敷居が高い。
しかしその戦略性は高く、シリーズ最高の戦闘が楽しめると評する人も多い。


PSP版

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:君が生まれ変わるRPG)

対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2008年3月19日
定価 5,040円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 PSP the Best:2010年1月28日/2,800円
配信 【PSP/PSV】2013年11月28日/2,500円
判定 スルメゲー
  • 本作は2008年にPSPに移植されている。
  • 上記の通り移動速度の改善やゲームバランスの修正が行われている。
  • また、シリーズ定番の「闘技場」が追加された。
    • 戦闘の中毒性が高い作品であるため、以前から闘技場が存在しない事に不満を感じる人は多かった。
  • 戦闘難易度に「GOD」が追加。リメイク前の最高難易度である「UNKNOWN」を超える難易度であり、やりこみ派からはある種歓迎されている。
  • その一方で音楽面は一部の和音が鳴らない、シャオルーン(後半にパーティーに協力する聖獣)に乗って移動するシーンのBGMが短縮された等劣化している。特に序盤の通常戦闘BGM「Battle Organization」は劣化が激しい。
  • 更にシャオルーンの移動速度が低下し、飛行中ロードが入ると一時急停止してしまう。

余談

主人公の扱いについて

  • ヴェイグが作中でやたらとクレアの名前を叫ぶというか連呼している。担当声優の檜山修之氏が絶叫系の演技に定評があるため、叫ぶイメージが強い事も手伝っていると思われる。
    このことがユーザーからはネタにされることが多く、後の特典DVDなどで公式にも極端にピックアップされてネタにされてしまっている。おかげでリバース未プレイ者からは「ヴェイグはクレアの名前を叫びまくる変なやつ(アブナイ人物)」という認識をされてしまっているようである*9。二次創作でもこのように扱われることが多く、未プレイ者から間違ったイメージを持たれることはヴェイグに限らず深刻であった。
    • なお、ヴェイグにとってクレアはかけがえの無い存在であり、旅立った目的も彼女を取り戻すためであり、行く先々で僅かな手がかりにすがりつく場面が多い為、その過程での連呼は致し方ない所もあることは念頭に置いておいて欲しい。叫ぶ時も相応に緊迫した状況などに限られており、同じ立場ならヴェイグでなくとも叫んでいたであろうシーンばかりである。
      • バルバトスに続いて「公式の悪ノリのせいでネタキャラ化」してしまったために不満に思うファンは多く、檜山氏もこのことに関して「ヴェイグがどんどんあらぬ方向に行ったキャラになって~」と不満を顕わにした。ところが次の特典でこの不満を述べた声優インタビューを利用して「サレ(作中の悪役)のせいで自分のキャラが壊れ、声優にも迷惑をかけた(ここで不満を述べたインタビュー映像が入る)」という内容の会話を作り(勿論これも檜山氏が喋っている)全く反省をしていない行動を見せている。というか明らかに声優を馬鹿にしている
      • ファン曰く「この時期(2008年から2009年)が、テイルズスタジオのスタッフの悪ノリがもっとも酷かった時期」といわれている。
  • しかしお祭りゲー『テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2』とゲスト参加の『テイルズ オブ グレイセス』においては、本来のイメージ通り*10のヴェイグが登場している。『ヴェスペリア』の署名活動の件もあってか、流石に反省したのかもしれない。
    • なお『マイソロ3』では、かなりまともなヴェイグとしての登場を果たした。 そのかわりティトレイの扱いが酷い事になったが。

パロネタ

  • 前述の声優ネタなど、元々他作品のパロディネタが多いシリーズだが、その中でも本作は漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の露骨なパロディと思しきネタが非常に多い。
  • 異能力バトルという時点でその開祖的な立ち位置である同作を思い浮かべる人は多いと思うが、スタッフも同様だったのだろうか…
    • おそらく一番プレイヤーの印象に残るのは「ドネル」という敵キャラクター。「土を操り、地面を潜って移動する敵能力者」が能力を封じられ「アジなマネを!」と激昂する。もろに『第五部』の登場人物"セッコ"である。
    • また、ストーリー冒頭の「突如発現した制御の効かない自分の能力で周囲に迷惑をかけることを恐れ、引きこもってしまっているクールな主人公」を「能力について詳しい年長者」と「炎系能力使い」が迎えに来る所から旅が始まる部分は『第三部』を彷彿とさせる。
    • 他に目立つのはユージーンの口癖である「質問に質問で返すのは感心せんな」という台詞。同様の台詞が『第四部』以降繰り返し使われている。
      • 他にも、作中でレストランを訪れた際にメニューに載っている「パスパスパスタ」*11(実際に食べることはできない)等、細かいネタが全編に渡って散りばめられている。探してみるのも一興。
  • 前述通りパロネタの多い本シリーズだが、ここまでメインのストーリーイベント等で大々的にそれらのネタが使われているのは珍しい。

他作品において

  • テイルズ オブ バーサス』においては本作のテーマを大きく否定されるような展開のシナリオが描かれてしまった。
    • さらに、ヴェイグは主人公であるにも関わらず『バーサス』では参戦出来なかった。これは、『エターニア』(リッド)や『ラタトスクの騎士』(エミル)でも同じ事が起こっている。
    • ユージーンの冷遇も『リバース』ファンにとっては無視できないものとなっている。
      • シナリオ上における台詞のほとんどがただの絶叫。しかも無駄に何種類も声優に叫ばせている*12
      • だが、そもそも『バーサス』自体が非常に評価が低く、ファンからは「ヴェイグ(及びリッドとエミル)はバーサスとかいうクソゲーに出なくて正解だった」とまで言われている。
    • 『レディアントマイソロジー3』の「セルシウスキャリバー」は『ソウルキャリバー4』に登場する「完全体」のデザインのもの。さらに言うと『マイソロ2』の連動サイトでもらえたソウルキャリバーのデザインと同じ。
  • 本作での秘奥義は一人ではなく協力して放つ為か、他作品に出演の際は秘奥義が無いことが多かった。しかし『バーサス』を皮切りに単独で使う様になり、『マイソロ3』では全員に搭載されている。