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スーパーロボット大戦COMPACT3 - (2021/03/03 (水) 16:59:25) の編集履歴(バックアップ)


スーパーロボット大戦COMPACT3

【すーぱーろぼっとたいせん こんぱくとすりー】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ワンダースワンカラー(スワンクリスタル対応)
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 バンプレスト
開発元 トーセ
発売日 2003年7月17日
価格 4,800円
判定 なし
ポイント 異世界転移しまくり
主人公無双
15000本限定生産品
スーパーロボット大戦関連作品リンク


概要

  • ワンダースワン系統で展開されていた『COMPACTシリーズ』の第5作目にして最終作。
  • 初参戦作品は『合身戦隊メカンダーロボ』『魔境伝説アクロバンチ』『天空のエスカフローネ』『ベターマン』の四作品と、非メジャー級の異色な作品が選ばれている。
    • また今まで隠し要素として一部機体・妖精のみ参戦していた『New Story of Aura Battler DUNBINE(聖戦士ダンバインOVA)』が本格的にシナリオに絡んでくる。
+ 参戦作品一覧

★マークは新規参戦作品。

  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダムΖΖ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 新機動戦機ガンダムW Endless Waltz
  • ゲッターロボG
  • 真ゲッターロボ(原作漫画版)
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ★合身戦隊メカンダーロボ
  • ★魔境伝説アクロバンチ
  • 聖戦士ダンバイン
  • ★天空のエスカフローネ
  • ★ベターマン
  • バンプレストオリジナル

特徴

  • 本作のオリジナル組織である「修羅」は『北斗の拳』をモチーフとしている。そのせいかは分からないがキャラ人気自体は悪くない。
    + 詳細。北斗の拳・本作両方のネタバレ注意
  • 大ボスを務めるアルカイドは黒髪*1で茶色い肌の巨漢であるところや、口にはださないが兄弟思いでもあり、「うぬ」という二人称や豪快な技が多い事、そして「最後に立ちはだかる長男」という立ち位置より元ネタは間違いなくラオウ
  • 次兄のアルティスはアルカイドにひけをとらない強さをもつが、白髪で病気持ちという設定がトキと同じ。そして最後には…。
  • 末弟(3男)で主人公のフォルカは最初は無口で碌にコミュニケーションもとれなかったが、様々なキャラと絡んで友情を育み強くなっていき、ついには最強といっていい強さに辿り着いたあたりはまさにケンシロウ
  • フォルカと共に修行したフェルナンドは、カラーリングや立ち位置からレイと推測される。
  • アルコは名無しの修羅よりは実力はあるがフォルカらには到底及ばず、半ばみそっかす扱いをされている。加えて他人の姿を借りて悪事を働く点からジャギが元ネタと思われる。
  • ミザルは軍師を名乗っているが、どうにも軍師としてはお粗末で、カラーリングこそユダを連想させる赤だがファンからは「海のリハクのようだ」と揶揄される。
  • 実力はあるが自由を愛するが故に地位を捨てたアリオンは、その飄々とした立ち振る舞いも含めて雲のジュウザの設定とほぼ同じ。
  • とどめとばかりにマグナスはその見た目と「俺様の体が拳法殺しと言われているのを忘れたか~!」という台詞からどう見てもハート様である。しかし、ハート様と違って温和なところなど欠片も無く、性格はどちらかというと同じデブキャラであるギョウコに近い。
  • スパロボとしては久しぶりに宇宙マップが一切存在しない。

評価点

  • パイロットも機体もカットインが豊富。リアルはすべてのパイロット、スーパーには機体に、エスカフローネとベターマンは機体とパイロット共にカットインが用意されている(同時期に発売された『D』はギュネイなど脇役のカットインが無い)。
    • カットインイラストもサイドアップ・テールのルーなどマイナーな選択。
  • それまでのシリーズで使用した事のあるアニメでも、登場しなかったパイロット・機体が多い(『ダンバイン』を例に挙げるとトカマク、ゼラーナ、ドロなど)。
  • 携帯機および版権キャラで初めて「乳揺れ」を採用(二人おり、どちらも『ベターマン』のキャラ)。
  • 戦闘BGMのアレンジの良さ。音源の違いもあり、ここだけはGBAスパロボ以上の評価を受けている。
    • BGMには、かなりコアなBGMがチョイスされており、後に発売される『MX』にも本作で使われたBGMが結構使われている。
    • もちろん、「約束はいらない」(『エスカフローネ』)や「夢の狩人」(『アクロバンチ』)や「鎮-requiem」(『ベターマン』)など人気の高い主題歌もしっかり採用されている。
    • サンプルボイスが豊富に使われており、『マジンガーZ』のBGMである「Zのテーマ」では「ゼェェット!」の叫び、『メカンダーロボ』のBGM「トライアタック!メカンダーロボ」には「トライアタック!」の叫び等が入っている。
    • オリジナルBGMも「紅の修羅神」「機神乱舞」など良曲揃い。ほとんどが後のOGシリーズで使われている*2
      • 余談だが、本作に限らずCOMPACTシリーズのBGMには良曲が多い。
  • これまで『New Story of Aura Battler DUNBINE』は機体と妖精のシルキーのみで主人公シオンをはじめ人物が出ていなかったが、本作でようやく出演した。

問題点

オリジナル

  • 主人公、フォルカ・アルバークが強すぎる。寺田貴信プロデューサーは「パラメータの数値を打ち間違えた」とコメントしており、とんでもない強さに仕上がっている。
    • パラメーターでは格闘・防御がズバ抜けて高く、命中・回避においてもリアル系中堅どころと肩を並べるほど。精神コマンドも充実しており、所持スキルも格闘タイプ向きの技能を多数習得するため鬼のような火力を誇る。さらには「強運」を所持しているため、一人で暴れまわったほうが収入が多くなるというオマケ付き。
    • 搭乗機であるヤルダバオトも、得意の至近距離では低コスト高威力の必殺技で眼前の敵を粉砕していき、かつ格闘ロボでありながら下手な射撃ロボより優秀な遠隔攻撃まで持ち合わせる*3。序盤から終盤まで常に自軍のエースユニット。リアル系の運動性にスーパー系のHP・装甲を併せ持つ。唯一の難点は飛行ができないことぐらい。
      • 中盤で強化形態であるヤルダバオト・神化になると飛行できるようになり、EN回復(小)がつき継戦能力も上がるため文句なしの本作最強ユニットとなり、無双し放題になる。
    • ちなみに本作の難易度はどちらかといえば低い部類に入るが、中盤から一定のターン数が経過するとマップ上に出現するオメガミサイル*4が非常に厄介であるため中盤の難度は少々高い。

版権

  • シナリオは『ダンバイン』や『エスカフローネ』が優遇されがち。この二つは異世界がメインの舞台なのでちょこちょこ異世界転移を繰り返す。
    • そのせいか、新規参戦ながら『メカンダーロボ』と『ベターマン』のシナリオの扱いが悪い。『アクロバンチ』はほぼ空気参戦。
      • さらに『ベターマン』に関していうと、原作を知っていることが前提のように難解な専門用語をポンポン出してくるので、未見のプレイヤーは置いてきぼりをくらう。またベターマン自体、ストーリーの最初から最後まで伏線となる描写が多いが本作ではストーリーをカットしている部分が多い為、原作を見ている人は違和感を感じる事がある。
  • 機体性能ではエスカフローネとメカンダーロボは比較的序盤で正式参戦するが、エスカフローネ側は回避率はそれほど高くはなく、装甲も薄い。メカンダーロボは武装が豊富で攻撃力も高いが、命中率がかなり低く使いづらいと微妙な性能。
    一方アクロバンチは火力・装甲も高い上に6人分の精神コマンドが使用可能と強力。ベターマン側の機体、覚醒人は攻撃・修理・補給、全てをこなす万能機になっている。しかしどちらも部隊への正式参入が非常に遅いため、度々繰り返されるゲスト参戦にファンはやきもきさせられた。
    • 余談だが、『ベターマン』は『勇者王ガオガイガー』シリーズの世界観と密接にリンクしており、同時参戦を望む声は少なくない。
  • ガンダムシリーズ・ゲッター・マジンガー・コンバトラー側はほとんどストーリーには絡まず、全体的に地味である。ただし『ガンダムΖΖ』のリィナ・アーシタは主人公との絡みで出番が多い。

システム

  • 武器改造は近年の作品と同様、個別改造から一括改造に変更となったが、ユニットの「運動性」が命中率に影響したり、「限界反応」が残っていたりとシステム面では中途半端に古い部分が目に付く。
  • ユニットの特殊能力の兼ね合いで全体的に格闘系の機体が優遇され、射撃系の機体が冷遇気味。
    • この影響をモロに受けたのがUCガンダム勢。とにかくオーラバトラーやガイメレフ(『エスカフローネ』に登場するロボットの総称)との相性が悪く、特にガイメレフに対してはニュータイプがザコに攻撃を当てるのにリセットプレイが必須だった*5。踏み込みが足りないのは問題だが踏み込み過ぎるのも考えものである。
  • 隠しユニットの数が少ない。
    • 全て含めて8機(その内4機は上位版か下位版の違いのみ。またルート限定のユニットもあるので入手できるのは事実上5機)。
  • 当時のスパロボではおなじみとなりつつあった「2周目以降の引継ぎ要素」は一切ない。
    • 開発陣の方針なのか、COMPACTシリーズは『IMPACT』の最終資金引継ぎ以外周回引継ぎ要素はない。
  • PPによるパイロット強化が可能だが、取得PPにたいして必要PPが高すぎる。
    • 基本的には敵を一体倒すごとに1点入る。ステージクリア時にはターン数に応じ、最大11点を任意のパイロットへ振り分けられる。
      • 一応PPの獲得量を2倍(パーツ+精神で4倍)にすることも可能だが、強化パーツの「リーンの翼」は機体能力を下げるのでデメリットが大きい*6、精神コマンド「修行」と「伝授」は、前者の消費SPが60、後者が80と重すぎて使い勝手が悪い*7
    • ちなみに能力値を一点強化するため必要なPPが5点。技能を習得する場合、いちばん安い「底力LV1」でも25PPが要求される。
    • 結論として、一人のパイロットへ意識的にPPを集め続けてすら大した強化などできない。分散させた場合、自己満足的に能力値を数点ずつ伸ばしただけで終わってしまう*8。極論すると、PPはオマケと割り切ってしまうのが無難。こだわってみても、労力に見合うほどの効果は得られない。
      • せめて周回プレイが可能なら周回を続ける内に少しずつ強化もできそうだが、前述のようにクリアデータの周回引き継ぎはない。ここまで来ると導入した意味が欠片もない。 パッケージ裏には「パイロット育成」や(中略)より壮絶な戦いが可能に!、などと触れてるのに・・・
    • 『ゲッターロボG』の神隼人はバグにより大量のPPが簡単に入手でき、好きなだけ強化できる(通称「神(かみ)」隼人)。
  • 一部名称に誤記が散見される。
    • アクロバンチの必殺技、聖剣エクスキサーチがエクスイサーチと表記されている。
    • OVA版『ダンバイン』の主人公シオンは名前がシオン・バに。正しくはシオン・ザバである。

ストーリー

  • 地球ではスーパーロボット達が対抗組織を打倒し、宇宙を中心に活動していたティターンズ、アクシズ、グレミー軍、OZも壊滅。ティターンズ残党が活動するだけとなった。その状況を連邦軍は軽んじ、事後処理をアーガマ隊に押しつけたという状態で始まる。さらに第一話でオリジナル敵である修羅軍が異世界から現れジャブロー基地を一瞬で壊滅させる。
  • 「唐突に異世界へワープする」展開が嫌になるほど頻発し、各世界ごとのエピソードがブツ切れになりながら進む。異世界から別の異世界に飛んで、また異世界に戻ってくるような展開も茶飯事。
    • 当てもなく転戦し続ける主人公軍を除き、異世界と異世界は基本的に絡まない。原作にエピソードが存在するもののみ、地球へ侵攻してくることはある。
    • クロスオーバーというよりも、各原作のダイジェストをシャッフルしているような気分になること請け合い。
  • 一部参戦作品のストーリーが完結していない。アクロバンチはゴブリン一族とのクワスチカ争奪戦が続くことが示唆されているし、メカンダーロボに至ってはコンギスター軍団*9の首魁、ヘドロン皇帝が健在である
    • 地球から公害を無くせば攻めてこないという理屈なのだが、他の惑星を狙う可能性もあるだけにモヤモヤさせられる。
    • アクロバンチも大秘宝クワスチカの力でとんでもないことになるのだが…

総評

翌月に携帯機の中でも名作と称えられた『D』が発売したこともあってセールスは芳しくなく、結果的にワンダースワンのスパロボ最後の作品となってしまった。
上記の主人公機の設定ミスもありゲームバランス面では良いとは言えず(無論自重すれば良いのではあるが)、すでに衰退していたワンダースワンでの作品と言うことも手伝い、かなりマイナーな部類の作品となってしまった。
しかしレアな参戦枠やオリジナル勢力などは評価されており、BGMやカットインなど演出面の出来も良い為、隠れた名作と評するファンも少なくない。
現在ではソフト自体がプレミア化しており見つけること自体が困難だが、スパロボファンならプレイしてみる価値は間違いなくある。


その後の展開

  • 後にPS2版『スーパーロボット大戦OG外伝』に本作のオリジナルキャラや機体が参戦。
    • 実質この作品の体験版であった『OG2.5』の時点では前情報もなく登場したため、ファンも驚愕。ちなみにここでもまたスタッフがパラメータの数値を打ち間違えたらしく、『COMPACT3』同様単機で無双するヤルダバオトの姿が…最早故意としか思えない*10
  • この作品が初出である『修羅』は上記OGシリーズを経て、無限のフロンティア EXCEEDで主役を張るなど、初出の知名度の無さが嘘のように後作で活躍している。

余談

  • TVCMは、バンプレスト社内で参戦作品が書かれているメールを社員が読み上げ、そのラインナップのマイナーさに驚愕するという安上りなもの。派手目が多いスパロボのCMの中では異彩を放っている。
    • 事前に広報されていた幾つかのシステムが未実装だったり、シナリオ間の接続も強引だったりすることから、開発スケジュール上のトラブルがあったのではないかとも推測できる。それでも何とかちゃんと遊べる領域までは、たどり付けているのだが。
    • 下手をするとCMの作成開始時に、広報できる(完成品に入っていることを保証できる)素材が存在しなかったんじゃないかという邪推もできなくはない。
  • 15,000本しか生産されていない上に移植も一切されていない為、値崩れに定評のあるスパロボながら結構高めの中古価格をキープしている。むしろソフトを置いていること自体が珍しく、店によってはプレミア価格が付いていることもある。
  • 本作に新規参戦した作品は、いずれも当時のスパロボであればお目にかかることが出来ないような顔ぶれであり、なんと本作新規参戦作は16年後の2019年*11まで一切再参戦しなかった
    • 本作で初めてシナリオ再現が行われた『New Story of Aura Battler DUNBINE』も2019年の『T』までシオンの出番やシナリオ再現はないままであり、残る3作品はいまだに音沙汰がない状況が続いている。
      • こういった状況から本作の新規要素は何かしら理由があって普段のスパロボでは使えないような物をまとめて出したのではないか、と言われる事も多かった。
    • 後々、『疾風!アイアンリーガー』『ケロロ軍曹』『魔法騎士レイアース』のようなロボットバトルが主軸でないものや、『宇宙の騎士テッカマンブレード』『カウボーイビバップ』といったロボットものではない作品、戦艦が主役となる『宇宙戦艦ヤマト2199』『ふしぎの海のナディア』といった、本作以上に普通のスパロボであればお目にかかることが出来ない作品が増えていったこともあり、本作の特異性は薄れていくことになる。