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ザ・グレイトバトルIII - (2015/10/28 (水) 12:12:47) の編集履歴(バックアップ)


ザ・グレイトバトルIII

【ざ ぐれいとばとる すりー】

ジャンル ベルトスクロールアクション imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。高解像度で見る
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対応機種 スーパーファミコン
発売元 バンプレスト
開発元 さんえる
発売日 1993年3月26日
定価 8,700円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
コンパチヒーローシリーズリンク


概要

人気作品のSDキャラによるアクション系クロスオーバーシリーズのひとつ『グレイトバトルシリーズ』の第3作目。
本作は『ザ・グレイトバトルII ラストファイターツイン』に続き、ベルトスクロールアクションとなっており、前作において問題であったキャラクター性能を中心としたゲームバランスが見事に改善された。
キャラゲーは基より、単体のベルトスクロールアクションとみても非常に秀逸で、キャラゲーの鑑ともいえるシリーズ最高傑作の呼び声高い一作。

ストーリー

闇の帝王ダークブレインと、それを影で操っていたザンエルを倒したコンパチヒーローズの4人。
しかしその帰還の途中、乗っていた宇宙船が隕石と激突。その衝撃で何故か異世界へと飛ばされてしまう。

4人は見知らぬ森に落ち、そして近くにあった城の兵士達に連行されてしまう。
事情を聞いた城の王様は、天から現れた4人に運命的な物を感じ、非礼を詫びると共にこの世界の現状を語る。
この世界では「魔道士ザンエル」が魔物を使役して人々を襲い、更に封印されている「魔王ダークブレイン」を復活させようと目論んでいるという。

王様から火・水・土・風の力を宿した四種の武具を託された4人は、ザンエルの野望を阻止するため新たな戦いへと身を投じて行く。

評価点

  • 良好なキャラクター性能バランス
    • 本作は『ザ・グレイトバトルII ラストファイターツイン』の後日譚であり、プレイアブルキャラクターは前作に引き続き「ガンダムF91」「仮面ライダーブラックRX」「ウルトラマングレート」「ロア」の4人。
    • 前作「II」ではキャラクター間の性能差が酷かったのだが、今作では改善され、良好なバランスに仕上がっている。
    • また、ファンタジー風の異世界という世界観に合わせて、SDキャラに武器を持たせるなどの性能を差別化しており、F91は騎士鎧に両手剣、RXは槍を持った軽装戦士、グレートはグラディエーター風衣装に鉄球、ロアは弓使いの旅人といった具合に個性付けされている。
  • ガンダムF91
    • リーチと高い攻撃力が売りの「ファイター型」のキャラ。バランスが取れており、溜め技を含めて乱戦向きの性能。
  • 仮面ライダーブラックRX
    • ダッシュ攻撃の貧弱さと攻撃力の低さを、ジャンプと素早さ、槍のリーチで補う「スピード型」のキャラ。ステージの仕掛けや一対一の状況に強く、アウトボクサーのような戦い方で真価を発揮する。
  • ウルトラマングレート
    • 動きやジャンプが遅く、リーチが短いものの。攻撃モーションが速く。唯一、一連のコンボだけでザコ敵を葬ることのできる有能な「インファイター型」のキャラ。ダッシュ攻撃のタックルも使い勝手が良く。上手く隙を無くせばエースとして活躍が期待できる。ただ、高い殲滅力で数的優位を作っていくスタイルなため、狭い通路や乱戦ではジリ貧に陥りやすい。
  • ロア
    • 弓を武器とするため、接近戦ではリーチ、パワー共に最弱。一方、溜め技が唯一の飛び道具であり、ダッシュ攻撃の当たり判定が非常に恵まれており、イザという時たよりになる「スーパーサブ型」のキャラ。所謂ハメを得意としており、使いどころを間違えると非力ゆえ戦闘が長期化し、不要なダメージを負い易い。
  • 有用な溜め技の存在
    • 溜め技はキャラの武器にあった有用なものとなっており、武器と並んでキャラクター性能に個性を持たせている要素となっている。
      • 「F91」の回転斬り(横)は、乱戦時に複数の敵を蹴散らすことができ、形勢逆転の切り札として使える強力なものであるが、リーチが短く、敵のタックル攻撃にめっぽう弱いため「待ち」には向いておらず。溜め技を使う距離やタイミングがシビアなものになっている。(ただ、魔法の腕輪3つ使用によるクイックチャージ習得後や乱戦の増える終盤においては非常に重要な戦力となる)
      • 「RX」の回転斬り(縦)は、唯一の対空性能と前後へのやや広めな攻撃判定から、堅牢で使いやすい技であり、非力なRXの貴重なダメージソースとなっている。一方で左右に攻撃判定がないことから複数の敵に攻撃を当てることが難しく、溜め技としては火力面での効率性に欠ける。
      • 「グレート」のハンマースローは、高威力の中距離攻撃で正面の敵をリスクを犯さずに処理できるものの、発動時に背面が無防備になるため、隙のできやすいパーワーファイターの印象を濃くしている。
      • 「ロア」の弓矢は、唯一の飛び道具であり貫通性もあるため、上手くいけばドミノのように攻撃が当てることも可能。しかし、遠距離の敵を一方的に攻撃できる反面、遠距離では命中が難しく。近距離で外すとグレート以上に隙が大きいなど、ここぞという場面で使っていく必要がある。
  • 2段ジャンプによる立体的なアクション
    • 通常のベルトスクロールアクションにおいて、ジャンプはあくまでも飛び蹴りや段差を超えるなど以外では、あまり使い道のない添え物的な存在というのが一般的である。
    • しかし、本作ではクオータービューのベルトスクロールアクションでありながら2段ジャンプを採用することで、ジャンプゲームの要素を混ぜることに成功している。
    • 例えば、本作の敵は縦軸が合うと、戦士系はタックルを、魔導師系は攻撃魔法を積極的に放ってくる。この際、2段ジャンプを行い『上方向へ回避』したり、魔法の腕輪を2つ使用して「上空からの串刺し攻撃」習得すると『敵の真上』からの攻撃が行えたりと、ベルトスクロールアクションには珍しい立体的な戦い方ができる。
    • そのため、ジャンプのスピードが回避性能や奇襲能力などに直結するため、ベルトスクロールのキャラ性能における基本要素といえば、パワー、スピード、防御、リーチ、モーションスピード、必殺技などであるが、本作においては『ジャンプ性能』という要素も加わることで、他の作品よりキャラクターの性能の差別化をより際立たせることに一役買っている。
      • また、キャラクターは人間ではなく元々飛行能力や超人的な跳躍力を有しているSDヒーローであるため、2段ジャンプに描写的な違和感はなく。キャラの特性を上手く活かした改変であるといえる。
  • お金とショップによる戦略性
    • 本作では、敵を倒すと必ずお金を落とすようになっており、マラソンの給水ポイントのように存在するショップで買い物をすることができる。
    • アイテムは、回復、技習得による強化、使いきりの必殺技、一定時間無敵、に分類され、何をどのタイミングで買うかという戦略を含めることで色々なプレイスタイルを楽しむことができる。
    • 例えば、回復アイテムは同じものを複数持てない
  • 秀逸なBGM
    • 全般的に音楽は場面にあっており、中でもOP画面で流れるテーマ曲は幻想的で雄大なものに仕上がっており、大作RPGのような雰囲気を味わえる。
  • バラエティ豊富なステージ構成
    • 前作の宇宙旅行のようなステージに負けず劣らず。本作も、コロシアム、飛空挺、墓場など子供心を揺さぶるステージが用意されている。

批判点

  • 前作より薄れた原作要素
    • ゲームとしての完成度も高まり、ファンタジー風な衣装デザインも悪くない一方で、キャラクター以外の部分で原作要素が非常に薄いものになってしまっている。
    • 必殺技もレベル3以外は原作要素皆無の魔法攻撃となっている。
    • 敵キャラの方でも、飛び道具は使わず両手の鉤爪で攻撃してくるキュベレイや、魔法使いのカメレオンやイカデビル、吸血鬼風のマグマ星人など。
      • 大剣の先からアトミックバズーカ(核弾頭)を撃つGP-02、呪博士の代わりにザンエルが乗り込んだキングダークなど、頑張っているのも見られるが。
  • 穴(即死ポイント)がやけに多い。
    • ジャンプミスや敵の攻撃によるダウンで落下してしまうのはお約束。こちら側も敵を落とせば1発で倒せるが、その場合お金は手に入らない。
    • ミス後は画面上から降ってくる形で復活するが、場合によっては足場の無い部分に出てきて連続ミスになってしまう(特にトロッコステージ)。
  • お金とショップのシステムの弊害
    • これの導入に伴い、前作にあったステージ毎のライフ回復は廃止されてしまった。
    • 回復アイテムは購入してもすぐには効果を発揮せず、フィールドで手持ちのアイテムから選択して使わなければならない。
    • 合体技が専用のアイテムを購入する必要があるため前作に比べて使用しにくくなっている。
  • フレイムゴーストの倒し方が分かりづらい。
    • トロッコステージのボス「フレイムゴースト」は、ジャンプ攻撃、もしくは特殊攻撃でないとダメージを与えられないのだが、これがノーヒントと為っている。
    • しかも、通常攻撃が5回に1回程度当たるため、低年齢層などはジャンプ攻撃に気付かず、ここでゲームオーバーになる事態が頻発した。
  • ヨボヨボになった前作ラスボス
    • これに引っかかりを感じるプレイヤーもいる。ただし前作とは別世界に来ているのであくまで同名の別人ではある。
      • ラスボスと偽ラスボスのポジションが前作から説明抜きに逆転しているのも違和感の原因だろう。前作の偽ラスボスがテクニック次第で瞬殺できた*1のに対し、前作のラスボスがみんなのトラウマ級の強敵だった点もその違和感を強くしている。

総評

前作の問題点がこれでもかと修正された理想的な続編であり、キャラクター性能の良調整に代表される完成度の高さは、
コンパチシリーズが版権の豪華なだけのキャラゲーから脱皮してみせた、まさに入魂の一作という言葉が相応しい出来となっている。

余談

  • 月刊少年誌『コミックボンボン』(現在は休刊)にて本作の漫画版が連載されていた。作者は、後に同誌で『ガイアセイバー』のコミカライズも担当したときた洸一氏。
    • 王様から渡された武器で戦う理由付けとして、作中世界では4人が本来の力を発揮できない描写がある(F91のヴェスバーが不発になった)。
    • 厳密には、コンパチヒーローの複数のゲームをひとつのストーリーで繋げた漫画であり、タイトルには「コンパチヒーローワールド」と付いている。
      • 順番に『バトルサッカー』『バトルベースボール』『ザ・グレイトバトルIII』『バトルドッジボールII』。(ただしバトルサッカー編のみ単行本未掲載)