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*ザ・グレイトバトルIII 【ざ ぐれいとばとる すりー】 |ジャンル|ベルトスクロールアクション|CENTER:&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/167000312.jpg,height=200)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|10MbitROMカートリッジ|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|さんえる|~| |発売日|1993年3月26日|~| |定価|8,700円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|IIの正統続編だが世界観はファンタジー&br()ゲーム性は正統進化、難易度は急上昇&br()プレイヤーキャラの性能バランスは良好|~| |>|>|CENTER:''[[コンパチヒーローシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 人気作品のSDキャラによるアクション系クロスオーバーシリーズのひとつ『グレイトバトルシリーズ』の第3作目。~ 本作は『[[ザ・グレイトバトルII ラストファイターツイン]]』に続き、ベルトスクロールアクションとなっている。全9面構成。 **ストーリー >闇の帝王ダークブレインと、それを影で操っていたザンエルを倒したコンパチヒーローズの4人。~ しかしその帰還の途中、乗っていた宇宙船が隕石と激突。その衝撃で何故か異世界へと飛ばされてしまう。~ ~ 4人は見知らぬ森に落ち、そして近くにあった城の兵士達に連行されてしまう。~ 事情を聞いた城の王様は、天から現れた4人に運命的な物を感じ、非礼を詫びると共にこの世界の現状を語る。~ この世界では「魔道士ザンエル」が魔物を使役して人々を襲い、更に封印されている「魔王ダークブレイン」を復活させようと目論んでいるという。~ ~ 王様から火・水・土・風の力を宿した四種の武具を託された4人は、ザンエルの野望を阻止するため新たな戦いへと身を投じて行く。 **キャラクター -ガンダムF91 --リーチと安定した攻撃力が売りの「バランス型」のキャラ。防御力も高く、溜め技を含めて乱戦向きの性能。 --欠点は通常ジャンプ攻撃の発生が遅く判定も貧弱で使いづらい、魔法の腕輪レベル1~2の技が使いにくい((YB同時押し技が発生判定含めすべての面で最弱、2段ジャンプ攻撃も判定と発生が一番弱い。))等がある。 -仮面ライダーブラックRX --ダッシュ攻撃の貧弱さと攻撃力の低さを、素早さとリーチで補う「スピード型」のキャラ。防御力は標準。ステージの仕掛けや一対一の状況に強く、アウトボクサーのような戦い方で真価を発揮する。 --通常ジャンプ攻撃とYB同時押し技が判定・持続ともに優秀。ダッシュ攻撃のスライディングは持続と移動距離が短く若干使いにくい。 -ウルトラマングレート --移動速度とリーチに劣るが攻撃力は最高で、YB同時押し技の連打ハメも狙える「インファイター型」のキャラ。ダッシュ攻撃のタックルも使いやすいため、上手く隙を無くせばエースとして活躍が期待できる。 --実は防御力が低く打たれ弱い。また、通常攻撃は高速だがフィニッシュ技のみ遅く、相手によっては容易く割り込まれるので注意。 -ロア --弓を武器とするため、接近戦ではリーチ・攻撃力ともに最弱。一方、溜め技が唯一の飛び道具であり、ダッシュ攻撃の当たり判定も非常に強く、イザという時たよりになる「スーパーサブ型」のキャラ。防御力は標準。 --所謂ハメを得意とするが、使いどころを間違えると非力ゆえ戦闘が長期化し、不要なダメージを負いやすい。 **合体技 -F91+ライダー(火+水) 花火 --画面全体を覆うくらい巨大なナイアガラ花火(滝花火)で攻撃。よく見ると花火の形はバンプレストのロゴマークになっている。二人は耳をふさぎ目をとじている。 -F91+グレート(火+土) メテオ --二人が魔法使いのようなローブをまとい、炎をまとった隕石をいくつも落とす。 -F91+ロア(火+風) ゴッドブレス --おそらく北風と太陽が元ネタ。F91は暑そうにしてうちわを仰ぎ、ロアは寒そうにしてこたつに入っている。なぜ敵にダメージが入るかは聞いてはいけない。 -ライダー+グレート(水+土) ?? --おそらく一番自重していない合体技。豆の木のようなものを中心に植え、二人は農作業服に着替え、木を栽培する。その木が爆弾のなる木であり、爆弾を落として攻撃する。 -ライダー+ロア(水+風) タミネサンダー --唯一前作から引き継いだ合体技。二人が雨乞いをしだしてグレート雷門を呼び出して攻撃させる。 -グレート+ロア(土+風) ?? --いきなり画面が砂嵐になり、バンプレキッドが「しばらくお待ちください」の札を持って出てくる。砂嵐が終わるとなぜか敵にダメージが入っている。 ---- **評価点 -プレイヤーキャラ4人の個性付け --本作は『II』の後日譚であり、プレイアブルキャラクターは前作に引き続き「ガンダムF91」「仮面ライダーブラックRX」「ウルトラマングレート」「ロア」の4人。 --ファンタジー風の異世界という世界観に合わせて、F91は騎士鎧に両手剣、RXは槍を持った軽装戦士、グレートはグラディエーター風衣装に鉄球、ロアは弓使いの旅人といった具合に個性付けされている。 -良好なキャラクター性能バランス --前作ではキャラクター間の操作や攻撃方法に違いがなく単純にキャラ性能差が大きかったのだが、今作ではそれぞれに違う武器や技を持たせて明らかな区別をもたせている。 -合体技も前作以上に凝りに凝っている。 --合体技のアイテムがレアのうえ高額なため、1プレイですべて見ることは不可能なことが悔やまれる。しかし面白い演出が多いので必見。キャラもさまざまな衣装に着替える。 -溜め技の存在 --キャラごとの固有モーションとなっており、武器と並んでキャラクター性能に個性を持たせている要素。 ---F91の回転斬りは乱戦時に複数の敵を蹴散らすことができ、形勢逆転の切り札として使える強力なもの。ただし、リーチが短く敵のタックル攻撃にめっぽう弱いため「待ち」には不向き。使う距離やタイミングは難しいが、魔法の腕輪レベル3によるクイックチャージ習得後や乱戦の増える終盤においては、非常に重要な戦力となる。 ---RXの前転斬りは前後を素早く攻撃する。F91の回転斬りに比べて素早く、頭上のコウモリなどを処理しやすい。一方で縦軸の異なる敵に当たらないため、乱戦時の信頼性は劣る。 ---グレートのハンマースローは、高威力の中距離攻撃で正面の敵をリスクを冒さずに処理できるものの発動時に背面が無防備になるため、隙のできやすいパワーファイターの印象を濃くしている。また画面外に落ちたお金を回収できる特性もある。 ---ロアの弓矢は唯一の飛び道具であり貫通性もあるため、上手く使えば複数の敵をなぎ倒すことも可能。しかし、飛び道具をすり抜ける、すり抜けつつ攻撃する敵がかなり多くいるため、意外と有効活用できる場面は限られている。 //ほぼ密着状態ならボタンを離した瞬間に当たります。 -2段ジャンプによる立体的なアクション //--通常のベルトスクロールアクションにおいて、ジャンプはあくまでも飛び蹴りや段差を超えるなど以外では、あまり使い道のない添え物的な存在というのが一般的である。 --本作はクオータービューのベルトスクロールアクションでありながら2段ジャンプを採用することで、空中アクションの要素を持ち込むことに成功している。 --例えば本作の敵は縦軸が合うと、戦士系はタックルを、魔導師系は攻撃魔法を積極的に放ってくる。この際、2段ジャンプを行い「上方向へ回避」したり、魔法の腕輪レベル2で「上空からの攻撃」を習得できたりと、ベルトスクロールアクションには珍しい立体的な戦い方ができる。 --ベルトスクロールにおけるキャラ性能の基本要素といえば、攻撃力・リーチ・防御力・移動速度・必殺技などであるが、本作は「2段ジャンプによる回避・奇襲性能」という要素を加えることで、キャラクター間の性能差が際立っている。 ---また、キャラクターは人間ではなく元々飛行能力や超人的な跳躍力を有するSDヒーローであるため、2段ジャンプに描写的な違和感はない。キャラの特性を上手く活かした改変であるといえよう。 -お金とショップによる戦略性 --本作では、敵を倒すと必ずお金を落とすようになっており、マラソンの給水ポイントのように存在するショップで買い物をすることができる。 --アイテムは回復・技習得による強化・使いきりの必殺技・一定時間無敵に分類され、何をどのタイミングで買うかという戦略を含めることで色々なプレイスタイルを楽しむことができる。 --が、このシステムについては批判点が多い(後述)。 -秀逸なBGM --全般的に音楽は場面にあっており、中でもOP画面で流れるテーマ曲は幻想的で雄大なものに仕上がっており、大作RPGのような雰囲気を味わえる。 --ただし全体的にリバーブが強めにかけられており、風呂の中のような籠った音質になってしまっている点は賛否が分かれる。 -バラエティ豊富なステージ構成 --前作の宇宙旅行のようなステージに負けず劣らず、本作もコロシアム・飛空艇・墓場など子供心を揺さぶるステージが多数用意されている。 ---- **賛否両論点 -中世ファンタジー風アレンジと前作より薄れた原作要素 --先述の通り、本作は中世ファンタジー風のアレンジが施されている。 --根本的な問題として、''なぜコンパチキャラで中世ファンタジーなのかが謎である''。ファンタジー風のゲームデザイン自体は良いのだが、キャラクター以外の部分はほとんどオリジナルで、原作要素が非常に薄いものになってしまっている。 ---ただし、そもそも当時のコンパチヒーローシリーズ自体、ザ・グレイトバトルシリーズを含めて原作再現やイメージを意識している作品は少なかったため、本作はややビジュアルや設定が異色なだけで、やっていることはそこまで変わっていない。 ---またSDガンダムは同じく中世ファンタジーなSDガンダム外伝があったし、ウルトラマンもデフォルメされたキャラが鎧を着て格闘バトルする作品があった。どちらかと言えばここは現在の視点で見た場合の評価である。 ---当時は『スレイヤーズ』や『騎士ガンダム』を筆頭にサブカル界では大々的な中世ファンタジーブームが起こっていたため、今回のコンセプトはそれに乗っかったものと思われる。 --必殺技もレベル3以外は原作要素皆無の普通の魔法攻撃となっている。 --敵キャラの方でもあまり原作要素がいかされていない。飛び道具のファンネルは使わず両手の鉤爪で攻撃してくるキュベレイ(近距離だと投げ技も仕掛けてくるあたり[[バルログ>ストリートファイターII]]がモチーフか)や、なぜか魔法使いのカメレオンやイカデビルやバルタン星人、吸血鬼風のマグマ星人など。 ---全く理解できないアレンジが施されている敵はあまり居らず、逆にファンタジー世界らしくない敵も居ないが原作再現とは言い難い。 ---大剣の先からアトミックバズーカ(核弾頭)を撃つGP-02、元々は甲冑人間だったが本作では騎士となっているボーグ星人、呪博士の代わりにザンエルが乗り込んだキングダークなど、原作のモチーフや要素を頑張って使おうとしているのも見られるが。 ---- **問題点 -前作からの様々な仕様変更および爽快感の減少 --前作から正当進化はしているものの、前作に慣れていればいるほど理不尽に感じる点が多い。 --ダウン中の敵を攻撃できなくなり、投げが他の敵を巻き込まなくなったことで緊急回避に使いにくいなど、前作のテクニックはほとんど通用しない。 --各種技の仕様 ---フィニッシュ技のモーションは通常攻撃と大差なく、攻撃範囲も狭いため「複数の敵をなぎ倒す爽快感」に乏しい。 ---溜め技は「地上で攻撃を1発出さないとチャージできない」「チャージ中は移動できない」「チャージ速度が遅い」「チャージ完了前にボタンを離すと何もしない」などの欠点があり、敵の攻撃が激しい中盤以降では使う暇がない。魔法の腕輪レベル3(クイックチャージ習得)でやっと実用に耐えうる性能となる。 ---YB同時押し技は入力判定がシビア、かつ専用ボタンを設定できないため、Y or Bの暴発率が高め。 ---必殺技は前作と違い、無敵状態の敵に当たらなくなった。一応、画面内に当たり判定のある敵が一人もいないときは発動しないが、ボスが雑魚を召喚するタイプだと「ボスが無敵状態なので雑魚にしか当たらなかった」というケースが起こり得る(デブデダビデ戦で特に顕著)。 --ボス戦 ---こちらの攻撃ヒット後に無敵時間が設定されているボスが多く、攻撃ヒット→無敵時間が切れるまでガードでやり過ごし→攻撃ヒット→無敵時間が切れるまで……という攻略法がほぼ全ボス共通。 ---ラスボス戦は相変わらずの運戦闘だが、アイテムのおかげで前作よりは相当運要素は薄れている。 -投げの弱体化 --敵と組み合った際の投げ猶予が一瞬しかなく、失敗すると即座に反撃されダウン確定。また、威力は通常攻撃1発分よりやや高い程度。 --F91とロアは実質的にふっとばし打撃。攻撃判定の発生前に無防備なフレームが存在するため、相手に割り込まれて負けというパターンが頻発する。 --RXとグレートはモーション中無敵かつ0フレーム発生なので安定している。しかし、前述のとおり巻き込み不可なので緊急回避としてはイマイチ。 -ガードの使いにくさ --「ガード成功時に敵の攻撃判定が消えない」という致命的な欠点があるため、すぐにガードを解くと残った判定に引っかかってしまう。 --また、組み判定や一部の飛び道具も防げないので、相手をよく見て使う必要がある。 -難易度の高さ --前作の1面はかなり容易に進めることができたが、今作は最下級の雑魚(ザクや戦闘員)ですら高速タックルなどで容赦なく殺しにかかってくるため、上級者でも油断していると1面序盤であっさり死亡してしまう。 ---難易度イージーでも敵の攻撃方法、投げ猶予の短さ、落とすお金などが変わらないため、救済措置になっているとは言い難い。 --ライフの回復手段は薬の購入・使用のみ((謎の壺のランダム効果で代替するか、命の玉で残機を増やすことは可能。))。ステージをクリアしても回復できず、固定配置の回復アイテムも存在しない。 ---薬は安価かつ任意のタイミングで使えるが、回復量の異なる青・赤を1個ずつしかストックできず、販売期間も青が1面、赤が3・5・9面と短い。 ---お金さえあれば入店→購入→使用→入店……で全回復+ストックできるが、それでも厳しい。 ---ただし、本作では1面クリア毎にパスワードが表示されるため、クリア後毎回パスワードで再開すればライフ・残機・クレジットを初期値に戻す(回復する)事ができる。この仕様が救済措置になっていると言えるだろう。 -ショップ関連の練りこみ不足 --「お金稼ぎに限界値がある」「一度に持てるのは1万Gまで」「ショップの配置が固定かつ少ない」「通り過ぎたショップに引き返す(画面スクロールを戻す)ことが不可能」など、不便な仕様が多い。 ---効率良く買い物をするためにはショップの配置と稼げるお金を一度経験し、計算しなおしてから改めて買い物をする必要がある。 ---9面前半に出てくるショップが最後の配置であるため、そこを過ぎたらお金を貯める意味は一切ないのだが、敵を倒すと変わらずお金を落としていく。この仕様も練りこみ不足。 --2Pプレイはもっと地獄。稼げるお金の額が1Pプレイと全く同じなので取り合いになってしまい、ケンカの原因となり得る。 --「稼いだら戻れる」「ボーナスステージを作る」「2Pプレイでは稼げる額を増やす」などの調整があれば、また変わっていた可能性もある。 //-お金とショップのシステムの弊害>上記にまとめます。 -穴(即死ポイント)がやけに多い --ジャンプミスや敵の攻撃によるダウンで落下してしまうのはお約束。こちら側も敵を落とせば1発で倒せるが、その場合お金は手に入らない。 --ミス後は画面上から降ってくる形で復活するが、場合によっては足場の無い部分に出てきて連続ミスになってしまう(特にトロッコステージ)。 -属性の概念 --OPで語られるとおり、ヒーロー達の武具にはそれぞれ火・水・土・風の属性が備わっている。しかし、特定の敵に有利/不利という事は無く、ほぼ死に設定となっている。 ---その設定が見受けられるのは「ザコ敵を倒した後の消滅アニメーションが各属性に沿った演出である」こと程度。 -ヨボヨボになった前作ラスボス --これに引っかかりを感じるプレイヤーもいる。ただし前作とは別世界に来ているのであくまで同名の別人ではある。 ---ラスボスと偽ラスボスのポジションが前作から説明抜きに逆転しているのも違和感の原因だろう。前作の偽ラスボスがテクニック次第で瞬殺できた((直前のザコ戦のフィールドの落とし穴の判定が画面端に残っており、穴に落とせばザコキャラ同様に即死させられた))のに対し、前作のラスボスがみんなのトラウマ級の強敵だった点もその違和感を強くしている。 -パスワードが長い --今の時代と違い写メなどなかった時代。書き写しミスが前作より頻繁に発生した。 ---- **総評 いろいろ作りこみ不足、前作からのシビアな仕様変更による難易度の上昇といった意見の分かれる点もあるが、はっきりとしたキャラクター性能区別および調整、グラフィックの綺麗な作りこみなどゲームとしての完成度は非常に高い部類。ゲーム単体として見ても十分評価できる内容となっている。~ シリーズファンにとっては、理想的な続編と言えるだろう。 ---- **余談 -月刊少年誌『コミックボンボン』(現在は休刊)にて本作の漫画版が連載されていた。作者は、後に同誌で『ガイアセイバー』のコミカライズも担当したときた洸一氏。 --厳密には、コンパチヒーローの複数のゲームをひとつのストーリーで繋げた漫画であり、タイトルには「コンパチヒーローワールド」と付いている。 --王様から渡された武器で戦う理由付けとして、作中世界では4人が本来の力を発揮できない描写がある(F91のヴェスバーが不発になった)。 ----
*ザ・グレイトバトルIII 【ざ ぐれいとばとる すりー】 |ジャンル|ベルトスクロールアクション|CENTER:&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/167000312.jpg,height=200)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|10MbitROMカートリッジ|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|さんえる|~| |発売日|1993年3月26日|~| |定価|8,700円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|IIの正統続編だが世界観はファンタジー&br()ゲーム性は正統進化、難易度は急上昇&br()プレイヤーキャラの性能バランスは良好|~| |>|>|CENTER:''[[コンパチヒーローシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 人気作品のSDキャラによるアクション系クロスオーバーシリーズのひとつ『グレイトバトルシリーズ』の第3作目。~ 本作は『[[ザ・グレイトバトルII ラストファイターツイン]]』に続き、ベルトスクロールアクションとなっている。全9面構成。 **ストーリー >闇の帝王ダークブレインと、それを影で操っていたザンエルを倒したコンパチヒーローズの4人。~ しかしその帰還の途中、乗っていた宇宙船が隕石と激突。その衝撃で何故か異世界へと飛ばされてしまう。~ ~ 4人は見知らぬ森に落ち、そして近くにあった城の兵士達に連行されてしまう。~ 事情を聞いた城の王様は、天から現れた4人に運命的な物を感じ、非礼を詫びると共にこの世界の現状を語る。~ この世界では「魔道士ザンエル」が魔物を使役して人々を襲い、更に封印されている「魔王ダークブレイン」を復活させようと目論んでいるという。~ ~ 王様から火・水・土・風の力を宿した四種の武具を託された4人は、ザンエルの野望を阻止するため新たな戦いへと身を投じて行く。 **キャラクター -ガンダムF91 --リーチと安定した攻撃力が売りの「バランス型」のキャラ。防御力も高く、溜め技を含めて乱戦向きの性能。 --欠点は通常ジャンプ攻撃の発生が遅く判定も貧弱で使いづらい、魔法の腕輪レベル1~2の技が使いにくい((YB同時押し技が発生判定含めすべての面で最弱、2段ジャンプ攻撃も判定と発生が一番弱い。))等がある。 -仮面ライダーブラックRX --ダッシュ攻撃の貧弱さと攻撃力の低さを、素早さとリーチで補う「スピード型」のキャラ。防御力は標準。ステージの仕掛けや一対一の状況に強く、アウトボクサーのような戦い方で真価を発揮する。 --通常ジャンプ攻撃とYB同時押し技が判定・持続ともに優秀。ダッシュ攻撃のスライディングは持続と移動距離が短く若干使いにくい。 -ウルトラマングレート --移動速度とリーチに劣るが攻撃力は最高で、YB同時押し技の連打ハメも狙える「インファイター型」のキャラ。ダッシュ攻撃のタックルも使いやすいため、上手く隙を無くせばエースとして活躍が期待できる。 --実は防御力が低く打たれ弱い。また、通常攻撃は高速だがフィニッシュ技のみ遅く、相手によっては容易く割り込まれるので注意。 -ロア --弓を武器とするため、接近戦ではリーチ・攻撃力ともに最弱。一方、溜め技が唯一の飛び道具であり、ダッシュ攻撃の当たり判定も非常に強く、イザという時たよりになる「スーパーサブ型」のキャラ。防御力は標準。 --所謂ハメを得意とするが、使いどころを間違えると非力ゆえ戦闘が長期化し、不要なダメージを負いやすい。 **合体技 -F91+ライダー(火+水) 花火 --画面全体を覆うくらい巨大なナイアガラ花火(滝花火)で攻撃。よく見ると花火の形はバンプレストのロゴマークになっている。二人は耳をふさぎ目をとじている。 -F91+グレート(火+土) メテオ --二人が魔法使いのようなローブをまとい、炎をまとった隕石をいくつも落とす。 -F91+ロア(火+風) ゴッドブレス --おそらく北風と太陽が元ネタ。F91は暑そうにしてうちわを仰ぎ、ロアは寒そうにしてこたつに入っている。なぜ敵にダメージが入るかは聞いてはいけない。 -ライダー+グレート(水+土) ?? --おそらく一番自重していない合体技。豆の木のようなものを中心に植え、二人は農作業服に着替え、木を栽培する。その木が爆弾のなる木であり、爆弾を落として攻撃する。 -ライダー+ロア(水+風) タミネサンダー --唯一前作から引き継いだ合体技。二人が雨乞いをしだしてグレート雷門を呼び出して攻撃させる。 -グレート+ロア(土+風) ?? --いきなり画面が砂嵐になり、バンプレキッドが「しばらくお待ちください」の札を持って出てくる。砂嵐が終わるとなぜか敵にダメージが入っている。 ---- **評価点 -プレイヤーキャラ4人の個性付け --本作は『II』の後日譚であり、プレイアブルキャラクターは前作に引き続き「ガンダムF91」「仮面ライダーブラックRX」「ウルトラマングレート」「ロア」の4人。 --ファンタジー風の異世界という世界観に合わせて、F91は騎士鎧に両手剣、RXは槍を持った軽装戦士、グレートはグラディエーター風衣装に鉄球、ロアは弓使いの旅人といった具合に個性付けされている。 -良好なキャラクター性能バランス --前作ではキャラクター間の操作や攻撃方法に違いがなく単純にキャラ性能差が大きかったのだが、今作ではそれぞれに違う武器や技を持たせて明らかな区別をもたせている。 -合体技も前作以上に凝りに凝っている。 --合体技のアイテムがレアのうえ高額なため、1プレイですべて見ることは不可能なことが悔やまれる。しかし面白い演出が多いので必見。キャラもさまざまな衣装に着替える。 -溜め技の存在 --キャラごとの固有モーションとなっており、武器と並んでキャラクター性能に個性を持たせている要素。 ---F91の回転斬りは乱戦時に複数の敵を蹴散らすことができ、形勢逆転の切り札として使える強力なもの。ただし、リーチが短く敵のタックル攻撃にめっぽう弱いため「待ち」には不向き。使う距離やタイミングは難しいが、魔法の腕輪レベル3によるクイックチャージ習得後や乱戦の増える終盤においては、非常に重要な戦力となる。 ---RXの前転斬りは前後を素早く攻撃する。F91の回転斬りに比べて素早く、頭上のコウモリなどを処理しやすい。一方で縦軸の異なる敵に当たらないため、乱戦時の信頼性は劣る。 ---グレートのハンマースローは、高威力の中距離攻撃で正面の敵をリスクを冒さずに処理できるものの発動時に背面が無防備になるため、隙のできやすいパワーファイターの印象を濃くしている。また画面外に落ちたお金を回収できる特性もある。 ---ロアの弓矢は唯一の飛び道具であり貫通性もあるため、上手く使えば複数の敵をなぎ倒すことも可能。しかし、飛び道具をすり抜ける、すり抜けつつ攻撃する敵がかなり多くいるため、意外と有効活用できる場面は限られている。 //ほぼ密着状態ならボタンを離した瞬間に当たります。 -2段ジャンプによる立体的なアクション //--通常のベルトスクロールアクションにおいて、ジャンプはあくまでも飛び蹴りや段差を超えるなど以外では、あまり使い道のない添え物的な存在というのが一般的である。 --本作はクオータービューのベルトスクロールアクションでありながら2段ジャンプを採用することで、空中アクションの要素を持ち込むことに成功している。 --例えば本作の敵は縦軸が合うと、戦士系はタックルを、魔導師系は攻撃魔法を積極的に放ってくる。この際、2段ジャンプを行い「上方向へ回避」したり、魔法の腕輪レベル2で「上空からの攻撃」を習得できたりと、ベルトスクロールアクションには珍しい立体的な戦い方ができる。 --ベルトスクロールにおけるキャラ性能の基本要素といえば、攻撃力・リーチ・防御力・移動速度・必殺技などであるが、本作は「2段ジャンプによる回避・奇襲性能」という要素を加えることで、キャラクター間の性能差が際立っている。 ---また、キャラクターは人間ではなく元々飛行能力や超人的な跳躍力を有するSDヒーローであるため、2段ジャンプに描写的な違和感はない。キャラの特性を上手く活かした改変であるといえよう。 -お金とショップによる戦略性 --本作では、敵を倒すと必ずお金を落とすようになっており、マラソンの給水ポイントのように存在するショップで買い物をすることができる。 --アイテムは回復・技習得による強化・使いきりの必殺技・一定時間無敵に分類され、何をどのタイミングで買うかという戦略を含めることで色々なプレイスタイルを楽しむことができる。 --が、このシステムについては批判点が多い(後述)。 -秀逸なBGM --全般的に音楽は場面にあっており、中でもOP画面で流れるテーマ曲は幻想的で雄大なものに仕上がっており、大作RPGのような雰囲気を味わえる。 --ただし全体的にリバーブが強めにかけられており、風呂の中のような籠った音質になってしまっている点は賛否が分かれる。 -バラエティ豊富なステージ構成 --前作の宇宙旅行のようなステージに負けず劣らず、本作もコロシアム・飛空艇・墓場など子供心を揺さぶるステージが多数用意されている。 ---- **賛否両論点 -中世ファンタジー風アレンジと前作より薄れた原作要素 --先述の通り、本作は中世ファンタジー風のアレンジが施されている。 --根本的な問題として、''なぜコンパチキャラで中世ファンタジーなのかが謎である''。ファンタジー風のゲームデザイン自体は良いのだが、キャラクター以外の部分はほとんどオリジナルで、原作要素が非常に薄いものになってしまっている。 ---ただし、そもそも当時のコンパチヒーローシリーズ自体、ザ・グレイトバトルシリーズを含めて原作再現やイメージを意識している作品は少なかったため、本作はややビジュアルや設定が異色なだけで、やっていることはそこまで変わっていない。 ---またSDガンダムは同じく中世ファンタジーなSDガンダム外伝があったし、ウルトラマンもデフォルメされたキャラが鎧を着て格闘バトルする作品があった。どちらかと言えばここは現在の視点で見た場合の評価である。 ---当時は『スレイヤーズ』や『騎士ガンダム』を筆頭にサブカル界では大々的な中世ファンタジーブームが起こっていたため、今回のコンセプトはそれに乗っかったものと思われる。 --必殺技もレベル3以外は原作要素皆無の普通の魔法攻撃となっている。 --敵キャラの方でもあまり原作要素がいかされていない。飛び道具のファンネルは使わず両手の鉤爪で攻撃してくるキュベレイ(近距離だと投げ技も仕掛けてくるあたり[[バルログ>ストリートファイターII]]がモチーフか)や、なぜか魔法使いのカメレオンやイカデビルやバルタン星人、吸血鬼風のマグマ星人など。 ---全く理解できないアレンジが施されている敵はあまり居らず、逆にファンタジー世界らしくない敵も居ないが原作再現とは言い難い。 ---大剣の先からアトミックバズーカ(核弾頭)を撃つGP-02、元々は甲冑人間だったが本作では騎士となっているボーグ星人、呪博士の代わりにザンエルが乗り込んだキングダークなど、原作のモチーフや要素を頑張って使おうとしているのも見られるが。 ---- **問題点 -前作からの様々な仕様変更および爽快感の減少 --前作から正当進化はしているものの、前作に慣れていればいるほど理不尽に感じる点が多い。 --ダウン中の敵を攻撃できなくなり、投げが他の敵を巻き込まなくなったことで緊急回避に使いにくいなど、前作のテクニックはほとんど通用しない。 --各種技の仕様 ---フィニッシュ技のモーションは通常攻撃と大差なく、攻撃範囲も狭いため「複数の敵をなぎ倒す爽快感」に乏しい。 ---溜め技は「地上で攻撃を1発出さないとチャージできない」「チャージ中は移動できない」「チャージ速度が遅い」「チャージ完了前にボタンを離すと何もしない」などの欠点があり、敵の攻撃が激しい中盤以降では使う暇がない。魔法の腕輪レベル3(クイックチャージ習得)でやっと実用に耐えうる性能となる。 ---YB同時押し技は入力判定がシビア、かつ専用ボタンを設定できないため、Y or Bの暴発率が高め。 ---必殺技は前作と違い、無敵状態の敵に当たらなくなった。一応、画面内に当たり判定のある敵が一人もいないときは発動しないが、ボスが雑魚を召喚するタイプだと「ボスが無敵状態なので雑魚にしか当たらなかった」というケースが起こり得る(デブデダビデ戦で特に顕著)。 --ボス戦 ---こちらの攻撃ヒット後に無敵時間が設定されているボスが多く、攻撃ヒット→無敵時間が切れるまでガードでやり過ごし→攻撃ヒット→無敵時間が切れるまで……という攻略法がほぼ全ボス共通。 ---ラスボス戦は相変わらずの運戦闘だが、アイテムのおかげで前作よりは相当運要素は薄れている。 -投げの弱体化 --敵と組み合った際の投げ猶予が一瞬しかなく、失敗すると即座に反撃されダウン確定。また、威力は通常攻撃1発分よりやや高い程度。 --F91とロアは実質的にふっとばし打撃。攻撃判定の発生前に無防備なフレームが存在するため、相手に割り込まれて負けというパターンが頻発する。 --RXとグレートはモーション中無敵かつ0フレーム発生なので安定している。しかし、前述のとおり巻き込み不可なので緊急回避としてはイマイチ。 -ガードの使いにくさ --「ガード成功時に敵の攻撃判定が消えない」という致命的な欠点があるため、すぐにガードを解くと残った判定に引っかかってしまう。 --また、組み判定や一部の飛び道具も防げないので、相手をよく見て使う必要がある。 -難易度の高さ --前作の1面はかなり容易に進めることができたが、今作は最下級の雑魚(ザクや戦闘員)ですら高速タックルなどで容赦なく殺しにかかってくるため、上級者でも油断していると1面序盤であっさり死亡してしまう。 ---難易度イージーでも敵の攻撃方法、投げ猶予の短さ、落とすお金などが変わらないため、救済措置になっているとは言い難い。 --ライフの回復手段は薬の購入・使用のみ((謎の壺のランダム効果で代替するか、命の玉で残機を増やすことは可能。))。ステージをクリアしても回復できず、固定配置の回復アイテムも存在しない。 ---薬は安価かつ任意のタイミングで使えるが、回復量の異なる青・赤を1個ずつしかストックできず、販売期間も青が1面、赤が3・5・9面と短い。 ---お金さえあれば入店→購入→使用→入店……で全回復+ストックできるが、それでも厳しい。 ---ただし、本作では1面クリア毎にパスワードが表示されるため、クリア後毎回パスワードで再開すればライフ・残機・クレジットを初期値に戻す(回復する)事ができる。この仕様が救済措置になっていると言えるだろう。 -ショップ関連の練りこみ不足 --「お金稼ぎに限界値がある」「一度に持てるのは1万Gまで」「ショップの配置が固定かつ少ない」「通り過ぎたショップに引き返す(画面スクロールを戻す)ことが不可能」など、不便な仕様が多い。 ---効率良く買い物をするためにはショップの配置と稼げるお金を一度経験し、計算しなおしてから改めて買い物をする必要がある。 ---9面前半に出てくるショップが最後の配置であるため、そこを過ぎたらお金を貯める意味は一切ないのだが、敵を倒すと変わらずお金を落としていく。この仕様も練りこみ不足。 --2Pプレイはもっと地獄。稼げるお金の額が1Pプレイと全く同じなので取り合いになってしまい、ケンカの原因となり得る。 --「稼いだら戻れる」「ボーナスステージを作る」「2Pプレイでは稼げる額を増やす」などの調整があれば、また変わっていた可能性もある。 //-お金とショップのシステムの弊害>上記にまとめます。 -穴(即死ポイント)がやけに多い --ジャンプミスや敵の攻撃によるダウンで落下してしまうのはお約束。こちら側も敵を落とせば1発で倒せるが、その場合お金は手に入らない。 --ミス後は画面上から降ってくる形で復活するが、場合によっては足場の無い部分に出てきて連続ミスになってしまう(特にトロッコステージ)。 -属性の概念 --OPで語られるとおり、ヒーロー達の武具にはそれぞれ火・水・土・風の属性が備わっている。しかし、特定の敵に有利/不利という事は無く、ほぼ死に設定となっている。 ---その設定が見受けられるのは「ザコ敵を倒した後の消滅アニメーションが各属性に沿った演出である」こと程度。 -ヨボヨボになった前作ラスボス --これに引っかかりを感じるプレイヤーもいる。ただし前作とは別世界に来ているのであくまで同名の別人ではある。 ---ラスボスと偽ラスボスのポジションが前作から説明抜きに逆転しているのも違和感の原因だろう。前作の偽ラスボスがテクニック次第で瞬殺できた((直前のザコ戦のフィールドの落とし穴の判定が画面端に残っており、穴に落とせばザコキャラ同様に即死させられた))のに対し、前作のラスボスがみんなのトラウマ級の強敵だった点もその違和感を強くしている。 -パスワードが長い --今の時代と違い写メなどなかった時代。書き写しミスが前作より頻繁に発生した。 ---- **総評 いろいろ作りこみ不足、前作からのシビアな仕様変更による難易度の上昇といった意見の分かれる点もあるが、はっきりとしたキャラクター性能区別および調整、グラフィックの綺麗な作りこみなどゲームとしての完成度は非常に高い部類。ゲーム単体として見ても十分評価できる内容となっている。~ シリーズファンにとっては、理想的な続編と言えるだろう。 ---- **余談 -月刊少年誌『コミックボンボン』(現在は休刊)にて本作の漫画版が連載されていた。作者は、後に同誌で『ガイアセイバー』のコミカライズも担当したときた洸一氏。 --厳密には、コンパチヒーローの複数のゲームをひとつのストーリーで繋げた漫画であり、タイトルには「コンパチヒーローワールド」と付いている。 --王様から渡された武器で戦う理由付けとして、作中世界では4人が本来の力を発揮できない描写がある(F91のヴェスバーが不発になった)。 -発売直後はメーカーの予想に反してかなり売れたのか、または出荷が抑えられていたのか品薄状態になっていた様であり、売り切れ店が続出していた。そのためしばらくして再発売された(当時刊行されていたファミマガの再発売予定ソフトの欄に本作も載っていた)という話がある。 ----

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