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System Shock 2 - (2015/10/12 (月) 17:31:04) の編集履歴(バックアップ)


System Shock 2

【しすてむしょっくつー】

ジャンル サバイバルホラーRPG
対応機種 Windows
Linux
OS X
発売元 Electronic Arts
Night Dive Studios
開発元 Irrational Games
Looking Glass Studios
発売日 1999年8月11日
定価 980円
プレイ人数 1人(オンライン時3人)
備考 Steamで配信中
判定 良作
ポイント SFサバイバルホラー
自由なステ振り
ハッキング等の複数の攻略法


概要

地球外生命体に乗っ取られてしまった光速宇宙船を舞台に、地球外生命体と人工知能、そして人類の生き残りをかけた戦いが繰り広げられる一人称視点サバイバルホラーRPG。
単純なFPS戦闘そのものより、限られた物資を上手く活用したり、ハッキングなどの搦め手を駆使して難所を切り抜けるサバイバル要素に焦点が当てられている。
アイテムメニューを開いてもゲームが止まらず、敵の再配置が予測不能、物資の入手法が限られるといった難易度の高いシステムと、人類がほぼ壊滅した宇宙船という閉鎖空間内で進行するストーリーが合わさった結果、
直接的な恐怖演出こそ少ないものの最初から最後まで緊張感が持続する良質のサバイバルホラーとなっている。
BIOSHOCKシリーズはこのゲームの「精神的続編」という位置づけであり、実際似通ったところも多い。
また、Dead Spaceはこのゲームから影響を受けたという噂もあり、ゲームのシチュエーションや敵キャラの設定などに似通ったところがある。
評論家からの評価は非常に高く、7つのゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む数々の賞をとったにもにもかかわらず、知名度の方はお世辞にも高いとは言えなかったため、売上は芳しくなかったという不遇のゲームでもある。
海外では「最も怖いゲームランキング」が作られると名を連ねることが多い定番のホラーゲームである。


ストーリー

  • 前作の事件、人工知能SHODANが暴走し、宇宙ステーションを壊滅に導いた事件から42年後、
  • 人類はFTL(光速宇宙航行技術)を開発、史上初の光速宇宙船Von Braun号が建造され、
  • いくつかの懸念を孕みながらも処女航海が開始された。護衛として軍事宇宙船Rickenbacker号も
  • Von Braun号に接続される形で同行。
  • 航海開始から5か月後、Von Braun号は太陽系外の惑星Tau Ceti Vから謎の信号を受信。
  • 乗組員たちは調査を開始し、奇妙な卵を発見した。彼らはそれを船内に持ち帰って調査を始めた。
  • しかし、その卵の正体は、42年前、狂ったSHODANが生み出し、宇宙ステーションの外に廃棄されたはずの
  • 生体兵器だった……。生体兵器に寄生された人間たちはじょじょに人外へと変異していき、船のAIを乗っ取り、
  • セキュリティシステムや警備ロボットを掌握して、正常な人間たちを追い詰める。
  • プレイヤーはRickenbackerの兵士。コールドスリープから目覚めると、船内が荒廃していることに気づく。
  • コールドスリープのエラーにより、船内での記憶がはっきりしない。生き残りの科学者から通信を受け、
  • 自分がエイリアンに寄生された反乱分子たちに対抗するためにコールドスリープ中にサイバー改造されたのだと説明される。
  • プレイヤーは生き残りの科学者と合流するため、行動を開始する。

特徴

RPG要素

  • FPS視点だがアクション要素は薄く、もっぱらアイテム管理やスキル配分に焦点がおかれ、RPG要素が強い。
  • プレイヤーの能力は『基礎能力(statistic)』『技術(tech)』『戦闘(combat)』『超能力(psi)』の4つに分かれていてゲーム中の特定の場所で、アイテム『サイバネティック・モデュール』を消費して強化することができる。サイバネティック・モデュールはゲームを進行させると自動的に取得できるほか、船内に落ちているものを拾うことも可能。戦闘で敵が落とすことはないのでいわゆる経験値稼ぎのようなことはできない。
    • 『基礎能力(statistic)』:近接攻撃力と持ち運べるアイテムの量を決めるSTRENGTH、最大HPを決めるENDURANCE、移動速度や攻撃速度を決めるAGILITYなど、プレイヤーの基本的な能力を決定する。
    • 『TECH』:ハッキング、武器の改造・修理、未知の物質の調査などの技術的な能力。
    • 『COMBAT』:物理武器、エネルギー兵器、重火器、化学兵器などの武器の取り回しの能力を決める。これが低いと新しい武器を見つけても装備できないことがある。
    • 『PSI』:いわゆる超能力。遠距離攻撃や念力などが使える。極めると非常に強いが、それぞれのPSI能力にサイバネティック・モデュールの消費が大きく、他の能力との併用が難しい。別に使わなくてもクリアできるので上級者向けの能力になるだろう。

戦闘

  • いかに『上手く敵を倒すか』というFPS的な要素より、『いかに限られた物資を上手く活用して切り抜けるか』に焦点が当てられている。
    • 戦闘は狙って撃つ、近づいて殴るというだけのシンプルなものだが、銃弾には『通常弾』『装甲貫通弾』『対人弾』などの種類がある。敵に合わせて有効な銃弾を使用したり、あるいは温存したりするのが重要になるだろう。
    • もちろん銃弾の入手法は限られていて持ち運べる物資の量も限界がある。弾丸の温存のためには近接攻撃に頼る必要もある。

ハッキング

  • 貴重な銃弾やHPを温存するためにハッキングを駆使することも重要な戦略になる。
  • 寄生生命体に乗っ取られたセキュリティシステムをハックして監視カメラを止めたり、防衛タレットをハックして自らの戦力にしたり、パスワードのかけられた保管庫をこじ開けるなど、ゲームプレイを有利に進めることができる。
  • ハッキング、改造、修理などの技術系スキルを駆使するときは、基本的にすべて同じミニゲームを行うことになる。
    • 単純に言ってしまえば3目並べ。3つの白いコマを並べることができればハッキングや改造に成功することになる。
    • ただし、指定したマスにコマをおけるかどうかはスキルによる確率で決まる。
    • コマを置くことに失敗した場合、そのマスは暗くなり、二度とコマをおくことはできない。
    • 盤上にはいくつか「危険マス」があり、そこにコマをおくことに失敗した場合、警報が鳴らされたり、武器が壊れるなどの『大失敗』になる。
    • 単純なミニゲームで、無理だと思ったら何回もやり直すことができる。しかし、ミニゲーム中もゲームはリアルタイムで進行するため油断は禁物。

PSI(超能力)

  • PSI用の道具を装備し、PSI能力を持っていれば様々な超能力を使うことができる。
    • 回復、遠距離攻撃、自己強化などRPGの定番能力もあれば、テレポート、通貨を銃弾に買えるなどの特殊な能力もある。
    • 上手く使うとチート級の能力を持つものもあり、RTA(早解き)などに利用されることもあるが、基本的に上級者向け。
    • PSIの使用にはタメが必要になり、あまり早く発動しても大した効果は得られないが、タメすぎるとPSIが暴走して自分にダメージを受けるなど扱いが難しい。
    • サイバネティック・モデュールも一つのPSI能力ごとに支払う必要があるので、コストが大きく他の能力を上げる妨げになる。PSIを活用するのはゲームになれた二週目以降に特化キャラを作るのが良いだろう。一周目からPSIキャラで進めるのはオススメできない。

通貨(nanite)

  • 船内には未だに自動販売機などの設備が動いている。宇宙船内の通貨、万能物質「nanite(ナニティ)」を使って色々なアイテムを購入できる。
    • ただし基本的に割高。ハッキングを駆使して値段を下げても簡単に必要物資を集めることは難しい*1
    • また、naniteはプレイヤーが死亡した際、肉体を再生し復活するための材料にもなる。蘇生費用は回復アイテムの値段より安かったりする。

調査

  • エイリアンに寄生された人類や、人体改造されたものたち、エイリアンの未知のテクノロジーなどを調査して、未知の物質を武器にしたり、敵の弱点を見つけだして与えるダメージを大きくすることができる。
  • 調査には調査(research)スキルが必要になり、場合によっては実験の試料としてさまざまな化学物質が必要になる。
    • 十分なスキルと試料さえあれば、あとは自動で調査が完了する。
  • いちいち試料をとりに戻ったりすることや研究結果を待つのが手間だが、敵や未知の物体の情報が得られるので雰囲気作りに貢献している。

オーディオ・ログ

  • 精神的続編のバイオショックシリーズと同様、直接別のキャラクターと接触する機会は少なく、多くは船内に残されたオーディオ・ログ(音声記録)のメッセージから船内で起こった出来事を推測することになる。
    • バイオハザードのFILEのようにホラーの雰囲気作りにマッチしている。一人の登場人物がいくつものオーディオ・ログを残してちょっとしたサブストーリーのようになっているものもある。
      • バイオハザードの「かゆい……うま…」のような王道ホラー展開のものも。
    • 中にはパスワードのヒントを示すものもあり、ちょっとした謎解き要素もある。

敵の再配置

  • 船内で倒した敵は一定時間で復活するようになっているが、最初の配置で復活するとは限らない。
    • 一度敵を掃討したエリアに再び戻ったとき、最初は敵がいなかった曲がり角で敵とバッタリ遭遇!といったシチュエーションを狙ったもの。
    • ゲームは基本的にリアルタイムで進行し、オプション画面を開いたときくらいしか進行は止まらないので、いつ敵が再び現れるか分からないという緊張感が持続する。

評価点

サバイバルホラー要素

  • 一度に持ち運べる物資を吟味したり、弾丸を温存したり、武器がいつ壊れるか戦々恐々としたり、物資を求めてオーディオログを手掛かりに探索したりとサバイバルホラーのエッセンスが詰まっている。
  • 閉鎖された宇宙船内、地球外生命体に寄生された乗組員、あちこちに残されたオーディオログなど、まるでSFホラー映画をそのままゲームにしたかのような雰囲気作りに成功している。
    • 敵の再配置のランダム性もどこから敵が飛び出してくるか分からない緊張感を生み出している。直接的なホラー演出が少ないにも関わらず、ホラーゲームランキングに名を連ねることが多いのは、とだえることのないことのない緊張感によるところも多いだろう。

ストーリー

  • オーディオログで語られる生存者たちの戦いや、災厄が始まる前の不穏な雰囲気などの表現が秀逸。
  • 寄生された人間たちと戦う兵士、二人で逃げることを決意した恋人たち、じょじょに人外の存在に変異していく様子などサブストーリーが本編のホラーな雰囲気を盛り上げる。

進行の自由度の高さ

  • 敵に真正面から突っ込むだけでなく、ハッキング能力を駆使してセキュリティを無効化したり、防衛システムを自分の味方につけてもよく自由度が高い。
  • スキルポイントの割り振りも自分で決めることができ、色々なキャラクターが作れる。近接攻撃特化型、重火器使い、超能力者など。一周目であまり使えなかった装備を2周目で重点的に使ってみたり、あえてハッキングを封印したり、PSI特化にしてみたりと色々なプレイスタイルが楽しめる。
    • 武器も豊富で、ピストル、ショットガン、アサルトライフルといった定番武器から、ロケットランチャーなどの重火器、レーザー銃、ビームサーベルなどのSF武器、未知のよくわからない物質やエイリアンの体組織の一部を使ったグロテスクな装備…など。
  • 基本的に探索とストーリー進行以外で経験値(サイバネティック・モデュール)が手に入ることはない。従って、敵を延々と倒したりする必要がなく、逃走したり、迂回したり、隠れてやり過ごしたりといった戦術を選びやすい。

BGM

  • 宇宙船内の閉塞感と緊張感を支えるBGMも評価が高い。チュートリアルで間接的に船の壊滅的状況を見た後、満を持して敵が現れる「科学-医療エリア」のBGMは是非実際のゲームプレイで聞いてもらいたい。

お遊び要素

  • 船内には携帯ゲーム機が落ちていてソフトを集めるとミニゲームをプレイすることができる。
    • 内容はどこかで見たようなゲームばかり*2だがやたらと数が多く一種の収集要素になっている。
    • もちろんゲームに興じている間も敵は待ってくれない。遊んでいる間に背後から襲われないように注意。
    • 十分なハッキングスキルを持っていればミニゲームをハッキングして一瞬でクリアすることができる。虚しいだけだが……。
  • 訓練生時代のチュートリアルエリアでバスケットボールを拾い、宇宙船のレクリエーションエリアのゴールにシュートすると特殊なメッセージが受信される。

不満点・賛否両論点

古いゲームならではの欠点

  • バイオハザードやデッドスペースに見られるようなアイテム保管システムがない。
    • 一度に持ち歩ける物資の量には制限があるので不要なアイテムはその辺に置いておくしかない。
    • 特にStrengthの低いキャラは悩まされることになる。
  • マップに目的地が表示されない。
    • 現在の目的はいつでも確認できるが、マップには表示されないため自力で探す必要がある。
      • 「あるオブジェクトを数個探し出して破壊せよ」のような指示が出されたとき、オブジェクトを見逃したままステージの最後まで進むと逆戻りして探して破壊しなければならない。
  • キャラクターのグラフィックの使い回しが多い。船員の死体、寄生された船員(レンチ)、寄生された船員(銃)…誰もが同じような陰気な顔をしている。
    • オーディオログに表示されるキャラクターは一応ちゃんとそれぞれの顔グラがある。

ほぼ縛りプレイ同然のステ振り

  • 技術特化、戦闘特化、PSI特化など、最初の選択で様々な兵科の選ぶことができるがバランスが悪い。
    • ゲームシステムを理解していない初回でまともにプレイできるのは、ほぼ「スタンダード武器+ハッキング」のスタイルくらい。
    • 序盤はピストルやショットガンのようなスタンダード武器しか落ちていないため、エネルギー武器や化学武器特化は中盤以降までレンチ一本で頑張ることになる。
      • 超基本の遠距離武器であるピストルですら、兵科選択によってはスキルが足りず、序盤で装備できない場合がある。 アレ……主人公って軍人じゃ……
    • PSIも同じく、PSIエネルギー補給アイテムが少ない序盤においてはかなり節約して使う必要があり、PSI自体の扱いにくさも相まって、初心者向けではない。
  • 壊れかけ武器を修理できる代替消費アイテムの存在により、ほぼ産廃となっているスキルもある。

蘇生装置

  • 各ステージにはひとつ蘇生装置が存在し、作動させた後に死亡すると、naniteを消費してそこから復活することができる。
  • 一見蘇生装置はチェックポイントのようにも思えるが、実は違う。蘇生装置を作動させていないエリアで死ぬと即ゲームオーバーでタイトル画面に。
    • この仕様を理解していないと「どうせチェックポイントがあるから」とセーブせずに進めて死亡し、長時間のプレイが無駄になることも。
  • あくまで蘇生装置なので、ステージの環境はリセットされない。警報装置が作動して敵が大挙して押し寄せている場合、その状況はそのままで蘇生される。
    • 蘇生されるとHPが満タンになる なんてことはなく、瀕死のHPのまま放り出され、殺されて復活→また殺されるという無限ループでnaniteが枯渇することも。
  • 一見救済措置のようにも思えるが、初心者の場合、何度も死んでnaniteが枯渇し、HP回復装置やアイテムの補給に使う自動販売機が使えなくなり、難易度が余計にあがるという問題も。

一息つける場所がない

  • バイオハザードのようなセーブ部屋がなく、敵は一定時間で復活するため*3、特に初回プレイ時には結構、気力がいる。
    • HPを満タンにできる機会さえかなり限られているため、『一息つける』という場面はほとんどなく、慢性的にHPの残量と弾丸の残りに悩まされるだろう。
  • ストーリーやキャラクターも全く癒しがない。
    + ネタバレ
  • 序盤から主人公と通信機で指令を出す女科学者の正体は前作のラスボスである狂ったAI「SHODAN」
    • 中盤以降はSHODANに脅される形で地球外生命体と戦わされることになる。
  • 前作のボス(AI)が味方になるというとPortal2が思い浮かぶが、SHODANは最初から最後までプレイヤーを利用し、邪魔になったら殺すつもりの、冷徹な悪役である。
  • わずかな生存者はサイボーグ化した主人公の姿を見て、怖がって逃げる者も。
  • たまに主人公に友好的な人間が通信をとってくることもあるが……。
    • 合流しようとすると、その人物の死体を発見。しかもSHODANに裏切ろうとした罰としてサイバネティック・モデュールを没収されてしまう。

その他

  • 後半に「エリアに設置されている絵画の中からパスワードが隠されているものを探してきてパスワードを入力する」という非常に面倒臭いクエストがある。
    • 外れの絵画も多く、数枚の絵画(というか絵画表示ディスプレイ)をいじってパスワードを探しメモる必要がある。
    • パスワードは固定なので攻略サイトを見ればスキップできるイベントなのが救いかもしれない。
  • ロボット系の敵は倒すと自爆するので、自爆覚悟で接近戦で倒してHPを消費してから回復するか、銃弾を消費してトドメを刺すか、どちらにしろ物資を消費する必要が出てくる。

総評

バイオハザード、デッドスペース、バイオショックに通じるようなサバイバルホラーの起源とも言えるような作品。
同時に「プレイヤーが自由にステータスを振ることができ、キャラクターの個性によってプレイスタイルが大きく変わる」RPGの走りともいえる。
SFホラーをそのままゲームにしたような雰囲気、BGM、オーディオログによるストーリーテリングなどは全般的に評価が高い。
一方で古い作品だけあって、古臭い不便さもあり、プレイするときはある程度の面倒臭さを許容する必要があるだろう。
売りである自由なステ振りもやや練り込み不足で、初回プレイ時はハッキング+スタンダード武器の構成でなければ早々にゲームを投げ出してしまう人が多い。
それでも現代でも通じる良質のサバイバルホラーであることは間違いない。
未知の存在に心もとない物資で挑む恐怖と緊張感が好きなサバイバルホラーゲーマーは「古臭さ」などのいくつかの障害を乗り越えてしまえばとことんハマれるだろう。今では値段も安い。


余談

  • 実はWindows版はオンライン協力プレイができる。陰気な顔をした仲間たちと一緒に、貴重な物資を奪い合いながら宇宙船でサバイバルしよう!