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Grand Theft Auto III - (2019/01/14 (月) 12:55:03) の編集履歴(バックアップ)


Grand Theft Auto III

【ぐらんど せふと おーと すりー】

ジャンル アクション

対応機種 Windows 2000/XP
プレイステーション2
Xbox
発売元 カプコン
開発元 【Win/PS2】DMA Design
【Xb】Rockstar Vienna
発売日 【Win/PS2】2003年9月25日
【Xb】2004年7月29日
定価 6,800円
レーティング CERO:18歳以上対象
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント シリーズ初の3D
まだまだ改良の余地は多い
世界初の「オープンワールド」
ゲーム業界前代未聞の有害図書指定
CERO改定の発端にもなった
Grand Theft Autoシリーズリンク


概要

『Grand Theft Auto』シリーズ第3弾。
シリーズ名でもある「Grand Theft Auto」とは「重自動車盗」*1を意味し、本作では街中に走っている車や停めてある車を自由に盗んで自分のものとすることができる。したがって車の絡むミッションが多い。

全世界で1500万本の売上を達成し、『GTA』と「Rockstar(ロックスター)」の名を世界に轟かせ、世界中で大ヒットしたクライムアクションゲームの金字塔となった有名作。
それまで概念として存在していた開かれたマップを自由に歩き回って攻略するプレイに対して「オープンワールド」という言葉を初めて使用し、ゲーム業界に定着させた記念的作品でもある。

ストーリー

2001年、リバティーシティで銀行強盗が発生。実行犯である主人公とその恋人、カタリーナは部下と共に銀行から脱出するが、逃走する際にカタリーナの裏切りに遭う。カタリーナの手によって部下は殺され、ピストルで撃たれた主人公もその場で倒れてしまう。
有罪判決を受けた主人公が警察の護送車で運ばれている最中に、護送車がギャングに襲撃される。その隙に主人公とエイト・ボールは事件現場から逃走する。自由を取り戻した主人公達は、カタリーナに復讐すべく様々な犯罪的仕事をこなしていく。

特徴

以下に「前2作」と記述する『初代』と『2』は見下ろし型の2D視点であったが、今作は三人称視点となった。

  • ゲームオーバーやマップクリアの概念がなく、様々なところで”仕事”を”受注”していくことになる。
  • ストーリー性も大幅にアップ。ミッションを淡々とクリアする形だった前2作と異なり、本作は「復讐」という明確なテーマ、目的を以て描かれる。監獄での仲間との脱獄から始まった新たな人生は、ストーリーを進めていく内に様々な人物・勢力の争いに巻き込まれ、そして時には巻き込みながら、自分を裏切ったかつての相棒への復讐へと繋がっていくことになる。
  • 舞台はニューヨークをモデルとした大都市「リバティーシティ」。犯罪者の巣窟であり、警察も賄賂に浸かりきった「アメリカ最悪の街」と呼ばれるこの街で主人公は生きて行く。
  • 今作は主人公が一言も喋らず、名前も不明。この点はまだ前2作を受け継いでいる。後作の『SA』で「クロード」と言う名前だと判明した。
    • ミッションとあらば、誰にでも従い、誰だろうと平気で裏切る、前2作と同様、機械的で主体性の無いキャラなので、感情移入は逆にしにくいかもしれない。
    • そんな立ち位置もあってか、発売当初は彼のみ公式イラストといえるものが存在しなかったが、後述のiOS版・Android版の配信の際に新たに用意された。
  • カーラジオとして様々な楽曲も収録されている。ロック、レゲエ、ドラムンベース、オペラなどジャンルも多彩。
    • 但し、次回作以降に比べると曲数はかなり少ない。
    • 一作目のメインテーマ『Gangster Friday(Grand Theft Auto)』も収録されているが、かなり過激な歌詞である為か一部に修正が掛かっている。
  • 日本語版も、欠損描写が無くなったぐらいであまり大幅な改編がされていない。(チートを使ってその規制を解除することも可能)

評価点

  • 完全3Dシステムとなった事。このゲームの一番の評価点とも言える。
    • 見下ろし型であった前2作と比べ、自由度・臨場感が大幅に高まった。
      • 本作で最後となってしまったが、カメラ視点を従来の見下ろし型にすることも出来、2D時代の気分を味わえる。
  • とにかく自由な所。街をうろついてブラブラするのも、人と喧嘩をするのも、人を殺すのも、車を奪うのも、全てはプレイヤーの自由。『GTA』を語るには欠かせない存在である。
    • 当然のことだが罪を犯せば警察に指名手配される。指名手配のレベルは1~6まであり、人や警察官を殺したりすれば手配レベルが上昇する*2。乗り物に乗っている状態だとパトカーが追ってきてしつこく追跡してくる。乗り物に乗っていない状態ならば警察が銃で発砲してくる。
      • 手配レベルが上がるごとに警察側の攻撃も激しくなり、ヘリやバリゲート、そしてFBI*3や軍まで出動して来る事になる。こうなれば生き残れる事が難しくなる。
      • 手配を消すにはマップの至る所にあるワイロ(免罪符的なアイテム)を取る*4か、ペイントショップを利用する必要がある。ペイントショップは車の色を自動で変えてくれるうえに手配レベルを0にさせる*5。ただしパトカーや消防車等の緊急車両は利用できないので注意。
    • シナリオの進行に直接関係ないミッションも数多く用意されており、それらは原則自由に進めることができる。
  • マップの簡潔化。
    • 前2作までは複雑且つ単調な構造で、マップを見なければどの位置にいるのかが分かりにくい程だったが、今作ではマップが大幅に凝縮された。
      • 舞台となるリバティーシティは工業区のポートランド、商業区のストートン島、高級住宅区のショアサイドベイルの3つの島からなる。島内のエリア毎にもまた特徴付けがされており、プレイしていけば自然とどこに何があるのかが覚えられるようになる。
      • 最初はポートランドしか行動できないが、ストーリーを進めていけば、ストートン島、次にショアサイドベイルへ行けるようになる。
  • 車の表現が非常に凝っている。
    • 例えば、車を真正面から追突すればちゃんと前部分が破損し、ドアの部分が接触すればドアが破損したりする。
    • 車毎にエンジン音、挙動、重量、速度等がしっかりと作り込まれている。
    • 今作では新たに船と小型機に乗れるようになった。
  • やりこみ要素の増加。
    • パトカーを奪えば悪党を追いかけて葬る「処刑ミッション」、タクシーであれば文字通り客を送り届ける「タクシーミッション」、救急車なら患者を病院に搬送する「救命ミッション」、消防車なら炎上中の車を消火する「消火ミッション」と言ったサイドミッションに挑戦が可能。クリアすれば相応の見返りもある。
    • 旧作に存在した殺戮ミッション(メッタ殺し)も健在。
    • 但し、以降のシリーズに比べるとまだまだ少ない。次回作『VC』からはこれらを更に強化してより長く遊べるようになっていく。

問題点

  • システムの未熟さ。
    • メニュー画面で全体マップが表示されない。現在地が判るのは画面下部のミニマップのみ。そのミニマップも『VC』以降とは異なり、場所や地形によって細かく色分けされていない為、使い勝手がよいとはいえず、最初のうちは自分がどこに居るのかすら判らない。地形を覚えでもしない限りは現在地の把握に付属の地図が必須である。
      • いくら前2作から簡潔化、密度が上がったとは言え簡単に覚えられるほど単純な構造ではない。
      • 地図上にマーカーを設置すると言った事も当然出来ない。
    • 主人公がカナヅチの為、水に入ると即死する?。『VC』もこの仕様が継続している。
      • それなのに手榴弾の爆風や火炎瓶の炎などは普通に耐える(HUD表示で炎は77ダメージ、爆発は直撃で83ダメージほど喰らうだけで済む)。どういう体をしてるのか全く持っての謎。
        高所から落下してのダメージの場合、飛び降りた場所が高くなる程受けるダメージも増えるが、普通にプレイする分にはこれが要因で即死することはまずない。
    • 爆発を地上で喰らうと範囲ギリギリでもその場で転倒してしまう。転倒している状態では敵は攻撃を中断するが、車の爆発などで追い打ちをかけられる危険性がある。『VC』(とそれをベースにした『LCS』『VCS』)でもこの仕様は引き継がれているが『SA』では転倒せずに吹き飛ぶだけになった。
    • 車から飛び降りられないなど、細かい不満点も。車を海に捨てるミッションがやりにくい。
    • グラフィックは完全3D化したものの、ゲームデザイン面は若干ながら前2作の名残がある。見下ろし視点に切り替えないと把握しにくい地形、取りにくい隠しアイテムなど。
  • グラフィックの出来は今一つ。
    • 見るに堪えないというほどでもないが、当時としてもあまり良い出来ではない。
  • バイクが無い。
    • 『1』には存在したバイクが本作では実装はされなかった。3DのGTAで登場するのは次回作『VC』からである。
    • 本作の二年前を描いた『LCS』にはバイクが登場するのだが、その矛盾を解消する為に「A.R.S.E.(米交通安全推進法人)が原付二輪車の排除を訴えたため、『III』の時点でリバティーシティ内でのバイクの運行が全面的に禁止されていく」と言う流れが作られている。
  • 小型機の挙動
    • ショアサイドベイルにある空港では小型機が配置されており、実際に乗って操縦する事が出来るのだが、本作の小型機の挙動は飛行機というよりはグライダーに近く、離陸前には十分な助走が必要な上に、高度の上昇/下降の制御にかなり癖があるので自在に飛ばすにはそれなりの練習が必須となる。
      • 『VC』にて飛行機の挙動が改善され、本作よりも格段に扱いやすくなった。
    • この小型機には"Dodo"と名付けられており、プレイヤーが操縦できる機体のみ主翼が不自然に切り取られている。発売直前にアメリカ同時多発テロが発生したこともあり*6、ファンの間では自主規制による意図的な挙動という推測もされていた。
      • しかし、Rockstarは後にこの推測を否定。元々小型機の飛行は想定されておらず、長時間の飛行は様々なバグの副産物であることが判明した。
  • 武器の照準が狙いにくい。
    • 上述のようにグラフィックが中途半端な影響で、銃の照準などはかなり狙いづらい。
    • 武器の種類もあまり多くは無い。
      • その代わり『VC』以降とは異なり、武器を全種類持つことができる。

賛否両論点

  • 本作に限らず、本シリーズの作中で行われる数々の犯罪行為、暴力性、残虐描写の数々はやはり槍玉に挙げられる。
    • 余談にもあるように本作も数々の問題を起こし、本国でも問題視され批判を浴びた。
    • 前作までは表現力が乏しい事もあってか 拉致したバスの乗客達を精肉場でミンチにしてホットドッグの材料にする と言う制作者の正気を疑うようなミッションすらあった程である。本作はそこまでは行かないにしても3Dになって表現力が上がった事からより社会に影響を与えたと思われる。
  • ひと昔前の洋ゲーらしくミッションの難易度は高い
    • 当時はまだ洋ゲー=大雑把で敵の攻撃が激しいというイメージの時代であり、本作も例外ではない。防御手段や回復手段が乏しいにもかかわらず容赦のない猛攻を受けるのは日常茶飯事で、敵の知覚がハッキリしないシステムなのに隠密性を求められる場面もある。
    • ただし失敗しただけならば、金が減るなどのデメリットはなく、依頼人の元へ行けばすぐに再挑戦が可能。だが、死亡したり逮捕されると手持ちの武器が全部なくなってしまう。その度にいちいち店で買うか各地で集めないといかず、かといってそのままでミッションはクリアできない。ミッションによっては車も調達し直さなくてはならない。そのため一度死ぬか逮捕されると再び挑戦するまでの立て直しが面倒。
      • この仕様は『IV』まで続いた*7
    • 先述のシステムの不親切さも手伝って、ストレスの溜まりやすいタイプの高難易度となっている。
      • 特に終盤の「制限時間内に町中のコーヒー店を破壊するミッション」などはマップが表示できない所為で無駄に難易度を吊り上げている*8
    • 様々な勢力から仕事を引き受けるという設定上、ミッションを進めると敵対化する勢力が現れるのだが、その中でも「マフィア」は敵対化するとピストル以外に強力なショットガンを武装し始めるため、非常に危険な存在となる。
      • 敵対化した後のマフィアの縄張りをうろついていると、こちらを見つけ次第ショットガンを乱射してくる。車に乗っていた場合、炎上する間も無く瞬殺されてしまう*9。生身かつ地上でショットガンを喰らうと転倒してしまう。転倒中は攻撃を一時中断するが、起き上がるのが終わった直後にまた撃ち始めるので素早く対処しないとまたハメられてしまう。その上、マフィアの敵対化はストーリーの進行上必須で、回避する手段がない。
      • これによりミッション進行後は該当エリアでの特殊車両ミッション達成が非常に困難になるので、なるべく敵対化する前にミッションを終わらせておくのが無難。
      • 一応「車に装着された爆弾(時間制限以外にもダメージを受けすぎても爆発する)を解除するために敵対化した後のマフィアの縄張りの中にあるガレージに行く」ミッションでは一時的に敵対化が解除されるので、安心しよう。
    • 最終ミッションに至っては制限時間が本当にギリギリの設定なので、車を衝突させずに最短ルートで目的地を目指し、カバーアクションなどのシステムが無い中で敵の猛攻をかいくぐらなくてはならない。*10
    • 以降の続編作とは異なり、サイドミッションで条件を満たしてもライフや防弾チョッキの上限値を増やすことができない*11。そのため、体力の多さに頼ったプレイングがしにくく、難易度の高さに拍車をかけている。
  • 軍隊の強さ
    • 悪事を重ね、指名手配レベルが最大の6になると軍隊が出動してくるようになるのだが、その軍隊が非常に強い。
      • 軍人はアサルトライフルのM-16を装備しているのだが、本作のM-16は何故か続編作のミニガン並の連射性能を持っており、更に軍人の射撃命中率が他のNPCと比べて非常に高く設定されているため、軍人へ近づこうものならライフ&防弾チョッキが満タンの状態でも1秒足らずで病院送りにされてしまう。
        ならば車で逃走しようにも道路には接触した車を一撃で爆破してしまう戦車がうろついているため、戦車が通れない狭い裏路地等を駆使しない限り、基本的には自殺行為となる。
      • 「最早警察やFBIでは手に負えない犯罪者に対する最終手段」という点で考えると、この軍の強さもある程度納得はいくが、それでも「強すぎる」という意見が多かったためか、『VC』では軍人の装備がサブマシンガンになり、若干弱体化された。
      • ちなみに本作のメインミッションの中に「指名手配レベル6の状態で一定時間耐える」というものがあるのだが、このミッションでは例外でレベル6でも軍隊が出てこないようになっている。*12
        逃走用に使う車両が図体が大きく、速度も遅い現金輸送車であり、そのような状況で軍隊が出てきてしまうと軍隊からの猛攻をほぼ回避できず、ミッション攻略が無理ゲーになってしまうので、それを回避するための処置と思われる。*13

総評

ゲームシステムが一新され、これまでの『GTA』とは全くの別物となった他、他では味わえない自由度が、このゲームが大ヒットとなるきっかけとなった。
3D化第一弾ということもあり、まだあまりやりこみ要素は多くなく、システムも洗練されておらず今見ると非常に不親切ではある。これらの点は次回作以降で改善、充実化していくことになる。
しかしそれらの評価とは別に、本国アメリカでも非常に問題となったゲームとしても有名である。

余談

  • 他国でもさまざまな議論を引き起こしており、オーストリアでは規制版が発売されるまで販売禁止になっていた。アメリカでも民事訴訟を起こされた。
    • 日本でも青少年の犯罪を誘発するとして、神奈川県から有害図書に指定された*14
      • 神奈川県での指定に続き、埼玉県や大阪府でも有害図書に指定。全国知事会でも採り上げられ、本作の全国的な有害図書指定、さらにはCERO改定のきっかけにもなった*15
    • ちなみに暴力ゲーム反対を訴えた弁護士であるジャック・トンプソンは、後にGTA4のミッションで殺害することになるゴールドバーグ弁護士のモデル(当然無許可)に。Rockstar側もご立腹だったようだ。
  • 本作とコラボしたコカ・コーラのCMも制作されたが、殺伐とした本編とは正反対のピースフルな内容であった。
  • 本作以後、『GTA4』まではローカライズをカプコンが担当している*16
    そのなかでも今作のローカライズは特に強烈。「サツ」「死んじまった!」「バラせ!」などの独特の表現が大量に出てくる。
    実に雰囲気が出ている名訳といえたのだが、本作の暴力性が強く問題視されたこともあってか、以後のローカライズは比較的無難なものに落ち着いている。『IV』以降その傾向は強くなっている。
  • 本作では作中様々な勢力が登場するが、ストートン島を縄張りとする勢力の中に「ヤクザ」が存在する。
    • 本作の舞台設定に合わせて全員英語・・・ではなくなんと日本語を喋り、しかも洋ゲーにしては異様に流暢な日本語でドスが効いていると評判。*17
      キンタマみてぇな臭いすんなこの野郎」「おいそこのガキお前喧嘩してえのかコラ!」「 お前魚の臭いすんぞコラ」など。
    • そんな彼らが乗る車両はスポーツカー「Stinger」をベースにしたその名も「Yakuza Stinger」。
      ネーミングこそアレだが、高性能かつ挙動も扱いやすいチューニングになっているため、時間制限のあるミッションではお世話になった人は多いのでは。
  • 後に本作の三年前を描いた『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』が発売された。主人公は本作の依頼人の一人であるトニー・シプリアーニ。
  • PS2版発売から10周年を記念し、iOS・Android版が発売された。
    • グラフィックが強化されたほか、全体マップの実装、死亡・逮捕時に武器を没収されないなど、一部ゲームシステムも改善された。
    • 後に発売されたiOS・Android版『VC』『SA』『LCS』と異なり、日本から購入できるのは規制が施された「日本語字幕版」のみ。流血表現、追い打ち等PS2版で規制されなかった表現が規制されてしまっている。
  • PC版とPS2版を開発したDMA Designは本作の発売後、Take2 Interactiveの子会社となったRockstar Gamesの買収を受け、同社の傘下会社となり「Rockstar North」へと社名を変更。同時に以降のシリーズ作の開発もそのまま引き継ぐ形となった。